(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159123
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G11C 16/34 20060101AFI20241031BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20241031BHJP
G11C 16/08 20060101ALI20241031BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20241031BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G11C16/34 110
G11C16/04 170
G11C16/08 130
G11C16/08 140
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074911
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】シリュコワ ヴィクトリア ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】田中 玲華
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225CA19
5B225DE16
5B225EA05
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5B225FA05
5F083EP18
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5F101BD22
5F101BD30
5F101BD33
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH04
(57)【要約】
【課題】高い信頼性を備えた半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、半導体層と、ゲート電極層と、半導体層に接続された第1の配線及び第2の配線と、Si、O、及びNを含むゲート絶縁層を含む複数のメモリセルと、制御回路と、を備える。制御回路は、メモリセルの書き込み処理、メモリセルの消去処理を実行可能である。制御回路は、メモリセルへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定可能である。制御回路は、消去処理の実行回数が所定の回数に達しと判定した場合に、メモリセルへの第1の処理と、メモリセルへの第2の処理を実行可能である。第1の処理は、ゲート電極層と第1の配線又は第2の配線との間に、書き込み処理と同極性の電圧を、書き込み処理よりも大きいパルス幅で印加する。第2の処理は、書き込み処理と逆極性の電圧をゲート電極層と第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に印加する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1の方向に積層された複数のゲート電極層と、
前記第1の半導体層に電気的に接続された第1の配線と、
前記第1の半導体層に電気的に接続された第2の配線と、
複数の第1のメモリセルであって、前記第1のメモリセルが、前記第1の半導体層と、前記複数のゲート電極層の中の一つのゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み前記第1の半導体層と前記一つのゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む複数の第1のメモリセルと、
を含むメモリセルアレイと、
前記複数の第1のメモリセルを制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記複数の第1のメモリセルから選ばれる一つの第1のメモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、前記書き込み処理は、前記一つの第1のメモリセルの前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記複数の第1のメモリセルへの消去処理を実行可能であり、前記消去処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記複数の第1のメモリセルへの前記消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したか否かを判定可能であり、
前記制御回路は、前記実行回数が前記第1の所定の回数に達したと判定した場合に、前記複数の第1のメモリセルへの第1の処理を実行可能であり、前記第1の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性で絶対値が前記第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と前記第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記第1の処理の後に、前記複数の第1のメモリセルへの第2の処理を実行可能であり、前記第2の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2極性で絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第3のパルス幅は10msec以上1sec以下である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3のパルス幅は前記第1のパルス幅の10倍以上である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第3のパルス幅は前記第2のパルス幅よりも大きい、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第4のパルス幅は前記第2のパルス幅よりも大きい、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第3の電圧の絶対値は前記第1の電圧の絶対値よりも大きい、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記ゲート絶縁層は、前記第1の絶縁領域と前記ゲート電極層との間の第2の絶縁領域と、前記第1の絶縁領域と前記第2の絶縁領域との間の電荷蓄積領域と、を更に有する、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記ゲート絶縁層は、前記第1の絶縁領域と前記ゲート電極層との間に強誘電体を含む、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1極性は、前記ゲート電極層が前記第1の配線及び前記第2の配線の前記少なくともいずれか一方に対して正電圧となる極性であり、
前記第2極性は、前記ゲート電極層が前記第1の配線及び前記第2の配線の前記少なくともいずれか一方に対して負電圧となる極性である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記第1の処理の後に、前記書き込み処理を行わずに、前記第2の処理を実行可能である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記消去処理の後に、前記書き込み処理を行わずに、前記第1の処理を実行可能である、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記メモリセルアレイは、
前記第1の方向に延び、前記第1の配線に接続された第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に接続された第3の配線と、
複数の第2のメモリセルであって、前記第2のメモリセルが、前記第2の半導体層と、前記複数のゲート電極層の中の一つのゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第3の絶縁領域を含み前記第2の半導体層と前記一つのゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む複数の第2のメモリセルと、を更に含み、
前記制御回路は、前記複数の第2のメモリセルを更に制御し、
前記制御回路は、前記複数の第2のメモリセルから選ばれる一つの第2のメモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、前記書き込み処理は、前記一つの第2のメモリセルの前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第3の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1の電圧パルスを印加し、
前記消去処理は、前記複数の第2のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第3の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2の電圧パルスを印加し、
前記第1の処理は、前記複数の第2のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第3の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第3の電圧パルスを印加し、
前記第2の処理は、前記複数の第2のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第3の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第4の電圧パルスを印加する、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記第2の処理の後の前記複数の第1のメモリセルへの前記消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定可能であり、
前記制御回路は、前記実行回数が前記第2の所定の回数に達したと判定した場合に、前記複数の第1のメモリセルへの第3の処理を実行可能であり、前記第3の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性で絶対値が前記第1の電圧の絶対値以上の第5の電圧と前記第3のパルス幅よりも大きい第5のパルス幅とを有する第5の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記第3の処理の後に、前記複数の第1のメモリセルへの第4の処理を実行可能であり、前記第4の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2極性で絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上の第6の電圧と第6のパルス幅とを有する第6の電圧パルスを印加する、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第6のパルス幅は、前記第4のパルス幅よりも大きい、請求項13記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記第1の処理において、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間への前記第3の電圧パルスの印加は、前記複数の第1のメモリセルに対して一括して行われる、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第1の処理において、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間への前記第3の電圧パルスの印加は、前記複数の第1のメモリセルを複数のグループに分割し前記グループ毎に行われる、請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
半導体層と、ゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み前記半導体層と前記ゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含むメモリセルと、
前記半導体層に電気的に接続された第1の配線及び第2の配線と、
前記メモリセルを制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記メモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、前記書き込み処理は、前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記メモリセルへの消去処理を実行可能であり、前記消去処理は、前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記メモリセルへの前記消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定可能であり、
前記制御回路は、前記実行回数が前記所定の回数に達したと判定した場合に、前記メモリセルへの第1の処理を実行可能であり、前記第1の処理は、前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性で絶対値が前記第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と前記第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記第1の処理の後に、前記メモリセルへの第2の処理を実行可能であり、前記第2の処理は、前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2極性で絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する、半導体記憶装置。
【請求項18】
前記第3のパルス幅は10msec以上1sec以下である、請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
前記第3のパルス幅は前記第1のパルス幅の10倍以上である、請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項20】
前記第3のパルス幅は前記第2のパルス幅よりも大きい、請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項21】
前記第4のパルス幅は前記第2のパルス幅よりも大きい、請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項22】
前記第3の電圧の絶対値は前記第1の電圧の絶対値よりも大きい、請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項23】
第1の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1の方向に並ぶ第1及び第2のゲート電極層と、
シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み、前記第1の半導体層と前記及び第1及び第2のゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、
前記第1の半導体層と、前記第1のゲート電極層と、前記ゲート絶縁層と、を含む第1のメモリセルと、
前記第1の半導体層と、前記第2のゲート電極層と、前記ゲート絶縁層と、を含む第2のメモリセルと、
前記第1の半導体層に電気的に接続された第1の配線と、
前記第1の半導体層に電気的に接続された第2の配線と、
前記第1及び第2のメモリセルを制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記第1及び第2のメモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、前記書き込み処理は、前記第1及び第2のゲート電極層の一つと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記第1及び第2のメモリセルへの消去処理を実行可能であり、前記消去処理は、前記第1及び第2のゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記第1及び第2のメモリセルへの前記消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したか否かを判定可能であり、
