(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159291
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20241031BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241031BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20241031BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20241031BHJP
G09G 5/373 20060101ALI20241031BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20241031BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G09G5/00 510G
G09G5/00 530H
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
G09G5/37 310
G09G5/373
G09G5/38 100
G02B27/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075180
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 文人
(72)【発明者】
【氏名】田中 彰
(72)【発明者】
【氏名】森 俊也
(72)【発明者】
【氏名】船引 誠
(72)【発明者】
【氏名】志村 拓真
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
5C182
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA17
2H199DA36
2H199DA43
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
5C182AA04
5C182AA05
5C182AA12
5C182AB25
5C182AB31
5C182AC04
5C182AC38
5C182BA14
5C182BA29
5C182CA01
5C182CA32
5C182CB12
5C182CB42
5C182CC22
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】ユーザが実像の経路を正しく認識し易い表示物を表示することができる表示装置等を提供する。
【解決手段】表示装置1は、車両2が走行する予定の経路(予定経路)に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定する制御部12と、制御部12によって決定された表示態様の表示物を示す光を、車両2に設けられた表示媒体に投射することによって、表示媒体によって光を車両2内のユーザ側に向けて反射させ、表示媒体越しに表示される表示物を虚像としてユーザに視認させる表示部と、を備える。そして、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされた場合、ユーザの視点から虚像を見る場合よりも大きい俯角から虚像を見た場合の形状となるように、表示物の表示態様を決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定する制御部と、
前記制御部によって決定された前記表示態様の前記表示物を示す光を、前記車両に設けられた表示媒体に投射することによって、前記表示媒体によって前記光を前記車両内のユーザ側に向けて反射させ、前記表示媒体越しに表示される前記表示物を虚像として前記ユーザに視認させる表示部と、を備え、
前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされた場合、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合よりも大きい俯角から前記虚像を見た場合の形状となるように、前記表示物の前記表示態様を決定する
表示装置。
【請求項2】
前記表示物は、前記経路に沿って表示された複数の前記案内画像で構成され、
前記表示媒体に表示された複数の前記案内画像の並びに沿った軌跡の曲率は、前記ユーザの視点から見た場合の前記虚像で示される複数の前記案内画像の並びに沿った軌跡の曲率よりも小さい
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示物は、前記経路に沿って表示された複数の前記案内画像で構成され、
前記表示媒体に表示された前記表示物の俯角差は、前記ユーザの視点から見た場合の前記虚像の俯角差よりも大きい
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
複数の前記案内画像のそれぞれは、互いに重ならないように表示される
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードと、前記案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、前記案内ノードを通過する前記車両を誘導する退出ノードとが含まれ、
前記制御部は、前記案内ノード、前記進入ノード、および、前記退出ノードを用いて、前記表示物の前記表示態様を決定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記車両の走行に関する条件は、前記案内ノードで前記ユーザがハンドル操作を要する条件である
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記ユーザがハンドル操作を要する条件は、前記経路に交差点が存在する条件、前記車両から前記交差点までの前記経路にカーブが存在する条件、および、前記車両から前記交差点または前記カーブまでの前記経路に、さらに別の交差点または別のカーブが存在する条件を含む
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記ユーザがハンドル操作を要する条件は、前記経路で、前記車両が進路変更を行う条件を含む
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記ユーザがハンドル操作を要する条件は、前記経路において交差点またはカーブが存在し、前記交差点または前記カーブの直前で前記車両が進路変更を行う条件を含む
請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記表示物の少なくとも一部が表示範囲外となった場合、前記表示範囲内となるように、シフトさせた前記表示物の前記表示態様に決定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記表示物をシフトさせた場合、前記表示範囲内の少なくとも一部の色および/または輝度を変更する
請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記案内ノードの周辺の前記経路に応じて、前記表示物を変化させる
請求項5に記載の表示装置。
【請求項13】
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記案内ノードの周辺の前記経路に応じて、複数の前記案内画像の並びに沿った軌跡の曲率、前記表示物の俯角差、前記案内画像の数、および、複数の前記案内画像の回転角のうちの少なくとも1つを変化させる
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項14】
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記車両から前記案内ノードまでの距離に応じて、前記表示物の俯角差、複数の前記案内画像のそれぞれの頂点角度、および、複数の前記案内画像の大きさのうちの少なくとも1つを変化させる
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記経路に応じて、前記表示物を変化させる速度を変更する
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項16】
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記案内ノードの周辺における前記車両の走行速度に応じて、前記表示物を変化させる速度を変更する
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項17】
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードと、前記案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、前記案内ノードを通過する前記車両を誘導する退出ノードとが含まれ、
前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、前記車両の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、前記表示物を変化させる速度を、前記案内ノード、前記進入ノード、および、前記退出ノードを示す前記経路の曲率に応じて変化させる
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項18】
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、前記車両の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、前記表示物を変化させる速度を、前記案内ノードに接近する前記車両の速度に応じて変化させる
