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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159193
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20241031BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20241031BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20241031BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/00 Z
E02F3/36 Z
E02F9/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075032
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新海 一馬
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012FA01
2D015GA03
2D015GB06
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】ショベルのクレーン作業時に、ショベルの周囲の作業者に吊荷によるショベルの負荷状態を確認させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回自在に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられ、ブーム4、アーム5、及びバケット6を有するアタッチメントATと、を備え、クレーン作業を行うことが可能である。そして、ショベル100は、上部旋回体3に設けられ、複数の色の光を発することが可能な外部表示灯70を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、ブーム、アーム、及びエンドアタッチメントを有するアタッチメントと、を備え、
クレーン作業を行うことが可能なショベルであって、
前記上部旋回体に設けられ、複数の色の光を発することが可能な灯火装置を備える、
ショベル。
【請求項2】
前記灯火装置は、前記上部旋回体の前部右側に設けられる、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記灯火装置は、クレーン作業時にショベルの前方の作業者が視認可能な位置に設けられる、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記灯火装置は、前記アタッチメントがショベルの前方で最大限に延ばされた状態、及び前記アタッチメントがショベルの前方で最大限に縮められた状態の双方で、玉掛け作業を行う前記作業者から視認可能である、
請求項3に記載のショベル。
【請求項5】
前記上部旋回体の前部右側に設けられ、ショベルの周囲を撮像するカメラを備え、
前記灯火装置は、前記カメラに取り付けられる、
請求項2に記載のショベル。
【請求項6】
前記上部旋回体の前部右側に設けられる昇降ステップと、
前記上部旋回体において、前記昇降ステップの後方に隣り合うように設けられる燃料タンクと、を備え、
前記カメラ及び前記灯火装置は、前記燃料タンクの上方に設けられる、
請求項5に記載のショベル。
【請求項7】
前記灯火装置は、前記カメラの上に取り付けられる、
請求項5又は6に記載のショベル。
【請求項8】
前記カメラは、本体部と、前記本体部を前記上部旋回体に取り付けるブラケット部とを含み、
前記灯火装置は、前記ブラケット部に取り付けられる、
請求項7記載のショベル。
【請求項9】
前記ブラケット部に取り付けられ、前記灯火装置を支持する支持部材を備える、
請求項8に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アタッチメントの先端等に設けられるフックに吊荷を吊り下げて吊荷を移動させるクレーン作業を行うことが可能なショベルが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/139102号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ショベルのクレーン作業時に、ショベルのオペレータは、各種表示器の表示内容等から吊荷によるショベルの負荷状態を把握することができる一方、ショベルの周囲の作業者は、吊荷によるショベルの負荷状態を確認することができない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、ショベルのクレーン作業時に、ショベルの周囲の作業者に吊荷によるショベルの負荷状態を確認させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられ、ブーム、アーム、及びエンドアタッチメントを有するアタッチメントと、を備え、
クレーン作業を行うことが可能なショベルであって、
前記上部旋回体に設けられ、複数の色の光を発することが可能な灯火装置を備える、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、ショベルのクレーン作業時に、ショベルの周囲の作業者に吊荷によるショベルの負荷状態を確認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ショベルの第1例を示す側面図である。
図2】ショベルの第1例を示す上面図である。
図3】ショベルの第2例を示す上面図である。
図4】ショベルのハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】ショベルの前方の玉掛け作業者からの外部表示灯の視認性を説明する図である。
図6】ショベルの前方の玉掛け作業者からの外部表示灯の視認性を説明する図である。
図7】ショベルの前方の玉掛け作業者からの外部表示灯の視認性を説明する図である。
図8】ショベルの前方の玉掛け作業者からの外部表示灯の視認性を説明する図である。
図9】カメラ及び外部表示灯の上部旋回体への取り付け構造の第1例を示す斜視図である。
図10】カメラ及び外部表示灯の上部旋回体への取り付け構造の第2例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
[ショベルの概要]
図1図3を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明をする。
【0011】
図1は、ショベル100の第1例を示す側面図である。図2は、ショベル100の第1例を示す上面図である。図3は、ショベル100の第2例を示す上面図である。以下、ショベル100の上面視でアタッチメントATが延び出す方向(図2図3の上方向)を"前"と規定して、ショベル100における方向、或いは、ショベル100から見た方向を説明する場合がある。
【0012】
図1に示すように、ショベル100は、下部走行体1と、上部旋回体3と、ブーム4、アーム5、及び、バケット6を含むアタッチメントATと、キャビン10とを備える。
【0013】
下部走行体1は、左右一対のクローラ1C(クローラ1CL,1CR)を用いて、ショベル100を走行させる。左側のクローラ1CL、及び右側のクローラ1CRは、それぞれ、走行油圧モータ1ML,1MR(図2参照)で油圧駆動される。これにより、下部走行体1は、自走することができる。
【0014】
上部旋回体3は、旋回機構2を介して下部走行体1に旋回自在に搭載される。例えば、上部旋回体3は、旋回油圧モータ2Mで旋回機構2が油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回することができる。
