(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159121
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 41/43 20180101AFI20241031BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20241031BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20241031BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20241031BHJP
F21S 41/47 20180101ALI20241031BHJP
F21S 41/37 20180101ALI20241031BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20241031BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20241031BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241031BHJP
【FI】
F21S41/43
F21S41/143
F21S41/26
F21S41/20
F21S41/47
F21S41/37
F21S41/663
F21W102:155
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074908
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】北堀 孝治
(57)【要約】
【課題】 エネルギー効率を向上しつつ生産性を向上し得る車両用前照灯を提供する。
【解決手段】 車両用前照灯1は、ロービームの配光パターンPLを形成する第1の光L1を前方に向けて出射する第1発光光学系LE1と、ロービームの配光パターンPLに付加されてハイビームの配光パターンPHを形成する付加配光パターンPAを形成する第2の光L2を前方に向けて出射する第2発光光学系LE2と、第1の光L1及び第2の光L2が透過する投影レンズ35と、上面50S1がロービームの配光パターンPLのカットオフラインが形成されるように第1の光L1の一部を投影レンズ35に向けて正反射し、下面50S2が付加配光パターンPAにおける下縁PAdが形成されるように第2の光L2の一部を投影レンズ35に向けて正反射する板状のシェード50と、を備え、シェード50は、単層の金属材料から成る。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロービームの配光パターンを形成する第1の光を第1部位から前方に向けて出射する第1発光光学系と、
前記第1部位より下方に位置する第2部位から前記ロービームの配光パターンに付加されてハイビームの配光パターンを形成する付加配光パターンを形成する第2の光を前方に向けて出射する第2発光光学系と、
前記第1部位及び前記第2部位より前方に配置され、前記第1の光及び前記第2の光が透過する投影レンズと、
前記第1部位及び前記第2部位と前記投影レンズとの間に配置され、上面が前記ロービームの配光パターンのカットオフラインが形成されるように前記第1の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射し、下面が前記付加配光パターンにおける下縁が形成されるように前記第2の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射する板状のシェードと、
を備え、
前記シェードは、単層の金属材料から成る
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記上面における前記第1の光の正反射率及び前記下面における前記第2の光の正反射率が55%以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記第1の光及び前記第2の光は波長が550nmである特定光を含み、
前記上面における前記特定光の正反射率及び前記下面における前記特定光の正反射率が55%以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記上面における前記第1の光の正反射率は、前記下面における前記第2の光の正反射率より高い
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記第1の光及び前記第2の光は波長が550nmである特定光を含み、
前記上面における前記特定光の正反射率は、前記下面における前記特定光の正反射率より高い
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記上面は、前後方向に延在する段差部を有し、
前記段差部における前記第1の光の正反射率は、前記上面における前記段差部以外の領域の前記第1の光の正反射率より低い
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記第1の光は波長が550nmである特定光を含み、
前記上面は、前後方向に延在する段差部を有し、
前記段差部における前記特定光の正反射率は、前記上面における前記段差部以外の領域の前記特定光の正反射率より低い
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記シェードの一部に重ね合わされ当該シェードに固定される補強部材を更に備え、
前記上面のうち上下方向において前記補強部材と重ならない領域は、前記カットオフラインが形成されるように前記第1の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射し、
前記下面のうち上下方向において前記補強部材と重ならない領域は、前記付加配光パターンにおける前記下縁が形成されるように前記第2の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射し、
前記第1の光及び前記第2の光は波長が550nmである特定光を含み、
前記補強部材における前記シェード側と反対側の面における前記特定光の正反射率は、前記シェードの前記補強部材側の面の前記特定光の正反射率より低い
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
発光光学系から出射する光の一部をシェードで反射することでロービームの配光パターンを形成する車両用前照灯が知られており、下記特許文献1にはこのような車両用前照灯が開示されている。
【0003】
下記特許文献1に開示される車両用前照灯は、第1発光光学系と、第1発光光学系より下方に配置される第2発光光学系と、第1発光光学系及び第2発光光学系より前方に配置される投影レンズと、第1発光光学系及び第2発光光学系と投影レンズとの間に配置される板状のシェードと、を備える。第1発光光学系から出射する第1の光及び第2発光光学系から出射する第2の光は投影レンズを透過する。シェードの上面に第1の光の一部が照射され、第1の光によって形成される配光パターンにカットオフラインが形成され、当該配光パターンがロービームの配光パターンとなる。また、第1の光と第2の光との重ね合わせによってハイビームの配光パターンが形成される。このため、第2発光光学系の第2の光の出射と非出射とを切り替えることで、出射する光をロービームとハイビームとで切り替え可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2982902号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用前照灯では、エネルギー効率を向上したいとの要請と共に生産性を向上したいとの要請がある。
【0006】
