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特開2024-159142方向調整装置、無線通信システム、方向調整支援方法、方向調整方法およびプログラム
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  • 特開-方向調整装置、無線通信システム、方向調整支援方法、方向調整方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159142
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】方向調整装置、無線通信システム、方向調整支援方法、方向調整方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20241031BHJP
   H04B 7/10 20170101ALI20241031BHJP
   H01Q 3/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01Q1/12 B
H04B7/10 A
H01Q3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074947
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】大川 敬
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021DA06
5J021GA02
5J021HA05
5J047AA02
5J047AA18
5J047AB05
5J047BB07
5J047BB12
5J047BB16
(57)【要約】
【課題】短時間でのアンテナ方向の調整を可能にする方法を提供する。
【解決手段】方向調整装置は、自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する自局位置情報取得手段と、対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する対向局位置情報取得手段と、前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出する方向算出手段と、前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出する方向検手段と、前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示する表示手段と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する自局位置情報取得手段と、
対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する対向局位置情報取得手段と、
前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出する方向算出手段と、
前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出する方向検手段と、
前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示する表示手段と、
を備える方向調整装置。
【請求項2】
前記表示手段は、アジマス方向とエレベーション方向のそれぞれについて、前記ターゲット方向と前記現在方向を表示する、
請求項1に記載の方向調整装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記現在方向と前記ターゲット方向の差を視認可能に表示し、前記自局のアンテナの方向が調整されると、調整後の前記自局のアンテナの方向に応じて前記現在方向を表示しなおす、
請求項1又は請求項2に記載の方向調整装置。
【請求項4】
アンテナと、
無線装置と、
請求項1又は請求項2に記載の方向調整装置と、
を含む無線通信システム。
【請求項5】
前記方向調整装置が前記アンテナに設けられている、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記方向調整装置が前記無線装置に設けられている、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
カメラおよび/又はレーザをさらに備える、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項8】
自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、
対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、
前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出するステップと、
前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出するステップと、
前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示するステップと、
を有する方向調整支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方向調整支援方法によって表示される前記ターゲット方向と前記現在方向とが一致するように、前記自局のアンテナの方向を調整する、
方向調整方法。
【請求項10】
コンピュータに、
自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、
