(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159253
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241031BHJP
H04N 23/90 20230101ALI20241031BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20241031BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N23/90
H04N23/52
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075118
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼谷 健太
(72)【発明者】
【氏名】新海 敦
(72)【発明者】
【氏名】黒木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】武岡 達
(72)【発明者】
【氏名】仰木 恒雄
【テーマコード(参考)】
3D020
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BC13
3D020BD05
5C054CA04
5C054CC02
5C054HA29
5C054HA30
5C122DA14
5C122FA18
5C122GD01
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】周囲の広範囲を撮像することが可能な作業車両を提供する。
【解決手段】キャビン10の前部に設けられて、前方を撮像可能な前方カメラ610と、前記キャビン10の左右両側部に左右一対設けられて、側方を撮像可能な側方カメラ640と、前記キャビン10の後部に左右一対設けられて、後方を撮像可能な後方カメラ670と、を具備した。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンの前部に設けられて、前方を撮像可能な前方撮像部と、
前記キャビンの左右両側部に左右一対設けられて、側方を撮像可能な側方撮像部と、
前記キャビンの後部に左右一対設けられて、後方を撮像可能な後方撮像部と、
を具備する作業車両。
【請求項2】
前記前方撮像部、前記側方撮像部及び前記後方撮像部のうち少なくとも1つは、水平方向の向きの調節が可能となるように構成されている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記前方撮像部、前記側方撮像部及び前記後方撮像部のうち少なくとも1つに設けられ、当該撮像部を少なくとも側方から覆うカバー部を具備する、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記前方撮像部、前記側方撮像部及び前記後方撮像部のうちいずれか3つの前記撮像部は、撮像範囲が重複するように配置されている、
請求項2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の位置を検出可能な位置検出装置を具備する作業車両の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、衛星測位システムを構成する測位衛星からの電波信号を受信することで車体の位置を検出可能なアンテナユニットと、機体前方を撮影可能なカメラと、を備えるトラクタが記載されている。上記アンテナユニットは、キャビンの前面側の上部に位置するように設けられている。また、上記カメラは、アンテナユニットの下方に設けられている。特許文献1に記載のトラクタは、上述のように設けられたアンンテナユニットにより車体の位置を検出すると共に、カメラによって機体前方の映像を取得することで、自律走行を実現している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のトラクタは、機体前部に設けられたカメラしか有していないため、限られた範囲の映像(機体前方の映像)しか撮影することができない。このため、自律走行の性能向上のため、より広範囲の映像を取得することが可能な技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、周囲の広範囲を撮像することが可能な作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様に係る作業車は、キャビンの前部に設けられて、前方を撮像可能な前方撮像部と、前記キャビンの左右両側部に左右一対設けられて、側方を撮像可能な側方撮像部と、前記キャビンの後部に左右一対設けられて、後方を撮像可能な後方撮像部と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、作業車両の周囲の広範囲を撮像することができる。
【0009】
本開示の一態様に係る前記前方撮像部、前記側方撮像部及び前記後方撮像部のうち少なくとも1つは、水平方向の向きの調節が可能となるように構成されているものである。
本開示の一態様によれば、撮像部が適切な方向を向くように調節することができる。
【0010】
本開示の一態様に係る作業車両は、前記前方撮像部、前記側方撮像部及び前記後方撮像部のうち少なくとも1つに設けられ、当該撮像部を少なくとも側方から覆うカバー部を具備するものである。
本開示の一態様によれば、撮像部に太陽光や照明器具の光が照射されるのを防止することができる。また、撮像部に泥や砂塵、雨水等が付着するのを防止することができる。
【0011】
本開示の一態様に係る作業車両は、前記前方撮像部、前記側方撮像部及び前記後方撮像部のうちいずれか3つの前記撮像部は、撮像範囲が重複するように配置されているものである。
本開示の一態様によれば、重複する範囲の画像を3つの撮像部で取得することができるため、より正確な情報(例えば、人や障害物の有無等)を取得することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、作業車両の周囲の広範囲を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一態様に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。
【
図2】トラクタのキャビン、位置検出装置及び支持機構を示した斜視図。
【
図6】位置検出装置及び支持機構を示した分解斜視図。
【
図7】支持機構の右側部分を示した拡大分解斜視図。
【
図8】支持機構の左側部分を示した拡大分解斜視図。
【
図9】使用位置の位置検出装置及び支持機構を示した左側面図。
【
図10】非使用位置の位置検出装置及び支持機構を示した左側面図。
【
図11】ビーム、配線、位置検出装置及び支持機構を示した右側面図。
【
図13】前方カメラ及び位置検出装置を示した前上方斜視図。
【
図14】前方カメラ及び位置検出装置を示した前下方斜視図。
【
図15】側方カメラ及びルーフを示した左下方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0015】
まず、本開示の一態様に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
【0016】