そこで、本発明は、エネルギー効率を向上しつつ生産性を向上し得る車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のため、本発明の車両用前照灯は、ロービームの配光パターンを形成する第1の光を第1部位から前方に向けて出射する第1発光光学系と、前記第1部位より下方に位置する第2部位から前記ロービームの配光パターンに付加されてハイビームの配光パターンを形成する付加配光パターンを形成する第2の光を前方に向けて出射する第2発光光学系と、前記第1部位及び前記第2部位より前方に配置され、前記第1の光及び前記第2の光が透過する投影レンズと、前記第1部位及び前記第2部位と前記投影レンズとの間に配置され、上面が前記ロービームの配光パターンのカットオフラインが形成されるように前記第1の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射し、下面が前記付加配光パターンにおける下縁が形成されるように前記第2の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射する板状のシェードと、を備え、前記シェードは、単層の金属材料から成ることを特徴とするものである。
【0008】
上記のように、この車両用前照灯では、シェードの上面がロービームの配光パターンのカットオフラインが形成されるように第1の光の一部を投影レンズに向けて正反射する。このため、この車両用前照灯によれば、例えばシェードの上面が第1の光の一部を投影レンズに入射しないように遮光してロービームの配光パターンのカットオフラインを形成する場合と比べて、第1発光光学系から出射してロービームとならない光量を低減し得る。また、この車両用前照灯では、シェードの下面が付加配光パターンにおける下縁が形成されるように第2の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射する。このため、この車両用前照灯によれば、例えばシェードの下面が第2の光の一部を投影レンズに入射しないように遮光して付加配光パターンの下縁を形成する場合と比べて、第2発光光学系から出射してハイビームの一部とならない光量を低減し得る。従って、この車両用前照灯によれば、エネルギー効率を向上し得る。また、光を反射する部材は、一般的に基材と基材の表面に設けられる金属めっき等の光反射層とから成る。しかし、この車両用前照灯では、シェードが単層の金属材料から成る。このため、この車両用前照灯によれば、例えばシェードが基材と光反射層とから成る場合と比べて、シェードを製造する際の工数を低減し得、生産性を向上し得る。
【0009】
前記上面における前記第1の光の正反射率及び前記下面における前記第2の光の正反射率が55%以上であってもよい。また、前記第1の光及び前記第2の光は波長が550nmである特定光を含み、前記上面における前記特定光の正反射率及び前記下面における前記特定光の正反射率が55%以上であってもよい。
【0010】
ロービームの配光パターンを形成する第1の光や付加配光パターンを形成する第2の光は白色光であり、550nmは白色光の波長帯域における概ね中央値である。このため、波長が550nmの特定光を第1の光や第2の光が含む場合、この特定光の正反射率が55%以上であれば、第1の光や第2の光の正反射率は概ね55%以上となり得る。そして、シェードの上面で反射する第1の光は、ロービームの配光パターンにおけるカットオフラインの近傍に照射される傾向にあり、下面で反射する第2の光は、付加配光パターンにおける下縁の近傍に照射される傾向にある。このため、これらの構成によれば、ロービームの配光パターンにおけるカットオフラインの近傍及びハイビームの配光パターンの上下方向の中央部を明るくし易くし得る。
【0011】
前記上面における前記第1の光の正反射率は、前記下面における前記第2の光の正反射率より高くてもよい。また、前記第1の光及び前記第2の光は波長が550nmである特定光を含み、前記上面における前記特定光の正反射率は、前記下面における前記特定光の正反射率より高くてもよい。
【0012】
前者の構成によれば、上面における第1の光の正反射率が下面における第2の光の正反射率以下である場合と比べて、ロービームの配光パターンにおけるカットオフラインの近傍を明るくし易くし得る。また、後者の構成によれば、上面における特定光の正反射率が下面における特定光の正反射率以下である場合と比べて、ロービームの配光パターンにおけるカットオフラインの近傍を明るくし易くし得る。
【0013】
前記上面は、前後方向に延在する段差部を有し、前記段差部における前記第1の光の正反射率は、前記上面における前記段差部以外の領域の前記第1の光の正反射率より低くてもよい。また、前記第1の光は波長が550nmである特定光を含み、前記上面は、前後方向に延在する段差部を有し、前記段差部における前記特定光の正反射率は、前記上面における前記段差部以外の領域の前記特定光の正反射率より低くてもよい。
【0014】
これらの構成では、上面の段差部に対応する段差部がカットオフラインに形成され得る。このような場合、上面の段差部で反射した第1の光は、カットオフラインの段差部から直線状に延びる領域に照射される傾向にあり、カットオフラインの段差部から延びる明るい領域が形成される場合ある。上記のように、前者の構成では、段差部における第1の光の正反射率が上面における段差部以外の領域の第1の光の正反射率より低い。このため、前者の構成によれば、段差部の第1の光の正反射率が上面における段差部以外の領域の第1の光の正反射率以上である場合と比べて、カットオフラインの段差部から延びる明るい領域を目立ち難くし得、ロービームの配光パターンに違和感を覚えることを抑制し得る。
また、後者の構成によれば、前者の構成と同様にして、段差部の特定光の正反射率が上面における段差部以外の領域の特定光の正反射率以上である場合と比べて、カットオフラインの段差部から延びる明るい領域を目立ち難くし得、ロービームの配光パターンに違和感を覚えることを抑制し得る。
【0015】
上記の車両用前照灯は、前記シェードの一部に重ね合わされ当該シェードに固定される補強部材を更に備え、前記上面のうち上下方向において前記補強部材と重ならない領域は、前記カットオフラインが形成されるように前記第1の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射し、前記下面のうち上下方向において前記補強部材と重ならない領域は、前記付加配光パターンにおける前記下縁が形成されるように前記第2の光の一部を前記投影レンズに向けて正反射し、前記第1の光及び前記第2の光は波長が550nmである特定光を含み、前記補強部材における前記シェード側と反対側の面における前記特定光の正反射率は、前記シェードの前記補強部材側の面の前記特定光の正反射率より低くてもよい。
【0016】
この車両用前照灯では、補強部材におけるシェード側と反対側の面の正反射率が、シェードの補強部材側の面の正反射率より低い。このため、この車両用前照灯では、補強部材がシェードに上方側から重ね合わされる場合、補強部材の上面の正反射率がシェードの上面の正反射率より低い。このため、この車両用前照灯によれば、補強部材がシェードに上方側から重ね合わされる際に補強部材の上面の特定光の正反射率がシェードの上面の特定の正反射率以上である場合と比べて、補強部材の上面で反射して意図しない領域に照射される第1の光を少なくし得る。また、この車両用前照灯では、補強部材がシェードに下方側から重ね合わされる場合、補強部材の下面の正反射率がシェードの下面の正反射率より低い。このため、この車両用前照灯によれば、補強部材がシェードに下方側から重ね合わされる際に補強部材の下面の特定光の正反射率がシェードの下面の特定光の正反射率以上である場合と比べて、補強部材の下面で反射して意図しない領域に照射される第2の光を少なくし得る。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、エネルギー効率を向上しつつ生産性を向上し得る車両用前照灯を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態における車両用前照灯を示す側面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線における灯具ユニットの断面図である。
【
図5】
図3のV-V線における灯具ユニットの断面図である。
【
図10】
図4の一部を拡大し、第1光源から出射する第1の光及び第2光源から出射する第2の光の光路例を示す図である。
【
図11】本実施形態におけるロービームの配光パターンを示す図である。