対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、
前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出するステップと、
前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出するステップと、
前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向調整装置、無線通信システム、方向調整支援方法、方向調整方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Point-To-Pointの携帯電話基地局間通信において、指向性を有するアンテナを用いて自局ならびに対向局で無線通信が行われる。そのような無線通信システムにおいて、それぞれの局でアンテナの方向調整を行わなければ電波の受信レベルが低下し、通信品質の低下が生じる。
【0003】
特許文献1には、互いに対向する一対のアンテナにおいて、一方のアンテナから信号を送信し、他方のアンテナの方向の調整を行い、調整完了後に他方のアンテナから一方のアンテナへ信号を送信して、一方のアンテナの方向の調整を行うという処理を繰り返して、一対のアンテナの方向を調整する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、互いに対向する一対のアンテナのそれぞれにアンテナ設置支援装置が取り付けられ、一方のアンテナ側のアンテナ設置支援装置は、他方のアンテナ側のアンテナ設置支援装置に無線信号の送信を要求し、一方のアンテナにおける受信レベルに基づいてアンテナ方向の調整を行い、調整後の受信レベルを他方のアンテナ設置支援装置に送信し、他方のアンテナ側のアンテナ設置支援装置が、受信した受信レベルに基づいて方向角などを算出し、アンテナ方向の調整を行う方法が開示されている。
【0005】
特許文献1、2に開示されたアンテナ方向の調整方法では、一方のアンテナ方向の調整を止めて、その間に対向局で受信レベルを測定するなどの作業を行う必要があり、双方の局で同時にアンテナの方向調整を実施することができない。対向局がアンテナ方向の調整をしている間は、自局では待機時間が生じるため、Point-To-Pointの無線装置の設置取り付け作業には時間を有し、かつ熟練の設置作業員が複数名必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2018/168275号
【特許文献2】特開2015-177483号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】片岡義明,スマホ位置情報の精度が向上、“高さ”特定可能に。日本で10月より「垂直測位サービス」提供開始~MetCom、[2023年04月20日検索]、インターネット<https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu3/1441013.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方の局のアンテナ方向調整の間に他方の局のアンテナ方向調整を止める必要が無く、短時間で一対のアンテナ方向を調整可能にする技術が望まれている。
【0009】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する方向調整装置、無線通信システム、方向調整支援方法、方向調整方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、方向調整装置は、自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する自局位置情報取得手段と、対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する対向局位置情報取得手段と、前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出する方向算出手段と、前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出する方向検手段と、前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示する表示手段と、を備える。
【0011】
本発明の一態様によれば、無線通信システムは、アンテナと、無線装置と、上記の方向調整装置と、を含む。
【0012】
本発明の一態様によれば、方向調整支援方法は、自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出するステップと、前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出するステップと、前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示するステップと、を有する。
【0013】
本発明の一態様によれば、方向調整方法は、上記の方向調整支援方法によって表示される前記ターゲット方向と前記現在方向とが一致するように、前記自局のアンテナの方向を調整する、方向調整方法である。
【0014】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得するステップと、前記自局の位置情報と前記対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出するステップと、前記自局のアンテナ方向である現在方向を検出するステップと、前記ターゲット方向と前記現在方向とを表示するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、短時間で一対のアンテナの方向を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。
