(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159156
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】路側帯自走ロボット
(51)【国際特許分類】
E01H 15/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E01H15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074972
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】512326931
【氏名又は名称】株式会社移動ロボット研究所
(71)【出願人】
【識別番号】597165618
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 栄次
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩
(72)【発明者】
【氏名】福馬 誠士
(72)【発明者】
【氏名】本多 潤
(72)【発明者】
【氏名】北森 葵
(57)【要約】
【課題】 緊急時及び道路の維持修繕、点検作業時等に車両の走行規制を実施するための安全性を向上させる技術を開発すること。
【解決手段】管理用車両に搭載可能な大きさを有する、車道の路側帯を白線に沿って、自動走行する路側帯自走ロボット。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理用車両に搭載可能な大きさを有する、車道の路側帯を白線に沿って、自動走行する路側帯自走ロボット。
【請求項2】
車体の側方に白線を検知する白線認識装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の路側帯自走ロボット。
【請求項3】
白線用の照明、制御装置、コントローラを備えており、
制御装置は、白線認識制御、発進位置から路側帯を所定距離走行して停止位置で停止する走行制御、コントローラからの操作制御を備えていることを特徴とする請求項2記載の路側帯自走ロボット。
【請求項4】
白線認識装置は、路側帯自走ロボットの進行方向の前方側の白線を撮像する前方カメラと進行方向の後方側の白線を撮像する後方カメラと白線照明を備えていることを特徴とする請求項3記載の路側帯自走ロボット。
【請求項5】
走行制御には、前方カメラと後方カメラの両方のカメラに白線の画像がある場合は、両方の白線情報に基づいて走行が制御され、白線情報が片方のカメラの情報しか得られない場合は得られた白線情報に基づいて走行が制御され、両方のカメラから白線情報が得られない場合は走行を停止する制御が含まれることを特徴とする請求項4記載の路側帯自走ロボット。
【請求項6】
上部側の箱状の上部フレームと車輪が取り付けられた下部側の駆動フレームを備えており、
下部側の駆動フレームには、駆動系機構が設けられており、
上部フレームと駆動フレームは、路面凸凹吸収機構を介して、接続されていることを特徴とする請求項3記載の路側帯自走ロボット。
【請求項7】
路面凸凹吸収機構は、下部側の駆動フレームが前後に揺動できるスイング装置又は/及び上下動吸収装置を備えていることを特徴とする請求項6記載の路側帯自走ロボット。
【請求項8】
上部側の箱状の上部フレームと車輪が取り付けられた下部側の駆動フレームを備えており、
上部フレームには、操作盤、白線検知装置が設けられており、
上部フレームの一方の側面フレームの外側に、路側帯自走ロボットの進行方向の前方側の白線を撮像する前方カメラと進行方向の後方側の白線を撮像する後方カメラと白線照明が取り付けられており、
下部側の駆動フレームには、バッテリが搭載されていることを特徴とする請求項3記載の路側帯自走ロボット。
【請求項9】
上部フレームは、箱状フレームであり、
駆動フレームは、左右の走行フレームと左右の走行フレームを連結するクロスフレームを備えており、
走行フレームと上部フレームの底フレームの間にはサスペンションが設けられており、
走行フレームには、前後に車輪が取り付けられており、一方の車輪側にモータが設けられ、他方の車輪にブレーキが設けられ、前後の車輪間にベルトが設けられており、
車輪にはゴムが被覆されており、
クロスフレームには、バッテリが搭載されていることを特徴とする請求項3記載の路側帯自走ロボット。
【請求項10】
発光灯を備えており、走行中及び停止後発光灯を点灯させていることを特徴とする請求項1記載の路側帯自走ロボット。
【請求項11】
車道は、高速道路又は自動車専用道路であることを特徴とする請求項1記載の路側帯自走ロボット。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の路側帯自走ロボットが、白線を検出し、白線に対して一定の間隔を保持しながら、路側帯側を所定距離走行して、停止して、後続車に注意を喚起する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路保全技術に関する。特に、緊急時の安全確保に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
道路では通常走行の障害となる事態が発生すると、道路管理者が、障害が発生した現場に急行して、障害の解消作業に当たっている。
例えば、高速道路では、落下物の数が多く、後続車の事故や渋滞の原因になる可能性があり、至急回収する必要がある。
