(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159150
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】AIS信号受信システム、人工衛星、AIS信号解析装置、半導体装置、AIS信号解析方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 3/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G08G3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074959
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】301072650
【氏名又は名称】NECスペーステクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】長崎 啓志
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 雅哉
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA25
5H181BB04
5H181BB13
5H181FF05
(57)【要約】
【課題】人工衛星を用いて船舶のAIS信号の検出からそのAIS信号の整合性を検証するまでの即応性をより高める。
【解決手段】AIS信号受信システムは、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位用アンテナとAIS用アンテナとを備える人工衛星に搭載可能なAIS信号受信システムであって、
衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、
AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部と
を備えるAIS信号受信システム。
【請求項2】
前記AIS信号パケットには、船舶の位置を示す船舶位置情報に係るデータ系列の項目に含まれていて、
前記処理部は、
前記サンプリングデータに基づいて変調信号データを生成する信号処理部と、
前記変調信号データに基づいた復調処理により前記AIS信号パケットを得る復調部と、
前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを照合する判定部と、
前記照合の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て送信可能にする出力処理部と
を備える請求項1に記載のAIS信号受信システム。
【請求項3】
前記人工衛星位置情報には、前記人工衛星の位置に対応する緯度情報と経度情報とが含まれていて、
前記判定部は、
前記人工衛星の位置に対応する緯度情報と経度情報の前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを照合して前記整合性を識別する
請求項2に記載のAIS信号受信システム。
【請求項4】
前記処理部は、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータを前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる場合よりも少ないデータ容量で、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる
請求項1から3の何れか1項に記載のAIS信号受信システム。
【請求項5】
前記AIS用アンテナには、所定の規則に従い配列された複数のアンテナ素子が設けられ、
前記サンプリング部は、前記複数のアンテナ素子に対応付けて夫々設けられていて、
前記処理部は、
前記複数のアンテナ素子に対応付けられるサンプリングデータの組から、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる
請求項1から3の何れか1項に記載のAIS信号受信システム。
【請求項6】
衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、
AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を衛星バスシステムを経て出力させる処理部と
を備える人工衛星。
【請求項7】
衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星に搭載可能なAIS信号解析装置であって、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部
を備えるAIS信号解析装置。
【請求項8】
衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星に搭載可能な半導体装置であって、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部
を備える半導体装置。
【請求項9】
衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星におけるAIS信号解析方法であって、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる過程
を含むAIS信号解析方法。
【請求項10】
衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星に搭載可能なコンピュータに、
前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AIS信号受信システム、人工衛星、AIS信号解析装置、半導体装置、AIS信号解析方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
AIS(Automatic identification system)は、海洋を航行する船舶がVHF帯を利用してAIS信号を送信することで、そのAIS信号に含まれている船舶の位置、速度、船舶識別コード、船種等を、船舶(海上移動局)間、船舶(海上移動局)-地上局(陸上固定局)間で共有可能にする。