【0015】
上部旋回体3は、その底部に相当する旋回フレーム3Bと、ハウス部3Hとを含む。上部旋回体3の内部に搭載される各種構成要素は、旋回フレーム3Bに直接或いは間接的に搭載され、ハウス部3Hにより上方及び側方が覆われる。また、上部旋回体3の前部右側には、作業者等がハウス部3Hの上面に昇ったり、ハウス部3Hの上面から降りたりするための昇降ステップ3Sが設けられる。
【0016】
ブーム4は、左右方向に沿う回転軸を中心として俯仰可能なように、上部旋回体3の前部中央に取り付けられる。アーム5は、左右方向に沿う回転軸を中心として回転可能なように、ブーム4の先端に取り付けられる。バケット6は、左右方向に沿う回転軸を中心として回転可能なように、アーム5の先端に取り付けられる。
【0017】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、例えば、掘削作業や法面作業や整地作業等に用いられる。
【0018】
バケット6は、ショベル100の作業内容に応じて、適宜交換可能な態様で、アーム5の先端に取り付けられている。つまり、アーム5の先端には、バケット6に代えて、バケット6とは異なる種類のバケット、例えば、相対的に大きい大型バケット、法面用バケット、浚渫用バケット等が取り付けられてもよい。また、アーム5の先端には、バケット以外の種類のエンドアタッチメント、例えば、攪拌機、ブレーカ、クラッシャー等が取り付けられてもよい。また、アーム5と、エンドアタッチメントとの間には、例えば、クイックカップリングやチルトローテータ等の予備アタッチメントが設けられてもよい。
【0019】
また、バケット6には、クレーン作業(吊り作業)用のフックHKが取り付けられる。これにより、ショベル100は、フックHKに吊荷SLを吊り下げて、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメントATの少なくとも1つを動作させることで、吊荷SLを移動させることができる。
【0020】
フックHKは、基端が、アーム5とバケット6との間を連結するバケットピンに回動可能に連結される。これにより、フックHKは、掘削作業等のクレーン作業以外の作業が行われる場合、2本のバケットリンクの間に形成される空間に収納されうる。
【0021】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0022】
キャビン10は、オペレータが搭乗し、ショベル100を操作するための操縦室である。キャビン10は、例えば、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0023】
例えば、ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(即ち、左右の一対のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0024】
また、ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベル100の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。また、ショベル100が遠隔操作専用である場合、キャビン10は省略されてもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0025】
例えば、遠隔操作には、ショベル100と通信可能な遠隔操作支援装置で行われるショベル100のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル100が操作される態様が含まれる。
【0026】
遠隔操作支援装置は、例えば、ショベル100の作業を作業現場の外部から管理する管理センタ等に設けられる。また、遠隔操作支援装置は、可搬型の操作端末であってもよく、この場合、オペレータは、ショベル100の周辺からショベル100の作業状況を直接確認しながらショベル100の遠隔操作を行うことができる。
【0027】
ショベル100は、例えば、自身に搭載される通信装置を通じて、自身に搭載される撮像装置(例えば、後述のカメラ40F)が出力する撮像画像に基づくショベル100の前方を含む周辺の様子を表す画像(以下、「周辺画像」)を遠隔操作支援装置に送信してよい。また、ショベル100は、通信装置を通じて、撮像装置の出力する撮像画像を遠隔操作支援装置に送信し、遠隔操作支援装置は、ショベル100から受信する撮像画像を加工して周辺画像を生成してもよい。そして、遠隔操作支援装置は、ショベル100の前方を含む周辺の様子を表す周辺画像を自身の表示装置に表示させてよい。また、キャビン10の内部の表示装置50Bに表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、遠隔操作支援装置の表示装置にも表示されてよい。これにより、遠隔操作支援装置を利用するオペレータは、例えば、表示装置に表示されるショベル100の周辺の様子を表す画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。そして、ショベル100は、通信装置により遠隔操作支援装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0028】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル100の周囲の人(例えば、作業者)のショベル100に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル100が操作される態様が含まれてもよい。具体的には、ショベル100は、自身に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル100は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してもよい。
【0029】
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメントAT等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能、即ち、いわゆる「自動運転機能」を実現することができる。自動運転機能は、「マシンコントロール(Machine Control:MC)機能」とも称する。
【0030】
自動運転機能には、例えば、半自動運転機能が含まれる。半自動運転機能は、「操作支援型のMC機能」とも称する。半自動運転機能は、オペレータの操作に応じて、操作対象の被駆動要素(アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能である。また、自動運転機能には、完全自動運転機能が含まれてもよい。完全自動運転機能は、「完全自動型のMC機能」とも称する。完全自動運転機能は、オペレータの操作がない前提で、複数の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能である。ショベル100において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、ショベル100が完全自動運転専用である場合、キャビン10は省略されてもよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、例えば、ルールベースの自動運転機能が含まれる。ルールベースの自動運転機能は、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様の自動運転機能である。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自律運転機能が含まれてもよい。自律運転機能は、ショベル100が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自動運転の対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が決定される態様の自動運転機能である。