図1に示すトラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、ミッションケース5、前輪6、後輪7、フェンダ8、昇降装置9、キャビン10、座席20及びステアリングホイール21等を具備する。
【0017】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。エンジン3は、ボンネット4に覆われる。エンジン3の後部には、ミッションケース5が固定される。ボンネット4の右側方には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ4aが配置される。
【0018】
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪6に支持される。ミッションケース5の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪7に支持される。左右一対の後輪7は、概ね上方からフェンダ8によって覆われる。
【0019】
ミッションケース5の後部には、昇降装置9が設けられる。昇降装置9には、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。昇降装置9は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業装置を昇降させることができる。当該昇降装置9には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
【0020】
エンジン3の動力は、ミッションケース5に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪6に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪7に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪6及び後輪7が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。またエンジン3の動力によって、昇降装置9に装着された作業装置を駆動させることができる。
【0021】
エンジン3の後方にはキャビン10が設けられる。キャビン10は車体(ミッションケース5等)に載置される。キャビン10の内部には、運転者が搭乗する居住空間が形成される。
【0022】
図2に示すように、キャビン10は、前部においてルーフ11を支持する左右のピラー(フロントピラー)12を有する。左右のピラー12の上下方向中途部には、後述する第一連結部400及び第二連結部500を固定するための固定片部12aがそれぞれ設けられる。固定片部12aは、厚さ方向を概ね前後方向に向けた略板形状に形成される。
【0023】
また、
図5に示すように、キャビン10は、左右のピラー12の上端部同士を連結するビーム13を有する。なお、
図5では、キャビン10のルーフ11等の図示を省略している。ビーム13及び左右のピラー12により形成された枠内には、フロントガラスが設けられる。ビーム13には、後述する位置検出装置100と接続される配線111、及び、後述する前方カメラ610と接続される配線112を、キャビン10の内部から外部へと取り出す取り出し口13aが形成される。取り出し口13aは、ビーム13を前後方向に貫通するように形成される。取り出し口13aは、ビーム13の右側部分に形成される。また、取り出し口13aは、左右方向に間隔を空けて複数(図例では2つ)形成される。
【0024】
図1に示すように、キャビン10の略中央には、運転者が着座するための座席20が配置される。また、キャビン10には、座席20に対する乗り降りのための補助ステップ20aが設けられる。補助ステップ20aは少なくともキャビン10の左側に設置される。なお、補助ステップ20aはキャビン10の両側に設置可能である。また、キャビン10の前部には、前輪6の切れ角を調節するためのステアリングホイール21が配置される。
【0025】
図2に示すように、トラクタ1は、車体の位置を検出可能な位置検出装置100と、位置検出装置100を支持する支持機構200と、を具備する。また
図1及び
図12に示すように、トラクタ1は、複数のカメラ(前方カメラ610、側方カメラ640及び後方カメラ670)を具備する。
【0026】
以下では、
図2から
図8までを用いて、位置検出装置100及び支持機構200の詳細について説明する。
【0027】
図2に示す位置検出装置100は、GPS等の衛星測位システムや各種センサ等を利用して、車体の位置(緯度、経度を含む位置情報)を検出可能な装置である。位置検出装置100は、略直方体の箱形状に形成される。位置検出装置100は、衛星から送信された衛星信号を受信する適宜の受信手段を有する。位置検出装置100は、キャビン10の外部に位置するように設けられる。具体的には、位置検出装置100は、ルーフ11の前部における左右方向略中央に位置するように配置される。
【0028】
図5に示すように、位置検出装置100は、キャビン10の内部から取り出し口13aを介して取り出された配線111と接続される。図例では、位置検出装置100の右部に配線111を接続させている。配線111を介して、位置検出装置100と、トラクタ1の走行を制御可能な適宜の制御装置と、を通信可能に接続することができる。
【0029】
トラクタ1は、位置検出装置100が検出した位置情報に基づいて、車体の操舵を自動で行う制御を実行可能である。上記制御には、例えば、設定された所定の走行基準ラインに平行に直進するように、車体の操舵を自動で行う制御や、作成された目標走行ルートに沿って車体の走行を自動で行う制御が含まれる。
【0030】
支持機構200は、キャビン10に取り付けられると共に、位置検出装置100を支持するものである。支持機構200は、支持フレーム300、第一連結部400及び第二連結部500を具備する。
【0031】
図5から
図8までに示す支持フレーム300は、位置検出装置100を支持すると共に、左右のピラー12に亘るように配置されるものである。支持フレーム300は、ルーフ11の前方に位置するように配置される。支持フレーム300は、後述する第一連結部400及び第二連結部500を介して、左右方向に向く中心軸(後述する回動軸322、336)回りに、左右のピラー12に対して回動可能に設けられる。
【0032】
具体的には、支持フレーム300は、位置検出装置100がルーフ11(ルーフ11の上端部)の上方に位置する使用位置(
図9を参照)と、位置検出装置100がルーフ11よりも下方に位置するように、使用位置から左側面視反時計回り方向に回動した非使用位置(
図10を参照)と、の間で回動操作可能である。なお、支持フレーム300の回動操作の詳細な説明は後述する。以下では、使用位置を基準として、支持フレーム300の構成を説明する。支持フレーム300は、本体部310、第一端部320、第二端部330、支持プレート340及びカバー部350を具備する。
【0033】
図5及び
図8に示す本体部310は、支持フレーム300の主たる構造体である。本体部310は、左右方向に長尺な棒状(丸棒形状)の部材を屈曲することで形成される。本体部310としては、例えば中空形状の丸棒(パイプ)を採用可能である。
図5に示すように、本体部310は、左右方向両端部(後述する第三部分313の端部)が、左右のピラー12(ピラー12のうち、支持フレーム300と概ね同高さの部分)よりも左右方向外側に位置するように形成される。本体部310は、第一部分311、第二部分312及び第三部分313を具備する。
