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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159247
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】液体ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20241031BHJP
   A47K 5/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D83/00 G
A47K5/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075103
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】591203831
【氏名又は名称】株式会社マーナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長堀 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健二
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC04
3E014PC16
3E014PD21
3E014PE24
3E014PE30
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】液体ディスペンサーにおいて、手間な押込み作業を繰り返すことなく容器内の液体を連続して吐出することができ、しかも、容器内の液体の残留量が少なった場合であっても、吐出量がばらつくことなく、確実に吐出できること。
【解決手段】シリコンゴム製のトップカバー部材12Aの天板状部における少し丸みを有した中央部から側面部に広がる部分(略ドーム形状部分)の厚みT1は、側面部の厚みT2に比して薄くなるように、トップカバー部材12Aが成形されるもの。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作される軟質性の材料で成形されたトップカバー部材と、液体を内部に収容する液体収容室とを有するとともに、前記トップカバー部材の押圧操作に応じた前記液体収容室内の圧力により、前記液体を吐出する吐出ノズル部材を有するアッパーケースユニット部材と、
前記アッパーケースユニット部材に着脱可能に連結される壁面固定用ロアケース部材と、を備え、
前記アッパーケースユニット部材の前記トップカバー部材の天板状部における略ドーム形状部分の中央部から側面部に広がる部分の厚みは、該側面部の厚みに比して薄くなるように、前記トップカバー部材の天板状部が成形されていることを特徴とする液体ディスペンサー。
【請求項2】
前記壁面固定用ロアケース部材の背面部および底面部を貫通するように、逆止弁が該底面部に設けられ、前記液体収容室内の負圧により、該逆止弁が、外部からの空気を該液体収容室内に導入することにより、前記吐出ノズル部材が連続的に前記液体を吐出することを特徴とする請求項1記載の液体ディスペンサー。
【請求項3】
前記アッパーケースユニット部材および壁面固定用ロアケース部材が壁面に対し略平行に固定された場合、前記逆止弁の位置は、前記液体収容室内の液体の液面、および、前記吐出ノズル部材の吐出口よりも上方位置にあることを特徴とする請求項2記載の液体ディスペンサー。
【請求項4】
前記液体収容室は、密閉空間を形成することを特徴とする請求項1記載の液体ディスペンサー。
【請求項5】
前記吐出ノズル部材および前記逆止弁は、それぞれ、軟質性の材料で成形され、前記アッパーケースユニット部材、および、壁面固定用ロアケース部材に取り外し可能に固定されることを特徴とする請求項2記載の液体ディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
マグネット取付部を有する壁面設置容器においては、例えば、特許文献1に示されるように、ポリエチレンテレフタレートで一体成形された容器本体と、容器本体の上端部に捻じ込み式の蓋で塞がれた注入口と、容器本体の下端部に設けられた回し蓋の抽出口により開閉される筒状の大吐出口および小吐出口とを備えるものが提案されている。このような壁面設置容器においては、容器本体の外周部が軽く押されることにより、開状態とされる大吐出口、又は、小吐出口より、容器本体の内部に貯留するシャンプー等が取り出される。
【0003】
また、壁面設置容器においては、マグネット取付部に代えて、例えば、特許文献2に示されるように、吸盤により、液体石鹸用ディスペンサーが壁面に取り付けられるものが提案されている。
【0004】
このような液体石鹸用ディスペンサーは、上部に注出穴を有し液体石鹸を内側の液体収納空間内に収納する合成樹脂製の容器と、この容器が嵌め込み可能な大きさの開口を有し、容器の容器部分を覆う半硬質部材で成形されたカバーと、上流側端部が上述の容器の注出穴に嵌め込まれ、最下流側端部に吐出口を有するノズルと、ノズルの嵌込部に着脱可能に接続され中心軸線が壁面に対し平行となるように液体収納空間内に挿入されるパイプと、カバーと一体成形された吸盤と、を含んで構成されている。斯かる構成において、カバー内に嵌め込まれた容器における均一な厚さを有するドーム状部分が外部から押し込まれることにより、液体収納空間内の圧力が高められた結果として、液体石鹸がパイプおよびノズルの吐出口を通じて注出される。
