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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159286
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D43/04 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075170
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】平山 学
(72)【発明者】
【氏名】山下 倫永
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084CA01
3E084CC03
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA10
(57)【要約】
【課題】容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除が生じ難い包装用容器を実現する。
【解決手段】包装用容器(1)は、容器本体(20)と、容器本体を閉蓋する蓋体(10)と、を備える。蓋体の蓋体外縁部(13)における外縁段部(131)の一部は、外縁段部が容器本体の内周段部(26)に載置された状態において、内周段部から外側にはみ出して容器本体における膨出凹部(28)の上側に位置する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体を閉蓋する蓋体と、を備える包装用容器であって、
前記容器本体は、
前記蓋体の外縁部である蓋体外縁部を下側から支持可能な内周段部と、
前記蓋体外縁部の下面に接触体を接触させて前記容器本体を開蓋するための、下側に窪んだ膨出凹部と、を有し、
前記蓋体外縁部は、前記内周段部に載置される外縁段部を含み、
前記外縁段部の一部は、前記外縁段部が前記内周段部に載置された状態において、前記内周段部から外側にはみ出して前記膨出凹部の上側に位置する、包装用容器。
【請求項2】
前記容器本体は、前記内周段部よりも外側かつ上側に位置するフランジ部を有し、
前記膨出凹部は、前記フランジ部から外側に膨出しているとともに、前記膨出凹部における内面の少なくとも一部が、前記接触体を前記下面に案内可能な曲面になっている、請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記内周段部よりも上側に位置する、前記蓋体外縁部を上側から係止可能な蓋係止部を有する、請求項1に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記膨出凹部の外縁部は、下側に窪んでいる、請求項1に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記容器本体は、
被収容物を載置するための収容載置部と、
前記収容載置部の周縁部から上側に延伸する周壁部と、を有し、
前記収容載置部は、
前記収容載置部の上面から上側に隆起し、かつ、前記収容載置部の中心部から放射状に延伸して前記周壁部に接続された複数の第1凸状部と、
前記上面から上側に隆起し、かつ、互いに隣り合う2つの前記第1凸状部のそれぞれに接続された第2凸状部と、を有し、
前記膨出凹部は、平面視で前記第2凸状部と対向する、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、食品等を収容できる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
デパートまたはスーパーマーケット等では、食品類を陳列棚に陳列して販売するために食品類を収容するプラスチック製の包装用容器が使用されており、食品類を収容した状態の包装用容器が陳列棚に陳列される。このような包装用容器の一例が、特許文献1および2に開示されている。
【0003】
特許文献1の包装用容器は、容器本体の周面に凹部が設けられているとともに、蓋体の一部に水平方向かつ外側に突出した摘み片が設けられている。この包装用容器は、閉蓋状態において摘み片が凹部に収容されており、摘み片を指で摘み、引き上げることで開蓋する。また、特許文献2の包装用容器は、容器本体の隅部および蓋体の隅部のそれぞれに舌片が突設されている。この包装用容器は、閉蓋状態において、容器本体の隅部に突設された舌片の一部と蓋体の隅部に突設された舌片の一部とが重なっており、開蓋時にそれぞれの舌片が個別に摘まみ易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-302150号公報
【特許文献2】特開平10-264951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装用容器は、摘み片が容器本体から外側にはみ出しているため、包装用容器を搬送しているときに摘み片が衣服等の物体に意図せず接触して容器本体から蓋体が外れる等、外力によって閉蓋状態が不用意に解除される虞がある。特許文献2の包装用容器も、容器本体の隅部に突設された舌片および蓋体の隅部に突設された舌片のそれぞれにおいて、互いに重なり合っている部分以外の部分が外側にはみ出しているため、外力によって閉蓋状態が不用意に解除される虞がある。
【0006】
