(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159222
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】二塩基酸とポリオキシアルキレングリコールとのエステル
(51)【国際特許分類】
C10M 145/22 20060101AFI20241031BHJP
C08G 63/66 20060101ALI20241031BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20241031BHJP
C10N 30/02 20060101ALN20241031BHJP
C10N 40/04 20060101ALN20241031BHJP
C10N 40/06 20060101ALN20241031BHJP
C10N 40/22 20060101ALN20241031BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20241031BHJP
C10N 40/24 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C10M145/22
C08G63/66
C10N30:00 Z
C10N30:02
C10N40:04
C10N40:06
C10N40:22
C10N40:08
C10N40:24
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075069
(22)【出願日】2023-04-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】522450831
【氏名又は名称】築野グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】築野 卓夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 弥
(72)【発明者】
【氏名】福 和真
【テーマコード(参考)】
4H104
4J029
【Fターム(参考)】
4H104CB13C
4H104LA01
4H104LA20
4H104PA02
4H104PA03
4H104PA04
4H104PA05
4H104PA22
4H104PA23
4H104PA42
4H104PA44
4J029AA03
4J029AB01
4J029AE18
4J029BA03
4J029BA05
4J029BA08
4J029BA10
4J029BD06A
4J029BD07A
4J029BF25
4J029CA02
4J029CA09
4J029CC05A
(57)【要約】
【課題】潤滑油を改善する技術を提供すること。
【解決手段】本開示は、ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマー、またはポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物であって、該ポリマー中の脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分のうち二塩基酸由来の構成単位成分が50%以上である、組成物を提供する。本開示はまた、本開示のポリマーを含む潤滑油組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマー。
【請求項2】
ポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量が200~20,000である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの1つまたは1つより多くを含む、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
水酸基価が50mgKOH/g以下である、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレングリコールおよび前記二塩基酸はエステル化されて存在する、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項6】
前記二塩基酸は炭素数36の二塩基酸を含む、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項7】
前記二塩基酸は炭素数18の不飽和脂肪酸が二量化されて構成される二塩基酸を含む、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項8】
前記二塩基酸はオレイン酸またはリノール酸が二量化されて構成される二塩基酸を含む、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1または2に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物であって、該ポリマー中の脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分のうち二塩基酸由来の構成単位成分が50%以上である、組成物。
【請求項10】
前記脂肪酸オリゴマーが、二塩基酸および三塩基酸を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1または2に記載のポリオキシアルキレングリコールと
請求項1または2に記載の二塩基酸とを含む、
組合せ物。
【請求項12】
請求項1または2に記載のポリマーを合成するためのものである、請求項11に記載の組合せ物。
【請求項13】
ポリマーの合成方法を指示する指示書と、請求項11または12に記載の組合せ物を含む、請求項1に記載のポリマーを合成するためのキット。
【請求項14】
請求項1または2に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、潤滑油用組成物。
【請求項15】
請求項1または2に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、樹脂用組成物。
【請求項16】
請求項1または2に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、粘度改質剤用組成物。
【請求項17】
A)ポリオキシアルキレングリコールと二塩基酸とを加える工程と
B)A)で生じた混合物を重合条件に供する工程と
を包含する、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は二塩基酸を含むポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、潤滑油では、粘度指数が高いものもよいと考えられている。加えて、潤滑油としては高粘度域でも保存安定性が高い方がよいと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は構成単位成分として二塩基酸を含むポリマーに関する。一つの実施形態では、本開示のポリマーは、二塩基酸がポリオキシアルキレングリコールでエステル化されて提供される。本開示は、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数の高いポリマーを提供する。
【0004】
本開示は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマー。
(項目2)
ポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量が200~20,000である、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目3)
