(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159172
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】非接触ICカード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20241031BHJP
B42D 25/305 20140101ALI20241031BHJP
【FI】
G06K19/077 156
G06K19/077 264
B42D25/305 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075003
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【弁理士】
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】芝岡 良昭
(72)【発明者】
【氏名】戸田 嘉孝
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005MA07
2C005MB07
2C005MB08
2C005MB10
2C005NA06
2C005NA08
2C005RA14
2C005RA30
(57)【要約】
【課題】曲げ応力によって非接触ICカードが割れてしまった場合でも、機能不能な状態にならない非接触ICカード及びその製造方法を提供する。
【解決手段】非接触ICカードであって、カード基材、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーを有し、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーが、カード基材の中に埋設されており、主アンテナとICチップとが、電気的に接続しており、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線が、カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、ガイドワイヤーが配置されており、かつガイドワイヤー又はガイドワイヤーの延長線によって、カード基材が、カード基材の面方向について、2以上の領域に画分されており、かつ主アンテナ及びICチップの全体が、2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置されている、非接触ICカード。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICカードであって、
カード基材、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーを有し、
前記主アンテナ、前記ICチップ、及び前記ガイドワイヤーが、前記カード基材の中に埋設されており、
前記主アンテナと前記ICチップとが、電気的に接続しており、
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーの延長線が、前記カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、前記ガイドワイヤーが配置されており、かつ前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線によって、前記カード基材が、前記カード基材の面方向について、2以上の領域に画分されており、かつ
前記主アンテナ及び前記ICチップの全体が、前記2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置されている、
非接触ICカード。
【請求項2】
前記カード基材が略長方形の形状を有し、かつ
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の短辺に対して略平行な方向、及び/又は長辺に対して略平行な方向に配置されている、
請求項1に記載の非接触ICカード。
【請求項3】
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の短辺に対して略平行な方向に配置されている、請求項2に記載の非接触ICカード。
【請求項4】
前記カード基材の短辺に対して略平行な方向に配置されている前記ガイドワイヤーが、前記カード基材の短辺の長さの50%以上の長さにわたって配置されている、請求項3に記載の非接触ICカード。
【請求項5】
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の長辺に対して略平行な方向に配置されている、請求項2に記載の非接触ICカード。
【請求項6】
前記カード基材の長辺に対して略平行な方向に配置されている前記ガイドワイヤーが、前記カード基材の長辺の長さの50%以上の長さにわたって配置されている、請求項5に記載の非接触ICカード。
【請求項7】
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の短辺に対して略平行な方向、及び長辺に対して略平行な方向に配置されている、請求項2に記載の非接触ICカード。
【請求項8】
前記主アンテナの外周面積が、前記主アンテナが配置されている前記領域の面積の50%以上である、請求項1に記載の非接触ICカード。
【請求項9】
前記主アンテナが配置されていない前記領域のうちの少なくとも1つに、少なくとも1つの補助アンテナが配置されており、かつ
前記補助アンテナが、前記主アンテナと電磁誘導結合している、
請求項1に記載の非接触ICカード。
【請求項10】
前記ガイドワイヤーが導電性であり、かつ
前記主アンテナと前記補助アンテナの間に前記ガイドワイヤーが配置されており、それによって前記主アンテナと前記補助アンテナとの電磁誘導結合が促進されている、
請求項9に記載の非接触ICカード。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の非接触ICカードの製造方法であって、