【0034】
第一部分311は、本体部310の左右方向中央側の部分である。第一部分311は、左右方向に延びるように形成される。
図5に示すように、第一部分311は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、左右方向中央部が後方に向けて凹むように形成されている。より詳細には、第一部分311は、左右方向中央部が左右方向両端部に対して斜め後下方に向けて凹むように形成されている(
図11を参照)。また、第一部分311は、左右方向中央部を除いて、直線状に形成されている。
【0035】
第二部分312は、第一部分311の左右方向両端部から、それぞれ左右に延びる部分である。第二部分312は、斜め下後方向に向かって延びるように形成される。
図5に示すように、本実施形態では、左右の第二部分312のうち、マフラ4a側(右側)の第二部分312を、マフラ4aとの接触を回避するように屈曲させている。すなわち、本実施形態では、右側の第二部分312を、反マフラ4a側(平面視において斜め左後側)に向けて凹むように屈曲した形状に形成している。また、右側の第二部分312は、
図11に示すように、右側面視斜め後上方に向けて凹むように形成されている。これにより、支持フレーム300(第二部分312)とマフラ4aとの干渉を避けることができる。
【0036】
第三部分313は、第二部分312の左右方向両端部から、それぞれ左右に延びる部分である。第三部分313は、左右方向に直線状に延びるように形成される。左右の第三部分313は、互いに略同軸上に位置するように形成される。
【0037】
上述の如き本体部310は、左右非対称形状に形成されている。具体的には、本体部310は、右側の第二部分312を、マフラ4aとの接触を回避するように屈曲させる一方、左側の第二部分312については屈曲させず、直線状に延びる形状に形成している。このように、本実施形態では、他の部材との干渉を避けるように本体部310(第二部分312)の形状を任意に変更している。本実施形態のように、本体部310のうち、左右の第三部分313が互いに略同軸上に位置していれば、中途部(第一部分311及び第二部分312)の形状や大きさ等を任意に変更することができる。これにより、トラクタ1の設計の自由度を向上させることができる。
【0038】
図3及び
図7に示す第一端部320は、支持フレーム300の右側の端部を構成するものである。第一端部320は、厚さ方向を左右方向に向けた略板形状に形成される。第一端部320は、側面視において略円形状に形成される。第一端部320は、本体部310(第三部分313)の右端部に固定される。第一端部320は、軸取付孔321及び回動軸322を具備する。
【0039】
軸取付孔321は、後述する回動軸322が取り付けられる部分(ねじ孔)である。軸取付孔321は、第一端部320を左右方向に貫通するように形成される。軸取付孔321は、第一端部320の側面視中心に形成される。軸取付孔321は、側面視において、第三部分313の中心と概ね一致するように形成される。
【0040】
回動軸322は、支持フレーム300の右側の回動中心となるものである。回動軸322は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。回動軸322は、適宜のボルト(スタッドボルト)により形成される。回動軸322は、軸取付孔321に嵌合される。
【0041】
図4及び
図8に示す第二端部330は、支持フレーム300の左側の端部を構成するものである。第二端部330は、厚さ方向を左右方向に向けた略板形状に形成される。第二端部330は、側面視において一部(後述する突部334)が突出した略円形状に形成される。なお、第二端部330は、一部が突出している点を除いて、第一端部320と概ね同様な形状に形成される。第二端部330は、軸取付孔331、第一固定孔332、第二固定孔333、突部334、規制ピン335及び回動軸336を具備する。
【0042】
軸取付孔331は、後述する回動軸336が取り付けられる部分(ねじ孔)である。軸取付孔331の構成は、第一端部320の軸取付孔321の構成と概ね同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0043】
第一固定孔332は、使用位置で支持フレーム300を固定する際に、後述する第二連結部500に対して第二端部330を固定するための部分である。第一固定孔332は、第二端部330を左右方向に貫通するように形成される。第二端部330は、軸取付孔331を挟んで一対形成される。
【0044】
第二固定孔333は、非使用位置で支持フレーム300を固定する際に、後述する第二連結部500に対して第二端部330を固定するための部分である。第二固定孔333は、第一固定孔332と同様、第二端部330を左右方向に貫通するように形成される。第二端部330は、軸取付孔331を挟んで一対形成される。第一固定孔332及び第二固定孔333は、軸取付孔331を中心とする円周上に並ぶように形成される。
【0045】
突部334は、第二端部330の略円形状の部分から、略上方(斜め上方)に向けて突出する部分である。
【0046】
規制ピン335は、突部334の先端部から、左方に向けて突出する部分である。規制ピン335は、軸線方向を左右方向に向けた略円柱形状に形成される。
【0047】
回動軸336は、支持フレーム300の左側の回動中心となるものである。回動軸336は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。回動軸336は、軸取付孔331に嵌合される。回動軸336は、右側の回動軸322と同一の外径となるように形成されている。
【0048】
図6に示す支持プレート340は、位置検出装置100を支持するものである。支持プレート340は、本体部310の左右方向中央部(第一部分311の左右方向中央部)に設けられる。支持プレート340は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。支持プレート340は、本体部310に対して、例えば溶接により固定される。また、支持プレート340は、位置検出装置100の底面に対して、ボルト等の止具を用いて固定される。
【0049】
図3及び
図7に示すカバー部350は、本体部310に設けられ、配線111及び配線112の少なくとも一部を覆うものである。カバー部350は、平面視において、左右方向に長尺な略矩形状に形成される。カバー部350は、本体部310の右側部分に設けられる。より詳細には、カバー部350は、本体部310の第一部分311のうち、支持プレート340よりも右側の部分に設けられる。また、カバー部350は、第一部分311の後側に設けられる。カバー部350は、下カバー部351、カバー固定部352及び上カバー部353を具備する。
【0050】
下カバー部351は、本体部310(第一部分311)の下部に設けられる部分である。下カバー部351は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。より詳細には、下カバー部351は、板形状の部材の後端部を上方に折り曲げた形状に形成される。下カバー部351は、第一部分311の下面に対して、例えば溶接により固定される。
【0051】