前記ポリオキシアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの1つまたは1つより多くを含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目4)
水酸基価が50mgKOH/g以下である、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目5)
前記ポリオキシアルキレングリコールおよび前記二塩基酸はエステル化されて存在する、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目6)
前記二塩基酸は炭素数36の二塩基酸を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目7)
前記二塩基酸は炭素数18の不飽和脂肪酸が二量化されて構成される二塩基酸を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目8)
前記二塩基酸はオレイン酸またはリノール酸が二量化されて構成される二塩基酸を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマー。
(項目9)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物であって、該ポリマー中の脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分のうち二塩基酸由来の構成単位成分が50%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは76%以上、さらにより好ましくは79%以上である、組成物。
(項目10)
前記脂肪酸オリゴマーが、二塩基酸および三塩基酸を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールと
先行する項目のいずれか一項に記載の二塩基酸とを含む、
組合せ物。
(項目12)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリマーを合成するためのものである、先行する項目のいずれか一項に記載の組合せ物。
(項目13)
ポリマーの合成方法を指示する指示書と、先行する項目のいずれか一項に記載の組合せ物を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマーを合成するためのキット。
(項目14)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、潤滑油用組成物。
(項目14A)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物の潤滑油に用いるための使用。
(項目14B)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物の潤滑油に用いる方法。
(項目14C)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、潤滑油用組成物の製造のための使用。
(項目15)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、樹脂用組成物。
(項目15A)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物の樹脂に用いるための使用。
(項目15B)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物の樹脂に用いる方法。
(項目15C)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、樹脂用組成物の製造のための使用。
(項目16)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、粘度改質剤用組成物。
(項目16A)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物の粘度改質剤に用いるための使用。
(項目16B)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物の粘度改質剤に用いる方法。
(項目16C)
先行する項目のいずれか一項に記載のポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、粘度改質剤用組成物の製造のための使用。
(項目17)
A)ポリオキシアルキレングリコールと二塩基酸とを加える工程と
B)A)で生じた混合物を重合条件に供する工程と
を包含する、先行する項目のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
(項目A1)
動粘度40℃が10,000mm2/s以上である、先行する項目のいずれか一項に記載の潤滑油用組成物。
(項目A2)
粘度指数が300以上である、先行する項目のいずれか一項に記載の潤滑油用組成物。
(項目A3)
60℃、空気下で1か月静置したときに流動性を維持できる、先行する項目のいずれか一項に記載の潤滑油用組成物。
【0005】
本明細書において、上記1または複数の特徴は、明示された組合せに加え、さらに組合せて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0006】
本開示に関する技術を利用することで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数の高い潤滑油用組成物を提供することができる。また、本開示は、ポリオキシアルキレングリコールと構成単位成分として二塩基酸を含むポリマーを用いることで、高粘度域での保存安定性、および粘度指数の向上を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本開示をさらに詳細に説明する。
【0008】
本開示の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の表現(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」等)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本開示中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本開示(定義を含めて)が優先する。
【0009】
(定義)
最初に本明細書において使用される用語および一般的な技術を説明する。
【0010】
本明細書において「ポリマー」とは重合されて形成される任意の物質をいう。本開示のポリマーは、代表的に、ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とする。通常ポリマーは、直鎖型でも、分岐型でもよく、直鎖と分岐の複合型であってもよい。
【0011】
