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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015921
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20240130BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20240130BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B60N2/58
B60N2/64
A47C7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118305
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 弓子
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084EB05
3B084EC06
3B087BD04
3B087DE03
3B087DE06
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】外観品質が損なわれることを抑制する。
【解決手段】車両用シート10は、シート上下方向の中間部がシート前後方向に屈曲する屈曲部34となっているシートバック本体28と、シートトリム30と、を備えている。シートトリム30は、伸縮性を有する布状の部材を用いて形成されていると共に屈曲部34をシート後方側から覆う第1被覆部54を備えている。また、シートトリム30は、第1被覆部54よりも伸縮し難い布状の部材を用いて形成されていると共に第1被覆部54と接合されかつシートバック本体28のシート後方側において第1被覆部54が覆っている部分とは異なる部分を覆う第2被覆部56を備えている。さらに、シートトリム30は、第2被覆部56よりも伸縮性を有する布状の部材を用いて形成されていると共に第1被覆部54及び第2被覆部56をシート後方側から覆う第3被覆部58を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座乗員の背部を支持すると共に、シート上下方向の中間部がシート前後方向に屈曲する屈曲部となっているシートバック本体と、
伸縮性を有する布状の部材を用いて形成されていると共に前記シートバック本体のシート後方側の一部分を覆う第1被覆部と、前記第1被覆部よりも伸縮し難い布状の部材を用いて形成されていると共に前記第1被覆部と接合されかつ前記シートバック本体のシート後方側において前記第1被覆部が覆っている部分よりもシート後方側へ突出している部分を覆う第2被覆部と、前記第1被覆部よりも伸縮性が小さい布状の部材を用いて形成されていると共に前記第1被覆部及び前記第2被覆部をシート後方側から覆う第3被覆部と、を有するシートトリムと、
を備えた車両用シート。
【請求項2】
前記シートバック本体には、着座乗員に装着されるシートベルトが巻取られるリトラクタが固定され、
前記第2被覆部は、前記シートバック本体において前記リトラクタが固定されている部分を覆っている請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記第3被覆部をシート後方側へ引っ張った状態で、前記第1被覆部及び前記第2被覆部と前記第3被覆部との間には、前記第2被覆部を視認可能な隙間が形成される請求項2に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記第2被覆部には、前記リトラクタの一部が配置可能な凹部が形成されている請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートバックのシート上下方向の中間部を屈曲(中折れ)させることができる車両用シートが開示されている。この文献に記載された車両用シートでは、シートバックの所定位置から下部を前方に傾斜させ、所定位置から上部を後方に傾斜させた状態にシートバックのシート上下方向の中間部を屈曲させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-164135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートバックのシート上下方向の中間部を屈曲させることができる車両用シートでは、シートトリムの弛みや凹凸等によって外観品質が損なわれることを抑制できることが望ましいが、上記特許文献1に記載された車両用シートはこの点を考慮していない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、外観品質が損なわれることを抑制できる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の車両用シートは、着座乗員の背部を支持すると共に、シート上下方向の中間部がシート前後方向に屈曲する屈曲部となっているシートバック本体と、伸縮性を有する布状の部材を用いて形成されていると共に前記シートバック本体のシート後方側の一部分を覆う第1被覆部と、前記第1被覆部よりも伸縮し難い布状の部材を用いて形成されていると共に前記第1被覆部と接合されかつ前記シートバック本体のシート後方側において前記第1被覆部が覆っている部分よりもシート後方側へ突出している部分を覆う第2被覆部と、前記第1被覆部よりも伸縮性が小さい布状の部材を用いて形成されていると共に前記第1被覆部及び前記第2被覆部をシート後方側から覆う第3被覆部と、を有するシートトリムと、を備えている。
