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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159116
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】組み付け装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/02 20060101AFI20241031BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B23P19/02 E
B25J15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074899
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 一也
【テーマコード(参考)】
3C030
3C707
【Fターム(参考)】
3C030BB13
3C030BC04
3C030BC16
3C707AS07
3C707DS01
3C707ES03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Οリングを環状溝に組み込む際のしわ、傷等の発生を防止可能な組み付け装置を提供する。
【解決手段】ワークWの平面部に形成された有底の環状溝にOリングを組み付ける装置において、ワークW上に設置され、Oリングを環状溝まで案内するガイド部材30と、ガイド部材30をワークW上に設置するツールユニット40とを備え、ガイド部材30は、ワークWに向かうにつれて徐々に外径が大きくなる拡径部31を有し、ツールユニット40は、ガイド部材30に挿着されたOリングを環状溝まで押し下げる複数本の押圧部材49を有するツール部42と、ツール部42を昇降駆動させる昇降駆動源41から構成され、押圧部材49は、その下端がガイド部材30の拡径部31に当接後、拡径部31の傾斜に沿って湾曲することを特徴とする組み付け装置10による。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの平面部に形成された有底の環状溝にOリングを組み付ける組み付け装置において、
前記ワーク上に設置され、ワークに向かうにつれて徐々に外径が大きくなる拡径部を有するガイド部材と、
前記ガイド部材をワーク上に設置するツールユニットとを備え、
前記ツールユニットは、前記ガイド部材に挿着されたOリングを前記環状溝まで押し下げる複数本の押圧部材を有するツール部と、前記ツール部を昇降駆動させる昇降駆動源から構成され、
前記押圧部材は、その下端が前記ガイド部材の拡径部に当接後、拡径部の傾斜に沿って湾曲することを特徴とする組み付け装置。
【請求項2】
前記ツール部は、前記ガイド部材を着脱自在に保持する保持爪と、前記押圧部材を保持爪に対して接近離反させる往復駆動源を有していることを特徴とする請求項1に記載の組み付け装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記保持爪に対して上下方向相対移動可能に構成されており、前記ワーク上に載置されたガイド部材を回収する際、前記保持爪に保持されたガイド部材がワーク上面から所定の寸法離れるまで前記Οリングを環状溝側に押圧可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の組み付け装置。
【請求項4】
前記往復駆動源は、前記昇降駆動源がツール部を上昇させ、前記押圧部材の下端と前記ワークの上面との間に前記環状溝の深さ寸法より短い所定の隙間が形成された後、前記保持爪から前記押圧部材を離反させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の組み付け装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記拡径部に連続する略円柱形状の案内部を有しており、前記押圧部材は、その下端に径方向内側に突出する当接部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の組み付け装置。
【請求項6】
