(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159297
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】配線回路基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075192
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼山 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】恒川 誠
(72)【発明者】
【氏名】東口 拓矢
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC08
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5E316EE33
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5E316FF07
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5E316FF09
5E316FF10
5E316FF14
5E316GG17
5E316GG18
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】製造工程数の増加を抑制しつつ複数のビア上に形成される端子部の高さ位置を均一化することを可能にする配線回路基板を提供する。
【解決手段】再配線基板100は、支持層10上に複数の絶縁層(50,60,70,80)が積層された構成を有する。複数の絶縁層のうち最上部の第1の絶縁層50に複数の貫通孔THeが形成されている。各貫通孔THeを埋めるように第3の導体層3が形成されている。第3の導体層3の上端部に位置する端子形成部3T上に端子部T1が形成されている。複数の貫通孔THeは、第1の貫通孔TH1および第2の貫通孔TH2を含む。第1の貫通孔TH1の内周面と第1の絶縁層50の一面との間のテーパ角α1と、第2の貫通孔TH2の内周面と第1の絶縁層50の一面との間のテーパ角α2とは互いに異なる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向において互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有するとともに、前記第1の面から前記第2の面にそれぞれ貫通する第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の前記第1の貫通孔の内部に設けられた第1のビア部と、
前記第1の絶縁層の前記第2の貫通孔の内部に設けられた第2のビア部とを備え、
前記第1の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第1の角度と、前記第2の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第2の角度とは互いに異なる、配線回路基板。
【請求項2】
一の面上に形成される第1の配線層および第2の配線層をさらに備え、
前記第1の絶縁層は、前記第2の面が前記一の面に接するとともに前記第1の配線層および前記第2の配線層を覆うように形成され、
前記第1の貫通孔は、前記第1の絶縁層の前記第2の面側で前記第1の配線層により閉塞される第1の底部開口を有し、
前記第2の貫通孔は、前記第1の絶縁層の前記第2の面側で前記第2の配線層により閉塞される第2の底部開口を有し、
前記第1のビア部は、前記第1の貫通孔内で前記第1の配線層上に形成され、
前記第2のビア部は、前記第2の貫通孔内で前記第2の配線層上に形成され、
前記第1の底部開口の大きさと前記第2の底部開口の大きさとは互いに異なる、請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記厚み方向において互いに逆方向を向く第3の面および第4の面を有するとともに、前記第3の面が前記第2の面に接するように前記第1の絶縁層の前記第2の面上に設けられる第2の絶縁層をさらに備える、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記第2の絶縁層の前記第4の面上に直接的または間接的に設けられ、前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層よりも高い剛性を有する支持層をさらに備える、請求項3記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記第1の絶縁層は、感光性材料からなる、請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項6】
厚み方向において互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有するとともに、前記第1の面から前記第2の面にそれぞれ貫通する第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層の前記第1の貫通孔の内部にめっきにより第1のビア部を形成するとともに、前記第1の絶縁層の前記第2の貫通孔の内部にめっきにより第2のビア部を形成する工程とを含み、
前記第1の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第1の角度と、前記第2の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第2の角度とは互いに異なる、配線回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の絶縁層を形成する工程は、
所定の面上に感光性材料の前駆体からなる仮絶縁層を形成する工程と、
前記所定の面に対向する位置から前記仮絶縁層に、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に対応するパターンを有するマスクを介して露光光を照射することにより前記仮絶縁層を露光する工程と、
露光後の前記仮絶縁層を現像する工程とを含む、請求項6記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記露光光は、
前記第1の貫通孔に対応する第1の露光光と、
前記第2の貫通孔に対応する第2の露光光とを含み、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に光源部から前記マスクを通して前記第1の露光光を照射することと、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に前記光源部から前記マスクを通して前記第2の露光光を照射することとを含み、
前記マスクから前記光源部を見た前記第1の露光光の光源部の寸法を角度で表す第1のコリメーション半角と、前記マスクから前記光源部を見た前記第2の露光光の光源部の寸法を角度で表す第2のコリメーション半角とは互いに異なる、請求項7記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に対して、第1の距離をおいて前記マスクを配置し、前記露光光を照射することと、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に対して、前記第1の距離とは異なる第2の距離をおいて前記マスクを配置し、前記露光光を照射することとを含む、請求項7記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記露光光は、
予め定められた複数の波長領域のうち一の波長領域の光からなる第3の露光光と、
前記複数の波長領域のうち2以上の波長領域の光からなる第4の露光光とを含み、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に前記第3の露光光を照射し、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に前記第4の露光光を照射することを含む、請求項7記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記マスクは、
グレイトーンマスク、ハーフトーンマスクおよび位相シフトマスクのうち一のマスクの構造を有し、前記第1の貫通孔に対応する第1のマスク部と、
前記グレイトーンマスク、前記ハーフトーンマスクおよび前記位相シフトマスクのうち他のマスクの構造を有し、前記第2の貫通孔に対応する第2のマスク部とを含み、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に光源部から前記マスクの前記第1のマスク部を通して前記露光光を照射することと、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に前記光源部から前記マスクの前記第2のマスク部を通して前記露光光を照射することとを含む、請求項7記載の配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品間で電気信号の授受を行わせるために配線回路基板が用いられる。配線回路基板に半導体チップ等の電子部品を実装する場合、当該配線回路基板と電子部品との間の接続には、高い信頼性が求められる。