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項19】
車両が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定することと、
決定された前記表示態様の前記表示物を示す光を、前記車両に設けられた表示媒体に投射することによって、前記表示媒体によって前記光を前記車両内のユーザ側に向けて反射させ、前記表示媒体越しに表示される前記表示物を虚像として前記ユーザに視認させることと、
前記車両の走行に関する条件が満たされた場合、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合よりも大きい俯角から前記虚像を見た場合の形状となるように、前記表示物の前記表示態様を決定することとを含む
表示方法。
【請求項20】
請求項19に記載の表示方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置として、車両に搭載されるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head―Up Display)が知られている。HUDは、透光性の表示媒体に画像を表す光を投射してその表示媒体に光を反射させることで、表示媒体越しの実像をユーザに見せながら、その画像を虚像としてユーザに視認させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザから見える実像に重なるように虚像であるAR(Augmented Reality)ルートを表示部に表示するための表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の表示システムでは、実像の経路に虚像を重畳表示する場合、重畳先となる実像の経路がユーザの視点から見て斜めに見えるとき、実像の経路に重畳表示した虚像が潰れて見えてしまうことがある。この場合、ユーザが実像の経路を正しく認識することができないおそれがある。
【0006】
そこで、本開示では、ユーザが実像の経路を正しく認識し易い表示物を表示することができる表示装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る表示装置は、車両が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定する制御部と、前記制御部によって決定された前記表示態様の前記表示物を示す光を、前記車両に設けられた表示媒体に投射することによって、前記表示媒体によって前記光を前記車両内のユーザ側に向けて反射させ、前記表示媒体越しに表示される前記表示物を虚像として前記ユーザに視認させる表示部と、を備え、前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされた場合、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合よりも大きい俯角から前記虚像を見た場合の形状となるように、前記表示物の前記表示態様を決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る表示装置等は、ユーザが実像の経路を正しく認識し易い表示物を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る表示装置が配置された車両の車室を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態において、案内経路の生成から表示物を配置するまでの流れを示す図である。
【
図4B】
図4Bは、視点変換しない場合の表示物と、実施の形態に係る視点変換した場合の表示物を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る表示装置の動作例1を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る表示装置の動作例2を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、案内経路の曲率および表示物の曲率に応じた表示物の表示態様を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、案内経路の曲率および俯角差に応じた表示物の表示態様を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、案内経路の形状、案内画像の数、および、煩わしさに応じた表示物の表示態様を示す図である。
【
図7E】
図7Eは、案内ノードまでの距離および俯角差に応じた表示物の表示態様を示す図である。
【
図7F】
図7Fは、案内ノードまでの距離および頂点角度に応じた案内画像を示す図である。
【
図7G】
図7Gは、案内ノードまでの距離に応じた案内画像を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、従来の表示装置において、車両の進行方向と経路とが平行のときと、車両の進行方向と経路とが非平行なときとの表示物および経路を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、案内ノードおよび退出ノードのみで表示物を形成した場合を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例において、案内経路の生成から表示物を配置するまでの流れを示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例に係る表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例において、案内経路の生成から表示物を配置するまでの流れを示す別の図である。
【
図12A】
図12Aは、表示範囲内の案内画像と、表示範囲外の案内画像とで色が異なる場合を示す図である。
【
図12B】
図12Bは、表示範囲内の案内画像と、表示範囲外の案内画像とで輝度が異なる場合を示す図である。
【
図12C】
図12Cは、表示範囲内の案内画像と、表示範囲外の案内画像とで輝度が異なる場合を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
まず、
図1~
図4Bを参照しながら、本実施の形態の表示装置1、表示方法およびプログラムについて説明する。
【0013】
図1は、実施の形態に係る表示装置1が配置された車両2の車室を示す図である。
図2は、車両2を示すブロック図である。
図3は、実施の形態において、案内経路の生成から表示物を配置するまでの流れを示す図である。
図3の(a)の左図は、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて生成した案内経路を真上から見た場合を示し、
図3の(a)の右図は、案内経路をユーザの視点から見た場合を示している。
図3の(b)は、案内経路に沿って配置した表示物を視点変換し、俯瞰した表示物を生成した様子を示している。
図3の(c)は、視点変換した表示物を案内経路に沿って配置した場合を示している。
図4Aは、俯角差の説明図である。
図4Bは、視点変換しない場合の表示物と、実施の形態に係る視点変換した場合の表示物を示す図である。
【0014】
<機能構成>
図1および
図2に示すように、表示装置1は、例えば、車両2に搭載されたHUDである。表示装置1は、透光性の表示媒体へ向けて表示物を示す光である表示光を出射させて、表示媒体で表示光を反射させることで、ユーザの目に表示光を入射させることができる。例えば、表示装置1を車両2に用いた場合、表示装置1は、透光性のフロントウインド、または、透光性のコンバイナ等の表示媒体に出射した表示光を反射させることで、ユーザの目に表示光を入射させることができる。これにより、ユーザは、表示媒体越しの実像を認識しながら、表示光を虚像として立体的に視認できる。
【0015】
表示光は、表示媒体に画像である虚像を立体的に表示させる光である。画像は、静止画像または動画像であり、数字、文字および図形等を示した画像である。
【0016】
表示装置1は、車両2に搭載された複数の装置のそれぞれからの情報に基づいて、表示媒体へ向けて投射する表示光の表示態様を決定する。
【0017】
複数の装置は、例えば、ナビケーション装置21、車両制御装置22、センサ23等である。
【0018】
ナビケーション装置21は、車両2に搭載されたナビケーションシステムである。ナビケーション装置21は、地図データを使用することで、現在地から目的地までの最適な車両2が走行する予定の経路である予定経路を設定することができる。また、ナビケーション装置21は、周辺の道路交通情報等を提供したり、周辺の道路交通情報に応じて変更した予定経路を設定したりすることができる。ナビケーション装置21は、設定した予定経路を含む車両関連情報を表示装置1に出力する。予定経路は、本開示の経路に含まれる。
【0019】
予定経路は、車両2が走行する予定の経路であって、表示媒体越しに見える実際の道路に重畳させた経路である。予定経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードと、案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、案内ノードを通過する車両2を誘導する退出ノードとが含まれる。案内ノード、進入ノードおよび退出ノードは、ナビケーション装置21が決定した各ノードであり、車両関連情報に含まれる。なお、案内ノード、進入ノードおよび退出ノードは、表示装置1の制御部12が予定経路に基づいて決定してもよい。
【0020】
車両制御装置22は、車両2の走行に関する各種制御を行う装置である。車両制御装置22は、エンジンの回転数を制御したり、運転者の操作および走行状況に合わせてトランスミッション、エンジンの回転数、ブレーキシステム等を制御したりする。車両制御装置22は、車両2の走行に関する各種制御を含む車両関連情報を表示装置1に出力する。
【0021】