本明細書において「二塩基酸」とは、水中で2つのプロトンを分離できる構造を持つ酸をいい、分子内の結合が飽和していても不飽和でもよい。代表的には、不飽和脂肪酸の二量化によって生成されるジカルボン酸の二塩基酸が使用されるが、この形態が飽和された形態(水素添加されたもの(水添と省略することもある))も使用され得る。代表的に1~4個のエチレン性二重結合と代表的に10~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下「不飽和脂肪酸A」という)と、代表的に1~4個のエチレン性二重結合と代表的に10~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下、「不飽和脂肪酸B」という)とを二量化反応において二重結合上で反応させることによって得られるジカルボン酸化合物である。一実施形態では、不飽和脂肪酸Aは、1個または2個のエチレン性二重結合と10~22個の炭素原子を有し、不飽和脂肪酸Bは、1個または2個のエチレン性二重結合と10~22個の炭素原子を有する。好適な不飽和脂肪酸A、Bの非限定的な例としては、テトラデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、テトラデセン酸(ツズ酸、フィセテル酸、ミリストレイン酸)、ヘキサデセン酸(パルミトール酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸など)、エイコセン酸(ガドレイン酸など)、およびドコセン酸(エルシン酸、セトレイン酸、及びブラシジン酸など)が挙げられる。二塩基酸は、通常炭素数20~44のものが好ましく、より好ましくは炭素数28~44、32~44、あるいは、36~44等を用いることができ、特定の好ましい実施形態では炭素数36のものが使用される。二塩基酸は、分子内の二重結合が移動したものや分岐化したものなど異性化されたものも含み得る。
二塩基酸の構造の例としては以下が挙げられるがこれらに限定されない。
【化1】
これらの構造は、本開示の目的ではどの構造を用いてもよい。
【0012】
本明細書において「ダイマー酸」とは、不飽和脂肪酸の二量化によって得られる二塩基酸を主成分としたものであり、例えば、10~22個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸を粘土触媒等にて二量化して得られる二塩基酸であり、炭素数36の二塩基酸を主成分としたものが周知である。
ダイマー酸は、市販される場合には、種々の混合物の組成物として提供され得る(例えば、築野オレオケミカルズ株式会社から入手可能なTd205、Td216、Td395等が挙げられる)。
ダイマー酸は、そこに含まれる一塩基酸(未反応物)、二塩基酸(主成分)、三塩基酸など(副生成物)によって種々の規格があり
【表1】
などの組成が知られている。ここで一塩基酸は実質的に影響しない程度に取り除かれている。各組成は液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー等で測定することができ、本開示においては、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
【0013】
本明細書において「一塩基酸」とは、水中で1つのプロトンを分離できる構造を持つ酸をいう。一実施形態では、不飽和脂肪酸であり、1個または2個のエチレン性二重結合と10~22個の炭素原子を有する。一実施形態では、飽和脂肪酸であり、10~22個の炭素原子を有する。好適な一塩基酸の非限定的な例としては、デカン酸(カプリン酸)ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、イソステアリン酸、イソオレイン酸、テトラデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、テトラデセン酸(ツズ酸、フィセテル酸、ミリストレイン酸)、ヘキサデセン酸(パルミトール酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸など)、エイコセン酸(ガドレイン酸など)、およびドコセン酸(エルシン酸、セトレイン酸、及びブラシジン酸など)が挙げられる。一塩基酸は、通常炭素数10~22のものが好ましく、より好ましくは炭素数14~22、16~22、あるいは、18~22等を用いることができ、特定の好ましい実施形態では炭素数18のものが使用される。一塩基酸は、分子内の二重結合が移動したものや分岐化した異性化されたものも含む。
【0014】
本明細書において「三塩基酸」とは、水中で3つのプロトンを分離できる構造を持つ酸をいい、代表的には、不飽和脂肪酸の三量体の形成によって生成されるトリカルボン酸の三塩基酸をいう。代表的に1~4個のエチレン性二重結合と代表的に10~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下「不飽和脂肪酸A」という)と、代表的に1~4個のエチレン性二重結合と代表的に10~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下、「不飽和脂肪酸B」という)と、代表的に1~4個のエチレン性二重結合と代表的に10~22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下、「不飽和脂肪酸C」という)とを三量体の形成において二重結合上で反応させることによって得られるトリカルボン酸化合物である。一実施形態では、不飽和脂肪酸Aは、1個または2個のエチレン性二重結合と10~22個の炭素原子を有し、不飽和脂肪酸Bは、1個または2個のエチレン性二重結合と10~22個の炭素原子を有し、不飽和脂肪酸Cは、1個または2個のエチレン性二重結合と10~22個の炭素原子を有する。好適な不飽和脂肪酸A、B、Cの非限定的な例としては、テトラデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、テトラデセン酸(ツズ酸、フィセテル酸、ミリストレイン酸)、ヘキサデセン酸(パルミトール酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸など)、エイコセン酸(ガドレイン酸など)、およびドコセン酸(エルシン酸、セトレイン酸、及びブラシジン酸など)が挙げられる。三塩基酸は、通常炭素数30~66のものが好ましく、より好ましくは炭素数42~66、48~66、あるいは、54~66等を用いることができ、特定の好ましい実施形態では炭素数56のものが使用される。三塩基酸は、分子内の二重結合が移動したものや分岐化した異性化されたものも含む。
【0015】
本明細書において「構成単位成分」とは、ポリマーを製造する際に使用される部分を言い、エステル化、重合化等によりポリマーとして提供される原料として定義される。ポリマーとの関係で説明する場合、ポリマーとして提供された場合の部分構造を示す用語としても用いられる。構成単位成分自体がポリマーであってもよい。ポリマー内に存在する場合は、構成単位成分はエステル化されていてもよいがそれに限定されない。
【0016】
本明細書において「ポリオキシアルキレングリコール」とは、オキシアルキレン単位からなるブロック部分を有する構造を有するブロック重合体または共重合体である。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、またはこれらの共重合体などが挙げられるが、これらに限定されない。本開示において、ポリオキシアルキレングリコールは、構成単位成分として提供される二塩基酸が、エステル化などで取り込まれて本開示ポリマーの構成部分として提供され得る。
【0017】
本明細書において「平均分子量」は、特に断らない限り「重量平均分子量」を指す。重量平均分子量は当該分野で公知の概念であり、重量分率による分子量の平均であり、分子量をM、分子の個数をNとして表記して、分子量Miにおける分子数をNiとするとMwは以下のように表現される:
【数1】
分母は分子量×分子数の合計で、分子は分子量の二乗×分子数の合計である。重量平均分子量Mwは、光散乱法を利用して求められる。本開示で使用される重量平均分子量は多様なものを使用することができ、実施例などで使用されるものとして、例えば、実施例4、5および6でポリテトラメチレングリコールの分子量250と650が例示され、例えば、使用され得る代表的な上限と下限について、100~2,000、好ましくは200~1,000などを挙げることができる。
【0018】