この回収には、現場に緊急車両を急行させて、回収作業のために走行車両の走行を規制し、回収し、走行規制を解除する作業を、作業員(パトロール隊員)が行っている。交通規制をする作業員と回収する作業員の最低2名の作業員を必要とする。高速走行している後続車両に報知して、回避走行あるいは停車させて、安全に回収作業を行う必要がある。
また、道路の維持作業、点検作業等においても走行車線上で作業を行うため走行規制を行うことがある。
走行規制を行う作業は、まず、障害物を現認するために障害物付近の路側帯に緊急車両を停車させて、その地点から作業員が上手方向に所定距離徒歩で移動して、走行規制の先端部で旗や警告灯、発炎筒などを用いて、後続車に知らせる必要がある。まず、この作業員の移動中に後続車と接触するなど危険を伴う作業である。
【0003】
交通規制のための装置として、発炎筒、警告ランプ、誘導表示具などが提案されて、使用されている。
例えば、特許文献1には、高速道路、一般道路、その他工事現場で使用する保安用品であって、内部密封状の破裂容易な膨縮袋体から構成し、使用時には膨縮袋体の内部に膨張させる空気と重りとして機能する水を注入して、空気圧で所定形状に保持すると共に注入した水で配置箇所に固定状に設置する安全標識具が開示されている。
【0004】
特許文献2には、トラック型車輌の荷台後部下側にバンパー本体とこれに連結したロッドを後方に引出し可能に保持する保持体を有する可動バンパー装置を設け、荷台両側には長手方向で分割されたあおりを設けるとともにそれらあおり近傍に床面より凹入した作業用ボックスを設け、荷台後側部位には、床を貫通して斜めに伸び、方向変位可能かつ上下移動可能な投下パイプを有する発炎筒投下装置を設けた、高速道路の規制現場で、後尾警戒と規制用資機材の配置作業を安全、迅速、確実に行なうことができる道路規制用車輌が開示されている。
しかし、走行規制する最初に到達するために安全性を確保する手段の開発は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3114211号公報
【特許文献2】特開2003-2109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、緊急時及び道路の維持修繕、点検作業時等に車両の走行規制を実施するための安全性を向上させる技術を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車道の路側帯を白線に沿って、自動走行する軽量小型の路側帯自走ロボットである。本発明では、自動車の通常の走行に供される車線の外側に設けられている緊急車両や保守点検車両が走行する路肩と中央分離帯側に設けられているスペース(側帯)を含めて路側帯と言う。
【0008】
本発明は、次の構成を要旨とするものである。
1.管理用車両に搭載可能な大きさを有する、車道の路側帯を白線に沿って、自動走行する路側帯自走ロボット。
2.車体の側方に白線を検知する白線認識装置を備えていることを特徴とする1.記載の路側帯自走ロボット。
3.白線用の照明、制御装置、コントローラを備えており、
制御装置は、白線認識制御、発進位置から路側帯を所定距離走行して停止位置で停止する走行制御、コントローラからの操作制御を備えていることを特徴とする2.記載の路側帯自走ロボット。
4.白線認識装置は、路側帯自走ロボットの進行方向の前方側の白線を撮像する前方カメラと進行方向の後方側の白線を撮像する後方カメラと白線照明を備えていることを特徴とする3.記載の路側帯自走ロボット。
5.走行制御には、前方カメラと後方カメラの両方のカメラに白線の画像がある場合は、両方の白線情報に基づいて走行が制御され、白線情報が片方のカメラの情報しか得られない場合は得られた白線情報に基づいて走行が制御され、両方のカメラから白線情報が得られない場合は走行を停止する制御が含まれることを特徴とする4.記載の路側帯自走ロボット。
6.上部側の箱状の上部フレームと車輪が取り付けられた下部側の駆動フレームを備えており、
下部側の駆動フレームには、駆動系機構が設けられており、
上部フレームと駆動フレームは、路面凸凹吸収機構を介して、接続されていることを特徴とする3.記載の路側帯自走ロボット。
7.路面凸凹吸収機構は、下部側の駆動フレームが前後に揺動できるスイング装置又は/及び上下動吸収装置を備えていることを特徴とする6.記載の路側帯自走ロボット。
8.上部側の箱状の上部フレームと車輪が取り付けられた下部側の駆動フレームを備えており、
上部フレームには、操作盤、白線検知装置が設けられており、
上部フレームの一方の側面フレームの外側に、路側帯自走ロボットの進行方向の前方側の白線を撮像する前方カメラと進行方向の後方側の白線を撮像する後方カメラと白線照明が取り付けられており、
下部側の駆動フレームには、バッテリが搭載されていることを特徴とする3.記載の路側帯自走ロボット。
9.上部フレームは、箱状フレームであり、
駆動フレームは、左右の走行フレームと左右の走行フレームを連結するクロスフレームを備えており、
走行フレームと上部フレームの底フレームの間にはサスペンションが設けられており、
走行フレームには、前後に車輪が取り付けられており、一方の車輪側にモータが設けられ、他方の車輪にブレーキが設けられ、前後の車輪間にベルトが設けられており、
車輪にはゴムが被覆されており、
クロスフレームには、バッテリが搭載されていることを特徴とする3.記載の路側帯自走ロボット。
