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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159183
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】スポイト容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075018
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA20
3E084KB01
3E084LB03
3E084LB05
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】2種類の内容液を収容及び取り出し可能なスポイト容器を提供することである。
【解決手段】第1収容室11と第2収容室12とを備えた容器本体10と、筒状の口部21を備え、容器本体10に装着されて開口を覆う肩カバー20と、第1収容室11に連通する第1パイプ部31と、第2収容室12に連通する第2パイプ部32とを備え、容器本体10の開口に装着された中栓30と、弾性変形自在の袋状であり口部21の外側に配置された操作部41と、操作部41の内部を第1室41bと第2室41cとに区画する区画壁42と、第1室41bに連通するとともに第1パイプ部31に挿入された第1スポイト管43と、第2室41cに連通するとともに第2パイプ部32に挿入された第2スポイト管44と、を有するスポイト部40と、スポイト部40に取り付けられ、口部21に着脱自在に装着される装着筒部50と、を有することを特徴とするスポイト容器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1収容室と第2収容室とを備えた容器本体と、
筒状の口部を備え、前記容器本体に装着されて前記容器本体の開口を覆う肩カバーと、
前記第1収容室に連通する第1パイプ部と、前記第2収容室に連通する第2パイプ部とを備え、前記容器本体の開口に装着された中栓と、
弾性変形自在の袋状であり前記口部の外側に配置された操作部と、前記操作部の内部を第1室と第2室とに区画する区画壁と、前記第1室に連通するとともに前記第1パイプ部に挿入された第1スポイト管と、前記第2室に連通するとともに前記第2パイプ部に挿入された第2スポイト管と、を有するスポイト部と、
前記スポイト部に取り付けられ、前記口部に着脱自在に装着される装着筒部と、を有することを特徴とするスポイト容器。
【請求項2】
前記第1パイプ部の上端開口が第1形状であり、
前記第2パイプ部の上端開口が前記第1形状とは異なる第2形状であり、
前記第1スポイト管の前記第1パイプ部の上端開口に挿入される部分が前記第1形状に対応した形状であり、
前記第2スポイト管の前記第2パイプ部の上端開口に挿入される部分が前記第2形状に対応した形状である、請求項1に記載のスポイト容器。
【請求項3】
前記装着筒部が、前記スポイト部に相対回転自在に取り付けられ、前記口部に対して回転することで前記口部から離脱するように構成されている、請求項1または2に記載のスポイト容器。
【請求項4】
肩カバーが、前記第1スポイト管と前記第2スポイト管との間に配置された案内壁を有する、請求項1または2に記載のスポイト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポイト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容液等の化粧品や薬液等を内容液として収容する容器として、容器本体と容器本体に装着されたスポイト付きのキャップとを有し、容器本体に収容された内容液をスポイトにより少量ずつ取り出すことができるスポイト容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-65730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のスポイト容器は、1種類の内容液のみを収容及び取り出し可能な構成であり、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、2種類の内容液を収容及び取り出し可能なスポイト容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスポイト容器は、第1収容室と第2収容室とを備えた容器本体