(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159180
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】注出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20241031BHJP
B65D 51/10 20060101ALI20241031BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D51/10
B65D47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075012
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC06
3E014PC20
3E014PD23
3E014PE18
3E014PE30
3E084AB01
3E084AB07
3E084BA02
3E084BA10
3E084GA01
3E084JA20
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】注出孔の向きを気にすることなく、内容物を注出すること。
【解決手段】内容物Mが収容される内容器3及び内容器が内装される外容器4を備える容器本体2と、内容器の口部20に装着され、注出孔46が開口した注出ノズル45を有する注出部材5とを備え、内容器は中心軸O1回りに回転可能に外容器内に収容され、内容器の底部22と外容器の底部12との間には、内容器を回転可能に支持する支持部材6が設けられ、内容器の胴部21には、中心軸に直交する横断面視において胴部のうち他の部分よりも重い重量部7が設けられている注出容器1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される内容器、及び前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、
前記内容器の口部に装着され、注出孔が開口した注出ノズルを有する注出部材と、を備え、
前記内容器は、前記外容器の中心軸回りに回転可能に前記外容器内に収容され、
前記注出孔は、前記外容器よりも上方に配置され、
前記内容器の底部と前記外容器の底部との間には、前記外容器に対して前記内容器を回転可能に支持する支持部材が設けられ、
前記内容器の胴部には、前記中心軸に直交する横断面視において、前記胴部のうち他の部分よりも重い重量部が設けられていることを特徴とする注出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の注出容器において、
前記内容器の前記胴部は、前記横断面視において、前記胴部の周方向に沿って延びる第1湾曲胴部と、前記胴部の周方向に沿って延びると共に、前記第1湾曲胴部のうち周方向の両側に位置する周端部を介して接続された第2湾曲胴部と、を備え、
前記第2湾曲胴部は、周方向に沿って一定の厚さで形成されていると共に、前記第1湾曲胴部よりも前記中心軸側に偏るように形成され、
前記第1湾曲胴部は、周方向に沿って前記第2湾曲胴部よりも肉厚に形成され、前記重量部として機能し、
前記横断面視において、前記周端部及び前記中心軸を通過する仮想線を第1仮想直線と定義し、前記第1仮想直線に対して直交し、且つ前記中心軸を通過する仮想線を第2仮想直線と定義したときに、
前記第1湾曲胴部及び前記第2湾曲胴部のそれぞれは、前記中心軸から前記第1湾曲胴部の内周面及び前記第2湾曲胴部の内周面までの距離が、前記第2仮想直線上で最も短く、前記第2仮想直線上から前記周端部に向かうにしたがって次第に長くなるように形成されている、注出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の注出容器において、
前記注出孔は、前記容器本体の縦断面視において、前記中心軸に対して傾斜するように形成され、
前記中心軸を周回する周方向において、前記注出孔の最上部の周方向位置は、前記重量部の周方向位置に対して一致している、注出容器。
【請求項4】
請求項3に記載の注出容器において、
前記注出ノズルには、揺動軸線回りに揺動可能な振子部材が設けられ、
前記振子部材は、
前記注出ノズルに対して、前記揺動軸線を中心として揺動可能に連結された振子本体と、
前記振子本体の一端部に連結されると共に、前記揺動軸線よりも下方に配置され、且つ前記注出ノズルに対して前記最上部側に配置された錘部と、
前記振子本体の他端部に連結されると共に、前記揺動軸線よりも上方に配置され、且つ前記注出ノズルに対して前記錘部とは反対側に配置されたノズル蓋部と、を備え、
