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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159181
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20241031BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241031BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20241031BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20241031BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D1/00 111
B65D47/34 110
B65D47/32 210
B65D77/06 F
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075013
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【テーマコード(参考)】
3E014
3E033
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC04
3E014PC07
3E014PD22
3E014PE15
3E014PE30
3E033AA02
3E033BA13
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB03
3E033DC04
3E033DD01
3E033FA03
3E033GA02
3E067AA03
3E067AC01
3E067BA03C
3E067BA12B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067EA32
3E067FA04
3E067GB02
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LA12
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】内容器に収容される内容物の種類に関わらず、再生利用又は再利用可能な二重容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様の二重容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する内容器、及び内容器を収容する外容器を有し、内容器及び外容器間に外気を吸入する吸気孔が設けられた容器本体と、内容器内に連通するとともに内容物を注出する注出口が形成され、容器本体のうち外容器が有する口部に着脱可能に装着される注出部材と、を備えている。注出部材は、内容器のうち口部の開口縁上に配置された被係止部に対して被係止部の下方から係止される係止部を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する内容器、及び前記内容器を収容する外容器を有し、前記内容器及び前記外容器間に外気を吸入する吸気孔が設けられた容器本体と、
前記内容器内に連通するとともに内容物を注出する注出口が形成され、前記容器本体のうち前記外容器が有する口部に着脱可能に装着される注出部材と、を備え、
前記注出部材は、前記内容器のうち前記口部の開口縁上に配置された被係止部に対して前記被係止部の下方から係止される係止部を備えている二重容器。
【請求項2】
前記注出部材は、
前記係止部を有する筒状の下キャップと、
前記被係止部に対して前記係止部とは反対側に位置して前記被係止部に向かい合う押さえ部を有し、前記下キャップに着脱可能に取り付けられる有頂筒状の上キャップと、を備えている請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記注出部材には、前記口部に形成された雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が形成され、
前記下キャップ及び前記上キャップそれぞれの周壁部のうち、一方のキャップの周壁部には、上下方向に窪む凹部が形成され、
前記下キャップ及び前記上キャップそれぞれの周壁部のうち、他方のキャップの周壁部には、前記凹部内に収容された進入部が形成され、
前記雌ねじ部は、前記一方のキャップの周壁部及び前記進入部を容器軸回りに横断して形成されている請求項2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記注出部材は、
前記口部に着脱可能に装着される装着キャップと、