前記主アンテナと前記ICチップとを、電気的に接続すること、
前記主アンテナ、前記ICチップ、及び前記ガイドワイヤーを、前記カード基材の中に埋設し、それによって
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、前記ガイドワイヤーを配置し、かつ前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線によって、前記カード基材が2以上の領域に画分されるようにし、かつ
前記主アンテナ及び前記ICチップの全体を、前記2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICカード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触IC(情報)媒体(以下、「非接触ICカード」とも称する)が広く使用されており、交通系、決済系、入退管理系等多方面で盛んに利用されている。このため、様々な非接触ICカードが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、複数の層が積層されてなる基材と、該基材に互いに電磁誘導が生じるように形成されたコイル状の第1及び第2のアンテナと、前記第1のアンテナと接続されて前記基材に搭載され、前記第1のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが行われるICチップとを少なくとも有してなるRF-IDメディアであって、前記基材は、互いに隣接する2つの領域を有し、該2つの領域が互いに異なる方向に向くように折り曲げ可能に構成され、前記第1のアンテナは、前記2つの領域のうち一方の領域に形成され、前記第2のアンテナは、前記2つの領域のうち他方の領域に形成されていることを特徴とするRF-IDメディアが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、外部機器と接触するための接触端子部と、電磁結合による非接触端子部を構成する接続コイルと、接触型通信機能および非接触型通信機能を有するICチップと、を有するICモジュールと、該ICモジュールの前記接続コイルと電磁的に結合するための結合用コイル部と、外部機器との非接触通信を行うために前記結合用コイル部に接続された主コイル部とを有するアンテナと、該アンテナが配置されるとともに、前記ICモジュールを収容する凹部を有する板状のカード本体と、を備え、前記結合用コイル部は、前記カード本体の凹部の開口側から見たときに前記凹部の外方となる位置に配置された、デュアルICカードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-318571号公報
【特許文献2】特開2015-007888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の非接触ICカードでは、通常、非接触通信用のアンテナは、カード基材の中に埋設されており、かつ当該カード基材の平面方向において外周付近に配置されている(例えば、
図7を参照)。そして、普段の生活の中は、非接触ICカードをズボンやスカート等の尻ポケットに入れたままで椅子や腰掛け等に座ったり、非接触ICカードが扉やドア等に挟まれたりすることはしばしばある。その際に、曲げ応力によって非接触ICカードが割れてしまい、それによって、アンテナが断線し、データの読み取りが出来なくなってしまう(すなわち、「機能不能な状態」になってしまう)問題が発生しうる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、曲げ応力によって非接触ICカードが割れてしまった場合でも、機能不能な状態にならない非接触ICカード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
【0009】
〈態様1〉
非接触ICカードであって、
カード基材、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーを有し、
前記主アンテナ、前記ICチップ、及び前記ガイドワイヤーが、前記カード基材の中に埋設されており、
前記主アンテナと前記ICチップとが、電気的に接続しており、
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーの延長線が、前記カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、前記ガイドワイヤーが配置されており、かつ前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線によって、前記カード基材が、前記カード基材の面方向について、2以上の領域に画分されており、かつ
前記主アンテナ及び前記ICチップの全体が、前記2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置されている、
非接触ICカード。
〈態様2〉
前記カード基材が略長方形の形状を有し、かつ
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の短辺に対して略平行な方向、及び/又は長辺に対して略平行な方向に配置されている、
態様1に記載の非接触ICカード。
〈態様3〉
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の短辺に対して略平行な方向に配置されている、態様2に記載の非接触ICカード。
〈態様4〉
前記カード基材の短辺に対して略平行な方向に配置されている前記ガイドワイヤーが、前記カード基材の短辺の長さの50%以上の長さにわたって配置されている、態様3に記載の非接触ICカード。
〈態様5〉
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の長辺に対して略平行な方向に配置されている、態様2に記載の非接触ICカード。
