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  • 特開-移動体及び移動体の派遣方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159188
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】移動体及び移動体の派遣方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241031BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20241031BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241031BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20241031BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241031BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20241031BHJP
   C25B 5/00 20060101ALI20241031BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20241031BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20241031BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20241031BHJP
   B63J 99/00 20090101ALI20241031BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20241031BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/0606
H01M8/00 Z
H01M8/04 N
C25B1/02
C25B9/00 A
C25B15/08 302
C25B5/00
C25B9/00 H
B60L50/70
B60L58/30
B63H21/17
B63J99/00 A
B64D27/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075026
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 遥香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 重仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清華
(72)【発明者】
【氏名】竹内 真子
(72)【発明者】
【氏名】村松 里佳子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅敦
【テーマコード(参考)】
4K021
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA08
4K021CA09
4K021DC01
4K021DC03
5H125AA01
5H125AC07
5H125BD12
5H125CC04
5H125FF09
5H127AB04
5H127BA14
5H127EE04
5H127EE12
(57)【要約】
【課題】水を電気分解して燃料電池の燃料を確保する特徴を活かした技術を提供する。
【解決手段】
移動体は、水素と酸素を反応させて発電を行う燃料電池が搭載されている。この移動体は、水を電気分解して水素と酸素を生成する改質装置と、改質装置に水を供給する給水装置と、改質装置で生成した水素を燃料電池に供給する水素供給配管と、改質装置で生成した酸素を燃料電池に供給する酸素供給配管を備えている。また、移動体は、燃料電池で発電した電力を駆動源とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素と酸素を反応させて発電を行う燃料電池が搭載された移動体であって、
水を電気分解して水素と酸素を生成する改質装置と、
前記改質装置に水を供給する給水装置と、
前記改質装置で生成した水素を前記燃料電池に供給する水素供給配管と、
前記改質装置で生成した酸素を前記燃料電池に供給する酸素供給配管と、を備え、
前記移動体は、前記燃料電池で発電した電力を駆動源とする、移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体であって、
前記移動体は、車両、船舶又は飛行体である、移動体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の移動体であって、
前記改質装置で生成した水素を移動体外部に供給可能である、移動体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の移動体の派遣依頼をサーバが受領する受領工程と、
前記受領工程で前記サーバが受領した前記派遣依頼に基づき、前記移動体を派遣する派遣工程と、
