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特開2024-159236テープ挟持方法、結束機、及び結束物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159236
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】テープ挟持方法、結束機、及び結束物
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65B13/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075090
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】竹村 元
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA06
3E052AA07
3E052BA01
3E052CB05
3E052HA20
3E052LA04
3E052LA09
(57)【要約】
【課題】結束作業を効率良く進めることができる結束機を提供する。
【解決手段】本開示のテープ挟持方法は、結束対象物60を包囲する帯状のテープ70をステープル50で挟持するテープ挟持方法であって、テープ70の一端である第1端部72と、テープ70の他端である第2端部74とを重ね、第1端部72と第2端部74との重なる部分をテープ70の一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側から挟み込むようにステープル50を変形させ、テープ70を挟持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束対象物を包囲する帯状のテープをステープルで挟持するテープ挟持方法であって、
前記テープの一端である第1端部と、前記テープの他端である第2端部とを重ね、
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を前記テープの一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側から挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
テープ挟持方法。
【請求項2】
前記ステープルは、クラウン部と、前記クラウン部に一端が接続された第1脚部と、を有し、
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を、前記クラウン部と前記第1脚部との間で挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
請求項1に記載のテープ挟持方法。
【請求項3】
前記ステープルは、前記クラウン部の他端に接続する第2脚部を有し、
前記第1脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げ、前記第2脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げることにより前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
請求項2に記載のテープ挟持方法。
【請求項4】
前記第1端部と、前記第2端部とを、前記テープの短手方向における前記一対の側縁が互いに向かい合う方向に折り曲げつつ、前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置させる、請求項3に記載のテープ挟持方法。
【請求項5】
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分の前記テープの短手方向における一部を、前記テープの長手方向に延びる折り目が形成されるように前記第1脚部で折り曲げて、前記テープを挟持する、
請求項2に記載のテープ挟持方法。
【請求項6】
結束対象物を包囲する帯状のテープをステープルで挟持することにより、前記テープをステープルで挟持するテープ結束機であって、
前記テープの一端である第1端部と、前記テープの他端である第2端部とを重ねる、テープ重ね部と、
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を前記テープの一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側から挟み込むように前記ステープルを変形させて前記テープを挟持する結束部と、
を備える結束機。
【請求項7】
前記ステープルは、クラウン部と、前記クラウン部に一端が接続された第1脚部と、を有し、
前記結束部は、前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を、前記クラウン部と記第1脚部との間で挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
請求項6に記載の結束機。
【請求項8】
前記ステープルは、前記クラウン部の他端に接続する第2脚部を有し、
前記結束部は、
前記第1脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げ、前記第2脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げることにより、前記テープを挟持する、
請求項7に記載の結束機。
【請求項9】
前記第1端部と、前記第2端部とを、前記テープの短手方向における一対の側縁が互いに向かい合う方向に折り曲げつつ、前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置させる、テープ折り曲げ部を備える、請求項8に記載の結束機。
【請求項10】
前記結束部は、前記ステープルを打ち出すステープル打ち出し部を有し、
前記テープ折り曲げ部は、前記第1端部及び前記第2端部の、前記テープの長手方向において、前記ステープル打ち出し部に対して一方または他方を押圧することにより前記テープを折り曲げる、請求項9に記載の結束機。
【請求項11】
前記結束部は、前記テープを支持するテープ当接部を備え、 前記テープ当接部は、前記ステープル打ち出し部と対向する位置に設けられ、前記テープ折り曲げ部が挿入可能な開口部を有する、請求項10に記載の結束機。
【請求項12】
前記開口部の前記クラウン部の延伸方向における幅は、前記テープの幅より小さい、請求項11に記載の結束機。
【請求項13】
前記結束部は、前記ステープルを打ち出すステープル打ち出し部と、前記ステープル打ち出し部によって打ち出された前記ステープルを曲げる曲げ部とを有し、
前記テープ折り曲げ部は、前記曲げ部に対して移動可能であり、前記打ち出し部に向かう方向に付勢される、請求項9に記載の結束機。
【請求項14】
結束対象物を包囲する帯状のテープを用いて、
前記テープの重なる部分をステープルで挟持した結束物であって、
前記重なる部分は、前記テープの短手方向に折り返された状態で、前記ステープルにより挟持される、
結束物。
【請求項15】
前記重なる部分は、前記テープの長手方向に延びる折り目が形成されるように短手方向に折り曲げられた状態で、前記ステープルにより挟持される、請求項14に記載の結束物。
【請求項16】
前記ステープルは、クラウン部と、前記クラウン部の両端に接続する一対の脚部とを有し、
前記重なる部分は、前記短手方向に折り曲げられた状態で前記クラウン部と一対の前記脚部とで挟持される、請求項15に記載の結束物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、テープ挟持方法、結束機、及び結束物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、農作物や電線等の結束作業においては、誘引結束作業用の結束機が用いられている。例えば、特許文献1には、把持部により把持されたテープを被結束物にかけ回し、テープを結束する結束機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-031124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術においては、被結束物を包囲するテープの一端及び他端を、ステープルで互いに離れないように留める場合に、ステープルをテープに刺すことによりテープの端部同士を固定する。本発明者等の検討によれば、このとき、ステープルを刺した穴が形成される箇所よりテープが破損する可能性があることがわかった。テープが破損すると、互いに結束された複数本の電線等の被結束物(結束対象物)の結束が緩む可能性がある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、テープの破損の発生を抑制することができる結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、結束対象物を包囲する帯状のテープをステープルで挟持するテープ挟持方法であって、前記テープの一端である第1端部と、前記テープの他端である第2端部とを重ね、前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を前記テープの一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側から挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、テープ挟持方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によりテープの破損の発生を抑制することができる結束機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る結束機100の全体斜視図である。
図2A図2Aは、本実施形態に係る結束機本体部200の内部を示す斜視図である。
図2B図2Bは、本実施形態に係る結束機本体部200の内部を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る結束機本体部200のY方向前側から見た図である。
図4図4は、本実施形態に係る結束前のステープル50の模式的な断面図である。
図5図5は、本実施形態に係るクリンチャユニット駆動カム230aと、マガジンユニット駆動カム240aと、駆動カムシャフト230b1とを示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係るクリンチャユニット駆動カム230aの斜視図である。
図7図7は、本実施形態に係るマガジンユニット駆動カム240aの斜視図である。
図8図8は、本実施形態に係る回転部210及びテープ保持部220の斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係る回転部210及びテープ保持部220の斜視図である。
図10図10は、本実施形態に係る回転部210及びテープ保持部220を-X方向より見た図である。
図11図11は、本実施形態に係る回転部210及びテープ保持部220を-X方向より見た図である。
図12図12は、本実施形態に係る回転部210と、テープ保持部220と、壁部282とを示す斜視図である。
図13図13は、本実施形態に係るクリンチャユニット230の斜視図である。
図14図14は、本実施形態に係るクリンチャユニット230の斜視図である。
図15図15は、本実施形態に係るマガジンユニット240の斜視図である。
図16図16は、本実施形態に係るマガジンユニット240の斜視図である。
図17図17は、本実施形態に係るテープ保持部220の断面図である。
図18図18は、本実施形態に係るテープ保持部220を-Y方向から見た図である。
図19図19は、本実施形態に係るテープ保持部220を-Y方向から見た図である。
図20A図20Aは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20B図20Bは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20C図20Cは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20D図20Dは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20E図20Eは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20F図20Fは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20G図20Gは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20H図20Hは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20I図20Iは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図20J図20Jは、本実施形態に係る結束機本体部200を-X方向から見た断面図である。
図21A図21Aは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21B図21Bは、本実施形態に係る結束機100に設けられるギヤ列292を+Y方向の斜め前から見た図である。
図21C図21Cは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21D図21Dは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21E図21Eは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21F図21Fは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21G図21Gは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21H図21Hは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21I図21Iは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図21J図21Jは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。
図22A図22Aは、本実施形態に係るテープ保持部220の斜視図である。
図22B図22Bは、本実施形態に係るテープ保持部220の斜視図である。