【
図12】本実施形態におけるハイビームの配光パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る車両用前照灯を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する各実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
【0020】
図1は、本実施形態における車両用前照灯を側面図である。車両用前照灯は、一般的に車両の前方の左右方向のそれぞれに備えられるものである。本明細書において「右」とは車両の前進方向において右側を意味し、「左」とは車両の前進方向において左側を意味する。左右の車両用前照灯のそれぞれは、形状が左右方向に概ね対称であることを除いて、同じ構成とされる。このため、以下では、一方の車両用前照灯について説明する。
【0021】
本実施形態の車両用前照灯1は、筐体10と灯具ユニットLUとを主な構成として備える。なお、
図1において、筐体10は鉛直断面にて示されている。筐体10は、ランプハウジング11及び光透過性を有するフロントカバー12を有する。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定される。ランプハウジング11及びフロントカバー12によって形成される空間は灯室Rであり、この灯室R内に灯具ユニットLUが収容される。
【0022】
図2は、灯具ユニットLUを示す分解斜視図であり、灯具ユニットLUを前方斜め上方から見る分解斜視図である。
図3は、灯具ユニットLUを示す正面図であり、灯具ユニットLUを前方から見る正面図である。
図4は、
図3のIV-IV線における灯具ユニットLUの断面図である。
図1から
図4に示すように、本実施形態の灯具ユニットLUは、ヒートシンク20と、光源部30と、投影レンズ35と、導光体40と、シェード50と、補強部材60と、ホルダ80と、を主な構成として備える。
【0023】
図1、
図2に示すように、本実施形態のヒートシンク20は、概ね鉛直及び左右方向に延在する金属製のベース板21を有し、当該ベース板21の後面側及び前面側には複数の放熱フィン22がベース板21と一体に設けられている。ベース板21の前面側には、前方に向かって突出する3つのボス23がベース板21と一体に設けられている。それぞれのボス23には、先端面からボス23に沿ってねじ孔24が設けられている。
【0024】
本実施形態の光源部30は、3つの第1光源31a,31b,31cと、第2光源32と、回路基板33とを有する。回路基板33は、ヒートシンク20におけるベース板21の前面に載置され、図示しないねじによってベース板21に固定される。第1光源31a,31b,31c及び第2光源32は、回路基板33に実装され、回路基板33から電力が供給されることで前方に向かって白色の光を出射する。本実施形態では、第1光源31a,31b,31c及び第2光源32は、LED(Light Emitting Diode)である。第1光源31aは第1光源31bの右側に間隔をあけて配置され、第1光源31cは第1光源31bの左側に間隔をあけて配置され、これら第1光源31a,31b,31cは左右方向に並んでいる。第1光源31a,31b,31cは、ロービーム用の光源であり、ロービームの配光パターンを形成する第1の光を前方に出射する。第2光源32は、第1光源31a,31b,31cより下方に配置され、第2光源32と第1光源31bとが概ね鉛直方向に並んでいる。第2光源32は、ハイビーム用の光源であり、第1の光とによってハイビームの配光パターンを形成する第2の光を前方に出射する。なお、第1光源31a,31b,31c及び第2光源32の種類、数は、特に制限されるものではない。
【0025】
投影レンズ35は、透過する光の発散角を変化させるレンズであり、第1光源31a,31b,31c及び第2光源32より前方に配置される。本実施形態では、投影レンズ35は、外形が左右方向に長尺な概ねオーバルトラック形状の両凸非球面レンズである。
図4に示すように、投影レンズ35の光軸35Cは、前後方向に延在し、第1光源31bと第2光源32との間を通る。なお、
図4は、光軸35Cに沿った灯具ユニットLUの鉛直断面図である。投影レンズ35の外周面には、外方に向かって突出し全周に亘って延在するフランジ部36が設けられている。投影レンズ35を構成する材料として、例えば樹脂、ガラス等が挙げられる。
【0026】
図5は、
図3のV-V線における灯具ユニットLUの断面図であり、第1光源31a,31b,31cを通る灯具ユニットLUの水平断面図である。なお、
図5では、ヒートシンク20の記載が省略されている。
図2、
図4、
図5に示すように、導光体40は、第1光源31a,31b,31c及び第2光源32と投影レンズ35との間に配置され、第1光源31a,31b,31cから出射する第1の光及び第2光源32から出射する第2の光を導光して投影レンズ35に入射させる。
【0027】
本実施形態の導光体40は、後方側に3つの第1入射面41a,41b,41cと第2入射面42とを有し、前方側に出射面43を有する。第1入射面41aには第1光源31aからの第1の光が入射し、第1入射面41bには第1光源31bからの第1の光が入射し、第1入射面41cには第1光源31cからの第1の光が入射し、第2入射面42には第2光源32からの第2の光が入射する。また、導光体40の前端部における上部及び左右両側部には、外方に向かって突出し導光体40の前端における外縁に沿って延在する板状のフランジ部48が設けられている。
【0028】
導光体40は、第1入射面41a,41b,41cから入射する第1の光を直接または全反射させて出射面43に導き、第2入射面42から入射する第2の光を直接または全反射させて出射面43に導く。出射面43は、このようにして導かれる第1の光及び第2の光を投影レンズ35に向けて出射する。本実施形態では、出射面43は、後方に向かって凹状に湾曲している。
図4に示すように、この出射面43と投影レンズ35との間には、後述するシェード50が配置される。出射面43におけるシェード50の後端より上方の領域が第1の光を出射する第1出射領域43aである。また、シェード50の後端より下方の領域が第2の光を出射する第2出射領域43bである。導光体40は、このようになるように第1の光及び第2の光を導光する。このため、第1光源31a,31b,31cと導光体40とによって、第1の光を前方に向けて出射する第1発光光学系LE1が形成されている。また、第2光源32と導光体40とによって、第2の光を前方に向けて出射する第2発光光学系LE2が形成されており、第1発光光学系LE1と第2発光光学系LE2とは導光体40を共有している。第1発光光学系LE1における第1の光を出射する第1部位は、出射面43における第1出射領域43aである。第2発光光学系LE2における第2の光を出射する第2部位は、出射面43における第2出射領域43bであり、当該第2出射領域43bは、第1部位である第1出射領域43aより下方に位置している。第1発光光学系LE1から出射する光の光軸LE1Cは前方に向かって下方に傾斜し、第2発光光学系LE2から出射する光の光軸LE2Cは前方に向かって上方に傾斜する。
【0029】
図6は、シェード50及び補強部材60を示す斜視図であり、シェード50及び補強部材60を前方斜め上方から見る斜視図である。
図6に示すように、本実施形態のシェード50及び補強部材60は、一方の主面が上面となる板状の部材であり、左右方向に長尺である。詳細については後述するが、シェード50には、下方側から補強部材60が重ね合わされる。
【0030】
図7は、シェード50を示す平面図であり、シェード50を上方から見る平面図である。
図7における上側が車両の前方側であり、下側が車両の後方側であり、
図7には、第1発光光学系LE1から出射する光の光軸LE1Cが一点鎖線で示されている。なお、本実施形態では、シェード50を平面視する場合に、第2発光光学系LE2から出射する光の光軸LE2Cは、光軸LE1Cと一致するが、当該光軸LE1Cと一致しなくてもよい。
【0031】
図6、
図7に示すように、本実施形態のシェード50は、一方の主面が上面となる板状の部材であり、左右方向に長尺である。シェード50は、左右一対の固定部52,52とベース部53とを有する。なお、