図2】一対の無線通信システムを示す図である。
図3】第1実施形態に係る一対の無線通信システムを示す第1の図である。
図4】第1実施形態に係る一対の無線通信システムを示す第2の図である。
図5A】第1実施形態に係る調整ユニットの取付位置の一例を示す第1の図である。
図5B】第1実施形態に係る調整ユニットの取付位置の一例を示す第2の図である。
図6】第1実施形態に係るアンテナ方向調整処理の一例を示す第1の図である。
図7】第1実施形態に係るアンテナ方向調整処理の一例を示す第2の図である。
図8】第1実施形態に係るアンテナ方向調整処理の一例を示す第3の図である。
図9】第1実施形態に係る支援画像の一例を示す第1の図である。
図10】第1実施形態に係る支援画像の一例を示す第2の図である。
図11】第2実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。
図12】第3実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。
図13】最小構成を有する方向調整装置の構成を示すブロック図である。
図14】最小構成を有する方向調整装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態に係る方向調整装置およびアンテナ方向調整方法について図面を参照して説明する。以下の説明に用いる図面において本発明に関係ない部分の構成については、記載を省略し、図示しない場合がある。
【0018】
<第1実施形態>
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システム100の一例を示す図である。
無線通信システム100は、方向調整装置1と、スマートフォン2と、無線装置5と、アンテナ6と、ケーブル7~8と、を備える。
【0019】
方向調整装置1は、アンテナ6の方向調整作業を支援する機能を備える。以下で説明するように、方向調整装置1を用いることによって、一対のアンテナ間で方向調整のための信号等のやり取りが必要なく、双方の局で同時並行的、且つ、高精度にアンテナ6の方向調整を行うことができる。一方の局のアンテナ方向調整の間に他方の局のアンテナ方向調整を止める必要が無いため、短時間でアンテナの方向調整を行うことができる。方向調整装置1は、CPU(Central Processing Unit)3とモニタ画面4とを備えている。CPU3は、アンテナ6が向く方向の演算や、モニタ画面4に表示する情報を生成するために用いられる。方向調整装置1は、CPU3に加えて、又は、CPU3の代わりに、演算機能のあるASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)等のIC(Integrated Circuit)を備えていてもよい。モニタ画面4は、アンテナ6の方向調整を支援する情報(支援画像と称する。)を表示する。例えば、モニタ画面4には、現在のアンテナ6の方向とターゲット方向ならびに受信レベルのターゲット値と現在の状態が表示される。
【0020】
スマートフォン2は、位置情報を測定するために用いられ、測定した位置情報を方向調整装置1のCPU3へ入力するインターフェース機能を有する。スマートフォン2の代わりに、位置情報が測定でき、測定した位置情報をCPU3へ入力するインターフェース機能を有する任意の装置を用いることができる。例えば、インターネットに接続されたPC(personal computer)やタブレット端末などの情報処理装置を用いることができる。
【0021】
無線装置5は、例えば、Point-To-PointのFDD(Frequency Division Duplex)方式による無線通信が可能な機器である。
アンテナ6は、無線通信に用いられる電波の送受信を行う。アンテナ6は、Azimuth(アジマス:方位角)ならびにElevation(エレベーション:仰角)方向で角度調整が可能である。
【0022】
ケーブル7は、無線装置5と方向調整装置1、特にCPU3とを接続するケーブルである。無線装置5と方向調整装置1でやり取りする情報は、例えば、アンテナ6が受信した電波の強さを電界によって表した電界強度のモニタ値である。電圧等のアナログ情報でやり取りする場合は、CPU3が電圧等から電界強度を演算し、モニタ画面4に電界強度を表示させる。無線装置5と方向調整装置1とが、無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)等の無線通信手段で通信可能な場合には、ケーブル7は必要なく、これらの無線通信手段で、電界強度などをやり取りしてもよい。
【0023】
ケーブル8は、スマートフォン2と方向調整装置1、特にCPU3とを接続するケーブルである。やり取りする情報は、スマートフォン2の位置情報、例えば、経度、緯度ならびに高さといった3次元情報を、ケーブル8を通じてCPU3へ入力する。また、スマートフォン2は、対向局の経度、緯度ならびに高さを取得し、それらの位置情報を自局同様に、ケーブル8を通じてCPU3へ入力してもよい。対向局の経度、緯度ならびに高さの情報は、スマートフォン2が、対向局のスマートフォン等から無線通信により取得してもよいし、ユーザが、対向局の経度、緯度ならびに高さをスマートフォン2へ入力してもよい(又は、スマートフォン2を介すること無く、直接、方向調整装置1へ入力してもよい)。スマートフォン2と方向調整装置1とが、無線LANやBluetooth(登録商標)等の無線通信手段で通信可能な場合には、ケーブル8は必要なく、これらの無線通信手段で位置情報のやり取りを行ってもよい。
