(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159295
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】吐出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D51/22 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075188
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】落合 皐汰朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB06
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB03
3E084CC03
3E084EC03
3E084FA01
3E084FD01
3E084GA06
3E084GB06
3E084KB01
3E084LA18
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】内容物の固化による弁体の固着を抑制できる吐出キャップを提供する。
【解決手段】吐出キャップ1は、上側に位置する上側天壁4と、上側天壁4よりも下側に位置する下側天壁5と、弁体6とを有し、上側天壁4は吐出口7を有し、下側天壁5は、内周面に環状のシール部8を有するシール筒5bを有し、弁体6は、外周壁部6aを有し、外周壁部6aでシール部8に接するシール位置に移動することで、内容物が吐出口7に向けてシール部8から流出することを阻止できる一方、シール位置から移動することで、内容物が吐出口7に向けてシール部8から流出することを許容でき、下側天壁5は、初期状態においてシール位置にある弁体6の外周壁部6aの内周面に嵌合する嵌合周壁5dと、初期状態から弁体6が移動してからシール位置に戻るまでに嵌合周壁5dがシール筒5bに対して下側に移動するように嵌合周壁5dをシール筒5bに連ねる可動連結部5cとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の内容物を収容する容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、
正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、
前記上側天壁よりも前記正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、
弁体とを有し、
前記上側天壁は吐出口を有し、
前記下側天壁は、内周面に環状のシール部を有するシール筒を有し、
前記弁体は、外周壁部を有し、前記外周壁部で前記シール部に接するシール位置に移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを阻止できる一方、前記シール位置から移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを許容でき、
前記下側天壁は、初期状態において前記シール位置にある前記弁体の前記外周壁部の内周面に嵌合する嵌合周壁と、前記初期状態から前記弁体が移動してから前記シール位置に戻るまでに前記嵌合周壁が前記シール筒に対して前記正立姿勢状態での下側に移動するように前記嵌合周壁を前記シール筒に連ねる可動連結部とを有する、吐出キャップ。
【請求項2】
前記シール部と前記弁体の前記外周壁部との少なくとも一方は、前記吐出口から吐出されずに残った前記内容物を前記弁体が前記シール位置に戻った後に前記容器本体内に向けて通過させる溝部を有する、請求項1に記載の吐出キャップ。
【請求項3】
前記吐出口を覆う閉位置と前記吐出口を開放する開位置との間で移動できる蓋体を有し、
前記蓋体は、前記閉位置において前記吐出口に挿入されて前記吐出口を塞ぐ閉塞ロッドを有し、
前記閉塞ロッドは、前記蓋体が前記閉位置にある前記初期状態において前記弁体に嵌合する前記嵌合部を有し、
前記初期状態から前記蓋体が前記開位置に移動する時に、前記弁体の前記外周壁部の前記内周面と前記嵌合周壁との嵌合が解消した後に、前記嵌合部と前記弁体との嵌合が解消される、請求項1に記載の吐出キャップ。
【請求項4】