センサ23は、車両2に搭載され、車両2の周囲に存在する障害物の有無および道路の形状等の周辺環境を検知するカメラセンサ、車両2から障害物までの距離を検知する距離センサ、車両2の走行速度を検知する速度センサ、車両2の加速度を検知する加速度センサ、ステアリングの舵角を検知する舵角センサ等の車載センサである。車両制御装置22は、周辺環境、車両2から障害物までの距離、走行速度、車両2の加速度、および、ステアリングの舵角等を含む車両関連情報を表示装置1に出力する。
【0022】
表示装置1は、入力部11と、制御部12と、描画部13と、投射部14とを備えている。
【0023】
入力部11は、複数の装置のそれぞれが出力した車両関連情報を取得する入力インターフェイスである。入力部11は、取得した車両関連情報を制御部12に出力する。
【0024】
図2および
図3に示すように、制御部12は、入力部11が取得した車両関連情報に基づいて表示物を生成し、生成した表示物の表示態様を決定する。具体的には、制御部12は、取得した車両関連情報に基づいて、車両2の走行に関する条件が満たされた場合、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて、表示物を生成するための案内経路を生成する。案内経路は、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードで構成された予定経路の一部の経路であり、表示物を生成して配置するための経路である。制御部12は、ユーザの視点から虚像を見る場合よりも大きい俯角から虚像を見た場合の形状となるように、案内経路に応じた表示物を生成して表示物の表示態様を決定することができる。
【0025】
ここで、表示物は、表示光によって表示媒体に虚像として表示される画像であって、予定経路に沿って表示した案内画像で構成される。例えば、案内画像は、矢印状の画像を例示しているが、ユーザを案内させることが可能な公知の画像であればよく、矢印状の画像に限定されない。本実施の形態における表示物は、予定経路に沿って表示された複数の案内画像で構成されている。このため、制御部12は、車両関連情報に示される予定経路の形状に応じて複数の案内画像を生成し、生成した複数の案内画像の表示態様を決定する。
【0026】
ここで、表示物の表示態様は、例えば、案内ノードの周辺の経路(案内経路)、車両2から案内ノードまでの距離、案内経路に応じた表示物を変化させる速度、および、案内ノードの周辺における車両2の走行速度等に応じて決定される。表示物の表示態様には、表示物の配置位置、表示物の曲率、表示物の俯角差、案内画像の数、複数の案内画像の回転角、案内画像の頂点角度、案内画像の大きさ、および、表示物を変化させる速度等が含まれる。また、複数の案内画像のそれぞれは、互いに重ならないような表示態様に決定されてもよい。案内経路は、本開示の経路に含まれる。
【0027】
例えば、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされると、表示媒体に表示されている予定経路に沿って配置されている、ユーザの視点から見た虚像である立体的な表示物を、俯瞰したと仮定した場合に見える立体的な表示物の形状となるように視点変換し、表示物を生成して表示物の表示態様を決定する。
【0028】
このとき、表示媒体に表示された複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率(表示物の曲率)は、ユーザの視点から見た場合の虚像で示される複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率よりも小さい。また、表示媒体に表示された複数の案内画像の俯角差は、ユーザの視点から見た場合の虚像の俯角差よりも大きい。
【0029】
ここで、俯角差とは、
図4Aに示すように、水平方向に対するユーザの視点から表示物を見た場合において、表示物の後端と視点とを結ぶ直線と水平方向との角度bから、表示物の先端と視点とを結ぶ直線と水平方向との角度aを減算した値である。表示物を俯瞰したと仮定した場合の俯角差は、表示物の後端と視点とを結ぶ直線と水平方向との角度Bから、表示物の先端と視点とを結ぶ直線と水平方向との角度Aを減算した値となる。これより、表示媒体に表示された複数の案内画像の俯角差(B-A)は、ユーザの視点から見た場合の虚像の俯角差(b-a)よりも大きい。
【0030】
例えば、
図4Bの(a)に示すように、視点変換をしない場合、ユーザの視点から見た複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率は、複数の案内画像を俯瞰した場合よりも大きくなって見えてしまう。また、ユーザの視点から見た複数の案内画像の俯角差は、複数の案内画像を俯瞰した場合よりも小さく見えてしまう。このため、複数の案内画像のそれぞれが立体的な場合、ユーザの視点から表示媒体を見たときでは、立体的な複数の案内画像が潰れて変形して見えてしまう。このため、表示物が示す案内がユーザに認識し難くなることがある。
【0031】
しかし、本実施の形態では、
図4Bの(b)に示すように、制御部12は、俯瞰したと仮定した場合に見える立体的な表示物の形状となるように視点変換した表示物を生成し、生成した表示物の表示態様を決定する。このため、表示媒体には、曲率が大きくなること、俯角差が小さくなること、および、変形することが抑制された立体的な表示物が表示される。
【0032】
ここで、車両2の走行に関する条件は、予定経路でユーザが車両2のハンドル操作を要する条件である。ユーザが車両2のハンドル操作を要する条件は、予定経路で車両2が進路変更を行う条件である。具体的には、ユーザが車両2のハンドル操作を要する条件は、予定経路に交差点またはカーブが存在する条件、予定経路において車両2から交差点までの経路にカーブが存在する条件、および、予定経路において車両2から交差点またはカーブまでの経路に、さらに別の交差点または別のカーブが存在する条件、および、車両2が進路変更を行う条件の少なくとも1つを含む。車両2が進路変更を行う条件は、例えば、予定経路に交差点またはカーブが存在し、交差点またはカーブの直前で車両2が進路変更を行う条件、他の移動体または設置物等の障害物を避けるための条件等を含む。
【0033】
例えば、ユーザが車両2のハンドル操作を要する条件は、ユーザが車両2のハンドル操作を行うことで、カーブ、右折または左折するという条件、車両2が現在直進している場合であっても、予定経路においてユーザからカーブした道路、右折する交差点または左折する交差点が見え、ユーザが車両2のハンドル操作を行うことになるという条件、障害物を避けるためにユーザが車両2のハンドル操作を行うことになるという条件である。このため、ユーザが車両2のハンドル操作を要する条件には、現在ハンドル操作を行っている条件、近い将来でハンドル操作を行う条件が含まれる。ここで、交差点とは、信号機の有無に関わらない単なる分岐または合流も含む。
【0034】
制御部12は、表示態様を決定すると、決定した表示物の表示態様を、描画部13に出力する。
【0035】
描画部13は、制御部12から決定した表示物の表示態様を取得し、投射部14から表示媒体へ決定した表示物を投射するために、制御部12が決定した表示物の表示態様に従って表示物を描画する。例えば、描画部13は、決定した表示物の表示態様に従って、表示物の大きさ、表示物の形状、表示物の色、表示物の明るさ等の調節を行う。描画部13は、描画結果を投射部14に出力する。
【0036】
投射部14は、描画部13から取得した描画結果に基づいて、制御部12によって決定された表示態様の表示物を示す光(表示光)を、車両2に設けられた表示媒体に投射する。表示媒体に投射された表示光は、表示媒体によって車両2内のユーザ側に向けて反射されるため、表示媒体越しに表示される表示光である表示物が虚像としてユーザに視認される。
【0037】
このような、描画部13および投射部14は、本開示の表示部に含まれる。
【0038】
<処理動作>
次に、
図5を参照し、本実施の形態における表示装置1、表示方法およびプログラムの処理動作について説明する。
【0039】
図5は、実施の形態に係る表示装置1の動作例1を示すフローチャートである。
【0040】
(動作例1)
まず、車両2に搭載される複数の装置は、車両関連情報を表示装置1へ送信する。これにより、表示装置1は、車両関連情報を取得する(S11)。つまり、表示装置1の入力部11には、車両関連情報が入力される。入力部11は、入力された車両関連情報を制御部12に出力する。
【0041】
次に、制御部12は、取得した車両関連情報に基づいて表示物を生成し、車両関連情報に基づいた車両2の走行に関する条件が満たされた場合、生成した表示物の表示態様を決定する(S12)。具体的な表示物の生成と、表示物の表示態様の決定とについては、後述する。
【0042】
次に、制御部12は、決定した表示物の表示態様を描画部13に出力する。
【0043】
次に、描画部13は、制御部12から決定した表示物の表示態様を取得し、取得した表示物の表示態様に従って表示物を描画する(S13)。描画部13は、描画結果を投射部14に出力する。
【0044】
次に、投射部14は、描画部13から取得した描画結果に基づいて、決定された表示態様となるように、表示物を示す表示光を表示媒体へ向けて投射する(S14)。このとき、描画部13は、予定経路も描画しているため、投射部14は、予定経路を示す光を、表示光と合わせて表示媒体へ向けて投射する。表示光が表示媒体でユーザ側に向けて反射するため、ユーザは、表示媒体越しに表示される表示物を虚像として認識することができる。そして、表示装置1は、
図5のフローチャートを終了する。
【0045】
(動作例2)
次に、
図6を参照し、
図6のS12の処理動作について、より詳細に説明する。
【0046】
図6は、実施の形態に係る表示装置1の動作例2を示すフローチャートである。
【0047】
まず、制御部12は、車両関連情報に示される予定経路を取得する。制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされた場合、予定経路の案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて、表示物を生成するための案内経路を生成する(S21)。
