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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159173
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシートカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/28 20060101AFI20241031BHJP
   B62J 1/16 20060101ALI20241031BHJP
   B62J 17/083 20200101ALN20241031BHJP
【FI】
B62J1/28 Z
B62J1/16 Z
B62J17/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075004
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】武田 玄太朗
(72)【発明者】
【氏名】松島 由奈
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
(72)【発明者】
【氏名】大井 恭子
(57)【要約】
【課題】着席者の乗り降り動作を妨げにくい自転車用チャイルドシートカバーを提供する。
【解決手段】自転車200に設置されたチャイルドシート100を覆う自転車用チャイルドシートカバー(シートカバー400)であって、チャイルドシート100のヘッドレスト340の上方を覆うカバー本体410と、カバー本体410の前部からヘッドレスト340の下方まで延びる前カバー430と、を有する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に設置されたチャイルドシートを覆う自転車用チャイルドシートカバーであって、
前記チャイルドシートのヘッドレストの上方を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の前部から前記ヘッドレストの下方まで延びる前カバーと、を有する、
自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項2】
前記前カバーは、前記カバー本体に対して着脱可能である、
請求項1に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項3】
前記チャイルドシートに着座した着座者の脚を覆う脚カバーを備え、
前記脚カバーは、前記カバー本体に対して着脱可能である、
請求項1または2に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項4】
前記前カバーの下縁部は、前記脚カバーの一部に接合される、
請求項3に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項5】
前記前カバーは、当該前カバーの正規な姿勢を維持するための補強材を有する、
請求項1または2に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【請求項6】
自転車の前部に設置されたチャイルドシートを覆う、
請求項1または2に記載の自転車用チャイルドシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用チャイルドシートカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車のハンドルに設置されたチャイルドシートを覆う自転車用チャイルドシートカバーが知られている(例えば特許文献1参照)。この自転車用チャイルドシートは、左右一対の側面カバーと、側面カバー同士の間に配置され且つチャイルドシートの着席者から見て前方、上方、後方に位置する中央カバーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-98501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、中央カバーを開放する場合であっても、一対の側面カバーがチャイルドシート左右方向を覆っているので、着席者の乗り降り動作を妨げてしまう。
【0005】
本発明の目的は、着席者の乗り降り動作を妨げにくい自転車用チャイルドシートカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、自転車に設置されたチャイルドシートを覆う自転車用チャイルドシートカバーであって、前記チャイルドシートのヘッドレストの上方を覆うカバー本体と、前記カバー本体の前部から前記ヘッドレストの下方まで延びる前カバーと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着席者の乗り降り動作を妨げにくい自転車用チャイルドシートカバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係るチャイルドシートが自転車の前部に取り付けられた状態を上方から見た斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係るチャイルドシートを示す斜視図である。