【0031】
また、ショベル100の作業が遠隔監視されてもよい。この場合、遠隔操作支援装置と同様の機能を有する遠隔監視支援装置が設けられてもよい。これにより、遠隔監視支援装置のユーザである監視者は、遠隔監視支援装置の表示装置に表示される周辺画像を確認しながら、ショベル100の作業の状況を監視することができる。また、例えば、監視者は、安全性の観点から必要と判断した場合、遠隔監視支援装置の入力装置を用いて、所定の入力を行うことによって、ショベル100のオペレータによる操作や自動運転に介入しショベル100を緊急停止させることができる。
【0032】
[ショベルの構成]
次に、図1図3に加えて、図4を参照して、ショベル100の構成について説明する。
【0033】
図4は、ショベル100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0034】
尚、図4では、機械的動力が伝達される経路は二重線、油圧アクチュエータを駆動する高圧の作動油が流れる経路は太い実線、パイロット圧が伝達される経路は破線、燃料の経路は一点鎖線、及び電気信号が伝達される経路は点線でそれぞれ示される。
【0035】
ショベル100は、油圧駆動系、操作系、ユーザインタフェース系、及び制御系等のそれぞれの構成要素を含む。
【0036】
<油圧駆動系>
ショベル100の油圧駆動系は、ショベル100の被駆動要素の油圧駆動に関する構成要素群である。
【0037】
図4に示すように、ショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する油圧アクチュエータHAを含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17と、燃料タンクFTとを含む。
【0038】
油圧アクチュエータHAには、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等が含まれる。
【0039】
尚、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの一部又は全部が電動アクチュエータに置換されてもよい。つまり、ショベル100は、ハイブリッドショベルや電動ショベルであってもよい。
【0040】
エンジン11は、ショベル100の原動機であり、油圧駆動系におけるメイン動力源である。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11は、例えば、上部旋回体3の後部の旋回フレーム3Bに搭載される。エンジン11は、例えば、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。
【0041】
尚、エンジン11に代えて、或いは、加えて、他の原動機(例えば、電動機)等がショベル100に搭載されてもよい。
【0042】
レギュレータ13は、コントローラ30の制御下で、メインポンプ14の吐出量を制御(調節)する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(以下、「傾転角」)を調節する。
【0043】
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載される。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30の制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることによりピストンのストローク長が調整され、吐出流量や吐出圧が制御される。
【0044】
コントロールバルブ17は、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作の内容、或いは、自動運転機能に対応する操作指令に応じて、油圧アクチュエータHAを駆動する。コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部の旋回フレーム3Bに搭載される。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、オペレータの操作、或いは、自動運転機能に対応する操作指令に応じて、それぞれの油圧アクチュエータに選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータHAのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の制御弁(方向切換弁)を含む。
【0045】
燃料タンクFTは、エンジン11の燃料を貯留する。例えば、図1図3に示すように、燃料タンクFTは、上部旋回体3の前部右側、より具体的には、昇降ステップ3Sの後方に隣り合うように旋回フレーム3Bに搭載される。燃料タンクFTは、燃料配管によってエンジン11と接続され、図示しない燃料ポンプの動力によってエンジン11に燃料を供給する。
【0046】
<操作系>
ショベル100の操作系は、被駆動要素の操作に関する構成要素群である。
【0047】
図4に示すように、ショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26とを含む。
【0048】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介してショベル100に搭載される各種油圧機器(例えば、操作装置26)にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
【0049】
尚、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、操作装置26等の各種油圧機器には、メインポンプ14から吐出され、減圧弁等を介して所定のパイロット圧に減圧された作動油が供給されてよい。
【0050】
操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータHAの操作を行うために用いられる。
【0051】
例えば、図4に示すように、操作装置26は、油圧パイロット式である。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される作動油を元圧として、操作装置26に対する操作内容に応じたパイロット圧をパイロットライン27に出力する。そして、操作装置26の二次側のパイロット圧は、パイロットライン27を通じて、コントロールバルブ17(具体的には、操作対象の油圧アクチュエータHAに対応する制御弁のパイロットポート)に作用する。これにより、コントロールバルブ17は、操作装置26に対するオペレータの操作に応じて、油圧アクチュエータHAを動作させることにより、操作装置26に対するオペレータの操作対象の被駆動要素を動作させることができる。
【0052】
また、操作装置26は、電気式であってもよい。この場合、操作装置26は、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力し、操作装置26から出力される操作信号は、コントローラ30に取り込まれてよい。そして、コントローラ30は、コントロールバルブ17(具体的には、操作対象の油圧アクチュエータHAに対応するパイロットポート)とパイロットラインで接続される油圧制御弁に、操作信号に応じた制御指令を出力してよい。これにより、コントローラ30は、油圧制御弁を制御し、オペレータの操作内容や自動運転機能に対応する操作指令等に合わせて、ショベル100の被駆動要素(アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0053】