【0048】
次に、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされると、表示物に対して視点変換する(S22)。具体的には、制御部12は、表示媒体に表示されている予定経路のうちの案内経路に沿って配置された、ユーザの視点から見た立体的な表示物を、俯瞰したと仮定した場合に見える立体的な表示物の形状となるように変換する。つまり、制御部12は、水平方向に沿ってユーザが立体的な表示物を見たと仮定した場合の立体的な表示物の形状を、ユーザが立体的な表示物を俯瞰したときに見える立体的な表示物の形状に変換する。
【0049】
これにより、表示媒体に表示された複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率は、ユーザの視点から見た場合の虚像で示される複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率よりも小さくなる。また、表示媒体に表示された複数の案内画像の俯角差は、ユーザの視点から見た場合の虚像の俯角差よりも大きくなる。このため、水平方向に沿ってユーザが見た矢印の案内画像が、潰れて変形して見えてしまっていても、俯瞰してユーザが見た矢印の案内画像は、変形が抑制されて見える。
【0050】
次に、制御部12は、この変形が抑制された立体的な表示物が表示媒体に表示されるように、表示物を視点変換した表示物を生成する(S23)。
【0051】
次に、制御部12は、表示物の表示態様を決定し表示物を配置する(S24)。そして、制御部12は、
図5のS14に進む。そして、表示装置1は、
図5のフローチャートを終了する。
【0052】
ここで、
図7A~
図7Gを参照し、表示物の表示態様を決定する方法について説明する。
【0053】
図7Aは、案内経路の曲率および表示物の曲率に応じた表示物の表示態様を示す図である。
図7Bは、案内経路の曲率および俯角差に応じた表示物の表示態様を示す図である。
図7Cは、案内経路の形状、案内画像の数、および、煩わしさに応じた表示物の表示態様を示す図である。
図7Dは、案内画像の回転角を示す図である。
図7Eは、案内ノードまでの距離および俯角差に応じた表示物の表示態様を示す図である。
図7Fは、案内ノードまでの距離および頂点角度に応じた案内画像を示す図である。
図7Gは、案内ノードまでの距離に応じた案内画像を示す図である。
【0054】
具体的には、ユーザに対して表示物を正しく認識させるために、制御部12は、案内経路に応じた表示物の配置位置、案内経路、車両2から案内ノードまでの距離、案内経路に応じた表示物を変化させる速度、および、案内ノードの周辺における車両2の走行速度に応じて表示態様を決定する。
【0055】
制御部12は、案内経路に応じて、表示物の配置位置を変化させる。例えば、制御部12は、案内経路の形状に沿って配置するように、表示物の配置位置を決定する。具体的には、制御部12は、
図3の(c)に示すように、案内経路の形状に応じて表示物を配置するように、表示物の配置位置を決定する。
【0056】
また、制御部12は、案内経路に応じて、表示物を変化させる。例えば、制御部12は、案内経路に応じて、表示物の曲率、表示物の俯角差、案内画像の数、および、複数の案内画像の回転角のうちの少なくとも1つを変化させる。
【0057】
具体的には、制御部12は、
図7Aに示すように、案内経路の曲率を算出し、その算出した曲率に応じて、複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率つまり表示物の曲率を決定する。例えば、制御部12は、案内経路の曲がり具合が緩やか、つまり案内経路の曲率が小さくなるほど、表示物の曲率が小さくなるように表示態様を決定する。また、制御部12は、案内経路の曲率が中程度の場合、表示物の曲率が中程度となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、案内経路の曲がり具合が急、つまり案内経路の曲率が大きいほど、表示物の曲率が大きくなるように表示態様を決定する。なお、曲率が大きい、および、小さいとは、曲率が中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0058】
また、制御部12は、
図7Bに示すように、案内経路に配置された表示物の俯角差を算出し、その算出した俯角差に応じて表示物の俯角差を決定する。例えば、制御部12は、案内経路の曲がり具合が緩やか、つまり案内経路の曲率が小さくなるほど、表示物の俯角差が大きくなるように表示態様を決定する。また、制御部12は、案内経路の曲率が中程度の場合、表示物の俯角差を中程度となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、案内経路の曲がり具合が急、つまり案内経路の曲率が大きくなるほど、表示物の俯角差が小さくなるように表示態様を決定する。なお、俯角差が大きい、および、小さいとは、俯角差が中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0059】
また、制御部12は、
図7Cに示すように、案内経路に応じて、表示物における案内画像の数を決定する。例えば、制御部12は、案内経路の曲がり具合が緩やかまたは単純な経路になるほど、案内画像の数を3つ程度のように少なくなるように表示態様を決定する。この場合にユーザが感じる見た目の煩わしさは小さい。また、制御部12は、案内経路が中程度である場合、案内画像の数を5つ程度となるように表示態様を決定する。この場合にユーザが感じる見た目の煩わしさは中程度となる。また、制御部12は、案内経路の曲がり具合が急または複雑な経路になるほど、案内画像の数を7つ程度と多くなるように表示態様を決定する。この場合にユーザが感じる見た目の煩わしさは大きい。なお、制御部12は、案内経路の曲率が大きく、案内経路がS字等のような複雑な形状である場合のみ、数を増加させてもよい。なお、案内画像の数が多い、および、少ないとは、俯角差が中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0060】
また、制御部12は、
図7Dに示すように、案内経路に応じて、複数の案内画像の回転角を決定する。例えば、案内画像が矢印の場合、前後方向に沿ったロール軸周りの回転角をロール角とすると、制御部12は、案内経路の曲率が大きいほどロール角を大きくし、案内経路の曲率が小さいほどロール角を小さくするように表示態様を決定する。また、上下方向に沿ったヨー軸周りの回転角をヨー角とすると、制御部12は、案内経路の曲率が大きいほどヨー角を大きくし、案内経路の曲率が小さいほどヨー角を小さくするように表示態様を決定する。また、左右方向に沿ったピッチ軸周りの回転角をピッチ角とすると、制御部12は、案内経路が上り坂の場合にピッチ角を水平面に対して上向きにし、案内経路が下り坂の場合にピッチ角を水平面に対して下向きにするように表示態様を決定する。なお、回転角が大きい、および、小さいとは、回転角が中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0061】
また、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離に応じて、表示物を変化させる。また、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離に応じて、表示物の俯角差、複数の案内画像のそれぞれの頂点角度、および、複数の案内画像の大きさのうちの少なくとも1つを変化させる。
【0062】
具体的には、制御部12は、
図7Eに示すように、表示物の俯角差を算出し、その算出した表示物の俯角差に応じて表示物の俯角差を決定する。例えば、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離が遠くなるほど、表示物の俯角差が大きくなるように表示態様を決定する。また、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離が中程度であれば、表示物の俯角差を中程度となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離が近くなるほど、表示物の俯角差が小さくなるように表示態様を決定する。なお、距離が遠い、および、近いとは、距離が中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0063】
また、制御部12は、
図7Fに示すように、車両2から案内ノードまでの距離に応じて、複数の案内画像のそれぞれの頂点角度を決定する。例えば、制御部12は、案内画像が矢印の場合、車両2から案内ノードまでの距離が遠くなるほど、矢印の頂点角度が小さくなるように表示態様を決定する。また、制御部12は、案内画像が矢印の場合、車両2から案内ノードまでの距離が中程度であれば、矢印の頂点角度も中程度となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、案内画像が矢印の場合、車両2から案内ノードまでの距離が近くなるほど、矢印の頂点角度が大きくなるように表示態様を決定する。なお、頂点角度が大きい、および、小さいとは、頂点角度が中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0064】
また、制御部12は、
図7Gに示すように、車両2から案内ノードまでの距離に応じて、複数の案内画像のそれぞれの大きさを決定する。例えば、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離が遠くなるほど、案内画像の大きさが小さくなるように表示態様を決定する。また、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離が中程度であれば、案内画像の大きさも中程度となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離が近くなるほど、案内画像の大きさが大きくなるように表示態様を決定する。なお、案内画像が大きい、および、小さいとは、案内画像の大きさが中程度を基準とした場合に、基準よりも大きい場合と、基準よりも小さい場合とである。