前記ノズル蓋部は、前記注出孔を閉塞すると共に、前記振子部材の前記揺動軸線回りの揺動に伴って前記注出孔を開放する、注出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を注出する注出容器として、例えば下記特許文献1に示されるように、2つの注出孔(ノズル孔)を有する注出容器が知られている。
この注出容器では、容器本体の口部に装着したキャップ本体の一部と、キャップ本体に対して着脱可能に組み合わされた補助キャップの一部とで注出孔を形成している。注出孔は、容器軸を挟んで径方向に向かい合うように2つ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の注出容器では、内容物を注出する際、注出孔の位置を確認しながら容器本体を指先等で把持し、注出する方向に注出孔が向くように容器本体を傾けるといった操作が必要となってしまう。そのため、操作性が悪く、改善の余地があった。
特に、連続で何度も内容物を注出する場合には、その都度、注出孔の向きを確認しながら使用する必要があるので、煩わしく使い勝手が悪かった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、注出孔の向きを気にすることなく、内容物を注出することができる注出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る注出容器は、内容物が収容される内容器、及び前記内容器が内装される外容器を備える容器本体と、前記内容器の口部に装着され、注出孔が開口した注出ノズルを有する注出部材と、を備え、前記内容器は、前記外容器の中心軸回りに回転可能に前記外容器内に収容され、前記注出孔は、前記外容器よりも上方に配置され、前記内容器の底部と前記外容器の底部との間には、前記外容器に対して前記内容器を回転可能に支持する支持部材が設けられ、前記内容器の胴部には、前記中心軸に直交する横断面視において、前記胴部のうち他の部分よりも重い重量部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る注出容器によれば、重量部によって重心が片側に偏った胴部を有する内容器が、外容器内に中心軸を中心として回転可能に収容されている。従って、内容物を注出する際、どの方向から外容器を指先等で把持したとしても、容器本体を傾けたときに、重量部が下向きとなるように重力を利用して内容器を外容器内で自然と回転させることができる。このとき、内容器の底部と外容器の底部との間に支持部材が設けられているので、内容器をスムーズに回転させることができる。
従って、容器本体を傾けたときに、外容器を把持したときの外容器の向き(姿勢)に関係なく、常に重量部が下向きとなるように内容器の姿勢を一定にすることができると共に、内容器に装着されている注出部材における注出孔の向きも一定にすることができる。これにより、注出孔の向きを気にすることなく、内容物を注出することができる。従って、使い勝手が良く、操作性に優れた注出容器とすることができる。
【0008】
(2)前記内容器の前記胴部は、前記横断面視において、前記胴部の周方向に沿って延びる第1湾曲胴部と、前記胴部の周方向に沿って延びると共に、前記第1湾曲胴部のうち周方向の両側に位置する周端部を介して接続された第2湾曲胴部と、を備え、前記第2湾曲胴部は、周方向に沿って一定の厚さで形成されていると共に、前記第1湾曲胴部よりも前記中心軸側に偏るように形成され、前記第1湾曲胴部は、周方向に沿って前記第2湾曲胴部よりも肉厚に形成され、前記重量部として機能し、前記横断面視において、前記周端部及び前記中心軸を通過する仮想線を第1仮想直線と定義し、前記第1仮想直線に対して直交し、且つ前記中心軸を通過する仮想線を第2仮想直線と定義したときに、前記第1湾曲胴部及び前記第2湾曲胴部のそれぞれは、前記中心軸から前記第1湾曲胴部の内周面及び前記第2湾曲胴部の内周面までの距離が、前記第2仮想直線上で最も短く、前記第2仮想直線上から前記周端部に向かうにしたがって次第に長くなるように形成されても良い。
【0009】
この場合には、第1湾曲胴部と、第1湾曲胴部の周端部を介して接続された第2湾曲胴部とで、内容器の胴部を形成している。特に、一定の厚さ(肉厚)で形成された第2湾曲胴部よりも、第1湾曲胴部を肉厚に形成することで、第1湾曲胴部を重量部として機能させている。従って、重量部として別途の部材を用意する必要がなく、肉厚の違いを利用して重量部を有する胴部を簡便、且つ低コストで形成することができる。
【0010】