図22C図22Cは、本実施形態に係るテープ保持部220の斜視図である。
図23A図23Aは、本実施形態に係るテープ排除部320を説明する図である。
図23B図23Bは、本実施形態に係るテープ排除部320を説明する図である。
図23C図23Cは、本実施形態に係るテープ排除部320を説明する図である。
図24A図24Aは、本実施形態に係る結束機本体部200の斜視図である。
図24B図24Bは、本実施形態に係る結束機本体部200の斜視図である。
図25】本実施形態に係るテープ70の模式的な図である。
図26A図26Aは、本実施形態に係るクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の一部をY方向前方から見た図である。
図26B図26Bは、本実施形態に係るクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の一部をY方向前方から見た断面図である。
図26C図26Cは、本実施形態に係るクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の一部の斜視図である。
図27A図27Aは、本実施形態に係るクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の一部をY方向前方から見た図である。
図27B図27Bは、本実施形態に係るクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の一部をX方向左側から見た図である。
図28図28は、本実施形態に係るクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の一部をY方向前方から見た図である。
図29図29は、本実施形態に係るテープ挟持方法を説明するフローチャートである。
図30A図30Aは、本実施形態に係る結束物500の一例を示す模式的な断面図である。
図30B図30Bは、本実施形態に係る結束物500の一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る結束機100の構成について説明する。なお、各図面には、X軸、Y軸及びZ軸を示すことがある。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、X軸の矢印方向を+X方向、矢印とは逆方向を-X方向と呼ぶ。その他の軸についても同様である。なお、+Z方向及び-Z方向を、それぞれ「上側」乃至「上方」及び「下側」乃至「下方」と呼ぶこともある。また、X軸、Y軸又はZ軸にそれぞれ直交する面を、YZ面、ZX面又はXY面と呼ぶことがある。ただしこれら方向等は相対的位置関係を説明するために便宜的に用いられているものである。従ってこれら方向等は絶対的位置関係を規定するものではない。
【0011】
また、以下では、本実施形態に係る結束機100において、結束対象物の結束に用いられる結束物(「結束材」と呼ばれる場合がある。)として、帯状のテープを用いる場合を例に説明する。本実施形態に係る結束機100は、例えば、伸縮性を有するテープを用いて結束する場合に適用することができる。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態である結束機100の全体斜視図である。図1に示されるように、結束機100は、結束機本体部200と、テープリール800とを備える。図1に示されるように、結束機100は、さらに、バッテリー部900を備える、結束機本体部200とバッテリー部900とは、電源コード910を介して接続されている。結束機本体部200は、テープリール800と、結束対象物挿入口210aと、ハンドル部820とを備える。結束機100は、電源コード910を介してバッテリー部900から結束機本体部200に電力を供給し、テープリール800から引き出したテープ70を、結束対象物挿入口210aに挿入された不図示の結束対象物の周囲を包囲し、結束するように構成される。
【0013】
以下、図2A乃至図3を参照して、結束機本体部200について説明する。図2Aは、結束機本体部200の筐体のうち、-X側(図1においてX方向左側)の部分である第1筐体部を外し、内部を示す斜視図である。図2Bは、結束機本体部200の筐体のうち、+X側(図1においてX方向右側)の部分である第2筐体部を外し、内部を示す斜視図である。図3は、結束機本体部200の第1筐体部及び第2筐体部を外した状態で正面(図1においてY方向前側から見た図である。
【0014】
図2Aに示されるように、結束機本体部200は、回転部210とテープ保持部220(本実施形態において、結束材保持部220)とを含む結束材送り部202(本実施形態において、テープ送り部202ともいう。)と、クリンチャユニット230と、マガジンユニット240と、モータ250と、マガジンユニット駆動カム240aと、マガジンユニット駆動カムシャフト240bと、アームシャフト280bと、を備える。図2Aには、テープ70も併せて示す。後に詳述するように、本実施形態に係る結束機100においては、結束機本体部200のU字形に設けられた回転部210の開口部210aに挿入される結束対象物(被結束物)を、テープ保持部220により結束対象物を包囲したテープ70を、マガジンユニット240より供給されるステープル(後述するステープル50)のクラウン部(後述するクラウン部52)と脚部(後述する脚部54a及び脚部54bの少なくとも一方)との間に位置させた状態で、マガジンユニット240のドライバ242と、クリンチャユニット230のクリンチャ232と、によりステープル50を曲げることにより結束する。従って、クリンチャユニット230と、マガジンユニット240とは、本実施形態において、結束部を構成する。また、上述のように、本実施形態においては、回転部210と、テープ保持部220により、結束材送り部202が構成される。
【0015】
図2Bに示されるように、結束機本体部200の、図2Aと反対側(図2Bにおける+X方向)には、クリンチャユニット駆動カム230aと、クリンチャユニット駆動カムシャフト230bと、モータギヤ250cと、複数のギヤを含むギヤ列290と、が設けられている。図2Bに示す例においては、ギヤ列290は第1ギヤ290-1、第2ギヤ290-2…第7ギヤ290-7を含む。モータ250の駆動がモータギヤ250cを介して、ギヤ列290を構成する任意の数の各ギヤ290-1…290-n(nは自然数)に伝達されることにより、結束機本体部200の各構成が駆動される。本実施形態においては、ギヤ列290により一つの駆動モータの駆動力が回転部210、クリンチャユニット230、マガジンユニット240等を駆動するように伝達される。また、テープ保持部220は、回転部210に追随して動くように設けられる。従って、本実施形態においては、いずれも一つの駆動モータであるモータ250の駆動力により駆動されるので、テープ保持部220や回転部210を含む結束材送り部202と、クリンチャユニット230やマガジンユニット240を含む結束部とが連動する。
【0016】
図3に示されるように、結束機本体部200において、クリンチャユニット230と、マガジンユニット240とは、Z方向にこの順に並ぶように配置され、クリンチャユニット230は、マガジンユニット240の+Z方向に配置されている。また、クリンチャユニット駆動カム230aと、マガジンユニット駆動カム240aとは、クリンチャユニット230やマガジンユニット240に対してX方向に互いに反対方向に配置されている。マガジンユニット駆動カム240aはクリンチャユニット230やマガジンユニット240の-X方向に配置され、クリンチャユニット駆動カム230aは、クリンチャユニット230やマガジンユニット240の+X方向に配置される。本実施形態においては、クリンチャユニット駆動カム230aと、マガジンユニット駆動カム240aとは同一回転軸を中心に回転するように構成されている。従って、本実施形態においては、クリンチャユニット駆動カムシャフト230bと、マガジンユニット駆動カムシャフト240bとは、一体に形成されており、以降、クリンチャユニット駆動カムシャフト230bと、マガジンユニット駆動カムシャフト240bとをまとめて駆動カムシャフト230b1とも称する。
【0017】
図4を参照して、本実施形態に係る結束機100において用いられるステープル50の構成について説明する。図4は、本実施形態に係る結束前のステープル50の模式的な断面図である。図4に示されるように、ステープル50は、クラウン部52と、一対の脚部第1脚部54a及び第2脚部54b)とを有する。本実施形態に係る結束機100においては、マガジンユニット240より供給されたステープル50が、マガジンユニット240のドライバ242及びクリンチャユニット230のクリンチャ232により+Z方向及び-Z方向から挟まれ、第1脚部54a及び第2脚部54bがクラウン部52に向かう方向に曲げられることにより、ステープル50を用いた結束材の結束が行われる。
【0018】
図5を参照して、クリンチャユニット駆動カム230aとマガジンユニット駆動カム240aとの関係について説明する。図5は、クリンチャユニット駆動カム230aと、マガジンユニット駆動カム240aと、駆動カムシャフト230b1とを示す斜視図である。図5には、クリンチャユニット駆動カム230aと、マガジンユニット駆動カム240aとに駆動力を伝達するギヤである第5ギヤ290-5も併せて示す。図5に示されるように、第5ギヤ290-5を介して伝達される駆動力により駆動カムシャフト230b1が回転することにより、クリンチャユニット駆動カム230a及びマガジンユニット駆動カム240aが回転するように構成されている。
【0019】
図6を参照して、クリンチャユニット駆動カム230aについて説明する。図6は、クリンチャユニット駆動カム230aの斜視図である。図6に示されるように、クリンチャユニット駆動カム230aは、開口部230aaと、クリンチャユニット駆動カム溝部230agとを備える。駆動カムシャフト230b1は、開口部230aaに挿入される。クリンチャユニット230は、クリンチャユニット駆動カム溝部230agと係合するように設けられている、クリンチャユニット駆動カム溝部230agは、開口部230aaに対して同心円状ではない。従って、クリンチャユニット駆動カム溝部230agは、開口部230aaの中心付近の軸に相当する回転中心軸からの距離が回転角度により異なるように設けられている。そのため、クリンチャユニット230は、クリンチャユニット駆動カム230aの回転に伴い、結束機本体部200内のマガジンユニット240等の他の構成との相対的な距離が変化する。これにより、マガジンユニット240に相対的に接近した際にテープ70を留める等の動作を行い、結束対象物の結束等を行う。クリンチャユニット駆動カム230aの外周部230acは、後述するように、テープ保持部220によるテープ70の保持及びテープ70の保持の解除が可能となるようにテープ保持解除部310の動作を規制できるように構成されている。
【0020】
図7を参照して、マガジンユニット駆動カム240aについて説明する。図7は、マガジンユニット駆動カム240aの斜視図である。図7に示すように、マガジンユニット駆動カム240aは、開口部240aaと、マガジンユニット駆動カム溝部240agとを備える。クリンチャユニット駆動カム230aと同様に、駆動カムシャフト230b1は、開口部240aaに挿入される。また、マガジンユニット240は、マガジンユニット駆動カム溝部240agに係合するように設けられており、マガジンユニット駆動カム240aの回転に伴い、マガジンユニット240とクリンチャユニット230との相対的な距離が変化され、結束対象物の結束等が行われる。
【0021】
図8及び図9を参照して、回転部210及びテープ保持部220を含む結束材送り部202について説明する。図8及び図9は、回転部210及びテープ保持部220の斜視図である。図8は、回転部210及びテープ保持部220をY方向前側から見た斜視図であり、図9は、回転部210及びテープ保持部220をY方向後ろ側から見た斜視図である。図8及び図9に示されるように、テープ保持部220は、回転部210の一部に配置され、回転部210の回転に伴って回転可能に配置されている。
【0022】
図8及び図9に示されるように、回転部210には、Y方向に開口する開口部210aが設けられている。従って、回転部210は断面U字状の形状を有し、テープ保持部220は、回転部210のU字形状の底辺に相当する部分の付近に配置されている。後述するように、回転部210の開口部210aに結束対象物60が挿入される。すなわち、本実施形態において、回転部210は、回転可能に構成され、回転中心軸に平行な方向から見て外周の一部に開口し、後述の結束対象物60を受け入れ可能な開口部210a(第1開口部210a)を有する。また、回転部210の外周には歯部210tが設けられている。歯部210tは、第6ギヤ290-6及び第7ギヤ290-7と係合可能に設けられている。従って、回転部210は、第6ギヤ290-6の回転及び第7ギヤ290-7の回転に伴い、回転中心軸を中心に回転する。また、回転部210には、テープ保持部220が当接可能となるように配置された当接部215が設けられている。
【0023】
図8に示されるように、テープ保持部220は、一対の爪部222a及び222bを含むテープ押さえ部222と、テープ支持部223と、テープ保持部回転中心部224と、一対の爪部222a及び222bに対応してそれぞれ設けられる一対のねじりコイルバネ226a及び226bと、引っ張りばね228と、を備える。テープ支持部223には、開口部223c(図8において不図示、図9参照)が設けられている。ねじりコイルバネ226a及び226bは、それぞれ、爪部222a及び222bに付勢する。爪部222aは先端部222a1を有し、爪部222bは先端部222b1を有する。爪部222aは、コイルバネ226aにより、先端部222a1がテープ支持部223に向かう方向に付勢される。爪部222bは、コイルバネ226bにより、先端部222b1がテープ支持部223に向かう方向に付勢される。このように爪部222a及び222bがテープ支持部223に対して付勢されることにより、テープ保持部220がテープ70を保持する。
【0024】