10.発光灯を備えており、走行中及び停止後発光灯を点灯させていることを特徴とする1.記載の路側帯自走ロボット。
11. 車道は、高速道路又は自動車専用道路であることを特徴とする1.記載の路側帯自走ロボット。
12.1.~11.のいずれかに記載の路側帯自走ロボットが、白線を検出し、白線に対して一定の間隔を保持しながら、路側帯側を所定距離走行して、停止して、後続車に注意を喚起する方法。
【発明の効果】
【0009】
1.本発明の車道の路側帯を白線に沿って、自動走行する軽量小型の路側帯自走ロボットは、車両の走行規制を実施するにあたり、作業員に先行して後続車両に注意を喚起できるので、作業員と後続車両のために安全性を向上させることができる。本発明の路側帯自走ロボットは、道路の管理車両に搭載できる大きさほどの小型であり、一人で持ち運びでき、緊急時に携帯できる小型軽量を実現できた。特に、車両が高速で走行している高速道路や自動車専用道路上での作業の安全性の確保に貢献できる。
2.本発明の路側帯自走ロボットは、車体側方に設けられた白線認識装置によって、検知された白線の外側(側道部分)を所定距離走行して停止するので、後続車両に対して安全性を保って走行できる。また、白線上の凹凸や滑り性に影響されずに走行することができる。
3.白線認識装置は、前方向の白線と後ろ方向の白線を認識する装置を備えているので、基本は両方向の白線を検知して走行するが、一方の白線検知でも走行できるので、走行の確実性が高い。白線用の照明を備えているので、夜間やトンネル内でも使用することができる。また、白線を検知できないときは停止して待機状態となるので、後続車両の走行の障害にならない。
4.コントローラ制御もできるので、路側帯自走ロボットが車道側に出たときなどには、作業員がコントローラから停止指示など、コントローラ優先の操作ができる。
5.小型軽量かつ部品に分離しやすい構成であるので、後続車両と衝突しても、重大事故にならないような構造を備えている。上部フレームと下部フレームで構成して、下部フレームにバッテリと駆動系の構造を配置したので、下部側が重く、上部側が軽量であるので、
6.上部フレームと下部フレームの間には、路面の凸凹を吸収する機構が設けられているので、路面の凹凸を乗り越えて走行でき、路面の凹凸による上下動が上部フレームに伝わらないように凹凸吸収機構を形成しているので、上部フレームの姿勢が安定するので、白線認識装置のカメラが白線を見失うリスクが小さくなり、白線に沿った安定した走行を確保できる。また、ゴム被覆車輪によってスリップを防止できる。
7.発光灯を搭載することにより、後続の走行車両への注意喚起をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図7】路側帯を走行する路側帯自走ロボット例2を示す図。
【
図8】路側帯を走行する路側帯自走ロボット例2の3面図を示す。
【
図9】路側帯自走ロボット例2の側部に発光灯を搭載した路側帯自走ロボットの例を示す。
【
図10】路側帯自走ロボット例1の上部に発行灯を機体上面に搭載した路側帯自走ロボットの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、路側帯を白線に沿って走行する路側帯自走ロボットである。
路上にある落下物などの障害を撤去する作業に伴い、後続車の安全、作業の安全を確保するために交通規制が行われる。また、道路の維持修繕作業、点検作業等においても走行車線上で作業を行うため走行規制を行うことがある。交通規制は、通常走行している後続の車両に対して、急に予想外の走行を強いるものであって、間に合わずにそのまま突っ込んでくることがあるなど、作業員及び後続車両にとって危険を伴う作業である。
本発明の路側帯自走ロボットは、作業員による交通規制に先立ち、後続車両に警告ができるように路側帯を走行するロボットである。緊急時に管理用車両に搭載し、現場で積み降ろしが簡単で、後続車両が衝突しても大きな事故にならないように、軽量、小型、易分離性に設定されている。
【0012】
落下物の撤去作業における交通規制が行われる道路の状況の例を
図6に示す。
この図に示された道路は、片側3車線の高速道路の例である。
中央分離帯が真ん中にあり、路端に向かって、センター側路側帯113、路側帯側白線115、センター側走行車線110c、車線区画白線114a、中間走行車線110b、端側走行車線110a、路側帯側白線115、端側路側帯112が配置されている。
なお、高速道路などで道路の端側に、緊急車両や保守点検用の車両の通行用に確保されているスペースを路肩と称することもあるが、本明細書では、端側路側帯と称し、中央分離帯側に確保されているスペース(側帯)をセンター側路側帯と称し、両方を合わせて路側帯と言うこととする。
端側走行車線110aに落下物などの処置対象Aがあり、これを改修するために走行規制区間Wを設ける必要が発生している。
このような事態において、管理者に属する管理用車両が、処置対象Aの側に急行して、路側帯に停車して、状況を現認して、後続車両の安全と回収作業の安全を確保するために、作業員(パトロール隊員)が、徒歩で所定距離(100m程度)さかのぼって、走行規制区間の先端で旗などを振って後続車に車線変更あるいは停車のサインを出している。
本発明の路側帯自走ロボットRは、後続車に危険を知らせることができるように路側帯を走行できる装置である。路端側と中央側の双方路側帯を走行できるように、幅の狭い中央側の路側帯も走行可能に設定されている。
【0013】
本発明の路側帯自走ロボットは、管理用車両に搭載可能な大きさであり、路側帯の幅よりも小さな車幅を有していて、車道の路側帯を白線に沿って自動走行するタイプの走行するロボットである。