また、電気式の操作装置26の場合、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の油圧制御弁(方向切換弁)で構成されてもよい。この場合、電気式の操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってよい。
【0054】
<ユーザインタフェース系>
ショベル100のユーザインタフェース系は、ユーザとショベル100との間のやり取りに関する構成要素群である。
【0055】
図4に示すように、ショベル100のユーザインタフェース系は、操作装置26と、出力装置50と、入力装置52とを含む。
【0056】
出力装置50は、ショベル100のユーザ(例えば、キャビン10のオペレータや外部の遠隔操作のオペレータ)やショベル100の周辺の人(例えば、作業者や作業車両の運転者)等に向けて各種情報を出力する。
【0057】
例えば、出力装置50は、視覚的な方法で各種情報を出力する照明機器50Aや表示装置50B等を含む。照明機器50Aは、例えば、警告灯(インジケータランプ)等である。表示装置50Bは、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。例えば、図2に示すように、照明機器50Aや表示装置50Bは、キャビン10の内部に設けられ、キャビン10の内部のオペレータ等に視覚的な方法で各種情報を出力してよい。また、照明機器50Aや表示装置50Bは、例えば、上部旋回体3のハウス部3Hの上面や側面等に設けられ、ショベル100の周囲の作業者等に視覚的な方法で各種情報を出力してもよい。
【0058】
また、出力装置50は、聴覚的な方法で各種情報を出力する音出力装置50Cを含んでもよい。音出力装置50Cには、例えば、ブザーやスピーカ等が含まれる。音出力装置50Cは、例えば、キャビン10の内部及び外部の少なくとも一方に設けられ、キャビン10の内部のオペレータやショベル100の周囲の人(作業者等)に聴覚的な方法で各種情報を出力してよい。
【0059】
また、出力装置50は、操縦席の振動等の触覚的な方法で各種情報を出力する装置を含んでもよい。
【0060】
また、本例では、出力装置50は、外部表示灯70を含む。
【0061】
外部表示灯70は、ショベル100の周囲の作業者に対して、ショベル100の状態を報知するために用いられる照明機器(灯火装置)である。具体的には、外部表示灯70は、ショベル100のクレーン作業中において、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を複数の段階(例えば、3段階)で表すことが可能なように点灯する。例えば、外部表示灯70は、複数の色を発することが可能に構成され、コントローラ30の制御下で、吊荷SLによるショベル100の負荷状態の段階(レベル)ごとに異なる色を発する。外部表示灯70は、例えば、1つの点灯部が複数の色を発することが可能な多色灯である(図5図8参照)。また、外部表示灯70は、互いに異なる色を発することが可能な複数の点灯部が上下方向に積層される形式の積層灯であってもよい(図9図10参照)。点灯部は、例えば、LED(Light Emitting Diode)により構成される。
【0062】
例えば、図1図3に示すように、外部表示灯70は、上部旋回体3の前部右側のハウス部3Hの上面に設けられる。より具体的には、外部表示灯70は、昇降ステップ3Sの後方で且つ燃料タンクFTの上方のハウス部3Hの上面に設けられる。
【0063】
例えば、図1図2に示すように、ハウス部3Hの上面にブラケット72が取り付けられると共に、ブラケット72の上面に外部表示灯70が取り付けられることにより、外部表示灯70は、ハウス部3Hの上面に取り付けられる。
【0064】
また、図3に示すように、上部旋回体3の前部右側のハウス部3Hの上面に取り付けられるカメラ40Fの上面に外部表示灯70が取り付けられることにより、外部表示灯70は、カメラ40Fを介してハウス部3Hの上面に取り付けられてもよい。具体的には、カメラ40Fは、本体部40Fa、及び本体部40Faをハウス部3Hの上面に取り付けるためのブラケット部40Fbを含み、ブラケット部40Fbの上面に外部表示灯70が取り付けられてよい。これにより、カメラ40F及び外部表示灯70をハウス部3Hの上面における同じ位置に一体的に搭載することができる。そのため、例えば、ショベル100の第2例(図3)の場合のように、ハウス部3Hの上面に搭載されるカメラ(カメラ40F,40B,40L,40R)の数が増加し、ハウス部3Hの上面の空きスペースが限られる状況であっても、外部表示灯70を適切な位置に配置することができる。また、例えば、カメラ及び外部表示灯70がハウス部3Hの上面に搭載される場合でも、ハウス部3Hの上面にメンテナンス用の足場のスペースを確保し易くなる。また、外部表示灯70がカメラ40Fの上に取り付けられることによって、外部表示灯70の発する光がカメラ40Fに映りこむような事態が生じるのを抑制することができる。また、1つのブラケット(ブラケット部40Fb)で、カメラ40Fの本体部40Faと外部表示灯70とがハウス部3Hに取り付けられることによって、ブラケット部40Fbの形状の複雑化を回避することができる。また、1つのブラケットでカメラ40Fの本体部40Faと外部表示灯70とがハウス部3Hに取り付けられることによって、部品点数を減少させ、コスト上昇を抑制することもできる。
【0065】
入力装置52は、ショベル100のユーザからの各種入力を受け付け、受け付けられた入力に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。例えば、図2図3に示すように、入力装置52は、キャビン10の内部に設けられ、キャビン10の内部のオペレータ等からの入力を受け付ける。また、入力装置52は、例えば、上部旋回体3の側面等に設けられ、ショベル100の周辺の作業者等からの入力を受け付けてもよい。
【0066】
例えば、入力装置52は、ユーザからの機械的な操作による入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置には、表示装置に実装されるタッチパネル、表示装置の周囲に設置されるタッチパッド、ボタンスイッチ、レバー、トグル、操作装置26(レバー装置)に設けられるノブスイッチ等が含まれてよい。
【0067】
また、入力装置52は、ユーザの音声入力を受け付ける音声入力装置を含んでもよい。音声入力装置には、例えば、マイクロフォンが含まれる。
【0068】
また、入力装置52は、ユーザのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。ジェスチャ入力装置には、例えば、ユーザが行うジェスチャの様子を撮像する撮像装置が含まれる。
【0069】
また、入力装置52は、ユーザの生体入力を受け付ける生体入力装置を含んでもよい。生体入力には、例えば、ユーザの指紋、虹彩等の生体情報の入力が含まれる。
【0070】
<制御系>
ショベル100の制御系は、ショベル100の各種制御に関する構成要素群である。
【0071】
図4に示すように、ショベル100の制御系は、コントローラ30を含む。また、本実施形態に係るショベル100の制御系は、操作圧センサ29と、撮像装置40と、センサS1~S5,S7~S9とを含む。
【0072】
コントローラ30は、ショベル100に関する各種制御を行う。例えば、コントローラ30は、上部旋回体3におけるキャビン10の内部に搭載される。
【0073】
コントローラ30の機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、図3に示すように、コントローラ30は、バスBS1で接続される、補助記憶装置30A、メモリ装置30B、CPU(Central Processing Unit)30C、及びインタフェース装置30Dを含む。
