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特開2024-159219脱離用プライマー組成物層を有する積層体及び積層体の脱離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159219
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】脱離用プライマー組成物層を有する積層体及び積層体の脱離方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/28 20060101AFI20241031BHJP
   B29B 17/02 20060101ALI20241031BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
B32B27/28 102
B29B17/02 ZAB
C08J7/04 H CER
C08J7/04 CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075066
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100131587
【弁理士】
【氏名又は名称】飯沼 和人
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 京平
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 淳一
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
4F401
【Fターム(参考)】
4F006AA12
4F006AA35
4F006AA38
4F006AB20
4F006BA01
4F006BA11
4F006CA07
4F100AK04A
4F100AK07A
4F100AK42A
4F100AK46A
4F100AK69B
4F100AK69J
4F100AL02B
4F100AL02J
4F100AT00
4F100BA03
4F100EH462
4F100EH46B
4F100GB15
4F100HB31C
4F100JL14
4F100JL16
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA15
4F401AA22
4F401AA24
4F401AB07
4F401AD01
4F401BA13
4F401CA32
4F401CA48
4F401CA49
4F401CB01
4F401EA07
4F401EA46
(57)【要約】
【課題】高温高湿下でのガスバリア性に優れ、かつ使用後に樹脂基材層から印刷層をより簡単に剥離させて、脱離液から分離脱離しやすくすること。
【解決手段】
樹脂基材層、エチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー層、及び印刷層を、この順で積層してなる積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基材層、エチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー層、及び印刷層を、この順で積層してなる積層体。
【請求項2】
エチレンビニルアルコール系樹脂を構成する全単量体中のエチレン単位の含有比率は、1~35モル%である請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記エチレンビニルアルコール系樹脂のけん化度が90%以上である請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記脱離用プライマー層の固形分塗布量が0.1~2.0g/mである請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
樹脂基材層と脱離用プライマー層との間にアンカーコート層を有する請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の積層体を脱離液に浸漬する工程、及び、樹脂基材層を回収する工程を有する、樹脂基材層の脱離方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱離用プライマー組成物層を有する積層体、及び積層体の脱離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性等の点から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には、消費者へアピールする意匠性、メッセージ性の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そしてこれらの包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される刷りっぱなし印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの表面に印刷した印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、基材フィルムにラミネート加工を施すための印刷が行われる。