図7には、右側の固定部52とベース部53との境界を示す点線が記載されている。一対の固定部52,52は、水平方向に延在し、厚み方向に貫通する2つの貫通孔50h1,50h2を有する。貫通孔50h1は固定部52の概ね中心に位置し、貫通孔50h2は貫通孔50h2より後方に位置する。左側の固定部52における貫通孔50h1,50h2は概ね円形であり、右側の固定部52における貫通孔50h1,50h2は左右方向に長尺な概ねオーバルトラック形状である。また、一対の固定部52,52は、同一平面上に位置するが、一方の固定部52が他方の固定部52より上方に位置していてもよい。
【0032】
ベース部53は、左右方向に長尺であり、一対の固定部52,52の間に位置して当該一対の固定部52,52によって左右方向に挟まれ、左端が左側の固定部52に接続し、右端が右側の固定部52に接続する。ベース部53の前端53e1における左右方向の中央部は、後方に凹状となる弧状に湾曲し、前端53e1における左右方向の両端部は、左右方向に延びる同一直線上に位置する。ベース部53の後端53e2は後方に凸状となる弧状に湾曲している。
【0033】
このようなシェード50の上面50S1は、第1段差部55a、第2段差部55b、及び第3段差部55cを有する。これら段差部55a,55b,55cは、ベース部53が屈曲することで形成されている。このため、段差部55a,55b,55cは、上面50S1のうち、ベース部53の上面となる領域に位置している。また、上面50S1のうちこれら段差部55a,55b,55c以外の領域は概ね水平方向に延在する面である。
【0034】
平面視において、第1段差部55aは、光軸LE1Cより左側に位置し、光軸LE1Cと非平行な直線に沿って延在する。この第1段差部55aは、後方から前方に向かうにつれて光軸LE1Cに近づいている。また、第1段差部55aの高さは、第1段差部55aの延在方向において一定である。
【0035】
第2段差部55bは、平面視において、第1段差部55aより右側に位置し、平面視において、光軸LE1Cに沿っている。また、第2段差部55bの高さは、第2段差部55bの延在方向において概ね一定である。
【0036】
第3段差部55cは、平面視において、光軸LE1Cと平行な直線に沿って延在する。本実施形態では、第3段差部55cは、第1段差部55aより左側に位置し、ベース部53の左側端に沿って延在しており、光軸LE1Cと概ね平行である。また、第3段差部55cの高さは、第3段差部55cの延在方向において一定である。
【0037】
本実施形態では、これら段差部55a,55b,55cのそれぞれの前端はベース部53の前端53e1に接続し、それぞれの後端はベース部53の後端53e2に接続する。また、第1段差部55aは、右側から左側に向かって下方へ傾斜する傾斜面によって形成され、第2段差部55bは、右側から左側に向かって上方へ傾斜する傾斜面によって形成される。そして、上面50S1における第1段差部55aと第2段差部55bとの間の領域は、他の領域より高い。また、第1段差部55aと第3段差部55cの間の領域は、第2段差部55bより右側の領域及び第3段差部55cより左側の領域より高い。また、第3段差部55cは、概ね鉛直方向に延在する面によって形成される。
【0038】
また、第2段差部55bの高さは、第1段差部55aの高さと第3段差部55cの高さとの合計と同じである。なお、第1段差部55aと第3段差部55cの間の領域は、第3段差部55cより左側の領域より低くてもよく、第3段差部55cがなくてもよい。この場合、第1段差部55aの高さは、第2段差部55bの高さと同じであっても異なっていてもよい。
【0039】
また、第1段差部55aの当該第1段差部55aの延在方向と垂直な方向における幅55awは、一定であり、第2段差部55bの当該第2段差部55bの延在方向と垂直な方向における幅55bwは、一定である。しかし、幅55aw,55bwは、一定でなくてもよく、例えば、段差部55a,55bの前端から後端に向かって広くなってもよく、段差部55a,55bの前端から後端に向かって狭くなってもよい。
【0040】
また、第1段差部55a及び第2段差部55bは、概ね鉛直方向に延在する面によって形成されてもよく、第3段差部55cは、鉛直方向に対して傾斜する傾斜面によって形成されてもよい。
【0041】
図8は、シェード50及び補強部材60を示す正面図であり、シェード50に補強部材60が重ね合わされた状態のシェード50及び補強部材60を前方から見る正面図である。前述のように、段差部55a,55b,55cは、ベース部53が屈曲することで形成されている。このため、
図9に示すように、シェード50の下面50S2は、第1段差部56aと、第2段差部56bと、第3段差部56cと、を有する。
そして、第1段差部56aは第1段差部55aに対応し、第2段差部56bは第2段差部55bに対応し、第3段差部56cは第3段差部55cに対応するため、これら段差部56a,56b,56cについての説明は省略する。
【0042】
図9は、シェード50の鉛直断面図である。
図9に示すように、シェード50は、単層の金属材料から成る。従って、シェード50は、金属めっき等の光反射層が表面に非形成である。このため、シェード50の上面50S1及び下面50S2は、この金属材料の表面である。金属材料として、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。また、シェード50の厚さは、例えば0.05mmから1.0mmである。
【0043】
本実施形態では、上面50S1における第1の光の正反射率及び下面50S2における第2の光の正反射率は55%以上である。また、第1の光及び第2の光は波長が550nmの特定光を含み、上面50S1における特定光の正反射率及び下面50S2における特定光の正反射率は55%以上である。なお、本明細書における正反射率は、光の入射角が45°である場合の正反射率である。また、上面50S1及び下面50S2における算術表面粗さRaは、0.01以下である。
【0044】
また、本実施形態では、上面50S1における第1の光の正反射率は、下面50S2における第2の光の正反射率より高く、上面50S1における特定光の正反射率は、下面50S2における特定光の正反射率より高い。なお、上面50S1における第1の光の正反射率は、下面50S2における第2の光の正反射率以下であってもよく、上面50S1における特定光の正反射率は、下面50S2における特定光の正反射率以下であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、上面50S1の段差部55a,55b,55cにおける第1の光の正反射率は、上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の第1の正反射率より低い。また、上面50S1の段差部55a,55b,55cにおける特定光の正反射率は、上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の特定光の正反射率より低い。また、下面50S2の段差部56a,56b,56cにおける第2の光の正反射率は、下面50S2における段差部56a,56b,56c以外の領域の第2の正反射率より低い。また、下面50S2の段差部56a,56b,56cにおける特定光の正反射率は、下面50S2における段差部56a,56b,56c以外の領域の特定光の正反射率より低い。
【0046】
前述のように、プレス加工によってシェード50を屈曲させて、段差部55a,55b,55c及び段差部56a,56b,56cを形成する。本実施形態では、段差部55a,55b,55cと段差部55a,55b,55c以外の領域の正反射率の関係、及び段差部56a,56b,56cと段差部56a,56b,56c以外の領域の正反射率の関係が、上記のようになるように、シェード50をプレス加工する。例えば、プレス加工で用いる金型の表面において、段差部55a,55b,55c及び段差部56a,56b,56cに対応する領域に面粗化処理が成される。なお、シェード50をプレス加工した結果、段差部55a,55b,55cと段差部55a,55b,55c以外の領域の正反射率の関係、及び段差部56a,56b,56cと段差部56a,56b,56c以外の領域の正反射率の関係が、上記のようになればよく、このようにする方法は、金型の表面の面粗化処理に制限されるものではない。また、例えば、段差部55a,55b,55cや段差部56a,56b,56cにサンドブラスト等で面粗化処理を施すことで、段差部55a,55b,55cと段差部55a,55b,55c以外の領域の正反射率の関係、及び段差部56a,56b,56cと段差部56a,56b,56c以外の領域の正反射率の関係を、上記のようにしてもよい。