【0005】
さらに、弾性的に絞り出し可能な容器においては、例えば、特許文献3における図5に示されるように、自動閉鎖式のスリットバルブを有するオリフィスを基部に備えるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4998812号公報
【特許文献2】特許第4717714号公報
【特許文献3】特許第6938603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献2に示される壁面設置容器において、容器のドーム状部分が外部から1回、押し込まれることにより、所定量の液体石鹸がパイプおよびノズルの吐出口を通じて注出される構造なのでもし、その液体石鹸の所定量が、使用者が要望する量よりも少なかった場合、容器のドーム状部分が初期の状態に戻った後、容器のドーム状部分が外部からさらに繰り返し押し込まれることにより、使用者が要望する液体石鹸の量に到達するまで液体石鹸を注出させる作業が必要となり、手間がかかることとなる。
【0008】
液体石鹸が消費されることにより、液体収納空間内に残留する液体石鹸の量が当初よりも少なくなった場合、容器のドーム状部分が、その中央部分から離れた部位で押し込まれたとき、液体収納空間内の圧力が十分に高まらず、その結果としてパイプ内に押し込まれる量が減少するのでパイプおよびノズルの吐出口を通じて押し上げられ外部に吐出される量が当初の所定量よりも極端に少なくなる虞もある。
【0009】
以上の問題点を考慮し、本発明は、液体ディスペンサーであって、手間な押込み作業を繰り返すことなく容器内の液体を連続して吐出することができ、しかも、容器内の液体の残留量が少なくなった場合であっても、吐出量がばらつくことなく、確実に吐出できる液体ディスペンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、本発明に係る液体ディスペンサーは、押圧操作される軟質性の材料で成形されたトップカバー部材と、液体を内部に収容する液体収容室とを有するとともに、トップカバー部材の押圧操作に応じた液体収容室内の圧力により、液体を吐出する吐出ノズル部材を有するアッパーケースユニット部材と、アッパーケースユニット部材に着脱可能に連結される壁面固定用ロアケース部材と、を備え、アッパーケースユニット部材のトップカバー部材の天板状部における略ドーム形状部分の中央部から側面部に広がる部分の厚みは、側面部の厚みに比して薄くなるように、トップカバー部材の天板状部が成形されていることを特徴とする。
【0011】
また、壁面固定用ロアケース部材の背面部および底面部を貫通するように、逆止弁が底面部に設けられ、液体収容室内の負圧により、逆止弁が、外部からの空気を液体収容室内に導入することにより、吐出ノズル部材が連続的に液体を吐出するものであってもよい。
【0012】
アッパーケースユニット部材および壁面固定用ロアケース部材が壁面に対し略平行に固定された場合、逆止弁の位置は、液体収容室内の液体の液面、および、吐出ノズル部材の吐出口よりも上方位置にあってもよい。液体収容室は、密閉空間を形成するものであってもよい。吐出ノズル部材および逆止弁は、それぞれ、軟質性の材料で成形され、アッパーケースユニット部材、および、壁面固定用ロアケース部材に取り外し可能に固定されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液体ディスペンサーによれば、アッパーケースユニット部材のトップカバー部材の天板状部における略ドーム形状部分の中央部から側面部に広がる部分の厚みは、側面部の厚みに比して薄くなるように、トップカバー部材の天板状部が成形されているので液体収容室内の液体の残留量が少なった場合であっても、吐出ノズル部材からの吐出量がばらつくことなく、確実に吐出できる。また、壁面固定用ロアケース部材の背面部および底面部を貫通するように、逆止弁が底面部に設けられ、液体収容室内の負圧により、逆止弁が、外部からの空気を液体収容室内に導入することにより、手間な押込み作業を繰り返すことなく液体収容室内の液体を連続して吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る液体ディスペンサーの一例の外観を、その背面部から見て示す斜視図である。
図2】本発明に係る液体ディスペンサーの一例の外観を、背面部に対向するトップカバー部材から見て示す斜視図である。
図3図2におけるIII-III線に沿って示される断面図である。
図4図2におけるIV-IV線に沿って示される断面図である。
図5図2に示される液体ディスペンサーの一例の構成を分解して示す分解斜視図である。
図6】(A)は、図5に示される逆止弁を拡大して示す斜視図であり、(B)は、(A)に示される矢印VIBの示す方向から見た逆止弁を示す斜視図である。