本明細書において「酸価」(AV)とは、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム(mg)数であり、油脂中に存在する遊離酸の数を示す指標である。特に断らない限り本開示ではJIS K 0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定される。
【0019】
本明細書において「水酸基価」(OHV)とは、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのミリグラム(mg)数であり、油脂中に存在する末端の水酸基の数を示す指標である。特に断らない限り本開示ではJIS K 0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定される。
【0020】
本明細書において「二量化」とは、少なくとも1つの種類の分子が相互に反応して、少なくとも2個の分子の分子量を足し合わせた分子量の増加を生じる反応を指す。二量化は、式
A+B→AB
により例示され得る。ここで、AはBと同一であるか、もしくは異なっていてもよい。用語「二量体」は、少なくとも1つの種類の2つの単量体単位の組み合わせを指す。
【0021】
本明細書において「脂肪酸オリゴマー」とは、二塩基酸が提供されるときに生じる各種重合生成物をいい、具体的には、不飽和脂肪酸を原料として二塩基酸を製造する場合の任意の生成物をいう。二塩基酸の製造時に生じる未反応物は一塩基酸(未反応物が異性化されたものも含む)といい、三量体以上を形成した場合は三塩基酸、四塩基酸などが生じるが、オリゴマーとは二量体以上のすべての重合体を脂肪酸オリゴマーと称する。二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸が、二重結合が移動したものや分岐化したものなど異性化されたものも含み得る。脂肪酸オリゴマーのうち、二塩基酸は本開示において主成分と考えられており、脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分のうち二塩基酸由来の構成単位成分が25%以上であることが好ましく、より好ましくは、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上等であり得る。下記例示的組成物では
【表2】
脂肪酸オリゴマーは二塩基酸および三塩基酸を指す。
【0022】
本明細書において「脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分」とは、ポリマー中に含まれる二塩基酸部分について、二塩基酸の原料となる不飽和脂肪酸に由来する脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分をいう。
【0023】
本明細書において「二塩基酸由来の構成単位成分」とは、ポリマー中に含まれる、二塩基酸部分について、二塩基酸の原料となる不飽和脂肪酸に由来する二塩基酸由来の構成単位成分をいう。本開示で使用される二塩基酸は、不飽和脂肪酸が二量化された段階で得られる粗ダイマー酸の段階でもよいが、好ましくは蒸留して得られる狭義のダイマー酸を用いてもよい。
【0024】
本明細書において「動粘度」とは、粘度をその液体の同一条件下(温度、圧力)における密度で除した値をいい、その単位はストークス(St){cm2/s}またはセンチストークス(cSt){mm2/s}を用い、特に断らない限り本開示ではJIS K 2283に準拠した方法により測定される。温度により変動し得るので、40℃における動粘度はKV40(動粘度40℃)と表現し、100℃における動粘度はKV100(動粘度100℃)などと表現する。動粘度は粘度の大小を表す指標であり、動粘度が高いということは、つまり、粘度が高いと言える。動粘度40℃は10,000mm2/s以上であることが好ましいがこれに限定されない。動粘度40℃は1,000mm2/s以上、2,000mm2/s以上、3,000mm2/s以上、4,000mm2/s以上、5,000mm2/s以上、6,000mm2/s以上、7,000mm2/s以上、8,000mm2/s以上、9,000mm2/s以上、または10,000mm2/s以上であることが好ましいがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書において「粘度指数」とは潤滑油の粘度の温度依存性を表す物性値であり、数値が大きいほど温度による粘度変化が小さいことを示す指標である。本明細書ではVI(viscosity index)としても記載される。本明細書において、特に断らない限り本開示ではJIS K 2283に準拠した方法により測定できる。数値の高い方が優れているとされている。一般に、動粘度を高くすれば粘度指数は高くなる。
粘度指数は300以上であることが好ましいがこれに限定されない。
【0026】
本明細書において「保存安定性」は本開示のポリマーなどの物性を指し、空気下、60℃で保存したときにゲル化しないことをいう。好ましくは、60℃で保存したときに、1週間~1か月でゲル化しないことが例示される。好ましくは、60℃で保存したときに、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11または12か月でゲル化しないことが好ましいがこれらに限定されない。本開示において、「流動性」とは、加熱溶融時に圧力を加えた際の合成樹脂の挙動をいい、動粘度が測定できる液状態であることをいう。流動性がある場合、ゲル化しておらず、流動性がない場合、ゲル化している状態である。
【0027】
本明細書において「エステル(化)」は当該分野で通常用いられる意味と同じ意味で用いられ、本開示のポリマーにおいて使用される場合、構成単位成分として使用されるポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸は、好ましくはエステル化されて提供されることが理解される。ポリマーにエステル(構造)が存在するかどうかは、NMR、IRまたはけん化価を測定することで確認することができ、本明細書においては、けん化価を測定することで確認することができる。
【0028】
本明細書において「指示書」とは、本開示を製造または使用する方法の、ユーザーに対する説明を記載したものである。この指示書は、本開示の原料をどのように使用してポリマーを合成するかを指示する文言が記載されている。また、指示書には、使用形態を指示する文言が記載されていてもよい。この指示書は、本開示が実施される国の監督官庁が規定した様式に従って作成されることができる。指示書は、紙媒体で提供され得るが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
【0029】
本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、試薬、原料、構成単位成分等、説明書など)が提供されるユニットをいう。安定性等のため、混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物、あるいは提供を受けた者がその場またはその後に合成、製造する場合の手順の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分をどのように使用するか、あるいは、試薬をどのように処理すべきかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが試薬キットとして使用される場合、キットには、通常、各種試薬等の使い方などを記載した指示書などが含まれる。
【0030】
本明細書において「潤滑油」とは、機械の歯車などを効率よく潤滑するための潤滑剤として使われる油をいう。エンジンオイル、ギア油、金属加工油、圧延油、および金属切削油もこの一種である。機械の接触部に生じる摩擦力や摩擦熱を減らし、摩耗を防ぐために用いられる。