テープ保持部220は、テープ保持部回転中心部224を中心に回転部210に対し、回動可能に構成されている。引っ張りばね228は、テープ保持部220の回動時に、テープ保持部220の動きを規制するように構成される。また、回転部210の回転角度に応じて、テープ保持部220は当接部215に当接され、テープ保持部220の回転部210の径方向の位置やテープ保持部220の回転角度を規定するように構成されている。また、図9に示されるように、テープ保持部220には、係合部225が設けられている。後述するように、係合部225の一方の端部225e1が結束機本体部200に設けられる壁部282の溝部282gと係合するように構成されている。これにより、係合部225を介して、テープ保持部220が、溝部282gの形状に追随して移動する。これにより、テープ保持部220が結束対象物60から離れる方向に移動する等のテープ保持部220の動作が実現される。従って、本実施形態においては結束材保持部220(テープ保持部220)は、回転部210に付随して、回転部210の回転中心軸を中心とする半径が第1半径である第1円の円周に沿って移動する第1移動状態と、第1円から径方向外側に移動する第2移動状態と、を行うように構成される。テープ保持部220にはさらに、切断刃通過スリット229が設けられている。後述するテープ70を切断する際に切断刃238(本実施形態におけるテープ切断部)が切断刃通過スリット229を通過する。
【0025】
図10乃至図12を参照して、テープ保持部220の動作を説明する。図10及び図11は、回転部210及びテープ保持部220を-X方向より見た図である。図10及び図11は、結束対象物を結束する際のある時点において、回転部210が回転を停止している間に、テープ保持部220が回転部210に比較的近い位置にある場合と、回転部210から比較的離れた位置にある場合とをそれぞれ示す。図12は、回転部210と、テープ保持部220と、回転部210が結束機本体部200に対し設けられる部分である壁部282とを示す斜視図である。
【0026】
図12に示されるように、壁部282には、+Y方向に開口する開口部282a(本実施形態において、第2開口部282a)が設けられている。従って、壁部282は、U字形状を有する。また、図12に示されるように、壁部282は、回転部210の外周に位置する。本実施形態においては、壁部282は結束機本体部200に対して固定されているのに対し、回転部210は壁部282に対して回転可能に設けられている。図12に示される例においては、壁部282の開口部282aと回転部210の開口部210aとが連通している。なお、図12は、開口部282aと開口部210aとが連通している状態を示しているので、図12において、開口部282aと開口部210aとにより、同じ位置が示される。回転部210は、壁部282に沿って回転することにより、開口部210aと開口部282aとが連通する状態と、開口部210aが、壁部282における開口部282aの反対側に位置すると共に、回転部210の開口部210a以外の一部が開口部282a側に位置する状態とを含む複数の状態を採り得る。すなわち、回転部210は、開口部210aが壁部282の開口部282aの反対側以外の、例えば壁部282のU字形状の一対の脚部のいずれかに重なるように位置する状態等をも採り得る。
【0027】
本実施形態においては、開口部210aと開口部282aとが連通した状態で、テープ70の一対の端部(第1端部72及び第2端部74)の重なる部分をクリンチャユニット230やマガジンユニット240によりステープル50を用いて留める。テープ70を留める際、例えばステープル50の破損やステープル50の詰まり等が発生し、結束部(クリンチャユニット230やマガジンユニット240)の作動が停止する場合がある。結束部の作動が停止すると、結束部に対して連動している回転部210の作動も停止する。従って、回転部210の開口部210aが壁部282の開口部282aと連通しておらず、例えば開口部210aが壁部282のU字形状の底辺または一対の脚部のいずれかに重なる位置する場合に、結束部が停止してしまうと、回転部210が停止しているので、回転部210を開口部210aと開口部282aとが連通する状態に遷すことができず、結束対象物60を除去できない。本実施形態においては、開口部210aと開口部282aとが連通した状態で、テープ70の一対の端部の重なる部分を留めることにより、ステープル50の破損等が発生した場合にも、結束対象物60を開口部210aから容易に除去できる等、不具合に対し処理することができる。
【0028】
図10及び図11には、係合部225の壁部282に係合する端部(端部225e1)と反対側の端部225e2も併せて示す。テープ保持部220は、図12に示されるように、係合部225を介して、壁部282の溝部282gに係合されており、係合部225の溝部282gへの追随に伴い、図10及び図11に示される状態となり得る。このとき、壁部282に設けられる溝部282gの形状に応じた、図10に示される状態から図11に示される状態への遷移に伴い、係合部225が回転部210の回転中心軸から見た径方向の外側に移動する。また、このとき、テープ保持部220は、テープ保持部回転中心部224を支点として回転するので、テープ保持部220の爪部222a及び爪部222bが形成されている側の端部は、回転部210における径方向内側に向かう方向に移動する。溝部282gは壁部282において、回転部210の回転中心軸の方向から見たときの周方向の一部に設けられている。従って、係合部225は、テープ保持部220が回転中心軸を中心として移動する間に、テープ保持部220の回転角度により、溝部282gに係合するほか、溝部282gに係合しない場合には、壁部282の外周面282acを追随し、テープ保持部220の回転を規制する。このとき、図11に示されるように、テープ保持部220の一部が回転部210の当接部215に当接する。
【0029】
テープ保持部220は、図10及び図11に例示するように移動される間に、引っ張りばね228により付勢されており、テープ保持部220に保持されるテープ70に対し張力がかけられた状態を維持することができる。従って、テープ保持部220は、図11に示される、係合部225が壁部282の外周面282acを追随しながら当接部215に当接する状態を維持する。このとき、テープ保持部220はテープ保持部回転中心部224を中心に、係合部225が外周面282acに追随することにより、回転部210に対し反時計回りに回転しつつ、当接部215に当接することにより、図11に示される回転210に対する回転角度を維持する。前述の図8は、回転部210及びテープ保持部220の図11に示される状態の斜視図に相当する。また、テープ保持部220がさらに図11における反時計回り回転し、壁部282の開口部282a付近を移動する間には、係合部225は外周面282acに対する当接が解除されるが、このとき、引っ張りばね228により回転部210に対するテープ保持部220の位置や回転角度が規制される。
【0030】
図13及び図14を参照して、本実施形態に係るクリンチャユニット230について説明する。図13は、クリンチャユニット230の+Y方向の斜め方向から(Y方向の斜め前側)から見たときの斜視図であり、図14は、クリンチャユニット230の-Y方向の斜め方向(Y方向の斜め後ろ側)から見たときの斜視図である。
【0031】
図13及び図14に示されるように、クリンチャユニット230は、クリンチャ232と、クリンチャユニット駆動カム用ローラ236と、切断刃238と、脚部239a及び239bと、胴部239cと、テープ通路239dとを備える。クリンチャユニット駆動カム用ローラ236は、クリンチャユニット駆動カム230aのクリンチャユニット駆動カム溝部230agに係合する。従って、クリンチャユニット230は、クリンチャユニット駆動カム用ローラ236が、クリンチャユニット駆動カム230aの回転に伴い、クリンチャユニット駆動カム溝部230agの形状に追随して結束機本体部200内をZ方向の上方及び下方に移動するように構成される。クリンチャユニット230は、さらに、第1折り曲げ部412と第2折り曲げ部414とを含み、クリンチを行う前にテープを折り曲げるように構成されるテープ折り曲げ部400が、クリンチャ232の-Z方向に設けられている。また、胴部239cの+Y方向には、テープ保持解除部310が設けられている。
【0032】
テープ保持解除部310は、テープ排除部320と、第1解除部330aと、第2解除部330bと、を備える。テープ保持解除部310は、引っ張りばね318を介して胴部239cに対して付勢されている。また、テープ保持解除部310は、スイング支点390を中心に回転可能に設けられている。テープ保持解除部310は、スイング制御ピン360を備える。脚部239a及び脚部239bは、アームシャフト280bと係合するように設けられており、クリンチャユニット230は、アームシャフト280bを支点として動作するように設けられている。図13に示されるように、クリンチャユニット230において、クリンチャ232の-X方向及び+X方向には、第1クリンチャ脚部239f1及び第2クリンチャ脚部239f2がそれぞれ設けられている。第1クリンチャ脚部239f1及び第2クリンチャ脚部239f2は、胴部239cから+Y方向及び-Z方向に延伸した部分に相当する。
【0033】
クリンチャ232は、結束対象物60に対して包囲する結束物であるテープ70の一端及び他端(第1端部72及び第2端部74)が重ねられた状態で、-Z方向より不図示のマガジンユニット240より供給されるステープル50(針50)を、+Z方向より曲げるように構成される。すなわち後に図を参照して説明するテープ70の第1端部72と第2端部74とが離れないようにステープル50により物理的に留める。なお、本実施形態において、物理的に留められている状態は、テープ70の一対の端部がステープル50のクラウン部52と脚部(例えば第1脚部54a及び第2脚部54b(図4参照))との間に挟まれ、移動が規制されている状態であってもよい。なお、テープ70の一対の端部は、熱溶着や圧着のような他の方法により留められてもよい。
【0034】
テープ保持解除部310には、スイング制御ピン360が、不図示のクリンチャユニット駆動カム230aの外周面230acに当接されるように設けられている。従って、テープ保持解除部310は、クリンチャユニット駆動カム230aの回転に伴い、スイング制御ピン360がクリンチャユニット駆動カム230aの外周面230acの形状に追随して、引っ張りばね318に付勢されながらスイング支点390を中心に回転する。後に詳述するように、本実施形態においては、テープ保持解除部310に対し、テープ保持部220の爪部222a及び爪部222bが接触することにより、テープ保持部220によるテープ70を保持する状態を解除することができる。また、テープ保持部220がテープ保持解除部310に対し、相対的に+Z方向に移動することにより、保持される状態が解除されたテープ70の端部をテープ排除部320が排除するように構成されている。
【0035】
テープ保持解除部310には、テープ通過口350が設けられている。テープ通路239dはテープ保持解除部310付近まで設けられており、結束機本体部200の外部に設けられたテープリール800から、テープ通路239dを通って供給されるテープ70は、テープ通過口350に到達される。後述するように、結束対象物60に対する一回の結束が終了し、結束に利用されたテープの端部がテープ保持解除部310によりテープ保持部220から解放される。その後、テープ保持解除部310のスイング制御ピン360がクリンチャ駆動カム230の外周面230acに追随し回転することにより、テープ保持部220の爪部222a及び爪部222bに対するテープ保持解除部310の当接が解除される。これにより、爪部222a及び爪部222bがねじりコイルバネ226a及び226bによりテープ支持部223に向かう方向にそれぞれ付勢され、テープ保持部220は、次の結束のため、テープ通路239dを通ってテープ通過口350から供給されるテープ70の端部を保持する。結束に利用されたテープの端部は切断刃238により切断される。その後、テープ保持部220が保持するテープ70により次の結束対象物60の結束箇所の周囲の移動を開始することにより、次の結束箇所の結束プロセスを開始する。
【0036】
図15及び図16を参照して、本実施形態に係るマガジンユニット240について説明する。図15は、マガジンユニット240が、クリンチ作業を行わず待機している状態を示す斜視図である。図16は、マガジンユニット240が、クリンチする状態を示す斜視図である。
【0037】
図15に示されるように、マガジンユニット240は、ドライバ242と、マガジン部244と、マガジンユニット駆動カム用ローラ246と、プッシャー248とを備える。マガジンユニット240においては、マガジン部244に装填されたステープル50がプッシャー248により+Y方向に付勢されている。ステープル50によりテープ70を留める際に、マガジンユニット240は、+Z方向(すなわちクリンチャユニット230の方向)に相対的に移動される。図15に示されるように、クリンチが行われる際にマガジンユニット240のクリンチャ232とZ方向に当接する部分には第1当接部材247a及び第2当接部材247bが設けられている。また、ドライバ242の+Y方向には、ドライバ242のY方向の動きを規制する第1ドライバ規制部材245a及び第2ドライバ規制部材245bが設けられている。また、このとき、ドライバ242は、図16に示されるように、+Z方向に相対的に移動する。さらに、マガジン部244において最も+Y方向にあるステープル50をドライバ242により+Z方向に突き出し、+Z方向からステープル50の一対の脚部(第1脚部54a及び第2脚部54b)をクリンチャ232が相対的に押すことによってステープル50を変形させ、クリンチを行う。
【0038】
マガジンユニット駆動カム用ローラ246は、マガジンユニット駆動カム240aのマガジンユニット駆動カム溝部240agに係合する。従って、マガジンユニット240は、マガジンユニット駆動カム用ローラ246を介して、マガジンユニット駆動カム240aの回転に伴い、マガジンユニット駆動カム溝部240agの形状に追随して結束機本体部200内を+Z方向及び-Z方向に移動するように構成される。このとき、マガジンユニット240は、マガジンユニットスイング支点249を支点として結束機本体部200に対して移動する。
【0039】
図17乃至図19を参照して、テープ保持部220について説明する。図17は、テープ保持部220の-Y方向から見た断面図である。図18は、テープ保持部220が、テープ70を保持する状態を-Y方向から見た図であり、図19は、テープ保持部220が、テープ70を解放した状態を-Y方向から見た図である。
【0040】
図17に示されるように、テープ保持部220は、一対の爪部222a及び222b(本実施形態において、テープ押さえ部222)と、テープ支持部223とを備える。一対の爪部の一方である第1爪部222aは、先端部222a1と、基端部222a2と、支点部222a3と、を有する。先端部222a1と、基端部222a2とは、支点部222a3を支点として回転可能に設けられている。第1爪部222aの先端部222a1には、接触部222a1cが設けられている。一対の爪部の他方である第2爪部222bは、先端部222b1と、基端部222b2と、支点部222b3と、を有し、先端部222b1と、基端部222b2とは、支点部222b3を支点として回転可能に設けられている。また、第2爪部222bの先端部222b1には、接触部222b1cが設けられている。テープ支持部223は、第1テープ支持部223aと、第2テープ支持部223bとを含む。テープ支持部223には、第1テープ支持部223aと、第2テープ支持部223bとの間に開口部223cが設けられている。