【0074】
補助記憶装置30Aは、不揮発性の記憶手段であり、インストールされるプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。補助記憶装置30Aは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリ等である。
【0075】
メモリ装置30Bは、例えば、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置30AのプログラムをCPU30Cが読み込み可能なようにロードする。メモリ装置30Bは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。
【0076】
CPU30Cは、例えば、メモリ装置30Bにロードされるプログラムを実行し、プログラムの命令に従って、コントローラ30の各種機能を実現する。
【0077】
インタフェース装置30Dは、例えば、ショベル100の内部の通信回線に接続するための通信インタフェースとして機能する。インタフェース装置30Dは、接続する通信回線の種類に合わせて、複数の異なる種類の通信インタフェースを含んでもよい。
【0078】
また、インタフェース装置30Dは、記録媒体からのデータの読み取りや記録媒体へのデータの書き込みのための外部インタフェースとして機能する。記録媒体は、例えば、キャビン10の内部に設置されるコネクタに着脱可能なケーブルで接続される専用ツールである。また、記録媒体は、例えば、SDメモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の汎用の記録媒体であってもよい。これにより、コントローラ30の各種機能を実現するプログラムは、例えば、可搬型の記録媒体によって提供され、コントローラ30の補助記憶装置30Aにインストールされうる。また、プログラムは、図示しない通信装置を通じて、ショベル100の外部の他のコンピュータからダウンロードされ、補助記憶装置30Aにインストールされてもよい。
【0079】
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、ショベル100に搭載される複数のコントローラにより分散して実現される態様であってもよい。
【0080】
操作圧センサ29は、油圧パイロット式の操作装置26の二次側(パイロットライン27)のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの被駆動要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ29による、操作装置26におけるそれぞれの被駆動要素(油圧アクチュエータHA)に関する操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0081】
尚、操作装置26が電気式である場合、操作圧センサ29は省略される。コントローラ30は、操作装置26から取り込まれる操作信号に基づき、操作装置26を通じたそれぞれの被駆動要素の操作状態を把握することができるからである。
【0082】
撮像装置40は、ショベル100の周辺の様子を撮像する。
【0083】
例えば、図1図2に示すように、撮像装置40は、カメラ40B,40Rを含む。カメラ40Bは、上部旋回体3の後方の様子を撮像する。これにより、キャビン10のオペレータは、表示装置50Bを通じて、カメラ40Bの撮像画像に基づく周辺画像を見ることで、自身の死角になる、ショベル100の後方の様子を容易に確認することができる。また、カメラ40Rは、ショベル100の右側方の様子を撮像する。これにより、キャビン10のオペレータは、表示装置50Bを通じて、カメラ40Rの撮像画像に基づく周辺画像を見ることで、自身の死角になる、ショベル100の右側方の様子を容易に確認することができる。
【0084】
また、図3に示すように、撮像装置40は、カメラ40B,40Rに加えて、カメラ40F,40Lを含んでもよい。カメラ40Fは、上部旋回体3から見て右寄りの前方の様子を撮像する。これにより、オペレータは、表示装置50Bや遠隔操作支援装置を通じて、カメラ40Fの撮像画像に基づく周辺画像を見ることで、ショベル100の前方の様子を確認することができる。カメラ40Lは、上部旋回体3の左側方の様子を撮像する。これにより、オペレータは、表示装置50Bや遠隔操作支援装置を通じて、カメラ40Lの撮像画像に基づく周辺画像を見ることで、ショベル100の左側方の様子を確認することができる。
【0085】
以下、カメラ40F,40B,40L,40Rを包括的に、或いは、個別に、「カメラ40X」と称する場合がある。
【0086】
カメラ40Xの出力データ(即ち、撮像画像のデータ)は、一対一の通信線や車載ネットワークを通じて、コントローラ30に取り込まれる。これにより、例えば、コントローラ30は、カメラ40Xの出力データに基づき、ショベル100の周辺の物体を検出することができる。また、例えば、コントローラ30は、カメラ40Xの出力データに基づき、ショベル100の周辺画像を生成し表示装置50Bに表示させることができる。
【0087】
尚、ショベル100の第2例(図3)において、カメラ40F,40Lのうちの何れか一方が省略されてもよい。
【0088】
センサS1は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の姿勢状態を測定する。センサS1は、ブーム4の姿勢状態を表す測定データを出力する。ブーム4の姿勢状態は、例えば、ブーム4の上部旋回体3との連結部に相当する基端の回転軸回りの姿勢角度(以下、「ブーム角度」)である。センサS1は、例えば、ロータリポテンショメータ、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角加速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等を含む。以下、センサS2~S4についても同様であってよい。また、センサS1は、ブームシリンダ7の伸縮位置を検出するシリンダセンサを含んでもよい。以下、センサS2,S3についても同様であってよい。センサS1の出力(ブーム4の姿勢状態を表す測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、ブーム4の姿勢状態を把握することができる。
【0089】
センサS2は、アーム5に取り付けられ、アーム5の姿勢状態を測定する。センサS2は、アーム5の姿勢状態を表す測定データを出力する。アーム5の姿勢状態は、例えば、アーム5のブーム4との連結部に相当する基端の回転軸回りの姿勢角度(以下、「アーム角度」)である。センサS2の出力(アーム5の姿勢状態を表す測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、アーム5の姿勢状態を把握することができる。
【0090】
センサS3は、バケット6に取り付けられ、バケット6の姿勢状態を測定する。センサS3は、バケット6の姿勢状態を表す測定データを出力する。バケット6の姿勢状態は、例えば、バケット6のアーム5との連結部に相当する基端の回転軸回りの姿勢角度(以下、「アーム角度」)である。センサS3の出力(バケット6の姿勢状態を表す測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、バケット6の姿勢状態を把握することができる。
【0091】
センサS4は、ショベル100の機体(例えば、上部旋回体3)の姿勢状態を測定する。センサS4は、ショベル100の機体の姿勢状態を表す測定データを出力する。ショベル100の機体の姿勢状態は、例えば、所定の基準面(例えば、水平面)に対する機体の傾斜状態である。例えば、センサS4は、上部旋回体3に取り付けられ、ショベル100の前後方向及び左右方向の2軸回りの傾斜角度を測定する。センサS4の出力(ショベル100の機体の姿勢状態を表す測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、機体(上部旋回体3)の姿勢状態(傾斜状態)を把握することができる。