【0031】
本明細書において「樹脂」とは、通常は軟化または溶融範囲を有し、かつ通常は貝殻状に割れる固体、半固体、または凝固体の有機材料をいい、広義にはこの用語はプラスチック用の基盤材料であり、プラスチックまたはPET(poly ethylene terephthalate)と交換可能に用いられ得る。
【0032】
本明細書において「粘度改質剤」とは、対象に加えたときにその対象の粘度が変化する薬剤をいう。対象としては油などを挙げることができるがそれに限定されない。粘度改質剤は、粘度指数向上剤を含み得る。
【0033】
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本開示中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組合せて使用することができることが理解される。
(ポリマー・ポリマーエステル)
【0034】
1つの局面において、本開示は、ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを提供する。本開示のポリマーは、高粘度、高粘度指数および/または保存安定性を達成するもので、従来にない特性を持ったポリマーが提示される。好ましくは、本開示のポリマーは、これらの2つの性質、あるいは好ましくは3つの性質を同時に達成し得ることが有利である。保存安定性、高粘度指数の両方を達成することが従来達成されておらず、本開示が予想外にこれを達成したものとして注目される。潤滑油では、粘度指数が高いほど良いとされている。理論に束縛されることを望まないが、通常、これらの性質は、トレードオフの関係にあるとされており、同時にクリアすることが非常に難しく、単純に動粘度を高くすれば、粘度指数は高くなる傾向があるとされていることから、保存安定性、高粘度指数の両方を達成する本開示のポリマーは予想外に顕著な特性を提供するものといえる。加えて、理論に束縛されることを望まないが、高粘度にしすぎると高分子量成分が多くなり、保存安定性が悪くなる(ゲル化)とされているが、本開示はポリマーの構成成分に含まれる特定の組合せを見出したことにより、これらの作用効果を達成した。
【0035】
本開示において用いられるポリマーは、構成単位成分(構成単位成分)として、ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸で構成させることができるが、必要により、本開示の目的が阻害されない範囲で、ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸と共重合可能な他の成分(例えば、構成単位成分、または一塩基酸)を含有させることができる。例えば、一塩基酸および/または三塩基酸、あるいは他の共重合用のモノマー(例えば、構成単位成分)を含有させることができる。したがって、本開示のポリマーは、本開示が目的とする高粘度、高粘度指数および/または保存安定性を達成するものである限り、任意の他の成分を含んでいてもよいことが理解される。その一つの基準としては、本明細書に記載される各種高粘度、高粘度指数および/または保存安定性の数値レベルまたはその組合せを達成するものであり得る。代表的には、高粘度(動粘度40℃:10,000mm2/s以上)、高粘度指数(粘度指数:300以上)および/または保存安定性(60℃×1週間~1か月でゲル化しない)であり得るがこれに限定されない。
【0036】
本開示において、本開示の構成単位成分であるポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸はエステル化されてポリマー中に存在してもよい。
【0037】
別の局面において、本開示は、ポリオキシアルキレングリコールおよび二塩基酸を構成単位成分とするポリマーを含む、組成物を提供する。この組成物は、ポリマー中の脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分のうち二塩基酸由来の構成単位成分が一定レベル、例えば50%以上であることが好ましく、より好ましくは、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上であり得る。
理論に束縛されること望まないが、脂肪酸オリゴマー由来の構成単位成分のうち二塩基酸由来の構成単位成分が50%以上等であることで、高粘度、高粘度指数および/または保存安定性を達成し、好ましくは、これらの2つの性質、あるいは3つの性質を同時に達成することができる。
別の局面において、本開示は、高粘度を達成するために、一塩基酸が30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下であり得、好ましくは10%以下である。また、三塩基酸は、保存安定性を良好に保つために、30%以下、25%以下、20%以下であり得、好ましくは20%以下である。
【0038】
本開示において用いられるポリオキシアルキレングリコールとしては、任意のものが用いられるが、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などが挙げられるところ、本開示は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの構成単位成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)が用いられる。
【0039】
本開示において用いられるポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量は、任意のものを用いることができるが、好ましくは、下限が100以上、200以上が挙げられ、または、上限が20,000以下、19,000以下、18,000以下、17,000以下、16,000以下、15,000以下、14,000以下、13,000以下、12,000以下、11,000以下、10,000以下、9,000以下、8,000以下、7,000以下、6,000以下、5,000以下、4,000以下、3,000以下、2,000以下、1,000以下が挙げられる、より好ましくは、100~20,000、200~10,000、200~9,000、200~8,000、200~7,000、200~6,000、200~5,000、200~4,000、200~3,000、200~2,000、または200~1,000などを挙げることができる。
【0040】
本明細書において、使用される二塩基酸はどのようなものでもよいが、好ましくは、炭素数30~44の二塩基酸が使用され、より好ましくは36の飽和または不飽和の二塩基酸が有利に使用される。別の好ましい実施形態では、二塩基酸は炭素数18の不飽和脂肪酸が二量化されて構成される二塩基酸を含み、より好ましくは、二塩基酸はオレイン酸またはリノール酸が二量化されて構成される二塩基酸を含む。別の実施形態では、これらの好ましい二塩基酸は水素添加され、飽和の二塩基酸として提供され得る。
【0041】
一つの実施形態では、本開示のポリマーはTd216および重量平均分子量600のポリエチレングリコール600(PEG600)を構成単位成分とするポリマー、Td216および重量平均分子量400のポリプロピレングリコール(PPG)を構成単位成分とするポリマー、Td216および重量平均分子量250のポリテトラメチレングリコール250(PTMG250)を構成単位成分とするポリマー、Td216および重量平均分子量650のポリテトラメチレングリコール650(PTMG650)を構成単位成分とするポリマー、Td205および重量平均分子量600のポリエチレングリコール600(PEG600)を構成単位成分とするポリマー、Td205および重量平均分子量400のポリプロピレングリコール(PPG)を構成単位成分とするポリマー、Td205および重量平均分子量250のポリテトラメチレングリコール250(PTMG250)を構成単位成分とするポリマー、Td205および重量平均分子量650のポリテトラメチレングリコール650(PTMG650)を構成単位成分とするポリマー、Td395および重量平均分子量600のポリエチレングリコール600(PEG600)を構成単位成分とするポリマー、Td395および重量平均分子量400のポリプロピレングリコール(PPG)を構成単位成分とするポリマー、Td395および重量平均分子量250のポリテトラメチレングリコール250(PTMG250)を構成単位成分とするポリマー、またはTd395および重量平均分子量650のポリテトラメチレングリコール650(PTMG650)を構成単位成分とするポリマーである。