【0003】
半導体チップをフリップチップ実装可能な配線回路基板においては、その一面(半導体チップの実装面)上に、半導体チップの複数の端子にそれぞれ対応する複数の端子が設けられる。ここで、配線回路基板の厚み方向における各部分の位置を高さ位置と呼ぶ。
【0004】
複数の端子部の高さ位置に大きなばらつきがあると、半導体チップと配線回路基板との間の電気的な接続の信頼性を確保することができない。複数の端子部の高さ位置のばらつきは、特に複数のビア上にそれぞれ形成される複数の端子部間で発生しやすい。このような課題を考慮した配線回路基板が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の配線基板は、複数の絶縁層間に形成された複数の配線層を備える。複数の配線層のうちの一部の配線層は、配線基板の一面の近傍に位置する。その一部の配線層には、複数の端子部として複数の表面処理層が形成されている。各表面処理層の高さ位置は、当該表面処理層が形成される配線層の厚み方向の大きさに応じて定まる。そこで、上記の配線基板においては、複数の配線層の厚み方向の厚みを揃えるための工夫が施されている。
【0006】
まず、配線部は、3つの金属層(第1金属層、第2金属層および第3金属層)からなるパッド構造体により構成される。第1金属層、第2金属層および第3金属層は、この順で下方から上方に向かって並んでいる。パッド構造体の形成時には、最初に、一の絶縁層に形成されたビアホールの内壁および当該ビアホールの下端部で露出する他の配線層の表面上に、第1の金属層がシード層として形成される。続いて、第1の金属層上に第2の金属層が形成される。また、一の絶縁層の上面全体が一定の厚みを有する第2の金属層で覆われるように、第2の金属層が薄化される。その後、第2の金属層上に第3の金属層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の配線基板のように、半導体チップが接続されるパッド構造体を複数の金属層で構成し、その一部の金属層の厚みを薄化により正確に均一化することができれば、複数の端子部の高さ位置のばらつきを低減することができる。しかしながら、上記のような金属層の薄化は、エッチング、バフ研磨、または化学機械研磨等の処理を高い精度で行う必要があり、製造工程数の増加を招く。
【0009】
また、特許文献1に記載された配線基板の製造方法では、第2の金属層についての厚みの調整が行われているが、第3の金属層についての厚みの調整は行われていない。そのため、実際には、第3の金属層の形成時に、第3の金属層の厚さにばらつきが生じる可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、製造工程数の増加を抑制しつつ複数のビア上に形成される端子部の高さ位置を均一化することを可能にする配線回路基板およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に従う配線回路基板は、厚み方向において互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有するとともに、前記第1の面から前記第2の面にそれぞれ貫通する第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の前記第1の貫通孔の内部に設けられた第1のビア部と、前記第1の絶縁層の前記第2の貫通孔の内部に設けられた第2のビア部とを備え、前記第1の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第1の角度と、前記第2の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第2の角度とは互いに異なる。
【0012】
本発明の他の局面に従う配線回路基板の製造方法は、厚み方向において互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有するとともに、前記第1の面から前記第2の面にそれぞれ貫通する第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層の前記第1の貫通孔の内部にめっきにより第1のビア部を形成するとともに、前記第1の絶縁層の前記第2の貫通孔の内部にめっきにより第2のビア部を形成する工程とを含み、前記第1の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第1の角度と、前記第2の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第2の角度とは互いに異なる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造工程数の増加を抑制しつつ複数のビア上に形成される端子部の高さ位置を均一化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る再配線基板の縦断面図である。
【
図4】複数の第3の導体層の端子形成部の形状のばらつきを説明するための図である。
【
図5】貫通孔の形状と当該貫通孔に形成されるめっき層の成長の傾向を説明するための図である。
【
図6】貫通孔の形状と当該貫通孔に形成されるめっき層の成長の傾向を説明するための図である。
【
図7】再配線基板において互いに異なる寸法で形成された2つの貫通孔とそれらの内部に生成される2つの第3の導体層の形状とを示す縦断面図である。
【
図8】再配線基板の製造工程で用いられるロール・ツー・ロール装置の一例を示す模式的側面図である。
【
図9】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図10】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図11】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図12】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図13】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図14】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図15】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図16】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図17】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図18】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図19】
図1の再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図20】第1の絶縁層に形成される各貫通孔のテーパ角に影響を及ぼす仮絶縁層の露光条件を説明するための図である。
【
図21】第1の絶縁層に形成される各貫通孔のテーパ角に影響を及ぼす仮絶縁層の露光条件を説明するための図である。
【
図22】複数種類のマスクを含むマスクの一例を示す図である。
【
図23】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図24】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図25】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図26】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図27】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図28】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図29】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図30】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図31】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図32】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図33】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図34】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図35】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図36】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図37】他の実施の形態に係る再配線基板の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図38】参考形態に係る再配線基板の一構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係る配線回路基板および配線回路基板の製造方法について図面を参照しつつ説明する。配線回路基板の一例として、再配線基板を説明する。再配線基板は、例えば半導体素子等の電子部品とリジッドプリント配線回路基板(以下、リジッド基板と略記する。)等の他の配線回路基板との間に配置され、電子部品の微細パターンと他の配線回路基板の粗パターンとのピッチを変換する役割を担う。再配線基板は、インターポーザ基板とも呼ばれる。