前記制御回路は、前記実行回数が前記第1の所定の回数に達したと判定した場合に、前記第1及び第2のメモリセルへの第1の処理を実行可能であり、前記第1の処理は、前記第1及び第2のゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性で絶対値が前記第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と前記第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加し、
前記制御回路は、前記第1の処理の後に、前記第1及び第2のメモリセルへの第2の処理を実行可能であり、前記第2の処理は、前記第1及び第2のゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2極性で絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する、半導体記憶装置。
【請求項24】
第1の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1の方向に積層された複数のゲート電極層と、
前記第1の半導体層に電気的に接続された第1の配線と、
前記第1の半導体層に電気的に接続された第2の配線と、
複数の第1のメモリセルであって、前記第1のメモリセルが、前記第1の半導体層と、前記複数のゲート電極層の中の一つのゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み前記第1の半導体層と前記一つのゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む複数の第1のメモリセルと、
を含むメモリセルアレイを備える半導体記憶装置の制御方法であって、
前記複数の第1のメモリセルから選ばれる一つの第1のメモリセルへの書き込み処理を実行し、前記書き込み処理は、前記一つの第1のメモリセルの前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加し、
前記複数の第1のメモリセルへの消去処理を実行し、前記消去処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加し、
前記消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定し、
前記実行回数が前記所定の回数に達したと判定した場合に、前記複数の第1のメモリセルへの第1の処理を実行し、前記第1の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性で絶対値が前記第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と前記第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加し、
前記第1の処理の後に、前記複数の第1のメモリセルへの第2の処理を実行し、前記第2の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2極性で絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する、半導体記憶装置の制御方法。
【請求項25】
前記第1の処理において、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間への前記第3の電圧パルスの印加は、前記複数の第1のメモリセルに対して一括して行われる、請求項24記載の半導体記憶装置の制御方法。
【請求項26】
前記第1の処理において、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間への前記第3の電圧パルスの印加は、前記複数の第1のメモリセルを複数のグループに分割し前記グループ毎に行われる、請求項24記載の半導体記憶装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルに電界効果型トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)を用いる不揮発性の半導体記憶装置では、電界効果型トランジスタの閾値電圧が変動する場合がある。電界効果型トランジスタの閾値電圧の変動を抑制し、高い信頼性を備えた半導体記憶装置の実現が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-160374号公報
【特許文献2】米国特許第5838618号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、高い信頼性を備えた半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1の半導体層と、前記第1の方向に積層された複数のゲート電極層と、前記第1の半導体層に電気的に接続された第1の配線と、前記第1の半導体層に電気的に接続された第2の配線と、複数の第1のメモリセルであって、前記第1のメモリセルが、前記第1の半導体層と、前記複数のゲート電極層の中の一つのゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み前記第1の半導体層と前記一つのゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む複数の第1のメモリセルと、を含むメモリセルアレイと、前記複数の第1のメモリセルを制御する制御回路と、を備える。前記制御回路は、前記複数の第1のメモリセルから選ばれる一つの第1のメモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、前記書き込み処理は、前記一つの第1のメモリセルの前記ゲート電極層と前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加する。前記制御回路は、前記複数の第1のメモリセルへの消去処理を実行可能であり、前記消去処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加する。前記制御回路は、前記複数の第1のメモリセルへの前記消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したか否かを判定可能である。前記制御回路は、前記実行回数が前記第1の所定の回数に達したと判定した場合に、前記複数の第1のメモリセルへの第1の処理を実行可能であり、前記第1の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第1極性で絶対値が前記第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と前記第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加する。前記制御回路は、前記第1の処理の後に、前記複数の第1のメモリセルへの第2の処理を実行可能であり、前記第2の処理は、前記複数の第1のメモリセルの前記ゲート電極層のそれぞれと前記第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に前記第2極性で絶対値が前記第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の半導体記憶装置を含むメモリシステムのブロック図。
【
図2】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリブロックの等価回路図。
【
図3】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の等価回路図。
【
図4】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図5】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図。
【
図6】第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの一部の模式断面図。
【
図7】第1の実施形態の半導体記憶装置の制御を説明するタイミングチャート。
【
図8】第1の実施形態の半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法の作用及び効果の説明図。
【
図9】第1の実施形態の半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法の作用及び効果の説明図。
【
図10】第2の実施形態の半導体記憶装置の制御を説明するタイミングチャート。
【
図11】第3の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの一部の模式断面図。
【
図12】第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの一部の模式断面図。
【
図13】第5の実施形態の半導体記憶装置を含むメモリシステムのブロック図。
【
図14】第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の等価回路図。
【
図15】第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図16】第5の実施形態の半導体記憶装置の制御を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。また、区別化のための数字又は英字を末尾に伴った参照符号が付された構成要素については、説明上、当該構成要素の間で相互に区別する必要が無い場合、末尾の数字又は英字が省略された参照符号を用いる場合がある。
【0008】
本明細書中の半導体記憶装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)、又はX線光電分光分析(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)などにより行うことが可能である。また、半導体記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1の半導体層と、第1の方向に積層された複数のゲート電極層と、第1の半導体層に電気的に接続された第1の配線と、第1の半導体層に電気的に接続された第2の配線と、複数の第1のメモリセルであって、第1のメモリセルが、第1の半導体層と、複数のゲート電極層の中の一つのゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み第1の半導体層と一つのゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含む複数の第1のメモリセルと、を含むメモリセルアレイと、複数の第1のメモリセルを制御する制御回路と、を備える。制御回路は、複数の第1のメモリセルから選ばれる一つの第1のメモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、書き込み処理は、一つの第1のメモリセルのゲート電極層と第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加する。制御回路は、複数の第1のメモリセルへの消去処理を実行可能であり、消去処理は、複数の第1のメモリセルのゲート電極層のそれぞれと第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加する。制御回路は、複数の第1のメモリセルへの消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したか否かを判定可能である。制御回路は、実行回数が第1の所定の回数に達したと判定した場合に、複数の第1のメモリセルへの第1の処理を実行可能であり、第1の処理は、複数の第1のメモリセルのゲート電極層のそれぞれと第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性で絶対値が第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加する。制御回路は、第1の処理の後に、複数の第1のメモリセルへの第2の処理を実行可能であり、第2の処理は、複数の第1のメモリセルのゲート電極層のそれぞれと第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第2極性で絶対値が第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する。
【0010】
第1の実施形態の半導体記憶装置は、3次元NANDフラッシュメモリを含む。第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、いわゆる、Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor型(MONOS型)のメモリセルである。
【0011】
図1は、第1の実施形態の半導体記憶装置を含むメモリシステムのブロック図である。第1の実施形態のメモリシステムは、例えば、3次元NANDフラッシュメモリ100、コントローラ200、及びホスト機器300を含む。第1の実施形態の半導体記憶装置は、例えば、3次元NANDフラッシュメモリ100とコントローラ200を含む。
【0012】
3次元NANDフラッシュメモリ100は、例えば、3次元NANDフラッシュメモリチップである。また、コントローラ200は、例えば、コントローラチップである。
【0013】
3次元NANDフラッシュメモリ100とコントローラ200は、例えば、両者が組み合わされて実装されたメモリカード、又は、両者が組み合わされて実装されたSolid State Drive(SSD)である。
【0014】
3次元NANDフラッシュメモリ100とコントローラ200は、例えば、同一の半導体チップ内に設けられても構わない。
【0015】
ホスト機器300は、例えば、デジタルカメラやパーソナルコンピュータである。
【0016】
図1に示すように、3次元NANDフラッシュメモリ100は、メモリセルアレイ110と周辺回路120を含む。
【0017】
メモリセルアレイ110は、複数のメモリブロックMB0~MBj(jは自然数)を含む。複数のメモリブロックMB0~MBjのそれぞれは、複数のページPを含む。第1の実施形態において、データの書き込み処理(data write operation)、及び、データの読み出し処理(data read operation)はページPを単位として行われる。また、第1の実施形態において、データの消去処理(data erase operation)は、メモリブロックMBi(iはj以下の自然数)を一つの単位として行われる。また、第1の実施形態において、回復処理(recovery operation)、及び、電荷除去処理(charege removing operation)はメモリブロックMBi(iはj以下の自然数)を一つの単位として行われる。
【0018】
回復処理は、第1の処理の一例である。電荷除去処理は、第2の処理の一例である。
【0019】
周辺回路120は、メモリセルアレイ110の周辺に設けられる。周辺回路120は、例えば、コントローラ200から受信した命令に応じて、メモリセルアレイ110の動作を制御する機能を備える。周辺回路120は、例えば、コントローラ200から指定されたページPに対するデータの書き込み処理、又は、データの読み出し処理を実行する。また、周辺回路120は、例えば、コントローラ200から指定されたメモリブロックMBiに対するデータの消去処理を実行する。また、周辺回路120は、例えば、コントローラ200から指定されたメモリブロックMBiに対する回復処理、又は、電荷消去処理を実行する。
【0020】
コントローラ200は、3次元NANDフラッシュメモリ100を制御する。また、コントローラ200は、ホスト機器300から受信した命令に応答して、3次元NANDフラッシュメモリ100にアクセスする。
【0021】
3次元NANDフラッシュメモリ100の周辺回路120とコントローラ200が、第1の実施形態の制御回路の一例である。
【0022】
図1に示すように、コントローラ200は、プロセッサ210(CPU)、内蔵メモリ220(RAM、ROM)、NANDインターフェース回路230、バッファメモリ240、ホストインターフェース回路250を備える。プロセッサ210は、判定回路211(Judgement Circuit)を含む。
【0023】
プロセッサ210は、コントローラ200全体の動作を制御する。プロセッサ210は、3次元NANDフラッシュメモリ100を管理するための様々な処理を実行する機能を有する。判定回路211は、特定のメモリセルへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定することが可能である。
【0024】
内蔵メモリ220は、例えば、半導体メモリである。内蔵メモリ220は、例えば、プロセッサの作業領域として使用される。また、内蔵メモリ220は、例えば、3次元NANDフラッシュメモリ100を管理するためのファームウェアや、各種の管理テーブルを記憶する。
【0025】