と、筒状の口部を備え、前記容器本体に装着されて前記容器本体の開口を覆う肩カバーと、前記第1収容室に連通する第1パイプ部と、前記第2収容室に連通する第2パイプ部とを備え、前記容器本体の開口に装着された中栓と、弾性変形自在の袋状であり前記口部の外側に配置された操作部と、前記操作部の内部を第1室と第2室とに区画する区画壁と、前記第1室に連通するとともに前記第1パイプ部に挿入された第1スポイト管と、前記第2室に連通するとともに前記第2パイプ部に挿入された第2スポイト管と、を有するスポイト部と、前記スポイト部に取り付けられ、前記口部に着脱自在に装着される装着筒部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のスポイト容器は、上記構成において、前記第1パイプ部の上端開口が第1形状であり、前記第2パイプ部の上端開口が前記第1形状とは異なる第2形状であり、前記第1スポイト管の前記第1パイプ部の上端開口に挿入される部分が前記第1形状に対応した形状であり、前記第2スポイト管の前記第2パイプ部の上端開口に挿入される部分が前記第2形状に対応した形状であるのが好ましい。
【0008】
本発明のスポイト容器は、上記構成において、前記装着筒部が、前記スポイト部に相対回転自在に取り付けられ、前記口部に対して回転することで前記口部から離脱するように構成されているのが好ましい。
【0009】
本発明のスポイト容器は、上記構成において、肩カバーが、前記第1スポイト管と前記第2スポイト管との間に配置された案内壁を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2種類の内容液を収容及び取り出し可能なスポイト容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るスポイト容器の正面視での断面図ある。
図2図1に示す容器本体の底面図である。
図3図1に示す肩カバーの正面視での断面図である。
図4図3に示す肩カバーの平面図である。
図5図4に示す肩カバーのA-A線に沿う断面図である。
図6図1に示すスポイト管部材の正面視での断面図である。
図7図6に示すスポイト管部材の平面図である。
図8図1に示すスポイト容器の、容器体からスポイト付きキャップが取り外された状態の正面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るスポイト容器1について詳細に例示説明する。
【0013】
なお、特許請求の範囲及び本明細書においては、「上」及び「下」は、図1に示すようにスポイト容器1を正立姿勢で配置した状態における「上」及び「下」を意味するものとする。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るスポイト容器1は、容器本体10、肩カバー20、中栓30、スポイト部40及び装着筒部50を有している。
【0015】
容器本体10は、例えば、合成樹脂材料で形成されたものであり、第1収容室11と第2収容室12とを備えている。より具体的には、図1図2に示すように、容器本体10は、円筒状の側壁10a、側壁10aの下端を閉塞する底壁10b、側壁10aの内側に設けられて側壁10aの内部に第1収容室11を区画形成する円弧状断面の第1区画壁10c及び側壁10aの内側に第1区画壁10cに対向して設けられて側壁10aの内部に第2収容室12を区画形成する円弧状断面の第2区画壁10dを一体に有している。第1収容室11及び第2収容室12は、それぞれ軸線Oに垂直な断面が楕円形となっており、容器本体10の上端において開口している。
【0016】
第1収容室11の内部には第1液2が収容され、第2収容室12の内部には第1液2とは相違する第2液3が収容されている。第1液2、第2液3は、例えば美容液等の化粧品や薬液であってよい。
【0017】
なお、容器本体10は、第1収容室11と第2収容室12とを備えていれば、その形状、大きさ、材質等は種々変更可能である。また、第1液2、第2液3は、化粧品や薬液に限らず、種々の液体であってよい。
【0018】
図1図3図4及び図5に示すように、肩カバー20は、筒状の口部21と、容器本体10の側壁10aに対応した円筒形状の嵌合筒部22とを有している。肩カバー20は、嵌合筒部22が容器本体10の側壁10aの上端にアンダーカット係合により固定されることで容器本体10に装着され、容器本体10の上方を向く開口を覆っている。
【0019】