【0047】
なお、上面50S1の段差部55a,55b,55cにおける第1の光の正反射率は、上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の第1の正反射率以上であってもよい。また、上面50S1の段差部55a,55b,55cにおける特定光の正反射率は、上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の特定光の正反射率以上であってもよい。また、下面50S2の段差部56a,56b,56cにおける第2の光の正反射率は、下面50S2における段差部56a,56b,56c以外の領域の第2の正反射率以上であってもよい。また、下面50S2の段差部56a,56b,56cにおける特定光の正反射率は、下面50S2における段差部56a,56b,56c以外の領域の特定光の正反射率以上であってもよい。
【0048】
図6から
図8に示すように、本実施形態の補強部材60は、一方の主面が上方を向く板状部材であり、左右一対の取付部62と、接続部63とを有する。補強部材60の上面60S1とシェード50の下面50S2とが対向し、補強部材60は、下方側からシェード50に重ね合わされる。右側の取付部62は右側の固定部52のみと重なり、左側の取付部62は左側の固定部52のみと重なる。互いに重なる固定部52と取付部62とは同じ形状とされ、固定部52の全体と取付部62の全体とが重なる。また、それぞれの取付部62は、固定部52の貫通孔50h1,50h2とそれぞれ重なる貫通孔60h1,60h2を有する。また、それぞれの取付部62は、固定部52に例えばレーザー溶接によって固定される。
図7には固定される部位62aが斜め線から成るハッチングによって示されている。なお、固定される部位62aの位置は、特に制限されるものではない。また、固定部52と取付部62とは互いに異なる形状であってもよい。
【0049】
接続部63は、一方の取付部62から他方の取付部62まで延在し、少なくとも一部がベース部53と重なる。本実施形態では、接続部63の右端部が右側の取付部62の左側端部における後方側に接続し、接続部63の左側端部が左側の取付部62の右側端部の全体に接続する。
【0050】
このような補強部材60の上面60S1のうち、接続部63の上面となる領域には、第1段差部65a、及び第2段差部65bが形成されている。これら段差部65a,65bは、接続部63が屈曲することで形成され、接続部63は、シェード50のベース部53における第1段差部55aより左側の領域と第2段差部55bより右側の領域とに沿っている。また、接続部63は、ベース部53に例えばレーザー溶接によって固定され、
図7には固定される部位63aが斜め線から成るハッチングによって示されている。
【0051】
また、
図7には、補強部材60の接続部63の前端63e1が二点鎖線で示されている。
図7に示すように、平面視において、シェード50のベース部53の前端53e1における後方に凹状に窪む部位を含む大部分は、前端63e1より前方に位置する。このため、ベース部53は、シェード50の前端を含み補強部材60と重ならない部位と、補強部材60と重なり当該補強部材60が固定される部位とを含む。本実施形態では、接続部63の前端63e1のうちベース部53の前端53e1より後方に位置する部位は、後方に凹状となる弧状に湾曲しており、当該部位と前端53e1との距離は、左右方向に亘って所定値以上に保たれている。また、接続部63の後端63e2は、ベース部53の後端53e2と一致している。なお、後端63e2と後端53e2とは一致していなくもよい。
【0052】
補強部材60を形成する部材として、例えば、電気亜鉛めっき鋼板等が挙げられる。補強部材60の厚さは、例えば0.05mmから1.0mmである。本実施形態では、補強部材60はシェード50より厚いが、補強部材60の厚さは、シェード50の厚さ以下であってもよい。また、本実施形態では、補強部材60のヤング率はシェード50のヤング率より高いが、補強部材60のヤング率はシェード50のヤング率以下であってもよい。
【0053】
本実施形態では、補強部材60の上面60S1及び下面60S2における前述の特定光の正反射率は、シェード50の上面50S1及び下面50S2における特定光の正反射率より低い。また、補強部材60の下面60S2における第2の光の正反射率は、シェード50の下面50S2における第2の光の正反射率より低い。なお、補強部材60の上面60S1及び下面60S2における前述の特定光の正反射率は、シェード50の上面50S1及び下面50S2における特定光の正反射率以上であってもよく、補強部材60の下面60S2における第2の光の正反射率は、シェード50の下面50S2における第2の光の正反射率以上であってもよい。
【0054】
このような補強部材60が固定されたシェード50は、
図4に示すように、導光体40における第1の光を出射する部位である出射面43の第1出射領域43a及び第2の光を出射する部位である出射面43の第2出射領域43bと投影レンズ35との間に配置される。本実施形態では、シェード50は、投影レンズ35の光軸35Cに沿って前方から見る場合、出射面43を横切る。また、投影レンズ35の光軸35Cは、シェード50の第2段差部55bまたはその近傍を通り、投影レンズ35の後方焦点は、ベース部53の前端53e1またはその近傍に位置している。
【0055】
図2、
図4、
図5に示すように、本実施形態のホルダ80は、支持部81と、保護部82とを有し、投影レンズ35、導光体40、及びシェード50を支持する。ホルダ80を構成する材料として、例えば、不透明のポリカーボネートなどの樹脂を挙げることができ、本実施形態では、支持部81と保護部82とが一体に形成される。
【0056】
支持部81は、前後方向に延在する筒状の部材であり、前端部には、内周面から突出するフランジ部83が設けられている。投影レンズ35のフランジ部36は、このフランジ部83に前方側から当接し、フランジ部36が例えば超音波融着やレーザー溶着によってフランジ部83に固定される。支持部81における後端から前方に向かう所定範囲の下方側は、切り欠かれており、この所定範囲における右側の下端部及び左側の下端部には、外方に向かって概ね水平に延在する支持板84が設けられている。また、支持部81の後端部には、外面から支持部81の延在方向と概ね垂直な方向に突出する接続壁87が設けられている。
図3に示すように、支持板84の下面には、下方に突出する台座部85が設けられている。シェード50の左右一対の固定部52のそれぞれは、台座部85の先端に下方側から当接し、固定部52に重なる補強部材60の取付部62とともに、台座部85に固定される。本実施形態では、熱カシメによって固定部52と取付部62とが台座部85に固定される。具体的には、台座部85から下方に突出して固定部52の貫通孔50h1及び取付部62の貫通孔60h1を貫通するピンの先端部を熱によって溶融することで、貫通孔60h1における台座部85側と反対側の開口を塞ぐ頭部86を形成する。このようにすることで、台座部85と頭部86とによって固定部52及び取付部62が挟まれ、固定部52及び取付部62が台座部85に固定される。本実施形態では、上記のように補強部材60がシェード50より厚く、補強部材60が下方側からシェード50に重ね合わされる。このため、シェード50が台座部85に当接する。一般的に、板厚公差は、厚さが厚いほど大きくなる。このため、厚さが薄いシェード50が台座部85に当接することで、補強部材60が台座部85に当接する場合と比べて、ホルダ80に対するシェード50の位置を所望の位置にし易くし得る。
図7には、熱カシメによって台座部85に固定される部位50aが一点鎖線で示されている。この部位50aでは、取付部62が固定部52に固定されるとともに、固定部52と取付部62とが台座部85に固定される。なお、シェード50の固定方法は特に限定されるものではなく、例えばレーザー溶着によって固定してもよい。