【0007】
第1の態様の車両用シートによれば、シートバック本体のシート後方側がシートトリムによって覆われている。シートトリムは、第1被覆部と、第1被覆部と接合された第2被覆部と、第1被覆部及び第2被覆部を覆う第3被覆部と、を備えている。ここで、シートバック本体の一部分は、シートトリムの第1被覆部によってシート後方側から覆われている。また、第1被覆部は伸縮性を有する部材を用いて形成されている。これにより、第1被覆部をシートバック本体の屈曲部の屈曲に追従させることができる。また、シートバック本体のシート後方側において第1被覆部が覆っている部分よりもシート後方側へ突出している部分は、シートトリムの第2被覆部によって覆われている。第2被覆部は、第1被覆部よりも伸縮し難い布状の部材を用いて形成されている。これにより、シートバックの屈曲部の屈曲に伴う弛みや凹凸等が第2被覆部に生じることを抑制することができる。また、第1被覆部及び第2被覆部は、第3被覆部によって覆われている。第3被覆部は、第1被覆部よりも伸縮性が小さい布状の部材を用いて形成されている。これにより、シートバック本体の屈曲部の屈曲に伴う弛みや凹凸等が第3被覆部に形成されることを抑制することができる。
【0008】
第2の態様の車両用シートは、第1の態様の車両用シートにおいて、前記シートバック本体には、着座乗員に装着されるシートベルトが巻取られるリトラクタが固定され、前記第2被覆部は、前記シートバック本体において前記リトラクタが固定されている部分を覆っている。
【0009】
第2の態様の車両用シートによれば、シートバック本体においてリトラクタが固定されている部分が、シートトリムの第2被覆部によって覆われている。この構成では、リトラクタの形状に対応する凹凸が第2被覆部に生じることを抑制することができる。
【0010】
第3の態様の車両用シートは、第2の態様の車両用シートにおいて、前記第3被覆部をシート後方側へ引っ張った状態で、前記第1被覆部及び前記第2被覆部と前記第3被覆部との間には、前記第2被覆部を視認可能な隙間が形成される。
【0011】
第3の態様の車両用シートによれば、第3被覆部をシート後方側へ引っ張った状態では、第1被覆部及び第2被覆部と第3被覆部との間には隙間が形成される。これにより、第2被覆部がリトラクタと対応する位置に配置されているか否かを視認することができる。
【0012】
第4の態様の車両用シートは、第2の態様の車両用シートにおいて、前記第2被覆部には、前記リトラクタの一部が配置可能な凹部が形成されている。
【0013】
第4の態様の車両用シートによれば、第2被覆部には、リトラクタの一部が配置可能な凹部が形成されている。これにより、リトラクタの接触に伴う第2被覆部の負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用シートは、外観品質が損なわれることを抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車両用シートを示す正面図である。
図2】車両用シートを示す背面図である。
図3図2に示された3-3線に沿って切断した車両用シートのシートトリムを示す断面図である。
図4図2に示された4-4線に沿って切断した車両用シートのシートトリムを示す断面図である。
図5】車両用シートを示す背面図であり、第1被覆部及び第2被覆部等を破線で示している。
図6】第1被覆部及び第2被覆部等を示す図である。
図7】車両用シートを右斜め後方側から見た斜視図であり、第3被覆部を後方側へ向けて引っ張った状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図6を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、車両用シート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。また、シート左右方向は、シート幅方向と一致している。
【0017】
図1に示されるように、車両用シート10は、着座乗員の臀部を下方側から支持するシートクッション12と、着座乗員の背部を後方側から支持するシートバック14と、着座乗員の頭部を後方側から支持するヘッドレスト16と、を備えている。また、車両用シート10は、着座乗員の身体に装着されるシートベルト18を有するシートベルト装置20を備えている。ここで、本実施形態のシートベルト装置20は、いわゆる3点式のシートベルト装置となっている。シートベルト装置20は、リトラクタ22と、リトラクタ22に巻き取られるシートベルト18と、を備えている。シートベルト18は、シートバック14の右側の上端部に設けられた開口を形成するスルーアンカ部24から前方側へ引き出し可能となっている。また、シートベルト装置20は、シートベルト18においてリトラクタ22に巻き取られる側とは反対側の端部が固定された図示しない固定プレートと、シートベルト18に挿通された図示しないタングプレートと、タングプレートが係止されるバックル26と、を備えている。図示しない固定プレートは、シートクッション12の右側の端部の後端側に固定されている。また、バックル26は、シートクッション12の左側の端部の後端側に固定されている。そして、車両用シート10に着座した乗員が、シートベルト18を引き出して図示しないタングプレートをバックル26に係止させる。これにより、シートベルト18が車両用シート10に着座した乗員の身体に装着されるようになっている。
【0018】
シートバック14は、着座乗員の背部を支持する部分の主要部を構成するシートバック本体28と、シートバック本体28を覆うシートトリム30と、を含んで構成されている。