【0024】
以下、方向調整装置1と、ケーブル8と、スマートフォン2とを含んで調整ユニット9と称する。
【0025】
(アンテナ方向調整の手順)
次に図2図5Bを参照して、本実施形態に係るアンテナ方向調整の手順について説明する。
図2に一対の無線通信システムを示す。図2おいて無線装置5aと無線装置5bは対向する一対の無線装置である。無線装置5a、5bには、それぞれアジマス方向ならびにエレベーション方向に調整が可能なアンテナ6a、6bが取り付けられている。また、無線装置5a、5bは、それぞれ鉄塔等に設けられているポール15,16に設置されている。この状態ではアンテナ方向調整がされていないため通信品質が保たれていない。
【0026】
図3に、図2に示した一対の無線通信システムのそれぞれに方向調整装置1を接続したときの図を示す。図3において、調整ユニット9a,9bは、図1で例示した方向調整装置1、スマートフォン2およびケーブル8から構成される調整ユニット9である。図示は省略するが、以下では、調整ユニット9aに含まれる方向調整装置1、スマートフォン2、ケーブル8をそれぞれ方向調整装置1a、スマートフォン2a、ケーブル8aのように記載し、方向調整装置1aが備えるCPU3、モニタ画面4をCPU3a、モニタ画面4aのように記載する。調整ユニット9bに含まれる構成についても同様に記載する。
また、調整ユニット9a,9bを含む無線通信システム100を、それぞれ無線通信システム100a,100bのように記載する。
【0027】
調整ユニット9aはケーブル7aによって無線装置5aと接続され、調整ユニット9bはケーブル7bによって無線装置5bと接続されている。この状態で、アンテナ6aの方向を調整する作業員Aは、調整ユニット9aに含まれるモニタ画面4aに表示されるアンテナ6aの正しいアジマス方向とエレベーション方向を案内する画像を見ながらアンテナ6aの方向を調整する。このとき、対向局(アンテナ6b側)とのやり取りは発生しない。また、アンテナ6bの方向を調整する作業員Bは、調整ユニット9bに含まれるモニタ画面4bに表示される正しいアジマス方向とエレベーション方向を案内する画像を見ながらアンテナ6bの方向を調整する。このとき、対向局(アンテナ6a側)とのやり取りは発生しない。対向局とのやりとりが発生しない為、作業員Aと作業員Bは互いに独立して、同時並行的にアンテナ6a、6bの方向調整を行うことができる。図4にアンテナ6a,6bを方向調整したことにより通信品質が保たれている状態を示す。
【0028】
なお、アンテナ6aの正しいアジマス方向とエレベーション方向は、スマートフォン2aの緯度、経度および高さ情報と、スマートフォン2bの緯度、経度および高さ情報とから算出される。より具体的には、CPU3aは、スマートフォン2bの緯度からスマートフォン2aの緯度を引いた値、スマートフォン2bの経度からスマートフォン2aの経度を引いた値を、正しいアジマス方向として算出し、スマートフォン2bの高さ情報からスマートフォン2aの高さ情報を引いた値を、正しいエレベーション方向として算出する。CPU3aは、算出した正しいアジマス方向とエレベーション方向をモニタ画面4aに表示させる。また、CPU3aは、方向調整装置1a又はスマートフォン2aが備えるジャイロセンサー等が測定する姿勢情報に基づいて、現在アンテナ6aが向いている方向(アジマス方向とエレベーション方向)を算出し、モニタ画面4aにそれらを表示させる。このとき、CPU3aは、正しいアジマス方向と現在のアンテナ6aのアジマス方向の差、正しいエレベーション方向と現在のアンテナ6aのエレベーション方向の差がそれぞれ視認可能な表示を行う。作業者aは、モニタ画面4aに表示された正しいアジマス方向とエレベーション方向に、現在アンテナ6aが向いている方向を合わせることによって、アンテナ6aの方向調整を行う。緯度と経度は、スマートフォン2が有する、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用してスマートフォン2の位置情報を測定する機能によって得ることができる。高さ情報については、スマートフォン2に内蔵されている気圧センサーが測定した情報を利用して、垂直方向の高度を測定する方法が非特許文献1に開示されており、例えば、この方法により、スマートフォン2の高さ情報を測定することができる。あるいは、高さ情報については、緯度経度と同様に衛星測位システムを利用して測定された値を取得してもよい。スマートフォン2aの位置情報をアンテナ6aの位置、スマートフォン2bの位置情報をアンテナ6bの位置とみなせば、アンテナ6aからみたアンテナ6bの方向、つまり、アンテナ6aの正しいアジマス方向とエレベーション方向を、上記したCPU3aによる位置情報の差の演算により算出することができる。同様に、CPU3bも、アンテナ6a,6bの緯度、経度、高さ情報の引き算により、アンテナ6bの正しいアジマス方向とエレベーション方向を算出し、その算出結果をモニタ画面4bに表示する。作業者Bは、モニタ画面4bに表示された正しいアジマス方向とエレベーション方向に、アンテナ6bの方向を合わせることによって、アンテナ6bの方向調整を行う。
【0029】