さらに、肉厚に形成された第1湾曲胴部の曲率半径よりも、第2湾曲胴部の曲率半径が小さくなるように、横断面視で第2湾曲胴部の形状を中心軸側に偏った円弧状に形成することができる。これにより、内容器の胴部の形状を、第1湾曲胴部側に重心がさらに偏った不均一な形状にすることができ、容器本体を傾けたときに、重力を利用して内容器の回転を積極的に促すことができる。
さらに、中心軸から第1湾曲胴部の内周面及び第2湾曲胴部の内周面までの距離が、第2仮想直線上で最も短く、第2直線上から周端部に向かうにしたがって次第に長くなるように、第1湾曲胴部及び第2湾曲胴部が形成されている。これにより、内容器の胴部の内部空間は、横断面視で、第1仮想直線を長軸、第2仮想直線を短軸としつつ、第1湾曲胴部側に大きく膨らんだ不均一な楕円状に形成することができる。従って、容器本体を傾けたときに、第1湾曲胴部側に内容物を多く集めることができ、内容物自体の自重等も利用して内容器の回転をさらに積極的に促すことができる。
【0011】
(3)前記注出孔は、前記容器本体の縦断面視において、前記中心軸に対して傾斜するように形成され、前記中心軸を周回する周方向において、前記注出孔の最上部の周方向位置は、前記重量部の周方向位置に対して一致しても良い。
【0012】
この場合には、注出孔の最上部の周方向位置が重量部の周方向位置に対して一致しているので、容器本体を傾けて、重量部が下向きとなるように内容器が回転したときに、注出孔の最上部についても内容器に対応して下向きにすることができる。従って、最上部を、いわゆる注出リップとして利用でき、内容物をスムーズ且つ例えば液切れ良く注出することができる。
【0013】
(4)前記注出ノズルには、揺動軸線回りに揺動可能な振子部材が設けられ、前記振子部材は、前記注出ノズルに対して、前記揺動軸線を中心として揺動可能に連結された振子本体と、前記振子本体の一端部に連結されると共に、前記揺動軸線よりも下方に配置され、且つ前記注出ノズルに対して前記最上部側に配置された錘部と、前記振子本体の他端部に連結されると共に、前記揺動軸線よりも上方に配置され、且つ前記注出ノズルに対して前記錘部とは反対側に配置されたノズル蓋部と、を備え、前記ノズル蓋部は、前記注出孔を閉塞すると共に、前記振子部材の前記揺動軸線回りの揺動に伴って前記注出孔を開放しても良い。
【0014】
この場合には、注出容器の未使用時、保管時等、ノズル蓋部が注出孔を閉塞しているので、異物混入等を防止することができる。そして内容物の注出にあたって、容器本体を傾けて重量部が下向きとなるように内容器が回転した場合には、錘部を重力によって移動させることができる。これにより、揺動軸線回りに振子部材の全体を揺動させることができる。特に、錘部の移動によって揺動軸線回りに振子本体が揺動することでノズル蓋部を変位させることができるので、注出孔を閉塞した状態から注出孔を開放した状態に移行させることができる。
従って、内容器の回転に伴って、注出孔を自然と開放させることができる。そのため、ノズル蓋部を別途操作するといった手間が不要であり、外容器を把持し、容器本体を傾けるという一連の流れの中で注出孔を開放することができ、内容物の注出を行える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る注出容器によれば、注出孔の向きを気にすることなく、内容物を注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る注出容器の実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示すA-A’線に沿った注出容器の横断面図である。
【
図3】
図1に示す状態から、注出容器を傾け始めた状態を示す縦断面図である。
【
図4】
図3に示すB-B’線に沿った注出容器の横断面図である。
【
図5】
図3に示す状態から、内容器が中心軸回りに回転した状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図5に示す状態から注出容器をさらに傾けて、内容物を注出している状態を示す縦断面図である。
【
図8】
図7に示すC-C’線に沿った注出容器の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る注出容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の注出容器1は、内容物Mが収容される内容器3及び内容器3が内装される外容器4を備える容器本体2と、内容器3の口部20に装着された注出部材5と、を備えている。