前記Οリングを把持可能な把持爪を開閉駆動させる把持機構と、この把持機構を移動させる移動手段からなり、
前記ガイド部材上にΟリングを設置する供給ユニットを有することを特徴とする請求項1に記載の組み付け装置。
【請求項7】
前記ガイド部材には、前記把持爪が通過可能な切り欠き溝が形成されており、
前記移動手段は、把持機構に把持されたΟリングの下端を前記ガイド部材に当接させるとともに、前記把持機構を前記Οリングの下端と前記ガイド部材との当接箇所を中心とした円弧上に移動させることを特徴とする請求項6に記載の組み付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに形成された環状溝にOリングを組み付ける組み付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに形成された環状溝にOリングを組み付ける組み付け装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この組み付け装置は、円錐形状のガイド部材と、このガイド部材に外嵌可能な押込金具を備えており、前記ガイド部材には、Oリングが装着されている。このOリングが装着されたガイド部材をワーク上に載置後、前記押込金具をガイド部材に嵌合させてワーク側に移動させる構造であり、前記Oリングが押圧金具に押圧されて前記環状溝まで圧入される構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59-120565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の組み付け装置は、押圧金具の内周面とガイド部材の外周面との間に隙間が生じるため、Oリングが当該隙間に入り込み、その表面にしわや傷が形成されることがあった。このように表面にしわや傷が形成されたり、ねじれたりしたOリングは、十分に機能を発揮できず、気密性が弱まる等の問題が生じることがあった。また、ワークの環状溝がアンダーカット形状でない場合、組み付け後、Oリングがワーク上から離脱するガイド部材等に張り付き、ガイド部材とともに持ち帰られることがあった。
【0005】
そのため、本発明は、Oリングにしわや傷をつけることなくワークに組み付け可能かつ、組み付けたOリングの持ち帰りを防止可能な組み付け装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明は、ワークの平面部に形成された有底の環状溝にOリングを組み付ける組み付け装置において、前記ワーク上に設置され、Oリングを前記環状溝まで案内するガイド部材と、前記ガイド部材をワーク上に設置するツールユニットとを備え、前記ガイド部材は、ワークに向かうにつれて徐々に外径が大きくなる拡径部を有し、前記ツールユニットは、前記ガイド部材に挿着されたOリングを前記環状溝まで押し下げる複数本の押圧部材を有するツール部と、前記ツール部を昇降駆動させる昇降駆動源から構成され、前記押圧部材は、その下端が前記ガイド部材の拡径部に当接後、拡径部の傾斜に沿って湾曲することを特徴とする。なお、前記ツール部は、前記ガイド部材を着脱自在に保持する保持爪と、前記押圧部材を保持爪に対して接近離反させる往復駆動源を有していることが好ましい。また、前記押圧部材は、前記保持爪に対して上下方向相対移動可能に構成されており、前記ワーク上に載置されたガイド部材を回収する際、前記保持爪に保持されたガイド部材がワーク上面から所定の寸法離れるまで前記Οリングを環状溝側に押圧可能に構成されていることが好ましい。さらに前記往復駆動源は、前記昇降駆動源がツール部を上昇させ、前記押圧部材の下端と前記ワークの上面との間に前記環状溝の深さ寸法より短い所定の隙間が形成された後、前記保持爪から前記押圧部材を離反させるように構成されていることが好ましい。しかも、前記ガイド部材は、前記拡径部に連続する略円柱形状の案内部を有しており、前記押圧部材は、その下端に径方向内側に突出する当接部が設けられていることが好ましい。また、前記Οリングを把持可能な把持爪を開閉駆動させる把持機構と、この把持機構を移動させる移動手段からなり、前記ガイド部材上にΟリングを設置する供給ユニットを有することが好ましい。