内蔵メモリ220は、例えば、3次元NANDフラッシュメモリ100に含まれるメモリセルに対して実行された消去処理の実行回数を記憶する。また、内蔵メモリ220は、例えば、回復処理を実行するか否かの判定基準となる消去処理の所定の回数を記憶する。判定回路211は、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の実行回数と、消去処理の所定の回数に基づき、特定のメモリセルへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定する。
【0026】
NANDインターフェース回路230は、NANDバスを介して3次元NANDフラッシュメモリ100と接続される。NANDインターフェース回路230は、3次元NANDフラッシュメモリ100との通信を制御する機能を有する。
【0027】
バッファメモリ240は、例えば、メモリセルへの書き込みデータや、メモリセルからの読み出しデータを一時的に保管する機能を有する。
【0028】
ホストインターフェース回路250は、ホストバスを介してホスト機器300と接続される。ホストインターフェース回路250は、例えば、ホスト機器300から受信された命令をプロセッサ210に転送する。また、ホストインターフェース回路250は、例えば、ホスト機器300から受信されたデータを、バッファメモリ240に転送する。また、ホストインターフェース回路250は、例えば、プロセッサ210の命令に応答して、バッファメモリ240の中のデータをホスト機器300へ転送する。
【0029】
図2は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリブロックの等価回路図である。
図2は、3次元NANDフラッシュメモリ100のメモリブロックMBiの等価回路図である。
【0030】
メモリブロックMBiは、共通ソース線CSL、複数のビット線BL、複数のワード線WL、ソース選択ゲート線SGS、及び、ドレイン選択ゲート線SGDによって、周辺回路120に接続される。
【0031】
メモリブロックMBiは、複数のメモリフィンガーMFを備える。それぞれのメモリフィンガーMFは、複数のメモリストリングMSを含む。
【0032】
複数のメモリストリングMSのそれぞれの一端は、共通ソース線CSLに接続される。複数のメモリストリングMSのそれぞれの他端は、ビット線BLに接続される。
【0033】
複数のメモリストリングMSのそれぞれは、共通ソース線CSLとビット線BLとの間に直列に接続されたソース選択トランジスタSTS、複数のメモリセルMC、及び、ドレイン選択トランジスタSTDを含む。ソース選択トランジスタSTS、複数のメモリセルMC、及び、ドレイン選択トランジスタSTDは、ゲート電極に印加される電圧によって動作が制御される電界効果型トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)である。
【0034】
複数のメモリセルMCのそれぞれのゲート電極には、ワード線WLが接続される。ワード線WLは、一つのメモリフィンガーMF中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。また、一つのメモリブロックMBi中において、一つのメモリフィンガーMFに接続された複数のワード線WLは、残りのメモリフィンガーMFに接続された複数のワード線に共通に接続される。なお、一つのメモリフィンガーMF中において、一つのワード線WLに共通に接続された複数のメモリセルMCは、ページPを構成する。
【0035】
ソース選択トランジスタSTSのゲート電極には、ソース選択ゲート線SGSが接続される。ドレイン選択トランジスタSTDのゲート電極には、ドレイン選択ゲート線SGDが接続される。
【0036】
図3は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の等価回路図である。
図3は、3次元NANDフラッシュメモリ100のメモリセルアレイ110の一部の等価回路図である。
図3は、3次元NANDフラッシュメモリ100のメモリブロックMBiの一部の等価回路図である。
【0037】
複数のワード線WLは、互いに離間してz方向に配置される。複数のワード線WLがz方向に積層して配置される。複数のメモリストリングMSは、z方向に延びる。複数のビット線BLは、例えば、x方向に延びる。複数のメモリストリングMSは、第1のメモリストリングMS1及び第2のメモリストリングMS2を含む。
【0038】
以下、x方向を第3の方向、y方向を第2の方向、z方向を第1の方向と定義する。x方向、y方向、z方向は互いに交差し、例えば、互いに垂直である。
【0039】
図3に示すように、メモリストリングMSは、共通ソース線CSLとビット線BLとの間に直列接続されたソース選択トランジスタSTS、複数のメモリセルMC、及び、ドレイン選択トランジスタSTDを備える。メモリストリングMSは、共通ソース線CSL及びビット線BLに電気的に接続される。共通ソース線CSLは第1の配線の一例である。ビット線BLは、第2の配線又は第3の配線の一例である。
【0040】
第1のメモリストリングMS1は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1a、MC1b、MC1c、及び、MC1dを含む。また、第2のメモリストリングMS2は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2a、MC2b、MC2c、及び、MC2dを含む。
【0041】
なお、
図3では、一つのメモリストリングMSに含まれるメモリセルMCの数が4個の場合を示しているが、メモリセルMCの数は4個に限定されない。メモリセルMCの数は3個以下であっても5個以上であっても構わない。
【0042】
1本のビット線BLと1本のドレイン選択ゲート線SGDを選択することにより1本のメモリストリングMSが選択され、1個のワード線WLを選択することにより1個のメモリセルMCが選択可能となる。ワード線WLは、メモリセルMCを構成するメモリセルトランジスタのゲート電極である。
【0043】
図4及び
図5は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の模式断面図である。
図4及び
図5は、
図3のメモリセルアレイ110の中の、第1のメモリストリングMS1と第2のメモリストリングMS2の中の複数のメモリセルMCの断面を示す。
【0044】
図4は、メモリセルアレイ110のyz断面図である。
図4は、
図5のBB’断面である。
図5は、メモリセルアレイ110のxy断面図である。
図5は、
図4のAA’断面である。
図4中、破線で囲まれた領域が、1個のメモリセルMCである。
【0045】
図6は、第1の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの一部の模式断面図である。
図4の一部の拡大図である。
【0046】
メモリセルアレイ110は、
図4、
図5、
図6に示すように、ワード線WL、半導体層10、ゲート絶縁層11、層間絶縁層13、コア絶縁領域20を備える。複数のワード線WLと複数の層間絶縁層13が積層体30を構成する。
【0047】
複数のワード線WLは、第1のワード線WL1、第2のワード線WL2、第3のワード線WL3、及び、第4のワード線WL4を含む。ゲート絶縁層11は、トンネル絶縁層14、電荷蓄積層16、及び、ブロック絶縁層18を含む。
【0048】
ワード線WLは、ゲート電極層の一例である。トンネル絶縁層14は、第1の絶縁領域又は第3の絶縁領域の一例である。ブロック絶縁層18は、第2の絶縁領域の一例である。電荷蓄積層16は、電荷蓄積領域の一例である。
【0049】
メモリセルアレイ110は、例えば、図示しない半導体基板の上に設けられる。半導体基板は、例えば、x方向及びy方向に平行な表面を有する。
【0050】
ワード線WLと層間絶縁層13は、半導体基板の上に、z方向に交互に積層される。ワード線WLは、互いに離間してz方向に繰り返し配置される。ワード線WLは、メモリセルトランジスタの制御電極として機能する。
【0051】
ワード線WLは、例えば、板状の導電体である。ワード線WLは、例えば、金属である。
【0052】
ワード線WLのz方向の厚さは、例えば、5nm以上20nm以下である。
【0053】
層間絶縁層13は、ワード線WLのz方向に設けられる。ワード線WLと層間絶縁層13は、z方向に繰り返し配置される。
【0054】
層間絶縁層13は、ワード線WLとワード線WLを分離する。層間絶縁層13は、ワード線WLとワード線WLを電気的に分離する。
【0055】
層間絶縁層13は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。層間絶縁層13は、例えば、酸化シリコン層である。層間絶縁層13のz方向の厚さは、例えば、5nm以上20nm以下である。
【0056】
半導体層10は、積層体30の中に設けられる。半導体層10は、z方向に延びる。半導体層10は、半導体基板の表面に垂直な方向に延びる。
【0057】
半導体層10は、積層体30を貫通して設けられる。半導体層10は、複数のワード線WLに囲まれる。半導体層10は、例えば、円筒状である。半導体層10は、メモリセルトランジスタのチャネルとして機能する。
【0058】
半導体層10は、例えば、多結晶の半導体である。半導体層10は、例えば、多結晶シリコンである。
【0059】
半導体層10は、例えば、第1の半導体層10a及び第2の半導体層10bを含む。
【0060】
半導体層10は、共通ソース線CSL及びビット線BLに電気的に接続される。第1の半導体層10a及び第2の半導体層10bは、共通ソース線CSL及びビット線BLに電気的に接続される。
【0061】
共通ソース線CSLは、第1の配線の一例である。また、ビット線BLは、第2の配線又は第3の配線の一例である。例えば、第1の半導体層10aに電気的に接続されるビット線が、第2の配線の一例である。また、例えば、第2の半導体層10bに電気的に接続されるビット線が、第3の配線の一例である。
【0062】
トンネル絶縁層14は、半導体層10とワード線WLとの間に設けられる。トンネル絶縁層14は、半導体層10と電荷蓄積層16との間に設けられる。トンネル絶縁層14は、ワード線WLと半導体層10との間に印加される電圧に応じて電荷を通過させる機能を有する。
【0063】
トンネル絶縁層14は、シリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含む。トンネル絶縁層14は、例えば、酸窒化シリコンを含む。トンネル絶縁層14は、例えば、酸窒化シリコン層である。トンネル絶縁層14の厚さは、例えば、1nm以上8nm以下である。
【0064】
トンネル絶縁層14は、複数の膜の積層構造を備えていても構わない。トンネル絶縁層14は、
図6に示すように、例えば、酸化シリコン膜14aと酸窒化シリコン膜14bの積層構造を含む。
【0065】
電荷蓄積層16は、トンネル絶縁層14とブロック絶縁層18との間に設けられる。
【0066】
電荷蓄積層16は、電荷をトラップして蓄積する機能を有する。電荷は、例えば、電子である。電荷蓄積層16に蓄積される電荷の量に応じて、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化する。この閾値電圧の変化を利用することで、1個のメモリセルMCがデータを記憶することが可能となる。
【0067】
例えば、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化することで、メモリセルトランジスタがオンする電圧が変化する。例えば、閾値電圧が高い状態をデータ“0”、閾値電圧が低い状態をデータ“1”と定義すると、メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0068】
電荷蓄積層16は、絶縁体である。電荷蓄積層16は、例えば、シリコン(Si)、及び窒素(N)を含む。電荷蓄積層16は、例えば、窒化シリコンを含む。電荷蓄積層16は、例えば、窒化シリコン層である。電荷蓄積層16の厚さは、例えば、3nm以上10nm以下である。
【0069】
ブロック絶縁層18は、トンネル絶縁層14とワード線WLとの間に設けられる。ブロック絶縁層18は、電荷蓄積層16とワード線WLとの間に設けられる。ブロック絶縁層18は、電荷蓄積層16とワード線WLとの間に流れる電流を阻止する機能を有する。
【0070】
ブロック絶縁層18は、絶縁体である。ブロック絶縁層18は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層である。
【0071】
ブロック絶縁層18は、例えば、アルミニウム(Al)及び酸素(O)を含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化アルミニウムを含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化アルミニウム層である。
【0072】
ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層と酸化アルミニウム層との積層構造である。
【0073】
ブロック絶縁層18の、半導体層10からワード線WLに向かうy方向の厚さは、例えば、1nm以上8nm以下である。
【0074】
コア絶縁領域20は、積層体30の中に設けられる。コア絶縁領域20は、z方向に延びる。コア絶縁領域20は、積層体30を貫通して設けられる。コア絶縁領域20は、半導体層10に囲まれる。コア絶縁領域20は、複数のワード線WLに囲まれる。コア絶縁領域20は、柱状である。コア絶縁領域20は、例えば、円柱状である。
【0075】
コア絶縁領域20は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。コア絶縁領域20は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。コア絶縁領域20は、例えば、酸化シリコン層である。
【0076】
図7は、第1の実施形態の半導体記憶装置の制御を説明するタイミングチャートである。
図7は、第1のメモリストリングMS1に含まれる第1のメモリセルMC1a~MC1dのそれぞれのゲート絶縁層11に印加される電圧パルスを示す。
【0077】
3次元NANDフラッシュメモリ100の周辺回路120とコントローラ200は、例えば、メモリセルアレイ110の中の複数のメモリセルMCを制御する。例えば、周辺回路120とコントローラ200は、第1のメモリストリングMS1に含まれる第1のメモリセルMC1a~MC1dを制御する。また、例えば、周辺回路120とコントローラ200は、第2のメモリストリングMS2に含まれる第2のメモリセルMC2a~MC2dを制御する。
【0078】
周辺回路120とコントローラ200は、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dから選ばれる任意の一つの第1のメモリセルMC1へのデータの書き込み処理を実行可能である。
【0079】
書き込み処理は、例えば、任意の一つの第1のメモリセルMC1のゲート電極層とビット線BLとの間に、書き込み電圧パルスWPを印加する。書き込み処理は、例えば、上記任意の一つの第1のメモリセルMC1のゲート電極層とビット線BLとの間に書き込み電圧パルスWPを印加することで、上記任意の一つの第1のメモリセルMC1のゲート電極層と第1の半導体層10aとの間に書き込み電圧パルスWPを印加する。書き込み処理は、例えば、任意の一つの第1のメモリセルMC1のゲート電極層と第1の半導体層10aとの間に書き込み電圧パルスWPを印加することで、上記任意の一つの第1のメモリセルMC1のゲート絶縁層に、書き込み電圧パルスWPを印加する。
【0080】
書き込み電圧パルスWPは、第1極性の書き込み電圧Vwriteと第1のパルス幅w1とを有する。書き込み処理は、ページPを単位として行われる。
【0081】
書き込み電圧パルスWPは、第1の電圧パルスの一例である。書き込み電圧Vwriteは、第1の電圧の一例である。
【0082】
また、周辺回路120とコントローラ200は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2へのデータの消去処理を実行可能である。
【0083】
消去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に、消去電圧パルスEPを印加する。消去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に消去電圧パルスEPを印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと第1の半導体層10aとの間に消去電圧パルスEPを印加する。消去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと第1の半導体層10aとの間に消去電圧パルスEPを印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のゲート絶縁層に、消去電圧パルスEPを印加する。
【0084】