本発明の一態様は、容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除が生じ難い包装用容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1に係る包装用容器は、容器本体と、前記容器本体を閉蓋する蓋体と、を備える包装用容器であって、前記容器本体は、前記蓋体の外縁部である蓋体外縁部を下側から支持可能な内周段部と、前記蓋体外縁部の下面に接触体を接触させて前記容器本体を開蓋するための、下側に窪んだ膨出凹部と、を有し、前記蓋体外縁部は、前記内周段部に載置される外縁段部を含み、前記外縁段部の一部は、前記外縁段部が前記内周段部に載置された状態において、前記内周段部から外側にはみ出して前記膨出凹部の上側に位置する。
【0008】
前記構成によれば、外縁段部が内周段部に載置された状態において、外縁段部の一部が内周段部から外側にはみ出していることから、開蓋するときに接触体を外縁段部の一部の下面に接触させ易い。また、外縁段部が内周段部に載置された状態において、内周段部から外側にはみ出している外縁段部の一部が膨出凹部の上側に位置することから、当該外縁段部の一部の最外縁は、少なくとも膨出凹部の外縁部よりも内側に位置する。これにより、内周段部から外側にはみ出している外縁段部の一部が衣服等の物体に意図せず接触するのを低減する役割を果たす。以上より、容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除が生じ難い包装用容器を実現できる。
【0009】
本発明の態様2に係る包装用容器では、態様1において、前記容器本体は、前記内周段部よりも外側かつ上側に位置するフランジ部を有し、前記膨出凹部は、前記フランジ部から外側に膨出しているとともに、前記膨出凹部における内面の少なくとも一部が、前記接触体を前記下面に案内可能な曲面になっている。
【0010】
前記構成によれば、膨出凹部がフランジ部から外側に膨出していることから、内周段部から外側にはみ出している外縁段部の一部が衣服等の物体に意図せず接触するのを膨出凹部によって防止できる。また、開蓋時において接触体を外縁段部の一部の下面に接触させる際、膨出凹部における内面の少なくとも一部で接触体を下面に案内できることから、よりスムーズに開蓋できる。以上より、さらに容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除がさらに生じ難い包装用容器を実現できる。
【0011】
本発明の態様3に係る包装用容器では、態様1または2において、前記容器本体は、前記内周段部よりも上側に位置する、前記蓋体外縁部を上側から係止可能な蓋係止部を有する。
【0012】
前記構成によれば、蓋体に意図しない外力が作用して蓋体が容器本体から不用意に外れそうになった場合でも、蓋係止部が蓋体外縁部を上側から係止することから、蓋体が容器本体から外れ難くなる。これにより、容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除がさらに生じ難い包装用容器を実現できる。
【0013】
本発明の態様4に係る包装用容器では、態様1から3のいずれかにおいて、前記膨出凹部の外縁部は、下側に窪んでいる。
【0014】
前記構成によれば、膨出凹部の外縁部における下側に窪んでいる箇所から、接触体を膨出凹部の内部に容易に挿入できる。ひいては、接触体を、内周段部から外側にはみ出している外縁段部の一部の下面に容易に案内できる。これにより、さらに容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除が生じ難い包装用容器を実現できる。
【0015】
本発明の態様5に係る包装用容器では、態様1から4のいずれかにおいて、前記容器本体は、被収容物を載置するための収容載置部と、前記収容載置部の周縁部から上側に延伸する周壁部と、を有し、前記収容載置部は、前記収容載置部の上面から上側に隆起し、かつ、前記収容載置部の中心部から放射状に延伸して前記周壁部に接続された複数の第1凸状部と、前記上面から上側に隆起し、かつ、互いに隣り合う2つの前記第1凸状部のそれぞれに接続された第2凸状部と、を有し、前記膨出凹部は、平面視で前記第2凸状部と対向する。
【0016】
前記構成によれば、第1凸状部および第2凸状部の存在によって容器本体の強度が向上する。また、第1凸状部の存在によって容器本体の中心部方向の撓みを低減でき、かつ、第2凸状部の存在によって容器本体の周方向の撓みを低減できる。中心部方向は、収容載置部の周縁部から当該収容載置部の中心部に向かう方向である。周方向は、収容載置部の周縁部の外形に沿った方向である。
【0017】
さらには、膨出凹部が平面視で第2凸状部と対向する位置に存在することから、接触体が膨出凹部によって案内されるときに膨出凹部が局所的に僅かに沈み易くなり、内周段部から外側にはみ出している外縁段部の一部の下面に接触体を接触させ易くなる。以上より、容器本体の強度が向上して撓み難くなるとともに、開蓋がさらに容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、容易に開蓋でき、かつ、閉蓋状態の不用意な解除が生じ難い包装用容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の斜視図である。
図2図1に示す包装用容器の側面図である。
図3図1に示す包装用容器が備える容器本体の斜視図である。
図4図3に示す容器本体の平面図である。