図3A図3Aは、実施の形態に係るシートカバーがチャイルドシートを覆った状態を示す正面図である。
図3B図3Bは、実施の形態に係るシートカバーがチャイルドシートを覆った状態を示す側面図である。
図4A図4Aは、実施の形態に係るシートカバーとチャイルドシートの各部とを示す正面図である。
図4B図4Bは、実施の形態に係るシートカバーとチャイルドシートの各部とを示す側面図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係るシートカバーであって、前カバーのみを取り外した状態を示す正面図である。
図5B図5Bは、実施の形態に係るシートカバーであって、前カバーのみを取り外した状態を示す側面図である。
図6A図6Aは、実施の形態に係るシートカバーであって、脚カバーのみを取り外した状態を示す正面図である。
図6B図6Bは、実施の形態に係るシートカバーであって、脚カバーのみを取り外した状態を示す側面図である。
図7A図7Aは、実施の形態に係るシートカバーであって、前カバー及び脚カバーを取り外した状態を示す正面図である。
図7B図7Bは、実施の形態に係るシートカバーであって、前カバー及び脚カバーを取り外した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
また、以下の説明において、「前方」とは、自転車の走行時の進行方向であり、「後方」とはその反対方向である。具体的には、自転車のサドルに対してハンドル側が「前方」である。「左右方向」は、前後方向に対して水平面内で直交する方向であり、自転車の車幅方向でもある。上下方向は、前後方向に対して鉛直面内で直交する方向であり、自転車の高さ方向でもある。本実施の形態では、前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向としている。
【0012】
[構成]
まず、自転車用チャイルドシート(以降、チャイルドシート100と称す。)が取り付けられた自転車200の概要について説明する。図1は、実施の形態に係るチャイルドシート100が自転車200の前部に取り付けられた状態を上方から見た斜視図である。
【0013】
図1に示すように、自転車200は、フレーム210と、前輪220と、ハンドル230と、バスケット240と、を備えている。フレーム210は、ヘッドパイプ(図示省略)と、メインフレーム212と、フォーク213とを備えている。ヘッドパイプは、メインフレーム212の前端部に対して連結されたZ軸方向に沿って延びるパイプである。ヘッドパイプは、前輪220を支持するフォーク213と、ハンドル230が固定されたステム231とを、ヘッドパイプの軸を中心に回転可能(回転自在)に支持する。ステム231は、ヘッドパイプの上端部から上方に向けて突出しており、ハンドル230の中央部を保持している。ステム231は、フォーク213に連結されている。ハンドル230が左右に回されると、ステム231及びフォーク213も回転し、フォーク213に支持された前輪220の向きが左右に回転することになる。
【0014】
メインフレーム212は、フレーム210の一部である立パイプ(図示省略)と、ヘッドパイプとを連結する部分である。立パイプは、サドルを着脱可能(着脱自在)に支持している。バスケット240は、前輪220の上方に配置されている。バスケット240は、フォーク213の下端部に連結されたカゴステー241と、ヘッドパイプ211とにより支持されている。
【0015】
このような自転車200においては、ステム231に対してチャイルドシート100が取り付けられている。このため、チャイルドシート100は、前輪220の上方に配置されている。
【0016】
次に、チャイルドシート100について詳細に説明する。図2は、実施の形態に係るチャイルドシート100を示す斜視図である。以降の説明において、「着座者」とはチャイルドシート100に着座する幼児のことを示し、自転車200のサドルに着座する運転者でないものとする。
【0017】
図2に示すようにチャイルドシート100は、シート本体300と、シートベルト130と、シートクッション110とを備えており、図示しない取付部材によってステム231に固定されている。
【0018】
シート本体300は、着座者が着座するシート体である。シート本体300は、座部310と、股支持部320と、背もたれ部330と、ヘッドレスト340と、一対の足支持部350と、連結部材360とを有している。
【0019】
座部310は、着座者の臀部を支える部位である。股支持部320は、座部310の前方に配置されており、着座者の股を支持する部位である。具体的には、股支持部320は、座部310の前部中央から連続しており、上方に向けて突出した中空部である。股支持部320は、着座者の左右の太腿間に配置されることで、着座者の股を支持する。股支持部320の車幅方向の中央部には、X軸プラス方向が開放され、X軸マイナス方向に延びるスリット321が形成されている。このスリット321内には、ステム231が配置されており、当該ステム231は、股支持部320から上方に向けて突出している(図1参照)。