図7】(A)は、図5に示される吐出ノズル部材を拡大して示す斜視図であり、(B)は、(A)に示される矢印VIIBの示す方向から見た吐出ノズル部材を示す斜視図である。
図8】本発明に係る液体ディスペンサーの一例が壁部に取り付けられ、液体ディスペンサーが使用される状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る液体ディスペンサーの一例の外観を、壁面に取り付けられる液体ディスペンサーの背面部から示す。
【0016】
液体ディスペンサーLDは、例えば、マグネット壁装材で作られた壁部WA(図8参照)の表面に取り付けられる壁面固定用ロアケース部材10と、壁面固定用ロアケース部材10の内周部を覆うように連結されるアッパーケースユニット部材12と、を含んで構成される。
アッパーケースユニット部材12は、図5に示されるように、吐出ノズル部材18を着脱可能に下端部に有し壁面固定用ロアケース部材10に連結される吐出ノズル固定/連結部材12Bと、枠状の吐出ノズル固定/連結部材12Bの内側を覆うように吐出ノズル固定/連結部材12Bの一端部に接合される接合端部を有するトップカバー部材12Aとから構成されている。
トップカバー部材12Aは、軟質性の材料としてのエラストマー材料、例えば、シリコンゴムで成形されている。トップカバー部材12Aは、図2および図5に示されるように、後述する被押圧部としての略四角形の天板状部と、天板状部の四辺に連なり吐出ノズル固定/連結部材12Bに向けて延びる4つの側面部とから構成されている。図1および図2に示されるように、天板状部の長辺および短辺に対応する4辺の側面部のうち一つの短辺に対応する側面部の一部における吐出ノズル部材18に対応した部分は、吐出ノズル部材18を逃がすように切り欠かれている。トップカバー部材12Aの接合端部の段差部は、図3に示されるように、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ等の液体を内部に収容するアッパケース収容室12Cを形成するように、吐出ノズル固定/連結部材12Bの一端部の段差部に係合され接合されている。
【0017】
図3に示されるように、トップカバー部材12Aの天板状部における少し丸みを有した中央部から側面部に広がる部分(略ドーム形状部分)の厚みT1は、側面部の厚みT2に比して薄くなるように成形されている。側面部の内周部における天板状部の四辺の内周部に連なる部分は、所定の曲率半径を有する丸みを有している。
【0018】
これにより、トップカバー部材12Aの天板状部における中央部から側面部に広がる部分の一部の表面が、図3に二点鎖線で示されるように、矢印の示す方向に手の指先で所定量、押し込まれることによって、天板状部における中央部から側面部に広がる部分が、容易に吐出ノズル固定/連結部材12Bに向けて撓むように弾性変位可能とされる。一方、押し込んだ手の指先がトップカバー部材12Aの表面から引き離された場合、トップカバー部材12Aの天板状部における中央部から側面部に広がる部分は、図3に実線で示されるように、そのエラストマー材料の復元力により元の状態に戻される。その際、トップカバー部材12Aの天板状部における少し丸みを有した中央部から側面部に広がる部分(略ドーム形状部分)の厚みT1は、側面部の厚みT2に比して薄くなるように成形されているので天板状部における中央部から離れた周縁に近い部分が手の指先で押し込まれることによっても容易に撓むこととなる。
【0019】
吐出ノズル固定/連結部材12Bは、例えば、樹脂材料で略四角形の枠状に成形されている。吐出ノズル固定/連結部材12Bにおける各辺を互いに連結する各角部は、上述のトップカバー部材12Aの側面部の端部を互いに連結する各角部の丸みに対応した所定の曲率半径を有する丸みを有している。吐出ノズル固定/連結部材12Bの内周部は、上述のトップカバー部材12Aの内周部と相俟って上述のアッパケース収容室12Cを形成している。
【0020】
吐出ノズル固定/連結部材12Bの4辺のうち一方の短辺に対応する側面部の外周部の中央部は、図3および図5に示されるように、後述する壁面固定用ロアケース部材10の側面部10UWの内周部に形成される突起部10UPが係合される長孔12BHを有している。また、吐出ノズル固定/連結部材12Bの4辺のうち他方の短辺に対応する側面部の中央部は、吐出ノズル部材18が着脱可能に配置される吐出ノズル保持部12BTを有している。吐出ノズル保持部12BTは、上述のトップカバー部材12Aの切り欠き部に向けて突出している。吐出ノズル保持部12BTは、吐出ノズル部材18の吐出部18Nが挿入される取付孔12BTaを有している。
【0021】
吐出ノズル部材18は、図7(A)および(B)に示されるように軟質性の材料としてのエラストマー材料、例えば、シリコンゴムで成形されている。吐出ノズル部材18は、上述の吐出ノズル保持部12BTの浅い凹部に載置されるフランジ部18Fと、フランジ部18Fと一体に成形され、吐出ノズル保持部12BTの取付孔12BTaに挿入されアッパケース収容室12C内の液体を吐出する吐出部18Nと、から構成されている。
【0022】