消去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に、消去電圧パルスEPを印加する。消去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に消去電圧パルスEPを印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと第2の半導体層10bとの間に消去電圧パルスEPを印加する。消去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと第2の半導体層10bとの間に消去電圧パルスEPを印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層に、消去電圧パルスEPを印加する。
【0085】
消去電圧パルスEPは、第1極性と反対の第2極性の消去電圧Veraseと第2のパルス幅w2とを有する。消去処理は、メモリブロックMBiを単位として行われる。
【0086】
消去電圧パルスEPは、第2の電圧パルスの一例である。消去電圧Veraseは、第2の電圧の一例である。
図7における、消去電圧パルスEP1、消去電圧パルスEP2、消去電圧パルスEPx、消去電圧パルスEP2xは、第2の電圧パルスの一例である。
【0087】
また、周辺回路120とコントローラ200は、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したか否かを判定可能である。具体的には、コントローラ200の判定回路211が、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の実行回数と、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の第1の所定の回数に基づき、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定する。
【0088】
また、周辺回路120とコントローラ200は、消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したと判定した場合に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への第1の回復処理を実行可能である。第1の回復処理は、第1の処理の一例である。
【0089】
第1の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に第1の回復電圧パルスRP1を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと第1の半導体層10aとの間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと第1の半導体層10aとの間に第1の回復電圧パルスRP1を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のゲート絶縁層のそれぞれに第1の回復電圧パルスRP1を印加する。
【0090】
第1の回復処理において、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第1の回復電圧パルスRP1の印加は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1に対して一括して行われる。
【0091】
第1の回復処理において、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第1の回復電圧パルスRP1の印加は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1を複数のグループに分割しグループ毎に行われる。例えば、第1のメモリセルMC1aと第1のメモリセルMC1cを第1のグループ、第1のメモリセルMC1bと第1のメモリセルMC1dを第2のグループとする。そして、第1のグループの第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間へ第1の回復電圧パルスRP1を印加し、その後、第2のグループの第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間へ第1の回復電圧パルスRP1を印加する。また、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dのワード線のそれぞれと共通ソース線CSLとの間に、順に時間をずらして、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。
【0092】
また、第1の回復処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に第1の回復電圧パルスRP1を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと第2の半導体層10bとの間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと第2の半導体層10bとの間に第1の回復電圧パルスRP1を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層のそれぞれに第1の回復電圧パルスRP1を印加する。
【0093】
第1の回復処理において、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第1の回復電圧パルスRP1の印加は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2に対して一括して行われる。第1の回復処理において、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第1の回復電圧パルスRP1の印加は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2を複数のグループに分割しグループ毎に行われる。
【0094】
第1の回復電圧パルスRP1は、第1極性で絶対値が書き込み電圧Vwriteの絶対値以上の第1の回復電圧Vrecovery1と第1のパルス幅w1よりも大きい第3のパルス幅w3とを有する。
【0095】
第1の回復電圧パルスRP1は、第3の電圧パルスの一例である。第1の回復電圧Vrecovery1は、第3の電圧の一例である。
【0096】
第3のパルス幅w3は、例えば、10msec以上1sec以下である。第3のパルス幅w3は、例えば、第1のパルス幅w1の10倍以上1000倍以下である。第3のパルス幅w3は、例えば、第2のパルス幅w2よりも大きい。
【0097】
第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値は、例えば、書き込み電圧Vwriteの絶対値と等しくても良いし或いはそれよりも大きくても良い。
【0098】
周辺回路120とコントローラ200は、例えば、消去処理の直後に、第1の回復処理を実行可能である。周辺回路120とコントローラ200は、例えば、消去処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のいずれにも書き込み処理を行わずに、第1の回復処理を実行可能である。
【0099】
周辺回路120とコントローラ200は、例えば、消去処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のいずれのワード線WLとビット線BLとの間にも電圧パルスを印加せずに、第1の回復処理を実行可能である。周辺回路120とコントローラ200は、例えば、消去処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のいずれのゲート絶縁層にも電圧パルスを印加せずに、第1の回復処理を実行可能である。
【0100】
また、周辺回路120とコントローラ200は、第1の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への第1の電荷除去処理を実行可能である。第1の電荷除去処理は、第2の処理の一例である。
【0101】
第1の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと第1の半導体層10aとの間に第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと第1の半導体層10aとの間に第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のゲート絶縁層に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。
【0102】
第1の電荷除去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと第2の半導体層10bとの間に第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと第2の半導体層10bとの間に第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。
【0103】
第1の電荷除去電圧パルスCRP1は、第2極性で絶対値が消去電圧Verase以上の第1の電荷除去電圧Vremove1と第4のパルス幅w4とを有する。
【0104】
第1の電荷除去電圧パルスCRP1は、第4の電圧パルスの一例である。第1の電荷除去電圧Vremove1は、第4の電圧の一例である。
【0105】
第4のパルス幅w4は、例えば、第2のパルス幅w2よりも大きい。
【0106】
周辺回路120とコントローラ200は、例えば、第1の回復処理の直後に、第1の電荷除去処理を実行可能である。周辺回路120とコントローラ200は、例えば、第1の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のいずれにも書き込み処理を行わずに、第1の電荷除去処理を実行可能である。
【0107】
周辺回路120とコントローラ200は、例えば、第1の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のいずれのワード線WLとビット線BLとの間にも電圧パルスを印加せずに、第1の電荷除去処理を実行可能である。周辺回路120とコントローラ200は、例えば、第1の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のいずれのゲート絶縁層にも電圧パルスを印加せずに、第1の電荷除去処理を実行可能である。
【0108】
また、周辺回路120とコントローラ200は、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2へ実行された消去処理の回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定可能である。具体的には、コントローラ200の判定回路211が、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の実行回数と、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の第2の所定の回数に基づき、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定する。
【0109】
周辺回路120とコントローラ200は、消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したと判定した場合に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への第2の回復処理を実行可能である。
【0110】
第2の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に第2の回復電圧パルスRP2を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと第1の半導体層10aとの間に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと第1の半導体層10aとの間に第2の回復電圧パルスRP2を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のゲート絶縁層のそれぞれに第2の回復電圧パルスRP2を印加する。
【0111】
第2の回復処理において、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第2の回復電圧パルスRP2の印加は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1に対して一括して行われる。第2の回復処理において、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第2の回復電圧パルスRP2の印加は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1を複数のグループに分割しグループ毎に行われる。
【0112】
また、第2の回復処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれとビット線BLとの間に第2の回復電圧パルスRP2を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと第2の半導体層10bとの間に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと第2の半導体層10bとの間に第2の回復電圧パルスRP2を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層のそれぞれに第2の回復電圧パルスRP2を印加する。
【0113】
第2の回復処理において、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第2の回復電圧パルスRP2の印加は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2に対して一括して行われる。第2の回復処理において、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLのそれぞれと共通ソース線CSLとの間への第2の回復電圧パルスRP2の印加は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2を複数のグループに分割しグループ毎に行われる。
【0114】
第2の回復電圧パルスRP2は、第1極性で絶対値が書き込み電圧Vwriteの絶対値以上の第2の回復電圧Vrecovery2と第1のパルス幅w1よりも大きい第3のパルス幅w3とを有する。例えば、第2の回復電圧Vrecovery2は、第1の回復電圧Vrecovery1と等しい。
【0115】
また、周辺回路120とコントローラ200は、第2の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への第2の電荷除去処理を実行可能である。
【0116】
第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと第1の半導体層10aとの間に第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1のワード線WLと第1の半導体層10aとの間に第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加することで、複数の第1のメモリセルMC1のゲート絶縁層に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。
【0117】
第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと共通ソース線CSLとの間に第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと第2の半導体層10bとの間に第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第2のメモリセルMC2のワード線WLと第2の半導体層10bとの間に第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加することで、複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。
【0118】
第2の電荷除去電圧パルスCRP2は、第2極性で絶対値が消去電圧Verase以上の第2の電荷除去電圧Vremove2と第4のパルス幅w4とを有する。例えば、第2の電荷除去電圧Vremove2は、第1の電荷除去電圧Vremove1と等しい。
【0119】
次に、
図7を参照して、第1の実施形態の半導体記憶装置の制御方法について説明する。以下、第1極性は、ワード線WLが共通ソース線CSL又はビット線BLに対して正電圧となる極性であり、第2極性は、ワード線WLが共通ソース線CSL又はビット線BLに対して負電圧となる極性である場合を例に説明する。言い換えれば、以下、第1極性は、ワード線WLが半導体層10に対して正電圧となる極性であり、第2極性は、ワード線WLが半導体層10に対して負電圧となる極性である場合を例に説明する。
【0120】