を備える、移動体の派遣方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、移動体及び移動体の派遣方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、海水を電気分解して水素と酸素を生成し、生成された水素と酸素を反応させて発電を行う燃料電池が開示されている。特許文献1では、燃料電池が発電した電力を、離島など市中電源が得られない環境下において、給湯設備等に設けられている加熱体への供給電力として利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-58098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、水を電気分解して燃料電池の燃料(水素及び酸素)を確保しているので、メタノール等の一般的な燃料電池の燃料の確保が困難な地域(離島等)において、電力確保に有用な技術である。しかしながら、特許文献1は、燃料電池で発電した電力を外部の電気機器の電力源として利用しているに留まり、水を電気分解して燃料電池の燃料を確保するという特徴を十分に活かしきれていない。本明細書は、水を電気分解して燃料電池の燃料を確保するという特徴を活かした有用な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する第1技術は、水素と酸素を反応させて発電を行う燃料電池が搭載された移動体であってよい。この移動体は、水を電気分解して水素と酸素を生成する改質装置と、改質装置に水を供給する給水装置と、改質装置で生成した水素を燃料電池に供給する水素供給配管と、改質装置で生成した酸素を燃料電池に供給する酸素供給配管を備えていてよい。また、移動体は、燃料電池で発電した電力を駆動源としてよい。
【0006】
本明細書で開示する第2技術は、上記第1技術の移動体であって、移動体は、車両、船舶又は飛行体であってよい。
【0007】
本明細書で開示する第3技術は、上記第1又は第2技術の移動体であって、改質装置で生成した水素を移動体外部に供給可能であってよい。
【0008】
本明細書で開示する第4技術は、上記第1から第3技術のいずれかの移動体の派遣依頼をサーバが受領する受領工程と、受領工程でサーバが受領した派遣依頼に基づき、移動体を派遣する派遣工程を備えていてよい。
【発明の効果】
【0009】
第1技術によると、水を電気分解して燃料電池の燃料を生成するので、一般的な燃料電池で使用される燃料(メタノール等)の確保が困難な状況、地域においても、燃料電池を搭載した移動体を駆動することができる。また、燃料電池で発電した電力を、電力確保が困難な状況において、外部機器のための電力として利用することもできる。例えば、災害時、レジャーに行った際等に、給水装置に水を供給することにより、移動体(燃料電池)を用いて発電を行うことができる。さらに、水を電気分解して水素と酸素を生成するので、移動体内に、水素及び酸素を貯留する部品(貯留槽等)を配置するスペースを省略することができる。
【0010】
第2技術によると、例えば、洪水、水害等の災害の際、移動に制限がかかる状況であっても、陸路、水路(海路)、空路のうちの最適な経路を選択し、選択した経路に対応する移動体で移動することができる。あるいは、災害地に向けて、上記経路に対応する最適な移動体で、救援物資の運搬、救援隊の派遣等を行うことができる。
【0011】
第3技術によると、改質装置で生成した水素を、浮体に供給することができる。浮体として、例えば、レジャーに行った際の遊具、洪水、水害等の災害時に用いる浮袋、ボート等が挙げられる。
【0012】
第4技術によると、移動体の派遣を、インターネットを介して容易に行うことができる。特に、洪水、水害等の災害時は、上記したように移動に制限がかかり、また、被災地においては移動体の燃料の確保も難しい。第4技術では、水を電気分解して移動体の燃料(水素及び酸素)を確保する移動体を派遣するので、被災地においても燃料の確保が容易であり、安定して移動体を派遣することができる。また、被災地において電力の供給を行いこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】移動体の概略図を示す。
図2】移動体の変形例の概略図を示す。
図3】移動体の派遣システムの概略図を示す。
図4】移動体の派遣方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照し、移動体10について説明する。移動体10は、給水装置2と、コントローラ8と、燃料供給部12と、燃料電池4と、駆動部6を備えている。燃料供給部12は、改質装置16と、水素供給部14と、酸素供給部18を備えている。また、移動体10は、燃料電池4で発電した電力を外部に出力する出力部(コンセント)5も備えている。移動体10は、燃料電池4が発電した電力を利用して駆動部6を駆動して移動する。なお、移動体10の具体例として、例えば、車両、船舶、飛行体が挙げられる。
【0015】