本実施形態では、口部21は円筒状となっており、その外周面には雄ねじ23が一体に設けられている。本実施形態では、雄ねじ23は多条ねじである。なお、図1図3図4及び図5においては、便宜上、1つの雄ねじ23にのみ符号を付している。なお、雄ねじ23は多条ねじに限られない。また、口部21の外周面に、雄ねじ23に替えて、アンダーカット係合用の突起を設けてもよい。
【0020】
肩カバー20は、口部21の下端側に隔壁24を有し、隔壁24の下面には、それぞれ上下方向に延びる第1ガイド筒25と第2ガイド筒26が隔壁24と一体且つ互いに並べて設けられている。図3図4に示すように、第1ガイド筒25の上端側の開口から上下方向の中央付近までは、軸線Oに垂直な断面形状が矩形となる角筒状部25aとなっており、角筒状部25aから下端側の開口までの間は軸線Oに垂直な断面形状が円形となる円筒状部25bとなっている。一方、第2ガイド筒26は、上端側の開口から下方側の開口までの間の全範囲において、軸線Oに垂直な断面形状が円形となっている。
【0021】
肩カバー20は、第1ガイド筒25と第2ガイド筒26との間に隔壁24から起立する案内壁27を備えた構成としてもよい。案内壁27は、第1ガイド筒25及び第2ガイド筒26の上端よりも上方に突出しており、口部21の内部を第1ガイド筒25の側と第2ガイド筒26の側とに区画している。
【0022】
なお、肩カバー20は、案内壁27を備えない構成としてもよい。
【0023】
図1に示すように、中栓30は、容器本体10の開口に装着されている。中栓30は、それぞれ上下方向に延びる第1パイプ部31と第2パイプ部32と中栓本体33とを備え、中栓本体33の縁部が容器本体10の側壁10aの上端と肩カバー20との間に挟持されることで容器本体10に固定保持されている。なお、中栓本体33に容器本体10の内周面に当接するシール体33aを一体に設けている。
【0024】
第1パイプ部31と第2パイプ部32は軸線Oを挟んで並べて設けられている。第1パイプ部31の中栓本体33から下方に突出した部分は第1収容室11に配置され、これにより第1パイプ部31は第1収容室11に連通している。第2パイプ部32の中栓本体33から下方に突出した部分は第2収容室12に配置され、これにより第2パイプ部32は第2収容室12に連通している。一方、第1パイプ部31の中栓本体33から上方に突出した部分は第1ガイド筒25の円筒状部25bに嵌合固定され、第2パイプ部32の中栓本体33から上方に突出した部分は第2ガイド筒26の下方側部分に嵌合固定されている。
【0025】
なお、第1ガイド筒25及び第2ガイド筒26の内周面に、それぞれ環状突起25c、26a(図3参照)を設け、第1パイプ部31及び第2パイプ部32の外周面に設けた環状突起31a、32aをそれぞれ対応する環状突起25c、26aにアンダーカット係合させることで、第1ガイド筒25及び第2ガイド筒26に対して第1パイプ部31及び第2パイプ部32を固定保持させる構成としてもよい。
【0026】
本実施形態では、第1パイプ部31及び第2パイプ部32は、それぞれ上端から下端に向けて徐々に内径が小さくなるとともに下端側部分に外径及び内径が一定の円筒部分31b、32bを有する形状となっている。そして、円筒部分31bには、第1パイプ部31の内部に連通するとともに第1収容室11の底壁10bの近傍にまで延びる第1チューブ34が接続され、円筒部分32bには、第2パイプ部32の内部に連通するとともに第2収容室12の底壁10bの近傍にまで延びる第2チューブ35が接続されている。
【0027】
第1パイプ部31の上端から所定範囲の部分は、軸線Oに垂直な断面が矩形形状となる角筒部31cとなっており、すなわち第1パイプ部31の上端開口は、軸線Oに垂直な断面が第1形状としての矩形形状となっている。角筒部31cは第1ガイド筒25の角筒状部25aに嵌合している。また、第1パイプ部31の角筒部31cよりも下方側の部分は、軸線Oに垂直な断面が円形形状となっており、中栓本体33よりも上側の部分において第1ガイド筒25の円筒状部25bに嵌合している。
【0028】
一方、第2パイプ部32は、上端から下端までの全範囲で軸線Oに垂直な断面が円形形状となっており、すなわち第2パイプ部32の上端開口は、軸線Oに垂直な断面が第1形状とは異なる第2形状としての円形形状となっている。第2パイプ部32は、中栓本体33よりも上側の部分において第2ガイド筒26に嵌合している。
【0029】
図1に示すように、スポイト部40は、操作部41、区画壁42、第1スポイト管43及び第2スポイト管44を有している。本実施形態では、区画壁42、第1スポイト管43及び第2スポイト管44は、合成樹脂材料により一体に形成されて、図6図7に示すスポイト体45を構成している。