上方付勢状態で下方移動可能に前記装着キャップに支持されたステムを有し、前記内容器内の内容物を吸い上げるポンプ部と、
前記注出口が形成され、前記ステムの上端部に取り付けられた押下ヘッドと、を備えている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
二重容器として、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する内容器、及び内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成され、内容器を収容する外容器を有する容器本体と、内容物を注出する注出口が形成され、外容器が有する口部に装着された注出部材と、を備えた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-163520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、上述した二重容器について、再生利用又は再利用可能であることが望まれている。しかし、内容器に収容される内容物の種類によっては、内容器と外容器とをまとめて処理することが難しかった。
【0005】
本発明は、内容器に収容される内容物の種類に関わらず、再生利用又は再利用可能な二重容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る二重容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容する内容器、及び前記内容器を収容する外容器を有し、前記内容器及び前記外容器間に外気を吸入する吸気孔が設けられた容器本体と、前記内容器内に連通するとともに内容物を注出する注出口が形成され、前記容器本体のうち前記外容器が有する口部に着脱可能に装着される注出部材と、を備え、前記注出部材は、前記内容器のうち前記口部の開口縁上に配置された被係止部に対して前記被係止部の下方から係止される係止部を備えている。
【0007】
本態様によれば、口部から注出部材を取り外すにあたって、係止部が被係止部に下方から係止される。これにより、注出部材とともに内容器を引き上げ、外容器の口部を通じて内容器を引き上げることができる。その結果、内容器と外容器とを分別することができるので、内容器に収容される内容物の種類に関わらず、また外容器は内容物が付着していないことから外容器の洗浄を必要とせず、再生利用又は再利用可能に処理することができる。
【0008】
上記態様に係る二重容器において、前記注出部材は、前記係止部を有する筒状の下キャップと、前記被係止部に対して前記係止部とは反対側に位置して前記被係止部に向かい合う押さえ部を有し、前記下キャップに着脱可能に取り付けられる有頂筒状の上キャップと、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、下キャップと上キャップとを分解することで、注出部材から内容器を取り除くことができる。これにより、内容器と注出部材とを分別することができるので、例えば注出部材を再利用することができる。
【0009】
上記態様に係る二重容器において、前記注出部材には、前記口部に形成された雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が形成され、前記下キャップ及び前記上キャップそれぞれの周壁部のうち、一方のキャップの周壁部には、上下方向に窪む凹部が形成され、前記下キャップ及び前記上キャップそれぞれの周壁部のうち、他方のキャップの周壁部には、前記凹部内に収容された進入部が形成され、前記雌ねじ部は、前記一方のキャップの周壁部及び前記進入部を容器軸回りに横断して形成されていることが好ましい。
本態様によれば、注出部材が口部に装着された状態において、下キャップと上キャップとが分離することを抑制できる。これにより、二重容器の使用時において、注出部材から内容器が離脱することを抑制できる。
【0010】
上記態様に係る二重容器において、前記注出部材は、前記口部に着脱可能に装着される装着キャップと、上方付勢状態で下方移動可能に前記装着キャップに支持されたステムを有し、前記内容器内の内容物を吸い上げるポンプ部と、前記注出口が形成され、前記ステムの上端部に取り付けられた押下ヘッドと、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、注出部材としてポンプ機構を用いることで、二重容器の操作性を向上させることができる。また、ポンプ機構を再利用することで、二重容器のランニングコストを軽減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内容器に収容される内容物の種類に関わらず、再生利用又は再利用可能に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る二重容器の部分断面図である。