【0092】
センサS5は、上部旋回体3に取り付けられ、上部旋回体3の旋回状態を測定する。センサS5は、上部旋回体3の旋回状態を表す測定データを出力する。センサS5は、例えば、上部旋回体3の旋回角速度や旋回角度を測定する。センサS5は、例えば、ジャイロセンサ、レゾルバ、ロータリエンコーダ等を含む。センサS5の出力(上部旋回体3の旋回状態を表す測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、上部旋回体3の旋回角度等の旋回状態を把握することができる。
【0093】
コントローラ30は、センサS1~S5の出力に基づき、アタッチメントATの先端(バケット6)の位置を把握(推定)することができる。
【0094】
尚、センサS4に3軸回りの角速度を検出可能なジャイロセンサ、6軸センサ、IMU等が含まれる場合、センサS4の検出信号に基づき上部旋回体3の旋回状態(例えば、旋回角速度)が検出されてもよい。この場合、センサS5は、省略されてもよい。また、ショベル100の自動運転機能が採用されない場合、センサS1~S5は省略されてもよい。
【0095】
センサS7は、ブームシリンダ7の油室の圧力(シリンダ圧)を測定する。センサS7は、例えば、ブームシリンダ7のロッド側の油室のシリンダ圧(ロッド圧)を測定するセンサと、ボトム側の油室のシリンダ圧(ボトム圧)を測定するセンサとを含む。センサS7の出力(ブームシリンダ7のシリンダ圧の測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。
【0096】
センサS8は、アームシリンダ8の油室の圧力(シリンダ圧)を測定する。センサS8は、例えば、アームシリンダ8のロッド側の油室のシリンダ圧(ロッド圧)を測定するセンサと、アームシリンダ8のボトム側の油室のシリンダ圧(ボトム圧)を測定するセンサとを含む。センサS8の出力(アームシリンダ8のシリンダ圧の測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。
【0097】
センサS9は、バケットシリンダ9の油室の圧力(シリンダ圧)を測定する。センサS9は、例えば、バケットシリンダ9のロッド側の油室のシリンダ圧(ロッド圧)を測定するセンサと、バケットシリンダ9のボトム側の油室のシリンダ圧(ボトム圧)を測定するセンサとを含む。センサS9の出力(バケットシリンダ9のシリンダ圧の測定データ)は、コントローラ30に取り込まれる。
【0098】
コントローラ30は、センサS7~S9の出力に基づき、吊荷SLの荷重(重量)を把握することができる。
【0099】
例えば、コントローラ30は、入力装置52に対する所定の入力に応じて、ショベル100の作業モードを切り替える。作業モードには、例えば、クレーン作業を行うためのクレーンモードと、掘削作業等を行うための通常モードとが含まれる。
【0100】
クレーンモードが選択されている場合、コントローラ30は、オペレータによる、或いは、自動運転機能による油圧アクチュエータHAの操作に対するアタッチメントの動作速度を通常モードの場合よりも低く設定する。これにより、フックHKに吊荷SLが吊り下げられた状態で、下部走行体1や上部旋回体3やアタッチメントATが比較的高い速度で動作してしまうような事態の発生を防止することができる。
【0101】
また、クレーンモードが選択されている場合、コントローラ30は、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を演算し、その演算結果を表示装置50Bに表示させる。これにより、キャビン10のオペレータは、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を把握しながらクレーン作業を進めることができる。また、ショベル100の遠隔操作が行われる場合、コントローラ30は、吊荷SLによるショベル100の負荷状態の演算結果を遠隔操作支援装置に表示させてもよい。この場合、コントローラ30は、自身がショベル100の負荷状態を演算し、演算結果を図示しない通信装置を通じて遠隔操作支援装置に送信してもよいし、ショベル100の負荷状態を演算するための元データを遠隔操作支援装置に送信してもよい。これにより、遠隔操作のオペレータは、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を把握しながら、遠隔操作によるクレーン作業を進めることができる。
【0102】
ショベル100の負荷状態は、例えば、複数の段階に区分され、吊荷SLの荷重(重量)Wによって規定される。吊荷SLの荷重Wは、上述の如く、センサS7~S9の出力に基づき測定される。具体的には、ショベル100の負荷状態は、低い方から順に、第1段階、第2段階、及び第3段階で規定されてよい。第1段階は、吊荷SLの荷重Wが閾値Wth1より小さい状態を表す。閾値Wth1は、予め規定される定格荷重Wlimより小さい値として予め規定される。第2段階は、吊荷SLの荷重Wが閾値Wth1以上で且つ閾値Wth2より小さい状態を表す。閾値Wth2は、閾値Wth1より大きく且つ定格荷重Wlimより小さい値として予め規定される。第3段階は、吊荷SLの荷重Wが閾値Wth2以上の状態を表す。
【0103】
また、クレーンモードが選択されている場合、コントローラ30は、吊荷SLによるショベル100の負荷状態に応じて、外部表示灯70の発する色を変化させる。例えば、コントローラ30は、吊荷SLによるショベル100の負荷状態が第1段階の場合、外部表示灯70が緑色或いは青色を発するように外部表示灯70を制御する。また、コントローラ30は、吊荷SLによるショベル100の負荷状態が第2段階の場合、外部表示灯70が黄色或いは橙色を発するように外部表示灯70を制御する。また、コントローラ30は、吊荷SLによるショベル100の負荷状態が第3段階の場合、外部表示灯70が赤色を発するように外部表示灯70を制御する。これにより、ショベル100は、例えば、吊荷SLの玉掛け作業を行う玉掛け作業者等のショベル100の周囲の作業者に対して、外部表示灯70の発する色によって、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を確認させることができる。
【0104】
尚、ショベル100の負荷状態には、吊荷SLの荷重だけでなく、アタッチメントATの姿勢状態が考慮されてもよい。アタッチメントATの姿勢状態は、上述の如く、センサS1~S5の出力に基づき測定される。例えば、コントローラ30は、吊荷SLの荷重と、アタッチメントの姿勢状態からショベル100の転倒モーメントを演算し、転倒モーメントの大きさに基づき、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を演算してもよい。
【0105】
[外部表示灯の視認性]
次に、図5図8を参照して、玉掛け作業者から見た外部表示灯70の視認性について説明する。
【0106】
<ショベルと同じ高さ位置での玉掛け作業時>
図5は、ショベル100の前方の玉掛け作業者W1からの外部表示灯70の視認性を説明する図である。具体的には、図5は、ショベル100及び玉掛け作業者W1を示す側面図を表す図5Aと、作業者W1のから見た外部表示灯70の見え方を表す図5Bとを含む。図6は、ショベル100の前方の玉掛け作業者W2からの外部表示灯70の視認性を説明する図である。具体的には、図6は、ショベル100及び玉掛け作業者W2を示す側面図を表す図6Aと、作業者W2のから見た外部表示灯70の見え方を表す図6Bとを含む。
【0107】