前記弁体は、前記外周壁部に連なる頂壁と、前記頂壁から前記正立姿勢状態での下側に伸びる足部とを有し、
前記初期状態において、前記嵌合周壁の前記内周面に対向する前記足部の外周面は前記嵌合周壁の内周面に嵌合する、請求項1に記載の吐出キャップ。
【請求項5】
前記足部の前記外周面における前記正立姿勢状態での下端部は、前記初期状態からの前記弁体の移動によって前記嵌合周壁の前記正立姿勢状態での上面に乗り上げる嵌合凸部を有し、あるいは、
前記嵌合周壁の前記内周面における前記正立姿勢状態での上端部は、前記初期状態からの前記弁体の移動によって前記足部の前記正立姿勢状態での下面に乗り上げられる嵌合凸部を有する、請求項4に記載の吐出キャップ。
【請求項6】
前記足部は、前記吐出口から吐出されずに残った前記内容物を前記弁体が前記シール位置に戻った後に前記容器本体内に向けて通過させる切り欠き部を有する、請求項4に記載の吐出キャップ。
【請求項7】
前記上側天壁と前記下側天壁との間に取り付けられる弁支持部と、
前記弁体を前記正立姿勢状態での下側に向けて前記シール位置まで付勢する付勢部とを有し、
前記付勢部は、前記弁支持部と前記弁体とを連ねる弾性体によって形成される、請求項1に記載の吐出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
液状の内容物を収容する容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の内側に取り付けられる内側部材と、弁体とを有し、キャップ本体は吐出口を有し、内側部材は環状のシール部を有し、弁体は、シール部に接するシール位置に移動することで、容器本体内の内容物が吐出口に向けてシール部から流出することを阻止できる一方、シール位置から移動することで、容器本体内の内容物が吐出口に向けてシール部から流出することを許容できる、吐出キャップが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成を有する従来の吐出キャップは、乾性油(亜麻仁油など)などのように酸化や加熱などによって粘度を増し、固化する性質の液体を内容物とする場合などにおいて、流通時に振動や衝撃などによって弁体がシール位置から移動した時に容器本体内からシール部を通過した内容物がシール部の外周部で弁体に付着し、その後に固化し、弁体が固着してしまい、使用時に内容物を吐出できない吐出不良を生じる虞がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、内容物の固化による弁体の固着を抑制できる吐出キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
液状の内容物を収容する容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、
正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、
前記上側天壁よりも前記正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、
弁体とを有し、
前記上側天壁は吐出口を有し、
前記下側天壁は、内周面に環状のシール部を有するシール筒を有し、
前記弁体は、外周壁部を有し、前記外周壁部で前記シール部に接するシール位置に移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを阻止できる一方、前記シール位置から移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを許容でき、
前記下側天壁は、初期状態において前記シール位置にある前記弁体の前記外周壁部の内周面に嵌合する嵌合周壁と、前記初期状態から前記弁体が移動してから前記シール位置に戻るまでに前記嵌合周壁が前記シール筒に対して前記正立姿勢状態での下側に移動するように前記嵌合周壁を前記シール筒に連ねる可動連結部とを有する、吐出キャップ。
【0008】
[2]
前記シール部と前記弁体の前記外周壁部との少なくとも一方は、前記吐出口から吐出されずに残った前記内容物を前記弁体が前記シール位置に戻った後に前記容器本体内に向けて通過させる溝部を有する、[1]に記載の吐出キャップ。
【0009】
[3]