【0020】
背もたれ部330は、座部310の後方に配置されており、着座者の背中を支持する部位である。具体的には、背もたれ部330は、座部310の後部全体から連続しており、上方に向けて延び出ている。背もたれ部330は、着座者の臀部が嵌まり込む大きさであるとよい。これにより、着座者の着座時の安定性を高めることができる。
【0021】
ヘッドレスト340は、背もたれ部330の上部に取り付けられており、着座者の頭部を支持する部位である。具体的にはヘッドレスト340は、着座者の頭部の概ね後ろ半分を覆うように湾曲している。
【0022】
一対の足支持部350は、着座者の足をそれぞれ支持するための部位である。具体的には、一対の足支持部350は、Y軸方向(車幅方向)に間隔をあけるように、座部310の前部から下方に延びている。一対の足支持部350は、股支持部320をY軸方向で挟む位置に配置されている。各足支持部350の先端部には、前方に向けて突出した底板部351が設けられている。各底板部351は、着座者の足裏を支持する部位である。各底板部351の内側の縁辺には、上方に突出した壁部352が形成されている。各底板部351の壁部352同士は、Y軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0023】
連結部材360は、一対の足支持部350同士を連結する部材である。具体的には、連結部材360は、Y軸方向に長尺な部材であり、各足支持部350の壁部352の上部に連結されている。これにより、連結部材360は、各壁部352に架け渡された状態で連結されているので、一対の足支持部350が離間していることによる強度低下を、連結部材360で補強することが可能である。
【0024】
シートベルト130は、着座者をシート本体300に固定するための部位である。具体的には、シートベルト130は、ベルト(図示省略)と、ベルトが着脱されるバックル131とを有している。ベルトは、バックル131に接続されることで、着座者をシート本体300の座部310及び背もたれ部330に固定する。
【0025】
シートクッション110は、着座者が受ける衝撃を緩和するクッション体であり、第一クッション111と、第二クッション112と、固定部113とを有している。
【0026】
第一クッション111は、背もたれ部330の前面(X軸プラス方向を向く面)を覆うように取り付けられている。第二クッション112は、座部310の座面311を覆うように取り付けられている。固定部113は、第二クッション112の前端から前方に延びる一対の帯状部114を有する。一対の帯状部114は、バックル131を股支持部320に固定する。具体的には、バックル131は、股支持部320の背面で支えられることで、上方に向けて突出した姿勢となる。この姿勢のバックル131と股支持部320とが一対の帯状部114で拘束されている。一対の帯状部114は、例えば面ファスナー、ボタンなどによりその先端部同士が着脱可能(着脱自在)となっている。
【0027】
次に、自転車200の前部に取り付けられたチャイルドシート100を覆う自転車用チャイルドシートカバー(以降、シートカバー400と称す。)について説明する。図3Aは、実施の形態に係るシートカバー400がチャイルドシート100を覆った状態を示す正面図である。図3Bは、実施の形態に係るシートカバー400がチャイルドシート100を覆った状態を示す側面図である。図4Aは、実施の形態に係るシートカバー400とチャイルドシート100の各部とを示す正面図である。図4Bは、実施の形態に係るシートカバー400とチャイルドシート100の各部とを示す側面図である。図4A及び図4Bでは、チャイルドシート100に対してドットハッチングを付して図示している。図5Aは、実施の形態に係るシートカバー400であって、前カバー430のみを取り外した状態を示す正面図である。図5Bは、実施の形態に係るシートカバー400であって、前カバー430のみを取り外した状態を示す側面図である。
【0028】
図3A図5Bに示すように、シートカバー400は、カバー本体410と、前カバー430と、脚カバー450とを有している。
【0029】
カバー本体410は、ヘッドレスト340を覆う部位である。カバー本体410は、シートカバー400において最もZ軸方向プラス側に配置されている。カバー本体410は、遮光性及び防水性を有する素材によって、下方を開放したカップ状(半球状)に形成されている。カバー本体410は、背もたれ部330及びヘッドレスト340の少なくとも一方に対して着脱可能(着脱自在)に固定されている。カバー本体410には、芯材が内蔵されており、当該芯材によってカップ状が維持されるようになっている。つまり、カバー本体410が風を受けたとしても、芯材によって当該カバー本体410の形状が維持されるため、着座者に不快な思いをさせにくい。また、カバー本体410が下方を開放したカップ状であり、かつ変形しにくいために、当該カバー本体410の表面に雨水が溜まりにくい。なお、チャイルドシート100のヘッドレスト340にサンシェードが設けられている場合には、このサンシェードがカバー本体410と一体化されてもよい。
【0030】