【0065】
また、制御部12は、案内経路に応じて、表示物を変化させる速度を変更する。また、制御部12は、案内経路に応じて、複数の案内画像のうちの少なくとも一部の案内画像を変化させる速度を変更し、変更した速度に決定してもよい。
【0066】
具体的には、制御部12は、案内経路の曲がり具合が急、つまり案内経路の曲率が大きくなるほど、案内ノードに近づいたときに、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定する。言い換えれば、制御部12は、案内経路の曲がり具合が緩やか、つまり案内経路の曲率が小さくなるほど、案内ノードに近づいたときに、表示物の変化する速度が遅くなるように表示態様を決定する。
【0067】
また、制御部12は、案内ノードの周辺である案内ノード手前に存在するカーブの曲率が大きくなるほど、カーブに近づいたときに、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定する。言い換えれば、制御部12は、案内経路における案内ノード手前に存在するカーブの曲率が小さくなるほど、カーブに近づいたときに、表示物の変化する速度が遅くなるように表示態様を決定する。
【0068】
例えば、制御部12は、カーブの曲率が大きい場合、1つの案内画像の回転角の変化率(角速度)が90°/秒以上となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、カーブの曲率が小さい場合、1つの案内画像の回転角の変化率が45°/秒以下となるように表示態様を決定する。なお、ここで例示した回転角の変化率は、あくまでも一例であり、本実施の形態に示した回転角の変化率に限定されない。
【0069】
別の例では、制御部12は、カーブの曲率が大きい場合、0.5秒程度の時間をかけて案内画像の数が5つから3つに変化するように表示態様を決定する。また、制御部12は、カーブの曲率が小さい場合、1秒程度の時間をかけて案内画像の数が5つから3つに変化するように表示態様を決定する。なお、ここで例示した案内画像の数と時間は、あくまでも一例であり、本実施の形態に示した案内画像の数と時間に限定されない。
【0070】
また、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、車両2の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、表示物を変化させる速度を、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを示す案内経路の曲率に応じて変化させてもよい。
【0071】
また、制御部12は、案内ノードの周辺における車両2の走行速度に応じて、表示物を変化させる速度を決定する。
【0072】
具体的には、制御部12は、案内ノードの周辺である案内経路における車両2の走行速度が速くなるほど、案内ノードに車両2が近づいたときに、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定する。言い換えれば、制御部12は、案内経路における車両2の走行速度が遅くなるほど、案内ノードに車両2が近づいたときに、表示物の変化する速度が遅くなるように表示態様を決定する。
【0073】
また、制御部12は、案内ノードの周辺である案内ノード手前にカーブが存在する場合、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が速くなるほど、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定する。言い換えれば、制御部12は、案内ノード手前にカーブが存在する場合、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が遅くなるほど、表示物の変化する速度が遅くなるように表示態様を決定する。
【0074】
例えば、制御部12は、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が速い場合、1つの案内画像の回転角の変化率が90°/秒以上となるように表示態様を決定する。また、制御部12は、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が遅い場合、1つの案内画像の回転角の変化率が45°/秒以下となるように表示態様を決定する。なお、ここで例示した回転角の変化率は、あくまでも一例であり、本実施の形態に示した回転角の変化率に限定されない。
【0075】
別の例では、制御部12は、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が速い場合、0.5秒程度の時間をかけて案内画像の数が5つから3つに変化するように表示態様を決定する。また、制御部12は、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が遅い場合、1秒程度の時間をかけて案内画像の数が5つから3つに変化するように表示態様を決定する。なお、ここで例示した案内画像の数と時間は、あくまでも一例であり、本実施の形態に示した案内画像の数と時間に限定されない。
【0076】
また、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、車両2の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、表示物を変化させる速度を、案内ノードに接近する車両2の速度に応じて変化させる。
【0077】
<作用効果>
次に、本実施の形態における表示装置1の作用効果について説明する。
【0078】
まず、従来の表示装置1について
図8Aを用いて説明する。
【0079】
図8Aは、従来の表示装置1において、車両2の進行方向と経路とが平行のときと、車両2の進行方向と経路とが非平行なときとの表示物および経路を示す図である。
【0080】
従来の表示装置1では、
図8Aに示すように、ユーザの視点から虚像を見た場合では、表示物が潰れて見えてしまうことがある。この場合では、ユーザは、表示物を正しく認識することができないおそれがある。
【0081】
しかしながら、本実施の形態に係る表示装置1は、車両2が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定する制御部12と、制御部12によって決定された表示態様の表示物を示す光を、車両2に設けられた表示媒体に投射することによって、表示媒体によって光(表示光)を車両2内のユーザ側に向けて反射させ、表示媒体越しに表示される表示物を虚像としてユーザに視認させる表示部と、を備える。そして、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされた場合、ユーザの視点から虚像を見る場合よりも大きい俯角から虚像を見た場合の形状となるように、表示物の表示態様を決定する。
【0082】
これによれば、虚像を俯瞰した場合の形状となるような表示物を虚像として表示媒体に表示させることができる。このため、表示物が潰れて表示媒体に表示されてしまうことを抑制することができる。
【0083】
したがって、ユーザが実像の経路を正しく認識し易い表示物を表示することができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る表示方法は、車両2が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定することと、決定された表示態様の表示物を示す光を、車両2に設けられた表示媒体に投射することによって、表示媒体によって光を車両2内のユーザ側に向けて反射させ、表示媒体越しに表示される表示物を虚像としてユーザに視認させることと、車両2の走行に関する条件が満たされた場合、ユーザの視点から虚像を見る場合よりも大きい俯角から虚像を見た場合の形状となるように、表示物の表示態様を決定することとを含む。
【0085】
この表示方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0086】
また、本実施の形態に係るプログラムは、表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0087】
このプログラムにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0088】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、表示物は、経路に沿って表示された複数の案内画像で構成される。そして、表示媒体に表示された複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率は、ユーザの視点から見た場合の虚像で示される複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率よりも小さい。
【0089】
これによれば、表示物が潰れて表示されてしまうことを抑制することができる。その結果、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0090】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、表示物は、経路に沿って表示された複数の案内画像で構成される。そして、表示媒体に表示された表示物の俯角差は、ユーザの視点から見た場合の虚像の俯角差よりも大きい。
【0091】