図5図3に示す容器本体の側面図である。
図6図1に示す包装用容器が備える蓋体の平面図である。
図7図6に示す蓋体の側面図である。
図8】閉蓋状態における、蓋体外縁部周りおよび内周段部周りの断面図である。
図9】開蓋時における、膨出凹部周りの状況を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図9を参照して詳細に説明する。本実施形態では、本発明の一態様に係る包装用容器として、食品(食料品)を被収容物として収容する包装用容器であり、かつ、蓋体と容器本体とを備えている包装用容器を例に挙げて説明する。食品の例としては、ピザ、お好み焼き、惣菜の盛り合わせ(例:唐揚げ、ポテト等のパーティー用の盛り合わせ)が挙げられるが、本発明の一態様に係る包装用容器が収容する被収容物は食品に限定されない。
【0021】
本明細書において、「水平」および「垂直(鉛直)」は、容器本体の収容載置部、つまり容器本体の底部が水平面に当接するように、包装用容器を水平面に載置した場合を基準として規定される。また、本明細書において、「上側」は、蓋体が容器本体に嵌合した状態において、容器本体から蓋体に向かう方向(+Z軸方向)を指し、「下側」はその逆の方向(-Z軸方向)を指す。
【0022】
〔包装用容器〕
図1は包装用容器1の斜視図であり、図2は包装用容器1の側面図である。図1および図2に示すように、包装用容器1は、食品類等の被収容物を収容可能な容器であり、かつ、蓋体10と容器本体20とを備えている。蓋体10および容器本体20は、蓋体10が容器本体20を閉蓋するように構成されている。
【0023】
本実施形態では、蓋体10および容器本体20はそれぞれ、所定のシート厚の樹脂シートを熱成形することによって形成されている。蓋体10と容器本体20とは同一のシート厚であってもよく、あるいは異なるシート厚であってもよい。
【0024】
蓋体10および容器本体20のそれぞれを形成する樹脂シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート等の熱可塑性樹脂シートを用いることができる。これらの樹脂シートは、発泡シートであってもよいし、非発泡シートであってもよい。また、樹脂シートとして積層シートを用いることもできる。積層シートとしては、例えば、発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、押出ラミネートシートを用いることができる。熱成形の方法としては、例えば真空成形、厚空成形、真空圧空成形、熱板成形が挙げられる。
【0025】
本実施形態において、蓋体10は無色透明であり、容器本体20は黒色単色である。ただし、蓋体10および容器本体20の各色は特に限定されない。蓋体10は、透明部材により構成されていることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。蓋体10を透明部材等で構成すれば、蓋体10を通して容器本体20が載置する被収容物を容易に視認できる。容器本体20の色は単色であってもよく、複数の色を含んでいてもよい。また、容器本体20に模様が付されていてもよい。例えば容器本体20は、ベースカラーが黒色であり、少なくとも一部に金色または赤色等の模様が付されていてもよい。
【0026】
〔容器本体〕
図3は容器本体20の斜視図である。図4は容器本体20の平面図(上面図)である。図5は容器本体20の側面図である。図3および図4に示すように、容器本体20は、収容載置部21と、収容周壁部22と、上側周壁部23と、フランジ部24と、本体外縁部25と、内周段部26と、蓋係止部27と、膨出凹部28と、を有している。
【0027】
本実施形態では、容器本体20は、平面視で円形状の外形を成す。ここで、「円形状」とは、容器本体20を全体として見たときに円形状と見做すことができる形状、つまり略円形状を意味する。したがって、例えば、容器本体20の外縁の一部に、突出部分が形成されていてもよいし、少なくとも1つの角部が直角状または多角状に形成されていてもよい。本実施形態では、容器本体20の外縁の一部に、突出部分としての膨出凹部28が形成されている。以上のことは、包装用容器1を構成する各部位(後述)を、あらゆる方向から見た場合の形状、位置等についても当てはまる。
【0028】
容器本体20の平面視の外形は、本実施形態における円形状のような明確な角部が存在しない形状に限られず、正方形状、長方形状、三角形状、五角形状等の多角形状であってもよい。
【0029】
収容載置部21は、容器本体20の底部を構成する、被収容物を載置するための部分である。本実施形態では、収容載置部21は、平面視の外形が円形状である。ただし、収容載置部21の平面視の外形は、円形状に限らず多角形状であってもよい。
【0030】
収容載置部21は、中心部211と、第1凸状部212と、第2凸状部213と、を有している。中心部211は、収容載置部21の上面における中央領域から上側に隆起している部分である。中心部211は上側に隆起していなくてもよいが、収容載置部21の中央における強度向上の観点からは、中心部211が上側に隆起しているのが好ましい。中心部211の平面視の中心は、収容載置部21の平面視の中心と一致している。本実施形態では、収容載置部21の平面視の中心は、収容載置部21の平面視の外形を成す円の中心となる。なお、収容載置部21の平面視の外形が多角形状であれば、収容載置部21の平面視の中心は、収容載置部21の平面視の外形を成す多角形の重心となる。