【0016】
1.再配線基板の基本構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る再配線基板の縦断面図である。
図2は、
図1の再配線基板100の平面図である。
図3は、
図1の再配線基板100の底面図である。
図1は、
図2および
図3のA-A線断面を表す。
図1に示すように、再配線基板100は、その厚み方向DTにおいて互いに逆の方向を向く第1の面(本例では上面)101および第2の面(本例では下面)102を有する。
図1において、再配線基板100の厚み方向DTは、下から上に向く矢印で示される。以下の説明では、
図1の再配線基板100において、第1の面101が向く方向を適宜再配線基板100の上方と呼び、第2の面102が向く方向を適宜再配線基板100の下方と呼ぶ。
【0017】
再配線基板100は、その厚み方向DTにおいて半導体チップ200とリジッド基板300との間に配置される。第1の面101上には、複数の端子部T1が形成されている。半導体チップ200は、再配線基板100に実装された状態で再配線基板100に対向する対向面211を有する。また、半導体チップ200は、対向面211から一定長さ突出するように形成された複数の柱状接合部220を有する。柱状接合部220の先端部は、半導体チップ200の接続端子を構成し、予め対応付けられた再配線基板100の端子部T1に半田Sを介して接合される。
【0018】
半導体チップ200の対向面211と再配線基板100の第1の面101との間には、アンダーフィル290が充填される。アンダーフィル290は、例えばエポキシ樹脂により形成される。再配線基板100の第1の面101上には、半導体チップ200を覆う蓋部材(図示せず)が設けられてもよい。
図1および
図2では、半導体チップ200が一点鎖線で示される。
【0019】
再配線基板100の第2の面102上には、複数の端子部T2が形成されている。複数の端子部T2は、円形状を有する。端子部T2は、端子部T1よりも大きい。リジッド基板300は、当該リジッド基板300の複数の接続端子として複数の電極パッド301を有する。電極パッド301は、予め対応付けられた再配線基板100の端子部T2に半田Sを介して接合される。
図1~
図3では、リジッド基板300が二点鎖線で示される。
【0020】
なお、本実施の形態においては、再配線基板100の複数の端子部T2に半田ボールが設けられる。これにより、再配線基板100の第2の面102上には、例えばBGA(ボールグリッドアレイ)が形成される。
【0021】
再配線基板100は、主として一の支持層10、複数の絶縁層および複数の導体層から構成される。支持層10は、複数の絶縁層よりも高い剛性を有する。また、支持層10は、厚み方向DTにおいて再配線基板100の略中央部に位置し、厚み方向DTにおいて互いに逆方向を向く第3の面s1および第4の面s2を有する。第3の面s1は第1の面101に対向し、第4の面s2は第2の面102に対向する。
【0022】
本実施の形態に係る支持層10は、具体的には、金属支持体110および絶縁被覆層120を含む。金属支持体110は、互いに逆方向を向く第5の面110aおよび第6の面110bを有する。金属支持体110の複数の部分には円形の貫通孔が形成されている。
【0023】
金属支持体110は、例えばステンレス鋼で形成される。なお、金属支持体110は、ステンレス鋼に代えて、銅、銅合金、アルミニウム、チタン、または、鉄およびニッケルを含む合金のいずれかにより形成されてもよい。鉄およびニッケルを含む合金としては、インバー、42アロイ、45パーマロイおよびコパール等が挙げられる。金属支持体110の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0024】
絶縁被覆層120は、金属支持体110の第5の面110aおよび第6の面110bを覆うとともに、金属支持体110の複数の貫通孔の内周面を覆うように形成されている。支持層10の複数の部分においては、金属支持体110の複数の貫通孔を厚み方向DTに通過するように、複数の円形の貫通孔が形成されている。
【0025】
絶縁被覆層120は、例えば感光性ポリイミドにより形成され、3μm以上20μm以下の厚みを有する。なお、絶縁被覆層120は、感光性ポリイミドに代えて、他の感光性材料で形成されてもよい。このような他の感光性材料としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂等の感光性樹脂が挙げられる。
【0026】
絶縁被覆層120の材料として、感光性材料以外の材料が用いられてもよい。例えば、絶縁被覆層120の材料としては、無機絶縁材料または有機絶縁材料を用いることもできる。具体的には、絶縁被覆層120の材料としては、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウム等を用いることもできる。
【0027】
図1の再配線基板100は、5つの絶縁層を含む。5つの絶縁層のうち3つの絶縁層は、支持層10の第3の面s1上に積層形成されている。4つの絶縁層のうち残りの2つの絶縁層は、支持層10の第4の面s2上に積層形成されている。以下の説明では、
図1の再配線基板100を構成する5つの絶縁層を区別する場合に、5つの絶縁層をそれぞれカバー絶縁層40、第1の絶縁層50、第2の絶縁層60、第3の絶縁層70および第4の絶縁層80と呼ぶ。第2の絶縁層60、第1の絶縁層50およびカバー絶縁層40は、この順で支持層10の第3の面s1から上方に向かって積層形成されている。第3の絶縁層70および第4の絶縁層80は、この順で支持層10の第4の面s2から下方に向かって積層形成されている。
【0028】
5つの絶縁層(40,50,60,70,80)の各々は、感光性材料で形成される。5つの絶縁層(40,50,60,70,80)に用いられる感光性材料としては、例えば感光性ポリイミドが用いられる。なお、絶縁層(40,50,60,70,80)は、感光性ポリイミドに代えて、他の感光性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂等の他の感光性樹脂)により形成されてもよい。絶縁層(40,50,60,70,80)の各々の厚みは、3μm以上20μm以下である。
【0029】
複数の導体層は、複数の第1の導体層1、複数の第2の導体層2、複数の第3の導体層3および複数の第4の導体層4を含む。
図1の例において、複数の第1の導体層1は、支持層10の複数の貫通孔にそれぞれ対応するように形成されている。各第1の導体層1は、対応する支持層10の貫通孔を通って厚み方向DTに延びる部分(ビア部)と、第3の面s1および第4の面s2上にそれぞれ所定パターンで形成される部分(配線部)とを含む。
【0030】
第2の絶縁層60は、複数の第1の導体層1のうち支持層10の第3の面s1上に位置する部分を覆うように、支持層10の第3の面s1上に形成されている。第2の絶縁層60には、厚み方向DTに延びる複数(本例では3つ)の円形の貫通孔がビアホールとして形成されている。各貫通孔の一端部(
図1の例では下端部)は、複数の第1の導体層1上に位置する。
【0031】
第2の絶縁層60に対応するように、複数(本例では5つ)の第2の導体層2が形成されている。複数の第2の導体層2のうち一部は、配線部として第2の絶縁層60上に所定パターンで形成されている。一方、複数の第2の導体層2のうち残りは、第2の絶縁層60の貫通孔を通って厚み方向DTに延びる部分(ビア部)と、第2の絶縁層60上に所定パターンで形成される部分(配線部)とを含む。
【0032】
第1の絶縁層50は、複数の第2の導体層2を覆うように、第2の絶縁層60上に形成されている。第1の絶縁層50には、厚み方向DTに延びる複数(本例では3つ)の円形の貫通孔がビアホールとして形成されている。各貫通孔の一端部(
図1の例では下端部)は、複数の第2の導体層2上に位置する。
【0033】
第1の絶縁層50の複数の貫通孔を埋めるように、複数の第3の導体層3がビアとして形成されている。複数の第3の導体層3の一部(
図1の例では上端部)に複数の端子部T1が形成されている。各端子部T1は、第3の導体層3の当該一部で構成されてもよいし、第3の導体層3の当該一部に表面処理を施すことにより形成されてもよい。例えば、各端子部T1は、第3の導体層3の一部に、金等の耐食性に優れた金属のめっき層を成長させることにより形成されてもよい。
【0034】
カバー絶縁層40は、複数の端子部T1を上方に露出させつつ複数の第3の導体層3の一部を覆うように第1の絶縁層50上に形成され、第1の絶縁層50上に形成された第3の導体層3を保護する。カバー絶縁層40の一面(上面)は、再配線基板100の外部に露出している。このカバー絶縁層40の一面は、再配線基板100の第1の面101を構成する。