〈態様6〉
前記カード基材の長辺に対して略平行な方向に配置されている前記ガイドワイヤーが、前記カード基材の長辺の長さの50%以上の長さにわたって配置されている、態様5に記載の非接触ICカード。
〈態様7〉
前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線が、前記カード基材の短辺に対して略平行な方向、及び長辺に対して略平行な方向に配置されている、態様2に記載の非接触ICカード。
〈態様8〉
前記主アンテナの外周面積が、前記主アンテナが配置されている前記領域の面積の50%以上である、態様1~7のいずれか一項に記載の非接触ICカード。
〈態様9〉
前記主アンテナが配置されていない前記領域のうちの少なくとも1つに、少なくとも1つの補助アンテナが配置されており、かつ
前記補助アンテナが、前記主アンテナと電磁誘導結合している、
態様1~8のいずれか一項に記載の非接触ICカード。
〈態様10〉
前記ガイドワイヤーが導電性であり、かつ
前記主アンテナと前記補助アンテナの間に前記ガイドワイヤーが配置されており、それによって前記主アンテナと前記補助アンテナとの電磁誘導結合が促進されている、
態様9に記載の非接触ICカード。
〈態様11〉
態様1~10のいずれか一項に記載の非接触ICカードの製造方法であって、
前記主アンテナと前記ICチップとを、電気的に接続すること、
前記主アンテナ、前記ICチップ、及び前記ガイドワイヤーを、前記カード基材の中に埋設し、それによって前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーの延長線が、前記カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、前記ガイドワイヤーを配置し、かつ前記ガイドワイヤー又は前記ガイドワイヤーとその延長線によって、前記カード基材が2以上の領域に画分されるようにし、かつ前記主アンテナ及び前記ICチップの全体を、前記2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置すること
を含む、方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、曲げ応力によって非接触ICカードが割れてしまった場合でも、機能不能な状態にならない非接触ICカード及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明にかかるカード基材の中に埋設されているアンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーの一態様を示す平面概略図である。
【
図2】
図2は、ガイドワイヤーの配置の一態様を示す平面概略図である。
【
図3】
図3は、ガイドワイヤーの配置の一態様を示す平面概略図である。
【
図4】
図4は、ガイドワイヤーの配置の一態様を示す平面概略図である。
【
図5】
図5は、主アンテナ、補助アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーの配置の一態様を示す平面概略図である。
【
図6】
図6は、実施例の主アンテナ、補助アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーの配置の一態様を示す平面概略図である。
【
図7】
図7は、比較例A1及びB1の配置の一態様を示す平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において、同一又は相当する部分には同一の参照符号を付し、重複説明は省略する。実施の形態の各構成要素は、全てが必須のものであるとは限らず、一部の構成要素を省略可能な場合もある。最も、以下の図に示される形態は、本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。
【0013】
《非接触ICカード》
本発明の非接触ICカードは、
カード基材、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーを有し、
主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーが、カード基材の中に埋設されており、
主アンテナとICチップとが、電気的に接続しており、
ガイドワイヤー又はガイドワイヤーの延長線が、カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、ガイドワイヤーが配置されており、かつガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線によって、カード基材が、カード基材の面方向について、2以上の領域に画分されており、かつ
主アンテナ及びICチップの全体が、2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置されている、
非接触ICカード
である。
【0014】
本発明の非接触ICカードによれば、カード基材にとって異物であるガイドワイヤーがカード基材の中に埋設されていることによって、非接触ICカードが折り曲げられた際に、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線に沿って、非接触ICカードが折れ曲がることができる。この際、本開示の本発明の非接触ICカードでは、主アンテナ及びICチップの全体が、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線によって画分されている2以上の領域のうちの1つの領域の範囲内に配置されているので、主アンテナ及びICチップは、損傷を受けず、したがって非接触ICカードが機能不能な状態にならないようにすることができる。
【0015】