前記吐出口を覆う閉位置と前記吐出口を開放する開位置との間で移動できる蓋体を有し、
前記蓋体は、前記閉位置において前記吐出口に挿入されて前記吐出口を塞ぐ閉塞ロッドを有し、
前記閉塞ロッドは、前記蓋体が前記閉位置にある前記初期状態において前記弁体に嵌合する前記嵌合部を有し、
前記初期状態から前記蓋体が前記開位置に移動する時に、前記弁体の前記外周壁部の前記内周面と前記嵌合周壁との嵌合が解消した後に、前記嵌合部と前記弁体との嵌合が解消される、[1]又は[2]に記載の吐出キャップ。
【0010】
[4]
前記弁体は、前記外周壁部に連なる頂壁と、前記頂壁から前記正立姿勢状態での下側に伸びる足部とを有し、
前記初期状態において、前記嵌合周壁の前記内周面に対向する前記足部の外周面は前記嵌合周壁の内周面に嵌合する、[1]~[3]の何れか1項に記載の吐出キャップ。
【0011】
[5]
前記足部の前記外周面における前記正立姿勢状態での下端部は、前記初期状態からの前記弁体の移動によって前記嵌合周壁の前記正立姿勢状態での上面に乗り上げる嵌合凸部を有し、あるいは、
前記嵌合周壁の前記内周面における前記正立姿勢状態での上端部は、前記初期状態からの前記弁体の移動によって前記足部の前記正立姿勢状態での下面に乗り上げられる嵌合凸部を有する、[4]に記載の吐出キャップ。
【0012】
[6]
前記足部は、前記吐出口から吐出されずに残った前記内容物を前記弁体が前記シール位置に戻った後に前記容器本体内に向けて通過させる切り欠き部を有する、[4]又は[5]に記載の吐出キャップ。
【0013】
[7]
前記上側天壁と前記下側天壁との間に取り付けられる弁支持部と、
前記弁体を前記正立姿勢状態での下側に向けて前記シール位置まで付勢する付勢部とを有し、
前記付勢部は、前記弁支持部と前記弁体とを連ねる弾性体によって形成される、[1]~[6]の何れか1項に記載の吐出キャップ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内容物の固化による弁体の固着を抑制できる吐出キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の吐出キャップを有する吐出容器の一例を初期状態で示す断面図である。
【
図3】初期状態から蓋体が開位置に移動する時の状態を示す断面図である。
【
図4】蓋体が閉位置に移動した時の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0017】
図1~
図4に示すように、本発明の一実施形態において吐出キャップ1は、液状の内容物(不図示)を収容する容器本体2の口部2aに装着される吐出キャップ1であって、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁4と、上側天壁4よりも正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁5と、弁体6とを有し、上側天壁4は吐出口7を有し、下側天壁5は、内周面に環状のシール部8を有するシール筒5bを有し、弁体6は、外周壁部6aを有し、外周壁部6aでシール部8に接するシール位置に移動することで、容器本体2内の内容物が吐出口7に向けてシール部8から流出することを阻止できる一方、シール位置から移動することで、容器本体2内の内容物が吐出口7に向けてシール部8から流出することを許容でき、下側天壁5は、初期状態(
図1~
図2参照)においてシール位置にある弁体6の外周壁部6aの内周面に嵌合する嵌合周壁5dと、初期状態から弁体6が移動(
図3参照)してからシール位置に戻る(
図4参照)までに嵌合周壁5dがシール筒5bに対して正立姿勢状態での下側に移動するように嵌合周壁5dをシール筒5bに連ねる可動連結部5cとを有する。
【0018】
上記構成によれば、使用開始前の状態である
図1~
図2に示す初期状態において、内容物が容器本体2内からシール部8に向かうことを、シール部8に接する弁体6の外周壁部6aの内周面に嵌合する嵌合周壁5dによって妨げることができる。したがって、流通時などにおいて振動や衝撃などによって弁体6がシール位置から移動した場合であっても、内容物が容器本体2内からシール部8を通過してシール部8の外周部で弁体6に付着することを抑制できる。その結果、酸化や加熱などによって粘度を増し、固化する性質の液体を内容物とする場合などにおいて、シール部8の外周部で弁体6に付着した内容物の固化による弁体6の固着が生じてしまうことを抑制できる。