例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dから選ばれる第1のメモリセルMC1bへの書き込み処理が実行される。第1のメモリセルMC1bへの書き込み処理は、第1のメモリセルMC1bのゲート絶縁層11に、書き込み電圧パルスWPを印加する。書き込み電圧パルスWPは、第1極性の書き込み電圧Vwriteと第1のパルス幅w1とを有する。
【0121】
書き込み電圧パルスWPは、第1の電圧パルスの一例である。書き込み電圧Vwriteは、第1の電圧の一例である。
【0122】
具体的には、ワード線WL2に、例えば、20Vが印加される。また、第1の半導体層10aに電気的に接続されるビット線BLは、例えば、グラウンド電位に固定される。ワード線WL2が20V、第1の半導体層10aが0Vとなり、第1のメモリセルMC1bのゲート絶縁層11に、20Vの書き込み電圧Vwriteが印加される。
【0123】
書き込み処理により、第1のメモリセルMC1bにデータが書き込まれる。書き込み処理により、例えば、第1のメモリセルMC1bの電荷蓄積層16に電子が蓄積されることで、データが書き込まれる。
【0124】
次に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理を実行する。消去処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dの、それぞれのゲート絶縁層に、消去電圧パルスEP1を印加する。消去電圧パルスEP1は、第2極性の消去電圧Veraseと第2のパルス幅w2とを有する。
【0125】
消去電圧Veraseは、第2の電圧の一例である。消去電圧パルスEP1は、第2の電圧パルスの一例である。
【0126】
具体的には、例えば、ワード線WL1~WL4はグラウンド電位に固定される。また、共通ソース線CSLには、20Vが印加される。ワード線WL1~WL4が0V、第1の半導体層10aが20Vとなり、第1のメモリセルMC1a~MC1dのゲート絶縁層11に、-20Vの消去電圧Veraseが印加される。
【0127】
消去処理により、第1のメモリセルMC1a~MC1dのデータが消去される。消去処理により、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dの電荷蓄積層16に蓄積されていた電子が半導体層10側に引き抜かれることにより、第1のメモリセルMC1a~MC1dのデータが消去される。
【0128】
なお、消去処理は、メモリブロックMBiを単位として行われる。このため、消去処理は、第1のメモリストリングMS1と同じメモリブロックMBiに属する第2のメモリストリングMS2に属するメモリセルMCへも同時に実行される。すなわち、第2のメモリセルMC2a~MC2dへの消去処理も第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理と同時に実行される。
【0129】
第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理を実行するたびに、消去処理の実行回数を記録する。そして、消去処理を実行するたびに、消去処理の実行回数が所定の回数(
図7ではx回)に達したか否かを判定する。
【0130】
なお、消去処理と、次の消去処理との間に、第1のメモリセルMC1a~MC1dに対してデータの書き込み処理が行われても構わない。また、消去処理と、次の消去処理との間に、第1のメモリセルMC1a~MC1dに対してデータの読み出し処理が行われても構わない。
図7では、1回目の消去処理と2回目の消去処理との間に、第1のメモリセルMC1dへの書き込み処理が行われる場合を例示している。
【0131】
消去処理の実行回数が第1の所定の回数(
図7ではx回)に達したと判定した場合に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の回復処理を実行する。第1の回復処理は、第1の処理の一例である。
【0132】
第1の回復処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dの、それぞれのゲート絶縁層に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復電圧パルスRP1は、第1極性の第1の回復電圧Vrecovery1と第3のパルス幅w3を有する。
【0133】
第1の回復電圧パルスRP1は、第3の電圧パルスの一例である。第1の回復電圧Vrecovery1は、第3の電圧の一例である。
【0134】
第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値は、書き込み電圧Vwriteの絶対値以上である。
【0135】
また、第3のパルス幅w3は第1のパルス幅w1よりも大きい。第3のパルス幅w3は、例えば、第1のパルス幅の10倍以上である。また、第3のパルス幅w3は、例えば、第2のパルス幅w2よりも大きい。第3のパルス幅w3は、例えば、10msec以上1sec以下である。
【0136】
具体的には、例えば、ワード線WL1~WL4に20Vが印加される。また、ビット線BLはグラウンド電位に固定される。ワード線WL1~WL4が20V、第1の半導体層10aが0Vとなり、第1のメモリセルMC1a~MC1dのゲート絶縁層11に、20Vの第1の回復電圧Vrecovery1が印加される。
【0137】
第1の回復処理により、第1のメモリセルMC1a~MC1dのトンネル絶縁層14に生成されていたトラップ準位が減少し、トンネル絶縁層14の状態が回復する。また、第1の回復処理により、第1のメモリセルMC1a~MC1dの電荷蓄積層16に電子が蓄積される。
【0138】
第1の回復処理は、例えば、消去処理の直後に実行される。第1の回復処理は、消去処理の後に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理を行わずに実行される。
【0139】
なお、第1の回復処理は、例えば、メモリブロックMBiを単位として行われる。この場合、第1の回復処理は、第1のメモリストリングMS1と同じメモリブロックMBiに属する第2のメモリストリングMS2に属するメモリセルMCへも同時に実行される。すなわち、第2のメモリセルMC2a~MC2dへの第1の回復処理も、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の回復処理と同時に実行される。
【0140】
第1の回復処理において、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の回復電圧パルスRP1の印加は、第1のメモリセルMC1a~MC1dに対して一括して行われる。また、第1の回復処理において、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の回復電圧パルスRP1の印加は、第1のメモリセルMC1a~MC1dを複数のグループに分割しグループ毎に行われる。
【0141】
消去処理の実行回数が第1の所定の回数(
図7ではx回)に達していないと判定された場合には、第1の回復処理を実行しない。次の消去処理までの間に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dに対する書き込み処理又は読み出し処理が実行される。
【0142】
次に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の電荷除去処理を実行する。第1の電荷除去処理は、第2の処理の一例である。
【0143】
第1の電荷除去処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dのそれぞれのゲート絶縁層に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去電圧パルスCRP1は、第2極性の第1の電荷除去電圧Vremove1と第4のパルス幅w4とを有する。
【0144】
第1の電荷除去電圧パルスCRP1は第4の電圧パルスの一例である。第1の電荷除去電圧Vremove1は、第4の電圧の一例である。
【0145】
第1の電荷除去電圧Vremove1の絶対値は、消去電圧Veraseの絶対値以上である。第4のパルス幅w4は、例えば、第2のパルス幅w2以上である。
【0146】
具体的には、例えば、ワード線WL1~WL4はグラウンド電位に固定される。また、共通ソース線CSLには20Vが印加される。ワード線WL1~WL4が0V、第1の半導体層10aが20Vとなり、第1のメモリセルMC1a~MC1dのゲート絶縁層11に、-20Vの第1の電荷除去電圧Vremove1が印加される。
【0147】
第1の電荷除去処理により、第1のメモリセルMC1a~MC1dの電荷蓄積層16に蓄積されていた電子が除去される。第1の電荷除去処理により、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dの電荷蓄積層16に蓄積されていた電子が半導体層10側に引き抜かれる。結果的に、第1のメモリセルMC1a~MC1dのデータが消去された状態と同様の状態となる。
【0148】
第1の電荷除去処理は、例えば、第1の回復処理の直後に実行される。第1の電荷除去処理は、第1の回復処理の後に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理を行わずに実行される。
【0149】
なお、第1の電荷除去処理は、メモリブロックMBiを単位として行われる。このため、第1の電荷除去処理は、第1のメモリストリングMS1と同じメモリブロックMBiに属する第2のメモリストリングMS2に属するメモリセルMCへも同時に実行される。すなわち、第2のメモリセルMC2a~MC2dへの第1の電荷除去処理も、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の電荷除去処理と同時に実行される。
【0150】
第1の電荷除去処理の後に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理が実行される。また、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理が繰り返し行われる。第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去電圧パルスEPの印加が繰り返し行われる。
【0151】
第1の電荷除去処理の後、消去処理の実行回数が第2の所定の回数(
図7では2x回)に達したと判定した場合に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第2の回復処理を実行する。第2の回復処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dの、それぞれのゲート絶縁層に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復電圧パルスRP2は、第1極性の第2の回復電圧Vrecovery2と第3のパルス幅w3を有する。
【0152】
例えば、第2の回復電圧Vrecovery2は、第1の回復電圧Vrecovery1と等しい。
【0153】
第2の回復処理において、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第2の回復電圧パルスRP2の印加は、第1のメモリセルMC1a~MC1dに対して一括して行われる。また、第2の回復処理において、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第2の回復電圧パルスRP2の印加は、第1のメモリセルMC1a~MC1dを複数のグループに分割しグループ毎に行われる。
【0154】
次に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第2の電荷除去処理を実行する。第2の電荷除去処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dの、それぞれのゲート絶縁層に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。第2の電荷除去電圧パルスCRP2は、第2極性の第2の電荷除去電圧Vremove2と第4のパルス幅w4とを有する。
【0155】
例えば、第2の電荷除去電圧Vremove2は、第1の電荷除去電圧Vremove1と等しい。
【0156】
第2の電荷除去処理の後に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理が実行される。また、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理が繰り返し行われる。第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去電圧パルスEPの印加が繰り返し行われる。
【0157】
次に、第1の実施形態の半導体記憶装置及び半導体記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0158】
メモリセルに電界効果型トランジスタを用いる不揮発性の半導体記憶装置では、電界効果型トランジスタの閾値電圧が変動する場合がある。例えば、3次元NANDフラッシュメモリでは、メモリセルへの消去処理を繰り返すことで、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変動する場合がある。メモリセルトランジスタの閾値電圧が変動すると、例えば、メモリセルへの書き込み動作や、メモリセルの読み出し動作に誤動作が生じる場合がある。メモリセルトランジスタの閾値電圧が変動することで、3次元NANDフラッシュメモリの信頼性が低下する。
【0159】
図8及び
図9は、第1の実施形態の半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法の作用及び効果の説明図である。
【0160】
図8は、メモリセルに消去処理を繰り返した場合の、メモリセルトランジスタの閾値電圧の変動を示す図である。また、
図9は、メモリセルトランジスタの閾値電圧の変動の説明図である。
【0161】
例えば、メモリセルへの消去処理の際に、ゲート電極層に印加する電圧が負電圧となる場合を考える。
図8に示すように、メモリセルに消去処理を繰り返すと、メモリセルトランジスタの消去処理後の閾値電圧は負側に変動する。言い換えれば、メモリセルトランジスタの消去処理後の閾値電圧は低下する。
【0162】
発明者らの検討により、消去処理を繰り返した場合のメモリセルトランジスタの閾値電圧の変動は、メモリセルのシリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含むトンネル絶縁層に、トラップ準位が形成されるためであることが明らかになった。消去処理の際に印加される電圧ストレスにより、トンネル絶縁層にトラップ準位が形成される。消去処理の際に、トンネル絶縁層のトラップ準位に正孔(hole)がトラップされることで、メモリセルトランジスタの消去処理後の閾値電圧が低下すると考えられる。
【0163】
消去処理を繰り返すことで、トンネル絶縁層のトラップ準位は増加する。したがって、消去処理を繰り返すことで、正孔のトラップ量も増加する。よって、
図8に示すように、消去処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧の低下量も大きくなる。
【0164】
図9に示すように、メモリセルの消去処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧は、負側に変動する。閾値電圧が負側に変動したメモリセルに、書き込み処理を行う場合を考える。閾値電圧が負側に変動していることで、メモリセルのゲート電極層に正電圧の書き込み電圧Vwriteを印加した場合に、ゲート絶縁層に印加される電界強度が大きくなる。
【0165】
したがって、電荷蓄積層に蓄積される電子の量が多くなる。よって、
図9に示すように、書き込み処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧が正側に変動する。言い換えれば、書き込み処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧が上昇する。
【0166】
3次元NANDフラッシュメモリでは、選択されたメモリセルに対して読み出し処理を実行する場合、選択されたメモリセルと同じメモリストリングに属する非選択のメモリセルのゲート電極層には、全てのメモリセルの閾値電圧よりも高い読み出し電圧Vreadが印加される。非選択のメモリセルのゲート電極層に読み出し電圧Vreadを印加することで、非選択のメモリセルのチャネル抵抗が低減し、選択されたメモリセルのデータの読み出しが可能となる。
【0167】
しかし、
図9に示すように、書き込み処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧が上昇すると、非選択のメモリセルのゲート電極層に読み出し電圧Vreadを印加しても、非選択のメモリセルのメモリセルトランジスタがオン状態とならない場合がある。または、非選択のメモリセルのゲート電極層に読み出し電圧Vreadを印加しても、非選択のメモリセルのチャネル抵抗が十分に低減しない場合がある。