ラミネート加工を施すための印刷では、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔等の各種基材フィルム上に色インキ組成物、白インキ組成物を順次印刷後、該白インキ組成物の印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いた押出しラミネート加工等によりヒートシールを目的としたポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトルその他のプラスチック製品は海洋にゴミとして廃棄・投棄され、環境汚染問題となっている。これらのプラスチック製品は海水中で分解されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり、海水中に浮遊する。当該プラスチックを魚類等の海洋生物が摂取すれば、生物体内中で濃縮される。そうすれば当該海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間の健康にも影響することが懸念される。
このような問題を改善するためにマイクロプラスチックを減らす様々な取り組みの1つとして、印刷インキ組成物を積層した積層体から、積層体のプラスチック基材を脱離するリサイクル方法が提案されている。積層体プラスチック基材を脱離する方法としては、脱離用インキ組成物(例えば、特許文献2参照)、脱離用接着剤(例えば、特許文献3参照)、脱離用アンカーコート剤等(例えば、特許文献4~6参照)、脱離液(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、バリア性が不十分である問題を有していた。
また、脱離層として、ポリビニルアルコール(以後PVAと称する場合がある)を含有する樹脂層を設けることが提案されている(例えば、特許文献8)。
しかし脱離層として、ポリビニルアルコールを含有する樹脂層を設ける場合は、高温高湿下でのガスバリア性が低下する問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-97959号公報
【特許文献2】特許第6631964号公報
【特許文献3】特許第6642688号公報
【特許文献4】特許第6388131号公報
【特許文献5】特開2020-175620号公報
【特許文献6】特開2023-50125号公報
【特許文献7】特許第6690806号公報
【特許文献8】国際公開第2021/090690号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高温高湿下でのガスバリア性に優れ、かつ使用後に脱離液により樹脂基材層から印刷層を分離・脱離することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記の積層体及び積層体の脱離方法とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、以下の本発明とするに至った。
1.樹脂基材層、エチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー層、及び印刷層を、この順で積層してなる積層体。
2.エチレンビニルアルコール系樹脂を構成する全単量体中のエチレン単位の含有比率は、1~35モル%である1記載の積層体。
3.前記エチレンビニルアルコール系樹脂のけん化度が90%以上である1又は2に記載の積層体。
4.前記脱離用プライマー層の固形分塗布量が0.1~2.0g/mである1~3のいずれかに記載の積層体。
5.樹脂基材層と脱離用プライマー層との間にアンカーコート層を有する1~4のいずれかに記載の積層体。
6.1~5のいずれかに記載の積層体を脱離液に浸漬する工程、及び、樹脂基材層を回収する工程を有する、樹脂基材層の脱離方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、積層体は、高温高湿下でのバリア性に優れ、且つ、樹脂基材層を印刷層から脱離液により簡単に脱離できる。その結果、印刷層とその他の層を別にして回収し、樹脂基材層を再利用できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、樹脂基材層、エチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー層(以下、場合により「脱離用プライマー層」ともいう)、及び印刷層を順に積層してなる積層体である。そして、脱離用プライマー層を形成するための脱離用プライマー組成物が、エチレンビニルアルコール系樹脂(EVOH)を含有する脱離用プライマー組成物であり、そのような脱離用プライマー組成物による層を有する積層体である。
本発明の積層体は、樹脂基材層の脱離用プライマー層を形成する側の面の全面に、脱離用プライマー層及び印刷層を形成してなるものでも良く、樹脂基材層の脱離用プライマー層を形成する側の面の一部の面に、脱離用プライマー層及び印刷層を形成してもよい。
【0010】
[樹脂基材層]
本発明における樹脂基材層は、1層からなるものでも良く、複数層からなるものでも良い。紙基材に樹脂がラミネートされてなる樹脂フィルム等でもよい。また、熱可塑性樹脂層とポリエチレン系樹脂層を有する積層体を採用しても良く、採用しなくても良い。
このような樹脂基材層としては、表面に印刷を行うことができる樹脂基材層、裏面に印刷を行うことができる樹脂基材層を採用できる。
樹脂基材層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド等の樹脂フィルム、アルミニウム等の金属層を有する上記樹脂フィルム、透明蒸着層を有する上記樹脂フィルム、収縮性ポリプロピレンフィルム(特に収縮性表面未処理ポリプロピレンフィルム)、収縮性ポリ塩化ビニルフィルム、収縮性ポリエチレンフタレートフィルム等の収縮性樹脂フィルム等を挙げられる。
【0011】
樹脂基材層の脱離用プライマー組成物層を形成する側の表面に対して、予め表面処理を行なうことができる。
このような表面処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、アンカーコート剤層、接着剤層の形成等、樹脂基材層表面と脱離用プライマー組成物層の接着性を向上させるための表面処理を選択できる。
