(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159153
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】カップ状射出成形容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20241031BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20241031BHJP
B65D 1/46 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D1/00 111
B65D1/26 110
B65D1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074966
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】細越山 広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄一
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA14
3E033BA17
3E033BB08
3E033CA03
3E033CA06
3E033CA08
3E033CA20
3E033DA08
3E033DD05
3E033FA02
(57)【要約】
【課題】発泡部による胴部の強度、断熱性・保温性及び遮光性の向上を実現しつつ、フランジ部に要求される寸法精度及び平滑性を実現できるカップ状射出成形容器を提供する。
【解決手段】カップ状射出成形容器1は、底部2と筒状の胴部3と胴部3の開口端に連なるフランジ部4とを有し、胴部3が発泡部5を有し、フランジ部4が未発泡部6からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と筒状の胴部と前記胴部の開口端に連なるフランジ部とを有し、前記胴部が発泡部を有し、前記フランジ部が未発泡部からなる、カップ状射出成形容器。
【請求項2】
前記底部に連なる足部を有し、前記足部が未発泡部からなる、請求項1に記載のカップ状射出成形容器。
【請求項3】
前記発泡部はスキン層と発泡層とからなり、前記未発泡部はスキン層からなる、請求項1に記載のカップ状射出成形容器。
【請求項4】
前記胴部は、上端部と下端部とにそれぞれ未発泡部を有し、前記上端部と前記下端部との間の部分に発泡部を有する、請求項1に記載のカップ状射出成形容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカップ状射出成形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
底部と筒状の胴部と胴部の開口端に連なるフランジ部とを有し、発泡部からなるカップ状容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような発泡部からなるカップ状容器は、射出成形によって形成する場合、発泡部による胴部の強度、断熱性・保温性及び遮光性の向上を実現できるものの、他の部材との嵌合部やシール面を形成するフランジ部に要求される寸法精度及び平滑性を実現することが難しい。
【0005】
そこで本発明の目的は、発泡部による胴部の強度、断熱性・保温性及び遮光性の向上を実現しつつ、フランジ部に要求される寸法精度及び平滑性を実現できるカップ状射出成形容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
底部と筒状の胴部と前記胴部の開口端に連なるフランジ部とを有し、前記胴部が発泡部を有し、前記フランジ部が未発泡部からなる、カップ状射出成形容器。
【0008】
[2]
前記底部に連なる足部を有し、前記足部が未発泡部からなる、[1]に記載のカップ状射出成形容器。
【0009】
[3]
前記発泡部はスキン層と発泡層とからなり、前記未発泡部はスキン層からなる、[1]又は[2]に記載のカップ状射出成形容器。
【0010】
[4]
前記胴部は、上端部と下端部とにそれぞれ未発泡部を有し、前記上端部と前記下端部との間の部分に発泡部を有する、[1]~[3]の何れか1項に記載のカップ状射出成形容器。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発泡部による胴部の強度、断熱性・保温性及び遮光性の向上を実現しつつ、フランジ部に要求される寸法精度及び平滑性を実現できるカップ状射出成形容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態のカップ状射出成形容器を示す一部断面側面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態のカップ状射出成形容器を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1実施形態においてカップ状射出成形容器1は、底部2と筒状の胴部3と胴部3の開口端に連なるフランジ部4とを有し、胴部3が発泡部5を有し、フランジ部4が未発泡部6からなる。