路側帯自走ロボットの車体の側方に白線を検知する白線認識装置を備えている。また、白線用の照明、制御装置、コントローラを備えており、制御装置は、白線認識制御、発進位置から路側帯を所定距離走行して停止位置で停止する走行制御、コントローラからの操作制御を備えている。
【0014】
白線認識装置は、路側帯自走ロボットの進行方向の前方側の白線を撮像する前方カメラと進行方向の後方側の白線を撮像する後方カメラと白線照明を備えている。
【0015】
走行制御には、前方カメラと後方カメラの両方のカメラに白線の画像がある場合は、両方の白線情報に基づいて走行が制御される。
白線情報が片方のカメラの情報しか得られない場合は得られた白線情報に基づいて走行が制御される。
両方のカメラから白線情報が得られない場合は走行を停止する制御が行われる。
【実施例0016】
本発明の路側帯自走ロボット例1の概略を
図1~3に従って説明する。
図1(a)は路側帯自走ロボットの斜視図、
図1(b)は平面図である。
路側帯自走ロボットR1は、車体1、車体1の前後左右に車輪21が取り付けられている。車体の一側方に白線認識装置3、他側面にアンテナ34を備え、上面に操作盤4を備えている。
本路側帯自走ロボットRは、装置的には前後の区別不要であるが、便宜上、この図では操作盤4が取り付けられている側を前方と定義する。本路側帯自走ロボットRは、方向を変えずに往復することができる。
【0017】
白線認識装置3は、白線カメラ31、白線照明32を備えている。本例では、白線カメラ31は、前方カメラ31F、後方カメラ31Rを有している。白線照明32も、前後のカメラと対となる照明を準備する。
白線認識装置3は、白線カメラ31で白線の画像をとらえて、その白線に沿って路側帯自走ロボットRを誘導する機能を果たす。走行する路側帯側の白線は、連続しているのが原則であるが、カスレや泥の付着などで、白線の画像が途切れることもあるので、前後方向を映す2台のカメラを用いて、双方に映った白線に基づいて走行することを原則とし、片方のカメラに映った白線を頼りにして走行できるようにするのが善後策である。また、暗くなった時のために白線を照らす白線照明を設けて、十分な画像を得るようにする。本例では照度センサ33を設けて検知した照度に基づいて白線照明を点滅させることができるが、必ずしもこの照度センサは必須ではなく、常時点灯、時刻で点灯を制御、あるいは手動設定もできる。また、対向車の照明などで、カメラの直下の白線が見づらいときも、白線照明は有効である。
走行に当たっては、白線から一定の間隔に保たれるように誘導制御される。
【0018】
操作盤4には、路側帯自走ロボットRの主電源スイッチ41、走行距離選択スイッチ42、走行方向スイッチ43、表示44が設けられている。これらの設置場所は特定されない。
車輪21は、車体の側部下方側に取り付けられていて、左右の車輪の設置幅が本体の幅よりも広くでき、また、左右の車輪間に本体の下部が入るので車高を低くでき、車幅と車高の両面で路側帯自走ロボットの安定性が向上する。
右側の前後の車輪21、21間にベルトが掛け回されており、同様に左側の前後の車輪21、21間にベルトが掛け回されているので、前後のうちの一方の車輪を駆動するモータの駆動力が他方にも伝えられるようになっている。
アンテナ34は、図示では側面に、倒伏、起立可能に設けられている。アンテナの取付箇所は、どこでも可能であるが、非使用時に邪魔にならないように、車体に沿わせるなど姿勢を変更させることが好ましい。
【0019】
本発明の路側帯自走ロボットRは、管理用車両に搭載可能な大きさ及び路側帯の幅よりも小さな車幅を有することが好ましい。小さな車幅と管理用車両に搭載できる軽量・小型であるので取り扱いやすくなっている。
管理用車両には、交通管理、道路管理のために必要な資材が搭載されていて、この路側帯自走ロボットを新たに搭載するスペースは限られているので、軽量小型化は重要である。軽量小型の路側帯自走ロボットは、路側帯自走ロボットが、後続車とぶつかっても後続車のダメージを小さくできる。本路側帯自走ロボットの構成素材も小さく、ばらばらになりやすいように組み立てると、さらに二次事故の重大化を防止できる。
例えば、本路側帯自走ロボットは、一人で抱えて取り運び出来る大きさと重量に設定することができた。
【0020】
図2にコントローラ9の例を示す。
電源スイッチ91、走行距離選択スイッチ92、前後の走行方向選択スイッチ93、緊急停止ボタン94、モニタディスプレイ95、微調整用の移動矢印ボタン96、バッテリの充電状態を表示する充電ランプ98などが備えられている。
走行方向や走行距離などの走行設定は、路側帯自走ロボットの本体側及びこのコントローラでも設定できる。コントローラでは、緊急停止ボタンを設けて、路側帯自走ロボットが暴走したときなどに手動で緊急停止できるようにしてある。バッテリの充電状態を充電ランプ98で確認し、充電不足であれば、バッテリを交換する。
自走スピードは、作業員の歩行スピード程度が基本である。白線認識が片方のカメラだけになった場合などには、スピードを下げるように設定することもできる。
移動矢印ボタンは、前後左右に少しずつ移動させて、路側帯自走ロボットの停止位置などの調整を行う。走行距離選択スイッチは、走行させる所定の距離を選択するもので、例えば、40、80、120mなどの距離が選択できるようにする。あるいは、現場の状況に応じて、短くする、または長くする必要があれば、作業員が任意の距離を設定できる。走行方向選択スイッチは、進行方向の選択をする。ディスプレイは、路側帯自走ロボットの状態を表示する。例えば、待機、往路移動、復路移動、緊急停止、エラー停止などが表示される。白線の認識ができなくなった状態のときは、白線エラーなどと表示される。