更に、樹脂基材層に脱離用プライマー組成物層を介して印刷インキ組成物層を形成した後、その印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いた押出しラミネート加工によりシーラント層を形成させても良い。
【0012】
[脱離用プライマー層]
本発明中の脱離用プライマー層は、樹脂基材層と印刷層の間に設けられる層である。更に、印刷物を使用した後に再利用を行うにあたり、樹脂基材層とその上に形成された印刷層とを分離して、印刷層を樹脂基材層から脱離させるための脱離用プライマー層である。
脱離用プライマー層を形成するためのエチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー組成物について以下に説明する。
【0013】
<エチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー組成物>
本発明の積層体は、エチレンビニルアルコール系樹脂(エチレンビニルアルコール系(EVOH)樹脂)を含有する脱離用プライマー組成物からなる層を有する。
(エチレンビニルアルコール系樹脂)
エチレンビニルアルコール系樹脂は、エチレン-酢酸ビニル共重合体をけん化することによって得られ、湿度バリア性に優れ、透明性が高いという性質を有する。
また、エチレンビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニル及びそのけん化物である共重合単位と、エチレン由来の共重合単位からなる他に、別の共重合可能な単量体単位を含有してもよい。さらに、エチレンビニルアルコール系樹脂は、エチレン由来の共重合単位とビニルアルコール構造を由来とする単位を共重合成分として有する。
なお、エチレン含量は、エチレンビニルアルコール系樹脂を構成するエチレンを一方の共重合性成分とし、別の不飽和二重結合を有する成分を他方の共重合成分として、エチレンのモル数を全部の共重合成分の合計のモル数で除した値である。
エチレンビニルアルコール系樹脂のエチレン含有率は1モル%以上が好ましく、4モル%以上がより好ましい。また35モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。
エチレン含有率が1モル%より小さいと、高温高湿時のガスバリア性が低下する傾向となり、エチレン含有率が35モル%より大きいと、粘度が高くなる傾向がある。
エチレンビニルアルコール系樹脂は、けん化度が95%以上であることが好ましく、96%以上がより好ましい。けん化度が95%未満であると、ガスバリア性及び耐油性が低下することがある。
脱離用プライマー組成物は、必要に応じて低級アルコールの混合溶媒中に、エチレンビニルアルコール系樹脂を加え撹拌溶解させることにより得ることができる。
【0014】
脱離用プライマー組成物には、樹脂基材層表面や印刷層等の隣接する層との接着性が低下しない範囲で、無機層状化合物を含有できる。
無機層状化合物としては、分散媒体中で膨潤及びへき開する無機層状化合物が利用できる。例えば、フィロケイ酸塩の1:1構造をもつカオリナイト族、ジャモン石群に属するアンチゴライト族、層間カチオンの数によってスメクタイト族、含水ケイ酸塩鉱物であるバーミキュライト族、マイカ族等を挙げることができる。
無機層状化合物の具体例としては、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等で天然であっても合成物であってもよい。また、鱗片状シリカ等も使用できる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、塗布性や、バリアコーティング剤に使用した場合のガスバリア性の観点からモンモリロナイトが好ましい。
【0015】
脱離用プライマー組成物が含有する分散媒体としては、水系分散媒体又は有機系分散媒体のどちらも利用でき、水系分散媒体としては、水のみでも良く、水と、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールとそのアルキルエーテル誘導体、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類といった水混和性有機溶媒とを混合した分散媒体であってもよい。
分散媒体としては、適度な固形分を維持する観点から、水50~95質量%と、炭素数2~4の低級アルコールであるエチルアルコール、プロピルアルコール及びブチルアルコールの少なくとも1種を5~50質量%含む混合物を使用することが好ましい。
上記脱離用プライマー層の量は、固形分塗布量が0.1~2g/mとなる範囲が好ましい。固形分塗布量が0.1g/mより少ないと脱離性が低下する傾向となり、一方、2g/mより多いと接着性が低下する傾向となる。
【0016】
[印刷層]
本発明において、印刷インキ組成物により印刷された印刷層は特に限定されず、公知のものでもよい。例えば、版を使用した平版オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキ、版を使用しないインクジェット印刷インキ等により印刷された印刷層が挙げられる。食品包装用をはじめとしたプラスチック廃棄物となりうる食品包装用フィルム用の印刷インキとしては、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキが最も多い。また、近年、環境面、小ロットの対応として、活性エネルギー線硬化型インクジェット用印刷インキ組成物、活性エネルギー線硬化型フレキソ印刷インキ組成物、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ組成物も使用されるようになってきている。ここではグラビア印刷インキ、活性エネルギー線硬化型インクジェット用印刷インキ組成物、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ組成物を例として説明する。