【0057】
図2、
図4、
図5に示すように、保護部82は、支持部81の後方に位置し、導光体40の左右の両側方及び上方を囲う板状部材である。本実施形態では、保護部82は、導光体40における前方側の部位の左右の両側方及び上方を囲う。保護部82の前端は接続壁87に接続し、導光体40のフランジ部48は、接続壁87に後方側から当接し、フランジ部48が例えば超音波融着やレーザー溶着によって接続壁87に固定される。こうして、投影レンズ35、導光体40、及びシェード50がホルダ80によって支持される。
【0058】
図2から
図4に示すように、保護部82の後端部には、外面から概ね鉛直方向に突出する3つの固定板88が設けられている。固定板88は、ヒートシンク20のボス23に対応しており、固定板88は貫通孔88hを有する。固定板88がボス23の先端に前方側から当接し、ねじ89が貫通孔88hに挿入されてねじ孔24に締結されることで、ホルダ80がヒートシンク20に固定される。こうして、投影レンズ35、導光体40、及びシェード50がホルダ80を介してヒートシンク20に固定される。
【0059】
次に、車両用前照灯1によるロービームの配光パターンの形成について説明する。
図10は、
図4の一部を拡大し、第1光源から出射する第1の光及び第2光源から出射する第2の光の光路例を示す図である。なお、
図10に示す光の反射角や屈折角等は正確でない場合がある。
【0060】
ロービームの配光パターンを形成する場合、第1発光光学系LE1から第1の光L1を出射させる。具体的には、第1光源31a,31b,31cから第1の光L1を出射させる。第1光源31bからの第1の光L1は、第1入射面41bから導光体40に入射し、第1出射領域43aから前方に位置する投影レンズ35に向けて出射する。第1光源31a,31cからの第1の光L1についても同様である。第1出射領域43aから出射する第1の光L1の多くは、シェード50の上方を通り、投影レンズ35に直接入射する。第1出射領域43aから出射する第1の光L1の一部は、シェード50の上面50S1に照射される。上面50S1における第1の光L1が照射される領域は、シェード50の前端に連続して接しており、本実施形態では、シェード50のベース部53の前端53e1の全体に接している。そして、シェード50の上面50S1の一部であるベース部53の上面は、第1の光L1の一部を投影レンズ35に向けて正反射する。このため、第1の光L1が形成する配光パターンにカットオフラインが形成され、当該配光パターンがロービームの配光パターンとなる。つまり、上面50S1は、ロービームの配光パターンのカットオフラインを形成しており、ロービームの配光パターンのカットオフラインは前端53e1に対応する形状となる。このように第1の光L1の一部を投影レンズ35に向けて正反射する領域は、上下方向において補強部材60と重ならない領域に含まれる。このようにしてロービームの配光パターンが第1の光L1によって形成され、このロービームの配光パターンを有する光が投影レンズ35を透過し、フロントカバー12を介して車両用前照灯1から出射される。上記のように、投影レンズ35の後方焦点は、前端53e1またはその近傍に位置している。このため、車両の前方に投影されるロービームの配光パターンは、投影レンズ35によって反転される配光パターンである。
【0061】
図11は、本実施形態におけるロービームの配光パターンを示す図である。
図11において、Sは水平線を示し、Vは車両の左右方向の中心を通る鉛直線を示し、車両の25m前方に配置された仮想鉛直スクリーン上に投影されるロービームの配光パターンPLが太線で示される。導光体40及びシェード50は、投影レンズ35に入射する第1の光L1の配光パターンがこのようなロービームの配光パターンPLとなるような形状とされる。本実施形態のロービームの配光パターンPLは、車両が左側通行である国や地域におけるものである。また、ロービームの配光パターンPLのカットオフラインCLは、ベース部53の前端53e1の形状に対応しており、カットオフラインCLには、第1段差部55aに対応する第1段差部CLa、及び第2段差部55bに対応する第2段差部CLbが形成されている。第1段差部CLaは、水平線Sより下方かつ鉛直線V上またはその近傍に位置するエルボー点EPより右側に位置し、右側に向かって上方に傾斜する線から成る。第2段差部CLbは、エルボー点EPから左側に向かって上方に傾斜する線から成る。カットオフラインCLのうち、第1段差部CLaと第2段差部CLbの間の部位、第1段差部CLaより右側の部位、及び第2段差部CLbより左側の部位は、それぞれ水平方向に延在する。そして、カットオフラインCLには、上底が下底より長い台形状の凹部が形成される。本実施形態では、カットオフラインCLのうち、第1段差部CLaより右側の部位は、第2段差部CLbより左側の部位より低い。
【0062】
次に、車両用前照灯1によるハイビームの配光パターンの形成について説明する。
【0063】
ハイビームの配光パターンを形成する場合、第1発光光学系LE1から第1の光L1を出射させ、第2発光光学系LE2から第2の光L2を出射させる。具体的には、第1光源31a,31b,31cから第1の光L1を出射させ、第2光源32から第2の光L2を出射させる。このため、上記のように、第1の光L1によってロービームの配光パターンPLが形成され、ロービームの配光パターンPLを有する光が車両用前照灯1から出射される。第2光源32から出射する第2の光L2は、
図10に示すように、第2入射面42から導光体40に入射する。導光体40に入射した第2の光L2は、第2出射領域43bから前方に位置する投影レンズ35に向けて出射する。第2出射領域43bから出射する第2の光L2の多くは、シェード50の下方を通り、第2出射領域43bより前方に配置される投影レンズ35に直接入射する。第2出射領域43bから出射する第2の光L2の一部は、シェード50の下面50S2のうち外部に露出している部位と、補強部材60の下面60S2と、補強部材60の側面の一部とに照射される。下面50S2における外部に露出している部位はベース部53の下面の一部であり、上下方向において補強部材60と重ならない部位である。この部位は、第2の光L2の一部を投影レンズ35に向けて反射する。下面50S2のこの部位における第2の光L2が照射される領域は、シェード50の前端に連続して接しており、本実施形態では、シェード50のベース部53の前端53e1の全体に接している。そして、下面50S2のこの領域は、第2の光L2の一部を投影レンズ35に向けて正反射する。このため、第2の光L2が形成する配光パターンにおける下縁が形成され、当該配光パターンが付加配光パターンとなる。つまり、下面50S2のうち上下方向において補強部材60に重ならない領域は、付加配光パターンの下縁を形成しており、付加配光パターンの下縁は前端53e1に対応する形状となる。そして、この付加配光パターンがロービームの配光パターンPLに付加され、ハイビームの配光パターンが形成される。このため、第2の光L2は、第1の光L1とによってハイビームの配光パターンを形成す光である。この付加配光パターンを有する光が投影レンズ35を透過し、フロントカバー12を介して車両用前照灯1から出射される。このため、ハイビームの配光パターンを有する光が車両用前照灯1から出射される。なお、車両の前方に投影される付加配光パターンは、ロービームの配光パターンPLと同様に、投影レンズ35によって反転される配光パターンである。また、付加配光パターンの下縁は、ロービームの配光パターンPLのカットオフラインCLと同様に、ベース部53の前端53e1によって規定される。このため、付加配光パターンの下縁とロービームの配光パターンPLのカットオフラインCLとが概ね一致し、ハイビームの配光パターンは、付加配光パターンとロービームの配光パターンPLとが繋がったものとなる。本実施形態では、第1の光L1と第2の光L2との重ね合わせによってハイビームの配光パターンが形成される。しかし、第1の光L1と第2の光L2とは重なっていなくてもよい。この場合、例えば25m先の仮想スクリーン上において、付加配光パターンの下縁とロービームの配光パターンPLのカットオフラインCLとの隙間を人の目で視認できない程度にすることで、付加配光パターンとロービームの配光パターンPLとが繋がったようにし得る。