本発明においては、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーが、カード基材の中に埋設されている。ここで、カード基材は、内側層としての少なくとも1つのコアシート、及び最外層としての一対のオーバーレイシートを含むことができる。したがって、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーは、一対のコアシートの間に配置されていてもよく、任意の1以上のインレットシート上に配置されており、かつ当該インレットシートが任意のコアシートの間に配置されていてもよく、又は1又は複数のコアシート上に配置されていてもよい。勿論、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーはそれぞれ、同じ一対のコアシートの間に配置されていても、同一のインレットシートの上に配置されていても、又は同一のコアシートの上に配置されていてもよく、また、異なる一対のコアシートの間に配置されていても、異なるインレットシートの上に配置されていても、又は異なるコアシートの上に配置されていてよい。なお、本明細書において、説明の便宜上、以下では、主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーが同一のコアシート上に配置されている態様を例とする。
【0016】
本発明においては、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーの延長線が、カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、ガイドワイヤーが配置されている。より具体的には、例えば、任意のコアシート上にガイドワイヤーを配置する際には、当該ガイドワイヤー自体、又はガイドワイヤーの延長線が、カード基材の面方向中央部分(すなわち、当該コアシートの面方向中央部分)と重なるようにして配置されていてよい。
【0017】
ここで、カード基材の「面方向中央部分」とは、カード基材の中心を円心とする円形領域であって、カード基材の面方向の面積の30%以下の面積を有する円形領域を指す。この面方向中央部分の面積は、より具体的には、例えば、カード基材の面方向の面積の、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、又は1%以下であってよい。また、面方向中央部分の面積は、カード基材の面方向の面積の、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、又は20%以上であってよいまた、当然に、この面方向中央部分はカード基材の面の中心点であってもよい。
【0018】
図1は、本発明にかかるカード基材の中に埋設されているアンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーの一態様を示す平面概略図である。
【0019】
図1に示されているように、主アンテナ110、ICチップ120、及びガイドワイヤー130が、コアシート100上に配置されており、主アンテナ110とICチップ120とが電気的に接続している。ガイドワイヤー130が、コアシート100の面方向中央部分と重なるようにして配置されており、かつガイドワイヤー130とその延長線130a及び130bによって、コアシートが、カード基材の面方向について、2つ領域(A及びB)に画分されている。主アンテナ110及びICチップ120の全体は、2つの領域(A及びB)のうちの領域Aの範囲内に配置されている。なお、ガイドワイヤー130とその延長線130a及び130bによって、コアシートが2つ領域(A及びB)に画分されていることには、ガイドワイヤー130とその延長線130a及び130bによって、カード基材も2つ領域(A及びB)に画分されていることを意味している。
【0020】
上記のとおり、本発明の非接触ICカードは、従来のICカードとは異なり、曲げ応力によって割れてしまった場合でも、機能不能な状態になりにくい又はならない利点がある。
【0021】
具体的には、例えば
図1に示されているように、本発明の非接触ICカードは、ガイドワイヤー130とその延長線130a及び130bによって2つ領域(A及びB)に画分されており、それによって、非接触ICカードが折り曲げられた際に、ガイドワイヤー130とその延長線130a及び130bに沿って非接触ICカードが折れ曲がる。そして、主アンテナ110及びICチップ120の全体が、A領域の範囲内に配置されていることから、ガイドワイヤー130とその延長線130a及び130bに沿って非接触ICカードが折れ曲がる際に、主アンテナ110及びICチップ120は、折れ曲がった際の頂辺部に配置されておらず、それによって、断線及び/又は破損しにくい又はしない、すなわち、非接触ICカードが機能不能な状態になりにくい又はならないと考えられる。
【0022】
〈カード基材〉
本発明の非接触ICカードは、カード基材を含む。カード基材は、内側層としての少なくとも1つのコアシート、及び最外層としての一対のオーバーレイシートを含むことができる。
【0023】
カード基材の厚さは、特に限定されず、例えば、400μm以上、450μm以上、500μm以上、550μm以上、600μm以上、650μm以上、680μm以上、700μm以上、750μm以上、又は780μm以上であってよく、また1000μm以下、950μm以下、900μm以下、850μm以下、又は800μm以下であってよい。
【0024】
カード基材の形状は、特に限定されず、例えば、多角形であっても、円形であってもよく、また任意の他の形状であってもよい。カード基材の形状が多角形である場合には、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形、略星形等であってよく、カード基材の形状が略四角形である場合には、略長方形、略正方形、略台形であってよい。また、カード基材の形状が円形である場合には、真円形、楕円形であってよい。また、本発明の非接触ICカードの形状は、カード基材の形状と同じであってよい。カード基材の形状に関して、「略」は、それぞれの形状の角部が丸みを有していてもよく、またそれぞれの形状が厳密に正多角形でなくてもよいことを意味している。なお、以下の説明では、本発明にかかるカード基材が略長方形の形状を有する場合を例として説明する。