図5Aに、調整ユニット9bをアンテナ6bにおける所定の位置に取り付ける例を示す。図には、調整ユニット9bを取り付ける例を示しているが、位置情報を測定するスマートフォン2bのみをアンテナ6bに取り付けるようにしてもよい。スマートフォン2bをアンテナ6bに取り付けることで、アンテナ6bの位置変化とスマートフォン2の位置変化が連動する。アンテナ6bを3次元的に動かすとスマートフォン2bのジャイロセンサー等が測定するスマートフォン2bの姿勢情報にその動きが反映され、モニタ画面4に表示される現在のアンテナ6bの方向に反映される。同様に、対向するアンテナ6aの所定位置にスマートフォン2a又は調整ユニット9aを取り付けるようにする。これにより、正確なアンテナ6bの方向がリアルタイムにモニタ画面4aに表示される。作業員A、Bは、それぞれ、モニタ画面4a,4bに表示される正しいアンテナ方向と現在のアンテナ方向を確認しながら両者が一致するようにアンテナ6a,6bの方向調整を行う。これにより高精度にアンテナ6a、6bの方向を調整することができるようになる。
【0030】
図5Bに、調整ユニット9bを無線装置5bにおける所定の位置に取り付ける例を示す。図には、調整ユニット9bを取り付ける例を示しているが、スマートフォン2bのみを無線装置5bに取り付けるようにしてもよい。図5Bに例示する取り付け位置は、例えば、無線装置5bとアンテナ6bの位置および方向(角度)の関係が常に一定の場合に有効である。つまり、アンテナ6bの方向を調整する際には、無線装置5bごと方向を調整するような構成の場合、無線装置5bにスマートフォン2bを取り付けることで、アンテナ6bおよび無線装置5bの動きとスマートフォン2bにて測定される姿勢情報が連動し、モニタ画面4bには、現在のアンテナ6bの方向とターゲットとなる方向とが表示される。同様に、対向するアンテナ6aと無線装置5aの位置及び方向の関係が一定の場合、無線装置5aの所定位置にスマートフォン2a又は調整ユニット9aを取り付けてもよい。これにより、アンテナ6a及び無線装置5aの動きに応じて、正確な現在のアンテナ6aの方向をリアルタイムにモニタ画面4aに表示させることができ、高精度にアンテナ6aの方向を調整することができるようになる。図5A図5Bの違いは、無線装置5bとアンテナ6bとの位置および角度の関係がアンテナ6bの方向が変わっても一定であるか否かである。
【0031】
(動作)
次に図6図8を参照して、図2図5Bを参照して説明したアンテナ方向調整の手順における、無線通信システム100a、100bでの処理の流れを説明する。
図6ならびに図7に、自局側の方向調整装置1aと対向局の方向調整装置1bにおけるフローを示す。
双方の無線通信システム100a、100bでアンテナ方向調整を開始する(ステップS1)。無線通信システム100a、100bには、それぞれ調整ユニット9a、9bが接続されている。
まず、スマートフォン2aの測位機能を有するアプリケーションプログラム(アプリと称する。)を用いて、スマートフォン2aの設置場所の経度、緯度ならびに高さ情報を取得する(ステップS10)。
同様に、スマートフォン2bの測位用のアプリを用いて、スマートフォン2bの設置場所の経度、緯度ならびに高さ情報を取得する(ステップS20)。
【0032】
次にスマートフォン2aが、取得した位置情報(緯度、経度、高さ情報)を方向調整装置1aのCPU3aへ入力する(ステップS11)。CPU3aは、スマートフォン2aの位置情報を取得する。位置情報は、スマートフォン2aからCPU3aへ直接的に入力してもよいし、作業員Aがスマートフォン2aによって測定された位置情報を方向調整装置1aへ入力してもよい。
同様に、スマートフォン2bは、取得した位置情報(緯度、経度、高さ情報)を方向調整装置1bのCPU3bへ入力する(ステップS21)。
【0033】
次に、自局側で、対向局の経度、緯度、高さ情報を取得する(ステップS12)。例えば、自局の作業員Aが、対向局の作業員Bから、スマートフォン2bによって測定された位置情報を電話、メール、SNS等によって取得してもよい。あるいは、スマートフォン2bが、自装置の位置情報をスマートフォン2aへ送信し、スマートフォン2aが、スマートフォン2bの位置情報を取得してもよい。
同様に、対向局が、自局側の経度、緯度、高さ情報を取得する(ステップS22)。例えば、作業員Bが、作業員Aへスマートフォン2aの位置情報を通知してもよいし、スマートフォン2aが、自装置の位置情報をスマートフォン2bへ送信してもよい。
【0034】
次にスマートフォン2aが、対向局(スマートフォン2b)の緯度、経度、高さ情報を方向調整装置1aのCPU3aへ入力する(ステップS13)。CPU3aは、スマートフォン2bの位置情報を取得する。位置情報は、スマートフォン2aからCPU3aへ入力してもよいし、作業員Aが対向局の位置情報を方向調整装置1aへ入力してもよい。
同様に、スマートフォン2bは、対向局(スマートフォン2a)の緯度、経度、高さ情報を方向調整装置1aのCPU3aへ入力する(ステップS23)。
【0035】
次に、CPU3aが、アンテナ6aの方向と角度を算出する(ステップS14)。CPU3aは、対向局の緯度、経度、高さから自局の緯度、経度、高さをそれぞれ減算して、アンテナ6aが向くべき方位角(方向)と仰角(角度)を算出する。CPU3aは、算出結果をモニタ画面4aへ表示させる。モニタ画面4aに表示される情報の一例については、後に図9図10に例示する。
【0036】
同様に、CPU3bが、アンテナ6bの方向と角度を算出する(ステップS24)。CPU3bは、対向局の緯度、経度、高さから自局の緯度、経度、高さをそれぞれ減算して、アンテナ6bが向くべき方位角(方向)と仰角(角度)を算出する。CPU3bは、算出結果をモニタ画面4bへ表示させる。
【0037】
次に、作業員Aはスマートフォン2aをアンテナ6aに取り付けるか(図5A)、又は、無線装置5aに取り付ける(図5B)。スマートフォン2aをアンテナ6a等に取り付けることによって、モニタ画面4aに表示される現在のアンテナ6aの方向を、実際のアンテナ6aの方向に合わせることができる。作業員Bはスマートフォン2bをアンテナ6bに取り付けるか(図5A)、又は、無線装置5bに取り付ける(図5B)。この取付作業は、ステップS1の前に行われていてもよい。
【0038】