なお、樹脂基材層上に形成された脱離用プライマー組成物層の表面に、印刷層を形成する前に、アンカーコート剤層及び/又は接着剤層を形成させても良い。また、樹脂基材層表面にアンカーコート剤層及び/又は接着剤層を形成させた後、それらの層の上に脱離用プライマー組成物層を形成し、さらにその上に印刷層を形成しても良い。
【0017】
<グラビア印刷インキ組成物>
グラビア印刷インキ(表刷り用、シュリンク用、裏刷り用グラビア印刷インキ)の印刷インキ組成物は、バインダー樹脂、着色剤、有機溶剤や水性媒体等の溶剤、添加剤等を含む。
バインダー樹脂としては、硝化綿等のセルロール系樹脂、(バイオマス)ウレタン樹脂、(バイオマス)ポリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ロジン系樹脂及びその変性物、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、(バイオマス)ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用できる。中でもセルロール系樹脂、(バイオマス)ウレタン樹脂、(バイオマス)ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等を適宜組み合わせて使用できる。
【0018】
また着色剤としては、一般のグラビアインキに使用されている有機、無機顔料や染料が挙げられる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられ、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。また、ガラスフレーク又は塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子社)等が挙げられる。
溶剤は、有機溶剤であれば、例えば芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n-プロパノール、イノプロパノール、n-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤等を使用できる。近年は、環境面からエステル系溶剤、アルコール系溶剤を使用することが好ましい。
使用できる添加剤としては、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、ブロッキング防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤等があげられる。
その他、更に架橋剤やキレート剤を添加し、印刷インキ層そのものを架橋させ硬度を高めているものもある。
【0019】
<活性エネルギー線硬化型インクジェット用印刷インキ組成物>
従来から使用されている活性エネルギー線硬化型インクジェット用印刷インキ組成物が使用できる。
活性エネルギー線硬化型インクジェット用印刷インキ組成物は、着色顔料、水酸基を含有する光重合性化合物、必要に応じて開始剤、顔料分散剤、及び添加剤等を含む。
例えば、WO2023/276290号に記載のような着色剤、ヒドロキシ基含有単官能(メタ)アクリレート、エーテル結合を有する多官能モノマー、アミン変性オリゴマー、必要に応じて重合開始剤、増感剤、顔料分散剤、添加剤を含有するものが使用できる。
【0020】
<活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ組成物>
従来から使用されている活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ組成物が使用できる。
活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ組成物は、着色顔料、水酸基を含有する光重合性化合物、及び必要に応じて開始剤、顔料分散剤、及び添加剤等を含む。
例えば、特開2018-127541号、特開2015-168730、特開2021-195502号、特開2020-33465号、特開2018-21138号に記載のような活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ組成物が利用できる。
【0021】
[アンカーコート層]
前記積層体には、樹脂基材層と脱離用プライマー層との間に接着性を向上させるためにアンカーコート層を設けてもよく、設けなくても良い。
アンカーコート層を形成するアンカーコート剤としては、ウレタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系等のアンカーコート剤が使用できる。
【0022】
[脱離用プライマー層を有する積層体の作成方法]
樹脂基材層に、必要に応じてアンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を形成し、次いで、エチレンビニルアルコール系樹脂を含有する脱離用プライマー組成物を塗布して脱離プライマー層を形成した後に、各種印刷機、インクジェット印刷装置等で上記各印刷インキ組成物を印刷、印字して印刷層を形成することにより本発明の積層体を得ることができる。さらに、印刷層を形成した後、ドライラミネート法又は押出しラミネート法によりシーラント層を形成させて積層体を得ることもできる。
【0023】
[脱離用プライマー層を有する積層体の脱離方法]