【0041】
図18に示されるように、テープ保持部220がテープ70を保持する状態においては、テープ70はテープ支持部223の第1テープ支持部223a及び第2テープ支持部223bにより-Z方向の下方より支持され、第1爪部222a及び第2爪部222bにより+Z方向より押さえられることにより、テープ70が保持されている。さらに具体的には、第1爪部222aの先端部222a1の接触部222a1cと、第2爪部222bの先端部222b1の接触部222b1cとが、テープ70のX方向の側縁近傍(テープ70のX方向の一対の側縁(両側縁)のうちの一方の側縁である第1側縁と、一対の側縁のうちの他方の側縁である第2側縁との近傍)に接触することにより、それぞれ、第1テープ支持部223a及び第2テープ支持部223bに向かう方向に押える。すなわち、テープ支持部223により支持されるテープ70に対して、テープ70の一対の側縁のうちの一方である第1側縁が存在する第1側縁側から、先端部222a1の接触部222a1cがテープ70に接触し、テープ70の一対の側縁のうちの他方である第2側縁が存在する第2側縁側から、先端部222b1の接触部222b1cがテープ70に接触することにより、テープ保持部220は、テープ70の第1側縁側及び第2側縁側を挟み、テープ70を保持する。このとき、第1爪部222aの基端部222a2及び第2爪部222bの基端部222b2は、図17に示される状態と比較して、先端部222a1及び先端部222b1の-Z方向への回転に伴い、+Z方向の位置に移動されている。なお、図18においては、X方向は、テープ70の短手方向に相当する。
【0042】
図19に示されるように、テープ保持部220がテープ70を解放した状態においては、第1爪部222a及び第2爪部222bは、それぞれ、第1テープ支持部223a及び第2テープ支持部223bから+Z方向に離間した位置にある。テープ保持部220は、図18に例示する状態及び図19に例示する状態を採ることにより、テープ70の保持と解放を行うことができる。
【0043】
図13及び図14を参照して上述したように、本実施形態においては、テープ保持部220がテープ70を保持する状態(図18)から、テープ保持部220がテープ70の保持を解放する状態(図19)には、テープ保持部220がテープ保持解除部310に当接することにより遷移する。テープ保持部220がテープ保持解除部310に当接していない場合には、テープ保持部220がテープ70を保持している。テープ保持部220が移動し、テープ保持解除部310の第1解除部330aに爪部222aの基端部222a2が当接する。基端部222a2が支点部222a3を中心に-Z方向に回転し、それに伴い、先端部222a1が+Z方向に回転する。これにより、先端部222a1はテープ支持部223から離れる。同様に、テープ保持解除部310の第2解除部330bに爪部222bの基端部222b2が当接し、基端部222b2が支点部222b3を中心に-Z方向に回転することにより先端部222b1が+Z方向に回転し、先端部222b1がテープ支持部223から離れる。こうして、テープ70は、テープ保持部220により保持される状態から解放される。
【0044】
このように、本実施形態に係るテープ保持部220は、爪部222a及び222bがテープ70の短手方向(図17乃至図19における+X方向及び-X方向)に移動することにより、テープ70の端部を挟みテープ70を保持する。すなわち、本実施形態に係るテープ保持解除部220においては、爪部222aの先端部222a1が支点部222a3を中心に-Z方向に回転することにより、X方向で見て、先端部222a1は+X方向に移動する。また、爪部222bの先端部222b1が支点部222b3を中心に-Z方向に回転することにより、X方向で見て、先端部222b1は-X方向に移動する。これにより、本実施形態においては、テープ保持部220は、テープ70を短手方向の両側縁から保持するように構成されている。
【0045】
この構成により、爪部222a及び爪部222bのX方向(それぞれ、+X方向及び-X方向)への動きにより、テープ70を保持する構成を実現することができる。また、テープ70の短手方向の両側縁を保持する構成とすることにより、例えばテープ70の中央付近等、側縁から離れた箇所を保持する構成を採る場合に比べ、爪部222a及び爪部222bの移動量を少なくすることができる。さらに、テープ70の短手方向の両側縁を保持する構成とすることにより、テープ70を安定して保持することもできる。
【0046】
上述してきた例においては、テープ保持部220は、テープ70の一対の側縁の両方を保持する場合を示したが、これに限られず、例えば一対の側縁のうちの一方の側縁のみを保持するように構成されてもよい。
【0047】
概要を説明した本実施形態に係る結束機100のクリンチ動作について、以下、図20A図20Jを参照して説明する。図20A乃至図20Jは、結束機本体部200を-X方向見た断面図である。なお、図20A乃至図20Jでは、説明をわかりやすくするため、一本の結束対象物60が図示されているが、複数の結束対象物60をまとめて結束する場合にも本実施形態は適用できる。
【0048】
図20Aは、本実施形態に係る結束プロセスを開始した直後の状態を示す。図20Aに示されるように、結束対象物60が、回転部210の開口部より挿入されている。このとき、テープ保持部220は、テープ支持部223と、第1爪部222a及び第2爪部222bとにより、テープ通路239dを介してテープリール800より供給されるテープ70の端部72(第1端部72)を保持している。回転部210は、この後、図20Aにおいて反時計回りに回転する。テープ保持部220も、回転部210の回転に伴い、反時計回りに回転する。後述するように、ステープル50のクリンチ時においては、クリンチャユニット230と、マガジンユニット240とがZ方向に相対的に互いに近づき、このとき、テープ保持部220は、図20Aにおいて-Y方向側(図20Aにおいて右側)に位置する。
【0049】
ステープル50のクリンチが終わり、次の結束プロセスが開始される場合には、クリンチャユニット230が+Z方向に退避し、テープ保持部220がクリンチャユニット230とマガジンユニット240との間を通過するように構成されている。すなわち、本実施形態においては、結束材送り部202の一部に相当するテープ保持部220が、移動する間に、結束部の一部に相当するクリンチャユニット230がテープ保持部220と干渉しない位置まで一時的に退避する。後述するように、マガジンユニット240も、テープ保持部220の移動と干渉しない位置まで、一時的に退避するように構成されている。図20Aに示す例においては、クリンチャユニット230が上方に退避している。なお、クリンチャユニット230は、駆動カムシャフト230b1を中心に回転するクリンチャユニット駆動カム230aのクリンチャユニット駆動カム溝部230agの形状により、クリンチャユニット駆動カム溝部230agに係合するクリンチャユニット駆動カム用ローラ236がクリンチャユニット駆動カム溝部230agを追随するのに伴い、クリンチ及び退避位置を移動することができるように構成されている。
【0050】
図20Bは、図20Aに示す状態から、回転部210が反時計回りに回転した状態を示す。図20Bに示されるように、回転部210の回転に伴い、テープ保持部220も反時計回りに移動する。図20Aに示される状態と図20Bに示される状態との間で、クリンチャユニット駆動カム230aも回転するが、クリンチャユニット230は移動しないようにクリンチャユニット駆動カム230aのクリンチャユニット駆動カム溝部230agが形成されているので、テープ保持部220は、クリンチャユニット230と干渉することなく、クリンチャユニット230のZ方向下方を通過する。
【0051】
図20Cは、図20Bに示す状態から、回転部210が反時計回りにさらに回転した状態を示す。テープ保持部220は、テープ70の第1端部72を保持した状態で、さらに+Y方向に移動する。クリンチャユニット230は、図20Bに示される状態に比べ、退避位置から-Z方向に移動する。また、マガジンユニット240は、-Z方向に退避する。マガジンユニット240は、駆動カムシャフト230b1を中心に回転する不図示のマガジンユニット駆動カム240aのマガジンユニット駆動カム溝部240agに、マガジンユニット駆動カム用ローラ246が係合し、マガジンユニット駆動カム用ローラ246がマガジンユニット駆動カム240aの回転に伴い、マガジンユニット駆動カム溝部240agに追随して移動することにより、図20Cに示されるような退避位置に移動する。マガジンユニット240は、マガジンユニットスイング支点249を支点として回転するように移動する。クリンチャユニット230やマガジンユニット240の退避は、クリンチャユニット駆動カム230aやマガジンユニット駆動カム240aにより行われる。図20Cに示される状態では、回転部210の開口部210aが壁部282に対し、X方向から見て閉じられている。従って、結束対象物60は、回転部210の開口部210aと壁部282により閉じられた空間内に存在する。
【0052】
図20Dは、図20Cに示す状態から、回転部210が反時計回りにさらに回転した状態を示す。図20Dに示されるように、テープ保持部220は、図20Aに示される状態から、180度以上、結束対象物60の周囲を周方向に移動している。図20Dに示されるように、結束対象物60は、テープ70により、Y-Z断面で見て、半円程度包囲されている。また、テープ保持部220の係合部225は、壁部282の溝部282gの一端と係合する。クリンチャユニット230は、図20Cに示される状態より、さらに-Z方向に相対的に移動し、クリンチが行われるクリンチ位置に近づく。また、マガジンユニット240は、図20Cに示される状態より、退避位置に近づくようにさらに-Z方向に相対的に移動する。
【0053】
図20Eは、図20Dに示す状態から、回転部210が反時計回りにさらに回転した状態を示す。図20Eに示されるように、結束対象物60は、テープ70により、Y-Z断面で見て、3/4円に相当する部分を包囲されている。また、テープ保持部220の係合部225が、壁部282の溝部282gの一端と係合することにより、テープ保持部220はテープ保持部回転中心部224を支点として回転しながら移動する。また、図20Dに示される状態から、クリンチャユニット230は、-Z方向に相対的にさらに移動し、他方、マガジンユニット240は、ほぼ移動していない。
【0054】
図20Fに示されるように、回転部210がさらに回転し、テープ保持部220の係合部225が溝部282gに沿って移動するのに伴い、テープ保持部220のテープ70の端部を保持する部分(爪部222a及び222b等が設けられている部分)は回転部210より径方向の外側に移動する(本実施形態における第2移動状態に相当)。また、テープ保持部220のテープ70の係合部225が設けられている部分は回転部210より径方向の内側に移動する。図20Fに示されるように、結束対象物60は、X方向から見て、外周の3/4円以上に相当する部分をテープ70により包囲されている。また、図20Eに示される状態から、クリンチャユニット230は、-Z方向に相対的にさらに移動する。マガジンユニット240は、クリンチ位置に向かうように、+Z方向に相対的に移動する。
【0055】
図20Gに示されるように、テープ保持部220がさらに反時計回りに移動し、テープ70により結束対象物60が包囲される。また、クリンチャユニット230が-Z方向に相対的に移動し、マガジンユニット240が+Z方向に相対的に移動し、両者がテープ70を介して近接する。また、このとき、テープ保持部220は、クリンチャユニット230のクリンチャ232の-Y方向側に位置する。このように、本実施形態においては、クリンチャユニット230及びマガジンユニット240が、それぞれ、+Z方向及び-Z方向に退避する間(すなわち、クリンチが行われない間)に、テープ保持部220がクリンチャユニット230の-Y方向側に向かって移動する。クリンチャユニット230及びマガジンユニット240がクリンチ位置に向かうように、それぞれ移動し、クリンチが行われる時には、テープ保持部220がクリンチャユニット230の-Y方向側に位置する。こうして、クリンチ位置付近に引き出されているテープ70の端部と、テープ保持部220により保持されるテープ70の端部同士の付近をクリンチすることができる。
【0056】
このとき、回転部210は、開口部210aが+Y方向側となるように位置する。壁部282の開口部282aも+Y方向側が開口するように設けられているので、回転部210の開口部210aは塞がれていない状態である。回転部210は、以降、クリンチが完了するまで停止するように構成されている。回転部210の停止は、後述する間欠歯車を用いて行われる。回転部210を停止させることにより、テープ70の動きを抑制することができるので、クリンチを安定して行うことができる。また、クリンチが行われた後も回転部210が回転を再開するまではテープ保持部220は移動しないので、その間にクリンチャユニット230が退避を開始することができる。従って、その後に移動を開始するテープ保持部220に対し、クリンチャユニット230によるテープ保持部220の移動経路への干渉を防止することができる。
【0057】
図20Hに示されるように、続いて、回転部210は、反時計回りにわずかに移動し、それに伴いテープ保持部220が、+Z方向にさらに移動した後、停止する。その後、回転部210及びテープ保持部220が停止している状態で、クリンチが行われる。図20Hに示されるように、ドライバ242が+Z方向に相対的に上昇し、テープ70が重ねられた部分を介してクリンチャ232に近接する。ここではクリンチャ232とドライバ242とが互いに近接した位置がクリンチ位置となる。図20Gに示される状態から図20Hに示される状態に遷移する間に、クリンチャユニット230は、クリンチ位置から離れるように-Z方向に移動する。
【0058】
図20G等を参照して上述したように、クリンチが行われる際には、テープ70の端部同士をクリンチャ232及びドライバ242により挟むので、テープ保持部220は、クリンチャユニット230より-Y方向に位置する。このときの、テープ保持部220の、回転部210の回転中心軸からの距離を回転半径としてテープ保持部220が周回することにより結束対象物60を包囲するように構成することも可能である。しかしながら、かかる構成では、回転半径が比較的大きくなるので、結束機100全体として大型化することになる。本実施形態のように、テープ70の端部を保持するテープ保持部220が回転部210の回転における径方向に移動可能に構成することにより、テープ保持部220の移動経路の直径を小さくすることができる。従って、例えば、結束機100の小型化が可能となる。本実施形態においては、このように、テープ保持部220が、結束対象物60を包囲した後、スイングするように構成されている。さらに、この構成により、結束対象物60を周回させたテープ70を、結束対象物60を支点として-Y方向に引っ張ることができるので、テープ70に発生する可能性のある弛みを抑制することができる。