【0025】
(コアシート)
本発明において、カード基材に1又は複数のコアシートが含まれている。
【0026】
本発明において、コアシートの厚さ(コアシート1枚の厚さ)は、特に限定されず、例えば、30μm以上、50μm以上、80μm以上、100μm以上、150μm以上、200μm以上、又は240μm以上であってよく、また500μm以下、400μm以下、300μm以下、又は250μm以下であってよい。また、カード基材が2以上の複数のコアシートを含む場合には、個々のコアシートを厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0027】
本発明において、コアシートを構成する材料として、特に限定されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の結晶性ポリエステル樹脂、テレフタル酸とエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールとの共重合体(PETG)等の非晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂、又はこれらの樹脂を少なくとも2種以上混合して形成されるポリマーアロイを用いることができる。また、コアシートは、これらの樹脂を単層で用いたものであってもよく、又はこれらの積層体であってもよい。更に、カード基材が2以上の複数のコアシートを含む場合には、個々のコアシートを構成する材料は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0028】
コアシートは、不透明、半透明、又は透明コアシートであってもよい。
【0029】
本発明にかかるカード基材に含まれるコアシートの枚数は、1又は複数である。すなわち、コアシートの枚数は、1枚以上であればよく、例えば2枚以上10枚以下の範囲で、所望のカード基材の厚さの範囲内に合わせて自由に設定することができる。
【0030】
(オーバーレイシート)
本発明において、カード基材に最外層としての一対のオーバーレイシートが含まれている。オーバーレイシートは、コアシート等を保護する機能を有し得る。
【0031】
本発明において、オーバーレイシートの厚さ(オーバーレイシート1前の厚さ)は、特に限定されず、例えば、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、又は50μm以上であってもよく、また100μm以下、90μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、又は55μm以下であってもよい。また、一対のオーバーレイシートの厚さは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0032】
本発明において、オーバーレイシートを構成する材料は、特に限定されず、上述したコアシートを構成する材料から、適宜採用することができる。また、一対のオーバーレイシートの構成材料は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0033】
オーバーレイシートは、不透明、半透明、又は透明であってもよい。
【0034】
(主アンテナ)
主アンテナは、RW(リーダライタ)からの磁界を受信し、ICチップに電力を流すことでデータを伝送することができるものである。
【0035】
本発明において、主アンテナは、カード基材中に埋設されている。この際に、主アンテナは、任意の2つのコアシートに挟持されているように埋設されていてもよく、任意の1つのコアシート上、又は任意の所謂インレットシート上に配置されているように埋設されていてもよい。主アンテナが任意のインレットシート上に配置されている場合には、当該インレットシートは、2つのコアシートに挟持されているようにカード基材中に埋設されることが好ましい。
【0036】
主アンテナは、一般的に、アンテナ部及び接触端子部を有する。アンテナ部は、非接触通信機能を有する部分であり、例えば導線でコイル状(渦巻状)に巻かれて形成されていてもよい。接触端子部は、ICチップの端子と電気的に接触する役割を有する部分である。
【0037】
本発明において、主アンテナは、特に限定されず、巻線アンテナであってもよく、エッチングアンテナであってもよい。一般的に、製造コストの観点から、巻線アンテナを用いることが好ましい。
【0038】
また、巻線アンテナに用いられる導線の材料は、通信機能及び導電性機能を有するものであれば特に限定されず、例えば銅、アルミニウム、又は金等の金属の線であってもよい。また、導線は、必要に応じて、樹脂等の絶縁性材料で被覆されていてもよい。
【0039】
本発明において、主アンテナの外周面積は、主アンテナが配置されている領域の面積の50%以上であってよく、より具体的には、主アンテナが配置されている領域の面積の、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上であってよく、また、100%未満、95%以下であってよい。
【0040】
(ICチップ)
本発明において、ICチップは、カード基材中に埋設されている。上述した主アンテナと、ICチップとは、電気的に接続している。
【0041】
本発明において、ICチップとして、特に限定されず、例えば通信規格であるISO14443 TypeA(mifare等)、ISO14443 TypeB、ISO18092フェリカ、ISO15693、その他非接触カード用ICチップ等適宜採用することができる。
【0042】
(ガイドワイヤー)
本発明において、ガイドワイヤーは、カード基材中に埋設されている。ガイドワイヤーを特定の位置に配置されていることによって、本発明の非接触ICカードを折り曲げた際に、ガイドワイヤーが折り曲げのためのきっかけとして機能することによって、ガイドワイヤーに沿って非接触ICカードが折れ曲がることが可能になる。
【0043】