【0035】
第3の絶縁層70は、複数の第1の導体層1のうち支持層10の第4の面s2上に位置する部分を覆うように、支持層10の第4の面s2上に形成されている。第3の絶縁層70には、厚み方向DTに延びる複数(本例では2つ)の円形の貫通孔がビアホールとして形成されている。各貫通孔の一端部(
図1の例では上端部)は、複数の第1の導体層1上に位置する。
【0036】
第3の絶縁層70の複数の貫通孔を埋めるように、複数の第4の導体層4がビアとして形成されている。複数の第4の導体層4の一部(
図1の例では下端部)に複数の端子部T2が形成されている。各端子部T2は、第4の導体層4の当該一部で構成されてもよいし、第4の導体層4の当該一部に表面処理を施すことにより形成されてもよい。例えば、各端子部T2は、第4の導体層4の一部に、金等の耐食性に優れた金属のめっき層を成長させることにより形成されてもよい。
【0037】
第4の絶縁層80は、複数の端子部T2を下方に露出させつつ複数の第4の導体層4の一部を覆うように第3の絶縁層70上に形成され、第3の絶縁層70上に形成された第4の導体層4を保護するためのカバー絶縁層として機能する。第4の絶縁層80の一面(下面)は、再配線基板100の外部に露出している。この第4の絶縁層80の一面は、再配線基板100の第2の面102を構成する。
【0038】
上記の各導体層(1,2,3,4)は、シード層上に電解めっき法によりめっき層を成長させることにより形成される。導体層を形成するシード層は、例えばクロム薄膜および銅薄膜からなる。または、シード層は銅薄膜からなる。あるいは、シード層は、ニッケルおよびパラジウムのいずれかを含んでもよい。一方、めっき層は、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステンおよびルテニウム等のうち1種または複数種を含む金属または合金により形成される。本実施の形態においては、めっき層は銅である。
【0039】
上記の複数の第1の導体層1のうち、支持層10の第3の面s1および第4の面s2の各々に形成される部分(配線部)の厚みは、3μm以上10μm以下である。また、上記の複数の導体層(2,3,4)のうち、4つの絶縁層(50,60,70,80)のいずれかの面上に形成される部分(配線部)の厚みは、3μm以上10μm以下である。
【0040】
なお、本実施の形態では、再配線基板100の第1の面101に位置する複数の端子部T1の数と、再配線基板100の第2の面102に位置する複数の端子部T2の数とは一致するが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100の第1の面101に位置する複数の端子部T1の数と、再配線基板100の第2の面102に位置する複数の端子部T2の数とは一致しなくてもよい。
【0041】
2.半導体チップ200に接続される複数の端子部T1の高さ位置のばらつき
以下の説明では、再配線基板100の厚み方向DTにおける再配線基板100の各部分の位置を、適宜、当該部分の高さ位置と呼ぶ。
図1の再配線基板100においては、その第1の面101上に半導体チップ200が実装される。そのため、背景技術において説明したように、複数の端子部T1の高さ位置に大きなばらつきがあると、半導体チップ200と再配線基板100との間の電気的な接続の信頼性を確保することができない。
【0042】
複数の端子部T1の各々は、第3の導体層3のうち予め定められた表面部分(以下、端子形成部と呼ぶ。)に形成される。本実施の形態においては、第3の導体層3の上端面の中央部に端子形成部が設定されるものとする。この場合、複数の端子部T1の高さ位置のばらつきは、複数の第3の導体層3の端子形成部の形状のばらつき(高さ位置のばらつき)に起因して発生する。
【0043】
図4は、複数の第3の導体層3の端子形成部の形状のばらつきを説明するための図である。
図4の最上段に、
図1の再配線基板100に形成される可能性がある第3の導体層3の形状の一例が縦断面図で示される。その第3の導体層3は、第2の絶縁層60上に形成された第2の導体層2上で、第1の絶縁層50の貫通孔THeを埋めるように形成されている。また、
図4の最上段の例では、端子形成部3Tの高さ位置HPが第1の面101から距離d1分上方にあり、第3の導体層3の上端面は全体に渡って平坦である。
【0044】
ここで、上記のように、第3の導体層3は、電解めっき法により形成される。そのため、互いに離間した位置にある複数の第3の導体層3の間では、めっき槽におけるめっき液の各種成分の濃度分布のばらつき、あるいはめっき槽における電気力線の分布のばらつき等のめっきの処理条件のばらつきに起因した形状のばらつきが発生する。
【0045】
例えば、めっきの処理条件のばらつきにより、第1の絶縁層50の一の貫通孔THe内でめっき層の成長の度合いが局所的に低い場合を想定する。この場合、
図4の上から2段目の縦断面図に示すように、当該一の貫通孔THeに形成される第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPは、第1の絶縁層50の第1の面101よりも低くなる可能性がある。
【0046】
また、めっきの処理条件のばらつきにより、第1の絶縁層50の一の貫通孔THe内でめっき層の成長の度合いが局所的に高い場合を想定する。この場合、
図4の上から3段目の縦断面図に示すように、当該一の貫通孔THeに形成される第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPは、第1の絶縁層50の第1の面101に比べて著しく高くなる可能性がある。
図4の上から3段目の縦断面図の例では、端子形成部3Tの高さ位置HPが第1の面101から距離d2分上方にある。距離d2は、最上段の例で示される距離d1よりも大きい。
【0047】
複数の第3の導体層3の間の形状のばらつきは、めっきの処理条件の他に、複数の第3の導体層3のそれぞれの下部に形成されている複数の第2の導体層2の形状によっても発生する。例えば、
図4の最下段に示すように、一の第3の導体層3の下部に設けられている第2の導体層2がビアであった場合を想定する。この場合、当該一の第3の導体層3の形状は、ビアを構成しない第2の導体層2上に形成された他の第3の導体層3の形状と異なる可能性がある。
【0048】
ところで、上記のような複数の第3の導体層3の間に発生し得る形状のばらつきは、予めシミュレーションまたは実験等を行うことにより、再配線基板100の複数の第3の導体層3の各々についてある程度把握することができる。また、上記のように電解めっき法を利用する場合、第1の絶縁層50の各貫通孔THe内でのめっき層の成長の程度は、当該貫通孔THeの形状によって調整することができる。そこで、本発明者らは、予め再配線基板100の複数の第3の導体層3間で発生し得る形状のばらつきを把握した上で、それらのばらつきの発生が低減されつつめっき層が成長するように、複数の貫通孔THeの各々の形状を設定する方法を想到した。
【0049】
図5および
図6は、貫通孔THeの形状と当該貫通孔THeに形成されるめっき層の成長の傾向を説明するための図である。
図5および
図6では、再配線基板100のうち一の貫通孔THeおよびその周辺部分の縦断面図が複数示される。これらの縦断面図においては、貫通孔THeの形状が理解しやすいように、カバー絶縁層40の図示が省略されている。
図5の上段の縦断面図に示すように、例えば再配線基板100の厚み方向DTに平行な縦断面において、貫通孔THeの内周面と第1の絶縁層50の一面(上面または下面)とがなす角度(以下、テーパ角と呼ぶ。)αに着目する。
【0050】
この場合、一の貫通孔THeの内部に形成されるめっき層の成長の程度は、テーパ角αが小さいほど低くなる傾向がある。したがって、一の貫通孔THeについてテーパ角αを小さく設定すると、
図5の中段の縦断面図に示すように、その貫通孔THeに形成される第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPは低くなりやすい。一方、貫通孔THeの内部に形成されるめっき層の成長の程度は、テーパ角αが大きいほど高くなる傾向がある。したがって、一の貫通孔THeについてテーパ角αを大きく設定すると、
図5の下段の縦断面図に示すように、その貫通孔THeに形成される第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPは高くなりやすい。
【0051】
また、
図6の上段の縦断面図に示すように、例えば再配線基板100の厚み方向DTに平行な縦断面において、貫通孔THeの底部の寸法に着目する。具体的には、各貫通孔THeの底部開口は、第2の導体層2により閉塞されている。その底部開口の内径の寸法(以下、底部寸法と呼ぶ。)BDに着目する。
【0052】
この場合、一の貫通孔THeの内部に形成されるめっき層の成長の程度は、底部寸法BDが小さいほど高くなる傾向がある。したがって、一の貫通孔THeについて底部寸法BDを小さく設定すると、
図6の中段の縦断面図に示すように、その貫通孔THeに形成される第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPは高くなりやすい。一方、一の貫通孔THeの内部に形成されるめっき層の成長の程度は、底部寸法BDが大きいほど低くなる傾向がある。したがって、一の貫通孔THeについて底部寸法BDを大きく設定すると、