【0168】
非選択のメモリセルのメモリセルトランジスタがオン状態とならなかったり、非選択のメモリセルのチャネル抵抗が十分に低減しなかったりすると、選択されたメモリセルのデータの読み出しが実行できないおそれがある。言い換えれば、メモリセルの読み出し動作に誤動作が生じるおそれがある。
【0169】
第1の実施形態の半導体記憶装置は、メモリセルMCに対する第1の回復処理を実行可能な制御回路を備える。メモリセルMCに対して第1の所定の回数の消去処理が実行された後に、第1の回復処理を実行することで、シリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含むトンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位が減少する。
【0170】
トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位が減少することで、消去処理後のトンネル絶縁層14への正孔のトラップ量が減少する。したがって、消去処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧の低下が抑制できる。よって、書き込み処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧の上昇も抑制され、メモリセルの読み出し動作の誤動作が抑制される。よって、3次元NANDフラッシュメモリの信頼性が向上する。
【0171】
なお、第1の回復処理の実行のタイミングを定める、消去処理の実行回数の第1の所定の回数は、メモリセルMCの動作上許容される閾値電圧の変動量に基づき決定される。例えば、
図8では、閾値電圧の変動量が-0.1の場合の実行回数を第1の所定の回数とする場合を示している。
【0172】
第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値は、書き込み電圧Vwriteの絶対値以上であることで、トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位を減少させることが可能となる。トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位を減少させる観点から、第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値は、書き込み電圧Vwriteの絶対値より大きいことが好ましい。
【0173】
また、第3のパルス幅w3が第1のパルス幅w1よりも大きいことで、トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位を減少させることが可能となる。
【0174】
第3のパルス幅w3は、10msec以上1sec以下であることが好ましく、50msec以上500msec以下であることがより好ましい。第3のパルス幅w3が上記下限値より大きいことで、トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位を更に減少させることができる。また、第3のパルス幅w3が上記上限値より小さいことで、第1の回復処理の電圧ストレスにより、トンネル絶縁層14にトラップ準位が生成されることが抑制される。
【0175】
第3のパルス幅w3は、第1のパルス幅w1の10倍以上1000倍以下であることが好ましい。上記下限値より大きいことで、トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位を更に減少させることができる。また、上記上限値より小さいことで、第1の回復処理の電圧ストレスにより、トンネル絶縁層14にトラップ準位が生成されることが抑制される。
【0176】
トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位を更に減少させる観点から、第3のパルス幅w3は、第2のパルス幅w2よりも大きいことが好ましい。
【0177】
3次元NANDフラッシュメモリ100の動作シークエンスを簡潔にする観点から、第1の回復処理は、消去処理の直後に実行されることが好ましい。第1の回復処理は、消去処理の後に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理を行わずに実行されることが好ましい。
【0178】
第1の回復処理により、第1のメモリセルMC1a~MC1dの電荷蓄積層16に電子が蓄積される。第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第1の電荷除去処理を実行することにより、第1のメモリセルMC1a~MC1dの電荷蓄積層16に蓄積されていた電子が除去される。結果的に、第1のメモリセルMC1a~MC1dのデータが消去された状態と同様の状態となる。
【0179】
第1の電荷除去電圧Vremove1の絶対値が、消去電圧Veraseの絶対値以上であることで、電荷蓄積層16に蓄積されていた電子を除去することが可能となる。電荷蓄積層16に蓄積されていた電子を更に除去する観点から、第1の電荷除去電圧Vremove1の絶対値が、消去電圧Veraseの絶対値より大きいことが好ましい。
【0180】
電荷蓄積層16に蓄積されていた電子を更に除去する観点から、第4のパルス幅w4は、第2のパルス幅w2以上であることが好ましい。電荷蓄積層16に蓄積されていた電子を更に除去する観点から、第4のパルス幅w4は、第2のパルス幅w2より大きいことが更に好ましい。
【0181】
3次元NANDフラッシュメモリ100の動作シークエンスを簡潔にする観点から、第1の電荷除去処理は、第1の回復処理の直後に実行されることが好ましい。第1の電荷除去処理は、第1の回復処理の後に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理を行わずに実行されることが好ましい。
【0182】
以上、第1の実施形態によれば、メモリセルトランジスタの閾値電圧の変動が抑制され、高い信頼性を備えた半導体記憶装置が実現できる。
【0183】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体記憶装置は、第2の処理の後の複数の第1のメモリセルへの消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定可能であり、制御回路は、実行回数が第2の所定の回数に達したと判定した場合に、複数の第1のメモリセルへの第3の処理を実行可能であり、第3の処理は、複数の第1のメモリセルのゲート電極層のそれぞれと第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性で絶対値が第1の電圧の絶対値以上の第5の電圧と第3のパルス幅よりも大きい第5のパルス幅とを有する第5の電圧パルスを印加し、制御回路は、第3の処理の後に、複数の第1のメモリセルへの第4の処理を実行可能であり、第4の処理は、複数の第1のメモリセルのゲート電極層のそれぞれと第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第2極性で絶対値が第2の電圧の絶対値以上の第6の電圧と第6のパルス幅とを有する第6の電圧パルスを印加する点で、第1の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0184】
第2の実施形態の半導体記憶装置は、3次元NANDフラッシュメモリを含む。第2の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、いわゆる、MONOS型のメモリセルである。第2の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリは、第1の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリ100と同様の構造を備える。
【0185】
図10は、第2の実施形態の半導体記憶装置の制御を説明するタイミングチャートである。
図10は、第1のメモリストリングMS1に含まれる第1のメモリセルMC1a~MC1dのそれぞれのゲート絶縁層11に印加される電圧パルスを示す。
【0186】
第2の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリの、周辺回路120とコントローラ200は、第1の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定可能である。具体的には、コントローラ200の判定回路211が、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の実行回数と、内蔵メモリ220に記憶された消去処理の第2の所定の回数に基づき、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定する。
【0187】
また、周辺回路120とコントローラ200は、消去処理の実行回数が第2の所定の回数(
図10では2x回)に達したと判定した場合に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への第2の回復処理を実行可能である。第2の回復処理は、第3の処理の一例である。
【0188】
第2の回復処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層のそれぞれに、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復電圧パルスRP2は、第1極性で絶対値が書き込み電圧Vwriteの絶対値以上の第2の回復電圧Vrecovery2と、第3のパルス幅w3よりも大きい第5のパルス幅w5とを有する。
【0189】
第2の回復電圧パルスRP2は、第5の電圧パルスの一例である。第2の回復電圧Vrecovery2は、第5の電圧の一例である。
【0190】
また、周辺回路120とコントローラ200は、第2の回復処理の後に、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2への第2の電荷除去処理を実行可能である。第2の電荷除去処理は、第4の処理の一例である。
【0191】
第2の電荷除去処理は、例えば、複数の第1のメモリセルMC1及び複数の第2のメモリセルMC2のゲート絶縁層に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。第2の電荷除去電圧パルスCRP2は、第2極性で絶対値が消去電圧Verase以上の第2の電荷除去電圧Vremove2と、第4のパルス幅w4よりも大きい第6のパルス幅w6とを有する。例えば、第2の電荷除去電圧Vremove2は、第1の電荷除去電圧Vremove1と等しい。
【0192】
第2の電荷除去電圧パルスCRP2は、第6の電圧パルスの一例である。第2の電荷除去電圧Vremove2は、第6の電圧の一例である。
【0193】
第2の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリの制御方法において、第1の電荷除去処理の後に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理が実行される。また、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理が繰り返し行われる。第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去電圧パルスEPの印加が繰り返し行われる。
【0194】
消去処理の実行回数が第2の所定の回数(
図10では2x回)に達したと判定した場合に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第2の回復処理を実行する。第2の回復処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dの、それぞれのゲート絶縁層に、第1極性の第2の回復電圧Vrecovery2と第5のパルス幅w5を有する第2の回復電圧パルスRP2を印加する。
【0195】
第2の回復電圧Vrecovery2の絶対値は、第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値以上である。第2の回復電圧Vrecovery2の絶対値は、例えば、第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値と等しい。第5のパルス幅w5は、第3のパルス幅w3よりも大きい。
【0196】
次に、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの第2の電荷除去処理を実行する。第2の電荷除去処理は、第1のメモリセルMC1a~MC1dの、それぞれのゲート絶縁層に第2極性の第2の電荷除去電圧Vremove2と第6のパルス幅w6とを有する第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。
【0197】
第2の電荷除去電圧Vremove2の絶対値は、第1の電荷除去電圧Vremove1の絶対値以上である。第2の電荷除去電圧Vremove2の絶対値は、例えば、第1の電荷除去電圧Vremove1の絶対値と等しい。第6のパルス幅w6は、例えば、第4のパルス幅w4よりも大きい。
【0198】
第2の電荷除去処理の後に、例えば、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの書き込み処理又は読み出し処理が実行される。また、第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去処理が繰り返し行われる。第1のメモリセルMC1a~MC1dへの消去電圧パルスEPの印加が繰り返し行われる。
【0199】
例えば、第1の回復処理の後に、トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位の一部が回復せずに残存する場合を考える。この場合、第1の回復処理の第3のパルス幅w3と第2の回復処理の第5のパルス幅w5を等しくすると、第2の回復処理の後にトンネル絶縁層14に残存するトラップ準位が、第1の回復処理の後よりも更に増加するおそれがある。
【0200】
第2の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリにおいては、第2の回復処理の第5のパルス幅w5を第1の回復処理の第3のパルス幅w3よりも大きくする。第2の回復処理の第5のパルス幅w5を第1の回復処理の第3のパルス幅w3よりも大きくすることで、第2の回復処理の後にトンネル絶縁層14に残存するトラップ準位が、第1の回復処理の後よりも増加することを抑制できる。
【0201】
第2の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリにおいては、第2の回復処理の第5のパルス幅w5を第1の回復処理の第3のパルス幅w3よりも大きくする。このため、第2の回復処理により電荷蓄積層16に蓄積される電子の量が、第1の回復処理により電荷蓄積層16に蓄積される電子の量よりも多くなることが考えられる。この場合、第2の電荷除去処理の第6のパルス幅w6と第1の電荷除去処理の第4のパルス幅w4を等しくすると、電荷蓄積層16に蓄積されていた電子を第2の電荷除去処理で十分に除去できないおそれがある。
【0202】
第2の実施形態の3次元NANDフラッシュメモリにおいては、第2の電荷除去処理の第6のパルス幅w6を第1の電荷除去処理の第4のパルス幅w4よりも大きくすることが好ましい。第2の電荷除去処理の第6のパルス幅w6を第1の電荷除去処理の第4のパルス幅w4よりも大きくすることで、電荷蓄積層16に蓄積されていた電子を第2の電荷除去処理で十分に除去することが可能となる。
【0203】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態よりもメモリセルトランジスタの閾値電圧の変動が更に抑制され、高い信頼性を備えた半導体記憶装置が実現できる。
【0204】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体記憶装置は、電荷蓄積領域が導電体である点で、第1の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0205】
第3の実施形態の半導体記憶装置は、3次元NANDフラッシュメモリを含む。第3の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、いわゆる、フローティングゲート型のメモリセルである。
【0206】
図11は、第3の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの一部の模式断面図である。
図11は、第1の実施形態の
図6に対応する図である。
【0207】
ゲート絶縁層21は、トンネル絶縁層14、電荷蓄積層26、及び、ブロック絶縁層18を含む。トンネル絶縁層14は、第1の絶縁領域の一例である。ブロック絶縁層18は、第2の絶縁領域の一例である。電荷蓄積層26は、電荷蓄積領域の一例である。