【0019】
また、初期状態から
図3に示すように弁体6を移動させることにより、弁体6の外周壁部6aの内周面に対する嵌合周壁5dの嵌合を解消させ、シール筒5bに対して嵌合周壁5dを正立姿勢状態での下側に可動連結部5cを介して移動させ、
図4に示すように弁体6をシール位置に戻すことができる。そしてその後は、使用時に適宜弁体6を動作させて内容物を吐出させることができる。
【0020】
したがって上記構成によれば、内容物の固化による弁体6の固着を抑制できる吐出キャップ1を実現できる。
【0021】
シール部8と弁体6の外周壁部6aとの少なくとも一方は、吐出口7から吐出されずに残った内容物を弁体6がシール位置に戻った後に容器本体2内に向けて通過させる溝部9を有する。上記構成によれば、吐出口7から吐出されずに残った内容物を溝部9を通して容器本体2内に向けて引き込む(「サックバック」ともいう)ことができるので、吐出口7から内容物が零れることを抑制できる。また、吐出口7から吐出されずに残った内容物を容器本体2内に向けて引き込んだ後、溝部9内に残った内容物で溝部9をシールできる。また上記構成によれば、吐出口7から吐出されずに残った内容物が、後述する閉塞ロッド10aが吐出口7に挿入される際に閉塞ロッド10aによって吐出口7から押し出されて零れることも抑制できる。溝部9は本実施形態ではシール部8に設けられるが、これに限らず、シール部8に代えてあるいは加えて、弁体6の外周壁部6aに設けてもよい。また溝部9は本実施形態では周方向に間隔を空けて設けられる複数の溝からなるが、これに限らず、単数の溝からなる構成としてもよい。
【0022】
吐出キャップ1は、吐出口7を覆う閉位置と吐出口7を開放する開位置との間で移動できる蓋体10を有し、蓋体10は、閉位置において吐出口7に挿入されて吐出口7を塞ぐ閉塞ロッド10aを有し、閉塞ロッド10aは、蓋体10が閉位置にある初期状態において弁体6に嵌合する嵌合部10a1を有し、初期状態から蓋体10が開位置に移動する時に、弁体6の外周壁部6aの内周面と嵌合周壁5dとの嵌合が解消した後に、嵌合部10a1と弁体6との嵌合が解消される。上記構成によれば、初期状態から蓋体10を開位置に移動させる簡単な操作によって、弁体6の外周壁部6aの内周面に対する嵌合周壁5dの嵌合を解消させることができる。また上記構成によれば、蓋体10を閉位置から開位置へ移動させる時にシール部8から離れる方向の力を嵌合部10a1によって弁体6に与えることができるので、弁体6の固着がある程度生じたとしても、吐出不良が生じてしまうことを抑制できる。
【0023】
上側天壁4は、初期状態から蓋体10が開位置に移動する時に、弁体6の外周壁部6aの内周面と嵌合周壁5dとの嵌合が解消した後に、嵌合部10a1と弁体6との嵌合が解消されるように弁体6が突き当たる突き当て部4aを有する。上記構成によれば、突き当て部4aにより、嵌合周壁5dの嵌合の簡単で安定した解消を実現できる。
【0024】
突き当て部4aは、吐出口7の外周部から正立姿勢状態での下側に突き出る凸状をなし、弁体6がシール位置から正立姿勢状態での上側に移動した時に径方向の弁体6の移動を規制するように弁体6に接触できる。上記構成によれば、簡単な構造によって弁体6の動作の安定性を向上できる。突き当て部4aは本実施形態では、弁体6に接触した状態で内容物を通すことができる周方向の間欠部を有するが、これに限らない。例えば、突き当て部4aに弁体6が接触した状態で内容物を通すことができる周方向の間欠部を弁体6に設ける構成としてもよい。
【0025】
弁体6は、外周壁部6aに連なる頂壁6bと、頂壁6bから正立姿勢状態での下側に伸びる足部6cとを有し、初期状態において、嵌合周壁5dの内周面に対向する足部6cの外周面は嵌合周壁5dの内周面に嵌合する。上記構成によれば、初期状態において嵌合周壁5dの嵌合状態を足部6cによって良好に保持できる。
【0026】
足部6cの外周面における正立姿勢状態での下端部は、初期状態からの弁体6の移動によって嵌合周壁5dの正立姿勢状態での上面に乗り上げる嵌合凸部6c1を有する。上記構成によれば、初期状態からの弁体6の移動後に、嵌合凸部6c1が嵌合周壁5dに乗り上げることにより、嵌合周壁5dが下側に移動した状態を良好に維持できる。なお本実施形態では嵌合周壁5dは、初期状態からの弁体6の移動に伴って弁体6の外周壁部6aへの嵌合が解消することで、弾性変形からの復元力による可動連結部5cの反転によって下側に移動する構成となっているが、これに限らず、嵌合凸部6c1によって押し下げられて可動連結部5cの反転によって下側に移動し、移動後の位置が維持される構成としてもよい。