人工衛星に搭載されたAIS用アンテナによってAIS信号を受信するAIS信号受信システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1には、船舶が送信したAIS信号を、その船舶の近くを飛行する人工衛星において受信して、この人工衛星がAIS信号を再生中継して地上に通知することの記載がある。このAIS信号受信システムは、対象の日の翌日に公開されるAIS信号に関する情報を用いて、AIS信号が示す情報の整合性を判定する。そのため、受信したAIS信号が示す情報の整合性の検証の結果が得られるのは、早くとも対象の日の翌日以降になっていた。AIS信号が示す情報の整合性をより速やかに検証できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Recommendation ITU-R M.1371-5, " Technical characteristics for an automatic identification system using time division multiple access in the VHF maritime mobile frequency band," International Telecommunication Union (ITU), 2014 [検索日 2023.04.20], インターネット , <https://www.itu.int/rec/R-REC-M.1371-5-201402-I>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術の場合、人工衛星を用いて船舶のAIS信号を検出しても、その検出からそのAIS信号の整合性を検証するまでの即応性が、要求を満たさないことがあった。
【0006】
そこでこの発明は、上述の問題を解決することのできるAIS信号受信システム、人工衛星、AIS信号解析装置、半導体装置、AIS信号解析方法、及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の第1の態様によれば、衛星測位用アンテナとAIS用アンテナとを備える人工衛星に搭載可能なAIS信号受信システムであって、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部とを備えるAIS信号受信システムである。
【0008】
発明の第2の態様によれば、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部とを備える人工衛星である。
【0009】
発明の第3の態様によれば、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星に搭載可能なAIS信号解析装置であって、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部を備えるAIS信号解析装置である。
【0010】
発明の第4の態様によれば、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星に搭載可能な半導体装置であって、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理部を備える半導体装置である。
【0011】
発明の第5の態様によれば、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星におけるAIS信号解析方法であって、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる過程を含むAIS信号解析方法である。
【0012】
発明の第6の態様によれば、衛星測位用アンテナによって受信した衛星測位用信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する衛星測位用信号受信部と、AIS用アンテナによって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するサンプリング部と、を備える人工衛星に搭載可能なコンピュータに、前記サンプリング部が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させる処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、これにより、人工衛星を用いて船舶のAIS信号の検出からそのAIS信号の整合性を検証するまでの即応性をより高めたAIS信号受信システム、人工衛星、AIS信号解析装置、半導体装置、AIS信号解析方法、及びプログラムを提供できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のAIS信号受信システムを説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係るAIS信号受信システムの構成図である。
【
図3】本実施形態のAIS信号サンプリング回路の構成図である。
【
図4】本実施形態のAIS信号解析処理部の構成図である。
【
図5】本実施形態の真偽判定に係る処理について説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係る種別のメッセージについて説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係るGPS位置情報を含むデータ構造を説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係る観測領域について説明するための図である。
【
図9】第2実施形態のAIS信号解析処理のフローチャートである。
【
図10】本実施形態のAIS信号解析処理部28の構成図である。
【
図11】第3実施形態のAIS信号受信システム1Aを説明するための図である。
【
図12】本実施形態に係るAIS信号受信システム1Aの構成図である。
【
図13】本実施形態に係るDBFの演算方法を説明するための図である。
【
図14】本実施形態に係るAIS信号受信システムの構成例を示す図である。
【
図15】本実施形態に係るAIS信号解析方法における処理手順の例を示す図である。
【
図16】本実施形態のFPGAの機能の更新に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態によるAIS信号受信システムを、図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の実施の形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0016】
なお、実施形態の説明において、AIS信号受信システムの人工衛星は、GPSを利用して、位置情報を取得する。なお、説明を簡素化するため、人工衛星は、所定の高度hを保って等速度で飛行しているものとし、人工衛星自体の回転も生じていないものとする。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のAIS信号受信システム1を説明するための図である。
図1に示すように、AIS信号受信システム1は、人工衛星2に搭載されたAIS信号解析装置20を有している。AIS信号受信システム1は、人工衛星2と、地上局3とを備えて構成されてもよい。