これによれば、表示物が潰れて表示されてしまうことを抑制することができる。その結果、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0092】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、複数の案内画像のそれぞれは、互いに重ならないように表示される。
【0093】
これによれば、複数の案内画像が重なることで、ユーザが表示物を認識し難くなってしまうことを抑制することができる。その結果、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0094】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードと、案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、案内ノードを通過する車両2を誘導する退出ノードとが含まれる。そして、制御部12は、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて、表示物の表示態様を決定する。
【0095】
ここで、従来の表示装置について
図8Bを用いて説明する。
図8Bは、案内ノードおよび退出ノードのみで表示物を形成した場合を示す図である。例えば、案内ノードおよび退出ノードのみで表示物を形成した場合、
図8Bに示すように、奥側の道を案内しているのではなく、手前側の道を案内しているように見えてしまうことがある。この場合、ユーザは、誤った経路を進行してしまうことがある。
【0096】
しかしながら、本実施の形態によれば、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて案内経路を生成することができるため、案内経路に沿った表示物を生成することができるようになる。これにより、ユーザは、案内経路が示す方向を認識することができるようになる。
【0097】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、車両2の走行に関する条件は、案内ノードでユーザがハンドル操作を要する条件である。
【0098】
例えば、ユーザがハンドル操作を要する場合は、ユーザが車両2の周囲を注意しながらハンドル操作をすることで車体の進行方向を変更するものである。
【0099】
このとき、本実施の形態によれば、ユーザが見やすい表示物を表示媒体に表示させることができる。これにより、ユーザが表示物を正しく認識することができる。その結果、ユーザが進路を間違えずに車両2を進行させることが期待できる。
【0100】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、ユーザがハンドル操作を要する条件は、経路に交差点が存在する条件、車両2から交差点までの経路にカーブが存在する条件、および、車両2から交差点またはカーブまでの経路に、さらに別の交差点または別のカーブが存在する条件の少なくとも1つを含む。
【0101】
これによれば、ユーザがハンドル操作を要する際に、ユーザに見やすい表示物を表示媒体に表示させることができる。これにより、ユーザが表示物を正しく認識することができる。その結果、ユーザが進路を間違えずに車両2を進行させることが期待できる。
【0102】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、ユーザがハンドル操作を要する条件は、経路で、車両2が進路変更を行う条件である。
【0103】
これによれば、車両2が進路変更を行う際に、ユーザに見やすい表示物を表示媒体に表示させることができる。これにより、ユーザが表示物を正しく認識することができる。その結果、ユーザが進路を間違えずに車両2を進行させることが期待できる。
【0104】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、ユーザがハンドル操作を要する条件は、経路において交差点またはカーブが存在し、交差点またはカーブの直前で車両2が進路変更を行う条件である。
【0105】
これによれば、車両2が進路変更を行う際に、ユーザに見やすい表示物を表示媒体に表示させることができる。これにより、ユーザが表示物を正しく認識することができる。その結果、ユーザが進路を間違えずに車両2を進行させることが期待できる。
【0106】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、制御部12は、案内ノードの周辺の経路に応じて、表示物を変化させる。
【0107】
これによれば、案内経路の形状に応じて表示物を変化させることができるため、案内経路に適した表示物の表示態様に決定することができる。その結果、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0108】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードが含まれる。そして、制御部12は、案内ノードの周辺の経路に応じて、複数の案内画像の並びに沿った軌跡の曲率(案内経路の曲率)、表示物の俯角差、案内画像の数、および、複数の案内画像の回転角のうちの少なくとも1つを変化させる。
【0109】
例えば、ユーザに対して、表示物の曲率が大きいほど、案内経路の曲率を大きく感じさせ、案内ノード前後の角度(案内経路の曲率)を大きく感じさせる効果が期待できる。
【0110】
また、ユーザに対して、表示物の俯角差が小さいほど、表示物の曲率を大きく感じさせ、案内ノード前後の角度を大きく感じさせる効果が期待できる。
【0111】
また、本実施の形態によれば、制御部12は案内画像の数を多く配置することができるため、S字等のような複雑な形状を表示物で表現することができる。
【0112】
また、ユーザに対し、案内画像の回転角において、ロール角を調節することで、ロール角が大きいほど案内経路の曲率が大きくなり、ロール角が小さいほど案内経路の曲率が小さくなるように感じさせる効果が期待できる。また、ユーザに対し、ヨー角を調節することで、ヨー角が大きいほど案内経路の曲率が大きくなり、ヨー角が小さいほど案内経路の曲率が小さくなるように感じさせる効果が期待できる。また、ユーザに対し、ピッチ角を調節することで、ピッチ角を水平面に対して上向きにするほど上に登り、ピッチ角を水平面に対して下向きにするほど下に降るように感じさせる効果が期待できる。
【0113】
このように、案内経路の形状に応じて表示物を変化させることができるため、案内経路に適した表示物の表示態様に決定することができる。その結果、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0114】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードが含まれる。そして、制御部12は、車両2から案内ノードまでの距離に応じて、表示物の俯角差、複数の案内画像のそれぞれの頂点角度、および、複数の案内画像の大きさのうちの少なくとも1つを変化させる。
【0115】
例えば、ユーザに対して、俯角差が大きいほど、案内ノードが車両2から遠くに存在しているように感じさせる効果が期待できる。
【0116】
また、ユーザに対して、案内画像の頂点角度が狭いほど、案内ノードが車両2から遠くに存在しているように感じさせる効果が期待できる。
【0117】
また、車両2から案内ノードまでの距離に応じて、案内画像の形状をパース線に沿った形状にすることができるため、ユーザに対して、車両2から案内ノードまでの距離を感じさせる効果が期待できる。
【0118】
このように、車両2から案内ノードまでの距離に応じて表示物を変化させることができるため、案内経路に適した表示物の表示態様に決定することができる。その結果、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0119】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、制御部12は、経路に応じて、表示物を変化させる速度を変更する。
【0120】
これによれば、案内経路の曲率が大きくなるほど、案内ノードに近づいたときに、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定することができる。また、案内ノード手前に存在するカーブの曲率が大きくなるほど、カーブに近づいたときに、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定することができる。このように、案内経路の形状に応じて表示物を変化させる速度を調節することができる。このため、ユーザが案内経路を認識しやすくなることが期待できる。
【0121】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードが含まれる。そして、制御部12は、案内ノードの周辺における車両2の走行速度に応じて、表示物を変化させる速度を変更する。
【0122】
これによれば、案内経路における車両2の走行速度が速くなるほど、案内ノードに車両2が近づいたときに、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定することができる。また、案内ノード手前にカーブが存在する場合、カーブに近づいたときに車両2の走行速度が速くなるほど、表示物の変化する速度が速くなるように表示態様を決定することができる。このように、案内経路における車両2の走行速度に応じて表示物を変化させる速度を調節することができる。このため、ユーザが案内経路を認識しやすくなることが期待できる。
【0123】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードと、案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、案内ノードを通過する車両2を誘導する退出ノードとが含まれる。そして、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、車両2の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、表示物を変化させる速度を、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを示す経路の曲率に応じて変化させる。