【0031】
第1凸状部212は、収容載置部21の上面から上側に隆起し、かつ、中心部211から放射状に延伸して周壁部に接続された部分である。周壁部は、収容載置部21の周縁部から上側に延伸する容器本体20の側壁である。本実施形態では、周壁部は、収容周壁部22と上側周壁部23とで構成されている。
【0032】
また、本実施形態では、8つの第1凸状部212が、中心部211の側壁から放射状かつ直線状に延伸して収容周壁部22に接続されている。8つの第1凸状部212の上面は、すべて面一になっており、被収容物が載置される載置面となる。このような第1凸状部212の存在により、容器本体20の強度が向上するとともに容器本体20の中心部211方向の撓みを低減できる。中心部211方向は、収容載置部21の周縁部から中心部211に向かう方向である。
【0033】
本実施形態では、第1凸状部212は、中心部211から収容周壁部22に向かうにつれて幅広になっている。これにより、収容載置部21においてより撓み易い、より収容周壁部22側の部分ほど強度が向上することから、容器本体20の中心部211方向の撓みを全体的に低減できる。
【0034】
さらに、本実施形態では、第1凸状部212における収容周壁部22側の端部214が下側に窪んでいる。また、第1凸状本体部215における収容周壁部22側の端部に溝216が形成されている。第1凸状本体部215は、第1凸状部212における端部214以外の部分である。溝216は、第1凸状部212の延伸方向に沿って延伸する溝であり、端部214に接続されている。また、溝216は、端部214に向かうにつれて深さが深くなっている。
【0035】
前述のような端部214および溝216の存在により、例えば、収容載置部21の略全体を覆い隠す程度の大きさの被収容物を8つの第1凸状部212の上面に載置した場合に、被収容物の油分、水分が溝216を円滑に伝わって端部214に流れ込む。さらに、端部214に流れ込んだ油分等が当該端部214の側壁を円滑に伝わって液体溜まり部29に流れ込む。よって、油分等を液体溜まり部29に円滑に貯留できることから、油分等が第1凸状部212の上面に残留して被収容物に付着したままの状態になるのを効果的に低減できる。液体溜まり部29は、収容載置部21の周縁部における、収容周壁部22が延伸している部分よりも内側に形成された溝であり、被収容物の油分等を貯留する役割を果たす。
【0036】
第2凸状部213は、収容載置部21の上面から上側に隆起し、かつ、互いに隣り合う2つの第1凸状部212のそれぞれに接続された部分である。本実施形態では、第2凸状部213は、平面視で直線状に延伸している。また、第2凸状部213は、第1凸状部212の延伸方向に沿って2列に並んで形成されており、かつ、1列当たり8つの第2凸状部213の群で構成されている。中心部211側に形成された1列目の第2凸状部213の群と、収容周壁部22側に形成された2列目の第2凸状部213の群と、は、平面視で正八角形状に位置している。さらに、これら2つの群を構成するすべての第2凸状部213の上面は、互いに面一になっており、かつ、8つの第1凸状部212の上面とも面一になっている。つまり、これら2つの群を構成するすべての第2凸状部213の上面も、8つの第1凸状部212の上面と同様に載置面となる。
【0037】
このような第2凸状部213の存在により、容器本体20の強度が向上するとともに容器本体20の周方向の撓みを低減できる。周方向は、収容載置部21の周縁部の外形に沿った方向である。
【0038】
本実施形態では、第2凸状部213の端部217が第1凸状部212に向かうにつれて幅広になっており、第1凸状部212と第2凸状部213との接続箇所の強度を向上させている。端部217は、第2凸状部213における当該第2凸状部213の延伸方向の端部であり、その先端が第1凸状部212の側壁に接続されている。また、端部217が下側に窪んでおり、被収容物の油分、水分が端部217を円滑に伝わって収容載置部21の上面に流れ込む。これにより、油分等が第2凸状部213の上面に残留して被収容物に付着したままの状態になるのを効果的に低減できる。
【0039】
なお、第1凸状部212の個数は8つに限定されず、複数個形成されていればよい。また、また、第2凸状部213も前述のように2列形成されていなくてもよく、1列当たりの個数も8つに限定されない。また、すべての第1凸状部212の上面、およびすべての第2凸状部213の上面が面一になっている必要はない。ただし、第1凸状部212の上面および第2凸状部213の上面に被収容物を載置する場合があることを鑑みれば、被収容物を載置したときの安定性を考慮して、前述のすべての面が面一になっているのが好ましい。
【0040】
さらには、収容載置部21は、第1凸状部212および第2凸状部213の少なくとも一方を有していなくてもよい。例えば、収容載置部21が第2凸状部213のみを有している場合、2つの列のそれぞれを構成する第2凸状部213の群は、互いに隣り合う2つの第2凸状部213同士が接続されて、平面視で正八角形状を構成する。また例えば、収容載置部21が第1凸状部212および第2凸状部213の両方を有していない場合、収容載置部21の上面が載置面となる。
【0041】
収容周壁部22は、収容載置部21の周縁部から上側に延伸し、容器本体20の側壁の下側部分を構成する。この収容周壁部22と収容載置部21とで、被収容物が収容される収容空間を形成する。本実施形態では、収容周壁部22は、収容載置部21の周縁部から上側に向かうにつれて、外側に傾斜している。ただし、収容周壁部22は、収容載置部21の周縁部から、当該収容載置部21に対して垂直に形成されていてもよい。