脱離用プライマー層を有する積層体を、樹脂基材層と印刷層とに分離して、脱離用プライマー層を有する積層体から印刷層を脱離する。そのため、積層体を任意の手段で切断して細片化し、これを脱離液である、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基性化合物を含有するアルカリ性水溶液に浸漬し、必要により撹拌する工程を採用できる。このときの水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの濃度は0.5~15.0質量%が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。また5.0質量%以下が使用後の廃液を処理する際に好ましく、3.0質量%以下が更に好ましい。脱離させるときの脱離液は25℃程度の室温でもよく、25~90℃の加熱されたものであっても良い。浸漬時間は1分~12時間が好ましく、より好ましくは1時間以下、更に好ましくは30分以下、最も好ましくは10分以下である。
同時に、細分化された積層体の重量に対して、100~100万倍の質量の十分に多量の脱離液で処理することが円滑に脱離するうえで好ましい。
脱離液に浸漬する工程の後に、樹脂基材層と印刷層を回収する工程を設ける。そして、積層体の樹脂基材層が例えばポリエステルであれば、この脱離方法により、脱離液中でインキ層を除去し、分離されたポリエステルを水洗・乾燥して再生ポリエステル基材を得ることができる。また、再生ポリエステル基材を押出機によりペレットに再生して利用することができる。
【実施例0024】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0025】
<樹脂基材層>
以下の3種を樹脂基材層とした(シュリンク用は除く)。
OPP:2軸延伸ポリプロピレンフィルム P-2161#25(東洋紡社)
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム E-5102#12(東洋紡社)
NY:ナイロンフィルム ONY-15#12(ユニチカ社)
PE:ポリエチレンフィルム 厚さ25μmのコロナ処理L-LDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレン、三井化学東セロ社)
<アンカーコート剤>
タケラックA-3210/タケラックA-3072を酢酸エチルで固形分7%に希釈したもの
【0026】
[脱離用プライマー組成物]
<脱離用プライマー組成物1>
精製水50質量%とイソプロピルアルコール50質量%を含む混合溶媒の95質量部に、エチレンビニルアルコール共重合体(商品名:ソアノールV2504NB(エチレン含有量25mol%))の5質量部を加え80℃で撹拌溶解して、固形分5質量%の脱離用プライマー組成物1を得た。
【0027】
<脱離用プライマー組成物2>
精製水50質量%とイソプロピルアルコール50質量%を含む混合溶媒の93質量部に、エチレンビニルアルコール共重合体(商品名:ソアノールV2504NB(エチレン含有量25mol%))の7質量部を加え80℃で撹拌溶解して、固形分7質量%の脱離用プライマー組成物2を得た。
【0028】
<脱離用プライマー組成物3>
精製水90質量部に、エチレンビニルアルコール共重合体(商品名:エクセバールHR-3010(エチレン含有量4.5mol%))の10質量部を加え95℃で撹拌溶解させ、精製水50質量%とイソプロピルアルコール50質量%を含む混合溶媒で希釈し、固形分5質量%の脱離用プライマー組成物3を得た。
【0029】
<脱離用プライマー組成物4>
精製水30質量%とイソプロピルアルコール70質量%を含む混合溶媒の95質量部に、エチレンビニルアルコール共重合体(商品名:ソアノールDC3212(エチレン含有量32mol%))の5質量部を加え80℃で撹拌溶解して、固形分5質量%の脱離用プライマー組成物4を得た。
【0030】
<脱離用プライマー組成物5>
無機層状化合物であるモンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業社)5質量部を精製水95質量部中に撹拌しながら添加し、高圧分散装置にて圧力50MPaにて十分に分散し、固形分5質量%の無機層状化合物分散液を得た。
次いで、脱離用プライマー組成物1の85質量部を高速で撹拌しながら、無機層状化合物分散液15質量部を添加した後、更に高圧分散装置にて圧力50MPaで分散処理し、255メッシュのフィルターにて濾過し、固形分5質量%の脱離用プライマー組成物5(エチレンビニルアルコール共重合体樹脂/無機層状化合物=85/15(固形分質量比))を得た。
【0031】
<比較例1の脱離用プライマー組成物>
精製水50質量%とイソプロピルアルコール50質量%を含む混合溶媒の98質量部に、ポリエチレンイミン(エポミンP-1000(日本触媒社)(アミン価18mmol/g))の2質量部を加えて撹拌溶解させて、固形分2質量%の比較例1の脱離用プライマー組成物を得た。
【0032】
<比較例2の脱離用プライマー組成物>
精製水50質量%とイソプロピルアルコール50質量%を含む混合溶媒の95質量部に、ポバール5-98(クラレ社)の5質量部を加えて撹拌し、固形分5質量%の比較例2の脱離用プライマー組成物を得た。
【0033】
<脱離用プライマー組成物層を形成済みの樹脂基材層作成>
脱離用プライマー組成物1、3、4を、アンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗布した樹脂基材層のアンカーコート剤層表面に、バーコーターで乾燥塗布量が1.0g/mとなるように塗布した。
脱離用プライマー組成物5を、アンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗布した樹脂基材層のアンカーコート剤層表面に、バーコーターで乾燥塗布量が0.5g/mとなるように塗布した。