【0124】
これによれば、結果的に車両2の走行に関する条件が満たされた場合、案内経路の曲率に応じた表示物の表示態様を決定することができる。このため、ユーザが表示物を正しく認識しやすくなる。
【0125】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、経路には、車両2の進路変更地点を示す案内ノードが含まれる。そして、制御部12は、車両2の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、車両2の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、表示物を変化させる速度を、案内ノードに接近する車両2の速度に応じて変化させる。
【0126】
これによれば、結果的に車両2の走行に関する条件が満たされた場合、案内経路における車両2の走行速度に応じて表示物を変化させる速度を調節することができる。このため、ユーザが案内経路を認識しやすくなることが期待できる。
【0127】
(実施の形態の変形例)
まず、
図9を参照し、本変形例の表示装置1の構成について説明する。
【0128】
図9は、実施の形態の変形例において、案内経路の生成から表示物を配置するまでの流れを示す図である。
図9の(a)の左図は、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて生成した案内経路を真上から見た場合を示し、
図9の(a)の右図は、案内経路をユーザの視点から見た場合を示している。
図9の(b)は、案内経路に沿って配置した表示物を視点変換し、俯瞰した表示物を生成した様子を示している。
図9の(c)は、視点変換した表示物を案内経路に沿って配置した場合を示している。
【0129】
本変形例では、シフトさせた表示物を生成する点で、実施の形態と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0130】
例えば、予定経路がカーブしていたり、右折したり、左折したりする場合、または、進路変更等によって車両のハンドルを操作したりする場合、走行予定の実際の経路が表示部の表示範囲から外れてしまうことがある。この場合、表示物が適切に表示されず、ユーザが予定経路を正しく認識し難くなることが考えられる。
【0131】
そこで、本変形例では、制御部12は、表示物の少なくとも一部が表示媒体の表示範囲外となった場合、表示範囲内となるように、シフトさせた表示物の表示態様を決定する。
【0132】
具体的には、走行予定の実際の経路が表示部の表示範囲から外れてしまい、案内経路が表示範囲に表示されない場合、制御部12は、表示範囲において最も案内経路に近い位置まで表示物をシフトさせる。例えば、
図9のように、案内経路のうちの進入ノードおよび案内ノードが表示範囲から外れてしまっていても、表示範囲外の進入ノードから表示範囲内の退出ノードに近づくように、表示範囲において最も案内経路に近い位置までシフトさせた表示物を生成する。
【0133】
制御部12は、シフトさせた表示物を生成した場合、表示範囲内の少なくとも一部の色および/または輝度を変更するように表示態様を決定する。
【0134】
本変形例の表示物の表示態様には、表示物の配置位置、表示物の曲率、表示物の俯角差、案内画像の数、複数の案内画像の回転角、案内画像の頂点角度、案内画像の大きさ、案内画像の色、案内画像の輝度、および、表示物を変化させる速度等が含まれる。
【0135】
(動作例)
次に、
図10を参照し、
図5のS12について、本変形例における表示装置1、表示方法およびプログラムの処理動作について説明する。
【0136】
図10は、実施の形態の変形例に係る表示装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0137】
図6と同一の処理動作については、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0138】
まず、制御部12は、ステップS21~S23の処理を経て、案内経路が表示範囲外であるか否かを判定する(S23a)。表示媒体の表示範囲を介した視野角が予め設定されていてもよく、この場合、制御部12は、車両2の進行方向と当該視野角に基づいて案内経路が表示範囲外であるか否かを判定することができる。
【0139】
制御部12は、案内経路が表示範囲外でないと判定した場合(S23aでNO)、ステップS24に進む。そして、表示装置1は、
図10のフローチャートを終了する。
【0140】
一方、制御部12は、案内経路が表示範囲外であると判定した場合(S23aでYES)、表示範囲内となるように、シフトさせた表示物を生成して表示物の表示態様を決定する(S23b)。そして、制御部12は、ステップS24に進む。そして、表示装置1は、
図10のフローチャートを終了する。
【0141】
ここで、
図9および
図11を参照し、シフトさせた表示物について説明する。
【0142】
図11は、実施の形態の変形例において、案内経路の生成から表示物を配置するまでの流れを示す別の図である。
図11の(a)の左図は、案内ノード、進入ノード、および、退出ノードを用いて生成した案内経路を真上から見た場合を示し、
図11の(a)の右図は、案内経路をユーザの視点から見た場合を示している。
図11の(b)は、案内経路に沿って配置した表示物を視点変換し、俯瞰した表示物を生成した様子を示している。
図11の(c)は、視点変換した表示物を案内経路に沿って配置した場合を示している。
【0143】
まず、
図9に示すように、表示範囲が案内経路から左側にシフトすることで、案内経路のうちの進入ノードおよび案内ノードが表示範囲から外れてしまっている。この場合、制御部12は、表示範囲内において、表示範囲外の進入ノードに最も近い位置と、表示範囲外の案内ノードに最も近い位置と、表示範囲内の退出ノードとの順番で繋がるような表示物を生成する。このように、制御部12は、表示範囲内において、表示範囲外の案内経路に漸近する位置に、表示物のうちの一部の案内画像をシフトさせた表示物を生成する。
【0144】
別の例では、予定経路において、案内ノードで右折または左折するときにおいて、案内ノード手前にカーブが存在する場合がある。例えば、
図11に示すように、案内ノードで右折するときにおいて、案内ノード手前にカーブが存在しているため、表示範囲が案内経路から左側にシフトすることで、案内経路が表示範囲から外れてしまっている。車両2がカーブを走行中の場合、制御部12は、表示範囲外の案内経路に近づくように、表示範囲外に最も近い位置にシフトさせた表示物を生成して表示物を生成する。
【0145】
制御部12は、このようにシフトさせた表示物を生成した場合、表示範囲内の少なくとも一部の色および/または輝度を変更するように表示態様を決定する。
【0146】
【0147】
図12Aは、表示範囲内の案内画像と、表示範囲外の案内画像とで色が異なる場合を示す図である。
図12Bは、表示範囲内の案内画像と、表示範囲外の案内画像とで輝度が異なる場合を示す図である。
図12Cは、表示範囲内の案内画像と、表示範囲外の案内画像とで輝度が異なる場合を示す別の図である。
【0148】
具体的には、制御部12は、表示物のうちの一部の案内画像をシフトさせた場合、シフトさせた一部の案内画像の色および/または輝度を変更した表示態様に決定する。つまり、制御部12は、案内画像をシフトさせた場合、シフトさせていない案内画像とシフトさせた案内画像との色、デザイン、および、輝度のうちの少なくとも1つを互いに異ならせる。
【0149】
例えば、
図12Aに示すように、制御部12は、シフトさせていない案内画像を水色で示し、シフトさせた案内画像を黄色で示してもよい。なお、ここで例示した案内画像の色は、あくまでも一例であり、本変形例に示した案内画像の色に限定されない。
【0150】
別の例では、制御部12は、シフトさせていない案内画像をべた塗り図で示し、シフトさせた案内画像を白抜きの線図で示してもよく、シフトさせた案内画像をハッチング入りの線図で示してもよい。なお、ここで例示した案内画像のデザインは、あくまでも一例であり、本変形例に示した案内画像のデザインに限定されない。
【0151】
別の例では、制御部12は、案内経路に沿っている道路に対して優先して表示物を表示できるか否かによって、輝度を変更してもよい。
【0152】
例えば、
図12Bに示すように、制御部12は、案内経路に沿っている道路に対して優先して表示物を表示できる場合、シフトさせていない案内画像の輝度を100%で示し、シフトさせた案内画像の輝度を50%で示してもよい。なお、ここで例示した案内画像の輝度は、あくまでも一例であり、本変形例に示した案内画像の輝度に限定されない。
【0153】
別の例では、
図12Cに示すように、制御部12は、案内経路からズレている道路に対して優先して表示物を表示できる場合、シフトさせていない案内画像の輝度を50%で示し、シフトさせた案内画像の輝度を100%で示してもよい。なお、ここで例示した案内画像の輝度は、あくまでも一例であり、本変形例に示した案内画像の輝度に限定されない。
【0154】
なお、制御部12は、シフトさせた表示物を生成した場合、表示物を構成する複数の案内画像の全ての色および/または輝度を変更した表示態様に変更してもよい。
【0155】
このような、本変形例における表示装置1の作用効果について説明する。
【0156】
上述したように、本変形例に係る表示装置1において、制御部12は、表示物の少なくとも一部が表示範囲外となった場合、表示範囲内となるように、シフトさせた表示物の表示態様に決定する。
【0157】
これによれば、表示物の少なくとも一部が表示範囲外となっても、表示範囲外となった案内画像をシフトさせて表示範囲内に表示させることができる。このため、案内経路が表示範囲外となっても、表示物を表示範囲内に表示させることができる。その結果、ユーザは、案内経路を正しく認識することができる。