図2図1のII-II線に対応する二重容器の部分断面図である。
図3図2のIII部における拡大断面図である。
図4】実施形態に係る二重容器において、装着キャップの分解斜視図である。
図5】実施形態に係る二重容器の動作説明図である。
図6】実施形態に係る二重容器の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1図2に示す二重容器1は、有底筒状の容器本体2と、有頂筒状のポンプ機構(注出部材)3と、を備えている。容器本体2及びポンプ機構3は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。この場合、容器本体2の底部側を下方とし、ポンプ機構3の押下ヘッド23側を上方とする。
【0014】
本実施形態の容器本体2は、外容器10の内面に内容器11の外面が剥離可能に積層された、二重容器(分別可能な容器)であり、外容器10を形成するための外側プリフォーム内に、内容器11を形成するための内側プリフォームを嵌合させた状態で、外側プリフォーム及び内側プリフォームを一体にブロー成形することで形成されている。外容器10及び内容器11に用いられる合成樹脂としては、本実施形態では外容器10をPET(ポリエチレンテレフタレート)、内容器11をPP(ポリプロピレン)とした。その他、外容器10及び内容器11に用いられる合成樹脂の組み合わせとしては、例えばPPとPP、PETとPET、PETとPE等を適宜選択可能である。また、容器本体2は、外容器10を形成する合成樹脂と、外容器10に対して相溶性が低い内容器11の合成樹脂を積層して形成した筒状のパリソンを押出ブロー成形することによって形成されていてもよい。この場合、外容器10及び内容器11の材質は、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも異材質でもよい。
【0015】
外容器10は、容器本体2の外観を構成する。外容器10は、口部10a、肩部10b、胴部10c及び底部(不図示)が上方から下方に順次連なる有底筒状に形成されている。外容器10は、内容器11よりも高い剛性を有し、胴部2cを径方向の内側に向かって押圧したとしてもスクイズ変形し難い構成とされている。
口部10aの外周面には、雄ねじ部10dが形成されている。また、口部10aには、口部10aを径方向に貫通する吸気孔10eが形成されている。吸気孔10eは、外容器10と内容器11との間に外気を導入するためのものである。
【0016】
内容器11は、内容物が収容された状態で、外容器10内に収容されている。内容器11は、内容物の減少に伴い減容変形可能に構成されている。内容物としては、例えばシャンプーやボディソープ、化粧料、洗剤、調味料等の液体内容物が挙げられる。
【0017】
内容器11は、収容部11aと、被係止部11bと、を備えている。
収容部11aは、内容物が収容された状態において、外容器10の内面に倣った形状に形成されている。具体的に、収容部11aは、口部10a、肩部10b、胴部10c及び底部の内面に倣って形成されている。但し、収容部11a外面形状は、外容器10の内面形状に依存せず、適宜変更が可能である。
【0018】
図3に示すように、被係止部11bは、収容部11aの上端開口縁から径方向の外側に張り出している。具体的に、被係止部11bは、収容部11aの上端開口縁において全周に亘って延びるフランジ状に形成されている。被係止部11bは、口部10aの上端開口縁上に配置されている。被係止部11bにおける径方向の外側端部は、口部10aに対して径方向の外側に突出している。被係止部11bのうち少なくとも外周部分は、周方向から見た断面視において、上下方向に直交して延びる平坦面に形成された下面と、径方向の外側に向かうに従い下方に延びる傾斜面に形成された上面と、を備える三角形状又は台形状に形成されている。なお、被係止部11bは、収容部11aの上端開口縁において、周方向に間欠的に設けられていてもよい。また、被係止部11bは、周方向の一部のみが口部10aに対して径方向の外側に位置していてもよい。
【0019】
図1図2に示すように、ポンプ機構3は、容器本体2に着脱可能に装着されている。具体的に、ポンプ機構3は、ポンプ部20と、装着キャップ21と、規制筒22と、押下ヘッド23と、を備えている。
ポンプ部20は、筒状のシリンダ31内でのピストン(不図示)の上下動に伴い、シリンダ31内に圧力変化を生じさせ、内容器11内からシリンダ31内への内容物の流入及びシリンダ31内から押下ヘッド23への内容物の送出を行う。
【0020】
シリンダ31は、シリンダ筒部31aと、フランジ部31bと、突出筒31cと、を備えている。
シリンダ筒部31aは、容器軸Oと同軸に配置されている。シリンダ筒部31aは、口部10aを通じて収容部11a内に挿入されている。シリンダ筒部31a内には、上述したピストンが上下方向に摺動可能に設けられている。