次に作業員Aは、スマートフォン2aのモニタ画面4aに表示される支援画像(例えば、図9図10)を用いて、アンテナ6aの疎調整を実施する(ステップS15)。ここでの目的は対向局の位置を捉えることである。
同様に、作業員Bは、スマートフォン2bのモニタ画面4bに表示される支援画像を用いて、アンテナ6bの疎調整を実施する(ステップS25)。
【0039】
次に、作業員Aは、モニタ画面4aに表示される支援画像を参照しながら、最終的なアライメントを実施する(ステップS16)。例えば、作業員Aは、図9図10に例示する方向43と方向41とが一致し、方向42と方向44とが一致するようにアンテナ6aを調整する。同様に、作業員Bは、モニタ画面4bに表示される支援画像を参照しながら、最終的なアライメントを実施する(ステップS26)。
【0040】
次に、RSL(Receiver Signal Level)を取得する。例えば、対向局から電波信号を送信し、アンテナ6aでその電波信号を受信し、ケーブル7aを無線装置5aに接続してCPU3aでRSL値を読み取る(ステップS17)。CPU3aは、読み取ったRSL値をモニタ画面4aへ表示する。同様に、対向局側でもRSL値を取得する(ステップS27)。CPU3bは、読み取ったRSL値をモニタ画面4bへ表示する。
【0041】
次に、作業員Aは、モニタ画面4aに表示されたRSL値と所定のターゲット値とを比較し、RSL値がターゲット値以上であれば受信レベルは問題ないと判定する(ステップS18)。この判定は、CPU3aが行い、判定結果をモニタ画面4aへ表示するようにしてもよい。判定結果が問題なしの場合(ステップS18;Y)、アンテナ6aの方向調整を終了する。問題があれば(ステップS18;N)、ステップS16からの処理を繰り返し行う。
【0042】
同様に、作業員Bは、モニタ画面4bに表示されたRSL値と所定のターゲット値とを比較し、受信レベルの判定を行う(ステップS28)。判定結果が問題なしの場合(ステップS28;Y)、アンテナ6aの方向調整を終了する。問題があれば(ステップS28;N)、ステップS26からの処理を繰り返し行う。
【0043】
次に図8を参照して、図7のステップS14~S15の処理をより詳細に説明する。ここでは、自局(アンテナ6a)側を例に説明を行うが、対向局についてのステップS24~S25についても同様である。
CPU3aは、自局と対向局の経度と緯度の差分を算出する(ステップS31)。
次にCPU3aは、算出された差分からターゲットとなる方向(方位角)をモニタ画面4に表示する(ステップS32)。
作業員Aは、アンテナ6aのアジマス方向の調整を行う(ステップS33)。その際、スマートフォン2aや方向調整装置1aに内蔵されているMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサーやジャイロセンサーを用いて測定されたスマートフォン2a等の姿勢情報に連動するアンテナ6aのアジマス方向が、ステップS32で表示されたターゲット値になるようにアンテナ6aのアジマス方向の調整を行う。その際、作業員Aは、スマートフォン2a等の調整前の位置が基準となるように、基準点調整(ゼロ点調整)を実施する。
次にCPU3aは、自局と対向局の高さ情報の差分を算出する(ステップS34)。
CPU3aは、算出された差分からターゲットとなる方向(仰角)をモニタ画面4に表示する(ステップS35)。
作業員Aは、アンテナ6aのエレベーション方向の調整を行う(ステップS36)。その際、スマートフォン2aや方向調整装置1aに内蔵されているMEMSセンサーやジャイロセンサーを用いて測定されたスマートフォン2a等の姿勢情報に連動するアンテナ6aのエレベーション方向が、ステップS35で表示されたターゲット値になるようにアンテナ6aのエレベーション方向の調整を行う。その際、作業員Aは、スマートフォン2a等の調整前の位置が基準となるように、基準点調整(ゼロ点調整)を実施する。
【0044】
図9図10に、CPU3aがモニタ画面4aへ表示する支援画像の一例を示す。
図9の左側に示す支援画像40aは、ステップS15の疎調整前にモニタ画面4aへ表示される支援画像の一例である。支援画像40aには、アジマス方向のターゲット方向41とエレベーション方向のターゲット方向42とが表示されている。また、方向調整装置1又はスマートフォン2のジャイロセンサー等によって測定された現在のアンテナ6aのアジマス方向43とエレベーション方向44が表示されている。方向41と方向43は始点を共有し、アジマス方向の差が視認可能なように表示されている。方向42と方向44は始点を共有し、エレベーション方向の差が視認可能なように表示されている。更に、支援画像40aには、RSLのターゲット値を表示する表示欄45と、現在の実際のRSL値を表示する表示欄46が設けられており、図7のステップS17では、所定のターゲット値が表示欄45に表示され、CPU3aが読み取ったRSL値が表示欄46に表示される。作業員Aは、支援画像40aを参照して、図示する方向43が方向41と一致するようにアンテナ6aのアジマス方向を調整する(ステップS33)。
【0045】
アンテナ6aのアジマス方向が調整されると、CPU3aは、ジャイロセンサー等によって検出される調整後のアンテナ6aの方向に応じて支援画像40aの方向43を表示しなおす。図9の右図に、アジマス方向調整後の支援画像40bの一例を示す。支援画像40bでは、ターゲット方向41と現在のアジマス方向43が一致している。このように、対向局とは関係なく、自局のモニタ画面4aに表示される支援画像40a等のターゲット方向41とアンテナ6aの現在のアジマス方向43を確認しながら、アンテナ6aの方位角を調整することができる。
【0046】