本発明の路側帯自走ロボットは、白線用の照明を備えていて、夜間でも指定された所定距離を自走走行できるが、コントローラから手動制御することもできる。
例えば、手動制御優先として、走行方向選択スイッチを押し続けているときに走行し、走行方向選択スイッチから手が離れたときは走行を停止する設定にする。高速道路などで路側帯自走ロボットが使用されるので、走行ミスが生じて、勝手に、走行車線側に入った場合、後続車両に衝突する事故が発生する恐れがあるが、このようなリスクを回避することができる。走行方向選択スイッチを押していないと走行しないが、走行距離は当初に設定した距離が優先し、走行スイッチが押されていても、規定距離走行して停止する制御を優先することとなる。
【0021】
図3に路側帯自走ロボットの走行概略図を示す。
この図は、管理用車両などが処置対象Aの付近に急行し、その場から路側帯自走ロボットRを発進させるという想定である。
端側走行車線110aに落下物などの処置対象Aがあって、路側帯側白線115より走行間隔dを離して、路側帯111に路側帯自走ロボットRを設置して、設定する走行規制区間Wに応じて、走る走行距離Lを設定して、路側帯自走ロボットRを発進させる。スタート位置を発進スタート位置S、規制ラインWsを到着位置Eとして表示している。
【0022】
路側帯自走ロボットRは、白線カメラ31から得られた路側帯側白線115を認識して、走行間隔dを保ちながら走行距離Lを自走して、到着位置Eで停止して、待機状態となる。
走行間隔dは、中央側の路側帯など狭い路側帯では小さく設定される。例えば、通常を12.5cmとし、狭い路側帯では5cmとするなどである。
作業員に先んじて、路側帯を白線に沿って自動走行する路側帯自走ロボットは、交通規制を行う先端部まで先行して走行して、後続車両へ注意を喚起することができ、後から歩く作業員の安全性を向上させることができる。
【0023】
図1と
図4と
図5に路側帯自走ロボットRの構造の例を示す。
路側帯自走ロボットRは、上部側の箱状の上部フレーム11と下部側の車輪が取り付けられた駆動フレーム12を備えている。
上部フレーム11と駆動フレーム12の間にはサスペンション25が設けられている。
上部フレーム11と駆動フレーム12は、容易に分離できるように取り付けられている。分離した状態で車両に積み込み、現地で組み立てることも容易である。また、後続車両が衝突した場合は、上下が分離して、後続車へのダメージを小さくすることもできる。
【0024】
上部フレーム11は、前フレーム11a、後フレーム11b、右フレーム11c、左フレーム11d、底フレーム11eからなる前後面のフレームと左右側面のフレームと底フレームを備えた箱状フレームである。上側を覆う天フレームもあるが、外した状態で図示している。
上部フレーム11には、操作盤4、白線認識装置3が設けられている。操作盤を除いて、全体をカバーで覆うこともできる。
上部フレームは、主に、格納される制御装置は、薄くて小さな基盤に集約することができるので、容量は小さくて済むが、白線認識装置の取り付け板の機能や、後続車両への視認性を確保するために、ある程度のボリュームを確保している。空いているスペースは、発光灯や発炎筒などを収納することができる。
【0025】
上部フレーム11の左フレーム11dの外側に、路側帯自走ロボットRの進行方向の前方側の白線を撮像する前方カメラ31Fと進行方向の後方側の白線を撮像する後方カメラ31Rと白線照明32が取り付けられている。白線照明32も、双方のカメラの撮像範囲を照らすことができるように、それぞれのカメラに対応して、2つ設けることができる。この例では、前フレーム11aと後フレーム11bが、左フレーム11dよりも側方に延出している。この延出部分は、後続車の照明や太陽光などがカメラのレンズに入射するのを防止するのに役立っている。さらに、後続車の照明や太陽光などの影響を抑制して白線の画像を得るために拡散板付きのリング(LED)照明などが適している。
路側帯自走ロボットRは、走行車線の路側帯側に連続している白線を認識して、白線に沿って路側帯側を走行するので、安全に確実に走行することができる。
【0026】
下部側の駆動フレーム12には、駆動系の機構とバッテリが設けられている。
駆動フレーム12は、左右の走行フレーム13と左右の走行フレーム13を連結するクロスフレーム14を備えている。走行フレーム13と上部フレーム11の底フレーム11eの間にはサスペンション25が設けられている。
走行フレーム13には、前後に車輪21が取り付けられており、一方の車輪側にモータ22が設けられ、他方の車輪にブレーキ26が設けられ、前後の車輪間にベルト24が掛けまわされている。図示では走行フレーム13には、カバーが設けられているが、設けなくてもよい。
一方の車輪側にモータとブレーキを設けることもできるが、前後の車輪に別々に設けて単機能としたほうが、機器構成は簡素になる。タイミングベルトを用いたベルト駆動とすることによって、前後の車輪に駆動が伝えらえているので、片輪が浮いても、駆動力が路面に伝わるので、蛇行の発生を防止して、真直ぐ走ることができる。蛇行すると、白線を見失いやすく、走行停止状態に陥りやすくなる。
【0027】