脱離用プライマー組成物2を、アンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗布した樹脂基材層のアンカーコート剤層表面に、バーコーターで乾燥塗布量が1.4g/mとなるように塗布した。
比較例1の脱離用プライマー組成物を、アンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗布した樹脂基材層のアンカーコート剤層表面に、バーコーターで乾燥塗布量が0.2g/mとなるように塗布した。
比較例2の脱離用プライマー組成物を、アンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗布した樹脂基材層のアンカーコート剤層表面に、バーコーターで乾燥塗布量が1.0g/mとなるように塗布した。
【0034】
<表刷り用印刷インキ組成物>
表刷り用印刷インキ組成物として、例えば(サピリア-N 藍 800 YZ RE-1(サカタインクス社製))を使用できるが、この組成物に限定されない。
【0035】
(表刷り用印刷インキ組成物による印刷)
上記4種の樹脂基材層のそれぞれにアンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗付した塗布面に、上記の各実施例の脱離用プライマー組成物1~5及び比較例の脱離用プライマー組成物1及び2(計7種の脱離用プライマー組成物)を、バーコーターで塗布して、各脱離用プライマー組成物層が形成された計28種の試料を得た。上記表刷り用印刷インキ組成物に混合溶剤(酢酸エチル/酢酸プロピル/IPA(イソプロピルアルコール)=50/25/25)を加え、離合社ザーンカップNo.3にて16秒になるように希釈した希釈表刷り用インキ組成物を、それらの試料の各脱離用プライマー組成物層上に、バーコーターで印刷、乾燥して、各表刷り用印刷インキ組成物の印刷物(積層体)を得た。
この各表刷り用印刷インキ組成物の印刷物(積層体)をMD15mm×TD25mm程度の小片に細断して、印刷層剥離試験用サンプルを得た。
【0036】
<UV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物>
UV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物として、下記UV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物の調製したものが使用できるが、この組成物に限定されない。
(UV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物の調製)
P.B.15:4の2.6質量部、ソルスパースS56000(日本ルーブリゾール社製)の1.04質量%、アミン変性アクリレートオリゴマー(Sartomer社製、CN371NS)の30.00質量部、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの4.50質量%、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレートの7.96質量部、ジプロピレングリコールジアクリレート7.00質量部、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルの5.00質量部、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェノキシホスフィンオキサイド(IGM Resins B.V.社)の3.00質量部、(2-カルボキシメトキシチオキサントン)-(ポリテトラメチレングリコール250)ジエステル(IGM Resins B.V.社)の2.50質量部、キノン系重合禁止剤(UV22、BASF社)の0.40質量部、シリコン系表面調整剤(BYK-377、ビックケミー社製)の0.20質量部のUV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物を調製した。
【0037】
(UV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物による印刷)
上記4種の樹脂基材層のそれぞれにアンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗付した塗布面に、上記の各脱離用プライマー組成物1~5及び比較例1及び2の脱離用プライマー組成物(計7種の脱離用プライマー組成物)を、バーコーターで塗布して、各脱離用プライマー組成物層が形成された計28種の試料を得た。上記UV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物を、それらの試料の各脱離用プライマー組成物層上に、バーコーターで印刷し、フォセオン・テクノロジー社製UV-LED光ランプにて、ランプとインクの塗布面との距離2cm下で、UV積算光量180mJ/cm2で完全に硬化して印刷物(積層体)を得た。
このUV硬化型インクジェット用印刷インキ組成物の印刷物(積層体)をMD15mm×TD25mm程度の小片に細断して、印刷層剥離試験用サンプルを得た。
【0038】
<EB(電子線)硬化型オフセット用印刷インキ組成物>
EB(電子線)硬化型オフセット用印刷インキ組成物として、下記EB(電子線)硬化型オフセット用印刷インキ組成物の調製したものが使用できるが、この組成物に限定されない。
(EB硬化型オフセット用印刷インキ組成物の調製)
PB15:3の22.7質量部、ポリエステルアクリレートオリゴマー:CN704(サートマー社)の40.0質量部、6EO変性TMPTA(6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート)の36.2質量部、メチルハイドロキノンの0.1質量部、ジメチルシリコーンオイル:TSF-451-5M(モメンティブ社)の1.0質量部を配合し、撹拌混合して、EB硬化型オフセット用印刷インキ組成物を得た。