図10左側の支援画像40cには、調整後のアジマス方向43と、エレベーション方向のターゲット方向42および現在のアンテナ6aのエレベーション方向44が表示されている。作業員Aは、支援画像40cを参照して、図示する方向44が方向42と一致するようにアンテナ6aのエレベーション方向を調整する(ステップS36)。
【0047】
アンテナ6aのエレベーション方向が調整されると、CPU3aは、ジャイロセンサー等によって検出される調整後のアンテナ6aの方向に応じて支援画像40cの方向44を表示しなおす。図10の右図に、エレベーション方向調整後の支援画像40dの一例を示す。支援画像40dでは、ターゲット方向42と現在のアジマス方向43が一致している。このように、対向局とは関係なく、自局のモニタ画面4aに表示される支援画像40c等のターゲット方向42とアンテナ6aの現在のエレベーション方向44を確認しながらアンテナ6aの仰角を調整することができる。
【0048】
対向局では、支援画像40a~40dと同様の支援画像をCPU3bがモニタ画面4bへ表示し、作業員Bが、モニタ画面4bを確認しながらアンテナ6bの方向調整を行う。この間、自局と対向局は、互いにやり取りすることなく、それぞれの局で独立して同時並行的にアンテナ方向調整を行うことができる。
【0049】
(効果)
一般的なPoint-To-Pointの双方向の無線システムにおけるアンテナの方向調整では、例えば、特許文献1にも開示されているように、自局のアンテナを方向調整している間は、対向局が待ち時間となり、逆に対向局がアンテナの方向調整している間は、自局が待ち時間となる。したがって、アンテナの方向調整には時間を要し、例えば、天候が不安定な状態では短時間に調整作業を完了させることが困難であった。また、方向調整の際に、アンテナのサイドローブをメインローブと間違えて調整してしまい、通信回線の品質を損ねてしまうことも多かった。これに対し、本実施形態によれば、自局と対向局のやり取りがアンテナの方向調整の段階では全く必要ないため、それぞれの局が独立して方向調整を行うことができ、作業時間を短縮することができる。(RSLによる判定は、受信レベルが十分かどうかの確認の為に行うのであって、最初に対向局の位置情報を取得しさえすれば、方向調整自体は各局で独立して行うことができる。)
【0050】
また、一般的なアンテナの方向調整の場合、受信電界のピークを探すなど、作業員のスキルに依存するところが多い。これに対し、本実施形態によれば、モニタ画面4に、計算上のピーク箇所をターゲット方向として表示し、一方でジャイロセンサー等によって検出した現在のアンテナ方向を表示することにより、作業員は、両者を一致させるようにピークに向けてアンテナ方向調整を行うことができるので、個人のスキルに依存せず、容易に方向調整が可能となる。
【0051】
また、一般的なアンテナ方向調整の場合、夜間では真っ暗で肉眼では見えずに調整ができず、日中しか調整作業ができなかったが、本実施形態によれば、夜間の作業でも、手元のスマートフォン2を見ながらの方向調整作業が可能であり、昼夜を問わずアンテナ方向調整を行うことができる。
【0052】
また、ミリ波帯(60-80GHz帯)やテラヘルツ波帯(90-250GHz)においては、一般的に大気減衰ならびに降雨減衰がマイクロ波帯(数GHz-40GHz)と比較して大きく、伝搬距離を得るためにはアンテナゲインを高くするのが一般的である。送信のパワーアンプも半導体プロセスにおいても微細になりマイクロ波帯と比較しても高い出力電力を得にくいためアンテナゲインを高くすることが求められる。アンテナゲインを得るためにはアンテナ開口面積を大きくする必要があるが、アンテナを高ゲインにするとビーム幅が狭くなり方向調整しにくくなり、また、サイドローブにて間違えて方向調整してしまうということも生じやすくなる。これに対し、本実施形態によれば、モニタ画面4にターゲット方向と実際のアンテナ6の方向を表示し、両者を一致させるように調整することにより、精度よくアンテナ6の方向を調整することができる。
【0053】
さらに、アンテナの方向調整を行う場合、GPS等の位置情報を活用することはこれまでにも行われていたが、高さ情報が取得できない為、方向調整は難しいものであった。これに対し、本実施形態によれば、高さ方向の位置情報を取得するので、エレベーション方向の調整も精度よく効率的に行うことができる。
【0054】
<第2実施形態>
(構成)
次に図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図11に、第2実施形態に係る無線通信システム100´の構成の一例を示す。無線通信システム100´は、スマートフォン2´と、無線装置5と、アンテナ6と、ケーブル7とを備える。スマートフォン2´は、第1実施形態のスマートフォン2の機能に加え、第1実施形態の方向調整装置1の機能を備えている。他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0055】
(動作)
無線通信システム100´の動作については、動作の主体が方向調整装置1からスマートフォン2´に変更になるだけで、図5図7を参照して説明した動作と同様である。
【0056】
(効果)
第2実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。第2実施形態は、都市部などの狭く作業エリアが限られているような場合に好適である。
【0057】
<第3実施形態>
(構成)
次に図12を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図12に、第3実施形態に係る無線通信システム100´´の構成の一例を示す。無線通信システム100´´は、方向調整装置1´´と、スマートフォン2と、無線装置5と、アンテナ6と、ケーブル7~8と、を備える。方向調整装置1´´は、CPU3と、モニタ画面4に加えて、カメラ101と、レーザ102と、記憶媒体103と、を備える。他の構成については、第1実施形態と同様である。