車輪21は、走行フレーム13に設けられた外側方に延出された車軸に取り付けられており、前後の一方の車輪の車軸に駆動用のモータ22の回転軸に連結されている。他方の車輪21には、ブレーキ26が設けられている。モータとブレーキは、走行フレーム13の内側に設けられている。
ブレーキは、走行時にOFFで停止時にONとなる省電力型ブレーキ(停止状態でスリーブモード)を用いるとバッテリの消耗を少なくでき、バッテリの小型軽量化ができる。また、停止状態で自動的にブレーキが作動状態となるので、勝手に動き出すことがなく、安全性が向上する。
車輪が車体の外側にあるので、車輪間の間隔が大きくなって、安定性が向上する。モータとブレーキが内側にあって、重心が内側に寄せられるので、安定性に寄与する。また、左右の走行フレームは、独立している。
車輪21には滑り防止用にゴムが被覆されている。ゴム材料は、天然ゴム、ウレタンゴム、ブチルゴムなどを使用することができる。
底フレーム11eの下側でクロスフレーム14の上に重量の重いバッテリ23が搭載されている。
バッテリ23は、底フレーム11eあるいはクロスフレーム14のどちらに、設置することも可能である。
【0028】
路側帯自走ロボットは、上下にフレームを分けることによって、メンテナンス等が容易になり、サスペンションなどのスプリングを介在させることによって、路上の凹凸による影響を白線用カメラなどが受けずに安定した走行情報を得ることができる。路上には、アスファルト凹凸、小さな塵埃、表示ラインなどがあって、小型軽量車両にとって、前後左右に傾くと、センサ類の方向性が大きく変化して、目標をロストしまうが、サスペンションによって、白線の認識装置などが搭載された上部フレームの姿勢が安定しているので、白線などを見失うことなく走行することができる。
サスペンションなどによって、下部フレームの車輪は、路面の凹凸などを吸収して乗り越えることができるので、小さな車輪系でも走行することができる。また、車輪にウレタンゴムなどのゴム素材が被覆されているので、滑りを防止することができる。車輪の本体を、プラスチック製あるいは軽量金属製とすることができる。
車輪の走行能力として、各種の表示ラインによる凸凹、小砂利、タイヤカス、グレーチング、橋梁のジョイント部を走行できる性能が必要になるが、本路側帯自走ロボットRの走行試験では、クリアすることができている。
なお、本例では、一人で抱えて持ち運び出来る大きさと重量に抑えることができ、人の歩行速度程度で走行するスピードと所定距離を5往復程度走行できる能力を備えた路側帯自走ロボットを実現することができた。他の作業現場でも、連続して使用できる稼働能力を実現している。
【0029】
[凹凸吸収機構の例]
小さな路側帯自走ロボットが、高速道路を安定して走行するために採用した凹凸吸収機構の例を
図12、13に示す。
図12は外側から見た外側図(a)、内側から見た内側図(b)であり、
図13は凹凸吸収機構の構造を示す図である。
図12において、外側、内側と称しているのは、
図15において、走行フレーム13を内外からみた状態を示している。
【0030】
図12(a)には、路側帯自走ロボットの走行部を主として外側から見た図が示されている。車輪21の車軸27が取り付けられているスイングフレーム72の上部の両端側に端部サスペンション75(75a、75a)があって、上部フレーム11の底部と接続している。図面の中間部には上下動吸収スプリング81が3本図示され、その奥には上部取付フレーム74がある。
図12(b)には、路側帯自走ロボットの走行部を主として内側から見た図が示されている。最内側には上部取付フレーム74があって、上部フレーム11に取り付けられている。最奥にはスイングフレーム72が存在し、その中間に上下動フレーム73が点線で示されている。上下動フレーム73と上部フレーム11の底部との間に配置されている3本の上下動吸収スプリング81が点線で示されている。上部取付フレーム74の中央には上下に長い上下動許容長孔78があって、その長孔に上下動フレーム73に固定されているスイング軸77が嵌っている。
すなわち、スイングフレーム72、上下動フレーム73、上部取付フレーム74の順に3枚が並んでいて、スイングフレーム72の上に端部サスペンション75があり、上下動フレーム73の上に上下動吸収スプリング81があって、上部フレーム11に取り付けられている。上部取付フレーム74には上下動許容長孔78があって、スイングフレーム72と上下動フレーム73に取り付けられているスイング軸77がこの長孔内を上下動できる構成となっているのである。
【0031】
この構成によって、路面の凹凸吸収機能を簡単に説明すると次のようになる。
両端側にある端部サスペンション75(75a、75a)によって、凸部などに車輪21が乗り上げた場合、吸収される。また、スイング軸77が上下した場合、上下動吸収スプリング81が吸収できる。
この仕組みは、左右にあるので、走行部の上下、前後の傾斜、左右の傾斜を吸収して、上部フレーム11に路面の凹凸が影響しにくいように、凹凸吸収機構7が機能することとなる。
この例では、走行フレーム13は、スイングフレーム72、上下動フレーム73、上部取付フレーム74、この3枚のフレームを貫通するスイング軸77、3枚のフレームと上部フレーム11の間にあるスプリング(サスペンション75、上下動吸収スプリング81)から構成されている。
【0032】
図12に示されている凹凸吸収機構7の具体的な構成を
図13を用いて説明する。
図13(a)はスイング・上下動吸収レーム構成中央断面、
図13(b)はスイング・上下動吸収フレーム構成、
図13(c)はスイング軸フレーム側図、
図13(d)は上下動フレーム/スイングフレーム側図、