【0030】
図1に示すように、操作部41は、合成ゴムなどの弾性変形自在な材質により、上方に向けて凸形状であるとともに下方側が開口する袋状(略ドーム状)に形成されている。操作部41は、使用者に押圧されることで、その内部容積を減少させるように弾性変形することができる。操作部41の下端にはフランジ状部41aが一体に設けられている。操作部41は、フランジ状部41aがその下面に設けられたシール部材60において肩カバー20の口部21の上端に全周に亘って当接した状態で口部21の外側に配置されている。
【0031】
スポイト体45は、操作部41のフランジ状部41aの上側部分に設けられた組付け筒部41dの内周面に嵌合固定された円形のベース板部45aを有している。図1図7及び図8に示すように、区画壁42は、ベース板部45aの上面に一体に設けられ、ベース板部45aから上方に突出して操作部41の内部に配置されている。操作部41の内面には、溝部41eが設けられ、区画壁42は、その外周縁部分が溝部41eに係合している。これにより、区画壁42は、操作部41の内部を第1室41bと第2室41cとに区画している。
【0032】
第1スポイト管43及び第2スポイト管44は、それぞれベース板部45aの下面に一体に連なるとともにベース板部45aから下方に向けて延びている。第1スポイト管43と第2スポイト管44は軸線Oを挟んで並べて設けられている。第1スポイト管43の上端開口は操作部41の第1室41bに連通し、第2スポイト管44の上端開口は操作部41の第2室41cに連通している。
【0033】
なお、肩カバー20に設けられた案内壁27は、第1スポイト管43と第2スポイト管44との間に配置されている。
【0034】
第1スポイト管43の下端側の所定範囲の部分は、第1パイプ部31に対応した先細の形状となっており、第1パイプ部31に挿入されている。また、第1スポイト管43は、その下端において第1パイプ部31の円筒部分31bとの境界部分の段差に当接している。そして、第1スポイト管43の下端開口は、第1チューブ34を通して容器本体10の第1収容室11に連通している。
【0035】
なお、第1パイプ部31の内周面に、第1スポイト管43の下端側の外周面に当接する環状のシール突起31eを設けてもよい。
【0036】
第1スポイト管43の、第1パイプ部31の上端に挿入される部分すなわち角筒部31cに対応する上側部分43aは、第1パイプ部31の第1形状の上端開口に対応した断面矩形形状となっている。一方、第1スポイト管43の上側部分43aよりも下方側の下側部分43bは、第1パイプ部31の円筒部31dに対応した断面円形形状となっている。すなわち、上側部分43aの軸線Oに垂直な断面は、角筒部31cに対応した矩形形状となっており、下側部分43bの軸線Oに垂直な断面は、円筒部31dに対応した円形形状となっている。なお、第1スポイト管43の上側部分43aは、第1パイプ部31の上端開口ないし角筒部31cと係合可能であるが断面円形形状の上端開口ないし円筒部31dに係合できない形状であれば、第1パイプ部31の上端開口ないし角筒部31cと全く同じ形状でなくてもよい。本実施形態では、第1スポイト管43の上側部分43aの断面形状が、全体として矩形形状であるが径方向外側を向く一辺が円弧状となる形状とされているのに対し、第1パイプ部31の上端開口ないし角筒部31cの断面形状は略正方形状となっている。
【0037】
第2スポイト管44の下端側の所定範囲の部分は、第2パイプ部32に対応した先細の形状となっており、第2パイプ部32に挿入されている。また、第2スポイト管44は、その下端において第2パイプ部32の円筒部分32bとの境界部分の段差に当接している。そして、第2スポイト管44の下端開口は、第2チューブ35を通して容器本体10の第2収容室12に連通している。
【0038】
なお、第2パイプ部32の内周面に、第2スポイト管44の下端側の外周面に当接する環状のシール突起32cを設けてもよい。
【0039】
第2スポイト管44の、第2パイプ部32の上端に挿入される部分は、第2パイプ部32の第2形状の上端開口に対応した断面円形形状となっている。また、第2スポイト管44の第2パイプ部32の上端よりも下方側に挿入される部分も第2パイプ部32に対応した断面円形形状となっている。すなわち、第2スポイト管44は、その上端から下端までの全体が第2パイプ部32に対応した断面円形形状となっている。
【0040】