フランジ部31bは、シリンダ筒部31aの上端開口縁から径方向の外側に張り出している。フランジ部31bは、被係止部11bとの間にパッキン33を挟んだ状態で口部10aの上端開口縁上に配置されている。
突出筒31cは、シリンダ筒部31aと同軸上で、フランジ部31bの内周縁から上方に突出している。
【0021】
ピストンには、ピストンの上下動に連係するステム32が接続されている。ステム32は、上部がシリンダ31から突出した状態で、シリンダ31内に挿入されている。ステム32は、シリンダ筒部31a内に設けられた付勢部材(不図示)によって上方付勢状態で、シリンダ31に対して下方移動可能に構成されている。
【0022】
装着キャップ21は、ポンプ機構3を容器本体2に対して着脱可能に取り付ける。装着キャップ21は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。具体的に、装着キャップ21は、下キャップ41と、上キャップ42と、を備えている。
【0023】
図1図3図4に示すように、下キャップ41は、上方に位置するものほど外径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的に、下キャップ41は、大径部(周壁部)45と、内フランジ部46と、小径部47と、を備えている。
大径部45は、装着キャップ21の下半部における外観を構成する。
内フランジ部46は、大径部45の上端縁から径方向の内側に張り出している。
小径部47は、内フランジ部46の内周縁から上方に向けて突出している。
【0024】
図1図4に示すように、下キャップ41には、上凹部41a及び下凹部41bが形成されている。上凹部41aは、下キャップ41(小径部47)の上端開口縁から下方に窪んで形成されている。具体的に、上凹部41aは、下キャップ41のうち小径部47から大径部45の上部に至る範囲に亘って形成されている。上凹部41aは、周方向に間隔(図示の例では、180°)をあけて複数形成されている。
【0025】
下凹部41bは、上下方向から見て上凹部41aと重なり合う位置(周方向で同位置)に形成されている。下凹部41bは、大径部45の下端開口縁から上方に窪んで形成されている。すなわち、大径部45のうち、上凹部41a及び下凹部41b間に位置する部分は、周方向に延びる連結片45aを構成している。連結片45aは、大径部45のうち連結片45a以外の部分よりも薄肉に形成されている。連結片45aの内面は、周方向から見て上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びる傾斜面に形成されている。本実施形態の二重容器1は、一方の連結片45a(各凹部41a,41b)における周方向の幅T1と、他方の連結片45a(各凹部41a,41b)における周方向の幅T2と、を互いに異ならせている。図示の例において、一方の連結片45aにおける周方向の幅T1は、他方の連結片45aにおける周方向の幅T2よりも広い。
【0026】
図3図4に示すように、上キャップ42は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。具体的に、上キャップ42は、周壁部51と、天壁部52と、シール筒53と、を備えている。
周壁部51は、装着キャップ21の上半部における外観を構成する。周壁部51内には、周壁部51の下方から小径部47が挿入されている。この状態において、周壁部51は、下端縁が内フランジ部46の上面に近接又は当接した状態で、外周面が大径部45の外周面と面一に形成されている。
【0027】
図1図4に示すように、周壁部51には、舌片部55が形成されている。上キャップ42は、舌片部55を介して下キャップ41に着脱可能に組み合わされている。本実施形態において、舌片部55は、連結片45aに対応して周方向に間隔をあけて設けられている。各舌片部55は、何れも同様の構成であることから、一の舌片部55を例にして舌片部55の詳細について以下に説明する。
【0028】
舌片部55は、ベース部55aと、外装部55bと、係合部55cと、を備えている。
ベース部55aは、径方向を厚さ方向として、周壁部51から下方に向けて片持ちで延びている。すなわち、舌片部55は、径方向に弾性変形可能に周壁部51に接続されている。
外装部55bは、ベース部55aの上部において径方向の外側に膨出している。外装部55bの外面は、周壁部51の外面に滑らかに連なっている。
係合部55cは、ベース部55aの下端部から径方向の外側に突出している。
【0029】
天壁部52は、周壁部51の上端縁から径方向の内側に張り出している。
シール筒53は、天壁部52から下方に向けて延びている。シール筒53は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0030】