【0019】
シートバック本体28は、当該シートバック本体28の骨格を構成するバックフレームと、バックフレームに取り付けられたクッション材と、シートバック本体28を屈曲させる屈曲機構32と、を含んで構成されている。ここで、屈曲機構32は、シートバック本体28の上下方向の中間部の内部かつリトラクタ22が設けられた部分の下方側に設けられている。この屈曲機構32が作動することで、シートバック本体28の上下方向の中間部を屈曲させることが可能となっている。なお、シートバック本体28の上下方向の中間部において屈曲する部分を屈曲部34と呼ぶことにする。そして、屈曲機構32が作動すると、シートバック本体28において屈曲部34よりも上方側の部分28Aが屈曲部34よりも下方側の部分28Bに対して前後方向に傾動するようになっている。
【0020】
また、シートバック本体28は、前述のリトラクタ22や着座乗員へ送風を行うための送風機等の機能部品を備えている。これらの機能部品は、シートバックフレームに固定されている。ここで、屈曲機構32が作動することにより、シートバック本体28において屈曲部34よりも上方側の部分28Aが屈曲部34よりも下方側の部分28Bに対して前方側に傾動すると、シートバック本体28における屈曲部34周辺が後方側に向かって突出する。そして、シートバック本体28においてリトラクタ22が設けられた部分は、シートバック本体28の後方側において最も後方側へ突出している部分となる。
【0021】
図2図3及び図4に示されるように、シートトリム30は、シートバック本体28の前方側を覆う前面被覆部材36と、シートバック本体28の左右方向の両端部をそれぞれ覆う左右一対の側面被覆部材38と、シートバック本体28の後方側を覆う後面被覆部材40と、を備えている。
【0022】
次に、本実施形態の要部である後面被覆部材40の構成について説明する。
【0023】
図2に示されるように、後面被覆部材40は、シートバック本体28の後部における左右方向の両側部分を覆う左右一対の両側被覆部42を備えている。また、後面被覆部材40は、シートバック本体28の左右方向の中央部分かつ上方側の部分を覆う上部被覆部44を備えている。上部被覆部44の左右方向の両端部は、左右一対の両側被覆部42のシート幅方向内側の端部にそれぞれ接合されている。さらに、後面被覆部材40は、シートバック本体28の左右方向の中央部分かつ上部被覆部44が覆っている部分よりも下方側を覆う中央被覆部46を備えている。
【0024】
図3図4及び図5に示されるように、中央被覆部46は前後方向に二重の構造になっている。ここで、中央被覆部46の前方側を構成する部材を前側構成部材48と呼び、中央被覆部46の後方側を構成する部材を後側構成部材50と呼ぶことにする。前側構成部材48の左右方向の両端部は、左右一対の両側被覆部42のシート幅方向内側の端部にそれぞれ接合されている。また、前側構成部材48の上端部は、上部被覆部44の下端部に接合されている。
【0025】
図5及び図6に示されるように、前側構成部材48は、左右一対の端部被覆部52、第1被覆部54及び第2被覆部56によって構成されている。
【0026】
左右一対の端部被覆部52は、一例としてカーペット等と呼ばれる伸縮性の小さい布状の部材を用いて形成されており、後方側から見て上下方向を長手方向とする帯状に形成されている。なお、右側の端部被覆部52は、後述する第2被覆部56と一体に形成されている。
【0027】
第1被覆部54は、一例としてトリコット等と呼ばれる伸縮性を有する布状の部材を用いて形成されている。この第1被覆部54は、後述する第2被覆部56と対応する部分が切り取られた形状に形成されている。詳述すると、第1被覆部54の上方側の部位54Aは、後方側から見て左右方向を長手方向とする矩形状に形成されている。第1被覆部54の上方側の部位54Aの左右方向の両端部は、左右一対の端部被覆部52のシート幅方向内側の端部にそれぞれ縫製等により接合されている。また、第1被覆部54の下方側の部位54Bは、後方側から見て略正方形状に形成されている。第1被覆部54の下方側の部位54Bの左右方向の両端部は、左右一対の端部被覆部52のシート幅方向内側の端部にそれぞれ縫製等により接合されている。さらに、第1被覆部54の上下方向の中間部54Cは、後方側から見て上下方向を長手方向とする矩形状に形成されている。第1被覆部54の上下方向の中間部54Cは、第1被覆部54の上方側の部位54Aの左側と下方側の部位54Bの左側とを上下方向につないでいる。また、第1被覆部54の上下方向の中間部54Cの左側の端部は、左側の端部被覆部52のシート幅方向内側の端部に縫製等により接合されている。
【0028】
第2被覆部56は、第1被覆部54よりも伸縮し難い布状の部材を用いて形成されている。本実施形態の第2被覆部56は、端部被覆部52と同様にカーペット等と呼ばれる伸縮性の小さい布状の部材を用いて形成されている。第2被覆部56は、後方側から見て正方形状に形成されている。この第2被覆部56の上端部、左側の端部及び下端部は、第1被覆部54の上方側の部位54Aの下端部、上下方向の中間部54Cの右側の端部及び下方側の部位54Bの上端部にそれぞれ縫製等により接合されている。ここで、本実施形態の第2被覆部56は、シートバック本体28においてリトラクタ22が固定された部分を後方側から覆うようになっている。第2被覆部56の上下及び左右の中間部には、リトラクタ22の一部が配置可能な凹部56Aが形成されている。この凹部56Aは、リトラクタ22側が開放された凹状に形成されている。
【0029】