なお、注出容器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。また内容物Mとしては、特に限定されるものではないが、例えば液体調味料等の液状内容物、粉状内容物、粒状内容物等が挙げられる。
【0018】
本実施形態では、外容器4の容器軸を中心軸O1といい、中心軸O1に沿った外容器4の口部10側を上側、その反対側を下側という。また、中心軸O1方向から見た平面視において、中心軸O1に交差する方向を径方向といい、中心軸O1回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
(外容器)
外容器4は、口部10、胴部11及び底部12が上側から順に連設された有底筒状に形成されている。なお、外容器4の材質は、特に限定されるものではないが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂とされている。さらに外容器4は、一定の剛性を有しており、例えば指先等で胴部11を把持したときに、該胴部11が径方向の内側に向けて変形し難い構成とされている。
【0020】
外容器4の口部10の外周面には、第1雄ねじ部13が形成されている。外容器4の胴部11は、上下方向に直線状に延びた円筒状に形成されている。外容器4の底部12には、上方に向けて突出した支持突起14が形成されている。支持突起14は、底部12の中心に配置され、例えば中心軸O1を中心とした円錐状に形成されている。支持突起14の頂部14aは、丸みを帯びた球面状に形成されている。
【0021】
(内容器)
内容器3は、口部20、胴部21及び底部22が上側から順に連設された有底筒状に形成され、外容器4の内部に収容されている。なお、内容器3の材質は、特に限定されるものではないが、例えば外容器4と同様にPET樹脂とされている。さらに内容器3は、外容器4と同様に一定の剛性を有している。
【0022】
内容器3は、中心軸O1回りに回転可能に外容器4内に収容されている。これにより、内容器3は、外容器4に対して中心軸O1回りに相対回転可能とされている。内容器3の底部22と外容器4の底部12との間には、外容器4に対して内容器3を回転可能に支持する支持部材6が設けられている。
【0023】
内容器3は、中心軸O1に対して同軸に配置されるのではなく、中心軸O1に対して径方向の一方側に偏った状態で外容器4内に配置されている。これにより、
図1及び
図2に示すように、外容器4の胴部11と内容器3の胴部21との間の空間は、周方向に亘って均一ではなく、不均一とされている。
図1に示すように内容器3は、口部20の位置が外容器4の口部10の内側に位置するように外容器4の内部に収容されている。口部20の外周面には、第2雄ねじ部23が形成されている。
【0024】
内容器3の底部22には、上方に向けて突出した膨出部24が形成されている。膨出部24は、頂部24aが中心軸O1上に位置する円錐状に形成されている。そして内容器3の底部22の下面には、膨出部24によって上方に向けて窪んだ凹部25が形成されている。外容器4に形成された支持突起14は、凹部25内に下方から入り込み、支持突起14の頂部14aが膨出部24の頂部24aに対して下方から接触(点接触)している。
これにより、内容器3は、支持突起14によって中心軸O1回りに回転可能に支持されている。従って、外容器4に形成された支持突起14、及び内容器3に形成された膨出部24は、上述した支持部材6として機能する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、内容器3の胴部21には、中心軸O1に直交する横断面視において、胴部21の他の部分よりも重い重量部7が設けられている。本実施形態では、内容器3の胴部21の厚さ(肉厚)を周方向に不均一に形成することで、肉厚の違いを利用して重量部7として機能させている。
【0026】
内容器3の胴部21は、横断面視において、胴部21の周方向に沿って延びる第1湾曲胴部30と、胴部21の周方向に沿って延びると共に、第1湾曲胴部30のうち周方向の両側に位置する周端部31を介して接続された第2湾曲胴部32と、を備えている。
横断面視において、第1湾曲胴部30と第2湾曲胴部32とは、中心軸O1を挟んで径方向に向かい合うように配置されている。さらに第1湾曲胴部30は、横断面視において、外周面が中心軸O1を中心とした半円状に形成され、内容器3の胴部21の内周面との間に一定の隙間をあけて配置されている。これにより、第1湾曲胴部30の周端部31は、中心軸O1を挟んで径方向に向かい合うように配置されている。
【0027】
なお本実施形態では、
図2に示すように横断面視において、第1湾曲胴部30の周端部31及び中心軸O1を通過する仮想線を第1仮想直線L1と定義し、第1仮想直線L1に対して直交し、且つ中心軸O1を通過する仮想線を第2仮想直線L2と定義する。