カメラ101は、自局から対向局までの様子を撮影するために用いられる。カメラ101が撮影した画像や動画は、記憶媒体103に記録される。
レーザ102は、レーザ102が照射する光に合わせてアンテナ6の方向を合わせる等の目的で使用される。
【0058】
(動作)
無線通信システム100´´の基本的な動作については、図5図7を参照して説明した動作と同様である。第3実施形態では、カメラ101やレーザ102を補助的に用いることにより、アンテナ6の方向調整を早期に完了させることができる。日中であれば、カメラ101やレーザ102を併用することで方向調整の精度が上がり、夜間等はレーザ102を用いることで複合的に調整を行い、早期完了が可能となる。例えば、カメラ101を用いて、対向局と間で何が起きているかを監視し、通信品質が落ちた場合や通信断となった場合に、カメラ101で撮影した画像、動画を解析して原因の究明を行うことができる。例えば、降雨による減衰か、鳥等の動的物体によるものか、又は排煙等によるものかを分析するために役立てることができる。レーザ102は、カメラ101では対応できない時間帯でも使用することができる。例えば、夜間や悪天候時にレーザ102から対向局へ向けて光を照射し、自局のアンテナ6がその方向に向くようにアンテナ6を調整する。レーザ102をモニタ画面4に表示される支援画像と併用することで、作業効率の向上が期待できる。
【0059】
(効果)
第3実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、方向調整精度の向上や方向調整作業の早期完了が期待できる。
【0060】
(最小構成)
図13は、最小構成を有する方向調整装置の構成を示すブロック図である。
方向調整装置800は、自局位置情報取得手段801と、対向局位置情報取得手段802と、方向算出手段803と、方向検手段804と、表示手段805と、を備える。
自局位置情報取得手段801は、自局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する。
対向局位置情報取得手段802は、対向局の緯度、経度、高さを含む位置情報を取得する。
方向算出手段803は、自局の位置情報と対向局の位置情報との差に基づいて自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出する。
方向検手段804は、自局の現在のアンテナ方向である現在方向をMEMSセンサーやジャイロセンサーにより検出する。
表示手段805は、ターゲット方向と現在方向とを両者の差が視認できるように表示する(図9図10)。
方向調整装置1、1´´、スマートフォン2´は、方向調整装置800の一例である。自局位置情報取得手段801と、対向局位置情報取得手段802と、方向算出手段803と、方向検手段804と、表示手段805と、は方向調整装置800が備えるCPU等がプログラムを読み込んで実行することにより発揮される機能である。
【0061】
図14は、最小構成を有する方向調整装置の動作を示すフローチャートである。
自局位置情報取得手段801は、自局の位置情報を取得する(ステップS801)。
次に、対向局位置情報取得手段802は、対向局の位置情報を取得する(ステップS802)。
次に、方向算出手段803は、自局の位置情報と対向局の位置情報との差を算出して、自局のアンテナを向けるべき方向であるターゲット方向を算出する(ステップS803)。
次に、方向検手段804は、自局の現在のアンテナ方向である現在方向を検出する(ステップS804)。
次に、表示手段805は、ターゲット方向と現在方向とを表示する(ステップS805)。
【0062】
なお、上述した実施形態における方向調整装置1、1´´、スマートフォン2、2´の一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、方向調整装置1、1´´、スマートフォン2、2´に内蔵されたコンピュータシステムであって、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0063】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0064】
また、上述した実施形態における方向調整装置1、1´´、スマートフォン2、2´の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。方向調整装置1、1´´、スマートフォン2、2´の各機能部は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0065】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、本発明の一態様は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態や変形例に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
100、100´、100´´・・・無線通信システム
1、1´´・・・方向調整装置
2、2´・・・スマートフォン
3・・・CPU
4・・・モニタ画面
5・・・無線装置
6・・・アンテナ
7~8・・・ケーブル
101・・・カメラ
102・・・レーザ
103・・・記憶媒体
800・・・方向調整装置
801・・・自局位置情報取得手段
802・・・対向局位置情報取得手段
803・・・方向算出手段
804・・・方向検手段
805・・・表示手段
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14