【0208】
トンネル絶縁層14は、シリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含む。トンネル絶縁層14は、例えば、酸窒化シリコンを含む。トンネル絶縁層14は、例えば、酸窒化シリコン層である。
【0209】
トンネル絶縁層14は、複数の膜の積層構造を備えていても構わない。トンネル絶縁層14は、
図11に示すように、例えば、酸化シリコン膜14aと酸窒化シリコン膜14bの積層構造を含む。
【0210】
電荷蓄積層26は、トンネル絶縁層14とブロック絶縁層18との間に設けられる。
【0211】
電荷蓄積層26は、電荷を蓄積する機能を有する。電荷は、例えば、電子である。電荷蓄積層26に蓄積される電荷の量に応じて、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化する。この閾値電圧の変化を利用することで、1個のメモリセルがデータを記憶することが可能となる。
【0212】
電荷蓄積層26は、導電体である。電荷蓄積層26は、例えば、多結晶シリコンである。
【0213】
ブロック絶縁層18は、トンネル絶縁層14とワード線WLとの間に設けられる。ブロック絶縁層18は、電荷蓄積層26とワード線WLとの間に設けられる。
【0214】
ブロック絶縁層18は、絶縁体である。ブロック絶縁層18は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層である。
【0215】
以上、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、メモリセルトランジスタの閾値電圧の変動が抑制され、高い信頼性を備えた半導体記憶装置が実現できる。
【0216】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体記憶装置は、ゲート絶縁層が強誘電体を含む点で、第1の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0217】
第4の実施形態の半導体記憶装置は、3次元強誘電体メモリを含む。第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、ゲート絶縁層に強誘電体層を適用し、トランジスタの閾値電圧を変調するFerroelectric FET(FeFET)型の3端子型メモリである。
【0218】
図12は、第4の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの一部の模式断面図である。
図12は、第1の実施形態の
図6に対応する図である。
【0219】
ゲート絶縁層31は、絶縁層34、及び、強誘電体層17を含む。絶縁層34は、第1の絶縁領域の一例である。
【0220】
絶縁層34は、シリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含む。絶縁層34は、例えば、又は酸窒化シリコンを含む。絶縁層34は、例えば、酸窒化シリコン層である。
【0221】
絶縁層34は、複数の膜の積層構造を備えていても構わない。絶縁層34は、
図12に示すように、例えば、酸化シリコン膜34aと酸窒化シリコン膜34bの積層構造を含む。
【0222】
強誘電体層17は、絶縁層34とワード線WLとの間に設けられる。
【0223】
強誘電体層17の分極状態により、メモリセルMCのメモリセルトランジスタの閾値電圧が変化する。メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化することで、メモリセルトランジスタのオン電流が変化する。例えば、閾値電圧が高くオン電流が低い状態をデータ“0”、閾値電圧が低くオン電流が高い状態をデータ“1”と定義すると、メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0224】
強誘電体層17は、強誘電体を含む。強誘電体層17は、例えば、酸化ハフニウム及び酸化ジルコニウムの少なくともいずれか一方を含む酸化物である。
【0225】
以上、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、メモリセルトランジスタの閾値電圧の変動が抑制され、高い信頼性を備えた半導体記憶装置が実現できる。
【0226】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体記憶装置は、半導体層と、ゲート電極層と、シリコン(Si)、酸素(O)、及び窒素(N)を含む第1の絶縁領域を含み半導体層とゲート電極層との間に設けられたゲート絶縁層と、を含むメモリセルと、半導体層に電気的に接続された第1の配線及び第2の配線と、メモリセルを制御する制御回路と、を備える。制御回路は、メモリセルへの書き込み処理を実行可能であり、書き込み処理は、ゲート電極層と第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性の第1の電圧と第1のパルス幅とを有する第1の電圧パルスを印加する。制御回路は、メモリセルへの消去処理を実行可能であり、消去処理は、ゲート電極層と第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性と反対の第2極性の第2の電圧と第2のパルス幅とを有する第2の電圧パルスを印加する。制御回路は、メモリセルへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定可能である。制御回路は、実行回数が所定の回数に達したと判定した場合に、メモリセルへの第1の処理を実行可能であり、第1の処理は、ゲート電極層と第1の配線及び前記第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第1極性で絶対値が第1の電圧の絶対値以上の第3の電圧と第1のパルス幅よりも大きい第3のパルス幅とを有する第3の電圧パルスを印加する。制御回路は、第1の処理の後に、メモリセルへの第2の処理を実行可能であり、第2の処理は、ゲート電極層と第1の配線及び第2の配線の少なくともいずれか一方との間に第2極性で絶対値が第2の電圧の絶対値以上の第4の電圧と第4のパルス幅とを有する第4の電圧パルスを印加する。
【0227】
第5の実施形態の半導体記憶装置は、2次元NORフラッシュメモリを含む点で、第1の実施形態の半導体記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0228】
第5の実施形態の半導体記憶装置は、2次元NORフラッシュメモリを含む。第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、いわゆる、フローティングゲート型のメモリセルである。
【0229】
図13は、第5の実施形態の半導体記憶装置を含むメモリシステムのブロック図である。第5の実施形態のメモリシステムは、例えば、2次元NORフラッシュメモリ400、コントローラ500、及びホスト機器300を含む。第5の実施形態の半導体記憶装置は、例えば、2次元NORフラッシュメモリ400とコントローラ500を含む。
【0230】
2次元NORフラッシュメモリ400は、例えば、2次元NORフラッシュメモリチップである。また、コントローラ500は、例えば、コントローラチップである。
【0231】
図13に示すように、2次元NORフラッシュメモリ400は、メモリセルアレイ410と周辺回路420を含む。
【0232】
周辺回路420は、メモリセルアレイ410の周辺に設けられる。周辺回路420は、例えば、コントローラ500から受信した命令に応じて、メモリセルアレイ410の動作を制御する機能を備える。
【0233】
コントローラ500は、2次元NORフラッシュメモリ400を制御する。また、コントローラ500は、ホスト機器300から受信した命令に応答して、2次元NORフラッシュメモリ400にアクセスする。
【0234】
2次元NORフラッシュメモリ400の周辺回路420とコントローラ500が、第5の実施形態の制御回路の一例である。
【0235】
図13に示すように、コントローラ500は、プロセッサ510(CPU)、内蔵メモリ520(RAM、ROM)、NORインターフェース回路530、バッファメモリ540、ホストインターフェース回路550を備える。プロセッサ510は、判定回路511を含む。
【0236】
プロセッサ510は、コントローラ500全体の動作を制御する。プロセッサ510は、2次元NORフラッシュメモリ400を管理するための様々な処理を実行する機能を有する。判定回路511は、特定のメモリセルへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定することが可能である。
【0237】
内蔵メモリ520は、例えば、半導体メモリである。内蔵メモリ520は、例えば、プロセッサの作業領域として使用される。また、内蔵メモリ520は、例えば、2次元NORフラッシュメモリ400を管理するためのファームウェアや、各種の管理テーブルを記憶する。
【0238】
内蔵メモリ520は、例えば、2次元NORフラッシュメモリ400に含まれるメモリセルに対して実行された消去処理の実行回数を記憶する。また、内蔵メモリ520は、例えば、回復処理を実行するか否かの判定基準となる消去処理の所定の回数を記憶する。判定回路511は、内蔵メモリ520に記憶された消去処理の実行回数と、消去処理の所定の回数に基づき、特定のメモリセルへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定する。
【0239】
NORインターフェース回路530は、NORバスを介して2次元NORフラッシュメモリ400と接続される。NORインターフェース回路530は、2次元NORフラッシュメモリ400との通信を制御する機能を有する。
【0240】
バッファメモリ540は、例えば、メモリセルへの書き込みデータや、メモリセルからの読み出しデータを一時的に保管する機能を有する。
【0241】
ホストインターフェース回路550は、ホストバスを介してホスト機器300と接続される。ホストインターフェース回路550は、例えば、ホスト機器300から受信された命令をプロセッサ510に転送する。また、ホストインターフェース回路550は、例えば、ホスト機器300から受信されたデータを、バッファメモリ540に転送する。また、ホストインターフェース回路550は、例えば、プロセッサ510の命令に応答して、バッファメモリ540の中のデータをホスト機器300に転送する。
【0242】
図14は、第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の等価回路図である。
図14は、2次元NORフラッシュメモリ400のメモリセルアレイ410の一部の等価回路図である。
【0243】
メモリセルアレイ410は、
図14に示すように、複数のメモリセルMC、複数のソース線SL、複数のビット線BL、及び、複数のワード線WLを含む。複数のメモリセルMCは、メモリセルMCa、メモリセルMCb、メモリセルMCc、及び、メモリセルMCdを含む。複数のソース線SLは、第1のソース線SL1及び第2のソース線SL2を含む。複数のビット線BLは、第1のビット線BL1及び第2のビット線BL2を含む。複数のワード線WLは、第1のワード線WL1及び第2のワード線WL2を含む。
【0244】
複数のワード線WLは、互いに離間して平行に配置される。複数のビット線BLは、例えば、ワード線WLと交差する。複数のビット線BLは、互いに離間して平行に配置される。複数のソース線SLは、例えば、ワード線WLと交差する。複数のソース線SLは、互いに離間して平行に配置される。
【0245】
1本のソース線SL、1本のビット線BL、及び、1本のワード線WLを選択することにより1個のメモリセルMCが選択可能となる。ワード線WLは、メモリセルMCを構成するメモリセルトランジスタのゲート電極である。メモリセルトランジスタは、ゲート電極に印加される電圧によって、動作が制御される電界効果型トランジスタである。
【0246】
2次元NORフラッシュメモリ400は、メモリセルアレイ410に含まれる複数のメモリセルMCに対するランダムアクセスが可能となるように構成される。
【0247】
図15は、第5の実施形態の半導体記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
【0248】
メモリセルMCは、
図15に示すように、半導体層10、ワード線WL、ゲート絶縁層41を備える。半導体層10は、ソース領域10x、ドレイン領域10y、及び、チャネル領域10zを含む。ゲート絶縁層41は、トンネル絶縁層14、電荷蓄積層26、及び、ブロック絶縁層18を含む。
【0249】
ワード線WLは、ゲート電極層の一例である。トンネル絶縁層14は、第1の絶縁領域の一例である。ブロック絶縁層18は、第2の絶縁領域の一例である。電荷蓄積層26は、電荷蓄積領域の一例である。
【0250】
半導体層10は、例えば、単結晶シリコンである。ソース領域10x及びドレイン領域10yは、例えば、n形半導体である。チャネル領域10zは、例えば、p形半導体である。
【0251】
ソース領域10xにソース線SLが電気的に接続される。ドレイン領域10yにビット線BLが電気的に接続される。
【0252】
ワード線WLは、導電体である。ワード線WLは、例えば、金属である。
【0253】
トンネル絶縁層14は、半導体層10とワード線WLとの間に設けられる。トンネル絶縁層14は、半導体層10と電荷蓄積層26との間に設けられる。トンネル絶縁層14は、ワード線WLと半導体層10との間に印加される電圧に応じて電荷を通過させる機能を有する。
【0254】
トンネル絶縁層14は、シリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含む。トンネル絶縁層14は、例えば、又は酸窒化シリコンを含む。トンネル絶縁層14は、例えば、酸窒化シリコン層である。
【0255】
トンネル絶縁層14は、複数の膜の積層構造を備えていても構わない。トンネル絶縁層14は、
図15に示すように、例えば、酸化シリコン膜14aと酸窒化シリコン膜14bの積層構造を含む。
【0256】
電荷蓄積層26は、トンネル絶縁層14とブロック絶縁層18との間に設けられる。
【0257】
電荷蓄積層26は、電荷を蓄積する機能を有する。電荷は、例えば、電子である。電荷蓄積層26に蓄積される電荷の量に応じて、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化する。この閾値電圧の変化を利用することで、1個のメモリセルがデータを記憶することが可能となる。
【0258】
電荷蓄積層26は、導電体である。電荷蓄積層26は、例えば、多結晶シリコンである。
【0259】
ブロック絶縁層18は、トンネル絶縁層14とワード線WLとの間に設けられる。ブロック絶縁層18は、電荷蓄積層26とワード線WLとの間に設けられる。ブロック絶縁層18は、電荷蓄積層26とワード線WLとの間に流れる電流を阻止する機能を有する。
【0260】
ブロック絶縁層18は、絶縁体である。ブロック絶縁層18は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。ブロック絶縁層18は、例えば、酸化シリコン層である。
【0261】
図16は、第5の実施形態の半導体記憶装置の制御を説明するタイミングチャートである。
図16は、メモリセルアレイ410に含まれるメモリセルMCa~MCdのそれぞれのゲート絶縁層11に印加される電圧パルスを示す。
【0262】
2次元NORフラッシュメモリ400の周辺回路420とコントローラ500は、例えば、メモリセルアレイ410の中の複数のメモリセルMCを制御する。例えば、周辺回路420とコントローラ500は、メモリセルMCa~MCdを制御する。
【0263】
周辺回路420とコントローラ500は、例えば、メモリセルMCa~MCdから選ばれる任意の一つのメモリセルMCへのデータの書き込み処理を実行可能である。
【0264】
図16では、メモリセルMCc及びメモリセルMCdに書き込み処理を行う場合を例示している。この場合、例えば、メモリセルMCcは、メモリセルの一例である。この場合、例えば、第1のソース線SL1は第1の配線、第1のビット線BL1は、第2の配線の一例である。
【0265】
書き込み処理は、例えば、任意の一つのメモリセルMCのワード線WLと、ソース線SL又はビット線との間に、書き込み電圧パルスWPを印加する。書き込み処理は、例えば、任意の一つのメモリセルMCのワード線WLと、半導体層10との間に、書き込み電圧パルスWPを印加する。書き込み処理は、例えば、任意の一つのメモリセルMCのゲート絶縁層に、書き込み電圧パルスWPを印加する。
【0266】
例えば、メモリセルMCcの第2のワード線WL2と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、書き込み電圧パルスWPを印加する。また、例えば、メモリセルMCdの第2のワード線WL2と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、書き込み電圧パルスWPを印加する。
【0267】
書き込み電圧パルスWPは、第1極性の書き込み電圧Vwriteと第1のパルス幅w1とを有する。