【0018】
AIS信号受信システム1(人工衛星2、AIS信号解析装置20)は、例えば、所定の観測海域SA1、SA2などを航行する複数の船舶(SPw1、SPdなど。)が各々送信するAIS信号を夫々受信する。
観測海域SA1、SA2は、船舶が送信するAIS信号をAIS信号受信システム1によって検出可能な海域をモデル化した一例である。なお、海域SAZは、
図1に示す人工衛星2の位置に対応する観測海域の範囲外になる。
この人工衛星2は、測位にGPS(Global Positioning System)を利用することができる。なお、測位のためのシステムは、GPSに制限されず、GNSSと呼ばれる他のシステムを適用してもよい。以下、GPSを代表例として例示して説明する。
なお、この人工衛星2の軌道に沿う方向を+X方向、軌道に直交する方向をY方向、鉛直方向を+Z方向と呼ぶ。説明を簡略化するため、人工衛星2の正面を+X方向に向ける。
【0019】
図2は、実施形態に係るAIS信号受信システム1の構成図である。
地上局3は、人工衛星2と通信可能な地球局の一例である。地上局3は、人工衛星2から人工衛星2が受信したAIS信号の真偽判定の結果を、ダウンリンク回線を利用して取得する。この「AIS信号の真偽判定の結果」のデータ量は、1単位の「AIS信号」のデータ量に比べて十分に少なくなる。
【0020】
人工衛星2は、GPS用アンテナ21と、GPS受信器22と、AIS用アンテナ23と、AIS信号サンプリング回路24(サンプリング部)と、AIS信号解析処理部28と、衛星バスシステム29と、電源システムとを備える。GPS用アンテナ21(衛星測位用アンテナ)とAIS用アンテナ23は、人工衛星2に搭載される。
【0021】
GPS用アンテナ21は、GPS衛星からの電波を受信して、GPS信号GPST(衛星測位用信号)をAIS信号解析処理部28に供給する。
【0022】
AIS用アンテナ23は、各船舶から送信されるVHF帯の電波を受信して、AIS信号をAIS信号サンプリング回路24に供給する。
【0023】
衛星バスシステム29は、人工衛星2内の各部を制御する機能モジュール群を含む。例えば、衛星バスシステム29は、地上局3と通信する。
電源システム(不図示)は、太陽光発電用パドルと、蓄電池と、電力制御部とを備え、太陽光発電用パドルによって発電した電力を用いて、人工衛星2内の各部に電力を供給する。この電源システムは、日陰の期間も、人工衛星2内の各部に電力を安定して供給できるように構成されることが望ましい。
【0024】
AIS信号受信システム1のAIS信号解析装置20は、人工衛星2に搭載可能に構成される。AIS信号受信システム1及びAIS信号解析装置20は、上記の電源システムからの電力を用いて機能するように構成されている。AIS信号解析装置20は、少なくともGPS受信器22と、AIS信号サンプリング回路24と、AIS信号解析処理部28とを含む。
【0025】
GPS受信器22は、GPS用アンテナ21によって受信したGPS信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する。なお、GPS受信器22は、所定の更新周期ごとに最新の値に位置情報を更新して、次の更新のタイミングまでこの位置情報を保持する。
【0026】
AIS信号サンプリング回路24(サンプリング部)は、AIS用アンテナ23によって検出されたVHF帯のRF受信信号を受け、RF受信信号に基づいたサンプリング信号(SS1)を生成する。
【0027】
AIS信号解析処理部28は、AIS信号サンプリング回路24によって生成されたサンプリング信号(SS1)から、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、そのAIS信号パケットから船舶の位置を示すパケットと、そのパケット内の船舶位置情報とを抽出する。AIS信号解析処理部28は、GPS受信器22によって生成される人工衛星位置情報と、上記のパケット内の船舶位置情報とを用いて、各位置情報の整合性を識別して、識別の結果を生成する。
AIS信号解析処理部28は、人工衛星2の衛星バスシステム29に通信可能に接続されている。AIS信号解析処理部28は、上記の識別の結果を衛星バスシステム29を経て出力させる。
【0028】
例えば、AIS信号解析処理部28は、ディジタル信号処理部25と、AIS信号復調部26と、真偽判定部27とを含む。
【0029】
ディジタル信号処理部25は、AIS信号サンプリング回路24によって生成されたサンプリング信号SS1を取得して、後段のAIS信号復調部26の復調処理に適したデータ列に変換する。ディジタル信号処理部25は、帯域制限、周波数変換、ノイズ低減などの信号処理を実施するとよい。
【0030】
AIS信号復調部26は、ディジタルデータの変調信号(
図5)に対してGMSK/FM方式の復調処理を実施する。
真偽判定部27は、復調処理により再生されたパケット(
図5)に含まれるメッセージから、所望の情報を抽出して、AIS信号に基づく船舶位置情報、及びAIS信号の真偽を判定する。
【0031】
実施形態の衛星バスシステム29は、真偽判定部27による識別の結果をAIS信号解析処理部28による処理の結果として取得して、地上局3に対して送信する。
【0032】
なお、ディジタル信号処理部25と、AIS信号復調部26と、真偽判定部27とを、1つのユニット(AIS信号解析処理部28という。)に纏めて構成してよい。
【0033】
図3は、実施形態のAIS信号サンプリング回路24の構成図である。
AIS信号サンプリング回路24は、低雑音増幅器241と、周波数変換器242と、帯域制限フィルタ243と、ADコンバータ244とを備える。
低雑音増幅器241は、AIS用アンテナ23によって検出されたVHF帯のRF受信信号を増幅する。
周波数変換器242は、ミキサと局発LOを含み、増幅されたVHF帯のRF受信信号を所定の周波数帯に変換する。
帯域制限フィルタ243は、所定の周波数帯に変換された信号の帯域を制限して、所望の周波数成分を抽出する。
ADコンバータ244は、帯域制限された信号を所定の周期で繰り返しサンプリングして、時系列のディジタル信号に変換して、これをサンプリング信号として出力可能にする。
【0034】
なお、ADコンバータ244の出力が、データバスに接続される場合には、ADコンバータ244に出力バッファを含めて構成するとよい。この出力バッファは、外部からの制御により出力端子をハイインピーダンスにする。
また、上記の周波数変換器242によって変換された後の周波数は、ベースバンドであってもよく、VHF帯とベースバンドとの間の中間周波数帯であってよい。この場合、中間周波数帯からベースバンドへの変換は、AIS信号解析処理部28のディジタル信号処理部25が実施する。
【0035】
図4は、実施形態のAIS信号解析処理部28の構成図である。
AIS信号解析処理部28は、前述のディジタル信号処理部25と、AIS信号復調部26と、真偽判定部27との他に、記憶部25Mと、タイミング制御部20Tとを備える。