【0042】
上側周壁部23は、収容周壁部22の上側に形成され、容器本体20の側壁の上側部分を構成する。本実施形態では、上側周壁部23は、収容周壁部22の上端部に連なる内周段部26の外側端部から上側に突出した部分である。すなわち、上側周壁部23は、水平方向において、内周段部26の幅の分だけ収容周壁部22の上端部よりも外側に位置している。また、本実施形態では、上側周壁部23は、内周段部26の外側端部から、当該内周段部26に対して垂直に形成されている。
【0043】
フランジ部24は、内周段部26よりも外側かつ上側に位置する部分である。具体的には、フランジ部24は、上側周壁部23の上端部に連なる、容器本体20の上面を含む部分である。平面視における容器本体20の外形は、フランジ部24によって規定されている。本実施形態では、フランジ部24は平面視で円形状の外形となっているが、フランジ部24の形状、位置等は、内周段部26よりも外側かつ上側にフランジ部24が位置する限りにおいて任意に設計変更できる。
【0044】
図3に示すように、収容載置部21およびフランジ部24は、それぞれの上面の一部が凹凸形状となっている。同様に、収容周壁部22における内面も間欠的な凹凸形状となっている。これにより、容器本体20のシート厚を比較的薄くしても必要な強度を確保できる。ただし、必要な強度を確保できるのであれば、収容載置部21、収容周壁部22およびフランジ部24が凹凸形状の部分を有する必要はなく、平面形状の部分のみで構成されていてもよい。「平面」は、平面と見做せる面であればよく、面に多少の凹凸が含まれていてもよい。例えばフランジ部24が平面形状の部分のみで構成される場合、フランジ部24の上面は、水平面に沿って延在する平面であってもよく、あるいは水平面から傾斜した傾斜面であってもよい。
【0045】
本体外縁部25は、フランジ部24の外周端部に連なる、容器本体20の外周壁である。具体的には、本体外縁部25は、図4に示すように、フランジ部24の外周端部から下側に延伸しており、下側に向かうにつれて外側に若干傾斜している。ただし、本体外縁部25は、フランジ部24の外周端部から、当該フランジ部24に対して垂直に形成されていてもよい。
【0046】
内周段部26は、後述の蓋体外縁部13を下側から支持可能な部分である。本実施形態では、内周段部26は、図3に示すように、内側端部が収容周壁部22の上端部と連なり、外側端部が上側周壁部23の下端部と連なる平板部分である。また、内周段部26の上面は、水平面と平行な平面である。内周段部26がこのような平板部分であることから、蓋体外縁部13は、内周段部26によって安定的に支持される。ただし、内周段部26は、平板部分でなくてもよく、蓋体外縁部13を下側から支持可能である限り任意に設計変更できる。
【0047】
蓋係止部27は、内周段部26よりも上側に位置し、蓋体外縁部13を上側から係止可能な部分である。具体的には、蓋係止部27は、図3に示すように、内周段部26から上側に離間した位置に設けられており、内周段部26と蓋係止部27との間には、後述の蓋体庇部133を収容可能な空間が形成されている(図8の符号801参照)。これにより、蓋体10に意図しない外力が作用して蓋体10が容器本体20から不用意に外れそうになった場合でも、蓋係止部27が蓋体外縁部13を上側から係止することから、蓋体10が容器本体20から外れ難くなる。
【0048】
本実施形態では、蓋係止部27は、フランジ部24よりも内側に位置する、上側周壁部23の内面から内側に突出した円弧形状の平板部分である。また、本実施形態では、図4に示すように8つの蓋係止部27が設けられている。具体的には、互いに隣り合う2つの蓋係止部27を平面視した場合に、不図示の第1仮想直線と不図示の第2仮想直線との成す角度が45°になるように、8つの蓋係止部27が位置している。第1仮想直線は、互いに隣り合う2つの蓋係止部27のうち、一方の蓋係止部27の中心点(不図示)と中心部211の中心点(不図示)とを仮想的に結んだ直線である。第2仮想直線は、互いに隣り合う2つの蓋係止部27のうち、他方の蓋係止部27の中心点(不図示)と中心部211の中心点とを仮想的に結んだ直線である。
【0049】
また、8つの蓋係止部27のそれぞれは、平面視で第1接続箇所と第2接続箇所との間に位置している。第1接続箇所は、収容周壁部22と、互いに隣り合う2つの第1凸状部212における一方の第1凸状部212と、の接続箇所である。第2接続箇所は、収容周壁部22と、互いに隣り合う2つの第1凸状部212における他方の第1凸状部212と、の接続箇所である。
【0050】
容器本体20の周壁部における第1接続箇所と第2接続箇所との間の部分は、周壁部における第1接続箇所を含む部分、および周壁部における第2接続箇所を含む部分に比べて撓み易い。したがって、8つの蓋係止部27のそれぞれが前述のような位置に設けられていることで、閉蓋のし易さ、開蓋のし易さが担保されている。
【0051】
また、平面視で膨出凹部28の両側に位置する2つの蓋係止部27は、他の6つの蓋係止部27に比べて長さが短くなっている。これにより、接触体を膨出外縁部283(外縁部;詳細は後述)から膨出凹部28の内部に挿入し、接触体を外縁段部131(詳細は後述)の一部の下面に接触させて開蓋するときに、蓋体10が容器本体20から外れ易くなる。
【0052】