【0042】
一つの実施形態では、本開示の組成物は、理論に束縛されることを望まないが、高粘度を提供し、粘度指数も良好である。達成され得る40℃における動粘度は、例えば1,000mm2/s以上、2,000mm2/s以上、3,000mm2/s以上、4,000mm2/s以上、5,000mm2/s以上、6,000mm2/s以上、7,000mm2/s以上、8,000mm2/s以上、9,000mm2/s以上、または10,000mm2/s以上であり、好ましくは、10,000mm2/s以上である。
【0043】
一つの実施形態では、本開示の組成物は、理論に束縛されることを望まないが、高粘度を提供し、粘度指数も良好である。達成され得る100℃における動粘度は、耐摩耗性の観点から、500mm2/s以上、600mm2/s以上、700mm2/s以上、800mm2/s以上、900mm2/s以上、1,000mm2/s以上、1,100mm2/s以上、1,200mm2/s以上、1,300mm2/s以上、1,400mm2/s以上、1,500mm2/s以上、1,600mm2/s以上、1,700mm2/s以上、1,800mm2/s以上、1,900mm2/s以上、2,000mm2/s以上、2,100mm2/s以上、2,200mm2/s以上、2,300mm2/s以上、2,400mm2/s以上、2,500mm2/s以上、2,600mm2/s以上、2,700mm2/s以上、2,800mm2/s以上、2,900mm2/s以上、3,000mm2/s以上、3,100mm2/s以上、3,200mm2/s以上、3,300mm2/s以上、3,400mm2/s以上、3,500mm2/s以上、3,600mm2/s以上、3,700mm2/s以上、3,800mm2/s以上、3,900mm2/s以上、4,000mm2/s以上、5,000mm2/s以上、6,000mm2/s以上、7,000mm2/s以上、8,000mm2/s以上、9,000mm2/s以上、または10,000mm2/s以上であり、好ましくは、1,000mm2/s以上であってよい。エステル系基油の100℃における動粘度は、低摩擦性の観点から、500mm2/s以上、600mm2/s以上、700mm2/s以上、800mm2/s以上、900mm2/s以上、1,000mm2/s以上、1,100mm2/s以上、1,200mm2/s以上、1,300mm2/s以上、1,400mm2/s以上、1,500mm2/s以上、1,600mm2/s以上、1,700mm2/s以上、1,800mm2/s以上、1,900mm2/s以上、2,000mm2/s以上、2,100mm2/s以上、2,200mm2/s以上、2,300mm2/s以上、2,400mm2/s以上、2,500mm2/s以上、2,600mm2/s以上、2,700mm2/s以上、2,800mm2/s以上、2,900mm2/s以上、3,000mm2/s以上、3,100mm2/s以上、3,200mm2/s以上、3,300mm2/s以上、3,400mm2/s以上、3,500mm2/s以上、3,600mm2/s以上、3,700mm2/s以上、3,800mm2/s以上、3,900mm2/s以上、4,000mm2/s以上、5,000mm2/s以上、6,000mm2/s以上、7,000mm2/s以上、8,000mm2/s以上、9,000mm2/s以上、または10,000mm2/s以上であり、好ましくは、1,000mm2/s以上である。好ましくは100℃における動粘度は、1,200~3,100mm2/sである。
【0044】
別の実施形態では、また本開示の組成物は、粘度指数が、例えば300以上、400以上、500以上、600以上、700以上、800以上、900以上、または1,000以上であり、好ましくは、300以上である。
【0045】
本開示に用いられるポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量は、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数の高いポリマーを作製する観点から、100以上、200以上、300以上であり、好ましくは200以上である。また、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数の高いポリマーを作製する観点から、10,000以下、9,000以下、8,000以下、7,000以下、6,000以下、5,000以下、4,000以下、3,000以下、好ましくは2,000以下である。なお、本開示において、ポリオキシアルキレングリコールの重量平均分子量は、以下の実施例に記載の方法に基づいて測定したときの値である。理論に束縛されることを望まないが、ポリオキシアルキレングリコールを用いることで、ポリオキシアルキレングリコールと二塩基酸を用いて作製したポリマーでは、そのポリマー中に残存するカルボキシル基やヒドロキシル基によって引き起こされるエステル交換が起きにくくなり、鎖長の延長が抑制されることにより、高分子化も抑制され、保存安定性を良好に保つことができる。
【0046】
本開示に用いられるポリマーの水酸基価を用いることで、反応の重合度を判断することができる。本開示のポリマーの水酸基価は、例えば、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下であるが、限定されない。好ましくは50以下である。
【0047】
本開示に用いられるポリマーの酸価を用いることで、反応の重合度を判断することができる。本開示のポリマーの酸価は、例えば、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下であるが、限定されない。好ましくは5以下である。
【0048】
本開示に用いられる脂肪酸オリゴマーは、二塩基酸または三塩基酸等を含みうる。これらを含むことで、高粘度、高粘度指数および/または保存安定性を達成し、好ましくは、これらの2つの性質、あるいは3つの性質を同時に達成することができる。
(製造)
【0049】
本開示は、本開示のポリマーを製造する技術、例えば方法、製造に使用するための各主成分、組成物、その組合せ、キット等を提供する。
【0050】
本開示のポリマーは例えば、ポリオキシアルキレングリコールに二塩基酸を加えた混合物を重合条件に供することにより、製造することができる。重合条件は重合が生じる限りに任意の条件を用いることができる。
【0051】
例示的な合成条件は、構成単位成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定がなく、大気であってもよく、あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。好ましくは、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスである。
【0052】
構成単位成分を重合させる際の温度は、特に限定がなく、通常、5~300℃程度の温度であることが好ましい。好ましくは、100℃~230℃の温度である。構成単位成分を重合させるのに要する時間は、重合条件によって異なるので一概には決定することができないことから任意であるが、通常、1~50時間程度である。好ましくは、1~30時間程度である。構成単位成分を重合させる条件は、触媒を添加してもよい。好ましくは、保存安定性を良好に保つために、触媒を添加せずに行う。