【0036】
記憶部25Mは、半導体メモリである。この領域内に、不揮発領域と揮発領域とが含まれる。
例えば、記憶部25Mのデータ出力は、ディジタル信号処理部25と、AIS信号復調部26との各データ入力に接続されている。記憶部25Mのデータ入力は、ディジタル信号処理部25のデータ出力に接続されている。記憶部25Mは、タイミング制御部20Tからの制御に従って、記憶部25M内の記憶領域を特定するアドレス情報と、データの書き込みと読み出しのためのタイミング信号との供給を受けて、アドレス情報によって参照される領域のデータの書き込み処理又は読み出し処理を実行させる。
記憶部25Mには、ディジタル信号処理部25の処理に利用する静的変数、同処理の過程の動的変数、同処理の結果などが格納される。
【0037】
タイミング制御部20Tは、所定のシーケンスに従って、AIS信号サンプリング回路24及びAIS信号解析処理部28等を制御するためのタイミング信号を生成する。
タイミング制御部20Tは、所定のシーケンスに従い、記憶部25M内の記憶領域を特定するアドレス情報と、データの書き込みと読み出しのためのタイミング信号とを記憶部25Mに供給するとともに、ディジタル信号処理部25は、AIS信号復調部26、真偽判定部27等に、タイミング信号を夫々共有する。
【0038】
なお、実施形態のAIS信号サンプリング回路24のデータ出力は、例えばデータバスを介してAIS信号解析処理部28のデータ入力に接続されていてよい。
【0039】
例えば、タイミング制御部20Tの制御により、AIS信号サンプリング回路24のデータ出力が許可されている期間に、AIS信号解析処理部28は、そのデータ入力に設定される信号を取得して、記憶部25Mに書き込ませる。これにより、ディジタル信号処理部25の入力情報がセットされる。
【0040】
ディジタル信号処理部25には、段階的に実施する演算処理及び判定処理の詳細が設定されている。ディジタル信号処理部25は、上記の入力情報を取り込んで、所定の演算処理及び判定処理を他の変数の情報を組み合わせて実施して、その結果を記憶部25Mに対して出力する。
さらにタイミング制御部20Tの制御により、記憶部25Mのアドレスが設定されると、記憶部25Mは、ディジタル信号処理部25の演算の結果を、上記のアドレスに書き込み、保持する。
このような処理を、適宜繰り返すことで、複雑な演算処理も、上記のような処理を繰り返すことにより実施することができる。
【0041】
なお、このAIS信号解析処理部28の構成の一部又は主たる範囲をFPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いて実現するには、演算処理と判定処理のアルゴリズムを、論理ユニットの組み合わせにより実現する。この組み合わせを示すデータを記憶部25Mに格納しておくことで、このデータを用いてFPGA内の構成を構築することができる。
【0042】
(真偽判定に係る処理について)
次に、
図5を参照して、実施形態の真偽判定に係る処理について説明する。
図5は、実施形態の真偽判定に係る処理について説明するための図である。
図6は、実施形態に係る種別のメッセージについて説明するための図である。
【0043】
なお、以下に示す
図5(b)から(d)と
図6に示す定義は、ITU-R勧告 M.1371-5に準じたものであり、その詳細については同勧告を参照するとよい。以下の説明では、本実施形態に係る範囲を中心に示し、その説明の一部を簡略化している。
【0044】
この
図5の上段の(a)に、GPS位置情報の更新周期を示す。例えば、シーケンス(i-1)、(i)、(i+1)の3つの連続する更新周期がある。GPS位置情報は、更新周期の切り替わりに同期して更新される。この周期は、例えば1分周期である。
【0045】
この
図5の2段目以下の(b)から(d)は、モデル化したAIS信号のフレーム(AISフレームという。)を示したものである。
例えば、
図5(b)のAISフレームは、上記のGPSの更新周期に同期していて、その1周期の中に「スロット#0」から「スロット#2249」の2250個のスロットが定義される。このスロットの割り付けは、基本的に船舶からの要求に従って、GPS位置情報の更新に同期して決定される。各船舶は、航行の状態等により定まる間隔(例えば、数秒から数分。)でAIS信号を送出する。例えば、移動の速度が速くなるほど、短い周期でAIS信号を送出することになる。そのため、各船舶は、このAISフレーム内に1回又は数回のAIS信号を送信するためのスロットを予約して、次の更新のタイミングに、予約したスロットのタイミングにAIS信号(AIS信号パケット)を送信する。
【0046】
例えば
図5(c)に示すように、「スロット#1」に、緯度・経度情報を含むAIS信号を送信する場合を例示する。
図5(c)に示すAIS信号パケットは、上記のスロットの時間窓の長さよりも幾分短く規定されていて、前後のスロットに割り付けられるAIS信号パケットと干渉しないように設定されている。
AISパケットには、プリアンブル、スタートフラグ、メッセージ、CRC,エンドフラグ、バッファの各領域が、記載の順に割り付けられている。
プリアンブルは、AIS信号復調部26の状態を、受信信号に合わせて調整するために利用される。AIS信号復調部26は、この周期性を有するプリアンブルを利用して、受信信号のレベルと、変調信号の位相の基準値を決定することで、その後に復調が可能になる。
【0047】
このパケット中のメッセージの領域は、168ビットの長さで構成され、各ビットが0から167のビット識別情報により識別される。メッセージの領域には、例えば、次の
図5(d)に示す種別のメッセージが割り当てられる。ここで例示するタイプのメッセージには、メッセージタイプ、海上移動委業務識別情報(MMSI)、経度情報、緯度情報、などの情報が含まれる。このタイプのメッセージの情報の構成例を、
図6に示す。
この
図6の表には、以下の項目(field)のデータが規定されている。
Message Type(メッセージID)、Repeat indicator(繰り返し回数)、User ID(MMSI、海上移動業務識別情報)、Navigational status(航行状態)、Rate of turn (ROT)(旋回速度)、SOG(大地速度)、Position accuracy(位置精度)、Longitude(経度情報)、Latitude(緯度情報)、COG(大地方位、進行方向)、True heading(船首方位)、Time stamp(時刻情報)、Maneuver indicator、Spare(予備)、Receiver autonomous integrity monitoring (RAIM)-flag、Radio status(接続状態)などがある。
本実施形態では、これらの項目の中で、Longitude(経度情報)とLatitude(緯度情報)との情報を利用する。