装着筒部50は、内周面に雌ねじ51を備えた円筒状であり、その上端側の内周面に設けられた円環状の取付け部52においてスポイト部40の組付け筒部41dに取り付けられている。本実施形態では、取付け部52が組付け筒部41dに設けられた環状溝41fに摺動自在に係合することで、装着筒部50は、スポイト部40に軸線Oを中心として相対回転自在に取り付けられている。
【0041】
雌ねじ51は肩カバー20の口部21に設けられた雄ねじ23に対応した多条ねじである。装着筒部50は、雌ねじ51が雄ねじ23にねじ結合されることで、口部21に着脱自在に装着されている。すなわち、装着筒部50は、口部21に対して回転することで口部21から離脱するように構成されている。このとき、取付け部52が組付け筒部41dの環状溝41fに対して摺動することで、スポイト体45は口部21に対して回転することなく、装着筒部50のみが口部21に対して回転する。
【0042】
なお、口部21に、雄ねじ23に替えて、アンダーカット係合用の突起が設けられている場合には、装着筒部50にも雌ねじ51に替えてアンダーカット係合用の突起が設けられる。この場合においても、装着筒部50を、軸線Oを中心として回動させることによりアンダーカット係合用の突起の係合が解除されて装着筒部50が口部21から離脱するように構成されるのが好ましい。
【0043】
装着筒部50が口部21に装着された状態では、操作部41のフランジ状部41aがシール部材60を介して口部21の上端に全周に亘って当接するとともに第1スポイト管43及び第2スポイト管44の下端が第1パイプ部31ないし第2パイプ部32の段差部に当接するので、容器本体10ないし肩カバー20の口部21は閉塞された状態となっている。一方、装着筒部50はスポイト部40に取り付けられているので、装着筒部50が口部21から取り外されると、スポイト部40も装着筒部50とともに口部21から取り外されて容器本体10ないし口部21は開放される。すなわち、スポイト容器1は、装着筒部50及びスポイト部40で構成されたスポイト付きキャップ70と、容器本体10、肩カバー20及び中栓30で構成された容器体80とを有し、スポイト付きキャップ70が容器体80に対して着脱自在の構成となっている。
【0044】
上記構成を有する本実施形態に係るスポイト容器1では、スポイト付きキャップ70が容器体80に装着された状態において、操作部41を押圧した後、当該押圧を解除して操作部41を元の形状に復元させることで、操作部41の第1室41bを負圧にして、第1チューブ34を通して第1スポイト管43の内部に、容器本体10の第1収容室11に収容されている第1液2を所定量だけ吸引することができるとともに、操作部41の第2室41cを負圧にして、第2チューブ35を通して第2スポイト管44の内部に、容器本体10の第2収容室12に収容されている第2液3を所定量だけ吸引することができる。すなわち、1つの操作部41を操作することで、第1スポイト管43及び第2スポイト管44の内部に同時に第1液2ないし第2液3を吸引させることができる。
【0045】
そして、図8に示すように、第1スポイト管43の内部に第1液2を吸引し、第2スポイト管44の内部に第2液3を吸引した状態で、装着筒部50を回転させて口部21との係合を解除し、スポイト付きキャップ70を容器体80から取り外し、第1スポイト管43及び第2スポイト管44の先端を所望の吐出対象に向けて操作部41を押圧することで、第1室41bを加圧して第1スポイト管43の先端から所望の吐出対象に向けて第1液2を吐出させることができるとともに第2室41cを加圧して第2スポイト管44の先端から所望の吐出対象に向けて第2液3を吐出させることができる。すなわち、1つの操作部41を操作することで、第1スポイト管43及び第2スポイト管44の内部から同時に第1液2ないし第2液3を吐出させることができる。
【0046】
使用後には、第1スポイト管43を、第1ガイド筒25を通して第1パイプ部31に挿入するとともに第2スポイト管44を、第2ガイド筒26を通して第2パイプ部32に挿入し、装着筒部50を口部21に装着することで、図1に示すように、スポイト付きキャップ70を容器体80に装着することができる。
【0047】
このとき、第1パイプ部31の上端開口が断面矩形形状とされ、第2パイプ部32の上端開口が断面円形形状とされるとともに、第1スポイト管43の第1パイプ部31の上端に挿入される部分が第1パイプ部31の上端開口に対応した断面矩形形状とされ、第2スポイト管44の第2パイプ部32の上端に挿入される部分が第2パイプ部32の上端開口に対応した断面円形形状とされているので、第1スポイト管43が誤って第2パイプ部32に挿入されることがないようにして、第1スポイト管43ないし第2スポイト管44が第2パイプ部32ないし第1パイプ部31に誤って挿入されることを防止することができる。