図6の下段の縦断面図に示すように、その貫通孔THeに形成される第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPは低くなりやすい。
【0053】
上記の点を考慮して、本実施の形態に係る再配線基板100においては、第1の絶縁層50の複数の貫通孔THeの各々について、テーパ角αおよび底部寸法BDが設定される。なお、本実施の形態に係る再配線基板100においては、複数の貫通孔THeの各々のテーパ角αは、55°以上に設定されることが好ましく、60°以上に設定されることがより好ましく、65°以上に設定されることがさらに好ましい。
【0054】
図7は、再配線基板100において互いに異なる寸法で形成された2つの貫通孔THeとそれらの内部に生成される2つの第3の導体層3の形状とを示す縦断面図である。
図7には、再配線基板100の全体を示す縦断面図とともに、その縦断面図のうちの一部(太い点線部)が吹き出し内に拡大して示される。
図7の説明では、吹き出し内に示すように、ビアを形成する第2の導体層2上の一の貫通孔THeを適宜第1の貫通孔TH1と呼び、ビアを形成しない他の第2の導体層2上の貫通孔THeを適宜第2の貫通孔TH2と呼ぶ。
【0055】
本例の再配線基板100の作製前には、予めシミュレーションまたは実験等を行うことにより、再配線基板100の複数の第3の導体層3に発生し得る形状のばらつきが把握されている。その上で、それらの形状のばらつきが低減されるように、シミュレーションまたは実験等により把握された事前情報に基づいて複数の貫通孔THeのテーパ角αおよび底部寸法BDが設定されている。ここで、事前情報は、「ビアを形成する第2の導体層2上の端子部T1の高さ位置HPは、ビアを形成しない第2の導体層2上の端子部T1の高さ位置HPよりも高くなる傾向がある。」ことを含むものとする。
【0056】
図7の第1の絶縁層50の例では、互いに隣り合う2つの貫通孔THeは、テーパ角αおよび底部寸法BDが互いに異なるように形成されている。具体的には、ビアを形成する第2の導体層2上の第1の貫通孔TH1のテーパ角α1は、ビアを形成しない他の第2の導体層2上の第2の貫通孔TH2のテーパ角α2よりも大きい。また、ビアを形成する第2の導体層2上の一の第1の貫通孔TH1の底部寸法BD1は、ビアを形成しない他の第2の導体層2上の第2の貫通孔TH2の底部寸法BD2よりも小さい。
【0057】
この場合、複数の第3の導体層3の形成時には、第1の貫通孔TH1内に形成される第3の導体層3の成長の度合いが第2の貫通孔TH2内に形成される第3の導体層3の成長の度合いに比べて高くなる。それにより、2つの貫通孔THe(第1の貫通孔TH1および第2の貫通孔TH2)にそれぞれ形成される2つの第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPが互いに等しくなるように最終的に調整される。
【0058】
3.再配線基板100の製造方法
本実施の形態においては、再配線基板100は、例えばロール・ツー・ロール方式により製造される。
図8は、再配線基板100の製造工程で用いられるロール・ツー・ロール装置500の一例を示す模式的側面図である。
【0059】
図8に示すように、ロール・ツー・ロール装置500は、巻き出し部501、巻き取り部502および複数の処理部510,520,…を含む。まず、長尺状の金属支持体110が巻回されたロール(繰り出しロール)R1が用意され、ロール・ツー・ロール装置500の巻き出し部501にセットされる。
【0060】
用意された繰り出しロールR1から金属支持体110が繰り出される。繰り出された金属支持体110は、
図8に点線の矢印で示すように、巻き取り部502にセットされた他のロール(巻き取りロール)R2に巻き取られる。
【0061】
ロール・ツー・ロール装置500においては、複数の処理部510,520,…が、2つのロール(R1,R2)の間で、金属支持体110の移動方向に沿って並ぶように設けられている。複数の処理部510,520,…は、2つのロール(R1,R2)間を移動する長尺状の金属支持体110に絶縁被覆層120を形成する。また、絶縁被覆層120が形成された金属支持体110の各領域に、上記の複数の絶縁層および複数の導体層等をそれぞれ形成する。それにより、巻き取りロールR2に巻き取られる金属支持体110に、複数の再配線基板100が形成される。以下、再配線基板100の製造方法について詳細を説明する。
【0062】
図9~
図19は、
図1の再配線基板100の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
図9~
図19に示される模式的断面図は、
図1の再配線基板100の模式的断面図に対応する。
図9~
図19の各図には、
図1の厚み方向DTが示される。
【0063】
上記のように、金属支持体110が巻回された繰り出しロールR1(
図8)が用意され、当該繰り出しロールR1から金属支持体110が繰り出される。
図9に、繰り出された金属支持体110の一部の断面が示される。上記のように、金属支持体110は、厚み方向DTにおいて互いに逆の方向を向く第5の面110aおよび第6の面110bを有する。
【0064】
まず、金属支持体110の第6の面110b全体を覆うように、当該第6の面110b上に感光性ポリイミドの前駆体が塗布される。また、塗布された感光性ポリイミドの前駆体が、露光され、現像される。それにより、
図10に示すように、金属支持体110の第6の面110b上に第1の仮被覆層121が形成される。形成された第1の仮被覆層121は硬化処理される。なお、第1の仮被覆層121は、第6の面110b上に感光性ポリイミドの前駆体を塗布することに代えて、感光性ポリイミドからなるキャリアフィルムを貼り付けることにより形成されてもよい。
【0065】
次に、金属支持体110の第5の面110a上に所定パターンのエッチングレジストが形成される。また、金属支持体110の第5の面110aのうち、エッチングレジストの開口部を通して露出する部分がエッチングされる。その後、エッチングレジストが金属支持体110から剥離される。これにより、
図11に示すように、金属支持体110に複数の貫通孔THaが形成される。
【0066】
上記のように、金属支持体110は、第5の面110aから第6の面110bに向かってエッチングされる。この場合、各貫通孔THaは、第5の面110aから第6の面110bに向かって内径が漸次小さくなるように形成される。金属支持体110のエッチングに用いられるエッチング液は、第1の仮被覆層121を溶解しない。そのため、各貫通孔THaの一端部は、第1の仮被覆層121によって閉塞される。
【0067】
なお、金属支持体110の複数の貫通孔THaは、エッチングに限らず、例えばレーザ加工により形成されてもよい。この場合、レーザ光は、第5の面110aから第6の面110bに向かって進行するようにかつ第1の仮被覆層121を貫通しないように、金属支持体110に照射される。
【0068】
次に、金属支持体110の第5の面110a全体を覆うようにかつ各貫通孔THaの内部に進入するように、当該第5の面110a上に感光性ポリイミドの前駆体が塗布される。また、塗布された感光性ポリイミドの前駆体が、露光され、現像される。それにより、
図12に示すように、金属支持体110の第5の面110aおよび複数の貫通孔THaの内周面を覆うとともに、複数の貫通孔THaを埋めるように、第2の仮被覆層122が形成される。形成された第2の仮被覆層122は硬化処理される。なお、第2の仮被覆層122は、第1の仮被覆層121と同様に、第5の面110a上に感光性ポリイミドの前駆体を塗布することに代えて、感光性ポリイミドからなるキャリアフィルムを貼り付けることにより形成されてもよい。
【0069】
その後、
図13に示すように、金属支持体110の各貫通孔THaの内部を通って厚み方向DTに延びるように、金属支持体110の複数の部分に複数の貫通孔THbがそれぞれ形成される。これらの複数の貫通孔THbは、例えばエッチングまたはレーザ加工により形成される。このようにして、支持層10が完成する。
【0070】
次に、支持層10の第3の面s1のうち予め定められた領域、支持層10の第4の面s2のうち予め定められた領域、および貫通孔THbの内周面に、シード層が形成され、シード層上にめっき層が形成される。それにより、
図14に示すように、主として複数の貫通孔THbの内部を埋める複数の第1の導体層1が形成される。
【0071】
次に、
図15に示すように、支持層10の第3の面s1上に、複数の第1の導体層1のうち第3の面s1上で露出する部分を覆うように第2の絶縁層60が形成される。このとき、複数の第1の導体層1の上端部の一部が上方に露出するように、第2の絶縁層60には複数の貫通孔THcが形成される。また、支持層10の第4の面s2上に、複数の第1の導体層1のうち第4の面s2上で露出する部分を覆うように第3の絶縁層70が形成される。このとき、複数の第1の導体層1の下端部の一部が下方に露出するように、第3の絶縁層70には複数の貫通孔THdが形成される。本実施の形態では、第2の絶縁層60および第3の絶縁層70は感光性材料で形成される。そこで、これらの第2の絶縁層60および第3の絶縁層70の形成には、フォトリソグラフィが利用される。
【0072】