【0048】
AIS信号解析処理部28は、AIS信号の整合性の検証の処理に、このメッセージの中の「経度情報」、「緯度情報」を利用する。また、AIS信号解析処理部28は、上記の他、船舶を特定するために「海上移動業務識別情報(MMSI)」を利用してもよい。
【0049】
図7は、実施形態に係るGPS位置情報を含むデータ構造を説明するための図である。
この
図7の表に示すように、絶対位置X、絶対位置Y、絶対位置Z等の項目のデータが変数として規定されている。絶対位置X、絶対位置Y、絶対位置Zの各データは、例えばWGS座標系を用いて位置を示すデータに対応する。これらの情報の単位は、メートル(m)で、その更新周期は1秒である。
本実施形態では、絶対位置X、絶対位置Y、絶対位置Zを、衛星位置情報として利用する。
【0050】
図8は、実施形態に係る観測領域について説明するための図である。
人工衛星2は、この
図8の紙面手前から奥に向けて、高度hで飛行している状態を示す。例えば、この時の+X方向を南向きと仮定する。人工衛星2の下方向に指向性が向けられているときには、観測領域がSA1になる。観測領域SA1の他、進行方向右手側(西側)に観測領域SA1Wを、進行方向左手側(東側)に観測領域SA1Eを夫々設けてよい。
例えば、本実施形態では、人工衛星2の軌道上の点を中心にした所定の範囲の海域、及びその軌道上の点を基準に軌道と直交わる方向に設定される所定の範囲の海域を推奨する検出対象の海域とするとよい。
【0051】
真偽判定部27は、GPS位置情報の緯度・経度情報が示す位置と、船舶位置の緯度・経度情報が示す位置との距離が判定閾値よりも近いか否かを識別して、互いの距離が判定閾値よりも近い場合には、船舶からの通知を「真」と判定する。これに対して、互いの距離が判定閾値よりも遠い場合には、真偽判定部27は、船舶からの通知を「偽」と判定する。
【0052】
例えば、真偽判定部27は、GPS位置情報の緯度・経度情報と、船舶位置の緯度・経度情報とを用いて、各経度情報の差の二乗と各緯度情報の差の二乗の和について、この和の値と予め定められた値と対比することにより、船舶位置の緯度・経度情報が示す位置との距離が判定閾値よりも近いか否かを識別する実施してもよい。
【0053】
また、例えば、真偽判定部27は、GPS位置情報の緯度・経度情報と、船舶位置の緯度・経度情報とを用いて、各経度情報の差の絶対値と各緯度情報の差の絶対値の和について、この和の値と予め定められた値と対比することにより、船舶位置の緯度・経度情報が示す位置との距離が判定閾値よりも近いか否かを識別する実施してもよい。
このように、GPS位置情報の緯度・経度情報が示す位置と、船舶位置の緯度・経度情報が示す位置との距離に応じて単調に値が変化する指標を、この判定に利用することができる。
【0054】
実施形態によれば、AIS信号受信システム1は、GPS用アンテナ21とAIS用アンテナ23とを備える人工衛星2に搭載可能である。AIS信号受信システム1は、GPS用アンテナ21によって受信したGPS信号に基づいて人工衛星位置情報を生成するGPS受信器22(衛星測位用信号受信部)と、AIS用アンテナ23によって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成するAIS信号サンプリング部24と、AIS信号サンプリング部24が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、前記AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を前記人工衛星の衛星バスシステムを経て出力させるAIS信号解析処理部28とを備える。これにより、AIS信号受信システム1は、人工衛星2を用いて船舶のAIS信号の検出からそのAIS信号の整合性を検証するまでの即応性をより高めることができる。
【0055】
なお、AIS信号パケットには、船舶の位置を示す船舶位置情報に係るデータ系列の項目に含まれている。
AIS信号解析処理部28のディジタル信号処理部25は、AIS信号のサンプリングデータに基づいて変調信号データを生成する。
また、AIS信号復調部26は、変調信号データに基づいた復調処理によりAIS信号パケットを得る。真偽判定部27は、AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出して、人工衛星位置情報と船舶位置情報とを照合するとよい。真偽判定部27(出力処理部)は、その照合の結果を人工衛星2の衛星バスシステム29を経て送信可能にするとよい。
【0056】
人工衛星位置情報には、人工衛星2の位置に対応する緯度情報と経度情報とが含まれている。真偽判定部27は、人工衛星2の位置に対応する緯度情報と経度情報の人工衛星位置情報とその船舶位置情報とを照合して、互いの整合性を識別するとよい。
【0057】
AIS信号解析処理部28(処理部)は、AIS信号サンプリング回路24が生成したサンプリングデータを人工衛星2の衛星バスシステム29を経て出力させる場合よりも少ないデータ容量で、その識別の結果を人工衛星2の衛星バスシステムを経て出力させるとよい。
【0058】
(第2実施形態)
図9と
図10を参照して、第2実施形態について説明する。
この第2実施形態では、CPUなどのプロセッサとプログラムとを用いた処理により、第1実施形態と同様の処理を実施する事例について説明する。
【0059】
図9は、実施形態のAIS信号解析処理のフローチャートである。
なお、実施形態のAIS信号解析処理部28をコンピュータに実装して構成する場合には、例えば
図10に示すコンピュータを適用できる。これについては後述する。
【0060】
AIS信号解析処理部28は、GPS受信器22からGPS位置情報を取得する(S12)。なお、このS12の処理は、GPSの位置情報の更新周期の中で、AIS信号フレーム中の最初のスロットであるスロット#1の処理を行うときに実施して、同更新周期内のその後の各スロットの処理を実施する場合には省略してもよい。
【0061】
AIS信号解析処理部28のAIS信号復調部26は、AIS信号サンプリング回路24が生成したサンプリング信号に基づいたAIS信号パケットの中のメッセージを再生して、このメッセージに含まれている船舶位置の緯度・経度情報を取得する(S14)。
【0062】
AIS信号解析処理部28の真偽判定部27は、GPS位置情報の緯度・経度情報と、船舶位置の緯度・経度情報とを用いて、各経度情報の差の二乗と各緯度情報の差の二乗の和について、この和の値と予め定められた値と対比することにより、船舶位置の緯度・経度情報が示す位置との距離が判定閾値よりも近いか否かを識別する(S16)。互いの距離が判定閾値よりも近い場合には、船舶からの通知を「真」と判定する(S18T)。これに対して、互いの距離が判定閾値よりも遠い場合には、真偽判定部27は、船舶からの通知を「偽」と判定する(S18F)。
【0063】