【0059】
さらに、図20Iに示されるように、回転部210及びテープ保持部220が停止している状態のまま、クリンチャ232が下降し、テープ70が重ねられた部分をZ方向の上方及び下方からステープル50を介して押すことにより、ステープル50の一対の脚部を曲げ、テープ70が重ねられた部分を留める。
【0060】
次に、図20Jに示されるように、クリンチャユニット230及びマガジンユニット240が-Z方向に相対的に下降することにより、クリンチャユニット230の切断刃238が下降し、テープ保持部220に保持されているテープ70を切断する。切断刃238は、テープ保持部220に設けられた切断刃通過スリット229を通過することにより、テープ70を切断する。
【0061】
以上説明した方法により、本実施形態に係る結束機100によるクリンチプロセスが行われる。
【0062】
本実施形態においては、テープ保持部220は、テープ保持解除部310により、テープ70の保持が解除された後、切断刃238によりテープ70が切断される前に次の結束に用いられるテープの保持を開始するように構成されてもよい。すなわち、テープ保持部220は、テープ保持解除部310によりテープ70の端部である第1端部を保持する状態である第1端部保持状態が解除された後、テープ70の、結束が完了した部分である第1部分に対しテープの送り方向に沿って隣接する部分(すなわち、テープ70のうち次の結束に用いられる部分)である第2部分の一端である端部(第3端部)を保持してもよい。また、切断刃238は、テープ保持部220が次の結束に用いられるテープ70の端部(第3端部)を保持した後に、テープ70のうち結束が完了した部分(前の結束に用いられた部分)である第1部分と次の結束に用いられる部分である第2部分とが分離されるようにテープを切断するように構成されてもよい。
【0063】
例えば、テープ70の第3端部を保持する前にテープ70の切断が行われると、第3端部の位置が定まらない、あるいは第3端部がテープリール800側に戻ってしまうことにより、テープ保持部220が第3端部を保持することができなくなる不具合が発生する可能性がある。本実施形態においては、第3端部を保持した後にテープ70を切断するので、第3端部を確実に保持することができ、次の結束箇所の結束作業に遷ることができる。本実施形態においては、テープ保持部220は、爪部222a及び爪部222bを用いて、テープ70の短手方向からテープ70を保持する構成を有する。従って、本実施形態においては、テープ保持部220は、切断前のテープ70であっても掴むことができる。
【0064】
次に、図21A乃至図21Jを参照して、本実施形態において、間欠歯車により回転部210の回転及び回転停止を規制する構成について説明する。まず、図21A及び図21Bを参照して、本実施形態における間欠歯車の構成につき説明する。図21Aは、本実施形態に係る結束機100を+X方向から見た図である。図21Aは、結束機100に設けられるギヤ列292のギヤ292-1、292-2、292-3、292-4(本実施形態において、第1歯車に相当する。)、及び292-5を示す。図21Bは、本実施形態に係る結束機100に設けられるギヤ列292のギヤ292-2、292-3、及び292-4を+Y方向の斜め前から見た図である。図21A及び図21Bには図示されていないが、本実施形態においては、ギヤ292-1またはギヤ292-1より上流側の他のギヤが駆動モータ250に接続されている。
【0065】
本実施形態においては、図21Aに示されるギヤ292-5が、回転部210の歯部210tと噛み合うように設けられている。図21Bに示されるように、ギヤ292-2と、ギヤ292-3とは、固定部材295a1、295a2、及び295a3により互いに固定されている。従って、ギヤ292-2及び292-3は、同一の回転中心軸を中心に一体となって回転する。まず、ギヤ292-1からギヤ292-2に駆動力が伝達される。また、ギヤ292-2と一体となって回転するギヤ292-3からギヤ292-4に、ギヤ292-4からギヤ292-5に、それぞれ駆動力が伝達される。
【0066】
図21Bに示されるように、ギヤ292-3(本実施形態において、第2歯車に相当する。)の外周面には歯が設けられている歯部293aと歯が設けられていない歯欠け部293bとが設けられている。すなわち、ギヤ292-3は間欠歯車として構成されている。ギヤ292-2とギヤ292-3との間には、一対のアシストプレート294a及び294bが設けられている。アシストプレート294a及びアシストプレート294bは、それぞれ、歯欠け部293bの一端及び他端近傍に設けられている。また、アシストプレート294aとアシストプレート294bとの間には、周方向に沿って、円弧状の規制部材294cが設けられている。図21Bに示されるように、規制部材294cは、ギヤ292-3において歯欠け部293bが設けられる部分に対応するように設けられている。
【0067】
ギヤ292-3は、図21Aにおいて、-X方向側から見て(すなわち、図21Aの紙面手前側から紙面に垂直な方向に見て)反時計回りに回転する。従って、ギヤ292-3において、反時計回りの下流側が回転方向の下流側であり、反時計回りの上流側が回転方向の上流側である。アシストプレート294aは、歯欠け部293bの一端近傍であって、歯欠け部293bの一端の回転方向の下流側に位置するように設けられている。すなわち、アシストプレート294aは、ギヤ292-3の回転方向において、歯部293aと歯欠け部293bとの境界のうち、歯部293aが回転方向下流であり歯欠け部293bが回転方向上流である境界近傍において、この境界より回転方向の下流側に設けられている。アシストプレート294bは、ギヤ292-3の回転方向において、歯部293aと歯欠け部293bとの境界のうち、歯部293aが回転方向上流であり歯欠け部293bが回転方向下流である境界近傍において、この境界より回転方向の下流側に設けられている。また、ギヤ292-4には、規制部材296が設けられている。規制部材296には、断面(X方向に垂直な断面)が円弧状の形状を有する規制周面296sが設けられている。また、規制部材296には、当接ピン298が+X方向側に設けられている。
【0068】
規制部材296の規制周面296sは、ギヤ292-2とギヤ292-3との間に設けられた規制部材294cの外周面294csの半径と同一半径の円弧状に設けられている。また、規制部材294cは、ギヤ292-2及びギヤ292-3と一体となって回転する。従って、ギヤ292-2及びギヤ292-3が回転することにより、一回転の一部において、規制部材294cの外周面294csと規制周面296sとが当接する。また、規制部材294cはギヤ292-3において歯欠け部293bが設けられる部分に設けられているので、規制部材294cの外周面294csと規制周面296sとが当接するとき、ギヤ292-4に対し、ギヤ292-3のうち、歯欠け部293bが設けられる部分が近づく。そのため、外周面294csと規制周面296sとが当接するまで従動して回転していたギヤ292-4は、外周面294csと規制周面296sとが当接すると、回転を停止する。これは、外周面294csが規制部材296の規制周面296sに当接しない状態においては、規制部材296は他の構成部材と当接することなく、ギヤ292-4は規制部材296に動きを規制されることなく回転することが可能であるところ、規制部材296の規制周面296sが規制部材294cの外周面294csの半径と同一半径の円弧状に設けられているので、外周面294csが規制部材296の規制周面296sに当接すると、規制部材296が外周面294csに捕捉される状態となり、規制部材296が動きを停止される結果、ギヤ292-4の動きが停止されるからである。
【0069】
また、ギヤ292-3が回転を続け、外周面294csと規制周面296sとの当接が解除されると、ギヤ292-4は回転を再開する。本実施形態においては、駆動側のギヤであるギヤ292-2及びギヤ292-3と一体となって回転するようにアシストプレート294a及び294bを設け、規制部材296上に当接ピン298を設けることにより、ギヤ292-4が回転を再開する際に発生しうる、ギヤ292-3の歯部293aの一端の歯(歯部293aの一対の端部うち、歯欠け部293bに回転方向の下流側に隣接する端部に設けられる歯)とギヤ292-4の歯とが噛み合う時の衝撃を抑制することができる。また、ギヤ292-4が回転を停止する際に発生しうる、ギヤ292-3の歯部293aの他端の歯(歯部293aの一対の端部うち、歯欠け部293bに回転方向の上流側に隣接する端部に設けられる歯)とギヤ292-4の歯との噛み合いが解除される時の衝撃を抑制することができる。また、外周面294csと規制部材296との当接及び当接の解除時の衝撃も抑制することができる。以下、図21C乃至図21Jを参照して本実施形態における間欠歯車を用いた回転の規制について説明する。
【0070】
図21Cを参照して、ギヤ292-2及びギヤ292-3は図21Cにおいて反時計回りに回転し、ギヤ292-4は時計回りに回転する。図21Cに示されるように、図21Aに示される状態から、ギヤ292-3が回転し、アシストプレート294aが+Z方向に移動してきている。従って、この後、ギヤ292-2とギヤ292-3との間に設けられた規制部材294cの外周面294csの規制周面296sとの係合が間もなく開始される。図21Cに示されるように、アシストプレート294aは、回転を続けると当接ピン298と当接するように、アシストプレート294a及び当接ピン298が設けられている。
【0071】
次に、図21Dに示されるように、ギヤ292-3が回転し、アシストプレート294aが当接ピン298に当接する。なお、図21Dに示されるように、規制周面296sは外周面294csにまだ当接していない。従って、アシストプレート294aは、規制周面296sが外周面294csに当接する前に、当接ピン298に当接する。
【0072】
この後、アシストプレート294aがさらに回転すると、当接ピン298がアシストプレート294aによって回転方向に押されることにより、規制部材296が図21Dにおいて時計回りに回転し、図21Eに示されるように規制周面296sが外周面294csと当接する。上述したように、外周面294csと規制周面296sとは、同一の点を中心とする同一半径の円弧状となるように形成されているので、図21Eに示されるように、外周面294csに対して、規制部材296は移動しない。ギヤ292-4は、規制部材296と一体となって動くように規制部材296がギヤ292-4に対して固定されている。従って、規制部材296が停止している間、ギヤ292-4は停止する。回転部210を回転させるギヤ292-5はギヤ292-4に対して従動するので、ギヤ292-4が停止している間、ギヤ292-5は停止し、同時に回転部210は停止する。
【0073】
図21Fに示されるように、ギヤ292-3は回転を続け、外周面294csと規制部材296は当接した状態を維持する。その間、ギヤ292-4は停止する。
【0074】
ギヤ292-3がさらに回転すると、図21Gに示されるように、ギヤ292-3の歯部293aが+Z方向に移動する。また、歯部293aの回転方向の前方(すなわち、回転方向の下流側)には、第2アシストプレート294bが設けられており、第2アシストプレート294bも+Z方向に移動する。
【0075】
この後、図21Hに示されるように、ギヤ292-3は回転を続け、第2アシストプレート294bが当接ピン298に当接する。この時点では、ギヤ292-4の歯部はギヤ292-3の歯部293aとまだ噛み合わせられていない。
【0076】
ギヤ292-3がさらに回転すると、図21Iに示されるように、当接ピン298がアシストプレート294bによって回転方向に押されることにより、規制部材296は、時計回りに回転する。また、ギヤ292-4の歯部はギヤ292-3の歯部293aと噛み合い始める。
【0077】
その後、図21Jに示されるように、アシストプレート294bと当接ピン298とは離間し、歯部293aによりギヤ292-4は回転を再開する。ギヤ292-4が回転を再開することに伴い、ギヤ292-5が回転を再開し、回転部210が回転する。上述したように、本実施形態に係る結束機100においては、クリンチを行う間等に回転部210を停止させ、また、クリンチ作業が終了した後に回転部210の回転を再開する。本実施形態においては、図21A乃至図21Jを参照して上述してきた間欠歯車を用いた機構により、回転部210の回転の停止や回転の再開を実現できる。
【0078】
本実施形態においては、ギヤ292-2とギヤ292-3との間に設けられた規制部材294cの外周面294csと規制部材296とが当接する前に、アシストプレート294aが当接ピン298に当接する。また、ギヤ292-3の歯部293aとギヤ292-4の歯部とが噛み合う前に、第2アシストプレート294bが当接ピン298に当接する。本発明者等の検討によれば、間欠歯車を利用して、回転部210の回転の停止及び再開を行う場合、2つのギヤの歯部同士の噛み合いが解除される際に、ギヤ同士に衝撃荷重がかかり、ギヤの歯部の破損の原因となる場合があることがわかった。また、2つのギヤの歯部同士の噛み合いが再開される際にも、ギヤ同士に衝撃荷重がかかる場合があることがわかった。本実施形態においては、第1アシストプレート294a及び当接ピン298を設けることにより、2つのギヤの歯部同士が噛み合いを解除される前に第1アシストプレート294a及び当接ピン298が当接するように構成されているので、歯部同士にかかる衝撃荷重を低減することができる。また、2つのギヤの歯部同士が噛み合いを再開する前に、第2アシストプレート294bが当接ピン298に当接するように構成されているので、歯部同士の噛み合いが開始される際の衝撃荷重も低減することができる。
【0079】
本発明者等の検討によると、特に、2つのギヤ(ギヤ292-3とギヤ292-4)の歯部同士が噛み合いを再開する際に発生する衝撃がより大きいと考えられる。従って、特に、ギヤの歯部同士が噛み合いを再開する前にアシストプレート294bと当接ピン298とが当接する構成による衝撃抑制の効果が大きいと考えられる。また、歯部同士の噛み合いが解除される際や、歯部同士の噛み合いが再開される際の衝撃を緩和できることにより、ギヤ292-3やギヤ292-4の歯を比較的小さくすることができる。従って、比較的小さい歯車を用いることができるので、結束機100を小型化することが可能となる。
【0080】