【0027】
足部6cの外周面の下端部に嵌合凸部6c1を設ける構成に代えてあるいは加えて、図示はしないが、嵌合周壁5dの内周面における正立姿勢状態での上端部は、初期状態からの弁体6の移動によって足部6cの正立姿勢状態での下面に乗り上げられる嵌合凸部を有する構成としてもよい。このような構成によっても同様の効果を得ることができる。
【0028】
足部6cは、吐出口7から吐出されずに残った内容物を弁体6がシール位置に戻った後に容器本体2内に向けて通過させる切り欠き部6c2を有する。上記構成によれば、足部6cの切り欠き部6c2を通した良好なサックバック(
図4中の実線白抜き矢印参照)を実現できる。
【0029】
足部6cに切り欠き部6c2を設ける構成に代えてあるいは加えて、
図4に二点鎖線で示すように、嵌合周壁5dは、吐出口7から吐出されずに残った内容物を弁体6がシール位置に戻った後に容器本体2内に向けて通過させる切り欠き部5d1を有する構成としてもよい。上記構成によれば、嵌合周壁5dの切り欠き部5d1を通した良好なサックバック(
図4中の二点鎖線白抜き矢印参照)を実現できる。
【0030】
吐出キャップ1は、上側天壁4と下側天壁5との間に取り付けられる弁支持部11と、弁体6を正立姿勢状態での下側に向けてシール位置まで付勢する付勢部12とを有し、付勢部12は、弁支持部11と弁体6とを連ねる弾性体によって形成される。上記構成によれば、簡単な構造によって付勢部12によるシール部8の良好なシールを実現できる。なお付勢部12は、本実施形態では、それぞれ弁支持部11と弁体6とを連ねる弾性体によって形成される複数の弾性部12aを有するが、これに限らない。弾性部12aは、本実施形態では、弁体6の外周面から径方向外側に伸びる一端部12a1と、弁支持部11から径方向内側に伸びる他端部12a2と、周方向に伸び、上記一端部12a1を上記他端部12a2に連ねる中間部12a3とを有するが、これに限らない。本実施形態では、弁支持部11における正立姿勢状態での上端部は上側天壁4に嵌合によって取り付けられ、弁支持部11における正立姿勢状態での下端部は下側天壁5に嵌合によって取り付けられるが、これに限らない。
【0031】
付勢部12は、弁体6の外周壁部6aにおける上端部に連なり、シール位置において弁体6の外周壁部6aにおける正立姿勢状態での下端部がシール部8に接する。上記構成によれば、シール部8と付勢部12との距離を大きくできるので、弁体6の固着をより一層抑制できる。また上記構成によれば、サックバック時に内容物が付勢部12を通って流れ易くなるため、サックバック機能を向上できる。
【0032】
下側天壁5は、弁支持部11よりも径方向内側において径方向内側に向けて正立姿勢状態での上側に傾斜して伸びる傾斜壁5aと、傾斜壁5aにおける正立姿勢状態での上端部から径方向内側に向けて正立姿勢状態での下側に伸びるシール筒5bと、シール筒5bから径方向内側に伸びる可動連結部5cと、可動連結部5cの内周縁部に連なる嵌合周壁5dとを有し、嵌合周壁5dの内周面によって液体通過口5e(
図4参照)が形成される。上記構成によれば、簡単な構造によって良好なシール部8、可動連結部5c及び嵌合周壁5dを形成できる。
【0033】
吐出キャップ1は、吐出口7を覆う閉位置と吐出口7を開放する開位置との間で移動できる蓋体10を有し、蓋体10は、閉位置において吐出口7に挿入されて吐出口7を塞ぐ閉塞ロッド10aを有し、閉塞ロッド10aは、蓋体10が閉位置にある時にシール位置からの弁体6の移動を抑制するように弁体6に接触する先端部10a2を有する。上記構成によれば、閉位置にある蓋体10によって閉塞ロッド10aを介して弁体6をシール位置に良好に保持できる。
【0034】
閉塞ロッド10aの嵌合部10a1は、閉塞ロッド10aの筒状をなす先端部10a2の内周面によって形成され、弁体6は、頂壁6bにおける正立姿勢状態での上面から突き出る凸状をなす被嵌合部6dを有し、嵌合部10a1は、初期状態から蓋体10が開位置に移動する時に、弁体6の外周壁部6aの内周面と嵌合周壁5dとの嵌合が解消した後に、被嵌合部6dへの嵌合が解消される。上記構成によれば、簡単な構造によって嵌合部10a1を実現できる。