上記の処理により、AIS信号解析処理部28は、AIS信号の真偽の判定処理を実施できる。
【0064】
実施形態によれば、第1実施形態の事例とはAIS信号解析処理部28の具体的な構成が異なるものの第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0065】
(第3実施形態)
次に、
図11から
図13を参照して、第3実施形態について説明する。
前述の第1実施形態に示した構成との相違点を中心に説明する。
【0066】
図11は、第3実施形態のAIS信号受信システム1Aを説明するための図である。
図12は、第3実施形態に係るAIS信号受信システム1Aの構成図である。
図13は、第3実施形態に係るDBFの演算方法を説明するための図である。
【0067】
図11に示すように、AIS信号受信システム1Aは、人工衛星2Aに搭載されたAIS信号解析装置20Aを有している。AIS信号受信システム1Aは、人工衛星2Aと、地上局3とを備えていてもよい。
【0068】
AIS信号受信システム1A(人工衛星2A、AIS信号解析装置20A)は、例えば、所定の観測海域SA1からSA9などを航行する複数の船舶が各々送信するAIS信号を夫々受信する。
観測海域SA1からSA9は、船舶が送信するAIS信号をAIS信号受信システム1Aによって検出可能な海域をモデル化した一例である。
【0069】
AIS信号受信システム1Aは、DBFの手法を用いて、AIS用アンテナ23の指向性をディジタル信号処理により調整する。
例えば、本実施形態におけるDBFは、指向性の感度特性のピークを向ける方向を予め定めることとする。このように指向性の感度特性のピークを向ける方向を静的に定めることにより、人工衛星2に到来する信号の方向に、その指向性の感度特性のピークの方向又はヌルの方向を適応させる制御を行わずに済ませることができる。
【0070】
図12に示すように人工衛星2Aは、AIS用アンテナ23に代わるAIS用アンテナ23Aと、AIS信号サンプリング回路24に代わるAIS信号サンプリング回路24A(サンプリング部)と、AIS信号解析処理部28に代わるAIS信号解析処理部28Aとを備える。
【0071】
AIS用アンテナ23Aは、予め定められた所定の距離を互いに隔てて配置された複数のアンテナ素子を含んで構成されている。アンテナ素子231、232、・・・、23Nは、複数のアンテナ素子を構成するアンテナ素子の一例である。
【0072】
AIS信号サンプリング回路24Aは、AIS信号サンプリング回路24に相当する複数のAIS信号サンプリング回路を含む。AIS信号サンプリング回路24_1、24_2、・・・、24_Nは、複数のAIS信号サンプリング回路の一例である。
AIS用アンテナ23Aの各アンテナ素子と、複数のAIS信号サンプリング回路との接続関係は、前述のAIS用アンテナ23と、AIS信号サンプリング回路24との接続関係に相当する。
【0073】
AIS信号解析処理部28Aは、AIS信号サンプリング回路24Aによって生成された複数のサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、そのAIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出する。AIS信号解析処理部28は、GPS受信器22によって生成される人工衛星位置情報と、上記の船舶位置情報とを用いて、各位置情報の整合性を識別して、識別の結果を生成する。
【0074】
次に、DBFの処理について説明する。
AIS信号サンプリング回路24_1、24_2、・・・、24_Nが夫々出力する信号の信号強度(各AIS用アンテナに対応する信号強度)をx0、x1、x2、・・・、xNで示す。これらを要素とする信号強度ベクトルXを次の式(1)を使って定義する。「T」は転置ベクトルを示す。
【0075】
【0076】
DBFの重みをw0、w1、w2、・・・、wNで示す。これらを要素とする重みベクトルWを次の式(2)を使って定義する。
【0077】
【0078】
DBFを適用した結果の各時点の信号強度yを次の式(3)で表すことができる。
【0079】
【0080】
この信号強度yを、後段のAIS信号復調部26への入力信号に適用する。
【0081】
なお、このようにDBFを適用することで、AIS用アンテナ23Aの方向を物理的に変えることなく、AIS用アンテナ23Aの指向性パターンのメインローブを所望の方向に向けることができる。
【0082】
DBFの利用形態は、予め定められた重みベクトルWを利用する静的な解析と、実際にAIS用アンテナ23Aによる検出結果を用いて重みベクトルWを最適化して、これを用いる動的な解析とがある。
【0083】
まず、前者の「静的な解析」について説明する。
例えば、前者の「静的な解析」の場合であれば、重みベクトルWをパターン化して予め定めておくことができる。上記のメインローブの方向が所望の検出対象の海域に向くように重みベクトルWを決定しておくとよい。
重みベクトルWを各海域にそれぞれ対応付けることで、算出された信号強度yが、どの海域に対応するものであるかを、重みベクトルWの識別情報などから特定することができる。重みベクトルW又は重みベクトルWの識別情報を、船舶の位置の判定に利用することで、その判定の信頼度をより高めることができる。
【0084】
例えば、AIS信号解析処理部28Aの真偽判定部27Aは、重みベクトルW又は重みベクトルWの識別情報を用いて対象海域の代表位置を算出する。対象海域の代表位置を、GPS位置情報と、重みベクトルW又は重みベクトルWの識別情報に基づいた方向と、人工衛星の高度hとを用いて決定する。この代表位置に基づいて、対象海域の範囲を決定する。
【0085】
なお、この対応付けに係る処理を次の方法に代えてもよい。例えば、GPS位置情報の緯度情報・経度情報に所定のオフセットを加算した値を、GPS位置情報の緯度情報・経度情報に代える。オフセットの値を、重みベクトルW又は重みベクトルWの識別情報に対応付けておくことで、演算負荷を軽減できる。
【0086】
真偽判定部27Aは、DBFの結果を用いて特定された検出対象の対象海域の中に、AIS信号から抽出された緯度情報・経度情報が示す位置が含まれているか否かを判定するとよい。
【0087】
後者の「動的な解析」について説明する。
例えば、後者の「動的な解析」の場合であれば、混信を与える船舶にAIS用アンテナ23Aの指向性パターンのヌルが向き、検出対象の船舶にAIS用アンテナ23Aの指向性パターンのメインローブが向くような制御が可能にある。この手法は、一般的なDBFの演算手法を適用してよい。
例えば、AIS信号解析処理部28Aの真偽判定部27Aは、動的に決定された重みベクトルWを用いて対象海域を決定して、上記の「静的な解析」と同様の方法で判定処理を実施するとよい。
【0088】
本実施形態におけるAIS用アンテナ23Aには、所定の規則に従い配列された複数のアンテナ素子231、232、・・・23Nなどが設けられている。