カバー固定部352は、後述する上カバー部353を固定するための部分である。カバー固定部352には、ボルト等の止具を上下に挿通可能なねじ孔が形成される。カバー固定部352は、本体部310(第一部分311)の上面に、左右方向に間隔を空けて複数(図例では3つ)設けられる。カバー固定部352は、第一部分311の上面に対して、例えば溶接により固定される。
【0052】
上カバー部353は、本体部310(第一部分311)の上部に設けられる部分である。上カバー部353は、位置検出装置100が使用位置にある状態で、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。上カバー部353は、本体部310とは別体に形成される。上カバー部353は、カバー固定部352に対して、ボルト等の止具を用いて取り付けられる。
【0053】
図3及び
図7に示す第一連結部400は、支持フレーム300の右端部を右側のピラー12に対して回動可能に連結するものである。第一連結部400は、右側のピラー12の固定片部12aに設けられる。第一連結部400は、固定部材410、支持部材420及び摩擦力付与機構430を具備する。
【0054】
固定部材410は、ピラー12の固定片部12aに固定されると共に、後述する支持部材420が取り付けられるものである。固定部材410は、板形状の部材を略L字形状に折り曲げて形成される。固定部材410は、第一固定片部411及び第二固定片部412を具備する。
【0055】
第一固定片部411は、固定片部12aに固定される部分である。第一固定片部411は、厚さ方向が概ね前後方向に向くように形成される。第一固定片部411は、後面が固定片部12aの前面に当接した状態で、固定片部12aに対してボルト等の止具を用いて固定される。
【0056】
第二固定片部412は、支持部材420が取り付けられる部分である。第二固定片部412は、第一固定片部411の上端部から、略後方に向けて延びるように形成される。第二固定片部412は、厚さ方向が概ね上下方向に向くように形成される。
【0057】
支持部材420は、固定部材410に取り付けられると共に、支持フレーム300の右端部を回動可能に支持するものである。支持部材420は、板形状の部材を略L字形状に折り曲げて形成される。支持部材420は、第一支持片部421及び第二支持片部422を具備する。
【0058】
第一支持片部421は、固定部材410の第二固定片部412に固定される部分である。第一支持片部421は、厚さ方向が概ね上下方向に向くように形成される。第一支持片部421は、下面が第二固定片部412の上面に当接した状態で、第二固定片部412に対してボルト等の止具を用いて固定される。
【0059】
第二支持片部422は、支持フレーム300の右端部(第一端部320)を回動可能に支持する部分である。第二支持片部422は、第一支持片部421の右端部から、上方に向けて延びるように形成される。第二支持片部422は、厚さ方向が左右方向に向くように形成される。第二支持片部422は、側面視において略矩形状に形成される。第二支持片部422は、上端部の左右方向中央部が、上方に向けて突出する円弧形状に形成されている。第二支持片部422は、支持孔422aを具備する。
【0060】
支持孔422aは、支持フレーム300の回動軸322が挿通されると共に、支持フレーム300の右端部を回動可能に支持するものである。支持孔422aは、第二支持片部422を左右方向に貫通するように形成される。支持孔422aの内径は、回動軸322の外径よりも大きく形成される。支持孔422aは、第二支持片部422の側面視略中央に形成される。
【0061】
摩擦力付与機構430は、支持フレーム300の回動に摩擦力を付与するものである。摩擦力付与機構430は、第二支持片部422の右面側に設けられる。摩擦力付与機構430は、摩擦板431、座金432、ばね部433、ばね受け部434及びケース435を具備する。
【0062】
摩擦板431は、第二支持片部422の右面との間で摩擦力を発生させるためのものである。摩擦板431は、略円環状に形成される。摩擦板431は、回動軸322に外嵌される。
【0063】
座金432は、後述するばね部433の付勢力を摩擦板431へ伝達するものである。座金432は、略円環状に形成される。座金432は、回動軸322に外嵌されて、摩擦板431の右面に当接する。
【0064】
ばね部433は、座金432及び摩擦板431を左方へ付勢するためのものである。ばね部433は、圧縮コイルばねにより形成される。ばね部433は、回動軸322に外嵌されて、座金432の左面に当接する。
【0065】
ばね受け部434は、ばね部433を受けるためのものである。ばね受け部434は、略円環状に形成される。ばね受け部434は、回動軸322に外嵌されて、ばね部433の、右面に当接する。また、ばね受け部434は、回動軸322に締結されるナット322aによって、回動軸322に保持される。ナット322aの締結位置を適宜変更することで、支持フレーム300が回動する際に付与される摩擦力を調節することができる。
【0066】
ケース435は、摩擦力付与機構430を構成する他の部材(摩擦板431、座金432、ばね部433、ばね受け部434)及び回動軸322を覆うものである。ケース435は、左方に開口する略箱形状に形成される。
【0067】
図4及び
図8に示す第二連結部500は、支持フレーム300の左端部を左側のピラー12に対して回動可能に連結するものである。第二連結部500は、左側のピラー12の固定片部12aに設けられる。第二連結部500は、固定部材510、支持部材520を具備する。
【0068】
固定部材510は、ピラー12の固定片部12aに固定されると共に、後述する支持部材520が取り付けられるものである。固定部材510は、第一固定片部511及び第二固定片部512を具備する。なお、固定部材510(第一固定片部511及び第二固定片部512)は、左右方向に対称な形状に形成されている点を除いて固定部材410(第一固定片部411及び第二固定片部412)と概ね同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0069】
支持部材520は、固定部材510に取り付けられると共に、支持フレーム300の左端部を回動可能に支持するものである。支持部材520は、板形状の部材を略L字形状に折り曲げて形成される。支持部材520は、第一支持片部521及び第二支持片部522を具備する。
【0070】
第一支持片部521は、固定部材510の第二固定片部512に固定される部分である。第一支持片部521は、厚さ方向が概ね上下方向に向くように形成される。第一支持片部521は、下面が第二固定片部512の上面に当接した状態で、第二固定片部512に対してボルト等の止具を用いて固定される。
【0071】
第二支持片部522は、支持フレーム300の左端部(第二端部330)を回動可能に支持する部分である。第二支持片部522は、第一支持片部521の左端部から、上方に向けて延びるように形成される。第二支持片部522は、厚さ方向が左右方向に向くように形成される。第二支持片部522は、側面視において略矩形状に形成される。第二支持片部522は、上端部の左右方向中央部が、支持孔522aを中心とする円弧形状に形成されることで、上方に向けて突出している。第二支持片部522は、支持孔522a、固定孔522b、第一規制部522c及び第二規制部522dを具備する。
【0072】