【0053】
本開示において、重合反応は、酸価が一定レベル(例えば、概ね5mgKOH/g以下になった時点で、任意に終了することができる。または水酸基価が一定レベル(例えば、概ね50mgKOH/g以下になった時点で、任意に終了することができる。または、残存している構成単位成分の量が一定レベル以下になった時点で、任意に終了することができる。なお、残存している構成単位成分の量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等を用いて測定することができる。
【0054】
したがって、別の局面では、本開示は、ポリオキシアルキレングリコールと二塩基酸とを含む、組合せ物を提供する。この組合せ物は、本開示のポリマーを合成するために用いることができる。したがって、本開示は、本開示のポリマーを合成するための組合せ物を提供するということもできる。組合せ物は、溶媒、触媒などの添加物、一塩基酸、三塩基酸等を含んでもよい。
【0055】
別の局面では、本開示は、ポリオキシアルキレングリコールと二塩基酸と指示書を備えるキットを提供する。キットの指示書には本開示のポリマーを製造する方法が記載され得る。
【0056】
(用途)
本開示のポリマーを用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数の高い組成物を提供する。前記組成物は、例えば潤滑油として利用することができる。
【0057】
(潤滑油)
本開示のポリマー、組成物などは、機械の歯車などを効率よく潤滑するための潤滑剤として使われる油である潤滑油として使用され得る。本開示は、エンジンオイルもこの一種である。機械の接触部に生じる摩擦力や摩擦熱を減らし、摩耗を防ぐために用いられる。潤滑油は、例えば、ギア油(デファレンシャル油及び工業用ギア油等)、MTF、変速機油[ATF、DCTF及びbelt-CVTF等]、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)、金属加工油、圧延油、金属切削油およびエンジン油(ガソリン用及びディーゼル用)等で使用され、本開示の組成物を用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数が高いため燃費低減効果が期待されるという点で有利である。
(樹脂)
本開示のポリマー、組成物などは、樹脂として用いられ、軟化または溶融範囲を有し、かつ通常は貝殻状に割れる固体、半固体、または凝固体の有機材料として提供され得る。本開示のポリマー、組成物などはプラスチック用の基盤材料として用いられ得る。樹脂は、例えば、自動車部品、電気電子部品、工業機械部品などの各種部品、プラスチック用の基盤材料等で使用され、本開示の組成物を用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数が高いため強度の向上が期待されるという点で有利である。
(粘度改質剤)
本開示のポリマー、組成物などは、油などに加えたときにその対象の粘度が変化する薬剤として用いられる。粘度改質剤は、例えば、エンジンオイル、自動変速装置液、ギア潤滑油、油圧油等で使用され、本開示の組成物を用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数が高いという点で有利である。
(粘度指数向上剤)
本開示のポリマー、組成物などは、油などに加えたときにその対象の粘度指数が向上する薬剤として用いられる。粘度指数向上剤は、例えば、エンジンオイル、自動変速装置液、ギア潤滑油、油圧油等で使用され、本開示の組成物を用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数が高いという点で有利である。
(可塑剤)
本開示のポリマー、組成物などは、プラスチックなどに加えたときにその対象の可塑性が変化する薬剤として用いられる。可塑剤は、例えば、樹脂、プラスチック等で使用され、本開示の組成物を用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数が高いため強度の向上が期待されるという点で有利である。
(乳化剤)
本開示のポリマー、組成物などは、乳化剤として用いられ得る。乳化剤は、例えば、水不溶性または水難溶性の有機薬剤の水中での分散等で使用され、本開示の組成物を用いることで、高粘度域でも良好な保存安定性を有し、粘度指数が高いため長期間保存しても分離や沈降が起こりにくく、分散安定性の向上が期待されるという点で有利である。
【0058】
(一般技術)
本明細書において用いられる化学的手法法は、当該分野において周知であり慣用されるものである。
【0059】
本明細書において、例示する各成分(潤滑剤、添加剤)等は、特に断らない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組合せて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計の含有量を意味する。各成分の性状は、各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計の性状を意味する。本明細書において、組成物を基準としたときの各元素の含有量は、組成物を直接元素分析することによって決定してもよく、添加剤に含まれる元素含有量と仕込み量とから算出することによって決定してもよい。
【0060】
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0061】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0062】
[重量平均分子量]
重量平均分子量(Mw)の測定方法としては、ポリマーを溶剤であるテトラヒドロフラン(THF)に溶解させてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算により測定した。すなわち、東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)、検出器にRI、ShodexカラムKF-402HQ、KF-403HQを用いて、流量0.300mL/min、濃度を10mgポリマー/THF2mLとし、注入量10μL、カラム温度40℃で測定を行った。
[酸価]
JIS K 0070(中和滴定法)に従って測定した。
[水酸基価]
JIS K 0070(中和滴定法)に従って測定した。
[動粘度]
JIS K 2283に従って、得られたポリマーの動粘度を測定した。
[粘度指数]
粘度指数は、JIS K 2283に従って測定された粘度指数を意味する。
[保存安定性]
1週間または1か月間、空気下で60℃で保存した際のゲル化の有無を測定した。
[ポリマーの原料]
ポリマーの製造に用いた原料は下記の通りである。
(ダイマー酸)
ダイマー酸;商品名;Td205;築野オレオケミカルズ株式会社製
商品名;Td216;築野オレオケミカルズ株式会社製
商品名;Td395;築野オレオケミカルズ株式会社製
(アルコール)
PEG600;商品名;ブラウノンPEG-600;青木油脂工業株式会社製
PPG;商品名;EXENOL420;AGC株式会社製
PTMG250;三菱ケミカル株式会社製
PTMG650;三菱ケミカル株式会社製
ネオペンチルグリコール(NPG);東京化成工業株式会社製試薬
トリメチロールプロパン(TMP);東京化成工業株式会社製試薬
ペンタエリスリトール(PE);Perstorp社製
【0063】