なお、蓋係止部27は、内周段部26よりも上側に位置し、蓋体外縁部13を上側から係止可能な状態になっていればよく、蓋係止部27の個数、形状、位置等は、閉蓋のし易さ、開蓋のし易さ等を考慮しつつ、任意に設計変更できる。さらに言えば、容器本体20は蓋係止部27を有していなくてもよい。
【0053】
膨出凹部28は、蓋体外縁部13の下面に接触体を接触させて容器本体20を開蓋するための、下側に窪んだ部分である。以下、接触体として指F(図9参照)を例に挙げて説明するが、接触体はスプーンまたはフォークの先、柄尻等であってもよい。本実施形態では、膨出凹部28は、図3および図4に示すように、フランジ部24から外側に膨出している部分であり、容器本体20に対して1つ設けられている。
【0054】
また、本実施形態では、閉蓋状態において外縁段部131の指掛部134(詳細は後述)が内周段部26から外側にはみ出しており、開蓋する際に指Fを指掛部134の下面に接触させる(図9の符号901参照)。本実施形態における閉蓋状態は、外縁段部131が全周に亘って内周段部26に載置され、かつ、後述の蓋体庇部133が8つの蓋係止部27よりも下側に位置する状態である(図1および図8参照)。そして、膨出凹部28は、当該膨出凹部28における内面の少なくとも一部が、指Fを指掛部134の下面に案内可能な曲面になっている。
【0055】
このように、膨出凹部28がフランジ部24から外側に膨出していることから、内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の一部が、必ず膨出外縁部283(詳細は後述)よりも内側に位置する。これにより、内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の一部が衣服等の物体に意図せず接触するのを、膨出凹部28によって防止できる。また、開蓋時において指Fを外縁段部131の一部の下面に接触させる際、膨出凹部28における内面の少なくとも一部で指Fを下面に案内できることから、よりスムーズに開蓋できる。
【0056】
具体的には、膨出凹部28は、図3および図5に示すように、膨出本体部281と、膨出周壁部282と、膨出外縁部283と、を有している。膨出本体部281は、上側が開口した凹形状の部分であり、内周段部26の外側端部から外側かつ下側に膨出している。また、膨出本体部281の内部の空間は、全周に亘って膨出本体部281の側壁に囲まれており、当該空間における中心部211側の空間部分が内周段部26まで延在している。膨出周壁部282は、膨出本体部281の上端部から上側に延伸する膨出凹部28の側壁である。膨出周壁部282の水平方向の両端部は、それぞれ上側周壁部23と連なっている。
【0057】
本実施形態では、膨出本体部281の内面と、当該内面と連なる膨出周壁部282の内側側面と、が、「指Fを外縁段部131の下面に接触させるときに指Fを当該下面に案内可能な曲面」である「膨出凹部28における内面の少なくとも一部」に相当する。
【0058】
膨出外縁部283は、膨出周壁部282の上端部から外側に突出した部分であり、膨出外縁部283の外周端部は、下側に延伸する膨出凹部28の外周壁となっている。膨出外縁部283の水平方向の両端部は、それぞれフランジ部24および本体外縁部25と連なっている。また、膨出外縁部283は、両端部以外の部分が下側に窪んでいる。これにより、膨出外縁部283の下側に窪んでいる箇所から、指Fを膨出本体部281内の空間に容易に挿入できる。ひいては、指Fを、内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の一部の下面に容易に案内できる。
【0059】
膨出凹部28は、図3および図4に示すように、平面視において、第1凸状部212における当該第1凸状部212の延伸方向の中心線(不図示)上に位置している。第1凸状部212における当該第1凸状部212の延伸方向の中心線は、言い換えれば、第1凸状部212における収容載置部21の径方向の中心線である。
【0060】
膨出凹部28がこのような位置に設けられていることにより、指Fが膨出凹部28によって案内されるときに、膨出凹部28が、容器本体20における第1凸状部212と収容周壁部22との接続箇所を基点として下側に僅かに屈曲し易くなる。膨出凹部28が下側に屈曲する際に、容器本体20における第1凸状部212と収容周壁部22との接続箇所が基点となるのは、当該接続箇所の剛性が収容周壁部22における当該接続箇所以外の部分の剛性よりも高いためである。これにより、内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の一部の下面に指Fを接触させ易くなる。
【0061】
ただし、膨出凹部28は、図示しないものの、平面視で第2凸状部213と対向する位置に設けられていてもよい。膨出凹部28がこのような位置に設けられている場合、容器本体20における膨出凹部28付近の部分が、容器本体20における第1凸状部212と収容周壁部22との接続箇所付近の部分よりも撓み易くなる。これにより、指Fが膨出凹部28によって案内されるときに膨出凹部28が局所的に僅かに沈み易くなり、内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の一部の下面に指Fを接触させ易くなる。
【0062】
なお、膨出凹部28は、蓋体外縁部13の下面に接触体を接触させて容器本体20を開蓋できる程度に下側に窪んでいればよく、膨出凹部28の個数、形状、位置等は、膨出凹部28の利用に基づく開蓋のし易さ等を考慮しつつ、任意に設計変更できる。