支持孔522aは、支持フレーム300の回動軸336が挿通されると共に、支持フレーム300の左端部を回動可能に支持するものである。支持孔522aは、第二支持片部522を左右方向に貫通するように形成される。支持孔522aは、第二支持片部522の側面視略中央に形成される。支持孔522aの内径は、第一連結部400の支持孔422aの内径よりも大きく形成される。これによって、支持孔422aと当該支持孔422aに挿通された回動軸322との隙間より、支持孔522aと当該支持孔522aに挿通された回動軸336との隙間の方が大きくなる。
【0073】
固定孔522bは、支持フレーム300(第二端部330)を使用位置又は非使用位置で固定する際に用いられる部分である。固定孔522bは、側面視において、使用位置の支持フレーム300(第二端部330)の一対の第一固定孔332とそれぞれ重複すると共に、非使用位置の支持フレーム300(第二端部330)の一対の第二固定孔333とそれぞれ重複するように、一対形成される(
図9及び
図10を参照)。一対の固定孔522bは、支持フレーム300の回動中心(回動軸336の軸心)を円心とした円の円周に沿って延びる長孔形状に形成される。固定孔522bと、第一固定孔332又は第二固定孔333と、に挿通された固定用のボルト及びナットにより、使用位置又は非使用位置の支持フレーム300と、支持部材520と、が固定される。
【0074】
第一規制部522cは、支持フレーム300の回動を使用位置で規制するものである。第一規制部522cは、第二支持片部522の後部(円弧形状の部分の後方の部分)における上面に形成される。第一規制部522cに、支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、使用位置の支持フレーム300の左側面視時計回り方向への更なる回動が規制される(
図9を参照)。
【0075】
第二規制部522dは、支持フレーム300の回動を非使用位置で規制するものである。第二規制部522dは、第二支持片部522の前部(円弧形状の部分の前方の部分)における上面に形成される。第二規制部522dに、支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、非使用位置の支持フレーム300の左側面視反時計回り方向への更なる回動が規制される(
図10を参照)。
【0076】
次に、
図9及び
図10を用いて、支持機構200(支持フレーム300)を回動させて、位置検出装置100を、使用位置と非使用位置とに変更する動作について説明する。
【0077】
まず、使用位置の位置検出装置100を、非使用位置へ変更する動作について説明する。
【0078】
図9は、位置検出装置100が使用位置に位置している状態を示している。この状態では、使用位置の支持フレーム300の第二端部330が、第二連結部500に対して、固定用のボルト及びナットにより固定される。なお、
図9及び
図10では、ボルト及びナットの図示は省略している。
【0079】
使用位置に位置している状態では、支持フレーム300に固定されている位置検出装置100の上端部は、キャビン10のルーフ11の上端部(最も高い部分)よりも上方に位置している(
図1を参照)。使用位置においては、支持機構200は、車体の位置を好適に検出可能な位置(姿勢)で、位置検出装置100を支持することができる。
【0080】
上記位置検出装置100を非使用位置へ変更する際には、作業者は、まず支持フレーム300の第二端部330を第二連結部500に対して固定しているボルト及びナットを外す。これにより、支持フレーム300の非使用位置への回動が許容される。
【0081】
次に、作業者は、キャビン10の左側(規制ピン335等が設けられている側)に立って、支持フレーム300の左側部分(例えば第二部分312)を把持する。上記支持フレーム300はピラー12よりも左方に延びているので、作業者は、キャビン10の側方(左側)から支持フレーム300を把持し易い。
【0082】
次に、作業者は、把持した支持フレーム300を非使用位置へ回動させる。この際、支持フレーム300には、摩擦力付与機構430による摩擦力が付与される。これにより、自重による支持フレーム300の回動(意図しない回動)を抑制することができる。支持フレーム300の回動に伴い、規制ピン335は、第二支持片部522の円弧形状の部分に沿って移動する。
【0083】
また、支持フレーム300の回動に伴い、第一端部320及び第二端部330は、それぞれ第二支持片部422及び第二支持片部522に対して摺動する。本実施形態では、第一端部320及び第二端部330を側面視略円形状に形成しているので、各端部を異形(円形以外)に形成した場合とは異なり、第二支持片部422及び第二支持片部522の摺動面は、第一端部320及び第二端部330により常時(支持フレーム300の回動位置に関わらず)覆われる。これにより、第一端部320及び第二端部330の摺動に伴い第二支持片部422及び第二支持片部522の塗装が剥がれた場合でも、塗装が剥がれた部分を目立ち難くすることができる。
【0084】
図10に示すように、支持フレーム300を、非使用位置まで回動させれば、支持部材420の第二規制部522dに支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、非使用位置の支持フレーム300の左側面視反時計回り方向への更なる回動が規制される。
【0085】
本実施形態では、支持フレーム300を左側から操作することで、当該支持フレーム300の回動の操作性を向上させることができる。すなわち、支持フレーム300の左側には、規制ピン335や第一規制部522c及び第二規制部522dが設けられているため、支持フレーム300を左側から操作した際には、第一規制部522c及び第二規制部522dに対する規制ピン335の当接を目視により確認し易い。
【0086】
次に、作業者は、非使用位置の支持フレーム300の第二端部330を、ボルト及びナットを用いて第二連結部500に対して固定する。これにより、位置検出装置100の非使用位置への位置変更が完了する。
【0087】
図10は、位置検出装置100が非使用位置に位置している状態を示している。非使用位置に位置している状態では、支持フレーム300に固定されている位置検出装置100の上端部は、キャビン10のルーフ11の上端部よりも下方に位置する。非使用位置においては、支持機構200は、トラクタ1の上下方向のコンパクト化を図るように、位置検出装置100を支持することができる。これにより、トラクタ1の車庫等への格納や運搬が行い易くなる。
【0088】
また、次に、非使用位置の位置検出装置100を、使用位置へ変更する動作について説明する。
【0089】
作業者は、まず支持フレーム300の第二端部330を第二連結部500に対して固定しているボルト及びナットを外す。これにより、支持フレーム300の使用位置への回動が許容される。
【0090】
次に、作業者は、支持フレーム300の本体部310(例えば第二部分312)を把持して、支持フレーム300を使用位置へ回動させる。この際にも支持フレーム300には、摩擦力付与機構430による摩擦力が付与される。
【0091】
図9に示すように、支持フレーム300を、使用位置まで回動させれば、支持部材420の第一規制部522cに支持フレーム300の規制ピン335が当接することで、使用位置の支持フレーム300の左側面視時計回り方向への更なる回動が規制される。
【0092】
次に、作業者は、使用位置の支持フレーム300の第二端部330を、ボルト及びナットを用いて第二連結部500に対して固定する。これにより、位置検出装置100の使用位置への位置変更が完了する。
【0093】