図1図2に示すように、上キャップ42は、周壁部51とシール筒53との間に小径部47が挿入され、かつ連結片45aに対して径方向の内側を通じて下キャップ41内に舌片部55が進入した状態で、下キャップ41に上下方向で組み合わされている。このとき、係合部55cは、連結片45aに連結片45aの下方から係合している。また、外装部55bは、上凹部41a内に収容された状態で、大径部45の外面と滑らかに連なっている。
【0031】
装着キャップ21の内周面には、雌ねじ部21aが形成されている。雌ねじ部21aは、大径部45の内周面及びベース部55aの内周面を周方向に横断するように螺旋状に形成されている。雌ねじ部21aが雄ねじ部10dに締め付けられることで、装着キャップ21は口部10aに着脱可能に装着されている。すなわち、雄ねじ部10dは、下キャップ41と上キャップ42の双方に係合している。装着キャップ21が口部10aに装着された状態において、天壁部(押さえ部)52のうちシール筒53よりも径方向の内側に位置する部分は、口部10aの上端開口縁との間に被係止部11b及び内フランジ部46を上下方向に挟み込んでいる。また、天壁部52の内側には、突出筒31c及びステム32が貫通している。なお、装着キャップ21が口部10aに装着された状態において、舌片部55の下端部は、口部10aから径方向に突出するネックリング10fに径方向で向かい合っている。これにより、舌片部55の径方向の内側への変位が規制される。
【0032】
各舌片部55において、一方の舌片部55における周方向の幅P1と、他方の舌片部55における周方向の幅P2と、を互いに異ならせている。具体的に、一方の舌片部55における周方向の幅P1は、一方の連結片45aにおける周方向の幅T1以下であって、他方の連結片45aにおける周方向の幅T2よりも広く設定されている。また、他方の舌片部55における周方向の幅P2は、他方の連結片45aにおける周方向の幅T2以下に設定されている。これにより、下キャップ41と上キャップ42との組み付けに際し、下キャップ41に対する上キャップ42の周方向の向きを設定することができる(方向性を持たせることができる。)。そのため、下キャップ41と上キャップ42との誤組みを抑制できる。その結果、雌ねじ部21aのうち下キャップ41に形成された部分と、上キャップ42に形成された部分と、の間に位置ずれが発生することを抑制し、雌ねじ部21aを連続的に形成することができる。但し、雄ねじ部10d及び雌ねじ部21aは、二条ねじ等の多条ねじ状に形成されていてもよい。この場合には、各舌片部55(及び各連結片41c)における周方向の幅は、同等であってもよい。
【0033】
ここで、図3図4に示すように、装着キャップ21には、係止部56が形成されている。係止部56は、下キャップ41のうち内フランジ部46から径方向の内側に突出している。係止部56は、周方向から見た断面視において、上下方向に直交して延びる平坦面に形成された上面と、径方向の内側に向かうに従い上方に延びる傾斜面に形成された下面と、を備える三角形状又は台形状に形成されている。なお、係止部56の上面についても、径方向の内側に向かうに従い上方に傾斜して延びる傾斜面に形成されていてもよい。
【0034】
本実施形態において、係止部56は内フランジ部46のうち、上凹部41aを除く全周に亘って延びている。但し、係止部56は、周方向に間欠的に設けられていてもよい。係止部56は、被係止部11bに被係止部11bの下方から近接又は当接している。具体的に、係止部56は、被係止部11bのうち口部10aから突出した部分に平面視で重なり合っている。したがって、係止部56と天壁部52との間には、被係止部11b、パッキン33及びフランジ部31bが配置されている。係止部56は、装着キャップ21を口部10aから取り外す際に、口部10aに対する装着キャップ21の上方への移動に伴い被係止部11bに係止される。これにより、装着キャップ21の取り外し操作に伴い、被係止部11bを介して内容器11が外容器10から引き上げられる。なお、被係止部11b、パッキン33及びフランジ部31bは、係止部56と天壁部52との間に挟み込まれていてもよい。
【0035】
規制筒22は、容器軸Oと同軸に配置されている。規制筒22の内側には、ステム32が貫通している。規制筒22の内側には、突出筒31cがアンダーカット嵌合等によって取り付けられている。規制筒22は、内フランジ部46との間に、天壁部52の内周部分を上下方向で挟み込んでいる。したがって、ステム32は、規制筒22やシリンダ31を介して装着キャップ21に支持されている。
【0036】
図1に示すように、押下ヘッド23は、ヘッド本体61と、注出筒62と、を備えている。
ヘッド本体61は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。ヘッド本体61には、ステム32の上端部が取り付けられている。
注出筒62は、ヘッド本体61から径方向に延びている。注出筒62は、ヘッド本体61内を通じてステム32内に連通している。注出筒62の先端開口部は、内容物を注出する注出口62aとして機能する。