次に、露出する第2の絶縁層60の表面のうち予め定められた領域、および露出する第3の絶縁層70の表面のうち予め定められた領域にシード層が形成される。また、複数の貫通孔THc,THdの内周面および複数の第1の導体層1のうち露出する部分にシード層が形成される。形成されたシード層上にめっき層が形成される。それにより、
図16に示すように、複数の第2の導体層2および複数の第4の導体層4が形成される。複数の第2の導体層2の一部分(ビア部)は、第2の絶縁層60に形成された複数の貫通孔THcを埋める。複数の第2の導体層2の他の一部分(配線部)は、第2の絶縁層60上に所定パターンで形成される。複数の第4の導体層4は、第3の絶縁層70に形成された複数の貫通孔THdを埋める。
【0073】
次に、
図17に示すように、第2の絶縁層60上に、複数の第2の導体層2のうち第2の絶縁層60上で露出する部分を覆うように第1の絶縁層50が形成される。このとき、複数の第2の導体層2の上端部の一部が上方に露出するように、第1の絶縁層50には複数の貫通孔THeが形成される。また、第3の絶縁層70上に、複数の第4の導体層4のうち第3の絶縁層70上で露出する部分を覆うように第4の絶縁層80が形成される。このとき、複数の第4の導体層4の下端部の一部が下方に露出するように、第4の絶縁層80には複数の貫通孔THfが形成される。本実施の形態では、第1の絶縁層50および第4の絶縁層80は感光性材料で形成される。そこで、これらの第1の絶縁層50および第4の絶縁層80の形成には、フォトリソグラフィが利用される。
【0074】
ここで、本実施の形態に係る第1の絶縁層50においては、上記のように、複数の端子部T1の高さ位置のばらつきを低減するために、複数の貫通孔THeの各々のテーパ角αおよび底部寸法BDが個別に設定される。そのため、第1の絶縁層50の形成時には、複数の貫通孔THeの各々のテーパ角αおよび底部寸法BDが当該貫通孔THeに対応して設定された値となるように、フォトリソグラフィの処理条件が調整される。このフォトリソグラフィの処理条件の調整については後述する。
【0075】
次に、第1の絶縁層50上の予め定められた領域にシード層が形成される。また、複数の貫通孔THeの内周面および複数の第2の導体層2のうち露出する部分にシード層が形成される。形成されたシード層上にめっき層が形成される。それにより、
図18に示すように、主として複数の貫通孔THbの内部を埋める複数の第3の導体層3が形成される。
【0076】
次に、
図19に示すように、第1の絶縁層50上に、複数の第3の導体層3のうち第1の絶縁層50上で露出する部分を覆うようにカバー絶縁層40が形成される。このとき、複数の第3の導体層3の上端部の一部が上方に露出するように、カバー絶縁層40には複数の貫通孔THeが形成される。この状態で、複数の第3の導体層3の各々は、上方に露出する端子形成部3T(
図4等)を有する。なお、カバー絶縁層40は感光性材料で形成される。そのため、カバー絶縁層40の形成には、フォトリソグラフィが利用される。
【0077】
最後に、複数の第3の導体層3の端子形成部3T上に複数の端子部T1がそれぞれ形成される。また、複数の第4の導体層4のうち複数の貫通孔THfを介して露出する部分に複数の端子部T2がそれぞれ形成される。それにより、
図1の再配線基板100が完成する。
【0078】
4.貫通孔THeの形状に応じたフォトリソグラフィの処理条件の調整
第1の絶縁層50をフォトリソグラフィを利用して形成する場合には、
図16の第2の絶縁層60上に感光性材料(本例では感光性ポリイミド)の前駆体が塗布される。または、
図16の第2の絶縁層60上に感光性材料の前駆体を含むキャリアフィルムが貼り付けられる。このようにして、第2の絶縁層60上に形成される感光性材料の前駆体の層を仮絶縁層と呼ぶ。
【0079】
その後、第2の絶縁層60の上方に設けられる光源部から所定パターンの光透過部が形成されたマスクを介して、仮絶縁層に露光光が照射される。これにより、仮絶縁層がマスクの光透過部のパターンとは逆のパターンで露光される。また、露光後の仮絶縁層が現像され、第1の絶縁層50が形成される。
【0080】
貫通孔THeの各部の形状(
図5のテーパ角αおよび
図6の底部寸法BD等)は、フォトリソグラフィの処理条件の一つとして、仮絶縁層の露光処理の条件を適宜設定することにより調整することができる。
【0081】
第1の絶縁層50に形成される各貫通孔THeの底部寸法BDは、仮絶縁層に照射される露光光のパターンのサイズに応じて定まる。したがって、第1の絶縁層50の形成時には、複数の貫通孔THeの底部寸法BDにそれぞれ対応する複数のサイズの光透過部のパターンを有するマスクを用いる。それにより、一度の露光処理で、底部寸法BDが互いに異なる複数の貫通孔THeを形成することが可能になる。
【0082】
続いて、第1の絶縁層50に形成される各貫通孔THeのテーパ角αについて説明する。
図20および
図21は、第1の絶縁層50に形成される各貫通孔THeのテーパ角αに影響を及ぼす仮絶縁層の露光条件を説明するための図である。
図20では、仮絶縁層50xの露光処理を行うための構成が模式的に示される。
図20に示すように、仮絶縁層50xに所定パターンで露光光ELを照射する際には、仮絶縁層50xの上方に、予め定められた距離をおいてマスク610が配置される。あるいは、仮絶縁層50xの上面に接するようにマスク610が配置される。
【0083】
また、マスク610のさらに上方に、予め定められた距離をおいて光源部600が配置される。光源部600は、露光光ELを発生する光発生部、露光光ELをマスク610に導くとともに収束させる各種光学系、および露光光ELの出射方向および焦点等を調整するための各種駆動部を含む。
【0084】
ここで、上記のフォトリソグラフィの露光処理において、マスク610から光源部600を見たときの角度の大きさは、コリメーション半角βとして表すことができる。コリメーション半角βは視角とも呼ばれる。また、以下の説明では、マスクと仮絶縁層との間の距離をマスク距離MDと呼ぶ。
【0085】
第1の絶縁層50に形成される各貫通孔THeのテーパ角αは、仮絶縁層に照射される露光光ELのコリメーション半角β、マスク距離MDおよび露光光ELの波長に応じて定まる。
図21に、露光処理時のコリメーション半角β、マスク距離MDおよび露光光ELの波長と、貫通孔THeのテーパ角αの大きさとの関係を示す一覧表が示される。
【0086】
図20の一覧表に示すように、貫通孔THeのテーパ角αは、コリメーション半角βが大きいほど小さくなり、コリメーション半角βが小さいほど大きくなる傾向がある。コリメーション半角βは、例えば光源部600の光学系におけるアパーチャを切り替えること等により調整することができる。なお、コリメーション半角βは、例えば0.25°以上5°以下の範囲内で調整される。
【0087】
また、貫通孔THeのテーパ角αは、マスク距離MDが大きいほど小さくなり、マスク距離MDが小さいほど大きくなる傾向がある。マスク距離MDは、マスク610を支持する部材と、仮絶縁層50xを含む対象物を支持する部材とを相対的に移動させる移動装置を用いることにより調整することができる。なお、マスク距離MDは、例えば0μm以上250μm以下の範囲内で調整される。
【0088】
さらに、貫通孔THeのテーパ角αは、露光光ELの波長が短いほど大きくなり、露光光ELの波長が長いほど小さくなる傾向がある。そのため、i線の発光スペクトルのみを有する露光光ELで露光処理を行う場合、g線、h線およびi線の発光スペクトルを有する露光光ELで露光処理を行う場合に比べて貫通孔THeのテーパ角αは大きくなりやすい。i線の発光スペクトルに対応する光の波長はg線およびh線の発光スペクトルに対応する光の波長よりも短いためである。露光光ELの波長は、例えば光源部600に互いに異なる波長領域の光を発生する複数種類の光発生部を設け、それらの複数の光発生部の動作状態を切り替えること等により調整することができる。
【0089】
仮絶縁層50xの露光処理では、グレイトーンマスク、ハーフトーンマスクおよび位相シフトマスク等の複数種類のマスクのうちいずれか1種類のマスクを上記のマスク610として用いることができる。あるいは、上記の複数種類のマスクのうちいずれか2以上の種類のマスクが組み合わされたマスクをマスク610として用いることができる。
【0090】
グレイトーンマスクによれば、仮絶縁層50xのうち露光光ELが照射される領域と露光光ELが照射されない領域との間の輪郭部分(エッジ部分)で、露光光ELの態様の一つとして露光光ELのコントラストが比較的低くなる。そのため、グレイトーンマスクで形成される貫通孔THeのテーパ角αは小さくなる傾向がある。
【0091】
一方、ハーフトーンマスクおよび位相シフトマスクによれば、仮絶縁層50xのうち露光光ELが照射される領域と露光光ELが照射されない領域との間の輪郭部分(エッジ部分)で、露光光ELの態様の一つとして露光光ELのコントラストが比較的高くなる。そのため、ハーフトーンマスクおよび位相シフトマスクで形成される貫通孔THeのテーパ角αは大きくなる傾向がある。
【0092】
図22は、複数種類のマスクを含むマスク610の一例を示す図である。
図22のマスク610は、グレイトーンマスクからなる第1のマスク部分611と、ハーフトーンマスクからなる第2のマスク部分612とを含む。これにより、一のマスク610を用いて再配線基板100の複数の部分に互いにテーパ角αが異なる複数の貫通孔THeを形成することができる。なお、