さらに、前記ガイド部材には、前記把持爪が通過可能な切り欠き溝が形成されており、前記移動手段は、把持機構に把持されたΟリングの下端を前記ガイド部材に当接させるとともに、前記把持機構を前記Οリングの下端と前記ガイド部材との当接箇所を中心とした円弧上に移動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、Οリングの組み込み時、押圧部材がガイド部材に沿って湾曲するため、押圧部材の下端は、湾曲による反発力でガイド部材に密着してその間に隙間が形成しない。この結果、Οリングが隙間に入り込むことにより生じるしわや傷等が防止される等の利点も有する。なお、ツール部がガイド部材を保持する保持爪を有するとともに往復駆動源が押圧部材を保持爪に対して接近離反させるため、ツール部を昇降させるのみでワーク上にガイド部材を設置する工程およびΟリングをワークに組み込む工程を実施可能等の利点も有する。また、ガイド部材がワーク上面から所定の寸法離れるまで押圧部材がΟリングを環状溝側に押圧するため、Oリングが離脱するガイド部材に張り付いて環状溝から外れることを防止可能等の利点がある。さらに、前記昇降駆動源がツール部を上昇させ、前記押圧部材の下端と前記ワークの上面との間に前記環状溝の深さ寸法より短い所定の隙間が形成された後、前記往復駆動源が前記保持爪から前記押圧部材を離反させるように構成されているため、Οリングが離脱する押圧部材に張り付いて環状溝から外れることを防止可能等の利点がある。これらにより、Οリングの表面に油分等が付着していても、ツール部の離脱時にΟリングがツール部と一緒にワークから外れることを防止可能等の利点も有する。しかも、押圧部材の下端に径方向内側に突出する当接部が設けられているため、ガイド部材が円柱形状の案内部を有していてもガイド部材と押圧部材との間に隙間が形成されない等の利点も有する。また、前記Οリングを把持可能な把持爪を開閉駆動させる把持機構と、この把持機構を移動させる移動手段からなり、前記ガイド部材上にΟリングを設置する供給ユニットを有するため、Οリングをガイド部材に設置する行程も自動化することが可能になる等の利点も有する。加えて、前記ガイド部材には、前記把持爪が通過可能な切り欠き溝が形成されており、前記移動手段は、把持機構に把持されたΟリングの下端を前記ガイド部材に当接させるとともに、前記把持機構を前記Οリングの下端と前記ガイド部材との当接箇所を中心とした円弧上に移動させている。このため、ガイド部材に設置されたΟリングの変形を最小源にすることが可能となり、ガイド部材上のΟリングが張力等で移動することが防止される等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る組み付け装置の構造を示す概略正面図である。
図2】本発明に係るツールユニットの構造を示す要部拡大正面図である。
図3図2から次の状態に移行した状態を示す要部拡大正面図である。
図4】(a)は図3のA-A断面平面図であり、(b)は(a)から次の状態に移行した状態を示す一部断面平面図である。
図5】本発明に係るツールユニットの構造を示す要部拡大断面正面図である。
図6図5から次の状態に移行した状態を示す要部拡大断面正面図である。
図7図6から次の状態に移行した状態を示す要部拡大断面正面図である。
図8図7から次の状態に移行した状態を示す要部拡大断面正面図である。
図9図8から次の状態に移行した状態を示す要部拡大断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1において10は、ワークWにOリングRを組み付ける組み付け装置である。この組み付け装置10は、前記ワークWを搬送する搬送ユニット20と、ワークW上に設置されるガイド部材30と、このガイド部材30をワークW上に設置するツールユニット40と、前記OリングRを前記ガイド部材30上に載置する供給ユニット50と、これらの動作を制御する制御ユニットとを有している。
【0010】
前記ワークWは、厚さ方向に円形の貫通孔W1が形成されたリング形状部材であり、その上面には、前記貫通孔W1と中心を共有する環状溝W2が形成されている。また、前記OリングRは、前記ワークWの環状溝W2とほぼ同じ直径を有している。なお、前記環状溝W2は、OリングRの太さ径より浅く構成されており、当該環状溝W2に組み付けられたOリングRは、上方に突き出すよう構成されている。
【0011】