AIS信号サンプリング回路24A(サンプリング部)は、上記の複数のアンテナ素子に対応付けて夫々設けられている。
AIS信号解析処理部28Aは、複数のアンテナ素子に対応付けられるサンプリングデータの組から、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得る。AIS信号解析処理部28Aは、AIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、その人工衛星位置情報と船舶位置情報とを用いて、夫々の整合性を識別して、識別の結果を人工衛星2の衛星バスシステム29を経て出力させるとよい。
上記のように構成されたAIS信号解析処理部28Aは、DBFを利用することで、解析対象にする海域の範囲を、DBFを利用しない場合よりも狭い範囲に制限できる。これにより、解析対象外の海域に、同じスロットを利用する船舶がいたとしても、混信の程度をさげることが可能になる。
【0089】
上記のとおり、DBFを適用する事例についても、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。さらにDBFを適用したことで、船舶が夫々発するAIS信号の混信が低減し、真偽の識別効率が高まる。
【0090】
上記の実施形態に示したとおり、AIS信号受信システム1は、GPS用アンテナ21とAIS用アンテナ23とを備える人工衛星に搭載される。AIS信号受信システム1は、GPS受信器22と、AIS信号サンプリング部24と、AIS信号解析処理部28とを備える。GPS受信器22は、GPS用アンテナ21によって受信したGPS信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する。AIS信号サンプリング部24は、AIS用アンテナ23によって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成する。AIS信号解析処理部28は、AIS信号サンプリング部24が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、そのAIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出して、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を人工衛星2の衛星バスシステム29を経て出力させる。これによりAIS信号受信システム1は、人工衛星2を用いて船舶のAIS信号の検出からそのAIS信号の整合性を検証するまでの即応性をより高めることができる。
【0091】
図14は、実施形態に係るAIS信号受信システムの構成例を示す図である。
図14に示す構成で、AIS信号受信システム100は、GPS用アンテナ21とAIS用アンテナ23とを備える人工衛星2に搭載される。GPS受信器22は、GPS用アンテナ21によって受信したGPS信号に基づいて人工衛星位置情報を生成する。AIS信号サンプリング部24は、AIS用アンテナ23によって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成する。
実施形態のAIS信号受信システム100は、AIS信号解析処理部128を備える。AIS信号解析処理部128は、AIS信号サンプリング部24が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、そのAIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出して、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を人工衛星2の衛星バスシステム29を経て出力させる。
なお、GPS用アンテナ21は、衛星測位用アンテナの例に該当する。GPS信号は、衛星測位用信号の例に該当する。GPS受信器22は、衛星測位用信号受信部の例に該当する。AIS信号サンプリング部24は、サンプリング部の例に該当する。AIS信号解析処理部128は、処理部の例に該当する。
【0092】
上記のとおり、AIS信号受信システム100は、GPS用アンテナ21によって受信したGPS信号に基づいて人工衛星位置情報を生成し、AIS用アンテナ23によって受信した信号に基づいたサンプリングデータを生成し、AIS信号サンプリング部24が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、そのAIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出して、前記人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、前記識別の結果を人工衛星2の衛星バスシステム29を経て出力させるようにした。
これによりAIS信号受信システム100は、船舶のAIS信号の検出からそのAIS信号の整合性を検証するまでの演算処理を人工衛星2の上で実施することで、上記の演算処理の即応性をより高めることができる。
【0093】
図15は、実施形態に係るAIS信号解析方法における処理手順の例を示す図である。
図15に示すAIS信号解析方法は、AIS信号の整合性を識別する工程(ステップS111)を含む。AIS信号の整合性を識別する工程(ステップS111)では、人工衛星位置情報と、船舶位置情報とを用いて、整合性を識別する。
【0094】
図15のAIS信号解析方法では、例えばAIS信号サンプリング部24が生成したサンプリングデータから、各船舶において生成されるAIS信号パケットを得て、そのAIS信号パケットから船舶の位置を示す船舶位置情報を抽出し、人工衛星位置情報と前記船舶位置情報とを用いて整合性を識別して、その識別の結果を人工衛星2の衛星バスシステム29を経て出力させる過程を含むようにしてもよい。
これにより、人工衛星2上で船舶のAIS信号を検出してからそのAIS信号の整合性を人工衛星2上で検証するまでの即応性をより高めることができる。
【0095】
前述した
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図を兼ねる。
図10に示す構成で、コンピュータ700は、CPU710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740と、不揮発性記録媒体750とを備える。
【0096】
上記のAIS信号受信システム1のAIS信号解析装置20、AIS信号受信システム100、衛星バスシステム29、及び地上局3のうち何れか1つ以上又はその一部が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。各装置と他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。また、インタフェース740は、不揮発性記録媒体750用のポートを有し、不揮発性記録媒体750からの情報の読出、及び、不揮発性記録媒体750への情報の書込を行う。