【0064】
図12は、本実施形態におけるハイビームの配光パターンを示す図であり、ハイビームの配光パターンを
図11と同様に示す図である。なお、
図12において、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLが点線で示され、付加配光パターンPAが二点鎖線で示されている。理解を容易にするため、付加配光パターンPAはハイビームの配光パターンPHに対して僅かにずらして示されている。ハイビームの配光パターンPHにおけるカットオフラインCLより下方の領域は第1の光L1によって形成され、カットオフラインCLより上方の領域は第2の光L2によって形成され、当該領域が付加配光パターンPAである。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯1は、第1発光光学系LE1と、第2発光光学系LE2と、投影レンズ35と、板状のシェード50と、を備える。第1発光光学系LE1は、ロービームの配光パターンPLを形成する第1の光L1を第1部位から前方に向けて出射する。第2発光光学系LE2は、ロービームの配光パターンPLに付加されてハイビームの配光パターンPHを形成する付加配光パターンPAを形成する第2の光L2を第2部位から前方に向けて出射する。投影レンズ35は、第1の光L1及び第2の光L2を透過する。シェード50は、第1部位及び第2部位と投影レンズ35との間に配置される。シェード50の上面50S1がロービームの配光パターンPLのカットオフラインCLが形成されるように第1の光L1の一部を投影レンズ35に向けて正反射する。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、例えばシェード50の上面50S1が第1の光L1の一部を投影レンズ35に入射しないように遮光してロービームの配光パターンPLのカットオフラインCLを形成する場合と比べて、第1発光光学系LE1から出射してロービームとならない光量を低減し得る。また、本実施形態の車両用前照灯1では、シェード50の下面50S2が付加配光パターンPAにおける下縁PAdが形成されるように第2の光L2の一部を投影レンズ35に向けて正反射する。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、例えばシェード50の下面50S2が第2の光L2の一部を投影レンズ35に入射しないように遮光して付加配光パターンPAの下縁PAdを形成する場合と比べて、第2発光光学系LE2から出射してハイビームの一部とならない光量を低減し得る。従って、本実施形態の車両用前照灯1によれば、エネルギー効率を向上し得る。また、光を反射する部材は、一般的に基材と基材の表面に設けられる金属めっき等の光反射層とから成る。しかし、本実施形態の車両用前照灯1では、シェード50が単層の金属材料から成る。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、例えばシェード50が基材と光反射層とから成る場合と比べて、シェード50を製造する際の工数を低減し得、生産性を向上し得る。
【0066】
シェード50の上面50S1で反射する第1の光L1は、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍に照射される傾向にあり、下面50S2で反射する第2の光L2は、付加配光パターンPAにおける下縁PAdの近傍に照射される傾向にある。本実施形態の車両用前照灯1では、上面50S1における第1の光L1の正反射率及び下面50S2における第2の光L2の正反射率が55%以上である。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍及びハイビームの配光パターンPHの上下方向の中央部を明るくし易くし得る。
【0067】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、第1の光L1及び第2の光L2は波長が550nmである特定光を含み、上面50S1における特定光の正反射率及び下面50S2における特定光の正反射率が55%以上である。このため、上記のように、本実施形態の車両用前照灯1によれば、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍及びハイビームの配光パターンPHの上下方向の中央部を明るくし易くし得る。
【0068】
なお、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍及びハイビームの配光パターンPHの上下方向の中央部を明るくし易くする観点では、上面50S1における第1の光L1の正反射率及び下面50S2における第2の光L2の正反射率が55%以上である構成、及び上面50S1における特定光の正反射率及び下面50S2における特定光の正反射率が55%以上である構成の少なくとも一方を含めばよい。また、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍を明るくし易くし得る観点では、上面50S1における第1の光L1の正反射率が55%以上である構成、及び上面50S1における特定光の正反射率が55%以上である構成の少なくとも一方を含めがよい。また、ハイビームの配光パターンPHの上下方向の中央部を明るくし易くし得る観点では、下面50S2における第2の光L2の正反射率が55%以上である構成、及び下面50S2における特定光の正反射率が55%以上である構成の少なくとも一方を含めばよい。
【0069】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、上面50S1における第1の光L1の正反射率は、下面50S2における第2の光L2の正反射率より高い。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、上面50S1における第1の光L1の正反射率が下面50S2における第2の光L2の正反射率以下である場合と比べて、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍を明るくし易くし得る。
【0070】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、上面50S1における特定光の正反射率は、下面50S2における特定光の正反射率より高い。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、上面50S1における特定光の正反射率が下面50S2における特定光の正反射率以下である場合と比べて、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍を明るくし易くし得る。
【0071】
なお、ロービームの配光パターンPLにおけるカットオフラインCLの近傍を明るくし易くする観点では、上面50S1における第1の光L1の正反射率が下面50S2における第2の光L2の正反射率より高い構成、及び上面50S1における特定光の正反射率が下面50S2における特定光の正反射率より高い構成の少なくとも一方を含めばよい。
【0072】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、上面50S1は、前後方向に延在する段差部55a,55b,55cを有する。そして、本実施形態の車両用前照灯1では、段差部55a,55bに対応する段差部CLa,CLbが形成される。このような場合、段差部55a,55bで反射した第1の光L1は、カットオフラインCLの段差部CLa,CLbから直線状に延びる領域に照射される傾向にあり、カットオフラインCLの段差部CLa,CLbから延びる明るい領域が形成される場合ある。本実施形態の車両用前照灯1では、段差部55a,55b,55cにおける第1の光L1の正反射率は、上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の第1の光L1の正反射率より低い。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、段差部55a,55b,55cの第1の光L1の正反射率が上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の第1の光L1の正反射率以上である場合と比べて、カットオフラインCLの段差部CLa,CLbから延びる明るい領域を目立ち難くし得、ロービームの配光パターンPLに違和感を覚えることを抑制し得る。