【0035】
閉塞ロッド10aは、蓋体10が閉位置にある時にシール部8の中心軸線O上に位置する。上記構成によれば、閉塞ロッド10aによって弁体6をシール位置に容易に保持できる。
【0036】
吐出容器3は、吐出キャップ1と容器本体2とを有し、容器本体2は、口部2a、胴部2b及び底部をこの順に有し、内層体13と外層体14とによって形成され、且つ、導入口15を有し、導入口15は、内容物の吐出に伴う内層体13の容積を減少させる変形と外層体14の弾性変形からの復元とによって、内層体13と外層体14との間に空気を導入する。上記構成によれば、内容物の吐出後に空気を内層体13と外層体14との間に導入し、シール部8でシールを形成できるので、容器本体2内の内容物への空気の接触を抑制し、内容物の品質を良好に維持できる。
【0037】
口部2aは導入口15を有し、上側天壁4は通気口16を有し、吐出容器3は、空気を通気口16から導入口15まで通過させる導入路17を有し、吐出キャップ1は、筒状の弁支持部11から全周に亘って径方向外側に伸びる環状をなす通気弁体18を有し、通気弁体18は、空気が通気口16を通って導入口15に流入することを許容する一方、空気が導入口15を通って通気口16から流出することを阻止する。上記構成によれば、容器本体2をスクイズ操作する時に導入口15からの空気の漏れを通気弁体18によって抑制することで内容物を容易に吐出でき、スクイズ操作の解除により空気を導入路17から導入口15に導入して外層体14を復元変形させることができる。
【0038】
吐出キャップ1は、上側天壁4を有し且つ口部2aに装着されるキャップ本体19と、下側天壁5を有し且つキャップ本体19の内側に取り付けられる内側部材20とを有する。上記構成によれば、簡単な構造で吐出キャップ1を実現できる。なお蓋体10は本実施形態では、ヒンジ部21を介してキャップ本体19に連なるが、これに限らない。
【0039】
キャップ本体19は、口部2aの外周面にねじ部を介して嵌合するキャップ周壁22と、キャップ周壁22から径方向内側に伸びる上側天壁4と、上側天壁4から正立姿勢状態での上側に突き出る筒状をなし、内側に吐出口7を形成する吐出ノズル23とを有する。上記構成によれば、簡単な構造によって吐出キャップ1を実現できる。なおキャップ周壁22は口部2aの外周面にねじ部以外の嵌合構造(例えば口部2aに対して正立姿勢状態での下側に押し付ける操作によって嵌合できる構造)を介して嵌合する構成としてもよい。
【0040】
弁支持部11、付勢部12、弁体6及び通気弁体18は、ゴム、エラストマー又は合成樹脂などの弾性変形できる材料による一体成形物であり、キャップ本体19、ヒンジ部21及び蓋体10は、合成樹脂材料による一体成形物である。内側部材20は合成樹脂材料による一体成形物である。上記構成によれば、部品点数を抑制できる。なお図中の弁体6における外周壁部6aの下端部に示す二点鎖線は、弾性変形前の形状を示す。
【0041】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。前述した実施形態では、弁支持部11を介して弁体6と通気弁体18とを一体成形しているが、別体に形成してもよい。また、導入口15を口部2aの代わりに、容器本体2の胴部2bや図示しない底部に設け、通気口16、通気弁体18及び導入路17を設けない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 吐出キャップ
2 容器本体
2a 口部
2b 胴部
3 吐出容器
4 上側天壁
4a 突き当て部
5 下側天壁
5a 傾斜壁
5b シール筒
5c 可動連結部
5d 嵌合周壁
5d1 切り欠き部
5e 液体通過口
6 弁体
6a 外周壁部
6b 頂壁
6c 足部
6c1 嵌合凸部
6c2 切り欠き部
6d 被嵌合部
7 吐出口
8 シール部
9 溝部
10 蓋体
10a 閉塞ロッド
10a1 嵌合部
10a2 先端部
11 弁支持部
12 付勢部
12a 弾性部
12a1 一端部
12a2 他端部
12a3 中間部
13 内層体
14 外層体
15 導入口
16 通気口
17 導入路
18 通気弁体
19 キャップ本体
20 内側部材
21 ヒンジ部
22 キャップ周壁
23 吐出ノズル
O 中心軸線