次に、図22A乃至図22Cを参照して、本実施形態におけるテープ保持部220によるテープ70の保持を解除する際に、テープ保持部220からテープ70を排除する構成について説明する。図22Aは、テープ保持部220付近を拡大して示す斜視図である。図22Aに示されるように、テープ排除部320が、テープ保持解除部310に設けられている。従って、テープ排除部320は、テープ保持解除部310と一体となって動作するように構成されている。以下に説明するように、テープ保持解除部310が-Z方向に相対的に下降するのに伴い、テープ排除部320も-Z方向に相対的に下降するように構成されている。本実施形態においては、テープ排除部320は、円筒形である。図22Aに示される状態では、テープ70がテープ保持部220により保持されている。なお、本実施形態に係る結束機100においては、テープ保持部220によりテープ70の第1端部72が保持されており、テープ排除部320により、テープ70の第1端部72が排除される。また、図22A乃至図22Cではテープ70第1端部72のみを示し、テープ70の第2端部72や、次の結束作業に用いられるテープ70の端部である第3端部については図示を省略する。
【0081】
次に図22Bに示されるように、テープ保持解除部310が-Z方向に相対的に下降し、テープ保持部220の第1爪部222a及び第2爪部222bに対し、それぞれ、基端部222a2及び222b2において、第1解除部330a及び第2解除部330bが-Z方向に当接する(図22Bでは第2解除部330bは図示を省略)。第1解除部330a及び第2解除部330bが基端部222a2及び222b2に当接することにより、第1爪部222a及び第2爪部222bは、それぞれ、支点部222a3及び支点部222b3を支点として回転し、テープ保持部220によるテープ70の保持が解除される。このとき、テープ保持解除部310に設けられているテープ排除部320は、テープ保持解除部310と共に-Z方向に相対的に下降する。テープ保持部220には、開口部223cが設けられており、テープ排除部320は、開口部223cに挿通する。
【0082】
なお、図22Bにおいては、テープ保持解除部310が-Z方向に相対的に下降する例が示されているが、本実施形態に係る結束機100においては、テープ保持部220がテープ保持解除部310に対して、+Z方向に相対的に上昇する構成であってもよい。上述のようにテープ保持部220は、回転部210と一体に動作し、テープ保持部220は、回転部210の回転に伴い移動する。テープ保持解除部310が待機している状態において、回転部210の回転に伴いテープ保持部220は、テープ保持解除部310が待機する位置まで+Z方向に移動する。こうして、テープ保持部220の第1爪部222aの基端部222a2及び第2爪部222bの基端部222b2が、それぞれ、第1解除部330a及び第2解除部330bに当接し、先端部222a1及び先端部222b1がテープ支持部223から離間し、テープ保持部220によるテープ70の保持が解除される。
【0083】
従って、本実施形態においては、回転部210の回転に伴い、テープ保持部220の爪部222a及び222bを回転させることにより、テープ保持部220によるテープ70の保持や、テープ70の保持の解除を行うことができる。なお、結束に用いられたテープ70を切断し、次の結束作業に用いられるテープ70を保持する動作についても同様に、回転部210の回転に伴いテープ保持部220の爪部222a及び222bを動作させて実現してもよい。
【0084】
図22Bは、テープ保持部220により保持される状態が解除されたテープ70が、テープ排除部320により、-Z方向に撓み始めた状態を示す。すなわち、図22Bに示すように、本実施形態においては、テープ保持部220により保持される状態が解除されたテープ70に対し、テープ保持解除部310が-Z方向に相対的に下降するのに伴い-Z方向に相対的に下降してきたテープ排除部320が+Z方向から当接する。テープ排除部320が-Z方向に相対的に下降するのに伴い、テープ70の中央付近(短手方向(図22BにおいてX方向)における中央付近)から-Z方向に撓み始める。
【0085】
図22Cを参照して、テープ保持解除部310がさらに下降すると、テープ排除部320は、図22Cでは見えない位置まで下降する。図22Bに示される状態から図22Cに示される状態にかけて、テープ70はテープ排除部320が-Z方向に相対的に下降するのに伴い、-Z方向に排除される。こうして、テープ排除部320は、テープ保持部220がテープ70の保持を、テープ保持解除部310により解除される際に、解除されたテープ70を-Z方向に排除することができる。
【0086】
図23A乃至図23Cは、テープ排除部320によるテープ保持部220からのテープ70の排除について示す図である。図23Aに示されるように、テープ保持解除部310によるテープ保持の解除が開始する前は、テープ排除部320はテープ70の上方に位置する。また、図23Aに示されるように、このとき、テープ保持部220は、テープ保持解除部310の第1解除部330a及び第2解除部330bに当接していない。
【0087】
図23Bに示されるように、テープ保持解除部310によりテープ保持部220の第1爪部222a及び第2爪部222bが回転され、テープ保持部220によるテープ70の保持が解除された後、テープ排除部320が-Z方向に相対的に下降し、テープ支持部223上のテープ70に当接する。テープ70のうち、このときテープ排除部320が当接するのは、テープ70の一端である第1端部である。このとき、テープ排除部320は、テープ支持部223の開口部223cに挿通するようにテープ70の上方(+Z方向)から当接する。なお、図23Bに示されるように、このとき、テープ保持部220は、テープ保持解除部310の第1解除部330a及び第2解除部330bに当接するまで+Z方向に相対的に上昇している。従って、第1解除部330aが爪部222aの基端部222a2に当接し、第2解除部330bが爪部222bの基端部222b2に当接している。これにより爪部222aの先端部222a1は支点部222a3を中心に図23Bにおいて反時計回りに回転し、爪部222bの先端部222b1は支点部222b3を中心に図23Bにおいて時計回りに回転する。先端部222a1及び先端部222b1の回転により、先端部222a1及び先端部222b1はテープ支持部223から離間している。これにより、先端部222a1の当接部222a1c及び先端部222b1の当接部222b1cはテープ70に当接していない状態となる。
【0088】
図23Cに示されるように、テープ排除部320が-Z方向に相対的にさらに下降し、テープ70は開口部223cを通って-Z方向に排除される。
【0089】
テープ保持解除部310によりテープ70の保持が解除された後、テープ70の端部がテープ保持部220に残存していると、テープ保持部220が次の結束に用いられるテープ70の端部を保持する際に、残存するテープの端部も同時に保持する可能性があると考えられる。残存するテープ70の端部を再び保持すると、結束済みのテープ70をテープ保持部220が移動させようとしてしまうので、結束機100の故障が発生する可能性がある。従って、結束作業ができなくなり、作業の効率が低下する。本実施形態においては、テープ排除部320により残存するテープを排除することができるので、残存するテープによる結束作業の効率の低下を抑制することができる。本実施形態に係る結束機100は、例えば、伸縮性のある素材により製造されたテープ70により結束対象物60の結束する際にも用いることができる。伸縮性のある素材により製造されたテープ70は、テープとしての張力が比較的弱いので、切断された後にも、結束機100内において切断を行った位置付近に残存しやすくなると考えられる。本実施形態に係る結束機100のように、テープ排除部320を設けることにより、残存するテープを効果的に排除することができるので、伸縮性のある素材により製造されたテープを用いて結束する場合においても本実施形態に係る結束機100は有効である。例えば、植物の茎を結束する場合、植物の茎が成長し茎の径が大きくなることが想定されるので、結束直後からその後の植物の成長過程に亘って結束が維持されることが好ましい。そのため、植物の茎を結束する場合には、伸縮性のある素材により製造されたテープが用いられるのが好ましい。本実施形態に係る結束機100を用いることにより、伸縮性のある素材により製造されたテープを用いた結束作業も効率良く行うことができるので、本実施形態に係る結束機100は、植物の茎の結束においても効果的に用いることができる。
【0090】
テープ排除部320がテープ70を排除する方向は、例えば-Z方向等、テープ70の長手方向に交差する方向であってもよい。テープ70の長手方向に交差する方向として、例えば、テープ70の長手方向及び短手方向のいずれにも垂直な方向にテープ70が排除されてもよい。このとき、テープ排除部320により、テープ70は、テープ70の一方の面から他方の面に向かう方向に排除されてもよい。例えば、テープ排除部320により、テープ70は、テープ70の表面から裏面に向かう方向に排除されてもよい。
【0091】
また、テープ70が排除される方向は、テープ70の主面に垂直な方向であってもよい。このとき、テープ70が排除される方向は、テープ70の主面に対して完全に垂直な方向でなくてもよく、例えば、略垂直な方向であってもよい。略垂直な方向であっても、同様の作用効果が得られる範囲であれば、完全に垂直な方向でなくてもよい。
【0092】
本実施形態において、テープ70の主面は、テープ70の延びる方向により規定される面である。例えば、テープ70がXY平面に平行に配置されている場合、テープ70の主面は、テープ70の、XY平面に平行な面である。また、本実施形態においては、テープ70の表面及び裏面は、例えば、テープ70の主面がZ方向に垂直な平面(XY平面)に平行になるようにテープ70が配置されているとき、それぞれ、テープ70の+Z方向側の面及び-Z方向側の面であってもよい。あるいは、テープ70の主面がZ方向に平行となるようにテープ70が配置されているとき、テープ70の表面及び裏面は、それぞれ、例えば+X方向側の面及び-X方向側の面であってもよいし、あるいは例えば+Y方向側の面及び-Y方向側の面であってもよい。
【0093】
また、テープ排除部320は、テープ70に対して長手方向からテープ70(テープ70の端部)に当接し、テープ70を排除してもよい。このとき、テープ排除部320は、例えば、長手方向がY方向と平行となるように配置されたテープ70に対し、Y方向に沿って移動可能に設けられ、テープ70の端部に対し、テープ排除部320がY方向に押す、または引くように当接して排除してもよい。
【0094】
図22A乃至図23Cにおいては、テープ排除部320がテープ保持解除部310と一体に形成されている場合を例に説明したが、テープ排除部320とテープ保持解除部310とが互いに別の部材として設けられていてもよく、この場合でも、テープ排除部320とテープ保持解除部310とが連動するように設けられてもよい。例えば、テープ排除部320は、テープ保持解除部310がテープ保持部220によるテープ70の保持を解除した後にテープ70を排除するように構成されてもよい。
【0095】
図24A及び図24Bを参照して、本実施形態に係るテープ保持解除部310をクリンチャユニット駆動カム230aによりテープ保持部220によるテープ70の保持を解除させる機構について説明する。図24A及び図24Bは、結束機本体部200を+X方向から見た斜視図であり、図24Aは、テープ保持解除部310によりテープ保持部220によるテープ70の保持が解除されている状態を示し、図24Bは、テープ保持部220によるテープ70の保持が再開された状態を示す。
【0096】
図24A及び図24Bに示されるように、テープ保持解除部310のスイング制御ピン360は、クリンチャユニット駆動カム230aの外周面230acに接する。スイング制御ピン360が、クリンチャユニット駆動カム230aの回転に伴い、クリンチャユニット駆動カム230aの外周面230acに沿ってテープ保持解除部310を移動させる。クリンチャユニット駆動カム230aの外周面230acの形状は、回転中心軸である駆動カムシャフト230b1に対して円形ではない。従って、スイング制御ピン360の外周面230ac上の移動に伴い、テープ保持解除部310は、複数の姿勢を採り得る。図24Aに示される状態から図24Bに示される状態に遷る間に、テープ保持解除部310は図24Aに示されるようなZ方向にほぼ平行な姿勢から、図24Bに示されるスイングされた状態に遷る。図24Aに示されるように、テープ保持解除部310がZ方向にほぼ平行な姿勢を採る間、テープ保持解除部310の第1解除部330a及び第2解除部330bが、それぞれ、テープ保持部220の爪部222a及び爪部222bに当接し、テープ保持部220はテープ70の保持を解除する。図24Bに示されるように、テープ保持解除部310がスイングされた状態においては、テープ保持解除部310はテープ保持部220から退避しており、テープ保持部220はテープ70を保持することができる状態を採る。具体的には、爪部222a及び爪部222bが、それぞれ、ねじりコイルバネ226a及び226bにより、テープ支持部223に向かう方向に付勢され、爪部222a及び爪部222bとテープ支持部223とによりテープ70を保持できるこの構成により、クリンチャユニット230の動きとテープ保持解除部310の動きとを比較的容易に連動させることができる。また、駆動源としてはモータ250一つで、複数の構成に対し、互いにタイミングを合わせながら駆動することが可能となる。
【0097】
上述してきた実施形態においては、結束機100において1つの駆動モータ250が用いられる場合を例に説明した。駆動源として1つの駆動モータ250を用いて結束機100内の複数の構成、結束部、結束材送り部202、及びテープ排除部320等を駆動するように構成することにより、結束機100内の複数の構成の動きを比較的容易に連動させることができる。
【0098】
他の実施形態においては、結束機100において、2つ以上のモータが用いられてもよい。例えば、クリンチャユニット230とマガジンユニット240とが別のモータにより駆動されてもよい。あるいは、回転部210を駆動するモータと、クリンチャユニット230とマガジンユニット240とを駆動するモータが別のモータであってもよい。2つ以上のモータが用いられる場合にも、テープ保持部220や回転部210を含む結束材送り部202と、クリンチャユニット230やマガジンユニット240を含む結束部とが連動するように構成することにより、上述してきた結束機100と同様の作用効果を奏することができる。また、上述してきた実施形態においては、駆動モータ250と、クリンチャユニット駆動カム230aやマガジンユニット駆動カム240a等のカム機構とにより結束機100の各構成が連動して駆動される場合を例に説明したが、これに限られず、例えば複数のモータを用いて、各構成要素が別の駆動源により駆動されつつ、互いに連動されるように制御されてもよい。