【0028】
横断面視において、第2湾曲胴部32は、周方向に沿って一定の厚さで形成されていると共に、第1湾曲胴部30よりも中心軸O1側に偏った円弧状に形成されている。これにより、内容器3の胴部21の外形形状は、円筒形状ではなく不均一な形状とされている。
横断面視において、第1湾曲胴部30は、周方向に沿って第2湾曲胴部32よりも肉厚に形成されている。これにより、第1湾曲胴部30は重量部7として機能する。
【0029】
第1湾曲胴部30及び第2湾曲胴部32について、詳細に説明する。
横断面視において、第1湾曲胴部30は、先に述べたように外周面が中心軸O1を中心とした半円状に形成されている。これに対して、第1湾曲胴部30の内周面は、中心軸O1を中心として半円状に形成されているのではなく、周方向に沿って中心軸O1からの距離が変化する円弧状に形成されている。
具体的に第1湾曲胴部30は、中心軸O1から第1湾曲胴部30の内周面までの距離Hが、第2仮想直線L2上で最も短く(
図2におけるH1)、第2仮想直線L2上から周端部31に向かうにしたがって次第に長くなるように形成されている。
これにより、第1湾曲胴部30の厚さは、第2湾曲胴部32の厚さよりも肉厚とされ、且つ周方向に沿って変化するように形成されている。特に第1湾曲胴部30の厚さは、第2仮想直線L2上で最も肉厚となるように形成されている。
【0030】
第2湾曲胴部32は、外周面及び内周面が中心軸O1を中心として半円状に形成されているのではなく、いずれも周方向に沿って中心軸O1からの距離が変化する円弧状に形成されている。
具体的に第2湾曲胴部32は、中心軸O1から第2湾曲胴部32の内周面までの距離Wが、第2仮想直線L2上で最も短く(
図2におけるW1)、第2仮想直線L2上から周端部31に向かうにしたがって次第に長くなるように形成されている。
なお、第2湾曲胴部32における上記距離W1は、第1湾曲胴部30における上記距離H1よりも短い距離とされている。
【0031】
内容器3の胴部21は、上下方向の全長に亘って、上述した第1湾曲胴部30及び第2湾曲胴部32によって連続的に形成されている。特に内容器3の胴部21の内部空間は、横断面視で、第1仮想直線L1を長軸、第2仮想直線L2を短軸としつつ、第1湾曲胴部30側に大きく膨らんだ不均一な楕円状に形成されている。
従って、内容器3内に収容される内容物Mは、第2湾曲胴部32側よりも第1湾曲胴部30側に、より多く収容される。
【0032】
(注出部材)
図1に示すように注出部材5は、内容器3の口部20に装着される有頂筒状の装着筒40と、装着筒40の頂壁部42から上方に向けて延びた注出ノズル45とを備えている。
【0033】
装着筒40は、内容器3の口部20を径方向の外側から囲む周壁部41と、周壁部41の上端開口を閉塞する頂壁部42と、を有している。周壁部41の内周面には、内容器3の口部20に形成された第2雄ねじ部23に螺着される第2雌ねじ部43が形成されている。これにより、注出部材5の全体は、ねじ結合によって内容器3の口部20に対して装着されている。
ただし、注出部材5の装着方法は、ねじ結合に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合によって装着されても構わない。
【0034】
頂壁部42は、内容器3の口部20の上端開口縁に対して環状のパッキンを介して上方から接触している。これにより、装着筒40は、一定のシール性を確保した状態で内容器3の口部20に装着されている。
【0035】
注出ノズル45は、中心軸O1と同軸に配置され、頂壁部42から上方に向けて直線状に延びる円筒状に形成されている。注出ノズル45の内部は、頂壁部42に形成された連通孔42aを通じて内容器3の内部に連通している。注出ノズル45の上端には、内容物Mを注出する注出孔46が開口している。
本実施形態の注出孔46は、容器本体2の縦断面視において、中心軸O1に対して傾斜するように形成されている。この際、注出孔46の最上部46aの周方向位置は、内容器3の重量部7、すなわち第1湾曲胴部30の周方向位置に対して一致している。より具体的には、注出孔46の最上部46aの周方向位置は、第1湾曲胴部30において最も肉厚とされた部分の周方向位置に対して一致している。
【0036】
(支持キャップ)
外容器4の口部10には、外容器4に対する内容器3の上方移動を規制する支持キャップ50が装着されている。
支持キャップ50は、外容器4の口部10を径方向の外側から囲むキャップ周壁51と、キャップ周壁51の上端部から径方向に内側に向けて突出すると共に、外容器4の上端開口を塞ぐ環状のキャップ天壁52と、を備えている。