図13(e)は上部取付フレーム側図を示している。
【0033】
図13(a)の、スイング・上下動吸収フレーム構成中央断面は、走行部の片側が示されており、同様の構造が両側にある。
前述のようにスイングフレーム72、上下動フレーム73、上部取付フレーム74の順に3枚が並んでいる。スイングフレーム72の上に端部サスペンション75(75a)、上下動フレーム73の上に上下動吸収スプリング81がある。上部取付フレーム74は上部フレーム11に取り付けられている。スイング軸77は、上下動フレーム73に取り付けられていて、スイングフレーム72には回動できるように取り付けられ、上部取付フレーム74に設けられている上下動許容長孔78には上下に遊動可能に取り付けられている。なお、スイング軸77は、スイングフレーム72と上部取付フレーム74に対して、図示しないが抜け止め構造が設けられている。
なお、車輪21がスイングフレーム72の前後端側に設けられているので、点線で示されている。
【0034】
図13(b)は、スイング・上下動吸収フレーム構造を構成する3枚のフレームを示している。
スイングフレーム72は、両端側に車軸穴72a、72a、中央にスイング軸穴72bが設けられている。
スイングフレーム72は、前後の車軸間より長く、車輪径よりも小さい幅に形成され、前後に斜めにカットされた揺動用隅取部72c、72cが設けられている。この揺動用隅取部72c、72cは、スイングフレームが、中央のスイング軸穴72bに嵌るスイング軸77を中心にスイングしたときに、スイングフレームの前後の角部が路面に接触しないように設けてある。この斜めカットは、途中まででも良い。
両端側に設けられた車軸穴72a、72aには車輪の車軸が取り付けられ、中央のスイング軸穴72bには、スイング軸が取り付けられることとなる。
スイングフレーム72には、そのほか、図示を省略した駆動モータとブレーキが取り付けられる。
【0035】
上下動フレーム73は、長方形であって中央にスイング軸穴72bが設けられている。スイング軸77がこのスイング軸穴72bを通過する。
上下動フレーム73には、前述したように上下動吸収スプリング81が取り付けられるので、その分の長さを備えている。スイング軸77がスイングフレーム72のスイングに合わせて、回動するので、上下動フレーム73のスイング軸穴72bは通過するスイング軸77が回動できる大きさに形成されている。
【0036】
上部取付フレーム74は、スイングフレーム72と上下動フレーム73よりも高い高さを有している。中央部に上下に長く、スイング軸77より少し大きい幅の上下動許容長孔78が設けられている。上下動許容長孔78に挿通されたスイング軸77は、上下に遊動でき、前後の動きは規制されることとなる。スイング軸77の先端側には、図示しない抜け止めが設けられている。
上部取付フレーム74の上端は、上部フレーム11に取り付けられる。
スイング軸77は、上部取付フレーム74によって、上下動ができるので、車輪の上下動を吸収できる。
【0037】
図13(c)は、車輪21、スイング軸77と端部サスペンション75aが取り付けられたスイングフレーム72を中心とした構成が示されている。
スイングフレーム72には、両端側の車軸穴72aに車軸27が取り付けられ、中央のスイング軸穴72bにスイング軸77が回転可能に取り付けられている。スイングフレーム72の上部で両端側に端部サスペンション75a、75aが上部フレーム11の底部との間に設けられている。なお、上部フレーム11の底部は点線で示されている。
この構造によって、スイングフレーム72は、スイング軸77を中心として、揺動することができる。すなわち、車輪21は、路面の凸凹に応じて上下動した場合、端部サスペンション75a、75aによって吸収されて、上部フレーム11に揺動が伝わることを防止できる。
【0038】
図13(d)は、上下動フレーム73とスイングフレーム72を組み合わせた構成が示されている。
上下動フレーム73とスイングフレーム72には、スイング軸77が通っている。上下動フレーム73と上部フレーム11の底部との間に上下動吸収スプリング81が設けられている。上下動吸収スプリング81が3本図示されているが、本数に限定はない。スイング軸77が上下に動いてもこの上下動吸収スプリング81が吸収して、上部フレーム11には上下動が伝わらい。
【0039】
図13(e)は、上部取付フレーム74と上下動フレーム73を組み合わせた構成を上部取付フレーム74側から見た図が示されている。
スイング軸77は、上下動フレーム73には固定され、上部取付フレーム74では上下に長い上下動許容長孔78によって遊動できる。
上部取付フレーム74は上部フレーム11に固定されているので、上下動許容長孔78に従って動くスイング軸77の上下動は、上下動フレーム73と上部フレームとの間にある上下動吸収スプリング81に吸収されることになる。
【0040】
したがって、これらの構成から、前後の車輪が凸凹を踏んだ場合は、端部サスペンション75a、75aが吸収し、左右の車輪の高さが変わった場合は、上下動吸収スプリング81が吸収するので、路面の凸凹による車輪の上下動は、吸収されて、上部フレームには伝わらず、上部フレームは安定する。上部フレーム11に取り付けられている白線認識装置も安定するので、白線を見失うリスクも小さくなり、白線に沿って安定した走行が可能となる。
【0041】
また、上部取付フレーム74だけが上部フレーム11に固定されているだけなので、走行フレームは衝突したショックで分離しやすくなっている。