吐出部18Nの外周部は、図3に示されるように、吐出ノズル保持部12BTの取付孔12BTaの内周部に形成される環状部に係合される溝18Gを全周に有している。吐出部18Nの内部には、オリフィスを形成する凹面状の膜18NMが一体に形成されている。膜18NMは、中央部で互いに直交するスリットからなる自動閉鎖式のオリフィス18NSが形成されている。オリフィス18NSの寸法は、例えば、長さおよびスリット幅がそれぞれ、約4~5mm、約0.1mm程度の値に設定されている。
【0023】
これにより、オリフィス18NSを有するスリットバルブが、膜18NMに形成されることとなる。トップカバー部材12Aの天板状部における中央部から側面部に広がる部分の一部の表面が、図3に二点鎖線で示されるように、矢印の示す方向に手の指先で所定量、押し込まれることによって、アッパケース収容室12Cおよび後述するロアケース収容室10A内の圧力が所定値以上となった場合、上述の液体が、スリットバルブのオリフィス18NSを介して図3における矢印の示す方向(重力の作用する方向)に所定量、吐出された後、スリットバルブが、自動的に閉じられることとなる。
【0024】
上述の吐出ノズル固定/連結部材12Bの外郭形状に対応した外殻形状を有する壁面固定用ロアケース部材10の外郭は、図3図4、および、図5に示されるように、例えば、樹脂材料で一体に成形され、壁部WAの壁面WSに取り付けられる背面部と、背面部に対向して形成され液体が貯留されるロアケース収容室10Aを形成する底面部10BWと、背面部に対し連なり長辺に沿って延びる側面部10RSWおよび側面部10LSWと、背面部に対し連なり長辺に沿って延びる側面部10RSWおよび側面部10LSWの各端部をそれぞれ、連結する側面部10LW、および、10UWと、を含んで構成されている。側面部10RSWおよび側面部10LSW、ならびに、側面部10LW、および、10UWは、背面部に対し直交するとともに、上述の吐出ノズル固定/連結部材12Bに向けて背面部から突出している。
【0025】
壁面固定用ロアケース部材10の背面部には、図1に示されるように、壁部WA内に薄いマグネットシート(着磁シート)14が固着される浅い窪み10MG(図4参照)が形成されている。マグネットシート14は、一端部および他端部に、それぞれ、後述する逆止弁20に対応した位置の回りに細長い切欠部14G1と、上述の浅い窪みの周縁に形成される突起部に係合される切欠部14G2と、を有している。切欠部14G2の大きさは、細長い切欠部14G1の大きさに比して小である。また、マグネットシート14における細長い切欠部14G1が形成される一端部に近接した位置には、所定の隙間CL1およびCL2をもって隆起したリブ10Rが背面部の最上端部に一体に形成されている。リブ10Rの両端は、壁面固定用ロアケース部材10の短辺に沿って背面部の両端まで延びている。これにより、水滴等が、背面部の最上端部よりも上方から壁部WAの壁面WSを伝って直接的に背面部の逆止弁20に侵入することがリブ10Rにより回避される。
【0026】
図1および図2に示されるように、吐出ノズル固定/連結部材12Bの切欠部12BGに係合される側面部10LWの中央部には、吐出ノズル固定/連結部材12Bの突起部12BPに取り外し可能に係合される長孔10bが形成されている。図3に示されるように、側面部10UWの内面部には、吐出ノズル固定/連結部材12Bの長孔12BHに取り外し可能に係合される突起部10UPが一体に形成されている。
【0027】
側面部10RSWおよび側面部10LSWの内側には、それぞれ、図4に示されるように、四角形のシリコンゴム製ゴムパッキン16(図5参照)が着脱可能に配置される溝10Gを側面部10LSW、および、10RSW相互間に形成する仕切壁10LIW、10RIMが、形成されている。また、側面部10LW、および、10UWの内側には、図3に示されるように、仕切壁10LIW、10RIMに連なって側面部10LW、および、10UW相互間に上述の溝10Gを、それぞれ、形成する仕切壁10DIW、10UIWが、形成されている。これにより、仕切壁10LIW、10RIM、ならびに、仕切壁10DIW、10UIWの内側には、液体が貯留されるロアケース収容室10Aが形成されることとなる。仕切壁10UIWの一部は、ゴムパッキン16を着脱するために切欠かれている。
【0028】
シリコンゴム製ゴムパッキン16の横断面は、例えば、矩形断面形状を有している。アッパーケースユニット部材12が、壁面固定用ロアケース部材10に取り付けられた場合、図3および図4に示されるように、シリコンゴム製ゴムパッキン16は、吐出ノズル固定/連結部材12Bの接続端面で押圧されることとなる。これにより、アッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10Aによって密閉された内部空間が形成されることとなる。その結果、収容された液体が酸化される事態が抑制される。
【0029】
図1および図3に示されるように、壁面固定用ロアケース部材10の背面部および底面部10BWを貫通するように、逆止弁20が、底面部10BWに設けられている。逆止弁20の位置は、図8に示されるように、液体ディスペンサーLDが壁面WSに取り付けられた場合、内部に収容された液体の液面LSより上方の位置に設定される。これは、後述するように、液体により、外部からの空気が一対のリップ部20A1および20A2相互間を通じて導入されない事態を回避するためである。