【0037】
キャップ周壁51の内周面には、外容器4の口部10に形成された第1雄ねじ部13に螺着される第1雌ねじ部53が形成されている。これにより、支持キャップ50の全体は、ねじ結合によって外容器4の口部10に対して装着されている。ただし、支持キャップ50の装着方法は、ねじ結合に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合によって装着されても構わない。
キャップ天壁52の内周縁部は、注出部材5における頂壁部42の一部を上方から覆っている。これにより、内容器3の全体は、キャップ天壁52によって外容器4内から上方に向けて移動(抜け)が規制されていると共に、外容器4内において上下方向に適切に位置決めされる。
【0038】
(振子部材)
注出部材5における注出ノズル45には、振子部材60が設けられている。
振子部材60は、注出ノズル45の外周面から径方向の外側に向けて突出した揺動軸61を介して注出ノズル45に組付けられている。この際、振子部材60は、揺動軸61の中心を貫く揺動軸線O2回りに揺動可能とされている。
揺動軸61は、第2仮想直線L2と平行になるように形成されている。そのため、振子部材60は、第1仮想直線L1に沿いながら上下方向に揺動可能とされている。
【0039】
振子部材60は、注出ノズル45に対して揺動軸61を介して連結された振子本体62と、振子本体62の下端部(一端部)に連結された錘部63と、振子部材60の上端部(他端部)に連結されたノズル蓋部64と、を備えている。
振子本体62は、容器本体2の縦断面視において、中心軸O1に対して傾斜した状態で配置されたプレート状に形成されている。振子本体62の下端部は、揺動軸線O2よりも下方に配置され、且つ注出ノズル45に対して最上部46a側に配置されている。これに対して振子本体62の上端部は、揺動軸線O2よりも上方に配置され、且つ注出ノズル45に対して、振子本体62の下端部とは反対側に配置されている。
【0040】
錘部63は、揺動軸線O2に対して平行に延びるように形成され、振子本体62の下端部に一体に連結されている。これにより、錘部63は、注出ノズル45に対して離反可能に接触している。
ノズル蓋部64は、注出孔46を上方から覆うプレート状に形成され、振子本体62の上端部に一体に連結されている。これにより、ノズル蓋部64は、注出孔46を開放可能に閉塞している。特に、ノズル蓋部64は、振子部材60の揺動軸線O2回りの揺動に伴って、注出孔46を閉塞する状態と、注出孔46を開放する状態とが切り換わるように構成されている。
【0041】
(注出容器の作用)
次に、上述のように構成された注出容器1を使用して、内容物Mを注出する場合について説明する。
本実施形態の注出容器1では、重量部7(肉厚の第1湾曲胴部30)によって重心が片側に偏った胴部21を有する内容器3が、外容器4内に回転可能に収容されている。従って、内容物Mを注出する際、どの方向から外容器4を指先等で把持したとしても、
図3に示すように容器本体2を傾けたときに、
図4に示す矢印の如く、重量部7が下向きとなるように重力を利用して内容器3を外容器4内で自然と回転させることができる。
【0042】
このとき、
図3に示すように、内容器3と外容器4との間に支持部材6(支持突起14、膨出部24)が設けられていると共に、支持キャップ50が設けられているので、外容器4内からの内容器3の抜け等を抑制しつつ、内容器3をスムーズに回転させることができる。
【0043】
従って、容器本体2を傾けたときに、外容器4を把持したときの外容器4の向き(姿勢)に関係なく、
図5に示すように、常に重量部7が下向きとなるように内容器3の姿勢を一定にすることができる。さらに、内容器3に装着されている注出部材5における注出孔46の向きも一定にすることができる。これにより、
図6に示すように、注出孔46の向きを気にすることなく、内容物Mを注出することができる。従って、使い勝手が良く、操作性に優れた注出容器1とすることができる。
【0044】
さらに本実施形態の注出容器1は、振子部材60を備えている。
そのため、
図1に示すように注出容器1の未使用時、保管時等においては、ノズル蓋部64が注出孔46を閉塞しているので、異物混入等を防止することができる。
そして内容物Mの注出にあたって、容器本体2を傾けて重量部7が下向きとなるように内容器3が回転した場合には、
図5に示す矢印の如く、錘部63を重力によって移動させることができる。これにより、揺動軸線O2回りに振子部材60の全体を揺動させることができる。特に、錘部63の移動によって揺動軸線O2回りに振子本体62が揺動することでノズル蓋部64を変位させることができるので、注出孔46を閉塞した状態から注出孔46を開放した状態に移行させることができる。