尚、図5図6では、上述の第2例(図3)のショベル100が描画されている。また、図5B図6Bでは、外部表示灯70として、多色灯が描画されている。また、図5図6では、便宜的に、バケット6、フックHK、及び吊荷SLの描画が省略されている。
【0108】
図5A図6Aに示すように、玉掛け作業者W1,W2は、共に、ショベル100と同じ高さの平地で玉掛け作業を行っている。
【0109】
図5Aに示すように、ショベル100は、吊荷SLがある地面からのフックHKの高さ位置を所定の状態に合わせる条件下で、アタッチメントATをショベル100の前方で最大限に延ばした状態を表している。
【0110】
図5Bに示すように、玉掛け作業者W1は、ショベル100の前方で最大限に延ばした状態のアタッチメントATの先端のフックHKの左側に立った状態で玉掛け作業を行っている。この状態で、玉掛け作業者W1は、ショベル100の機体(上部旋回体3)を見たときに、ブーム4の下の空間を通じて、外部表示灯70の点灯部70Aを視認することができる。そのため、玉掛け作業者W1は、点灯部70Aの発する色に応じて、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を確認することができる。
【0111】
また、図6Aに示すように、ショベル100は、吊荷SLがある地面からのフックHKの高さ位置を所定の状態に合わせる条件下で、アタッチメントATをショベル100の前方で最大限に縮めた状態を表している。
【0112】
図6Bに示すように、玉掛け作業者W2は、ショベル100の前方で最大限に縮めた状態のアタッチメントATの先端のフックHKの左側に立った状態で玉掛け作業を行っている。この状態で、玉掛け作業者W2は、ショベル100の機体(上部旋回体3)を見たときに、ブーム4の下の空間を通じて、外部表示灯70の点灯部70Aを視認することができる。そのため、玉掛け作業者W2は、点灯部70Aの発する色に応じて、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を確認することができる。
【0113】
<ショベルよりも低い高さ位置での玉掛け作業時>
図7は、ショベル100の前方の玉掛け作業者W3からの外部表示灯70の視認性を説明する図である。具体的には、図7は、ショベル100及び玉掛け作業者W3を示す側面図を表す図7Aと、作業者W3のから見た外部表示灯70の見え方を表す図7Bとを含む。図8は、ショベル100の前方の玉掛け作業者W4からの外部表示灯70の視認性を説明する図である。具体的には、図8は、ショベル100及び玉掛け作業者W4を示す側面図を表す図8Aと、作業者W4のから見た外部表示灯70の見え方を表す図8Bとを含む。
【0114】
尚、図7図8では、上述の第2例(図3)のショベル100が描画されている。また、図7B図7Bでは、外部表示灯70として、多色灯が描画されている。また、図7図8では、便宜的に、バケット6、フックHK、及び吊荷SLの描画が省略されている。
【0115】
図7A図8Aに示すように、玉掛け作業者W3,W4は、共に、ショベル100の存在する平地よりも十分に低い高さ位置の平地で玉掛け作業を行っている。
【0116】
図7の例では、ショベル100の位置する地面との間の段差に対応する崖(壁面)から比較的離れた位置に吊荷SLが配置される。そのため、図7Aに示すように、ショベル100は、吊荷SLがある地面からのフックHKの高さ位置を所定の状態に合わせる条件下で、アタッチメントATをショベル100の前方で最大限に延ばした状態を表している。
【0117】
図7Bに示すように、玉掛け作業者W3は、壁面から比較的離れた位置において、ショベル100の前方で最大限に延ばした状態のアタッチメントATの先端のフックHKの左側に立った状態で玉掛け作業を行っている。この状態で、玉掛け作業者W3は、ショベル100の機体(上部旋回体3)を見上げたときに、ブーム4の下の空間を通じて、外部表示灯70の点灯部70Aを視認することができる。特に、外部表示灯70の前方に前下がりの昇降ステップ3Sが設けられることから、玉掛け作業者W3からショベル100を見上げたときに上部旋回体3の右側の前端部が外部表示灯70を遮ってしまうような事態を防止することができる。そのため、玉掛け作業者W3は、点灯部70Aの発する色に応じて、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を確認することができる。
【0118】
また、図8の例では、ショベル100の位置する地面との間の段差に対応する崖(壁面)に比較的近い位置に吊荷SLが配置される。そのため、図8Aに示すように、ショベル100は、吊荷SLがある地面からのフックHKの高さ位置を所定の状態に合わせる条件下で、アタッチメントATをショベル100の前方である程度縮めた状態を表している。
【0119】
図8Bに示すように、玉掛け作業者W4は、壁面に比較的近い位置において、ショベル100の前方である程度縮めた状態のアタッチメントATの先端のフックHKの左側に立った状態で玉掛け作業を行っている。この状態で、玉掛け作業者W4は、ショベル100の機体(上部旋回体3)を見上げたときに、ブーム4の下の空間を通じて、外部表示灯70の点灯部70Aを視認することができる。特に、外部表示灯70の前方に前下がりの昇降ステップ3Sが設けられることから、玉掛け作業者W4からショベル100を見上げたときに上部旋回体3の右側の前端部が外部表示灯70を遮ってしまうような事態を防止することができる。そのため、玉掛け作業者W4は、点灯部70Aの発する色に応じて、吊荷SLによるショベル100の負荷状態を確認することができる。
【0120】
尚、図8の例の場合よりも更に壁面側に吊荷SLが配置される状態での玉掛け作業は、作業性等の観点から通常行われない。つまり、図8は、通常想定される状況の中で、吊荷SLがショベル100(上部旋回体3)側に最も近い状況で行われる玉掛け作業を表しており、このような最も厳しい状況でも玉掛け作業者W4は、点灯部70Aを視認することができる。
【0121】
[カメラ及び外部表示灯の取り付け構造の具体例]
次に、図9図10を参照して、カメラ40F及び外部表示灯70の上部旋回体3のハウス部3Hへの取り付け構造の具体例について説明する。
【0122】
図9は、カメラ及び外部表示灯の上部旋回体への取り付け構造の第1例を示す斜視図である。図10は、カメラ及び外部表示灯の上部旋回体への取り付け構造の第2例を示す斜視図である。
【0123】
図9図10に示すように、本例では、外部表示灯70は、積層灯であり、その点灯部70Aは、複数(本例では、3つ)の点灯部70A1~70A3を有する。点灯部70A1~70A3は、互いに異なる色を発することができる。これにより、外部表示灯70は、例えば、点灯部70A1~70A3の何れか1つを点灯させることによって、吊荷SLによるショベル100の負荷状態が上述の第1段階~第3段階の何れに該当するかを表現することができる。
【0124】
図9に示すように、ブラケット部40Fbは、前後方向に延びるように設けられ、ハウス部3H上に載置される後部がハット断面を有し、ハウス部3Hから昇降ステップ3S側に突出する前部が矩形断面を有する。ブラケット部40Fbの後部のハット断面の下端のフランジには貫通孔が設けられ、その貫通孔を通じて、ボルトBLT1がハウス部3Hの所定の雌ねじ孔に締結されることにより、ブラケット部40Fbがハウス部3Hの上面に取り付けられる。また、ブラケット部40Fbの前端部には、ボルトBLT2によって本体部40Faが取り付けられる。
【0125】