【0097】
例えばAIS信号解析装置20がコンピュータ700に実装される場合、AIS信号解析処理部28及びその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶部25Mに対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
GPS受信器22と、AIS信号サンプリング回路24、衛星バスシステム29などの他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0098】
AIS信号受信システム100がコンピュータ700に実装される場合、AIS信号受信システム100の各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置720に確保する。
GPS受信器22と、AIS信号サンプリング回路24、衛星バスシステム29などの他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0099】
衛星バスシステム29がコンピュータ700に実装される場合、衛星バスシステム29の各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置720に確保する。
AIS信号解析処理部28、地上局3などの他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0100】
地上局3のコンピュータがコンピュータ700に実装される場合、地上局3の各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置720に確保する。
地上局3のコンピュータによるテレメータ受信部31による他の装置との通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って動作することで実行される。
【0101】
上述したプログラムのうち何れか1つ以上が不揮発性記録媒体750に記録されていてもよい。この場合、インタフェース740が不揮発性記録媒体750からプログラムを読み出すようにしてもよい。そして、CPU710が、インタフェース740が読み出したプログラムを直接実行するか、あるいは、主記憶装置720又は補助記憶装置730に一旦保存して実行するようにしてもよい。
【0102】
なお、AIS信号受信システム1のAIS信号解析装置20、AIS信号受信システム100、衛星バスシステム29、及び地上局3のコンピュータのうち何れかが行う処理の全部又は一部を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0103】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0104】
例えば、AIS信号解析処理部28A及びAIS信号受信システム100は、半導体装置の一例である。AIS信号解析処理部28A及びAIS信号受信システム100をFPGAなどのハードウェアなどを用いて構成してもよい。
この場合、FPGAの機能を変更して、構成を更新させることが要求されることがある。
図16を参照して、これに対する実施例について説明する。
図16は、実施形態のFPGAの機能の更新に関する説明図である。
【0105】
AIS信号受信システム1Bは、AIS信号解析装置20Cを備える。AIS信号解析装置20Cは、対になるAIS信号解析装置20Aと、AIS信号解析装置20Bとを備える。この図のAIS信号解析装置20Aは、前述のAIS信号解析装置20Aに対してFPGA制御部28CONTを含む。AIS信号解析装置20AとAIS信号解析装置20Bは、構成が同一であるとする。このように、AIS信号解析装置20AとAIS信号解析装置20Bを冗長構成にすることで、FPGAの機能の更新中もAIS信号の解析を他方のAIS信号解析装置を用いて実施することができる。
【0106】
例えば、FPGA制御部28CONTは、AIS信号解析処理部28Aに係る「処理A」と「処理B」に関する機能更新用のデータを有している。FPGA制御部28CONTの指示を受けると、AIS信号解析処理部28Aは、既往の処理を中断して、機能が更新された新たな処理を実行するためのデータ(ネットリスト等)を、FPGA制御部28CONTから取得して、取得したデータに基づいて、内部の構成を更新させる。このデータが内部に展開されると、AIS信号解析処理部28Aは、新たな機能の処理を実行可能になる。
このようにして、AIS信号解析処理部28Aの機能を更新するとよい。
【0107】
なお、上記の結果、一時的にAIS信号解析処理部28Aの機能とAIS信号解析処理部28Bの機能が異なる状況になるが、AIS信号解析処理部28Aの処理を再開して、AIS信号解析処理部28Bに代わり処理を実行することで、新たな機能の処理が始まる。
新たな処理への切替が完了したら、AIS信号解析処理部28BのAIS信号解析処理部28Aと同様の手順で機能を更新するとよい。
AIS信号解析処理部28Bの内部の構成を更新させる。このデータが内部に展開されると、AIS信号解析処理部28Bは、新たな機能の処理を実行可能になる。
このようにして、AIS信号解析処理部28AとAIS信号解析処理部28Bの機能の更新が終わると、冗長系が回復する。
【0108】
上記のように、FPGA制御部28CONTは、AIS信号解析処理部28Aに係る「処理A」と「処理B」に関する機能更新用のデータを、予め有していてもよく、衛星バスシステム29Bを介して、地上局3からアップロードされてもよい。
このような機能の更新を実施するFPGA制御部28CONTを設けておくことで、将来のプロトコルの変更、静的変数の変更等の要求に答えることが可能なる。
【0109】
上記の実施形態において、人工衛星3の対地速度は、船舶の対地速度に対して十分に早い。そのため、AIS信号の検出対象の船舶が、人工衛星3の軌道に沿った方向に人工衛星3から離れていると、船舶が送ったAIS信号(RF信号)がドップラー効果の影響を受けて受信した信号の周波数がシフトすることがある。
このような位置関係にある海域を検出対象に設定する場合には、その観測海域からのRF信号の周波数変換に利用する局発(LO)の周波数を、上記のドップラー効果の影響による周波数のシフト量を打ち消すように調整するとよい。
【符号の説明】
【0110】
1、1A、1B、100 AIS信号受信システム
2 人工衛星
20、20A、20B、20C AIS信号解析装置
21 GPS用アンテナ
22 GPS受信器
23 AIS用アンテナ
24 AIS信号サンプリング回路(サンプリング部)
28、128 AIS信号解析処理部(処理部、半導体装置)
29 衛星バスシステム