【0030】
逆止弁20は、図6(A)および(B)に示されるように、例えば、トップカバー部材12Aのシリコンゴムの硬度よりも小さい硬度を有する、軟質性の材料としてより柔軟なシリコンゴムにより一体に成形されている。
【0031】
逆止弁20は、底面部10BWの段付き孔10Cに取り付けられる円筒状の固定部20Bと、固定部20Bと一体に成形され、先端が互いに近接または離隔される一対のリップ部20A1および20A2と、から構成されている。固定部20Bの外周部は、段付き孔10C内の突起に係合される溝20BGを全円周上に有している。固定部20Bの内周部は、外部からの空気を一対のリップ部20A1および20A2相互間に導く空洞20THを有している。
【0032】
斯かる構成において、上述したように、トップカバー部材12Aの天板状部における中央部から側面部に広がる部分の一部の表面が、図3に二点鎖線で示されるように、矢印の示す方向に手の指先で所定量、押し込まれることによって、逆止弁20における一対のリップ部20A1および20A2の先端が互いに離隔された状態(開状態)となった後、押し込んだ手の指先がトップカバー部材12Aの表面から引き離された場合、図3に実線で示されるように、トップカバー部材12Aの表面がそのエラストマー材料の復元力により元の状態に戻されるとき、アッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10A内の負圧により、外部の空気が、壁面WSにおいて上述の所定の隙間CL1およびCL2を通じて空洞20TH、および、一対のリップ部20A1および20A2の先端相互間を介してアッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10A内に導入された後、液体が吐出され、一対のリップ部20A1および20A2の先端が近接された状態(閉状態)とされることにより、アッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10Aにより形成される内部空間が再び密閉される。
【0033】
液体ディスペンサーLDを使用するにあたり、先ず、液体が、壁面固定用ロアケース部材10のロアケース収容室10A内に所定量、例えば、450ml程度注入される。例えば、450ml注入された液体の液面LSは、図4に示されるように、仕切壁10LIW、10RIMの上端部と一致する。その後、次に、アッパーケースユニット部材12が壁面固定用ロアケース部材10を覆うように、アッパーケースユニット部材12の吐出ノズル固定/連結部材12Bの接続端部がゴムパッキン16に押し付けられた後、突起部12BPが、長孔10bに係合されるとともに、長孔12BHに突起部10UPが係合される。これにより、アッパーケースユニット部材12が壁面固定用ロアケース部材10に固定される。そして、組付けられた液体ディスペンサーLDが壁部WAの壁面WSに取り付けられた後、図8に示されるように、例えば、右手HAの親指THでアッパーケースユニット部材12のトップカバー部材12Aの天板状部が押し込められることにより、吐出ノズル部材18から液体SOが右手の平HAPに吐出されることとなる。その際、右手HAの親指THをトップカバー部材12Aの天板状部から引き離すことなく、右手HAの親指THでアッパーケースユニット部材12のトップカバー部材12Aの天板状部が押し続けられることにより、液体が吐出し、上述したように、アッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10A内の負圧により、逆止弁20を通じて外部の空気がアッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10Aに導入されるので連続して液体SOが右手の平HAPに吐出されることとなる。
【0034】
従って、手間な押込み作業を繰り返すことなくアッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10A内の液体を連続して吐出することができ、しかも、アッパケース収容室12Cおよびロアケース収容室10A内の液体の残留量が少なった場合であっても、吐出ノズル部材18からの吐出量がばらつくことなく、確実に吐出できる。また、ゴムパッキン16、逆止弁20、および、吐出ノズル部材18が、それぞれ、取り外し可能なので液体ディスペンサーLD内の洗浄が容易となる。
【0035】
なお、上述の例においては、壁面固定用ロアケース部材10の背面部が、マグネットシート14により、壁面に固定されているが、斯かる例に限られることなく、壁面固定用ロアケース部材10の背面部が、例えば、複数個の塩化ビニル製の吸盤により、壁面に固定されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 壁面固定用ロアケース部材
12 アッパーケースユニット部材
12A トップカバー部材12A
12B 吐出ノズル固定/連結部材
18 吐出ノズル部材
20 逆止弁
SO 液体
LD 液体ディスペンサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8