図22のマスク610は、ポジ型の感光性を有する絶縁層に対応するマスクである。ネガ型の感光性を有する絶縁層に対応するマスクは、例えば
図22のマスク610に対して濃淡が反転した構成を有する。
【0093】
5.効果
(a)上記の再配線基板100においては、第1の絶縁層50に形成された複数の貫通孔THeを埋めるように複数の第3の導体層3が形成されている。各第3の導体層3の端子形成部3T上に、端子部T1が形成されている。
【0094】
第3の導体層3は、貫通孔THeの底部開口が第2の導体層2により閉塞された状態で、貫通孔THeの内部に電解めっき法により形成される。この場合、貫通孔THe内に形成される端子形成部3Tの高さ位置HPは貫通孔THeの形状に応じて定まる。
【0095】
上記の構成によれば、複数の第3の導体層3の複数の端子形成部3Tの高さ位置HPのばらつきの範囲が小さくなるように、複数の貫通孔THeの各々のテーパ角αおよび底部寸法BDが調整される。それにより、複数の貫通孔THeのうち一の貫通孔THaのテーパ角αおよび底部寸法BDは、他の貫通孔THaのテーパ角αおよび底部寸法BDと異なるように設定される。
【0096】
個別に設定されたテーパ角αおよび底部寸法BDをそれぞれ有する複数の第3の導体層3が形成されることにより、それらの複数の第3の導体層3の端子形成部3Tの高さ位置HPのばらつきが低減される。この場合、再配線基板100の作製時に、端子形成部3Tの高さ位置HPを揃えるために、複数の第3の導体層3の上端部のエッチング、研磨または切削等の加工を行うことが不要となる。したがって、製造工程数の増加を抑制しつつ複数の第3の導体層3上の複数の端子部T1の高さ位置を均一化することが可能になる。
【0097】
(b)上記のように、第1の絶縁層50は、感光性材料からなる。したがって、当該第1の絶縁層50をフォトリソグラフィを利用して形成することにより、機械的な加工を要することなく、複数の貫通孔THeを容易に形成することができる。また、フォトリソグラフィの処理条件を調整することにより、複数の貫通孔THeの各々を設定された寸法に応じて形成することができる。
【0098】
(c)本実施の形態に係る再配線基板100は、ロール・ツー・ロール方式により製造され、全体的に柔軟性を有する。このような場合でも、再配線基板100は、金属支持体110を含む支持層10を備える。支持層10は、複数の絶縁層および複数の導体層よりも高い剛性を有する。したがって、再配線基板100の各部の構成が支持層10により支持されるので、再配線基板100の信頼性が向上する。また、再配線基板100の取り扱い性が向上する。
【0099】
6.他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係る再配線基板100においては、複数の端子部T1の高さ位置のばらつきを低減するために、第1の絶縁層50に形成される複数の貫通孔THeの寸法が個別に設定されるが、本発明はこれに限定されない。
【0100】
上記の再配線基板100においては、複数の端子部T2の高さ位置のばらつきを低減するために、第3の絶縁層70に形成される複数の貫通孔THd(
図15)の寸法が個別に設定されてもよい。この場合、再配線基板100とリジッド基板300(
図1)との間の電気的な接続の信頼性が向上する。
【0101】
また、上記の再配線基板100においては、支持層10および第2の絶縁層60の少なくとも一方に形成される複数の貫通孔THb,THcの寸法が個別に設定されてもよい。この場合、支持層10に形成される複数の第1の導体層1について、上端部および下端部の高さ位置のばらつきがそれぞれ低減される。また、第2の絶縁層60に形成される複数の第2の導体層2について、上端部の高さ位置のばらつきが低減される。
【0102】
(b)上記実施の形態において、
図7の例では、複数の貫通孔THeのうち第1の貫通孔TH1と第2の貫通孔TH2との間で、テーパ角αおよび底部寸法BDがともに異なるように設定されているが、本発明はこれに限定されない。第1の貫通孔TH1と第2の貫通孔TH2との間では、少なくともテーパ角αが異なるように設定されていればよい。
【0103】
(c)上記実施の形態において、
図7の例では、複数の貫通孔THeのうち2つの貫通孔THe(第1の貫通孔TH1および第2の貫通孔TH2)について形状が異なるように設定される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100においては、複数の貫通孔THeのうち3つ以上の貫通孔THeの形状が異なるように設定されてもよい。
【0104】
(d)上記実施の形態に係る再配線基板100は、支持層10の第3の面s1上に3つの絶縁層(60,50,40)が積層されかつ支持層10の第4の面s2上に2つの絶縁層(70,80)が積層された構成を有するが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100は、支持層10の第3の面s1上に1つの絶縁層または3以上の絶縁層が積層された構成を有してもよい。また、再配線基板100は、支持層10の第4の面s2上に1つの絶縁層または3以上の絶縁層が積層された構成を有してもよい。この場合、支持層10の第3の面s1上で最上部に位置する絶縁層において、端子部T1の高さ位置を考慮した形状を有する複数の貫通孔が形成される。
【0105】
(e)上記実施の形態に係る支持層10は金属支持体110および絶縁被覆層120により形成されるが、本発明はこれに限定されない。支持層10は、複数の絶縁層(40,50,60,70,80)よりも高い剛性を有すればよく、単一の材料からなる単一部材で構成されてもよい。このような材料としては、例えば複数の絶縁層(40,50,60,70,80)よりも高い剛性を有する有機材料、無機材料、有機無機ハイブリッド材料または複合材料が挙げられる。
【0106】
この場合、有機材料としては、ポリイミド等を用いることができる。また、無機材料としては、セラミック等を用いることができる。セラミックは、例えばガラスである。また、有機無機ハイブリッド材料および複合材料としてはガラスエポキシ等を用いることができる。
【0107】
上記の他、支持層10には、ガラス繊維で構成された布にエポキシ樹脂を含浸させて硬化させることにより作製された材料(FR4)等を用いることもできる。この場合、金属支持体110を絶縁被覆層120で被覆する工程が不要になる。あるいは、既製品を用いることが可能になる。それにより、支持層10の製造工程が単純化される。
【0108】
(f)上記実施の形態に係る再配線基板100は、
図9~
図19に示される例に限らず、以下の方法で作製されてもよい。なお、以下に説明する再配線基板100の製造方法においても、再配線基板100は、例えばロール・ツー・ロール方式により作製される。
【0109】
図23~
図37は、他の実施の形態に係る再配線基板100の製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
図23~
図37に示される模式的断面図は、
図9~
図19の例と同様に、
図1の再配線基板100の模式的断面図に対応する。
図23~
図37の各図には、
図1の厚み方向DTが示される。
図23~
図37の厚み方向DTの矢印の向きは、再配線基板100が半導体チップ200とリジッド基板300との間に配置される場合にリジッド基板300から半導体チップ200に向く方向であるものとする。
【0110】
まず、第5の面110aおよび第6の面110bを有する
図9の金属支持体110が用意される。次に、
図23に示すように、金属支持体110の第5の面110a上に、第1の仮被覆層123が形成される。また、第1の仮被覆層123に複数の貫通孔THgが形成される。第1の仮被覆層121の露出する一面が、支持層10の第3の面s1となる。
【0111】
第1の仮被覆層123は、第5の面110a上に感光性ポリイミドの前駆体を塗布することまたは感光性ポリイミドからなるキャリアフィルムを貼り付けることにより形成される。複数の貫通孔THgは、所定のフォトマスクを用いて感光性ポリイミドを露光し、現像することにより形成されてもよいし、硬化処理された第1の仮被覆層123の一部をエッチングまたはレーザ加工することにより形成されてもよい。
【0112】
次に、第3の面s1のうち予め定められた領域および貫通孔THgの内周面に、シード層が形成され、シード層上にめっき層が形成される。それにより、
図24に示すように、第3の面s1の一部領域上に複数の貫通孔THgの内部を埋める複数の部分導体層1aが形成される。部分導体層1aの形成後、シード層は除去される。
【0113】
次に、
図25に示すように、第3の面s1上に、部分導体層1aのうち第3の面s1上で露出する部分を覆うように第2の絶縁層60が形成される。また、複数の部分導体層1aの一部が第2の絶縁層60上に露出するように、第2の絶縁層60には複数の貫通孔THhが形成される。
【0114】
次に、露出する第2の絶縁層60の表面のうち予め定められた領域にシード層が形成される。また、複数の貫通孔THhの内周面および複数の部分導体層1aのうち露出する部分にシード層が形成される。形成されたシード層上にめっき層が形成される。それにより、