本実施形態では、支持フレーム300の左側のみ(第二端部330及び第二連結部500)をボルト及びナットで固定する構成としているので、支持フレーム300の回動のための一連の動作を左側のみで行うことができる。これにより、作業者が支持フレーム300の左右両側に移動して固定を行う必要がなく、作業の負担を軽減することができる。また、左右のうちの一方を固定し忘れるようなことを抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態では、第二端部330に、使用位置用の固定孔(第一固定孔332)と、非使用位置用の固定孔(第二固定孔333)を形成し、第二支持片部522には、使用位置及び非使用位置で共通の固定孔(固定孔522b)を形成している。これにより、第二支持片部522側に使用位置用及び非使用位置用の固定孔を形成した場合とは異なり、ボルト及びナットの固定位置が使用位置と非使用位置とで共通となる。これによれば、ボルト及びナットの固定作業の作業性を向上させることができる。
【0095】
以下では、トラクタ1に設けられる複数のカメラ(前方カメラ610、側方カメラ640及び後方カメラ670)について説明する。
【0096】
図1及び
図12に示すように、キャビン10(ルーフ11)の周囲には、5つのカメラが設けられる。具体的には、キャビン10の前部(より具体的には、平面視矩形状に形成されたキャビン10のうち、前側の一辺に対応する部分)には、前方カメラ610が設けられる。キャビン10の左右両側部(より具体的には、平面視矩形状に形成されたキャビン10のうち、左右の各辺に対応する部分)には、側方カメラ640が左右一対設けられる。キャビン10の後部(より具体的には、平面視矩形状に形成されたキャビン10のうち、後側の一辺に対応する部分)には、後方カメラ670が左右一対設けられる。なお、以下では、左右一対の側方カメラ640のうち、車体左側に設けられた側方カメラ640を左側方カメラ640L、車体右側に設けられた側方カメラ640を右側方カメラ640Rと称する場合がある。また、左右一対の後方カメラ670のうち、車体左側に設けられた後方カメラ670を左後方カメラ670L、車体右側に設けられた後方カメラ670を右後方カメラ670Rと称する場合がある。
【0097】
トラクタ1は、各カメラが撮像した画像に基づいて、車体の動作を制御することができる。例えば、各カメラが撮像した画像に基づいて人の姿を学習し、各カメラの撮像結果から人がトラクタ1の付近に近づいた場合には、トラクタ1を停止させる制御を行うことができる。なお、各カメラの用途はこれに限るものではなく、撮像された画像を種々の用途に用いることができる。
【0098】
各カメラには、例えば180度以上の広範囲を撮像することが可能な広角レンズ(例えば、魚眼レンズ等)が用いられる。
図12に示す平面図には、各カメラの撮像可能な範囲を模式的に示している。なお、
図12では各カメラの撮像範囲を区別するために、各カメラの撮像範囲を示す線種を適宜異ならせている。
【0099】
前方カメラ610は、キャビン10の前部から前方を向くように配置されている。これによって前方カメラ610は、キャビン10の前方の範囲V1を撮像することができる。前方カメラ610には、配線112(
図5参照)が適宜接続される。
【0100】
左右の側方カメラ640は、キャビン10の側部から側方を向くように配置されている。これによって左右の側方カメラ640は、キャビン10の側方の範囲V2L、範囲V2Rを撮像することができる。なお、左右の側方カメラ640は、若干前方を向くように配置されている。これによって左右の側方カメラ640による撮像範囲の前側をやや内側に寄せて、トラクタ1のボンネット4の側面付近までを撮像することができる。このように側方カメラ640をやや前方に向けることで、前方カメラ610と側方カメラ640の撮像範囲をトラクタ1の前輪6付近で重複させ、当該前輪6の周囲を前方カメラ610と側方カメラ640の双方で撮像することができる。
【0101】
左右の後方カメラ670は、キャビン10の後部から後方を向くように配置されている。これによって左右の後方カメラ670は、キャビン10の後方の範囲V3L、範囲V3Rを撮像することができる。なお、左右の後方カメラ670は、若干車体の外側を向くように配置されている。これによって左右の後方カメラ670による撮像範囲の外側をやや前側に寄せて、後輪7の側方までを撮像することができる。このように後方カメラ670をやや外側に向けることで、後方カメラ670と側方カメラ640の撮像範囲をトラクタ1の斜め後方で重複させ、後輪7の側方を後方カメラ670と側方カメラ640の双方で撮像することができる。
【0102】
また、左右の後方カメラ670の撮像範囲は、トラクタ1の後方で重複している。これによって、トラクタ1の後方を左右の後方カメラ670で撮像することができる。さらに、トラクタ1の斜め後方では、3つのカメラ(左側方カメラ640L、左後方カメラ670L及び右後方カメラ670R、並びに、右側方カメラ640R、右後方カメラ670R及び左後方カメラ670L)の撮像範囲が重複している。このように構成することで、トラクタ1の後部に設けられる作業装置(例えば、ロータリ耕耘装置等)の周囲を、2つ、又は、3つのカメラで撮像することができる。
【0103】
各カメラは、概ね斜め45度下方を向くように配置される。このように角度を統一することによって、各カメラによる測距性能を向上させると共に、各カメラの視野の適正化を図ることができる。
【0104】
以下では、各カメラの取り付けに関する構成について説明する。
【0105】
図9、
図13及び
図14等に示すように、前方カメラ610は、位置検出装置100と共に支持プレート340の上面に固定される。具体的には、前方カメラ610は、前方カメラ支持部620を介して支持プレート340の上面に載置される。
【0106】
前方カメラ支持部620は、左右一対の側壁を有する部材である。前方カメラ支持部620は、位置検出装置100の前方において、支持プレート340に固定される。前方カメラ支持部620は、支持プレート340の前端からさらに前方に迫り出すように形成される。前方カメラ支持部620の左右の側壁の前端部には、軸線方向を左右に向けた支持軸621が設けられる。支持軸621は、例えばボルト等により構成することができる。
【0107】
前方カメラ610は、前方カメラ支持部620の左右の側壁の間に配置され、支持軸621によって支持される。これによって、前方カメラ610は、支持プレート340よりも上方、かつ、位置検出装置100の前方(位置検出装置100と概ね同じ高さ)に配置される。また前方カメラ610は、支持プレート340の前端よりも前方に配置される。
【0108】
前方カメラ610は、例えば支持軸621のボルトを緩めることで、当該支持軸621を中心に上下に回動させることができる。このように、前方カメラ610を任意の角度に向けた状態でボルトを締めることで、前方カメラ610の上下方向の角度を調節することができる。
【0109】
前方カメラ610は、前方カメラカバー部630によって周囲を覆われている。前方カメラカバー部630は、板材を適宜屈曲させて形成される。前方カメラカバー部630は、前方カメラ610を上方、左右側方及び前方から覆うように形成される。前方カメラカバー部630は、前方カメラ610のレンズが向く方向(本実施形態では、前斜め45度下方)を開放するように形成される。前方カメラカバー部630は、位置検出装置100の前方において、支持プレート340の前端部に固定される。前方カメラカバー部630は、位置検出装置100と一体感のある形状に形成されることが好ましい。