図5に示されるように、後側構成部材50は、単一の第3被覆部58によって構成されている。第3被覆部58は、第2被覆部56と同様に伸縮性が小さい布状の部材を用いて形成されている。本実施形態の第3被覆部58は、第2被覆部56と同様にカーペット等と呼ばれる伸縮性が小さい布状の部材を用いて形成されている。第3被覆部58は、後方側から見て上下方向を長手方向とする矩形状に形成されている。この第3被覆部58の上下方向への寸法及び左右方向への寸法は、前述の第1被覆部54及び第2被覆部56の全体を後方側から被覆可能な寸法にそれぞれ設定されている。また、第3被覆部58(後側構成部材50)の上端部、左側の端部及び下端部は、前側構成部材48の上端部、左側の端部及び下端部にそれぞれ縫製等により接合されている。また、第3被覆部58(後側構成部材50)の右側の端部58Aと前側構成部材48の右側の端部とは、面ファスナ60を介して部分的に接合されている。本実施形態では、第3被覆部58の右側の端部58Aには、上下方向に間隔をあけて配置された2つの面ファスナ60が取り付けられている。
【0030】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0031】
図2図3図4及び図5に示されるように、以上説明した本実施形態の車両用シート10によれば、シートバック本体28のシート後方側がシートトリム30の後面被覆部材40によって覆われている。後面被覆部材40は、前側構成部材48及び後側構成部材50による二重の構造になっている中央被覆部46を備えている。
【0032】
前側構成部材48の一部を構成する第1被覆部54は伸縮性を有する部材を用いて形成されている。これにより、第1被覆部54をシートバック14の屈曲部34の屈曲に追従させることができる。
【0033】
また、シートバック本体28においてリトラクタ22が固定された部分は、前側構成部材48の他の一部を構成する第2被覆部56によって覆われている。第2被覆部56は、第1被覆部54よりも伸縮し難い布状の部材を用いて形成されている。これにより、シートバック本体28の屈曲部34の屈曲に伴う弛みや凹凸等が第2被覆部56に生じることを抑制することができる。特に、リトラクタ22が第2被覆部56に接触することに伴い、リトラクタ22の形状に対応する凹凸が第2被覆部56に生じることを抑制することができる。
【0034】
前側構成部材48の大部分を構成する第1被覆部54及び第2被覆部56は、後側構成部材50を構成する第3被覆部58によって覆われている。第3被覆部58は、第2被覆部56と同様に伸縮性が小さい布状の部材を用いて形成されている。これにより、シートバック本体28の屈曲部34の屈曲に伴う弛みや凹凸等が第3被覆部58に形成されることが抑制される。また、本実施形態の構成では、第1被覆部54及び第2被覆部56が第3被覆部58に覆われることにより、第1被覆部54と第2被覆部56との接合部がシート後方側から見えない或いは見え難くなる。これにより、本実施形態の車両用シート10では、外観品質が損なわれることを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、図7に示されるように、第3被覆部58の右側の端部58Aをシート後方側へ引っ張った状態では、第1被覆部54及び第2被覆部56と第3被覆部58との間には隙間62が形成される。これにより、第2被覆部56がリトラクタ22(図5参照)と対応する位置に配置されているか否かを視認することができる。
【0036】
また、本実施形態では、図5及び図6に示されるように、第2被覆部56には、リトラクタ22の一部が配置可能な凹部56Aが形成されている。これにより、リトラクタ22の接触に伴う第2被覆部56の負荷を低減することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、リトラクタ22の一部が配置可能な凹部56Aを第2被覆部56に形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。リトラクタ22の一部が配置可能な凹部56Aを第2被覆部56に形成するか否かについては、リトラクタ22と第2被覆部56との接触圧力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0038】
また、本実施形態では、第3被覆部58の右側の端部58Aをシート後方側へ引っ張った状態で、第1被覆部54及び第2被覆部56と第3被覆部58との間に隙間62が形成される構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3被覆部58の右側の端部58Aを前側構成部材48の右側の端部に縫製等により接合して、上記の隙間62が形成されない構成としてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、シートバック本体28においてリトラクタ22が固定された部分が第2被覆部56に覆われる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。シートバック本体28の後方側において第2被覆部56に覆われる部分は、シートバック本体28にリトラクタ22が設けられているか否か等を考慮して適宜設定すればよい。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
10 車両用シート
22 リトラクタ
28 シートバック本体
30 シートトリム
34 屈曲部
54 第1被覆部
56 第2被覆部
56A 凹部
58 第3被覆部
62 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7