【0037】
次に、二重容器1の作用として、内容物の注出方法、及び二重容器1の分別方法について説明する。
内容物を注出するにあたっては、押下ヘッド23を介してステム32を押し下げる。ステム32の下降に伴い、ピストンがシリンダ筒部31a内を下降すると、シリンダ筒部31a内が加圧される。これにより、シリンダ筒部31a内の内容物がステム32内を通じて押下ヘッド23に送り出される。これにより、押下ヘッド23に送り出された内容物は、注出口62aを通じて外部に注出される。
【0038】
内容物の注出後、押下ヘッド23の押し下げを解除すると、付勢部材の上方付勢力(弾性復元力)によって、ピストン、ステム32及び押下ヘッド23が上方に向けて復元移動する。これにより、シリンダ筒部31a内が減圧されて、内容器11内の内容物がシリンダ筒部31a内に吸い上げられる。その結果、次回の注出操作に備えることができる。
【0039】
ここで、内容器11は、注出操作に伴う内容物の減少によりしぼみ変形する(減容変形する)。これにより、内容器11と外容器10との間に負圧が生じる。すると、内容器11と外容器10との間に、吸気孔10eを通じて外気が流入する。そのため、内容器11が減容したまま維持される。すなわち、本実施形態の二重容器1では、内容物の注出操作の度に内容器11が徐々に減容することで、内容器11内に空気等が流入することを抑制できる。これにより、内容物の酸化に伴う劣化や変質等を抑制することができ、内容物の品質を維持することができる。
【0040】
続いて、二重容器1の分別方法について説明する。
図5に示すように、内容器11に収容されている内容物を使い切ると、内容器11のほぼ全体が外容器10から離間した状態となる。二重容器1を分別するには、内容物を使い切った後、まずポンプ機構3及び内容器11を外容器10から取り外す。具体的には、装着キャップ21と口部10aとを緩み方向に相対回転させることで、ポンプ機構3が容器本体2に対して上昇する。装着キャップ21が上昇する過程において、係止部56が被係止部11bに被係止部11bの下方から係止される。この状態で、装着キャップ21と口部10aとを緩み方向にさらに相対回転させることで、ポンプ機構3とともに内容器11が引き上げられる。これにより、内容器11は、口部10aを通じて外容器10から抜き取られる。
【0041】
続いて、図6に示すように、内容器11とポンプ機構3とを分離する。具体的には、舌片部55の下端部を摘まみ、舌片部55の下端部を径方向の内側に変位させる。すると、舌片部55が径方向の内側に弾性変形する。これにより、係合部55cが連結片45aに対して径方向の内側に変位することで、係合部55cと連結片45aとの係合が解除される。この状態で、上キャップ42を下キャップ41に対して上方に移動させる。すると、上キャップ42が下キャップ41から取り外される。
【0042】
上キャップ42が下キャップ41から取り外されると、下キャップ41の上端開口部が開放される。すなわち、上キャップ42と下キャップ41とにより、内フランジ部46及び被係止部11bの挟み込みが解除される。そして、ポンプ部20及び内容器11を下キャップ41の内側を通じて引き上げることで、装着キャップ21からポンプ部20及び内容器11を取り外すことができる。
【0043】
この場合において、内容器11は、内容物の種類に応じて適切に廃棄できる。一方、外容器10は、例えば破砕や溶解等の処理によって原材料に戻すことで、再び成形等が可能になる(再生利用)。また、ポンプ機構3は、新たな容器本体2に付け替えることで、そのまま利用可能である(再利用)。ポンプ機構3を新たな容器本体2に付け替えるには、ポンプ部20を内容器11内に挿入させながら、装着キャップ21を口部10aに装着する。具体的には、装着キャップ21と口部10aとを締付方向に相対回転させる。すると、口部10aに対して装着キャップ21が下降することで、係止部56が被係止部11bを下方に乗り越える。その後、装着キャップ21の締め付けが完了することで、係止部56が被係止部11bに下方から係止可能な状態で、ポンプ機構3が容器本体2に装着される。
【0044】
このように、本実施形態の二重容器1は、ポンプ機構3は、内容器11のうち口部10aの上端開口縁上に配置された被係止部11bに対して被係止部11bの下方から係止される係止部56を備えている構成とした。
この構成によれば、口部10aからポンプ機構3を取り外すにあたって、係止部56が被係止部11bに下方から係止される。これにより、ポンプ機構3とともに内容器11を引き上げ、外容器10の口部10aを通じて内容器11を引き上げることができる。その結果、内容器11と外容器10とを分別することができるので、内容器11に収容される内容物の種類に関わらず、また外容器10は内容物が付着していないことから洗浄を必要とせず、再生利用又は再利用可能に処理することができる。本実施形態の外容器10はPETにて形成されており、リサイクルの為の自治体等による回収の際、付着した内容物を洗浄する等の必要が無く、エネルギー削減が可能となる。