カバー本体410の下端部には、Y軸マイナス方向の端部から前端部を介してY軸プラス方向の端部まで連続する鍔部411が設けられている。つまり、鍔部411は、カバー本体410の前側半分に設けられている。鍔部411の裏側(内側)には、前カバー430を着脱可能(着脱自在)に保持するための第一着脱部(図示省略)が設けられている。
【0031】
前カバー430は、カバー本体410の前端部からヘッドレスト340の下方まで延びる部位である。前カバー430は、透明かつ防水性の素材によってフレキシブルなシート状に形成されている。前カバー430は、上端部がカバー本体410の前側半分に接合されている。前カバー430において上端部よりも下方の部位は、当該上端部よりも後方に配置されていない(図3B参照)。つまり、前カバー430は、カバー本体410の後側半分に配置されていない。
【0032】
前カバー430は、Y軸方向の中央部が最も下方となる形状となっている(図3A参照)。例えば、前カバー430の下端部は正面視でU字状に形成されている。前カバー430の上端部には、カバー本体410の第一着脱部に対して組み付く第二着脱部が設けられている。第一着脱部及び第二着脱部は、互いに着脱可能(着脱自在)な構造であれば如何なる態様であってもよい。例えば、第一着脱部及び第二着脱部は、ファスナー構造であってもよいし、面ファスナー構造であってもよい。また、第一着脱部及び第二着脱部の双方が互いに組み合うボタンであってもよいし、第一着脱部及び第二着脱部の一方がボタンホールで、他方がボタンであってもよい。
【0033】
第一着脱部及び第二着脱部は、組み付けられた状態では、カバー本体410の鍔部411で覆われているので、外部から目立ちにくくなり、かつ第一着脱部及び第二着脱部から雨水が侵入しにくくなっている。さらに、鍔部411を上方に折り曲げ可能(折り曲げ自在)としておけば、第一着脱部及び第二着脱部の着脱作業時には、鍔部411を折り曲げておくことで当該作業の邪魔となりにくい。
【0034】
前カバー430には、当該前カバー430の正規な姿勢を維持するための補強材431が設けられている。具体的には、前カバー430においてY軸方向の中央部を挟む位置に一対の補強材431が配置されている。補強材431が前カバー430のY軸方向の中央部を避けて配置されているので、着座者の視界を遮りにくくなっている。補強材431は、Z軸方向に沿うように延びる金属製または樹脂製の剛体棒である。補強材431は、前カバー430の上端から下端まで連続的に延びている。前カバー430において、補強材431が配置される箇所には、当該補強材431を固定する布材432が配置されており、その布材432によって補強材431が全体的に覆われている。補強材431は、前カバー430の正規な姿勢を維持できるのであれば、その形態は如何様であってもよい。
【0035】
脚カバー450は、着座者の脚を覆う部位である。脚カバー450は、遮光性及び防水性の素材によってフレキシブルなシート状に形成されている。脚カバー450は、胴体部451と、一対の脚部452とを一体的に有している。脚カバー450において胴体部451は上側部分であり、一対の脚部452は下側部分である。
【0036】
胴体部451は、主に着座者の胴体を覆う部分である。胴体部451は、上端部がカバー本体410の後側半分に着脱可能(着脱自在)に取り付けられている。胴体部451とカバー本体410との着脱構造には、例えば第一着脱部及び第二着脱部で例示した構造を採用できる。
【0037】
胴体部451は、チャイルドシート100の背もたれ部330の背面の一部を露出させた状態で、座部310、股支持部320及び背もたれ部330を覆っている(図4A図4B等参照)。背もたれ部330の背面の一部を露出させていても、カバー本体410、前カバー430及び脚カバー450は、チャイルドシート100とともに着座者の概ね全体を覆う。
【0038】
胴体部451のY軸方向の両端部には、ハンドル230の両グリップを露出させる開口(図示省略)が形成されている。胴体部451には、当該開口を開閉するための一対のヒレ部453が設けられている。各ヒレ部453は、胴体部451の上部から下方に延びた部位であり、例えばボタンによって着脱可能(着脱自在)に胴体部451に固定される。この状態であれば、各ヒレ部が開口を覆い、当該開口からの水、風の侵入を抑制している。ボタンによる固定が解除されると、各ヒレ部453は開かれて開口が露出するので、ハンドル230に対する装着作業または取り外し作業を容易に行うことが可能となる。
【0039】
図5Aに示すように、胴体部451の上部前側には、上方が開放したU字状の湾曲部454が形成されている。湾曲部454のY軸方向の上端部は、カバー本体410の鍔部411の裏側に配置されている。湾曲部454によって、着座者の前方(X軸プラス方向)は大きく開放されている。湾曲部454の下部には、梁部455と、透明シート456とが設けられている。
【0040】
梁部455は、Y軸方向に延びた部材であり、両端部が湾曲部454の下部に連結されている。透明シート456は、梁部455と湾曲部454とで囲まれた領域の全体に配置され、当該領域を閉塞している。透明シート456は、透明かつ防水性を有する素材でフレキシブルに形成されている。この梁部455及び透明シート456によって、湾曲部454の形状が広がりにくくなっている。また、透明シート456が透明であるので、着座者の視界を確保することもできる。