【0045】
従って、内容器3の回転に伴って、注出孔46を自然と開放させることができる。そのため、ノズル蓋部64を別途操作するといった手間が不要であり、外容器4を把持し、容器本体2を傾けるという一連の流れの中で、
図6に示すように注出孔46を開放することができ、内容物Mの注出を行える。
【0046】
さらに本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第1湾曲胴部30及び第2湾曲胴部32で内容器3の胴部21を形成している。特に、第1湾曲胴部30を肉厚に形成することで第1湾曲胴部30を重量部7として機能させている。従って、重量部7として別途の部材を用意する必要がなく、肉厚の違いを利用して重量部7を有する胴部21を簡便、且つ低コストで形成することができる。
【0047】
さらに第2湾曲胴部32の形状を中心軸O1側に偏った円弧状に形成しているので、内容器3の胴部21の形状を、第1湾曲胴部30側に重心がさらに偏った不均一な形状にすることができる。従って、容器本体2を傾けたときに、重力を利用して内容器3の回転を積極的に促すことができる。それに加えて、内容器3の胴部21の内部空間を、横断面視で、第1仮想直線L1を長軸、第2仮想直線L2を短軸としつつ、第1湾曲胴部30側に大きく膨らんだ不均一な楕円状に形成している。これにより、容器本体2を傾けたときに、第1湾曲胴部30側に内容物Mを多く集めることができ、内容物M自体の自重等も利用して内容器3の回転をさらに積極的に促すことができる。
【0048】
さらに、注出孔46の最上部46aの周方向位置が重量部7(第1湾曲胴部30の最も肉厚部分)の周方向位置に対して一致しているので、容器本体2を傾けて、重量部7が下向きとなるように内容器3が回転したときに、
図5及び
図6に示すように、注出孔46の最上部46aについても内容器3に対応して下向きにすることができる。従って、最上部46aを、いわゆる注出リップとして利用でき、内容物Mをスムーズ且つ例えば液切れ良く注出することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0050】
例えば、上記実施形態において、第2湾曲胴部32を、横断面視で中心軸O1を中心とした半円形状に形成しても構わない。この場合であっても、肉厚の第1湾曲胴部30を重量部7として機能させることができるので、同様の作用効果を奏功することができる。
ただし、上記実施形態のように、第2湾曲胴部32を中心軸O1側に偏った円弧状に形成することで、内容器3の回転をより積極的に促すことができるので、より好ましい。
【0051】
さらに上記実施形態では、肉厚の第1湾曲胴部30を重量部7として機能させた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、内容器3の胴部21の厚さ(肉厚)を周方向に亘って均一に形成したうえで、内容器3の材質よりも比重の大きい錘部材(例えば金属部材)等を胴部21の一部に一体成形することで、錘部材を重量部7として機能させても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
【0052】
さらに錘部材を利用する場合、例えば肉厚の第1湾曲胴部30と組み合わせても構わない。
例えば
図7及び
図8に示すように、第1湾曲胴部30の最も肉厚となる部分に、錘部材71を一体成形した注出容器70としても構わない。
この場合の注出容器70によれば、重量部7をさらに重くすることができるので、内容器3を積極的に回転させることができ、さらに使い勝手が向上する。
なお、図示の例では、第2湾曲胴部32を、横断面視で中心軸O1を中心とした半円形状に形成している場合を例に挙げている。ただし、第2湾曲胴部32については、上記実施形態の注出容器1と同様に形成しても構わない。さらに図示の例では、振子部材60を具備しない注出容器70を例に挙げている。このように、振子部材60は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【符号の説明】
【0053】
L1…第1仮想直線
L2…第2仮想直線
O1…外容器の中心軸
O2…揺動軸線
1、70…注出容器
2…容器本体
3…内容器
4…外容器
5…注出部材
6…支持部材
7…重量部
12…外容器の底部
21…内容器の胴部
22…内容器の底部
30…第1湾曲胴部
31…第1湾曲胴部の周端部
32…第2湾曲胴部
45…注出ノズル
46…注出孔
46a…注出孔の最上部
60…振子部材
63…錘部
64…ノズル蓋部