【0045】
本実施形態の二重容器1において、装着キャップ21は、係止部56を有する下キャップ41と、係止部56との間に被係止部11bを挟み込む天壁部52を有し、下キャップ41に着脱可能に取り付けられる上キャップ42と、を備える構成とした。
この構成によれば、下キャップ41と上キャップ42とを分解することで、装着キャップ21から内容器11を取り除くことができる。これにより、内容器11とポンプ機構3とを分別することができるので、例えばポンプ機構3を再利用することができる。
【0046】
本実施形態の二重容器1において、下キャップ41の大径部(周壁部)45には、上凹部(凹部)41aが形成され、上キャップ42の周壁部51には、上凹部41a内に収容された舌片部(進入部)55が形成され、雌ねじ部21aは、大径部45及び舌片部55を周方向に横断して形成されている構成とした。
この構成によれば、装着キャップ21が口部10aに装着された状態において、下キャップ41と上キャップ42とが分離することを抑制できる。これにより、二重容器1の使用時において、装着キャップ21から内容器11が離脱することを抑制できる。
【0047】
本実施形態の二重容器1において、ポンプ機構3は、口部10aに着脱可能に装着される装着キャップ21と、内容器11内の内容物を吸い上げるポンプ部20と、注出口62aが形成され、ステム32の上端部に取り付けられた押下ヘッド23と、を備えている構成とした。
この構成によれば、注出部材としてポンプ機構3を用いることで、二重容器1の操作性を向上させることができる。また、ポンプ機構3を再利用することで、二重容器1のランニングコストを軽減できる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、装着キャップ21が下キャップ41と上キャップ42とに分割された構成について説明したが、この構成に限られない。装着キャップ21は、一体に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、注出部材としてポンプ機構3を採用した場合について説明したが、この構成に限られない。注出部材は、少なくとも注出口を有していればよい。この場合には、外容器10のスクイズ変形等によって、内容器11内の内容物を注出させる構成等であってもよい。
【0049】
上述した実施形態では、下キャップ41に係止部56が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。上キャップ42に係止部が形成されていてもよい。
上述した実施形態では、吸気孔10eが外容器10に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。吸気孔は、外容器10と内容器11との間に形成する等してもよい。
【0050】
上述した実施形態では、雌ねじ部21aが下キャップ41及び上キャップ42を横断する構成について説明したが、この構成に限られない。雌ねじ部21aは、下キャップ41及び上キャップ42の何れかのみに形成されていてもよい。
上述した実施形態では、下キャップ41に形成された上凹部41a内に上キャップ42に形成された舌片部55が収容される構成について説明したが、この構成に限られない。下キャップ41に形成された舌片部が、上キャップ42に形成された凹部に収容される構成であってもよい。
上述した実施形態では、装着キャップ21が螺着によって口部10aに装着された構成について説明したが、この構成に限られない。装着キャップは、アンダーカット嵌合等によって口部10aに装着されていてもよい。
上述した実施形態では、係止部56のうち少なくとも下面が傾斜面に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。係止部56の断面視形状は、被係止部11bのうち口部10aから突出した部分に平面視で重なり合う構成であれば、適宜変更が可能である。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:二重容器
2:容器本体
10:外容器
10a:口部
10d:雄ねじ部
10e:吸気孔
11:内容器
11b:被係止部
20:ポンプ部
21:装着キャップ
21a:雌ねじ部
23:押下ヘッド
32:ステム
41:下キャップ(一方のキャップ、他方のキャップ)
41a:上凹部(凹部)
42:上キャップ(他方のキャップ、一方のキャップ)
45:大径部(周壁部)
51:周壁部
52:天壁部(押さえ部)
55:舌片部(進入部)
56:係止部
62a:注出口
O:容器軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6