【0063】
〔蓋体〕
図6は、蓋体10の平面図である。図7は、蓋体10の側面図である。図8は、閉蓋状態における、蓋体外縁部13周りおよび内周段部26周りの断面図である。図8の符号801は、閉蓋状態かつ蓋係止部27の形成箇所における、蓋体外縁部13周りおよび内周段部26周りの断面図である。図8の符号802は、閉蓋状態かつ蓋係止部27の非形成箇所における、蓋体外縁部13周りおよび内周段部26周りの断面図である。
【0064】
図6および図7に示すように、蓋体10は、天板部11と、蓋体側壁部12と、蓋体外縁部13と、を有している。本実施形態では、蓋体10は、平面視で円形状の外形を成す。このように、蓋体10は、容器本体20の平面視における外形と同様の外形を成す形状であることが好ましい。なお、蓋体10の平面視の外形は、例えば八角形状であってもよい。
【0065】
天板部11は、1つの面により構成され、平面視で蓋体10の外形に沿った形状を成す板状部材である。このように、天板部11の形状が、蓋体10および容器本体20の平面視における外形に沿った形状を成していることにより、天板部11が透明部材で構成されている場合に、蓋体10の上側から、天板部11を通して被収容物を明確に視認できる。なお、天板部11の上面を構成する面の数は特に限られないが、1つであることが好ましい。これにより、被収容物の視認性を良好に確保できるだけでなく、包装用容器1同士を積み重ねる場合において天板部11の上に容器本体20を載置しやすい。
【0066】
蓋体側壁部12は、天板部11の外側端部から下側に延伸する部分であり、蓋体10の側壁となる。本実施形態では、蓋体側壁部12は、天板部11から下側に向かうにつれて外側に傾斜している。ただし、蓋体側壁部12は、天板部11の外側端部から下側に向けて垂直に延伸していてもよい。
【0067】
蓋体外縁部13は、蓋体側壁部12の下端部から外側に延伸する部分であり、蓋体10の外縁部となる。蓋体外縁部13は、蓋体10において、容器本体20における内周段部26および上側周壁部23の形成位置と対になる位置に形成されている。蓋体外縁部13は、外縁段部131と、蓋体周壁部132と、蓋体庇部133と、を有している。
【0068】
外縁段部131は、蓋体側壁部12の下端部に連なる、蓋体10の底部を構成する環状の平板部分であり、その外側端部が上側周壁部23の下端部と連なっている。また、外縁段部131は、下面が水平面と平行な平面であり、閉蓋状態において内周段部26に載置される。外縁段部131がこのような平板部分であることから、蓋体外縁部13は、内周段部26によって安定的に支持される。ただし、外縁段部131は、平板部分でなくてもよく、内周段部26に載置可能である限り任意に設計変更できる。
【0069】
蓋体周壁部132は、外縁段部131の外側端部から上側に延伸する部分であり、蓋体外縁部13の側壁となる。具体的には、蓋体周壁部132は、図7に示すように、外縁段部131の外側端部から上側に向かうにつれて外側に傾斜しており、蓋体周壁部132の傾斜角度が上側周壁部23の傾斜角度に対応している。ただし、蓋体周壁部132は、外縁段部131の外側端部から下側に向けて垂直に延伸していてもよい。
【0070】
蓋体庇部133は、蓋体周壁部132の外側端部から水平方向に延伸する部分である。本実施形態では、蓋体庇部133の上面は、水平面に沿って延在する平面となっている。蓋体庇部133の外側端部は、閉蓋状態において上側周壁部23に当接し得る部分である。閉蓋状態において、蓋体庇部133の外側端部の全てが上側周壁部23に当接してもよいし、当該外側端部の一部が当接してもよい。
【0071】
本実施形態では、開蓋する際に指Fを外縁段部131の下面に接触させるが、この接触態様に限定されない。例えば、蓋体周壁部132および蓋体庇部133の形状、大きさ、膨出凹部28に対する相対的な位置によっては、開蓋する際に指Fを蓋体周壁部132の外側側面または蓋体庇部133の下面に接触させてもよい。すなわち、包装用容器1は、蓋体外縁部13の下面におけるいずれかの箇所に、指F等の接触体が接触可能となっていればよい。
【0072】
ここで、蓋体10および容器本体20は、平面視における蓋体外縁部13の大きさが、平面視における上側周壁部23の大きさと略同一となるように設計されている。「略同一」は、同一、および同一と見做せる差異を含む概念である。すなわち、蓋体10および容器本体20は、図8に示すように、包装用容器1における略垂直な面に平行な切断面において、蓋体庇部133の外側端部と上側周壁部23とが点接触するように設計されている。また、蓋体周壁部132の上下方向の長さは、容器本体20の蓋係止部27と内周段部26との間の長さよりも短い。
【0073】
閉蓋状態の場合、図8に示すように、蓋係止部27の形成箇所および非形成箇所の両方において外縁段部131が内周段部26に当接する。これにより、蓋体10の内周段部26よりも下側への移動が内周段部26によって規制される。
【0074】
閉蓋状態において蓋体10が上側に移動した場合、図8の符号801に示す蓋係止部27の形成箇所では、蓋体庇部133の上面が蓋係止部27に当接することにより(図中の破線部分参照)、蓋体庇部133が蓋係止部27に係止される。これにより、蓋体庇部133が蓋係止部27を越えて上側に移動する程度の力が蓋体10に作用しない限り、蓋体10の蓋係止部27よりも上側への移動は蓋係止部27によって規制される。また、この規制により、図8の符号802に示す蓋係止部27の非形成箇所においても、蓋体10の上側への移動が蓋係止部27によって規制される。