【0158】
また、本変形例に係る表示装置1において、制御部12は、表示物をシフトさせた場合、表示範囲内の少なくとも一部の色および/または輝度を変更する。
【0159】
これによれば、ユーザは、シフトされた案内画像であることを認識することができる。その結果、ユーザは、案内経路を正しく認識することができる。
【0160】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る表示装置、表示方法、およびプログラムについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。また、上記実施の形態の変形例は、上記実施の形態に含まれてもよい。
【0161】
例えば、上記実施の形態に係る表示装置1、表示方法、およびプログラムにおいて、案内経路は、1つの案内ノード、1つの進入ノード、および、1つの退出ノードで構成されているが、進入ノードおよび退出ノードのそれぞれは、1以上のノードで構成されていてもよい。
【0162】
また、上記実施の形態に係る表示装置1、表示方法、およびプログラムにおいて、車両2に搭載される複数の装置と、表示装置1とを合わせた表示システムを構成してもよい。
【0163】
また、上記実施の形態では、表示装置1の一例としてHUDを示したが、HUDを投射部14で構成してもよい。すなわち、入力部11、制御部12および描画部13を備える描画装置が、表示媒体に投射する表示物を描画し、描画結果をHUDに出力することで、表示物を示す光をHUDが投射する構成としてもよい。
【0164】
また、上記実施の形態に係る表示装置は典型的に集積回路であるLSIを用いて実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0165】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0166】
なお、上記実施の形態において、表示装置の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0167】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0168】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェアまたはソフトウェアが並列または時分割に処理してもよい。
【0169】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0170】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示は、車両の表示装置等に利用可能である。
【0172】
(付記)
以下に、上記実施の形態に基づいて説明した表示装置等の特徴を示す。
【0173】
<技術1>
車両が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定する制御部と、
前記制御部によって決定された前記表示態様の前記表示物を示す光を、前記車両に設けられた表示媒体に投射することによって、前記表示媒体によって前記光を前記車両内のユーザ側に向けて反射させ、前記表示媒体越しに表示される前記表示物を虚像として前記ユーザに視認させる表示部と、を備え、
前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされた場合、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合よりも大きい俯角から前記虚像を見た場合の形状となるように、前記表示物の前記表示態様を決定する
表示装置。
【0174】
<技術2>
前記表示物は、前記経路に沿って表示された複数の前記案内画像で構成され、
前記表示媒体に表示された複数の前記案内画像の並びに沿った軌跡の曲率は、前記ユーザの視点から見た場合の前記虚像で示される複数の前記案内画像の並びに沿った軌跡の曲率よりも小さい
技術1に記載の表示装置。
【0175】
<技術3>
前記表示物は、前記経路に沿って表示された複数の前記案内画像で構成され、
前記表示媒体に表示された前記表示物の俯角差は、前記ユーザの視点から見た場合の前記虚像の俯角差よりも大きい
技術1または2に記載の表示装置。
【0176】
<技術4>
複数の前記案内画像のそれぞれは、互いに重ならないように表示される
技術2または3に記載の表示装置。
【0177】
<技術5>
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードと、前記案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、前記案内ノードを通過する前記車両を誘導する退出ノードとが含まれ、
前記制御部は、前記案内ノード、前記進入ノード、および、前記退出ノードを用いて、前記表示物の前記表示態様を決定する
技術1~4のいずれか1つに記載の表示装置。
【0178】
<技術6>
前記車両の走行に関する条件は、前記案内ノードで前記ユーザがハンドル操作を要する条件である
技術5に記載の表示装置。
【0179】
<技術7>
前記ユーザがハンドル操作を要する条件は、前記経路に交差点が存在する条件、前記車両から前記交差点までの前記経路にカーブが存在する条件、および、前記車両から前記交差点または前記カーブまでの前記経路に、さらに別の交差点または別のカーブが存在する条件を含む
技術6に記載の表示装置。
【0180】
<技術8>
前記ユーザがハンドル操作を要する条件は、前記経路で、前記車両が進路変更を行う条件を含む
技術6または7に記載の表示装置。
【0181】
<技術9>
前記ユーザがハンドル操作を要する条件は、前記経路において交差点またはカーブが存在し、前記交差点または前記カーブの直前で前記車両が進路変更を行う条件を含む
技術6~8のいずれか1つに記載の表示装置。
【0182】
<技術10>
前記制御部は、前記表示物の少なくとも一部が表示範囲外となった場合、前記表示範囲内となるように、シフトさせた前記表示物の前記表示態様に決定する
技術1~9のいずれか1つに記載の表示装置。
【0183】
<技術11>
前記制御部は、前記表示物をシフトさせた場合、前記表示範囲内の少なくとも一部の色および/または輝度を変更する
技術10に記載の表示装置。
【0184】
<技術12>
前記制御部は、前記案内ノードの周辺の前記経路に応じて、前記表示物を変化させる
技術5~9のいずれか1つに記載の表示装置。
【0185】
<技術13>
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記案内ノードの周辺の前記経路に応じて、複数の前記案内画像の並びに沿った軌跡の曲率、前記表示物の俯角差、前記案内画像の数、および、複数の前記案内画像の回転角のうちの少なくとも1つを変化させる
技術2~4のいずれか1つに記載の表示装置。
【0186】
<技術14>
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記車両から前記案内ノードまでの距離に応じて、前記表示物の俯角差、複数の前記案内画像のそれぞれの頂点角度、および、複数の前記案内画像の大きさのうちの少なくとも1つを変化させる
技術2~4、13のいずれか1つに記載の表示装置。
【0187】
<技術15>
前記制御部は、前記経路に応じて、前記表示物を変化させる速度を変更する
技術2~4、13、14のいずれか1つに記載の表示装置。
【0188】
<技術16>
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記案内ノードの周辺における前記車両の走行速度に応じて、前記表示物を変化させる速度を変更する
技術2~4、13~15のいずれか1つに記載の表示装置。
【0189】
<技術17>
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードと、前記案内ノードに進入する手前の地点を示す進入ノードと、前記案内ノードを通過する前記車両を誘導する退出ノードとが含まれ、
前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、前記車両の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、前記表示物を変化させる速度を、前記案内ノード、前記進入ノード、および、前記退出ノードを示す前記経路の曲率に応じて変化させる
技術2~4、13~16のいずれか1つに記載の表示装置。
【0190】
<技術18>
前記経路には、前記車両の進路変更地点を示す案内ノードが含まれ、
前記制御部は、前記車両の走行に関する条件が満たされないと判定した後に、前記車両の走行に関する条件が満たされたと判定した場合、前記表示物を変化させる速度を、前記案内ノードに接近する前記車両の速度に応じて変化させる
技術2~4、13~17のいずれか1つに記載の表示装置。
【0191】
<技術19>
車両が走行する予定の経路に応じた案内画像を示す表示物の表示態様を決定することと、
決定された前記表示態様の前記表示物を示す光を、前記車両に設けられた表示媒体に投射することによって、前記表示媒体によって前記光を前記車両内のユーザ側に向けて反射させ、前記表示媒体越しに表示される前記表示物を虚像として前記ユーザに視認させることと、
前記車両の走行に関する条件が満たされた場合、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合よりも大きい俯角から前記虚像を見た場合の形状となるように、前記表示物の前記表示態様を決定することとを含む
表示方法。
【0192】
<技術20>
技術19に記載の表示方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【符号の説明】
【0193】
1 表示装置
12 制御部
13 描画部(表示部)
14 投射部(表示部)