【0110】
このように前方カメラカバー部630を設けることによって、前方カメラカバー部630は、前方カメラ610の視界を確保しながら、太陽光、トラクタ1に設けられた照明器具(例えば、前方作業灯14等(
図2参照))からの光、圃場の水面の照り返しによる光等が前方カメラ610に直接照射されるのを防止することができる。また、前方カメラカバー部630を設けることによって、前方カメラ610(レンズ)への泥、砂塵、雨等の水滴の付着を低減することができる。
【0111】
図1及び
図12等に示すように、側方カメラ640は、キャビン10のルーフ11の左右両側部にそれぞれ設けられる。左右一対の側方カメラ640は左右対称に構成されているため、以下では、車体の左側に設けられた左側方カメラ640Lに着目して説明し、右側方カメラ640Rについては説明を省略する。
【0112】
図1に示すように、左側方カメラ640Lは、ルーフ11の前後略中央部(キャビン10の側部に設けられ、トラクタ1の制御状態を表示可能な状態表示灯15よりも前方)に設けられる。
図15に示すように、ルーフ11の左側部には凹部11aが形成され、当該凹部11aの内側に左側方カメラ640Lが配置される。左側方カメラ640Lは、側方カメラ支持部650を介してルーフ11(より詳細には、キャビン10の骨組みを構成するフレーム)に固定される。側方カメラ支持部650は、主として固定部651及び水平回動部652を具備する。
【0113】
図15及び
図16に示す固定部651は、ルーフ11(キャビン10のフレーム)に固定される部分である。固定部651は、平板を適宜屈曲させて形成される。また固定部651には、必要に応じて補強のためのリブが設けられる。固定部651は、ルーフ11の凹部11aの内側において、ルーフ11に固定される。
【0114】
水平回動部652は、左側方カメラ640Lを支持すると共に、固定部651に対して水平に回動可能に設けられる部分である。水平回動部652の右端部は、軸線方向を上下に向けた支持軸653を介して固定部651に連結される。支持軸653は、例えばボルト等により構成することができる。水平回動部652の左端部は、前後一対の側壁を有する形状に形成される。
【0115】
左側方カメラ640Lは、側方カメラカバー部660を介して側方カメラ支持部650(水平回動部652)に支持される。側方カメラカバー部660は、左側方カメラ640Lを周囲から覆う部材である。側方カメラカバー部660は、板材を適宜屈曲させて形成される。側方カメラカバー部660は、左側方カメラ640Lを上方、左側方及び前後両側方から覆うように形成される。側方カメラカバー部660は、左側方カメラ640Lのレンズが向く方向(本実施形態では、左斜め45度下方)を開放するように形成される。
【0116】
左側方カメラ640Lが固定された側方カメラカバー部660は、水平回動部652の前後の側壁の間に配置され、軸線方向を前後に向けた支持軸654を介して水平回動部652に連結される。
【0117】
このように構成された左側方カメラ640Lにおいて、例えば支持軸653のボルトを緩めることで、水平回動部652、ひいては、左側方カメラ640Lを、支持軸653を中心として前後に回動させることができる。また、例えば支持軸654のボルトを緩めることで、左側方カメラ640L及び側方カメラカバー部660を、支持軸654を中心として上下に回動させることができる。このように、左側方カメラ640Lを任意の角度に向けた状態でボルトを締めることで、左側方カメラ640Lの前後方向(水平方向)及び上下方向の角度を調節することができる。
【0118】
また、側方カメラカバー部660を設けることによって、側方カメラカバー部660は、左側方カメラ640Lの視界を確保しながら、太陽光、トラクタ1に設けられた照明器具(例えば、状態表示灯15等(
図15参照))からの光、圃場の水面の照り返しによる光等が左側方カメラ640Lに直接照射されるのを防止することができる。また、側方カメラカバー部660を設けることによって、左側方カメラ640L(レンズ)への泥、砂塵、雨等の水滴の付着を低減することができる。
【0119】
図12に示すように、後方カメラ670は、キャビン10のルーフ11の後部の左右にそれぞれ設けられる。左右一対の後方カメラ670は左右対称に構成されている。詳細な説明は省略するが、後方カメラ670には、側方カメラ640の側方カメラ支持部650及び側方カメラカバー部660と同様の部材が設けられる。これによって、後方カメラ670は、角度の調節が可能となるように構成されている。また後方カメラ670に設けられたカバー部によって、後方カメラ670への光の照射や泥等の付着が低減されている。
【0120】
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車両)は、
車体の位置を検出可能な位置検出装置100と、
前記位置検出装置100の前方に配置されて、前方を撮像可能な前方カメラ610(前方撮像部)と、
前記位置検出装置100及び前記前方カメラ610を支持すると共に、キャビン10が有する左右のピラー12に亘るように配置される支持フレーム300と、
を具備するものである。
このように構成することにより、前方を撮像可能な前方カメラ610の視界が確保し易くなる。すなわち、位置検出装置100の前方に前方カメラ610を配置することで、前方カメラ610を比較的高い位置に配置することができる。これによって、前方カメラ610の視界が確保し易くなる。また、前方カメラ610を比較的高い位置に配置することで、地面の広い範囲を撮像(検出)することができるようになる。また、前方カメラ610を比較的高い位置に配置することで、キャビン10に搭乗した作業者(ドライバー)の視界(前方上方)に前方カメラ610が入り込み、前方の視界性が害されるのを抑制することができる。
【0121】
また、前記支持フレーム300は、
平板状に形成され、前記位置検出装置100及び前記前方カメラ610が載置される支持プレート340(支持板)を具備するものである。
このように構成することにより、位置検出装置100及び前方カメラ610を簡易な構成で支持することができる。
【0122】
また、トラクタ1は、
前記支持フレーム300を左右の前記ピラー12のそれぞれに対して回動可能に連結する連結部(第一連結部400、第二連結部500)を具備するものである。
このように構成することにより、位置検出装置100及び前方カメラ610の位置を変更することができる。例えば、トラクタ1を使用しない場合には、支持フレーム300を回動させて位置検出装置100等を低い位置に格納することができる。
【0123】
また、トラクタ1は、
前記キャビン10の左右両側部に左右一対設けられて、側方を撮像可能な側方カメラ640(側方撮像部)と、
前記キャビン10の後部に左右一対設けられて、後方を撮像可能な後方カメラ670(後方撮像部)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、トラクタ1の周囲の広範囲を撮像することができる。また、各カメラによって撮像された画像を、各種用途(例えば、トラクタ1の自動走行等)に活用することができる。
【0124】
また、前記前方カメラ610、前記側方カメラ640及び前記後方カメラ670のうち少なくとも1つは、水平方向の向きの調節が可能となるように構成されているものである。