【0073】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、段差部55a,55b,55cにおける特定光の正反射率は、上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の特定光の正反射率より低い。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、段差部55a,55b,55cの特定光の正反射率が上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の特定光の正反射率以上である場合と比べて、カットオフラインCLの段差部CLa,CLbから延びる明るい領域を目立ち難くし得、ロービームの配光パターンPLに違和感を覚えることを抑制し得る。
【0074】
なお、ロービームの配光パターンPLに違和感を覚えることを抑制する観点では、段差部55a,55b,55cにおける第1の光L1の正反射率が上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の第1の光L1の正反射率より低い構成、及び段差部55a,55b,55cにおける特定光の正反射率が上面50S1における段差部55a,55b,55c以外の領域の特定光の正反射率より低い構成の少なくとも一方を含めばよい。
【0075】
また、本実施形態の車両用前照灯1は、シェード50の一部に下方側から重ね合わされ当該シェード50に固定される補強部材60を更に備える。上面50S1のうち上下方向において補強部材60と重ならない領域は、カットオフラインCLが形成されるように第1の光L1の一部を投影レンズ35に向けて正反射し、下面50S2のうち上下方向において補強部材60と重ならない領域は、付加配光パターンPAにおける下縁PAdが形成されるように第2の光L2の一部を投影レンズ35に向けて正反射する。補強部材60におけるシェード50側と反対側の面である下面60S2における特定光の正反射率は、シェード50の補強部材60側の面である下面50S2の特定光の正反射率より低い。このため、本実施形態の車両用前照灯1によれば、補強部材60の下面60S2の特定の正反射率がシェード50の下面50S2の特定光の正反射率以上である場合と比べて、補強部材60の下面60S2で反射して意図しない領域に照射される第2の光L2を少なくし得る。
【0076】
なお、補強部材60の下面60S2で反射して意図しない領域に照射される第2の光L2を少なくする観点では、補強部材60におけるシェード50側と反対側の面である下面60S2における第2の光L2の正反射率が、シェード50の補強部材60側の面である下面50S2の第2の光L2の正反射率より低くてもよい。
【0077】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0078】
例えば、上記実施形態では、第1光源31a,31b,31cと導光体40とから成る第1発光光学系LE1と、第2光源32と導光体40とから成る第2発光光学系LE2とを例に説明した。しかし、第1発光光学系LE1及び第2発光光学系LE2は特に制限されるものではない。例えば、第1発光光学系LE1及び第2発光光学系LE2は、導光体40を共有せずに、互いに異なる導光体を有していてもよい。また、第1発光光学系LE1及び第2発光光学系LE2は、光源と当該光源からの光を反射するリフレクタとから構成されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、第1の光L1が特定光を含む第1発光光学系LE1と、第2の光L2が特定光を含む第2発光光学系LE2とを例に説明した。しかし、第1の光L1及び第2の光L2が白色の光であればよく、第1の光L1及び第2の光L2の少なくとも一方は、特定光を含まなくてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、上面50S1の第1の光L1の正反射率及び下面50S2の第2の光L2の正反射率が55%以上であり、上面50S1の特定光の正反射率及び下面50S2の特定光の正反射率が55%以上であるシェード50を例に説明した。しかし、上面50S1の第1の光L1の正反射率及び下面50S2の第2の光L2の正反射率の少なくとも一方が55%未満であってもよい。また、上面50S1の特定光の正反射率及び下面50S2の特定光の正反射率の少なくとも一方が55%未満であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、下方側からシェード50に重ね合わされる補強部材60を例に説明した。しかし、補強部材60は、上方側からシェード50に重ね合わされてもよい。この場合、上面50S1のうち上下方向において補強部材60と重ならない領域が、カットオフラインCLが形成されるように第1の光L1の一部を投影レンズ35に向けて正反射し、下面50S2のうち上下方向において補強部材60と重ならない領域が、付加配光パターンPAにおける下縁PAdが形成されるように第2の光L2の一部を投影レンズ35に向けて正反射するようにする。そして、補強部材60におけるシェード50側と反対側の面である上面60S1における特定光の正反射率は、シェード50の補強部材60側の面である上面50S1の特定光の正反射率より低くてもよい。このような構成によれば、補強部材60の上面60S1の特定光の正反射率がシェード50の上面50S1の特定光の正反射率以上である場合と比べて、補強部材60の上面60S1で反射して意図しない領域に照射される第1の光L1を少なくし得る。なお、補強部材60の上面60S1で反射して意図しない領域に照射される第1の光L1を少なくする観点では、補強部材60におけるシェード50側と反対側の面である上面60S1における第1の光L1の正反射率が、シェード50の補強部材60側の面である上面50S1の第1の光L1の正反射率より低くてもよい。
【0082】
また、補強部材60は板状の部材でなくてもよく、車両用前照灯1は補強部材60を備えなくてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、シェード50の上面50S1の前端及び後端に接続する段差部55a,55b,55cを例に説明した。しかし、カットオフラインCLに上面50S1の段差部に応じた段差部が形成されればよく、上面50S1の段差部は、シェード50の上面50S1の後端に接続しなくてもよい。段差部55a,55b,55cの高さは、当該段差部55a,55b,55cの延在方向において一定でなくてもよい。例えば、段差部55a,55b,55cの高さは、当該段差部55a,55b,55cの前端から後端に向かって低くなってもよく、当該段差部55a,55b,55cの前端から後端に向かって高くなってもよい。また、段差部の数は制限されるものはなく、例えば、上面50S1は、第1段差部55aのみを有していてもよい。この場合、カットオフラインCLが1つの段差部CLaのみを有するロービームの配光パターンPLが形成される。また、上面50S1は、段差部を有さなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯が提供され、自動車等の車両用前照灯などの分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1・・・車両用前照灯
35・・・投影レンズ
50・・・シェード
50S1・・・シェードの上面
50S2・・・シェードの下面
55a,55b,55c・・・段差部
60・・・補強部材
60S1・・・補強部材の上面
60S2・・・補強部材の下面
CL・・・カットオフライン
CLa,CLb・・・段差部
L1・・・第1の光
L2・・・第2の光
LE1・・・第1発光光学系
LE2・・・第2発光光学系
PA・・・付加配光パターン
PL・・・ロービームの配光パターン
PH・・・ハイビームの配光パターン