【0039】
(EB(電子線)硬化型オフセット用印刷インキ組成物による印刷)
上記4種の樹脂基材層のそれぞれにアンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗付した塗布面に、上記の各実施例の脱離用プライマー組成物1~5及び比較例の脱離用プライマー組成物1及び2(計7種の脱離用プライマー組成物)を、バーコーターで塗布して、各脱離用プライマー組成物層が形成された計28種の試料を得た。上記EB硬化型オフセット用印刷インキ組成物を、それらの試料の各脱離用プライマー組成物層上に、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工(株)製)にて、それぞれ0.1cc転写し、電子線硬化装置(EC90、岩崎電気(株)製)(加速電圧90kV、照射量30kGy)を用いて、コンベアースピード10m/分で電子線を照射し、完全に硬化して印刷物(積層体)を得た。この各EB硬化型オフセット用印刷インキ組成物の印刷物(積層体)をMD15mm×TD25mm程度の小片に細断して、印刷層剥離試験用サンプルを得た。
【0040】
<UV(紫外線)硬化型オフセット用印刷インキ組成物>
UV(紫外線)硬化型オフセット用印刷インキ組成物として、下記UV硬化型オフセット用印刷インキ組成物の調製したものが使用できるが、この組成物に限定されない。
(UV硬化型オフセット用印刷インキ組成物の調製)
ロジン変性マレイン酸樹脂(ハリマックM-453 ハリマ化成社製)の50.0質量部、トリメチロールプロパン(6EO)トリアクリレート41.0質量部、ジメチルシリコーンオイル(KF-96H-10万cs)2.0質量部、2-メチル-1(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン5.0質量部、4.4’―ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを配合し、撹拌混合して、UV硬化型オフセット用印刷インキ組成物を得た。
【0041】
(UV硬化型オフセット用印刷インキ組成物による印刷)
上記4種の樹脂基材層のそれぞれにアンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗付した塗布面に、上記の各実施例の脱離用プライマー組成物1~5及び比較例の脱離用プライマー組成物1及び2(計7種の脱離用プライマー組成物)を、バーコーターで塗布して、各脱離用プライマー組成物層が形成された計28種の試料を得た。上記UV硬化型オフセット用印刷インキ組成物を、それらの試料の各脱離用プライマー組成物層上に、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工(株)製)にて、それぞれ0.1cc転写し、フォセオン・テクノロジー社製UV-LED光ランプにて、ランプとインクの塗布面との距離2cm下で、UV積算光量180mJ/cm2で完全に硬化して印刷物(積層体)を得た。
この各UV硬化型オフセット用印刷インキ組成物の印刷物(積層体)をMD15mm×TD25mm程度の小片に細断して、印刷層剥離試験用サンプルを得た。
【0042】
<シュリンク用印刷インキ組成物>
シュリンク用印刷インキ組成物として、例えばXBT-7018 N 藍 800(サカタインクス社製)を使用できるが、この組成物に限定されない。
【0043】
(シュリンク用印刷インキ組成物による印刷)
結晶化可能な収縮PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに、上記アンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗布・乾燥した後、上記脱離用プライマー組成物1をバーコーターで塗布・乾燥した。その後、その脱離用プライマー組成物層の上に上記シュリンク用印刷インキ組成物をバーコーターで印刷し乾燥・硬化させて印刷物(積層体)を得た。
このシュリンク用印刷インキ組成物の印刷物(積層体)をMD15mm×TD25mm程度の小片に細断して、印刷層剥離試験用サンプルを得た。
【0044】
<インキ脱離性の評価>
(アルカリ水溶液からなる脱離液)
98.0質量部の水に水酸化ナトリウム2.0質量部を添加し、撹拌・溶解してアルカリ水溶液からなる脱離液を得た。
(脱離)
HDPE(高密度ポリエチレン)製容器内に上記アルカリ水溶液からなる脱離液を入れ、湯浴により70℃に加熱した後、上記各印刷層剥離試験用サンプルをそれぞれの脱離液中に投入し、羽の直径が25mmのステンレススチール製撹拌羽を用いて30分間撹拌した。撹拌後、HDPE(高密度ポリエチレン)製容器を湯浴より取り出し、室温下で5分間静置した。脱離液と樹脂基材層等の各フィルム片を目開き約2mmのステンレススチール製網を用いて分離した。
(すすぎ)
脱離後の各フィルム片を容積が200ccの別のHDPE製容器に移し、水100gを加えた。羽の直径が25mmのステンレススチール製撹拌羽を用いて5分間撹拌した。5分間静置後、ステンレススチール製網を用いて各種フィルム片と水を分離した。各種フィルム片を乾燥後、各種フィルムからのインキの剥離性を目視評価した。
【0045】
<評価基準>
(インキの脱離性)
○:インキ被膜が被膜片としてフィルムから完全に剥離したもの
×:剥離しなかったもの
【0046】
(テープ接着強度(印刷、乾燥させた直後の各印刷物))
得られた各印刷物のそれぞれの印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷被膜の剥離する度合いから、以下の評価基準に沿って接着性を評価した。(評価基準)