このように構成することにより、例えばキャビン10のフレーム等の寸法誤差が生じた場合であっても、カメラが適切な方向を向くように調節することができる。
【0125】
また、トラクタ1は、前記前方カメラ610、前記側方カメラ640及び前記後方カメラ670のうち少なくとも1つに設けられ、当該カメラを少なくとも側方から覆うカバー部(前方カメラカバー部630、側方カメラカバー部660)を具備するものである。
このように構成することにより、カメラに太陽光や照明器具の光が照射されるのを防止することができる。また、カメラに泥や砂塵、雨水等が付着するのを低減することができる。
【0126】
また、以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車両)は、
キャビン10の前部に設けられて、前方を撮像可能な前方カメラ610(前方撮像部)と、
前記キャビン10の左右両側部に左右一対設けられて、側方を撮像可能な側方カメラ640(側方撮像部)と、
前記キャビン10の後部に左右一対設けられて、後方を撮像可能な後方カメラ670(後方撮像部)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、トラクタ1の周囲の広範囲を撮像することができる。また、各カメラによって撮像された画像を、各種用途(例えば、トラクタ1の自動走行等)に活用することができる。
【0127】
また、前記前方カメラ610、前記側方カメラ640及び前記後方カメラ670のうち少なくとも1つは、水平方向の向きの調節が可能となるように構成されているものである。
このように構成することにより、例えばキャビン10のフレーム等の寸法誤差が生じた場合であっても、カメラが適切な方向を向くように調節することができる。
【0128】
また、トラクタ1は、前記前方カメラ610、前記側方カメラ640及び前記後方カメラ670のうち少なくとも1つに設けられ、当該カメラを少なくとも側方から覆うカバー部(前方カメラカバー部630、側方カメラカバー部660)を具備するものである。
このように構成することにより、カメラに太陽光や照明器具の光が照射されるのを防止することができる。また、カメラに泥や砂塵、雨水等が付着するのを低減することができる。
【0129】
また、前記前方カメラ610、前記側方カメラ640及び前記後方カメラ670のうちいずれか3つの前記カメラ(左側方カメラ640L、左後方カメラ670L及び右後方カメラ670R、並びに、右側方カメラ640R、右後方カメラ670R及び左後方カメラ670L、
図12参照)は、撮像範囲が重複するように配置されているものである。
このように構成することにより、重複する範囲の画像を3つのカメラで取得することができるため、より正確な情報(例えば、人や障害物の有無等)を取得することができる。
【0130】
なお、本実施形態に係る前方カメラ610、側方カメラ640及び後方カメラ670は、それぞれ本発明に係る前方撮像部、側方撮像部及び後方撮像部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前方カメラカバー部630及び側方カメラカバー部660は、本発明に係るカバー部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る支持プレート340は、本発明に係る支持板の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一連結部400及び第二連結部500は、本発明に係る連結部の実施の一形態である。
【0131】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0132】
例えば、上記実施形態では、支持フレーム300を回動させることで位置検出装置100等の位置を変更することが可能な構成を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、支持フレーム300を回動不能に構成することも可能である。
【0133】
また、側方カメラ640及び後方カメラ60を、支持フレーム300のような支持部材に取り付けることも可能である。
【0134】
また、上記実施形態では、前方カメラ610を上下に回動させることが可能な構成を例示したが、例えば前方カメラ610を左右(水平方向)に回動させることが可能(水平方向の角度調節が可能)な構成としてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、側方カメラ640及び後方カメラ670を、水平方向及び上下方向に角度調節可能としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、当該カメラを、水平方向のみ角度調節可能とすることや、上下方向のみ角度調節可能としてもよい。また、各カメラを角度調節不能に構成することも可能である。
【0136】
また、上記実施形態では、各カメラを覆うカバー部(前方カメラカバー部630及び側方カメラカバー部660)の一例を示したが、本発明に係るカバー部の形状はこれに限るものではない。例えば、
図16に示すように、側方カメラカバー部660は、左側方カメラ640Lを上方、左側方及び前後両側方から覆うように形成されているが、さらに右側方からも覆うように形成することも可能である。同様に、右側方カメラ640Rに関して、側方カメラカバー部660は、右側方カメラ640Rを上方、右側方及び前後両側方から覆うように形成されているが、さらに左側方からも覆うように形成することも可能である。また、各カバー部は、必ずしも上方からカメラを覆うように構成する必要はない。なお、光の照射を防ぐ観点から、各カバー部は、少なくともカメラの一側方に配置されることが好ましい。
【0137】
また、上記実施形態では、支持軸を中心としてカメラを回動させることで、カメラの角度を調節できる構成を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、カメラを回動させる(角度を調節する)ための構成は、任意に変更することが可能である。例えば上記実施形態では、カメラの角度を無段階に調節することができるが、カメラの角度を段階的に調節するような構成とすることも可能である。
【0138】
また、上記実施形態では、魚眼レンズ等の広角レンズを用いたカメラを例示したが、カメラやレンズの種類は特に限定するものではない。また、各カメラの撮像範囲は特に限定するものではなく、例えば撮像範囲が180度未満のカメラを用いることも可能である。但し、トラクタ1の周囲を漏れなく撮像する観点から、カメラによる撮像範囲に死角が生じないように、カメラの撮像範囲を適宜設定することが好ましい。
【0139】
また、各カメラを覆うカバー部(例えば、前方カメラ610を覆う前方カメラカバー部630)は、板材を適宜変形させて形成されるものとしたが、その他の方法(例えば、樹脂成形等)でカバー部を形成することも可能である。
【0140】
その他、上記実施形態で例示した各部の形状、構造等は一例であり、各部の構成は任意に変更することが可能である。
【0141】
また、上記実施形態では、作業車両として、トラクタ1を例示したが、このような態様に限られない。例えば作業車両は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 トラクタ
10 キャビン
100 位置検出装置
300 支持フレーム
340 支持プレート
400 第一連結部
500 第二連結部
610 前方カメラ
640 側方カメラ
670 後方カメラ