【0015】
上記構成によれば、発泡部5による胴部3の強度、断熱性・保温性及び遮光性の向上を実現しつつ、フランジ部4に要求される寸法精度及び平滑性を実現できるカップ状射出成形容器1を実現できる。
【0016】
上記構成のカップ状射出成形容器1は、例えば、射出成形型における底部2に対応する底部キャビティの中央部に設けたゲートから溶融樹脂(ポリオレフィン、ポリエステルなど)を、胴部3に対応する胴部キャビティを通して、フランジ部4に対応するフランジ部キャビティまで流すことによって形成できる。発泡部5は、溶融樹脂に発泡用ガス(CO2ガス、N2ガスなどの物理発泡材)、発泡材(化学発泡材)などを混ぜることによって形成できる。射出成形時にフランジ部4の厚さをある程度薄く設定することにより、スキン層9によって発泡層10が挟まれた構造の発泡部5を胴部3が有し、フランジ部4が未発泡部6からなる構成を実現できる。つまり、射出成形時に溶融樹脂がキャビティの終端部分に突き当たる突き当たり部分となるフランジ部4の厚さをある程度薄く設定することにより、スキン層9(つまり未発泡層)からなる(つまり未発泡部6からなる)フランジ部4を容易に形成できる。スキン層9からなるフランジ部4を形成するためのフランジ部4の厚さは、樹脂の種類、発泡用ガスの種類、発泡材の種類、発泡材の添加量、製品肉厚、金型温度、金型内部での冷却時間などにより、適宜設定できる。
【0017】
カップ状射出成形容器1は、底部2に連なる足部7を有し、足部7が未発泡部6からなる。上記構成によれば、接地部8に要求される寸法精度を実現できる。上記構成のカップ状射出成形容器1は、例えば、射出成形型における底部キャビティの中央部に設けたゲートから溶融樹脂を、足部7に対応する足部キャビティと胴部キャビティとに流し、胴部キャビティを通してフランジ部キャビティまで流すことによって形成できる。射出成形時に足部7の厚さをある程度薄く設定することにより、胴部3が発泡部5を有し、足部7が未発泡部6からなる構成を実現できる。つまり、射出成形時に溶融樹脂がキャビティの終端部分に突き当たる突き当たり部分となる足部7の厚さをある程度薄く設定することにより、スキン層9からなる(つまり未発泡部6からなる)足部7を容易に形成できる。スキン層9からなる足部7を形成するための足部7の厚さは、樹脂の種類、発泡用ガスの種類、発泡材の種類、発泡材の添加量、製品肉厚、金型温度、金型内部での冷却時間などにより、適宜設定できる。
【0018】
なお、
図2に示す第2実施形態のように、カップ状射出成形容器1が足部7を有さない構成としてもよい。この場合、
図2に示すように、胴部3における下端部3aが未発泡部6からなる(つまりスキン層9からなる)構成としてもよい。このような構成は、射出成形時に胴部3における下端部3aの厚さをある程度薄く設定することで実現できる。上記構成によれば、接地部8に要求される寸法精度を実現できる。胴部3におけるスキン層9からなる下端部3aを形成するための当該下端部3aの厚さは、樹脂の種類、発泡用ガスの種類、発泡材の種類、発泡材の添加量、製品肉厚、金型温度、金型内部での冷却時間などにより、適宜設定できる。
【0019】
発泡部5はスキン層9と発泡層10とからなり、未発泡部6はスキン層9からなる。上記構成によれば、発泡部5において発泡層10によって強度、断熱性・保温性及び遮光性を容易に確保でき、未発泡部6においてスキン層9によって寸法精度及び平滑性を容易に確保できる。
【0020】
胴部3は、上端部3bと下端部3aとにそれぞれ未発泡部6を有し、上端部3bと下端部3aとの間の部分に発泡部5を有する。上記構成によれば、胴部3の上端部3bに未発泡部6を有することで容易に未発泡部6からなるフランジ部4を形成でき、胴部3の下端部3aに未発泡部6を有することで、接地部8に要求される寸法精度を実現し易くでき、胴部3の上端部3bと下端部3aとの間の部分に発泡部5を有することで、胴部3の強度、断熱性・保温性及び遮光性の向上を実現できる。
【0021】
フランジ部4は平面状をなす。上記構成によれば、上記機能を実現したカップ状射出成形容器1を容易に形成できる。
【0022】
胴部3は底部2からフランジ部4に至るまで徐々に拡径する。上記構成によれば、上記機能を実現したカップ状射出成形容器1を容易に形成できる。
【0023】
胴部3は丸筒状をなす。上記構成によれば、上記機能を実現したカップ状射出成形容器1を容易に形成できる。なお、胴部3は角筒状をなす構成としてもよい。
【0024】
胴部3は逆円錐面状をなす。上記構成によれば、上記機能を実現したカップ状射出成形容器1を容易に形成できる。
【0025】
底部2は平面状をなす。上記構成によれば、上記機能を実現したカップ状射出成形容器1を容易に形成できる。
【0026】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 カップ状射出成形容器
2 底部
3 胴部
3a 下端部
3b 上端部
4 フランジ部
5 発泡部
6 未発泡部
7 足部
8 接地部
9 スキン層
10 発泡層