前記搬送ユニット20は、図5に示すようにワークWを位置決め固定可能な治具21と、この治具21を移動させる搬送手段23とから構成されている。前記治具21は、ワークWの外形と同形の円形凹部22が形成されており、ワークWを当該円形凹部22に嵌合させることにより位置決め可能に構成されている。また、前記搬送手段23は、その駆動部に前記治具21が固定されており、治具21およびワークWを前記ツールユニット40の下方および供給ユニット50の下方で往復搬送可能に構成されている。なお、搬送ユニット20による治具21の移動経路上には、所定の交換位置が予め設定されており、当該交換位置には、治具21上のワークWを次段のワークWと交換可能な交換装置(図示せず)が配置されている。
【0012】
前記ガイド部材30は、図5に示すように下方に向かうにつれて徐々に径が大きくなる略円錐台形状の拡径部31と、前記拡径部31の下面に連続する円柱形状の案内部32と、この案内部32の下面に連続し、前記ワークWの貫通孔W1と嵌合する嵌合部33とが一体形成されている。このガイド部材30の外周面には、上下方向に貫通する切り欠き溝34が形成されており、この切り欠き溝34は、外周面から当該ガイド部材30の中心に向かって伸びている。また、前記拡径部31の上面には、図4の(b)に示すように上部が円形に構成され、下部が矩形に構成された段付き溝35が形成されており、この段付き溝35の上部には、円板形状の蓋部材36が収容されている。この蓋部材36は、ガイド部材30にねじ止め固定されており、その中央には、前記段付き溝35の下部より小さく構成された吊下孔37が貫通形成されている。なお、前記拡径部31は、その上端が前記OリングRの内径より小さく構成されているとともにその下端は、前記ワークWに形成された環状溝W2の内側壁面より若干大きく構成されている。
【0013】
前記ツールユニット40は、前記搬送ユニット20による治具21の搬送経路上に予め設定された組み付け位置の上方に設置されており、昇降駆動源41と、この昇降駆動源41の駆動を受けて昇降するツール部42から構成されている。このツールユニット40のツール部42は、前記昇降駆動源41の駆動部に固定されるベースプレート421を有しており、このベースプレート421の上面には、一対の駆動部を開閉駆動させる開閉チャック43が設けられている。この開閉チャック43は、その駆動部がベースプレート421に形成された空隙(図示せず)内で前後方向に移動するよう配置されており、その駆動部には、下方に向かい伸びる保持爪44がそれぞれ固定されている。これら保持爪44は、前記開閉チャック43の駆動を受けて互いに接近離反可能に構成されており、その下端には、対向する保持爪44と離反する方向に伸びる係止部441を有するL字形状に構成されている。この係止部441は、保持爪44が互いに接近している時、前記蓋部材36の吊下孔37を通過できる一方、保持爪44が離反すると前記蓋部材36の下面に当接する寸法で設計されている。これら構造により、ツール部42は、互いに接近させた状態の保持爪44を係止穴に挿通後、保持爪44を互い離反させ、前記係止部441と蓋部材36の下面とを当接させることでガイド部材30を吊下可能となる。
【0014】
また、前記ベースプレート421の下面には、前記保持爪44を挟むように一対の往復駆動源45,45が設けられている。この往復駆動源45,45は、それぞれの駆動部が前記保持爪44に対して接近離反するよう配置されており、前記駆動部には、これと一体に摺動可能な摺動部材が固定されている。この摺動部材には、上下方向摺動自在に構成されたガイドロッド46が貫通しており、このガイドロッド46の下端には、昇降プレート47が固定されている。この昇降プレート47の下面には、下方に向かい伸びる押さえロッド48が2本ずつ固定されており、この押さえロッド48は、図4の(a)に示すように往復駆動源45,45が駆動部を接近させた際に前記ワークWの上面と当接可能な位置に配置されている。また、前記ガイドロッド46には、圧縮ばね461が案内されており、この圧縮ばね461は、前記昇降プレート47を常時下方に付勢している。
【0015】