【0099】
図25乃至図30Bを参照して、本実施形態に係るテープ挟持方法について説明する。
【0100】
以下に説明するように、本発明者等の検討により、テープが重ねられた部分を、テープ同士で抱え込むようにテープを曲げてステープルで留めることにより、結束強度を向上することができることがわかった。図25は、以下に示す方法により互いに包み込むように重ねられたテープ70の模式的な図である。結束対象物を結束する結束物(本実施形態において、ステープル50及びテープ70を含む。)の強度は、図25に示されるように結束された結果、上述のような、従来行われてきたステープル50をテープ70に刺し、テープ70の端部同士(第1端部72及び第2端部74同士)を留めることにより結束する場合に比べ、向上することができた。また、以下に示す方法によりテープ70の端部同士を留めることにより、抱え込むことなく2つの端部が重ねられた部分が結束された結束物に比べても、結束強度を向上することができた。
【0101】
図26Aは、ステープル50によりテープ70が重ねられた部分を留める前の状態における、互いに近接しているクリンチャ232(本実施形態において、ステープル曲げ部232または曲げ部232)及びドライバ242(本実施形態において、ステープル打ち出し部242)が位置するクリンチ位置の近傍を+Y方向側から見た図である。すなわち、図26Aはクリンチ開始前の待機状態を示す。図26Bは、クリンチャユニット230及びマガジンユニット240の図26Aに示される状態におけるXZ平面に平行な断面図である。図26Bは、図26Aに示されるクリンチャユニット230及びマガジンユニット240の-Y方向側の部分の断面図に相当する。また、図26Cは、クリンチ開始前の待機状態におけるクリンチ位置近傍を+Y方向側の斜め方向から見た斜視図である。なお、図26Cにおいては、テープ折り曲げ部400の説明のため、第1クリンチャ脚部239f1の一部の図示を省略する。
【0102】
図26A図26B、及び図26Cに示されるように、この状態において、テープ70のクリンチされる第1端部72及び第2端部74は、Z方向に重ねられた状態で、第1当接部材247a及び第2当接部材247b上に位置する。上述のように、テープ70の第1端部72は、結束材送り部202(テープ送り部202)のテープ保持部220により保持された状態で、回転部210の回転に伴って結束対象物60の周囲を移動した後、クリンチされる前にテープ70の第2端部74とZ方向に重なる位置まで移動される。従って、本実施形態においては、回転部210及びテープ保持部220を含む結束材送り部202がテープ重ね部に相当する。また、この状態において、クリンチャユニット230の第1クリンチャ脚部239f1及び第2クリンチャ脚部239f2は、それぞれ、マガジンユニット240の第1当接部材247a及び第2当接部材247bの、-X方向側及び+X方向側に位置する。また、テープ折り曲げ部400の第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414は、いずれも、マガジンユニット240の+Z方向側で待機している。なお、図26A図26B、及び図26Cに示されるように、待機状態において、第1ドライバ規制部材245aと第2ドライバ規制部材245bとの間の開口部245cにはテープ折り曲げ部400はまだ挿入されていない。
【0103】
なお、図26A及び図26Bにおいて、開口部245cが図示されていることからわかるように、開口部245cは、Y方向およびZ方向に開口している。より具体的には、図26Aに示されるように、開口部245cは、マガジンユニット240の+Y方向の端部に配置される部材に相当する第1ドライバ規制部材245aと第2ドライバ規制部材245bとの間において第1当接部材247aの上面及び第2当接部材247bの上面から-Z方向に開口する。また、図26Bの断面においても開口部245cが設けられていることが示されていることから、開口部245cが、第1ドライバ規制部材245aと第2ドライバ規制部材245bから-Y方向に延びるようにも設けられていることがわかる。開口部245cがY方向及びZ方向に開口している点は、図26Cからもわかる。
【0104】
クリンチが開始される前に、図27Aに示されるように、テープ折り曲げ部400がマガジンユニット240に対して-Z方向に相対的に下降し、テープ70の第1端部72及び第2端部74は、Z方向に互いに重ねられた状態で折り曲げられ、開口部245cに押し込まれる。図27Aに示されるように、このとき、テープ70の第1端部72及び第2端部74は、Y方向に垂直な断面において略U字状である。また、このとき、テープ70の第1端部72及び第2端部74は、ステープル50の第1脚部54aと第2脚部54bとの間に位置するように、第1端部72及び第2端部74の、テープ70の短手方向(X方向)における一対の側縁が互いに向かい合う方向に折り曲げられる。すなわち、このとき、テープ70は、第1端部72と第2端部74とが、テープの短手方向(図27AにおいてX方向)における一対の側縁(上述の第1側縁及び第2側縁)が互いに向かい合う方向に折り曲げられつつ、第1脚部52と第2脚部54との間に位置されるように折り曲げられる。
【0105】
図27Bに、このときのクリンチ位置近傍を-X方向から見た図を示す。図27Bに示されるように、折り曲げ部400の第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414は、それぞれ、開口部245cの+Y方向側及び-Y方向側に挿入される。また、この状態において、ステープル50は、X方向に垂直な断面における断面視で第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414の間に位置する。従って、テープ70の第1端部72及び第2端部74が重ねられた部分は、第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414の間の位置がステープル50を用いてクリンチャ232及びドライバ242によりクリンチされるように構成されている。
【0106】
本実施形態においては、開口部245cのX方向の幅は、テープ70の短手方向の幅より小さいことが好ましい。開口部245cのX方向の幅を使用されるテープ70の短手方向の幅より小さくなるように開口部245cを設けることにより、図26Aに示されるようなテープ70が開口部245cに押し込まれる前にはテープ70は第1当接部材247a及び第2当接部材247b上に平面状の状態で位置し、開口部245cに押し込まれる際に図27Aに示されるような断面視でU字状にテープ70を変形させることができる。
【0107】
次に、図28に示されるように、ドライバ242がクリンチャ232に対し+Z方向に相対的に上昇し(クリンチャ232がドライバ242に対し-Z方向に相対的に下降し)、テープ70の第1端部72及び第2端部74が重ねられた状態で、断面視でU字状の形状が押し潰されるように変形される。すなわち、図27A及び図27Bに示される、テープ70の第1端部72及び第2端部74が、ステープル50を挟んでY方向に互いに離間する2ヶ所に対し第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414によりそれぞれ-Z方向に付勢されている状態において、図28に示されるようにクリンチャ232がドライバ242に対して-Z方向に相対的に下降し、あるいはドライバ242がクリンチャ232に対して+Z方向に相対的に上昇し、ステープル50によりクリンチされる。このように、ドライバ242はステープル50を打ち出すステープル打ち出し部として機能し、クリンチャ232はドライバ242により打ち出されたステープル50を曲げるステープル曲げ部(本実施形態において、曲げ部)として機能する。
【0108】
図26A乃至図28を参照して説明してきたように、本実施形態に係るテープ挟持方法により、テープ70の第1端部72と第2端部74とがZ方向に重ねられ、第1端部72と第2端部74との重なる部分が、テープ70の一対の側縁(X方向の側縁)の外側から挟み込まれるように、ステープル50を変形させることにより、テープ70は挟持される。なお、上述した実施形態においては、テープ70の一対の側縁の両方(両側縁)の外側からテープ70の第1端部72及び第2端部74の重なる部分を挟み込む場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側からテープ70の第1端部72及び第2端部74の重なる部分を挟み込むようにテープ70が挟持されてもよい。例えば、第1端部72及び第2端部74の重なる部分を、テープ70の一対の側縁のうちの一方である第1側縁の外側からのみから挟み込むようにステープル50を変形させてテープ70を挟持してもよいし、第1端部72及び第2端部74の重なる部分を、テープ70の一対の側縁のうちの他方である第2側縁の外側からのみから挟み込むようにステープル50を変形させてテープ70を挟持してもよい。
【0109】
例えば、テープ70の第1側縁がテープ70の-X方向の側縁である場合、第1端部72及び第2端部74の重なる部分を、第1側縁の外側である、テープ70の-X方向から挟み込むようにステープル50を変形させてテープ70を挟持してもよい。同様に、テープ70の第2側縁がテープ70の+X方向の側縁である場合、第1端部72及び第2端部74の重なる部分を、第2側縁の外側である、テープ70の+X方向から挟み込むようにステープル50を変形させてテープ70を挟持してもよい。このとき、テープ70の両側縁から挟み込む場合には、第1側縁の-X方向と、第2側縁の+X方向から、第1端部72及び第2端部74の重なる部分を挟み込むようにステープル50を変形させてテープ70を挟持してもよい。
【0110】
また、上記してきたように、本実施形態においては、第1端部72と第2端部74との重なる部分のテープ70の短手方向(図28においてX方向)における一部をテープ70の長手方向に延びる折り目が形成されるように、ステープル50の第1脚部52で折り曲げて、テープ70が挟持される。
【0111】
本実施形態においては、テープ折り曲げ部400は、クリンチャユニット230に固定されている。従って、テープ折り曲げ部400は、ステープル曲げ部として機能するクリンチャ232に対して移動しない構成である。しかしながら、テープ折り曲げ部400は、クリンチャ232に対して移動可能な構成であってもよい。この構成によれば、例えば、クリンチが行われる際に、テープ折り曲げ部400がクリンチャ232に対して-Z方向に相対的に移動し、テープ70を折り曲げてもよい。このとき、例えば、テープ折り曲げ部400は、クリンチャ232から-Z方向(すなわち、ドライバ242に向かう方向)に付勢されてもよい。例えば、テープ折り曲げ部400の上側(+Z方向側)の空間(例えば、図20Aにおいて、斜線で示されるテープ折り曲げ部400の上方の空間)にバネ等の付勢部材を設けることにより、テープ折り曲げ部400を-Z方向に付勢することができる。
【0112】
本実施形態においては、図28に示されるように、このとき、図27Aに示される状態において断面視でU字状の形状であったテープ70は、U字形状の底部と一端(テープ70の一方の側縁に相当)及び他端(テープ70の他方の側縁に相当)との間に折り目ができるようにして押し潰される。また、ドライバ242がクリンチャ232に対し+Z方向に相対的に上昇することにより、ドライバ242とクリンチャ232との距離が小さくなるので、ステープル50も折り曲げられる。このとき、ステープル50は、第1脚部54aがクラウン部52に近付き、第2脚部54bがクラウン部52に近付くように折り曲げられる。
【0113】
図27Aの断面に示されるように、クリンチャ232には、-Z方向側の端面に、一対の凹部である第1凹部235a及び第2凹部235bが設けられていてもよい。第1凹部235a及び第2凹部235bは、ステープル50を折り曲げる間、第1脚部54aの先端が第1凹部235aの曲面を追随し、第2脚部54bの先端が第2凹部235bの曲面を追随するように設けられている。第1凹部235a及び第2凹部235bにより、ステープル50の折り曲げ時の第1脚部54a及び第2脚部54bの動きを規制することができるので、ステープルの折り曲げの精度を向上することができる。従って、例えばステープルの歪み等、折り曲げ時に発生する可能性のある不具合に起因するテープの破損等の発生を抑制することができる。
【0114】
以上により、テープ70の第1端部72及び第2端部74が重ねられた部分は、図25に示されるような抱え込まれた状態でステープル50により留められる。こうして、本実施形態に係るテープ挟持方法により挟持される、結束対象物60の結束に用いられる結束物は、結束対象物60を包囲する帯状のテープ70と、テープ70の第1端部72と、テープの第2端部74とが重なる部分に設けられ、クラウン部52と、クラウン部52の一端に接続する第1脚部54aとを含み、第1脚部54aの先端がクラウン部52に接近する方向に屈曲されることにより、テープ70を挟持するステープル50と、を備える。
【0115】
図29を参照して、本実施形態に係るテープ挟持方法について説明する。図29は、本実施形態の結束対象物を包囲する帯状のテープをステープルで挟持するテープ挟持方法を説明するフローチャートである。
【0116】
まず、テープの一端である第1端部と、テープの他端である第2端部とを重ねる(S2902)。
【0117】
次に、第1端部と第2端部との重なる部分を挟み込むようにステープルを変形させ、テープを挟持する(S2904)。
【0118】
以上により、テープ70の一端である第1端部と他端である第2端部とがステープルにより挟持される。
【0119】
以上説明してきた本実施形態に係るテープ挟持方法によりテープ70の第1端部72及び第2端部74は、ステープル50内(断面視においてクラウン部52と、第1脚部54a及び第2脚部54bとにより形成される空間内)において、折り畳まれる。上述のように、従来、ステープル50をテープ70に刺すことによりテープ70の第1端部72及び第2端部74同士を留める結束機が提案されてきた。本実施形態に係るテープ挟持方法によれば、ステープルにより挟持するので、ステープル50をテープ70に刺す場合に発生する可能性のあるテープの破損等の発生を抑制することができ、テープ70による結束強度を向上できる。また、結束強度を発揮すると考えられるステープル50内におけるテープ70の厚さ(例えばZ方向の厚さ)を実質的に2倍とすることができる。これにより、例えば結束に使用するテープ70自体の厚さを増やすことなく結束強度を向上することができる。
【0120】
図30A及び図30Bを参照して、以上説明した本実施形態に係るテープ挟持方法により、ステープル50を用いて挟持されるテープ70を含む結束物500を説明する。図30Aは、本実施形態に係る結束物500の一例を示す模式的な断面図である。図30は、結束物500について、折り曲げ途中のステープル50とテープ70のY方向に垂直な模式的な断面図を示し、図30Bは、折り曲げられたステープル50により挟持されるテープ70を含む結束物500のY方向に垂直な模式的な断面図を示す。