ブラケット部40Fbの後部の上面には、外部表示灯70が取り付けられる。例えば、外部表示灯70の下面には、雄ねじが切られた、複数の棒状部材が設けられると共に、ブラケット部40Fbの後部の上面には、複数の棒状部材に対応する貫通孔が設けられる。そして、複数の棒状部材のそれぞれがブラケット部40Fbの後部の上面の対応する貫通孔に挿入されるようにして外部表示灯70がブラケット部40Fbの上面に載置された状態で、複数の棒状部材に裏側からナットが締結される。この場合、ブラケット部40Fbに外部表示灯70が取り付けられた後に、ブラケット部40Fbがハウス部3Hの上面に取り付けられる。また、ブラケット部40Fbの上面には、別のブラケットが取り付けられ、そのブラケットに外部表示灯70が取り付けられてもよい。
【0126】
また、図10に示すように、更に、ブラケット74及び固定具76が設けられてもよい。
【0127】
ブラケット74は、ブラケット部40Fbの上面に取り付けられる。ブラケット74は、ブラケット上面に載置されると共にボルト締結される平板部74aと平板部74aの右端部から上方に延びる平板部74bとを有する。
【0128】
固定具76は、外部表示灯70を水平方向に支持するようにブラケット74に固定する。固定具76は、固定具76a,76bを含む。
【0129】
固定具76aは、ブラケット74の平板部74bの左側の表面に固定される。固定具76aの左側面には、外部表示灯70固定具76bは、固定具76aと対向するように配置され、ボルトBLT3によって、左右方向で固定具76aに締結される。
【0130】
固定具76a,76bには、上面視で対向するように形成される半円状の凹部が設けられ、凹部の外径は、円柱形状の外部表示灯70の外径と同じ或いは若干小さくなるように設定される。これにより、固定具76a,76bは、互いの凹部に外部表示灯70を嵌め込んだ状態で左右方向に挟み込むように外部表示灯70を固定することができる。そのため、外部表示灯70の振動を抑制することができる。特に、外部表示灯70が積層灯の場合、その上下方向の寸法が比較的大きくなり、外部表示灯70に振動が生じ易くなるところ、ブラケット74及び固定具76の作用により、外部表示灯70の振動をより適切に抑制することができる。
【0131】
[作用]
次に、本実施形態に係るショベルの作用について説明する。
【0132】
本実施形態では、ショベルは、下部走行体と、上部旋回体と、アタッチメントと、備え、クレーン作業を行うことが可能である。ショベルは、例えば、上述のショベル100である。下部走行体は、例えば、上述の下部走行体1である。上部旋回体は、例えば、上述の上部旋回体3である。アタッチメントは、例えば、上述のアタッチメントATである。具体的には、上部旋回体は、下部走行体に旋回自在に搭載される。アタッチメントは、上部旋回体に取り付けられ、ブーム、アーム、及びエンドアタッチメントを有する。ブームは、例えば、上述のブーム4である。アームは、例えば、上述のアーム5である。エンドアタッチメントは、例えば、上述のバケット6である。そして、ショベルは、上部旋回体に設けられ、複数の色の光を発することが可能な灯火装置を備える。灯火装置は、例えば、上述の外部表示灯70である。
【0133】
これにより、ショベルは、クレーン作業時に、灯火装置の発する色によって、ショベルの周囲の作業者に吊荷によるショベルの負荷状態を確認させることができる。
【0134】
また、本実施形態では、灯火装置は、上部旋回体の前部右側に設けられてもよい。
【0135】
これにより、ショベルは、ショベルの前方の作業者から見たときの灯火装置の視認性を向上させることができる。
【0136】
また、本実施形態では、灯火装置は、クレーン作業時にショベルの前方の作業者が視認可能な位置に設けられてもよい。
【0137】
これにより、ショベルは、クレーン作業時におけるショベルの前方の作業者から見た灯火装置の視認性を向上させることができる。
【0138】
また、本実施形態では、灯火装置は、アタッチメントがショベルの前方で最大限に延ばされた状態、及びアタッチメントがショベルの前方で最大限に縮められた状態の双方で、玉掛け作業を行う作業者から視認可能であってもよい。
【0139】
これにより、ショベルは、クレーン作業時に、玉掛け作業者からの灯火装置の視認性を向上させることができる。
【0140】
また、本実施形態では、ショベルは、カメラを備えてもよい。カメラは、例えば、上述のカメラ40Fである。具体的には、カメラは、上部旋回体の前部右側に設けられ、ショベルの周囲を撮像する。そして、灯火装置は、カメラに取り付けられてもよい。
【0141】
これにより、ショベルは、カメラ及び灯火装置を上部旋回体の上面に一体的に配置することができる。そのため、ショベルは、上部旋回体の上面の空きスペースが限られる状況でも、適切な位置に灯火装置を搭載することができる。
【0142】
また、本実施形態では、ショベルは、昇降ステップと、燃料タンクと、を備えてもよい。昇降ステップは、例えば、上述の昇降ステップ3Sである。燃料タンクは、例えば、上述の燃料タンクFTである。具体的には、昇降ステップは、上部旋回体の前部右側に設けられてもよい。また、燃料タンクは、上部旋回体において、昇降ステップの後方に隣り合うように設けられてもよい。そして、カメラ及び灯火装置は、燃料タンクの上方に設けられてもよい。
【0143】
これにより、ショベルは、昇降ステップの後端部付近に灯火装置を搭載することができる。そのため、例えば、ショベルの高さ位置よりも低い位置に玉掛け作業者が存在し、玉掛け作業者がショベルを下から見上げる状況でも、玉掛け作業者は、昇降ステップの後上がりの傾斜に沿って、灯火装置の光を確認することができる。そのため、ショベルは、玉掛け作業者からの灯火装置の視認性をより向上させることができる。
【0144】
また、本実施形態では、灯火装置は、カメラの上に取り付けられてもよい。
【0145】
これにより、ショベルは、カメラ及び灯火装置を上部旋回体の上面における同じ位置に配置することができる。そのため、ショベルは、上部旋回体の上面におけるカメラ及び灯火装置の専有面積を比較的小さく抑えることができる。よって、ショベルは、例えば、上部旋回体の上面におけるメンテナンス用のスペースをより適切に確保することができる。また、灯火装置の位置が比較的高くなることから、ショベルは、その周囲の作業者から見た灯火装置の視認性をより向上させることができる。また、灯火装置の光がカメラに映りこむような事態の発生を抑制することができる。
【0146】
また、本実施形態では、カメラは、本体部と、本体部を上部旋回体に取り付けるブラケット部とを含んでもよい。そして、灯火装置は、ブラケット部に取り付けられてもよい。本体部は、例えば、上述の本体部40Faである。ブラケット部は、例えば、ブラケット部40Fbである。
【0147】
これにより、1つのブラケット部によって、カメラの本体部、及び灯火装置の双方を上部旋回体に取り付けることができる。そのため、ショベルは、部品点数を減少させ、その結果、コストを抑制することができる。
【0148】
また、本実施形態では、ショベルは、支持部材を備えてもよい。支持部材は、例えば、上述のブラケット74及び固定具76である。具体的には、支持部材は、ブラケット部に取り付けられ、灯火装置を支持する。
【0149】
これにより、ショベルは、支持部材によって、灯火装置の振動を抑制することができる。
【0150】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 下部走行体
1C,1CL,1CR クローラ
1ML,1MR 走行油圧モータ
2M 旋回油圧モータ
3 上部旋回体
3B 旋回フレーム
3H ハウス部
3S 昇降ステップ
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
40 撮像装置
40F カメラ
40Fa 本体部
40Fb ブラケット部
70 外部表示灯
70A 点灯部
70A1~70A3 点灯部
72 ブラケット
74 ブラケット
76,76a,76b 固定具
100 ショベル
AT アタッチメント
FT 燃料タンク
HA 油圧アクチュエータ
HK フック
SL 吊荷
W1~W4 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10