(実施例1 高粘度ダイマー酸エステル)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td216 281g(0.49モル)、ポリエチレングリコール600(PEG600) 324g(0.54モル)を仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温した。230℃到達後、減圧し、留出してくる生成水を除去しながら、エステル化反応を行った。酸価が5mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、ポリマーAを得た。
なお、ポリマーAの重量平均分子量は、18,038であった。
【0064】
(実施例2)
実施例1からTd216およびポリエチレングリコール600の量をTd216 340g(0.59モル)、ポリエチレングリコール600(PEG600) 375g(0.62モル)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリマーBを得た。
なお、ポリマーBの重量平均分子量は、24,304であった。
【0065】
(実施例3)
実施例1からポリエチレングリコール600をポリプロピレングリコールに変更し、Td216 347g(0.60モル)、ポリプロピレングリコール(PPG) 261g(0.66モル)を仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法により、ポリマーCを得た。
なお、ポリマーCの重量平均分子量は、22,462であった。
【0066】
(実施例4)
実施例1からポリエチレングリコール600をポリテトラメチレングリコール250に変更し、Td216 416g(0.72モル)、ポリテトラメチレングリコール250(PTMG250) 194g(0.78モル)を仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法により、ポリマーDを得た。
なお、ポリマーDの重量平均分子量は、17,274あった。
【0067】
(実施例5)
実施例1からポリエチレングリコール600をポリテトラメチレングリコール650に変更し、Td216 280g(0.48モル)、ポリテトラメチレングリコール650(PTMG650) 423g(0.65モル)を仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法により、ポリマーEを得た。
なお、ポリマーEの重量平均分子量は、18,220であった。
【0068】
(実施例6)
実施例4からTd216をTd205に変更し、Td205 420g(0.72モル)、ポリテトラメチレングリコール250(PTMG250) 194g(0.78モル)を仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法により、ポリマーFを得た。
なお、ポリマーFの重量平均分子量は、18,416であった。
【表3】
【0069】
(実施例7)
Td216の代わりにC44ダイマー酸を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリマーGを得る。
【0070】
以下の比較例では、実施例とは異なり、ポリオキシアルキレングリコールではなく比較例1~2では、同じグリコールでもネオペンチルポリオールを用いて実験を行った。
(比較例1)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td395 500g(0.87モル)、ネオペンチルグリコール(NPG)106g(1.02モル)を仕込み、実施例1と同様の方法により、ポリマーを得た。
なお、ポリマーの重量平均分子量は、16,625であった。
【0071】
(比較例2)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td395 456g(0.79モル)、ネオペンチルグリコール(NPG)137g(1.32モル)を仕込み、実施例1と同様の方法により、ポリマーを得た。
なお、ポリマーの重量平均分子量は、17,824であった。
【表4】
比較例1~2は実施例で用いたポリオキシアルキレングリコールではなく、ネオペンチルポリオールを用いたが、粘度指数が300未満であり、高粘度指数は達成されなかった。
【0072】
比較例3~7では、粘度指数を上げるために比較例1~2よりも多官能のネオペンチルポリオールを用いて実験を行った。
(比較例3)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td216 578g(1.00モル)、ペンタエリスリトール(PE)79g(0.58モル)を仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温した。230℃到達後、減圧し、留出してくる生成水を除去しながら、エステル化反応を行ったが、反応中にゲル化した。
【0073】
(比較例4)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td216 531g(0.92モル)、トリメチロールプロパン(TMP)95g(0.71モル)を仕込み、比較例4と同様の方法によりエステル化反応を行ったが、反応中にゲル化した。
【0074】
(比較例5)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td395 549g(0.95モル)、ネオペンチルグリコール(NPG)21g(0.20モル)及びトリメチロールプロパン(TMP)81g(0.60モル)を仕込み、比較例4と同様の方法によりエステル化反応を行ったが、反応中にゲル化した。
【0075】
(比較例6)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td395 566g(0.98モル)、ネオペンチルグリコール(NPG)47g(0.45モル)及びトリメチロールプロパン(TMP)60g(0.45モル)を仕込み、比較例4と同様の方法によりエステル化反応を行ったが、反応中にゲル化した。
【0076】
(比較例7)
攪拌器、温度計、脱水管-冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、Td395 589g(1.02モル)、ネオペンチルグリコール(NPG)81g(0.78モル)及びトリメチロールプロパン(TMP)35g(0.26モル)を仕込み、比較例4と同様の方法によりエステル化反応を行ったが、反応中にゲル化した。
【表5】
*比較例5~7のアルコール分子量は、モル比から計算値で算出
比較例3~7は実施例で用いたポリオキシアルキレングリコールではなく、多官能のネオペンチルポリオールを用いたが、反応中にゲル化してしまい、保存安定性は達成されなかった。
【0077】
(実施例8)用途1:潤滑油
実施例1~7に記載のポリマーおよび添加剤とし、酸化防止剤や流動点降下剤、防錆剤、極圧剤、乳化剤、または清浄分散剤などを添加することにより潤滑油を作製する。
(実施例9)用途2:樹脂
実施例1~7に記載のポリマーおよび添加剤として、酸化防止剤や可塑剤、または光安定剤などを添加することにより樹脂を作製する。
(実施例10)用途3:粘度改質剤
実施例1~7に記載のポリマーを潤滑油に加えることにより、添加する潤滑油の粘度を変更させる。
【0078】
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
前記ポリオキシアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの1つまたは1つより多くを含む、請求項1または2に記載の組成物。
前記ポリオキシアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの1つまたは1つより多くを含む、請求項1に記載の組成物。