【0268】
書き込み電圧パルスWPは、第1の電圧パルスの一例である。書き込み電圧Vwriteは、第1の電圧の一例である。
【0269】
また、周辺回路420とコントローラ500は、例えば、メモリセルMCa~MCdから選ばれる任意の一つのメモリセルMCへのデータの消去処理を実行可能である。
図16では、メモリセルMCa~MCdへの消去処理を同時に行う場合を例示している。
【0270】
消去処理は、例えば、メモリセルMCのワード線WLと、ソース線SL及びビット線のいずれか一方との間に、消去電圧パルスEPを印加する。消去処理は、例えば、メモリセルMCのワード線WLと、半導体層10との間に、消去電圧パルスEPを印加する。消去処理は、例えば、メモリセルMCのゲート絶縁層に、消去電圧パルスEPを印加する。
【0271】
消去処理は、例えば、第1のワード線WL1と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、消去電圧パルスEPを印加する。また、例えば、第1のワード線WL1と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、消去電圧パルスEPを印加する。また、例えば、第2のワード線WL2と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、消去電圧パルスEPを印加する。また、例えば、第2のワード線WL2と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、消去電圧パルスEPを印加する。
【0272】
消去電圧パルスEPは、第1極性と反対の第2極性の消去電圧Veraseと、第2のパルス幅w2とを有する。
【0273】
消去電圧パルスEPは、第2の電圧パルスの一例である。消去電圧Veraseは、第2の電圧の一例である。
図16における、消去電圧パルスEP1、消去電圧パルスEP2、消去電圧パルスEPx、消去電圧パルスEP2xは、第2の電圧パルスの一例である。
【0274】
例えば、メモリセルMCcのみを選択して消去処理を行うことも可能である。
【0275】
また、消去処理において、例えば、チャネル領域10zに接続される
図14に図示しない配線を用いて、メモリセルMCのワード線WLと半導体層10のチャネル領域10zとの間に、消去電圧パルスEPを印加することも可能である。この場合、チャネル領域10zに接続される
図14に図示しない配線が第1の配線又は第2の配線の一例となる。
【0276】
また、周辺回路420とコントローラ500は、メモリセルMCへの消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したか否かを判定可能である。具体的には、コントローラ500の判定回路511が、内蔵メモリ520に記憶された消去処理の実行回数と、内蔵メモリ520に記憶された消去処理の第1の所定の回数に基づき、メモリセルMCへの消去処理の実行回数が所定の回数に達したか否かを判定する。
【0277】
また、周辺回路420とコントローラ500は、消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したと判定した場合に、メモリセルMCへの第1の回復処理を実行可能である。第1の回復処理は、第1の処理の一例である。
【0278】
第1の回復処理は、例えば、消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したメモリセルMCのワード線WLと、ソース線SL及びビット線BLの少なくともいずれか一方との間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復処理は、例えば、消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したメモリセルMCのワード線WLと、半導体層との間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。第1の回復処理は、例えば、消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したメモリセルMCのゲート絶縁層に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。
【0279】
第1の回復処理は、例えば、第1のワード線WL1と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。また、例えば、第1のワード線WL1と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。また、例えば、第2のワード線WL2と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。また、例えば、第2のワード線WL2と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、第1の回復電圧パルスRP1を印加する。
【0280】
第1の回復電圧パルスRP1は、第1極性で絶対値が書き込み電圧Vwriteの絶対値以上の第1の回復電圧Vrecovery1と、第1のパルス幅w1よりも大きい第3のパルス幅w3とを有する。
【0281】
第1の回復電圧Vrecovery1は、第3の電圧の一例である。第1の回復電圧パルスRP1は、第3の電圧パルスの一例である。
【0282】
第3のパルス幅w3は、例えば、10msec以上1sec以下である。第3のパルス幅w3は、例えば、第1のパルス幅w1の10倍以上1000倍以下である。第3のパルス幅w3は、例えば、第2のパルス幅w2よりも大きい。
【0283】
第1の回復電圧Vrecovery1の絶対値は、例えば、書き込み電圧Vwriteの絶対値と等しくても良いし或いはそれよりも大きくても良い。
【0284】
周辺回路420とコントローラ500は、例えば、消去処理の直後に、第1の回復処理を実行可能である。周辺回路420とコントローラ500は、例えば、消去処理の後に、メモリセルMCのいずれにも書き込み処理を行わずに、第1の回復処理を実行可能である。
【0285】
例えば、消去処理の回数がメモリセルMC毎に異なる場合、消去処理の実行回数が第1の所定の回数に達したメモリセルMCのみを選択して消去処理を行うことも可能である。
【0286】
また、周辺回路420とコントローラ500は、第1の回復処理の後に、メモリセルMCへの第1の電荷除去処理を実行可能である。第1の電荷除去処理は、第2の処理の一例である。
【0287】
第1の電荷除去処理は、例えば、第1の回復処理を行ったメモリセルMCのワード線WLと、ソース線SL及びビット線BLの少なくともいずれか一方との間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去処理は、例えば、第1の回復処理を行ったメモリセルMCのワード線WLと、半導体層10との間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。第1の電荷除去処理は、例えば、第1の回復処理を行ったメモリセルMCのゲート絶縁層に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。
【0288】
第1の電荷除去処理は、例えば、第1のワード線WL1と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。また、例えば、第1のワード線WL1と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。また、例えば、第2のワード線WL2と、第1のソース線SL1及び第1のビット線BL1の少なくともいずれか一方との間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。また、例えば、第2のワード線WL2と、第2のソース線SL2及び第2のビット線BL2の少なくともいずれか一方との間に、第1の電荷除去電圧パルスCRP1を印加する。
【0289】
第1の電荷除去電圧パルスCRP1は、第2極性で絶対値が消去電圧Verase以上の第1の電荷除去電圧Vremove1と、第4のパルス幅w4とを有する。
【0290】
第1の電荷除去電圧パルスCRP1は、第4の電圧パルスの一例である。第1の電荷除去電圧Vremove1は、第4の電圧の一例である。
【0291】
第4のパルス幅w4は、例えば、第2のパルス幅w2よりも大きい。
【0292】
周辺回路420とコントローラ500は、例えば、第1の回復処理の直後に、第1の電荷除去処理を実行可能である。周辺回路420とコントローラ500は、例えば、第1の回復処理の後に、メモリセルMCのいずれにも書き込み処理を行わずに、第1の電荷除去処理を実行可能である。
【0293】
また、周辺回路420とコントローラ500は、第1の回復処理の後に、メモリセルMCへの消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定可能である。具体的には、コントローラ500の判定回路511が、内蔵メモリ520に記憶された消去処理の実行回数と、内蔵メモリ520に記憶された消去処理の第2の所定の回数に基づき、メモリセルMCへの消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したか否かを判定する。
【0294】
また、周辺回路420とコントローラ500は、消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したと判定した場合に、メモリセルMCへの第2の回復処理を実行可能である。
【0295】
第2の回復処理は、例えば、消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したメモリセルMCのワード線WLと、ソース線SL及びビット線BLの少なくともいずれか一方との間に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復処理は、例えば、消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したメモリセルMCのワード線WLと、半導体層との間に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。第2の回復処理は、例えば、消去処理の実行回数が第2の所定の回数に達したメモリセルMCのゲート絶縁層に、第2の回復電圧パルスRP2を印加する。
【0296】
第2の回復電圧パルスRP2は、第1極性で絶対値が書き込み電圧Vwriteの絶対値以上の第2の回復電圧Vrecovery2と、第1のパルス幅w1よりも大きい第3のパルス幅w3とを有する。例えば、第2の回復電圧Vrecovery2は、第1の回復電圧Vrecovery1と等しい。
【0297】
また、周辺回路420とコントローラ500は、第2の回復処理の後に、メモリセルMCへの第2の電荷除去処理を実行可能である。
【0298】
第2の電荷除去処理は、例えば、第2の回復処理を行ったメモリセルMCのワード線WLと、ソース線SL及びビット線BLの少なくともいずれか一方との間に、第2の電荷除去電圧Vremove2を印加する。第2の電荷除去処理は、例えば、第2の回復処理を行ったメモリセルMCのワード線WLと、半導体層10との間に、第2の電荷除去電圧Vremove2を印加する。第2の電荷除去処理は、例えば、第2の回復処理を行ったメモリセルMCのゲート絶縁層に、第2の電荷除去電圧パルスCRP2を印加する。
【0299】
第2の電荷除去電圧パルスCRP2は、第2極性で絶対値が消去電圧Verase以上の第2の電荷除去電圧Vremove2と、第4のパルス幅w4とを有する。例えば、第2の電荷除去電圧Vremove2は、第1の電荷除去電圧Vremove1と等しい。
【0300】
メモリセルへの消去処理の際に、ゲート電極層に印加する電圧が負電圧となる場合を考える。メモリセルに消去処理を繰り返すと、メモリセルトランジスタの消去処理後の閾値電圧は負側に変動する。言い換えれば、メモリセルトランジスタの消去処理後の閾値電圧は低下する。
【0301】
2次元NORフラッシュメモリにおいて、メモリセルトランジスタの閾値電圧が低下すると、メモリセルトランジスタのリーク電流が大きくなる。メモリセルトランジスタのリーク電流が大きくなると、例えば、2次元NORフラッシュメモリの消費電力が大きくなる。また、例えば、非選択のメモリセルのリーク電流が大きくなることで、選択されたメモリセルのデータの読み出しに誤動作が生じるおそれがある。このように、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変動することで、2次元NORフラッシュメモリの信頼性が低下する。
【0302】
第5の実施形態の半導体記憶装置は、メモリセルMCに対する第1の回復処理を実行可能な制御回路を備える。メモリセルMCに対して第1の所定の回数の消去処理が実行された後に、第1の回復処理を実行することで、シリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含むトンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位が減少する。
【0303】
トンネル絶縁層14に生成されたトラップ準位が減少することで、消去処理後のトンネル絶縁層14への正孔のトラップ量が減少する。したがって、消去処理後のメモリセルトランジスタの閾値電圧の低下が抑制できる。よって、2次元NORフラッシュメモリの信頼性が向上する。
【0304】
以上、第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用により、メモリセルトランジスタの閾値電圧の変動が抑制され、高い信頼性を備えた半導体記憶装置が実現できる。
【0305】
また、第1ないし第4の実施形態では、半導体層10がワード線WLに囲まれる構造を例に説明したが、半導体層10が2つに分割されたワード線WLに挟まれる構造とすることも可能である。この構造の場合、積層体30の中のメモリセルの数を2倍にすることが可能となる。
【0306】
また、第1ないし第4の実施形態では、1つのメモリ穴に1つの半導体層10を設ける構造を例に説明したが、1つのメモリ穴に2つ以上に分割された複数の半導体層10を設ける構造とすることも可能である。この構造の場合、積層体30の中のメモリセルの数を2倍以上にすることが可能となる。
【0307】
また、第1ないし第3の実施形態では、3次元構造のNANDフラッシュメモリを例に説明したが、NANDフラッシュメモリは2次元構造であっても構わない。
【0308】
また、第1ないし第3の実施形態では3次元NANDフラッシュメモリ、第4の実施形態では強誘電体メモリ、第5の実施形態では2次元NORフラッシュメモリを例に、説明したが、本発明は、メモリセルとして、ゲート絶縁層にシリコン(Si)、窒素(N)、及び酸素(O)を含む電界効果トランジスタを用いる、その他の半導体記憶装置にも適用することが可能である。
【0309】
また、第1ないし第5の実施形態では、第1極性が、ワード線WLが半導体層10に対して正電圧となる極性であり、第2極性が、ワード線WLが半導体層10に対して負電圧となる極性である場合を例に説明した。しかし、第1極性を、ワード線WLが半導体層10に対して負電圧となる極性とし、第2極性を、ワード線WLが半導体層10に対して正電圧となる極性とすることも可能である。
【0310】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0311】
10 半導体層
10a 第1の半導体層
10b 第2の半導体層
11 ゲート絶縁層
14 トンネル絶縁層(第1の絶縁領域、第3の絶縁領域)
16 電荷蓄積層(電荷蓄積領域)
17 強誘電体層
18 ブロック絶縁層(第2の絶縁領域)
21 ゲート絶縁層
26 電荷蓄積層(電荷蓄積領域)
31 ゲート絶縁層
41 ゲート絶縁層
110 メモリセルアレイ
120 周辺回路(制御回路)
200 コントローラ(制御回路)
500 コントローラ(制御回路)
510 メモリセルアレイ
520 周辺回路(制御回路)
w1 第1のパルス幅
w2 第2のパルス幅
w3 第3のパルス幅
w4 第4のパルス幅
w5 第5のパルス幅
w6 第6のパルス幅
BL ビット線(第2の配線、第3の配線)
BL1 第1のビット線(第2の配線)
CRP1 第1の電荷除去電圧パルス(第4の電圧パルス)
CRP2 第2の電荷除去電圧パルス(第6の電圧パルス)
CSL 共通ソース線(第1の配線)
EP 消去電圧パルス(第2の電圧パルス)
MCb 第2のメモリセル
MCc 第1のメモリセル
MC1 第1のメモリセル
MC2 第2のメモリセル
RP1 第1の回復電圧パルス(第3の電圧パルス)
RP2 第2の回復電圧パルス(第5の電圧パルス)
SL1 第1のソース線(第1の配線)
Verase 消去電圧(第2の電圧)
Vrecovery1 第1の回復電圧(第3の電圧)
Vrecovery2 第2の回復電圧(第5の電圧)
Vremove1 第1の電荷除去電圧(第4の電圧)
Vremove2 第2の電荷除去電圧(第6の電圧)
Vwrite 書き込み電圧(第1の電圧)
WL ワード線(ゲート電極層)
WP 書き込み電圧パルス(第1の電圧パルス)