【0041】
図3Aに示すように、湾曲部454は、前カバー430よりも小型に形成されている。つまり、正面視では前カバー430は湾曲部454を全体的に覆っており、前カバー430の下縁部は、湾曲部454よりも前方かつ下方に配置されている。このため、前カバー430の表面上を流れた水が垂れ落ちたとしても、湾曲部454内に侵入しにくくなっている。また、前カバー430の下縁部は、湾曲部454に対して接合されていない。このように、前カバー430は、脚カバー450に接合されず、カバー本体410のみに接合されているので、前カバー430の着脱作業を簡素化できる。さらに、前カバー430の下縁部は、湾曲部454に接合されていないために、前カバー430と湾曲部454との間で換気することができる。したがって、シートカバー400内に結露が生じることを抑制でき、着座者の不快感を抑えることができる。
【0042】
なお、前カバー430の下縁部は、湾曲部454に対して接合されていてもよい。具体的には、前カバー430の下縁部と、湾曲部454の中央部とが、着脱構造により接合されている。着脱構造としては、上述の第一着脱部及び第二着脱部で例示した構造が挙げられる。前カバー430の下縁部が、湾曲部454に対して接合されることで、カバー本体410、前カバー430及び脚カバー450が連結され、これらを安定して位置決めできる。つまり、雨風を受ける際の変形を抑制できる。また、このように接合されていても接合部分の両サイドが開放されているので、換気も可能である。
【0043】
一対の脚部452は、胴体部451の下部から下方に延びる二股の部位である。各脚部452は、上方が開放された袋状に形成されている。一対の脚部452のうち、一方の脚部452はチャイルドシート100の一方の足支持部350を覆い、他方の脚部452はチャイルドシート100の他方の足支持部350を覆う。
【0044】
図3A及び図3Bでは、前カバー430及び脚カバー450がカバー本体410に取り付けられた形態(第一形態)を示している。上述したように、前カバー430及び脚カバー450のそれぞれはカバー本体410に対して着脱可能(着脱自在)である。つまり、運転者は、状況に応じて前カバー430及び脚カバー450の少なくともひとつをカバー本体410から取り外した形態を選択できる。
【0045】
第一形態では、カバー本体410、前カバー430及び脚カバー450が着座者の全体を覆っているので、雨風をより確実に凌ぐことができる。さらに、遮光性のカバー本体410及び脚カバー450により、着座者に対する日差しを広範囲に遮ることも可能である。
【0046】
例えば、図5A及び図5Bに示す形態を第二形態とすると、第二形態では、カバー本体410に脚カバー450が取り付けられているものの前カバー430が取り外されている。第二形態では、カバー本体410及び脚カバー450で日差し及び雨風を凌ぐことができるが、前カバー430がないので、着座者は前方からの風を受けることができる。これにより、着座者はスピード感や涼しさを味わうことができる。
【0047】
図6Aは、実施の形態に係るシートカバー400であって、脚カバー450のみを取り外した状態を示す正面図である。図6Bは、実施の形態に係るシートカバー400であって、脚カバー450のみを取り外した状態を示す側面図である。図6A及び図6Bは第三形態を示している。
【0048】
図6A及び図6Bに示すように第三形態では、カバー本体410に前カバー430が取り付けられているものの脚カバー450が取り外されている。第三形態では、カバー本体410及び前カバー430で雨風を凌ぐことができるが、脚カバー450がないので、着座者は脚に対する窮屈感を味わいにくい。また、脚カバー450がないために、運転者の前方視界を第一形態及び第二形態よりも広げることができる。
【0049】
この第三形態時においては、図6Bに示すように前カバー430があったとしても、チャイルドシート100のY軸方向の両側方が開放されている。したがって、チャイルドシート100に対する着座者の乗り降り動作を容易に行うことが可能である。ここで、着座者の乗り降り動作とは、例えば運転者が地面に降りた状態で着座者を持ち上げチャイルドシート100に乗せたり降ろしたりする動作である。
【0050】
図7Aは、実施の形態に係るシートカバー400であって、前カバー430及び脚カバー450を取り外した状態を示す正面図である。図7Bは、実施の形態に係るシートカバー400であって、前カバー430及び脚カバー450を取り外した状態を示す側面図である。図7A及び図67は第四形態を示している。
【0051】
図7A及び図7Bに示すように、第四形態では、カバー本体410から前カバー430及び脚カバー450が取り外されている。第四形態は、最も開放感のある形態といえ、雨が降っていないときに採用されやすい。ここで、前カバー430は、脚カバー450よりも小型であるので、カバー本体410にも取り付けやすい。このため、運転者は、時間に余裕が無いときでも迅速に前カバー430をカバー本体に410に取り付け、第三形態とすることができる。また、前カバー430は、脚カバー450よりも小型であるということは、運転者が携帯しやすいともいえる。つまり、運転者は、前カバー430を携帯しておけば、出先で雨に遭遇したとしても、前カバー430をカバー本体410に取り付けることが可能である。