ガイドワイヤーを構成する材料として、特に限定されず、鉄や銅等の金属の線、又はこれら金属の線が樹脂等の絶縁性材料で被覆されているものを用いてもよく、樹脂材料を用いてもよい。ガイドワイヤーを構成する材料は、熱プレス等によってカード基材中に埋設する際にカード基材を構成する材料と相溶しないものであることが、非接触ICカードが折り曲げられた際に、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線に沿って、非接触ICカードが折れ曲がるようにするために好ましい。ガイドワイヤーを構成する材料が樹脂材料である場合には、ガイドワイヤーに沿って非接触ICカードが折れ曲がりやすい観点から、かかる樹脂材料は、上述したカード基材に含まれているコアシートやオーバーレイシート等を構成する樹脂材料に比べて、より硬度が高いものが好ましい。
【0044】
ガイドワイヤーが金属等の導電性の材料で形成されており、かつガイドワイヤーが主アンテナと補助アンテナの間に配置されている場合、ガイドワイヤーが主アンテナと補助アンテナの間に誘導結合を促進することができる。
【0045】
また、ガイドワイヤーの直径は、特に限定されず、例えば、0.10mm以上、0.15mm以上、0.20mm以上、0.25mm以上、0.30mm以上、0.35mm以上、0.40mm以上、0.45mm以上、0.50mm以上、0.55mm以上、0.60mm以上、0.65mm以上、又は0.70mm以上であってよく、また0.80mm以下、又は0.70mm以下であってよい。
【0046】
また、本発明において、1つのガイドワイヤーの長さは、特に限定されず、例えば、配置の向きに合わせて適宜調整してよい。例えば、ガイドワイヤーが、カード基材のカード基材の短辺に対して略平行な方向に配置されている場合には、カード基材の短辺の長さ以下であってよい。また、ガイドワイヤーが、カード基材のカード基材の長辺に対して略平行な方向に配置されている場合には、カード基材の長辺の長さ以下であってよい。更に、ガイドワイヤーが、カード基材のカード基材の対角線と略平行な方向に配置されている場合には、カード基材の対角線の長さ以下であってよい。
【0047】
また、本発明において、ガイドワイヤーは、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。勿論、ガイドワイヤーは、不連続な2以上の部分ガイドワイヤーから構成されていてもよい。また、ガイドワイヤーは直線状の形状を有することが好ましいが、本発明の効果を得られる範囲で湾曲していてもよい。
【0048】
(主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーの配置)
上述した
図1に示されている態様の他に、本発明にかかる主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーの配置は、以下の態様であってもよい。なお、以下では、カード基材が長方形の形状を有する場合を例として説明する。
【0049】
本発明において、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線が、カード基材の短辺に対して略平行な方向、及び/又は長辺に対して略平行な方向に配置されていてよい。
【0050】
なお、本発明において、「短辺及び/又は長辺に対して略平行」とは、短辺及び/又は長辺に対して、±20°以内、±15°以内、±10°以内、±5°以内、又は±3°以内であることを意味する。
【0051】
また、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線が、カード基材の短辺に対して略平行な方向に配置されていてよい。この場合、ガイドワイヤーに沿って非接触ICカードが折れ曲がりやすい観点から、ガイドワイヤーは、カード基材の短辺の長さの50%以上の長さにわたって配置されていることが好ましい。より具体的には、ガイドワイヤーは、カード基材の短辺の長さの50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、又は80%以上の長さにわたって配置されていてよい。
【0052】
例えば、
図2は、ガイドワイヤー131が、カード基材の面方向中央部分Cと重なるようにして、カード基材の短辺Sに対して、平行な方向に配置されている態様を示している。なお、
図2では、アンテナ及びICチップを省略している。
【0053】
また、また、ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線が、カード基材の長辺に対して略平行な方向に配置されていてよい。この場合、ガイドワイヤーに沿って非接触ICカードが折れ曲がりやすい観点から、ガイドワイヤーは、カード基材の長辺の長さの50%以上の長さにわたって配置されていることが好ましい。より具体的には、ガイドワイヤーは、カード基材の長辺の長さの50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、又は80%以上の長さにわたって配置されていてよい。
【0054】
例えば、
図3は、ガイドワイヤー132が、カード基材の面方向中央部分Cと重なるようにして、カード基材の長辺Lに対して、平行な方向に配置されている態様を示している。なお、
図3では、アンテナ及びICチップを省略している。
【0055】
また、
図4では、ガイドワイヤー133a及び133bは、それぞれの延長線がカード基材の面方向中央部分Cと重なるようにして、カード基材の短辺Sに対して、平行な方向に配置されており、かつガイドワイヤー133c及び133dは、それぞれの延長線がカード基材の面方向中央部分Cと重なるようにして、カード基材の長辺Lに対して、平行な方向に配置されている。なお、
図4では、アンテナ及びICチップを省略している。
【0056】
(その他の構成要素)
本発明の非接触ICカードは、その他の構成要素として、例えば、補助アンテナを更に含んでよい。補助アンテナは、上述した主アンテナと同じように、カード基材の中に埋設されていてよい。補助アンテナが受信した磁界を主アンテナと電磁界結合し、ICチップに流す電力を増やすことができる。