給水装置2と改質装置16は、配管22によって接続されている。給水装置2は、移動体10の外部の水を取得し、取得した水を配管22を通じて改質装置16に供給する。改質装置16は、給水装置2から送られた水を電気分解し、水素と酸素を生成する。改質装置16で生成された水素は、水素供給部14に供給され、水素供給配管26を通じて燃料電池4に供給される。改質装置16で生成された酸素は、酸素供給部18に供給され、酸素供給配管24を通じて燃料電池4に供給される。燃料電池4では、水素供給配管26から供給された水素と酸素供給配管24から供給された酸素を利用して発電が行われる。燃料電池4で発電した電力は、駆動部6に供給される。駆動部6は、燃料電池4から供給された電力を利用し、駆動部6内のモータ(図示省略)を駆動する。なお、燃料電池4の基本構造及び発電原理は、公知のため説明を省略する。
【0016】
コントローラ8は、燃料供給部12(改質装置16、水素供給部14、酸素供給部18)、燃料電池4及び駆動部6の制御を行う。具体的には、コントローラ8は、移動体10の移動速度に応じて、駆動部6内のモータの出力を制御する。また、コントローラ8は、必要電力(駆動部6に供給する電力及び外部に出力する電力)に応じて、燃料電池4の発電量を制御する。さらに、コントローラ8は、燃料電池4の発電量に応じて、改質装置16の制御、燃料電池4への水素及び酸素供給量を制御する。
【0017】
移動体10は、改質装置16で水を電気分解して燃料電池4の燃料(水素及び酸素)を生成するので、移動体10内に燃料電池4の燃料を蓄積しておく必要がない。そのため、移動体10は、水さえ確保することができれば、燃料電池4で発電を行うことができ、駆動部6を駆動するための電力を確保することができる。そのため、移動体10は、洪水、水害等の災害の際に一般的な燃料電池で使用される燃料(メタノール等)の確保が困難であっても、災害地で移動、または、災害地に向けて移動することができる。また、移動体10は、災害地等の電力の確保が困難な場所において、給水装置2で移動体10の外部の水を取得することにより、外部機器を駆動するための電力源として使用することもできる。
【0018】
図2を参照し、移動体10aについて説明する。移動体10aは、移動体10の変形例である。移動体10aでは、水素供給部14に水素外部供給部28が接続されている。水素外部供給部28は開閉可能な配管であり、水素供給部14の水素を移動体10aの外部に供給することができる。例えば、洪水、水害等の災害において、浮体(浮袋、ボート等)が必要な際、水素外部供給部28を通じて、水素供給部14の水素を浮体に供給することができる。
【0019】
上記したように、移動体10は、水の電気分解によって燃料電池4の燃料を確保するので、災害地に救援物資を運んだり、救援隊を派遣する手段として有用である。以下、図3及び図4を参照し、移動体10の派遣依頼に対する移動体10の派遣方法について説明する。
【0020】
まず、移動体10の派遣を希望する依頼者(自治体等)は、パソコン端末30から移動体10の所有者(警察、消防、自衛隊等)のサーバ32(派遣依頼ページ)にアクセスし、移動体10の派遣依頼を行う。その際、依頼者は、移動体10の派遣を依頼する目的等の入力を行う。サーバ32は、所有している移動体10の種類(車両、船舶、飛行体等)及び保有台数を記憶している。サーバ32は、移動体10の派遣依頼を受領すると(ステップS2,受領工程)、目的の移動体10が派遣可能か否かを判断する(ステップS4)。天候不良、移動体10が他の地域に派遣中である等の理由により目的の移動体10を派遣することができない場合(ステップS4:NO)、サーバ32は、依頼者のパソコン端末30に派遣依頼に応じることができない旨の通知を行う(ステップS12)。
【0021】
目的の移動体10が派遣可能な場合(ステップS4:YES)、サーバ32は、所有者のパソコン端末34に移動体10の派遣依頼があったことを通知する(ステップS6)。所有者は、依頼者のパソコン端末30に、移動体10を派遣可能である旨と通知するとともに、移動体の到着時間を連絡する(ステップS8)。その後、所有者は、移動体10の運転手及び乗組員に対し、移動体10を目的地に派遣するよう指示する(ステップS10)。
【0022】
インターネットを介して移動体10の派遣依頼を行うことにより、災害時に現場が混乱していたり、電話が繋がり難い状況であっても、容易かつ確実に、移動体10の派遣依頼を行うことができる。また、移動体10は燃料電池4で発電した電力を駆動源とするため、災害時であっても安定して派遣することができる。さらに、移動体10は、水を電気分解して燃料電池4の燃料を生成するため、燃料の確保が困難となる災害地への派遣に有用である。
【0023】
(他の実施形態)
上記実施例では、燃料電池4で発電した電力を外部に出力する出力部5を備えた移動体10について説明した。しかしながら、出力部5は必須ではなく、省略してもよい。また、上記実施例では、災害時に移動体10を派遣することを想定した例について説明した。しかしながら、移動体10は、海、河川及び湖のような水辺、あるいは、キャンプ等のレジャーに行く際の移動手段としての貸与、あるいは、同場所へ派遣することもできる。この場合も、上記図3及び図4の説明と同様に、インターネットを介した取引を行うことができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0025】
2:給水装置
4:燃料電池
16:改質装置
10:移動体
24:酸素供給配管
26:水素供給配管
図1
図2
図3
図4