各フレームの材質にポリカーボネートなどのプラスチック材を用いると、衝突しても、後続車両に対する危険性が小さく、安全性が高い。
特に、
図12、13に示されるスイングフレーム72、上下動フレーム73、上部取付フレーム74の3枚で構成される走行フレーム13は、上部取付フレームの上部が上部フレームに固定されているだけなので、衝突のショックで、上部フレームと分離して、さらに個別の3枚に分離しやすいので、衝突のショックで細かな部材になり、さらに、プラスチック製の部材では、後続車両に重大な事故を誘発する恐れは小さくなる。
また更に、箱型の上部フレームもプラスチック製とすることができる。そして、箱型の上部フレームに収納する制御機器は一枚の基板にまとめることができ、箱型フレーム自体は軽量であるカメラなどを備えた白線認識装置も小型で前後に分離できる。搭載する発光灯も作業員が通常使用する棒状発光灯などを用いることができるので、上部の部材も小さく分離でき、後続車両が衝突しても重大事故を招く危険性は小さい。
【0042】
[諸元例]
本発明の路側帯自走ロボットは、安定して路側帯を走行でき、軽量小型であって、後続車両と衝突しても、衝突の障害を抑えることができる例として、次の仕様を例示できる。
ここに示す本路側帯自走ロボットの諸元の設定例は、あくまでも例の紹介であって、これに限定されるものではない。
車体のサイズ:一人で抱えることができる程度の大きさ
重量:一人で容易に持ち運びできる程度の重さ
走行速度:人の歩行程度、白線認識程度によって減速
段差超能力:30mm以上
安定性:全天候対応、耐風速20m/s以上
活動温度:-10~65℃
白線認識低下:走行速度を減速
白線からの走行間隔:20~5cm(設定スイッチにより選択)
白線カメラ:2台、白線の白色検出
白線照明:赤外線LED、拡散板付きリングLED
フレーム材質:ポリカーボネート
モータ:交渉電圧12V、エンコーダパルス
モータドライバ:2モータ対応
ブレーキ:省電力型ブレーキ(停止状態でスリーブモード)
【0043】
図11に制御システム構成の例を示す。
制御システム5は、CPU51、モータドライバ52、ブレーキドライバ54、白線認識ドライバ55、照度センサドライバ56、各種コネクタドライバ57、電源回路58、操作盤などにある各種スイッチ59を備えている。そして、各種機器へ電源を供給するバッテリ23等が設けられている。また、CPUは、各種コネクタドライバ57や電源回路58を通して、接続される機器を制御する。また、コントローラ9から、CPUを制御することができる。
CPU51が、走行制御に基づいてモータドライバ52とブレーキドライバ54を通して駆動系を制御する。CPU51は、白線認識ドライバ55、照度センサドライバ56に基づいて、白線を認識して、白線に沿った走行制御を行う。
CPU51には、各種スイッチ59からの設定情報が入り、走行の条件が設定される。
【0044】
各種の制御については、それぞれの機器等に合わせて説明してあるが、改めて概略を説明する。
走行のために、路側帯自走ロボットを走行させる路側帯の近傍に走行方向に向けて設置する。そして、車体の操作盤を用いて、走行距離、離間間隔などの条件を設定し、ディスプレイの表示を確認する。アンテナを伸ばし、白線カメラとモニタの状態を確認して、白線が認識できているかを確認する。併せて、コントローラの電源をONにして、バッテリ残量、設定された走行条件をコントローラの表示部で確認する。
初期設定と機体に異常がないことが確認できたら、スタートスイッチを押して、走行が開始される。
白線認識装置によって得られて白線の情報に基づいて、白線に沿って一定の間隔を保って路側帯側を所定距離走行して、停止して、待機状態となる。白線認識装置は、必要なときは白線照明が点灯する。白線認識装置が白線を認識できないときは、白線をロストしたとして走行が停止される。
白線の認識状態によって走行速度を自動的に調整する。例えば、白線の劣化やジョイント部などで自律的に減速し、明瞭に白線が認識ができるように改善されると速度復帰する。
異常が発生した場合は、コントローラに異常アラートを表示し、自動的に緊急停止し、停止状態を保つ。異常は、白線認識不可、他電波との混信、通信強度の低下や途絶、異常発熱、バッテリ低下、CPU等の異常などが想定される。作業員の判断で、停止スイッチを使用して、停止させることもできる。
これらの設定と走行状態は路側帯自走ロボットの操作盤に表示されるとともに、コントローラにも表示される。
コントローラには、路側帯自走ロボットを前後斜めに少し移動させることができる移動矢印ボタンがあって、微調整できる。また、緊急停止ボタンによって、不測の事態に対応できる。
さらに、発光灯を備えると、後続車両の走行に注意を喚起することができ、規制ラインの構築にも有効である。
また、走行スイッチを押しているときに走行し、スイッチを離したときに走行を停止するように制御すると、作業員による路側帯自走ロボットの走行制御優先となって、走行車線に迷い出るなどの異常走行を防止でき、安全性が向上する。なお、この場合でも、設定された走行距離を走行したときに、自動停止する機能は有効にすることができる。
落下物などを回収し、路側帯自走ロボットを逆方向の走行スイッチを押すことによって、帰走行をさせることができる。この場合も、発光灯を点灯させると安全性を確保できる。あるいは、作業員が携行することもできる。
路側帯自走ロボットR2は、白線認識装置3を車体側面から飛び出すように設けたので、白線の上に寄って、クリアな白線画像を得ることができるので、白線を見失うリスクも小さく、走行間隔dの維持も容易になる。