【0057】
また、補助アンテナは、上述した主アンテナと電磁誘導結合できる領域に配置されていることが好ましい。より具体的には、主アンテナが配置されていない上述したガイドワイヤーによって画分された領域のうちの少なくとも1つに、少なくとも1つの補助アンテナが配置されており、かつ補助アンテナが、主アンテナと電磁誘導結合していることが好ましい。
【0058】
よって、本発明において、補助アンテナを主アンテナと電磁誘導結合できる間隔に配置することが好ましい。例えば、主アンテナと補助アンテナとの間隔は、例えば15.0mm以内、10.0mm以内、9.0mm以内、8.0mm以内、7.0mm以内、6.0mm以内、5.0mm以内、4.0mm以内、3.0mm以内、2.0mm以内、又は1.0mm以内であってよい。なお、本発明において、主アンテナと補助アンテナとの間隔は、それぞれの外周の間の最短距離である。
【0059】
更に、本発明において、主アンテナと補助アンテナの間にガイドワイヤーが配置されており、それによって主アンテナと補助アンテナとの誘導結合が促進されうる。
【0060】
例えば、
図5に示されているように、ガイドワイヤー134a~134d及びそれらの延長線は、カード基材の面方向中央部分Cと重なるようにして、ガイドワイヤー134a~134dが配置されている。ガイドワイヤー134a~134dによって、カード基材は、4つの領域(A1~A4)に画分されている。主アンテナ111及びICチップ121の全体は、領域A1の範囲内に配置されている。ここで、領域A2に、補助アンテナ140は配置されており、かつ補助アンテナ140は、主アンテナ111と電磁誘導結合している。
【0061】
図5に示されているように、主アンテナ111は、カード基材の約1/4の象限内に配置されており、小型化になっているが、補助アンテナ140を配置することでICカードの情報読み取り時にRWにかざした際に補助アンテナ140に発生する電力を電磁界結合によって、主アンテナ111とガイドワイヤーに送り込む(増幅)設計を行いICカードの通信距離を伸ばすことができる。
【0062】
また、
図5に示されているように、ガイドワイヤー134aは、主アンテナ111と補助アンテナ140との間に配置されており、これによって、補助アンテナ140で発生する漏れ磁束によりガイドワイヤー134a上に電力を発生させることが考えられる。そのことにより、ガイドワイヤー134aを中心に磁界が発生することが考えられる。その磁界も主アンテナ111に影響を与え、その結果、主アンテナ111の電力を増やすことが期待される。
【0063】
〈非接触ICカードの種類〉
本発明の非接触ICカードは、非接触通信機能を備えていれば、任意に接触通信機能を更に備えていてもよい。よって、本発明の非接触ICカードは、ハイブリッドカードであってもよく、デュアルインターフェイスカードであってもよい。
【0064】
また、本発明の非接触ICカードのサイズは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定してよい。一例として、本発明の非接触ICカードのサイズは、国際規格のID1(縦(短辺)53.98mm、横(長辺)85.60mm、厚み0.76mm)を採用してもよい。
【0065】
《非接触ICカードの製造方法》
本発明はまた、上述した本発明の非接触ICカードの製造方法を提供する。
【0066】
本発明の非接触ICカードの製造方法は、
カード基材が、内側層としての少なくとも1つのコアシート、及び最外層としての一対のオーバーレイシートを含み、
主アンテナと前記ICチップとが、電気的に接続しており、
主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーを、カード基材の中に埋設し、
ガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線が、カード基材の面方向中央部分と重なるようにして、ガイドワイヤーを配置し、かつガイドワイヤー又はガイドワイヤーとその延長線によって、カード基材が2以上の領域に画分されており、かつ
主アンテナ及び前記ICチップの全体を、領域のうちの1つの範囲内に配置すること
を含む、方法
であってよい。
【0067】
ここで、非接触ICカードの製造方法に関して、上述した「本発明の非接触ICカード」の説明を適宜参照することができる。
【0068】
また、本発明の非接触ICカードの製造方法では、熱プレスの方式、又はラミネート方式によって、カード基材を形成することができるが、これらの方式に限定されることはない。
【実施例0069】
《実施例A1~A6》
(共通項)
下記表1に示されているカード基材の構成を用いて、表面側から、第1のオーバーレイシート/第1のコアシート/第2のコアシート/第3のコアシート(主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーが配置されている)/第4のコアシート/第2のオーバーレイシートの順で、積層し、熱プレスして、実施例A1~A6の非接触ICカード(縦(短辺)53.98mm、横(長辺)85.60mm、厚み0.76mm)を作製した。
【0070】
なお、熱プレスは、プレス温度125℃、プレス圧12.5kgf/cm
2で行われた。また、第3のコアシートの配置態様は、
図6に示されている。
【0071】
【0072】
(実施例A1)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.70mmの鉄ワイヤー
【0073】
(実施例A2)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.55mmの鉄ワイヤー
【0074】
(実施例A3)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.45mmの鉄ワイヤー
【0075】
(実施例A4)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.30mmの鉄ワイヤー