また、昇降プレート47の上方には、スペーサを介して連動プレート471が固定されており、この連動プレート471には、下方に向かい伸びる押圧部材49が多数設けられている。これら押圧部材49は、可撓性を有する長尺部材から構成されており、図4の(a)に示すように往復駆動源45,45が駆動部を互いに接近させた際、前記ガイド部材30の拡径部31上に周方向に所定の間隔を開けるよう配設されている。さらに、前記押圧部材49の下端には、樹脂等の弾性部材からなる当接部491を有している。この当接部491は、前記押圧部材49から径方向内側に突出しており、前記往復駆動源45,45が駆動部を互いに接近させた際、前記拡径部31の上端付近に当接可能に設定されている。なお、本実施形態において、前記押圧部材49は、往復駆動源45,45が駆動部を互いに接近させた際にガイド部材30の径方向に向かい湾曲可能な板ばねで構成されており、当該湾曲時に前記押さえロッド48と干渉しないように互いに位置設定されている。また、前記押圧部材49および前記押さえロッド48は、図2に示すようにその下端が前記保持爪44に保持された状態のガイド部材30の案内部32の下面より若干下方に位置するよう長さ設定されている。このため、後述の組み付け時、ツール部42は、押圧部材49および前記押さえロッド48がワークW上面に当接後、前記圧縮ばね461を撓ませながら保持爪44の係止部441が蓋部材36より下方に達するまで下降するよう構成されている。
【0016】
前記供給ユニット50は、前記搬送ユニット20による治具21の搬送経路上に予め設定された供給位置付近に設置されており、移動手段の一例である多関節ロボット51と、この多関節ロボット51の先端に装着される把持機構54とから構成されている。この前記多関節ロボット51は、複数個の腕部52およびこれら腕部52を接続する複数個の関節部53を有しており、その関節部53は、当該関節部53を中心に腕部52を揺動させる腕部52揺動駆動源(図示せず)および当該関節部53を中心に腕部52を回転させる腕部52回転駆動源(図示せず)が設けられている。これら構造により多関節ロボット51は、先端に装着された把持機構54を任意の位置および向きに移動させることができる。また、前記把持機構54は、一対の駆動部を開閉駆動させる開閉駆動源55を有しており、この開閉駆動源55の駆動部には、前記OリングRを把持可能な把持爪56が固定されている。この把持爪56は、その対向面にOリングRの太さより若干幅広に構成された把持溝が分割形成されている。なお、この把持爪56は、前記ガイド部材30の切り欠き溝34の溝幅より薄く構成されており、切り欠き溝34内に進入可能に構成されている。なお、ガイド部材30にOリングRを設置する際、前記多関節ロボット51は、図5の二点鎖線に示すように把持機構54に把持されたOリングRの下端をガイド部材30の案内部32に接触させた状態で把持機構54が当該ガイド部材30とOリングRとの接触部分付近を中心とした円弧を描くように移動させる。また、前記多関節ロボット51による把持機構54の移動範囲内には、多数のOリングRを一本ずつ所定の間隔を開けて待機させる待機位置(図示せず)が設けられており、供給ユニット50は、待機位置で待機しているOリングRを一本ずつ把持可能に構成されている。
【0017】
前記制御ユニットには、前記搬送ユニット20と、ツールユニット40と、供給ユニット50や、外部の供給装置および排出装置等が接続されており、これらの駆動を制御可能に構成されている。
【0018】
次に上述のように構成された組み付け装置10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると前記搬送ユニット20が駆動して、治具21を前記交換位置まで搬送する。治具21を前記交換位置まで搬送すると、前記交換装置が駆動して、治具21上に新たなワークWを載置する。搬送ユニット20は、ワークWが治具21上に載置されると、再度駆動し、治具21およびワークWを前記組み付け位置まで搬送する。ツールユニット40は治具21が組み付け位置に達すると、前記昇降駆動源41を駆動させてガイド部材30の嵌合部33がワークWの貫通孔W1に嵌合するまで駆動部を下降させる。この時、前記往復駆動源45,45は、駆動部を互いに離反させているため、押さえロッド48および押圧部材49とワークWとが干渉しない。このように、ガイド部材30がワークW上に載置されると、前記開閉チャック43が駆動して保持爪44を互いに接近させる。保持爪44が互いに接近して前記開口部を通過可能になると、前記昇降駆動源41が再度駆動し、保持爪44が蓋部材36から抜け出るまでツール部42を上昇させる。これにより、ツール部42とガイド部材30との係合が外れ、ガイド部材30がワークW上に設置される。なお、ツール部42が当初高さまで上昇すると前記往復駆動源45,45が駆動して、図3に示すように組み付け位置の上方に前記押圧部材49および押さえロッド48を待機させる。