【0052】
[効果等]
以上のように、本実施の形態によれば、前カバー430がカバー本体410の前部からヘッドレスト340の下方まで延びているので、チャイルドシート100の左右の側方を開放させることができる。これにより、前カバー430がカバー本体410に取り付けられた状態であっても、チャイルドシート100に対する着座者の乗り降り動作を妨げにくくすることができる。
【0053】
前カバー430がカバー本体410に対して着脱可能であるので、前カバー430が不要な状況となったらカバー本体410から前カバー430を取り外すことができる。したがって、着座者(または運転者)の要望に応じた形態に遷移できる。
【0054】
脚カバー450がカバー本体410に対して着脱可能であるので、脚カバー450が不要な状況となったらカバー本体410から脚カバー450を取り外すことができる。したがって、着座者(または運転者)の要望に応じた形態に遷移できる。
【0055】
前カバー430の下縁部が脚カバー450の一部に接合されるので、カバー本体410、前カバー430及び脚カバー450が連結され、これらを安定して位置決めできる。
【0056】
補強材431が前カバー430の正規な姿勢を維持するので、前カバー430を変形しにくくできる。したがって、前カバー430が風を受けて変形し着座者に触れてしまうことを抑制できる。これは、前カバー430の下縁部が湾曲部454で支えられない第三形態時に好適である。
【0057】
このようなシートカバー400は、自転車200の前部に取り付けられたチャイルドシート100を覆うので、当該チャイルドシート100に対する着座者の乗り降り動作を妨げにくくできる。
【0058】
[その他]
以上、本発明に係る自転車用チャイルドシート及び自転車について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0059】
例えば、上記実施の形態では、脚カバー450を有するシートカバー400を例示したが、シートカバーは脚カバーを有していなくてもよい。
【0060】
上記実施の形態では、補強材431を有する前カバー430を例示したが、前カバーは補強材を有していなくてもよい。
【0061】
上記実施の形態では、自転車200の前部に取り付けられたチャイルドシート100を覆うシートカバー400を例示したが、自転車200の後部に取り付けられたチャイルドシートを覆うシートカバーに対しても本開示の特徴を適用可能である。
【0062】
以下に、上記実施の形態に基づいて説明した本発明に係る自転車用チャイルドシートカバーの例を示す。本発明に係る自転車用チャイルドシートカバーは、以下の例に限定されるものではない。
【0063】
例えば、本発明の第1態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、自転車に設置されたチャイルドシートを覆う自転車用チャイルドシートカバーであって、前記チャイルドシートのヘッドレストの上方を覆うカバー本体と、前記カバー本体の前部から前記ヘッドレストの下方まで延びる前カバーと、を有する。
【0064】
例えば、本発明の第2態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、第1態様に係る自転車用チャイルドシートカバーであって、前記前カバーは、前記カバー本体に対して着脱自在である。
【0065】
例えば、本発明の第3態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、第1態様または第2態様に係る自転車用チャイルドシートカバーであって、前記チャイルドシートに着座した着座者の脚を覆う脚カバーを備え、前記脚カバーは、前記カバー本体に対して着脱可能である。
【0066】
例えば、本発明の第4態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、第3態様に係る自転車用チャイルドシートカバーであって、前記前カバーの下縁部は、前記脚カバーの一部に接合される。
【0067】
例えば、本発明の第5態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、第1態様~第4態様のいずれかひとつに係る自転車用チャイルドシートカバーであって、前記前カバーは、当該前カバーの正規な姿勢を維持するための補強材を有する。
【0068】
例えば、本発明の第6態様に係る自転車用チャイルドシートカバーは、第1態様~第5態様のいずれかひとつに係る自転車用チャイルドシートカバーであって、自転車の前部に設置されたチャイルドシートを覆う。
【符号の説明】
【0069】
100 チャイルドシート
200 自転車
340 ヘッドレスト
400 シートカバー(自転車用チャイルドシートカバー)
410 カバー本体
430 前カバー
431 補強材
450 脚カバー
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B