【0076】
(実施例A5)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.20mmの鉄ワイヤー
【0077】
(実施例A6)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.10mmの鉄ワイヤー
【0078】
《比較例A1》
ガイドワイヤー及び補助アンテナを使用せず、かつ主アンテナの配置を
図6に示されている態様を用いたこと以外は、実施例1Aと同様にして、比較例A1の非接触ICカードを作製した。
【0079】
〈評価(曲げ試験機による評価)〉
上記で作製した各実施例及び比較例の非接触ICカードに対して、以下に示す曲げ試験機による評価を行った。
【0080】
試験方法:日本産業規格(JIS規格)の「JISX6305-1:2020 第1部:一般特性 5.8 動的曲げ力」にも撓みに対する試験方法
曲げ試験機:JISX6305-1に準拠したカード曲げ試験機
曲げ方向:第1のオーバーレイシート側を上面とし、カードの長辺の一方を固定し、もう一方の長辺を可動させ、最大たわみ(hw)が10.00mmとなるようにサンプルカードの曲げを繰り返し実施した。
割れ状態確認:サンプルカード割れが発生した段階で割れ状態の形状を確認した。
【0081】
各サンプルの曲げ試験結果は、以下の表2に示す。
【表2】
【0082】
各サンプルの曲げ試験において割れが発生した後で、各サンプルに対して、アンテナの断線の有無を確認した。それぞれの結果は下記の表3に示す。
【0083】
【0084】
表3から明らかなように、曲げ試験後において、実施例A1~A6ではいずれも、アンテナが断線しなかったことが分かった。一方、比較例A1では、アンテナが断線してしまったことが分かった。
【0085】
《実施例B1~B5》
(共通項)
下記表4に示されているカード基材の構成を用いて、表面側から、第1のオーバーレイシート/第1のコアシート/第2のコアシート/第3のコアシート(主アンテナ、ICチップ、及びガイドワイヤーが配置されている)/第4のコアシート/第2のオーバーレイシートの順で、積層し、熱プレスして、実施例B1~B5の非接触ICカードを作製した。
【0086】
なお、熱プレスは、プレス温度125℃、プレス圧12.5kgf/cm
2で行われた。また、第3のコアシートの配置態様は、
図6に示されている。
【0087】
【0088】
(実施例B1)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.70mmの鉄ワイヤー
【0089】
(実施例B2)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.55mmの鉄ワイヤー
【0090】
(実施例B3)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.45mmの鉄ワイヤー
【0091】
(実施例B4)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.30mmの鉄ワイヤー
【0092】
(実施例B5)
主アンテナ112配置(
図6):領域A
補助アンテナ141配置(
図6):領域B
主アンテナと補助アンテナとの間隔d:4.0mm
ガイドワイヤー135:直径0.10mmの鉄ワイヤー
【0093】
《比較例B1》
第1及び第2のオーバーレイシートとして、上述した表4に示す材料を用いたこと以外は、比較例A1と同様にして、比較例B1の非接触ICカードを作製した。
【0094】
〈評価(曲げ試験機による評価)〉
上記の評価方法と同様にして、実施例B1~B5及び比較例B1を評価した。評価結果は、以下の表5に示す。
【0095】
【0096】
表5に示されているように、150000回まで曲げ試験を実施したが、いずれもカード割れには至らなかった。このため、更に屈曲条件厳しくし、カードの短辺の弦の長さが40mmになるようにして繰り返し曲げたところ、折れが発生した。折れが発生したカードは、カード内層でコア材が破断している状態であった。
【0097】
各サンプルの曲げ試験において割れが発生した後で、各サンプルに対して、アンテナの断線の有無を目視による確認した。それぞれの結果は下記の表6に示す。
【0098】
【0099】
表6から明らかなように、曲げ試験後において、実施例B1~B5ではいずれも、アンテナが断線しなかったことが分かった。一方、比較例B1では、アンテナが断線してしまったことが分かった。
【0100】
《補助アンテナ及びガイドワイヤーによる増幅効果の確認試験》
実施例C1、並びに比較例C1及びC2によって、補助アンテナ及び導電性のガイドワイヤーによる増幅効果を確認した。なお、実施例C1、並びに比較例C1及びC2の構成は、上述した実施例1及び
図6の配置態様をベースに、以下の変更点を加えた。
【0101】
(実施例C1)
主アンテナ112:mifare 巻線インレット(F0:15.64MHz RL:-0.67)
補助アンテナ141:巻き線インレット(F0:85.32MHz RL:-.30)
ガイドワイヤー135:鉄線 直径0.69mm
【0102】
なお、「F0」は、共振周波数の略語であり、また「RL」は、リターンロスの略語である。
【0103】
(比較例C1)
主アンテナ112:mifare 巻線インレット(F0:15.20MHz RL:-0.31)
補助アンテナ141:巻き線インレット(F0:85.32MHz RL:-.30)
ガイドワイヤー:なし
【0104】
(比較例C2)
主アンテナ112:mifare 巻線インレット(F0:15.64MHz RL:-0.67)
補助アンテナ:なし
ガイドワイヤー:なし
【0105】
実施例C1、並びに比較例C1及びC2に対して、ネットワークアナライザーで波形を測定した。結果は表7に示す。
【0106】
【0107】
表7から明らかなように、実施例C1は、比較例C1及びC2に比べて、RLが最も改善されており、ずなわち、補助アンテナ及びガイドワイヤーによる増幅効果があることが分かった。