【0019】
上述のようにガイド部材30がワークW上に設置されると、前記搬送ユニット20が駆動して、治具21を前記供給位置まで搬送する。治具21が供給位置に達すると、多関節ロボット51が駆動して把持機構54が把持するOリングRをガイド部材30上に設置する。この時、ガイド部材30に切り欠き溝34が形成されているため、把持機構54は、図5に示すように把持爪56が把持したOリングRの下端がガイド部材30の案内部32に接触させて、当該接触部分を中心とした円弧状の経路で把持機構54を移動させることが可能となる。これにより、OリングRは、下側端部が案内部32に係止し、上側端部が拡径部31の真ん中付近に係止する状態でガイド部材30上に設置される。OリングRの設置後、把持機構54が駆動してOリングRを離すとともに、多関節ロボット51が駆動して把持機構54を前記待機位置まで移動させる。この時、前述のように把持機構54がOリングRとガイド部材30と接触部分を中心とした円弧状の経路で移動しており、OリングRが弾性変形しないため、把持機構54から解放された後もOリングRが自身の張力によって移動することがない。このため、ガイド部材30上に載置されたOリングRは、設置された状態で安定する。
【0020】
前記ガイド部材30上にOリングRが設置されると、前記搬送ユニット20が駆動して、治具21を再度組み付け位置まで搬送する。治具21が組み付け位置に達すると、前記昇降駆動源41が再駆動してツール部42を下降させる。この時、前述のように前記押圧部材49は、当接部491がガイド部材30の拡径部31の上端部付近に当接するよう配置させているため、当接部491は、OリングRより上方でガイド部材30と当接する。このため、昇降駆動源41がツール部42を下降させると、ガイド部材30に沿って下降した前記当接部491がその下降途中でOリングRと確実に接触することができる。その後、昇降駆動源41は、図6に示すようにツール部42を押圧部材49および押さえロッド48がワークWの上面に当接するまで下降させることで、当接部491が前記OリングRを環状溝W2に組み付け可能となる。この組み付け時、ガイド部材30が環状溝W2より若干大きく構成されているため、ガイド部材30と環状溝W2との境界まで到達したOリングRが環状溝W2側へ円滑に移動でき、ガイド部材30から外れる。
【0021】
上記ツール部42の下降時、当接部491は、ガイド部材30の拡径部31側面に沿って径方向外側に移動するため、前記押圧部材49は、ガイド部材30の径方向外側に湾曲する。これにより、当接部491は湾曲した押圧部材49の反発力によってガイド部材30側に常時押圧されており、ガイド部材30に密着している。この結果、当接部491とガイド部材30との間にOリングRが進入可能な隙間が形成されず、当該隙間にOリングRが進入することで生じていたOリングRのねじれやその表面に形成されるしわや傷等の不良が防止される。また、前記当接部491は、径方向内側に突出するよう構成されているため、案内部32と当接している際もガイド部材30と密着可能となる。このように、ねじれや表面にしわや傷等がない状態で環状溝W2に組み付けられたOリングRは、性能が低下せず、十分な機密性を発揮できる。なお、当接部491が樹脂製であるため、前記下降時にガイド部材30の表面が破損することを防止できる。
【0022】
上記OリングRの組み付け後、前記昇降駆動源41は、図7に示すように前記保持爪44の係止部441がガイド部材30の蓋部材36より下方に位置するまでツール部42を下降させる。この時、押さえロッド48がワークWと当接しており、昇降プレート47は、下降できないため、ツール部42は、前記圧縮ばね461を撓ませながらベースプレート421およびそれに固定される保持爪44等のみを下降させる。これにより、係止部441がガイド部材30の蓋部材36より下方に到達すると、前記開閉チャック43が保持爪44を互いに離反させる。この結果、係止部441が蓋部材36に係止するため、ガイド部材30がツール部42に吊下される。