【0121】
図30A及び図30Bに示されるように、本実施形態に係る結束物500は、結束対象物60を包囲する帯状のテープ70と、テープ70の第1端部72と、テープ70の第2端部74とが重なる部分に設けられ、クラウン部52と、クラウン部52の一端に接続し、先端がクラウン部52に接近する方向に屈曲された第1脚部54aと、クラウン部52の他端に接続し、先端がクラウン部52に接近する方向に屈曲された第2脚部54bとを備える。すなわち、本実施形態に係る結束物500は、結束対象物60を包囲する帯状のテープ70を用いて、テープ70の重なる部分(第1端部72と第2端部74とが重なる部分)をステープル50で挟持した結束物であり、テープ70の重なる部分は、テープ70の短手方向(X方向)に折り返された状態で、ステープル50により挟持されている。
【0122】
図30A及び図30Bに示されるように、本実施形態に係る結束物500においては、テープ70の重なる部分は、テープ70の長手方向(Y方向)に延びる折り目が形成されるように短手方向(X方向)に折り曲げられた状態で、ステープル50により挟持される。また、上述のように、ステープル50は、クラウン部52と、クラウン部52の両端にそれぞれ接続する一対の脚部(第1脚部52及び第2脚部54)とを有し、テープ70の重なる部分は、短手方向(X方向)に折り曲げられた状態でクラウン部52と一対の脚部(第1脚部52及び第2脚部54)とで挟持されている。
【0123】
ステープル50の第1脚部54aとクラウン部52とは、テープ70の第1端部72の第1折り曲げ部分72p1と、第1折り曲げ部分72p1上に積層される(Z方向に積層される)テープ70の第2端部74の第2折り曲げ部分74p2と、第2端部74がテープ70の長手方向(Y方向)を折り目にして折り曲げられたことにより第2折り曲げ部分74p2上に積層される(Z方向に積層される)テープ70の第2端部74の第3折り曲げ部分74p3と、テープ70の第1端部72がテープ70の長手方向を折り目にして折り曲げられたことにより第3折り曲げ部分74p3上に積層される(Z方向に積層される)第1端部72の第4折り曲げ部分72p4と、を挟持する。
【0124】
また、ステープル50の記第2脚部54bとクラウン部52とは、テープ70の第1端部72の第5折り曲げ部分72p5と、第5折り曲げ部分72p5上に積層される(Z方向に積層される)テープ70の第2端部74の第6折り曲げ部分74p6と、テープ70の第2端部74がテープ70の長手方向(図30A及び図30BにおいてY方向)を折り目にして折り曲げられたことにより第6折り曲げ部分74p6上に積層される(Z方向に積層される)第2端部74の第7折り曲げ部分74p7と、第1端部72がテープ70の長手方向(Y方向)を折り目にして折り曲げられたことにより第7折り曲げ部分74p7上に積層される(Z方向に積層される)第1端部72の第8折り曲げ部分72p8と、を挟持する。
【0125】
テープ70の第1端部72には、第1折り曲げ部分72p1と第4折り曲げ部分72p4との間と、第5折り曲げ部分72p5と第8折り曲げ部分72p8との間とにおいて、テープ70の長手方向に、複数の折り目が形成されている。また、第2端部74には、第2折り曲げ部分74p2と第3折り曲げ部分74p3との間と、第6折り曲げ部分74p6と第7折り曲げ部分74p7との間とにおいて、テープ70の長手方向(Y方向)に、複数の折り目が形成されている。
【0126】
第1端部72に形成される複数の折り目は、第1折り曲げ部分72p1と第4折り曲げ部分72p4との間の第1折り曲げ部分72p1側に形成される第1折り目72c1と、第5折り曲げ部分72p5と第8折り曲げ部分72p8との間の第5折り曲げ部分72p5側に形成される第2折り目72c2と、第1折り曲げ部分72p1と第4折り曲げ部分72p4との間の第4折り曲げ部分72p4側に形成される第6折り目72c6と、第5折り曲げ部分72p5と第8折り曲げ部分72p8との間の第8折り曲げ部分72p8側に形成される第8折り目72c8と、を含む。また、第2端部74の複数の折り目は、第2折り曲げ部分74p2と第3折り曲げ部分74p3との間の第2折り曲げ部分74p2側に形成される第3折り目74c3と、第6折り曲げ部分74p6と第7折り曲げ部分74p7との間の第6折り曲げ部分74p6側に形成される第4折り目74c4と、第2折り曲げ部分74p2と第3折り曲げ部分74p3との間の第3折り曲げ部分74p3側に形成される第5折り目74c5と、第6折り曲げ部分74p6と第7折り曲げ部分74p7との間の第7折り曲げ部分74p7側に形成される第7折り目74c7と、を含む。
【0127】
図30A及び図30Bに示されるように、第1折り目72c1と第3折り目74c3とは、互いに重なる位置(Z方向に重なる位置)に形成される。第2折り目72c2と第4折り目74c4とは、互いに重なる位置(Z方向に重なる位置)に形成される。第5折り目74c5と第6折り目72c6とは、互いに重なる位置(X方向に重なる位置)に形成される。また、第7折り目74c7と第8折り目72c8とは、互いに重なる位置(X方向に重なる位置)に形成される。
【0128】
図27Aを参照して上述した、テープ折り曲げ部400により、テープ70の第1端部72及び第2端部74が重ねられた状態で開口部245cに押し込まれることにより、第1端部72及び第2端部74には、それぞれ、Y方向に垂直な断面視で2ヶ所の折り目(Y方向に延びる折目)が形成される。図27Aで示される状態においてテープ70に形成される折り目のうち、第1端部72に形成される折り目は、図30Aに示される第1折り目72c1及び第2折り目72c2に相当する。また、図27Aで示される状態においてテープ70に形成される折り目のうち、第2端部74に形成される折り目は、図30Aに示される第3折り目74c3及び第4折り目74c4に相当する。
【0129】
また、図28を参照して上述した、クリンチャ232及びドライバ242によりステープル50が曲げられクリンチが行われている状態においては、図27Aに示されるテープ70を折り曲げることにより―Y方向及び+Y方向に折り目が形成される。図28で示される状態は、図30Aに示される状態に相当し、この状態においてテープ70にさらに形成される折り目のうち、第1端部72に形成される折り目は、図30Aに示される第6折り目72c6及び第8折り目72c8に相当する。また、この状態においてテープ70にさらに形成される折り目のうち、第2端部74に形成される折り目は、図30Aに示される第5折り目74c5及び第7折り目74c7に相当する。
【0130】
上述してきた実施形態においては、一対の脚部(第1脚部54a及び第2脚部54b)を有するステープル50を用いてテープ70を挟持する場合を例に説明したが、これに限られず、例えば、一の脚部のみを備えるステープルを用いてテープ70を挟持してもよい。一の脚部のみを備えるステープルによっても、結束強度を強化することができる等、同様の作用効果を奏することができる。
【0131】
上述してきた実施形態においては、テープ70が、第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414により、それぞれY方向(テープ70の長手方向)の前方(+Y方向側)及び後方(-Y方向側)において-Z方向に押圧される場合を例に説明したが、これに限られず、テープ70は、第1折り曲げ部412及び第2折り曲げ部414のいずれか一方のみにより押圧されてもよい。
【0132】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0133】
(付記1)
結束対象物を包囲する帯状のテープをステープルで挟持するテープ挟持方法であって、
前記テープの一端である第1端部と、前記テープの他端である第2端部とを重ね、
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を前記テープの一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側から挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
テープ挟持方法。
【0134】
(付記2)
前記ステープルは、クラウン部と、前記クラウン部に一端が接続された第1脚部と、を有し、
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を、前記クラウン部と前記第1脚部との間で挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
付記1に記載のテープ挟持方法。
【0135】
(付記3)
前記ステープルは、前記クラウン部の他端に接続する第2脚部を有し、
前記第1脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げ、前記第2脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げることにより前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
付記1または2に記載のテープ挟持方法。
【0136】
(付記4)
前記第1端部と、前記第2端部とを、前記テープの短手方向における前記一対の側縁が互いに向かい合う方向に折り曲げつつ、前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置させる、付記3に記載のテープ挟持方法。
【0137】
(付記5)
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分の前記テープの短手方向における一部を、前記テープの長手方向に延びる折り目が形成されるように前記第1脚部で折り曲げて、前記テープを挟持する、
付記2に記載のテープ挟持方法。
【0138】
(付記6)
結束対象物を包囲する帯状のテープをステープルで挟持することにより、前記テープをステープルで挟持するテープ結束機であって、
前記テープの一端である第1端部と、前記テープの他端である第2端部とを重ねる、テープ重ね部と、
前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を前記テープの一対の側縁のうちの少なくとも一方の側縁の外側から挟み込むように前記ステープルを変形させて前記テープを挟持する結束部と、
を備える結束機。
【0139】
(付記7)
前記ステープルは、クラウン部と、前記クラウン部に一端が接続された第1脚部と、を有し、
前記結束部は、前記第1端部と前記第2端部との重なる部分を、前記クラウン部と記第1脚部との間で挟み込むように前記ステープルを変形させ、前記テープを挟持する、
付記6に記載の結束機。
【0140】
(付記8)
前記ステープルは、前記クラウン部の他端に接続する第2脚部を有し、
前記結束部は、
前記第1脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げ、前記第2脚部を前記クラウン部に接近する方向に曲げることにより、前記テープを挟持する、
付記7に記載の結束機。
【0141】
(付記9)
前記第1端部と、前記第2端部とを、前記テープの短手方向における一対の側縁が互いに向かい合う方向に折り曲げつつ、前記第1脚部と前記第2脚部との間に位置させる、テープ折り曲げ部を備える、付記8に記載の結束機。
【0142】
(付記10)
前記結束部は、前記ステープルを打ち出すステープル打ち出し部を有し、
前記テープ折り曲げ部は、前記第1端部及び前記第2端部の、前記テープの長手方向において、前記ステープル打ち出し部に対して一方または他方を押圧することにより前記テープを折り曲げる、付記9に記載の結束機。
【0143】
(付記11)
前記結束部は、前記テープを支持するテープ当接部を備え、
前記テープ当接部は、前記ステープル打ち出し部と対向する位置に設けられ、前記テープ折り曲げ部が挿入可能な開口部を有する、付記10に記載の結束機。
【0144】
(付記12)
前記開口部の前記クラウン部の延伸方向における幅は、前記テープの幅より小さい、付記11に記載の結束機。
【0145】
(付記13)
前記結束部は、前記ステープルを打ち出すステープル打ち出し部と、前記ステープル打ち出し部によって打ち出された前記ステープルを曲げる曲げ部を有し、
前記テープ折り曲げ部は、前記曲げ部に対して移動可能であり、前記打ち出し部に向かう方向に付勢される、付記9から12のいずれかに記載の結束機。
【0146】
(付記14)
結束対象物を包囲する帯状のテープを用いて、前記テープの重なる部分をステープルで挟持した結束物であって、
前記テープの重なる部分は、前記テープの短手方向に折り返された状態で、前記ステープルにより挟持される、
結束物。
【0147】
(付記15)
前記重なる部分は、前記テープの長手方向に延びる折り目が形成されるように短手方向に折り曲げられた状態で、前記ステープルにより挟持される、付記14に記載の結束物。
【0148】
(付記16)
前記ステープルは、クラウン部と、前記クラウン部の両端に接続する一対の脚部とを有し、
前記重なる部分は、前記短手方向に折り曲げられた状態で前記クラウン部と一対の前記脚部とで挟持される、付記14または15に記載の結束物。
【符号の説明】
【0149】
50 ステープル
52 クラウン部
54a 第1脚部
54b 第2脚部
60 結束対象物
70 テープ
72 第1端部
74 第2端部
100 結束機
210 回転部
210a 開口部
202 結束材送り部(テープ重ね部)
220 テープ保持部(結束材保持部)
222 テープ押さえ部
223 テープ支持部
230 クリンチャユニット
232 クリンチャ(ステープル曲げ部)
240 マガジンユニット
242 ドライバ(ステープル打ち出し部)
247a 第1当接部材(テープ当接部)
247b 第2当接部材(テープ当接部)
310 テープ保持解除部
320 テープ排除部
500 結束物
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
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図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図20H
図20I
図20J
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図21F
図21G
図21H
図21I
図21J
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図28
図29
図30A
図30B