【0075】
〔膨張凹部を利用した開蓋〕
図9は、開蓋時における、膨出凹部周りの状況を示す断面図である。図9の符号901は、開蓋時における、指掛部134と指Fとの位置関係を示す断面図である。図9の符号902は、図9の符号901に示す図中の領域Rを拡大した拡大図である。
【0076】
<外縁段部と内周段部との関係>
包装用容器1は、閉蓋状態において、外縁段部131の一部が内周段部26から外側にはみ出して膨出凹部28の上側に位置する。本実施形態では、図9に示すように、外縁段部131の外側部分が、全周に亘って内周段部26から外側にはみ出す。そして、図9の符号901に示すように、外縁段部131の外側部分のうちの、平面視における膨出凹部28の形成位置に対応する位置に配置された部分が、膨出本体部281における内側端部の上側に位置する。外縁段部131の外側部分のうちの、平面視における膨出凹部28の形成位置に対応する位置に配置された部分は、開蓋時に当該部分の下面に指Fを引っ掛けるための指掛部134となる。
【0077】
なお、指掛部134のような外縁段部131の一部が内周段部26から外側にはみ出す状況は、閉蓋状態に限定されない。例えば、蓋体庇部133を8つの蓋係止部27のうちの一部に係止させることなく、蓋体10を暫定的に容器本体20に載置するような場合においても、指掛部134の一部または全部が内周段部26から外側にはみ出して膨出凹部28の上側に位置し得る。すなわち、包装用容器1は、閉蓋状態に限らず、外縁段部131が内周段部26に載置された状態において、外縁段部131の一部が内周段部26から外側にはみ出して膨出凹部28の上側に位置するものであればよい。
【0078】
このように、本実施形態では、指掛部134が膨出本体部281の上側に位置する。したがって、蓋体庇部133の外側端部、言い換えれば蓋体10の最外縁が、必ず膨出外縁部283よりも内側に位置することとなる。これにより、内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の外側部分が衣服等の物体に意図せず接触するのを膨出凹部28によって防止でき、結果、閉蓋状態の不用意な解除を防止できる。
【0079】
また、本実施形態では、図9の符号902に示すように、外縁段部131の幅L1が内周段部26の幅L2よりも狭くなっている。これにより、蓋体庇部133の外側端部に水平方向から不意に外力が作用しても、蓋体10が水平方向に幅L1相当の距離以上移動する程度の外力でない限り、外縁段部131よりも幅広な内周段部26によって閉蓋状態を維持できる。そのため、不意な外力の作用を考慮してもなお、指掛部134を膨出凹部28の中心付近に位置するように設計する必要がなく、指掛部134を適度なはみ出し具合とすることができる。
【0080】
<包装用容器の開蓋方法>
包装用容器1の開蓋方法は以下の通りである。まず、指Fを、膨出外縁部283の下側に窪んでいる箇所から膨出本体部281内の空間に挿入する。次に、指Fの指先を、膨出本体部281の内面または膨出周壁部282の内側側面におけるいずれかの箇所に接触させる。次に、図9の符号901に示すように、指掛部134の下面に向けて、指Fの指先を少なくとも膨出本体部281の内面に沿わせる(図中の矢印および破線部分を参照)。次に、指Fの指先の腹を指掛部134の下面に接触させ、指Fの指先で指掛部134を上側に引っ掛ける。そして、例えば不図示の親指と指Fとで蓋体庇部133を摘まみつつ、蓋体10を上側に持ち上げることにより開蓋する。
【0081】
このように、包装用容器1は、外縁段部131が内周段部26に載置された状態において、指掛部134のような外縁段部131の一部が内周段部26から外側にはみ出している。これにより、開蓋時において指F等の接触体を外縁段部131の一部の下面に接触させ易くなり、結果、開蓋が容易になる。
【0082】
また、包装用容器1は、外縁段部131が内周段部26に載置された状態において、指掛部134のような内周段部26から外側にはみ出している外縁段部131の一部が、膨出凹部28の上側に位置する。これにより、外縁段部131の一部の最外縁が少なくとも膨出外縁部283よりも内側に位置することから、膨出外縁部283が、外縁段部131の一部が衣服等の物体に意図せず接触するのを低減する役割を果たす。そして、膨出外縁部283がこの役割を果たすことで閉蓋状態の不用意な解除を低減でき、ひいては被収容物の廃棄量を低減できる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の、目標12「つくる責任つかう責任」および目標14「海の豊かさを守ろう」等の達成に貢献できる。
【0083】
〔付記事項〕
本発明の一態様は前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 包装用容器
10 蓋体
13 蓋体外縁部
131 外縁段部
134 指掛部(外縁段部の一部)
20 容器本体
21 収容載置部
22 収容周壁部(周壁部)
23 上側周壁部(周壁部)
211 中心部
212 第1凸状部
213 第2凸状部
24 フランジ部
26 内周段部
27 蓋係止部
28 膨出凹部
283 膨出外縁部(外縁部)
F 指(接触体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9