【0023】
上述のようにガイド部材30を吊下後、前記昇降駆動源41は、前記摺動台と昇降プレート47との相対移動分、前記ツール部42を上昇させる。これにより、ガイド部材30がワークWから離れる。この時、前記押圧部材49および押さえロッド48は、ワークWの上面に接しており、前記ワークWおよび環状溝W2に組み付けられたOリングRを自重および圧縮ばね461の反発力にて下方へ押圧している。これにより、ガイド部材30をワークW上から外した際に、ワークWが治具21から外れたり、OリングRがワークWの環状溝W2から外れたりすることが防止される。その後、昇降駆動源41が再駆動して、図8に示すようにツール部42を環状溝W2の深さ寸法より小さい微少寸法分上昇させて押圧部材49および押さえロッド48とワークWとの間に隙間を形成する。このように押圧部材49および押さえロッド48とワークWとの間に隙間を形成されると、前記往復駆動源45,45が駆動して、図9に示すように押圧部材49および押さえロッド48をワークW上から外周方向に離脱させる。この時、押圧部材49および押さえロッド48とワークWとの間に隙間が形成されているため、押圧部材49等とワークWが摩耗するのを防止できる。また、前述のように上昇量が環状溝W2の深さ寸法より小さい微少寸法分に設定されているため、万一押圧部材49の下面にOリングRが張り付き一緒に上昇しても、当該OリングRが前記環状溝W2から抜け出ることがない。そのため当該外周方向への離脱時、押圧部材49の下面にOリングRが張り付いていても、当該OリングRは環状溝W2の外側壁面等に規制されて円滑に押圧部材49から外れることができる。このようにわずかに上昇してから、押圧部材49を横方向に移動させることにより、OリングRが表面に油分等が付着し押圧部材49に張り付きやすい状態であったり、環状溝がアンダーカット形状に構成されていなかったりしても、ツール部42の離脱時にOリングRが環状溝W2から外れることを防止でき、OリングRの持ち帰りを防止できる。その後、昇降駆動源41が駆動して、ツール部42を当初高さまで上昇させると、前記搬送ユニット20が駆動して治具21を交換位置まで搬送するとともに、交換装置が駆動して治具21上のワークWを次段のワークWと交換する。
【0024】
なお、本発明に係る搬送ユニット20は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記押圧部材49の本数や前記ガイド部材30の形状、供給ユニット50の把持機構54等は、環状溝W2およびOリングRの大きさに合わせて適宜変更させることが好ましい。また、前記実施形態で前記押圧部材49は、板ばねで構成されていたが、これに限定されず、その他の弾性部材であっても何ら問題ない。また、ツール部42がガイド部材30を吊下可能であれば、前記ツール部42の保持爪44,45およびガイド部材30の蓋部材36は、その他の構成であっても何ら問題ない。さらに、前記押圧部材49は、前記ガイド部材30上でOリングRと当接可能であれば、周方向に整列している必要なく、適宜位置や、角度等を変更されてもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 … 組み付け装置
20 … 搬送ユニット
21 … 治具
22 … 円形凹部
23 … 搬送手段
30 … ガイド部材
31 … 拡径部
32 … 案内部
33 … 嵌合部
34 … 切り欠き溝
35 … 段付き溝
36 … 蓋部材
37 … 吊下孔
40 … ツールユニット
41 … 昇降駆動源
42 … ツール部
421… ベースプレート
43 … 開閉チャック
44 … 保持爪
441… 係止部
45 … 往復駆動源
46 … ガイドロッド
461… 圧縮ばね
47 … 昇降プレート
471… 連動プレート
48 … 押さえロッド
49 … 押圧部材
491… 当接部
50 … 供給ユニット
51 … 多関節ロボット
52 … 腕部
53 … 関節部
54 … 把持機構
55 … 開閉駆動源
56 … 把持爪
W … ワーク
W1 … 貫通孔
W2 … 環状溝
R … Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9