〇:印刷被膜の面積比率として、フィルムからの剥離が5%未満であった。
△:印刷被膜の面積比率として、5%以上30%未満がフィルムから剥離した。
×:印刷被膜の面積比率として、30%以上がフィルムから剥離した。
【0047】
(バリア性)
JIS K7126 B法に準じて酸素透過率測定装置(Mocon社製、製品名:OX-TRAN1/50)を用いて酸素透過率(OTR値)を測定した。なお、測定は20℃において、65%RHの雰囲気下で行った。
〇:OTR値が10以下
×:OTR値が10を超えるもの
【0048】
以下の表1に、試験の結果を示す。「脱離用プライマー組成物を塗布せず」は、アンカーコート剤層、及び脱離用プライマー層を形成しなかった例、その他の例はアンカーコート剤を塗布し、その後、脱離用プライマー組成物1~5や、比較例1又は2の脱離用プライマー組成物を塗布した例である。
樹脂基材層、印刷方式、印刷インキ種類に関わらず同じ効果であったので、これらの要件をまとめて、下記表1に記載する。
【0049】
【表1】
【0050】
上記の例はアンカーコート層を形成した例だが、仮にアンカーコート層を形成しなくても、印刷直後等において印刷層は十分に接着性を有している。
上記表1によれば、本発明の脱離用プライマー組成物を使用することにより、樹脂基材層、アンカーコート層の有無、印刷インキ組成物や印刷方式の違いにも関わらず、本発明の脱離用プライマー層を形成させることにより、脱離性及びバリア性がいずれも良好であることがわかる。
【0051】
次に、裏刷り用印刷インキ組成物を使用した場合について説明する。
印刷層として、裏刷り用印刷インキ組成物からなる層を使用する場合には、樹脂基材層、アンカーコート層、脱離用プライマー層、印刷層、及びシーラント層を有する積層体となる。
<脱離用プライマー組成物>
上記記載のものと同様のものを使用した。
【0052】
<裏刷り用印刷インキ組成物>
裏刷り用印刷インキ組成物として、例えばベルフローラR藍800MK(サカタインクス社製)を使用できるが、この組成物に限定されない。
【0053】
(裏刷り用印刷インキ組成物による印刷)
上記4種の樹脂基材層のそれぞれにアンカーコート剤をバーコーターで乾燥塗布量が0.1g/mとなるように塗付した塗布面に、上記の各実施例の脱離用プライマー組成物1~5及び比較例の脱離用プライマー組成物1及び2(計7種の脱離用プライマー組成物)を、バーコーターで塗布して、各脱離用プライマー組成物層が形成された計28種の試料を得た。上記裏刷り用印刷インキ組成物に混合溶剤(酢酸エチル/酢酸プロピル/IPA(イソプロピルアルコール)=50/25/25)を加え、離合社ザーンカップNo.3にて16秒になるように希釈した希釈裏刷り用インキ組成物を、それらの試料の各脱離用プライマー組成物層上に、バーコーターで印刷、乾燥させ印刷層を得た。
【0054】
(ドライラミネート)
RXC-22#60(無延伸プロピレンフィルム(三井化学東セロ社))及びT.U.XTM:直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学東セロ社)それぞれに、バーコーターで接着剤(樹脂基材層がPET、NY、PEの場合:タケラックA-515/タケラックA-50、固形分30質量%)(樹脂基材層がOPPの場合:タケラックA-969V/タケラックA-5(固形分30質量%)を塗付した後、各印刷層に手貼りして接着させて各積層体を作成した。
【0055】
(押出しラミネート)
各印刷物(印刷層)の上にAC剤(タケラックA-3210/タケラックA-3072、固形分7質量%)を塗布し、更に押出しラミネート機で(溶融ポリエチレンスミカセンL705 樹脂温355℃(住友化学社))を積層させて各積層体を作成した。
【0056】
<インキ脱離性の評価>
この各積層体の印刷物をMD15mm×TD25mm程度の小片に細断して、印刷層剥離試験用サンプルを得た。
評価については上記記載した方法と同様な方法で実施した。
<評価基準>
(インキの脱離性)
○:インキ被膜が被膜片として樹脂基材層から完全に剥離したもの
×:剥離しなかったもの
結果は、表2に示す。
【0057】
<テープ接着強度(印刷、乾燥させた直後の各印刷物)及びバリア性の評価>
評価については上記記載した方法と同様な方法で実施した。結果は、表2に示す。
【0058】
(ラミネート強度)
各積層体を15mm幅に切断し、安田精機製作所社製剥離試験機を用いて、T型剥離強度を測定した。
(評価基準)
樹脂基材層がOPPの場合
〇:剥離強度が1.2N/15mm以上のもの
△:剥離強度が0.7N/15mm以上、1.2N/15mm未満のもの
×:剥離強度が0.7N/15mm未満のもの
樹脂基材層がPET, NY,PEの場合
〇:剥離強度が5N/15mm以上のもの
△:剥離強度が3N/15mm以上、5N/15mm未満のもの
×:剥離強度が3N/15mm未満のもの
【0059】
表2に試験の結果を示す。「脱離用プライマー組成物を塗布せず」は、アンカーコート剤、脱離用プライマー層を形成しなかった例である。その他の例はアンカーコートを塗布し、その後、脱離用プライマー組成物1~5や、比較例1又は2の脱離用プライマー組成物を塗布した例である。
樹脂基材層、印刷方式、印刷インキ層、接着剤層及びシーラント層の種類に関わらず同じ効果であったので、これらの要件をまとめて、下記表2に記載する。
【0060】
【表2】
【0061】
上記の例はアンカーコート層を形成した例だが、仮にアンカーコート層を形成しなくても、印刷直後等において接着性を有しており、特に問題は生じない。
上記表2によれば、本発明の脱離用プライマー組成物を使用することにより、樹脂基材層、印刷インキ組成物や印刷方式の違いにも関わらず、本発明の脱離用プライマー層を形成させることにより、脱離性、バリア性、印刷直後の接着性及びラミネート強度がいずれも良好であることがわかる。