【0048】
また、上記のように第1スポイト管43ないし第2スポイト管44が第2パイプ部32ないし第1パイプ部31に誤って挿入されることが防止されるので、第1スポイト管43ないし第2スポイト管44が第2パイプ部32ないし第1パイプ部31に誤って挿入されて第1スポイト管43ないし第2スポイト管44に付着した第1液2ないし第2液3が、第2収容室12に収容された第2液3ないし第1収容室11に収容された第1液2に混合されることを防止することができる。さらに、操作部41の内部は、区画壁42により第1スポイト管43に連通する第1室41bと第2スポイト管44に連通する第2室41cとに区画されているので、操作部41を通して第1液2と第2液3とが混合することも防止することができる。
【0049】
さらに、第1スポイト管43及び第1パイプ部31ないし第2スポイト管44及び第2パイプ部32は、それぞれ下方に向けて細くなる先細の形状となっているので、使用後に第1スポイト管43及び第2スポイト管44を、それぞれ第1パイプ部31ないし第2パイプ部32に挿入し易くすることができる。
【0050】
さらに、肩カバー20に、第1スポイト管43と第2スポイト管44との間に配置された案内壁27を設けるようにしたので、使用後に第1スポイト管43及び第2スポイト管44を、それぞれ第1パイプ部31ないし第2パイプ部32に挿入する際に、案内壁27により第1スポイト管43及び第2スポイト管44の挿入位置が案内されるようにして、当該挿入作業を容易に行い得るようにすることができる。
【0051】
さらに、スポイト付きキャップ70が容器体80に装着された状態においては、第1スポイト管43は第1パイプ部31の内部に挿入されて第1収容室11の内部の第1液2には浸漬されず、第2スポイト管44は第2パイプ部32の内部に挿入されて第2収容室12の内部の第2液3には浸漬されない構成とされている。これにより、第1液2ないし第2液3が、ある程度高い粘性を有する液体であっても、第1スポイト管43ないし第2スポイト管44に付着した第1液2ないし第2液3をしごき落とすしごき部材を設けることを不要として、液溜まりやスポイト付きキャップ70を着脱する際の抵抗を低減することができる。
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0053】
前記実施形態では、第1パイプ部31の上端開口の第1形状を断面矩形形状とするとともに第1スポイト管43の第1パイプ部31の上端開口に挿入される部分を断面矩形形状とし、第2パイプ部32の上端開口の第2形状を断面円形形状とするとともに第2スポイト管44の第2パイプ部32の上端開口に挿入される部分を断面円形形状にするようにしているが、第1スポイト管43の上端側部分が第2パイプ部32に挿入できない構成であれば、第1形状及び第2形状は、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 スポイト容器
2 第1液
3 第2液
10 容器本体
10a 側壁
10b 底壁
10c 第1区画壁
10d 第2区画壁
11 第1収容室
12 第2収容室
20 肩カバー
21 口部
22 嵌合筒部
23 雄ねじ
24 隔壁
25 第1ガイド筒
25a 角筒状部
25b 円筒状部
25c 環状突起
26 第2ガイド筒
26a 環状突起
27 案内壁
30 中栓
31 第1パイプ部
31a 環状突起
31b 円筒部分
31c 角筒部
31d 円筒部
31e シール突起
32 第2パイプ部
32a 環状突起
32b 円筒部分
32c シール突起
33 中栓本体
33a シール体
34 第1チューブ
35 第2チューブ
40 スポイト部
41 操作部
41a フランジ状部
41b 第1室
41c 第2室
41d 組付け筒部
41e 溝部
41f 環状溝
42 区画壁
43 第1スポイト管
43a 上側部分
43b 下側部分
44 第2スポイト管
45 スポイト体
45a ベース板部
50 装着筒部
51 雌ねじ
52 取付け部
60 シール部材
70 スポイト付きキャップ
80 容器体
O 軸線
図1
図2
図3
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図8