図26に示すように、第2の絶縁層60上に、複数の第2の導体層2が形成される。第2の導体層2の形成後、シード層は除去される。複数の第2の導体層2の一部分(ビア部)は、第2の絶縁層60に形成された複数の貫通孔THhを埋める。複数の第2の導体層2の他の一部分(配線部)は、第2の絶縁層60上に所定パターンで形成される。
【0115】
次に、
図27に示すように、第2の絶縁層60上に、複数の第2の導体層2のうち第2の絶縁層60上で露出する部分を覆うように第1の絶縁層50が形成される。また、複数の第2の導体層2の一部が第1の絶縁層50上に露出するように、第1の絶縁層50には複数の貫通孔THiが形成される。本例の第1の絶縁層50においても、上記実施の形態に係る第1の絶縁層50の例と同様に、再配線基板100の複数の端子部T1の高さ位置のばらつきを低減するために、複数の貫通孔THiの各々のテーパ角αおよび底部寸法BDが個別に設定される。
【0116】
次に、露出する第1の絶縁層50の表面のうち予め定められた領域にシード層が形成される。また、複数の貫通孔THiの内周面および複数の第2の導体層2のうち露出する部分にシード層が形成される。形成されたシード層上にめっき層が形成される。それにより、
図28に示すように、第1の絶縁層50上に、複数の第3の導体層3が形成される。第3の導体層3の形成後、シード層は除去される。複数の第3の導体層3の一部分(ビア部)は、第1の絶縁層50に形成された複数の貫通孔THiを埋める。複数の第3の導体層3の他の一部分(配線部)は、第1の絶縁層50上に所定パターンで形成される。
【0117】
次に、
図29に示すように、第1の絶縁層50上に、複数の第3の導体層3のうち第1の絶縁層50上で露出する部分を覆うようにカバー絶縁層40が形成される。また、複数の第3の導体層3の一部がカバー絶縁層40上に露出するように、カバー絶縁層40には複数の貫通孔THjが形成される。上記実施の形態の例と同様に、第2の絶縁層60、第1の絶縁層50およびカバー絶縁層40は感光性材料で形成される。そこで、これらの絶縁層の形成には、フォトリソグラフィが利用される。
【0118】
その後、
図30に示すように、複数の第3の導体層3のうち複数の貫通孔THjを介して露出する部分に端子部T1が形成される。上記の
図23~
図30の処理で、再配線基板100のうち金属支持体110の第5の面110a上に位置する部分(
図1の半導体チップ200側の部分)が完成する。
【0119】
続いて、再配線基板100のうち金属支持体110の第6の面110b上に位置する部分(
図1のリジッド基板300側の部分)が作製される。
図31~
図37では、再配線基板100のうちリジッド基板300側の部分を作製していることが理解しやすいように、模式的断面図の厚み方向DTの向きを
図23~
図30の模式的断面図に対して上下方向で反転させている。
【0120】
まず、
図31に示すように、金属支持体110の予め定められた複数の部分に複数の貫通孔THkが形成される。複数の貫通孔THkは、複数の部分導体層1aの一部を当該貫通孔THkを通して金属支持体110の第6の面110b上に露出させる。
【0121】
ここで、金属支持体110の複数の貫通孔THkの形成方法は、上記実施の形態で説明した金属支持体110の複数の貫通孔THaの形成方法と同じである。そのため、各貫通孔THkは、第6の面110bから第5の面110aに向かって内径が漸次小さくなるように形成される。
【0122】
次に、金属支持体110の第6の面110bの全体を覆うとともに複数の貫通孔THkが埋まるように、金属支持体110の第6の面110b上に第2の仮被覆層124が形成される。また、各貫通孔THk内の第2の仮被覆層124の部分にさらに貫通孔THlが形成される。それにより、
図32に示すように、金属支持体110の第5の面110a、第6の面110bおよび金属支持体110の貫通孔THk(
図31)の内周面を覆う絶縁被覆層120が完成する。
【0123】
金属支持体110および絶縁被覆層120により支持層10が形成される。第2の仮被覆層124の露出する一面が、支持層10の第4の面s2となる。各貫通孔THlの内部では、第1の仮被覆層123の貫通孔THg内に形成された部分導体層1aの一部が露出する。なお、第2の仮被覆層124の形成方法および複数の貫通孔THlの形成方法は、基本的に第1の仮被覆層123の形成方法および複数の貫通孔THgの形成方法と同じである。
【0124】
次に、第4の面s2のうち予め定められた領域、複数の貫通孔THlの内周面および各貫通孔THl内で露出する部分導体層1aの部分に、シード層が形成され、シード層上にめっき層が形成される。それにより、
図33に示すように、第4の面s2上に、複数の部分導体層1bが形成される。部分導体層1bの形成後、シード層は除去される。複数の部分導体層1bの一部分(ビア部)は、複数の貫通孔THlを埋める。複数の部分導体層1bの他の一部分(配線部)は、第4の面s2上に所定パターンで形成される。
【0125】
ここで、複数の部分導体層1bは、複数の貫通孔THlの一端部に位置する複数の部分導体層1aにそれぞれ電気的に接続される。互いに電気的に接続された一対の部分導体層1aおよび部分導体層1bにより、上記実施の形態に係る第1の導体層1が形成される。
【0126】
次に、
図34に示すように、第4の面s2上に、部分導体層1bのうち第4の面s2上で露出する部分を覆うように第3の絶縁層70が形成される。また、複数の部分導体層1bの一部が第3の絶縁層70上に露出するように、第3の絶縁層70には複数の貫通孔THmが形成される。
【0127】
次に、露出する第3の絶縁層70の表面のうち予め定められた領域にシード層が形成される。また、複数の貫通孔THmの内周面および複数の部分導体層1bのうち露出する部分にシード層が形成される。形成されたシード層上にめっき層が形成される。それにより、
図35に示すように、第3の絶縁層70上に、複数の第4の導体層4が形成される。第4の導体層4の形成後、シード層は除去される。複数の第4の導体層4の一部分(ビア部)は、第3の絶縁層70に形成された複数の貫通孔THmを埋める。複数の第4の導体層4の他の一部分(配線部)は、第3の絶縁層70上に所定パターンで形成される。
【0128】
次に、
図36に示すように、第3の絶縁層70上に、複数の第4の導体層4のうち第3の絶縁層70上で露出する部分を覆うように第4の絶縁層80が形成される。また、複数の第4の導体層4の一部が第4の絶縁層80上に露出するように、第4の絶縁層80には複数の貫通孔THnが形成される。
【0129】
その後、
図37に示すように、複数の第4の導体層4のうち複数の貫通孔THnを介して露出する部分に端子部T2が形成される。それにより、他の実施の形態に係る再配線基板100が完成する。
【0130】
なお、本例の再配線基板100の製造方法において、複数の絶縁層(40,50,60,70,80)の形成方法および各絶縁層の複数の貫通孔(THh,THi,THj,THm,THn)の形成方法は、基本的に第1の仮被覆層121の形成方法および複数の貫通孔THgの形成方法と同じである。
【0131】
図23~
図37の製造方法によれば、再配線基板100のうち金属支持体110を基準として半導体チップ200側の部分と、再配線基板100のうち金属支持体110を基準としてリジッド基板300側の部分とが個別に形成される。それにより、再配線基板100のうち半導体チップ200側の部分とリジッド基板300側の部分とを同時に形成する場合に比べて、各部の形成時の位置決めおよび処理条件の調整が容易になる。その結果、設計寸法に対して高い精度で各部を形成することが可能になる。また、複雑な処理が必要ないので、高価な製造装置を用意する必要がない。
【0132】
上記のように、
図23~
図37に示される製造方法の例では、基本的に導体層の形成と絶縁層の形成とが交互に行われることにより再配線基板100の半導体チップ200側の部分およびリジッド基板300側の部分が形成される。しかしながら、再配線基板100のうちの少なくとも一部で、ドライフィルムレジストを用いて厚み方向DTに連続する複数の導体層を形成することにより、複数の絶縁層を貫通する導体層が形成されてもよい。
【0133】
(g)上記実施の形態に係る再配線基板100においては、複数の貫通孔THeは、フォトリソグラフィを利用して形成されるが、レーザ加工により形成されてもよい。
【0134】
(h)上記実施の形態に係る再配線基板100においては、支持層10および複数の絶縁層(50,60,70,80)に形成される複数の貫通孔THa~THfの各々は平面視で円形状を有するが、本発明はこれに限定されない。複数の貫通孔THa~THfの各々は、平面視で円形状以外の形状(楕円形状または多角形状)を有してもよい。
【0135】
(i)上記実施の形態では、再配線基板100は、ロール・ツー・ロール方式により製造されるが、本発明はこれに限定されない。再配線基板100は、ロール・ツー・ロール方式以外の方式で作製されてもよい。例えば、1枚のシートに順次処理を行う枚葉方式で作製されてもよい。この場合、再配線基板100は、柔軟性を有しないリジッド基板であってもよい。
【0136】
(j)上記実施の形態は本発明を再配線基板に適用した例であるが、これに限らず、複数の絶縁層および複数の導体層が積層形成された他の配線回路基板に本発明を適用してもよい。
【0137】
7.参考形態
図38は、参考形態に係る再配線基板100の一構成例を示す縦断面図である。
図38の再配線基板100について、
図7の再配線基板100と異なる点を説明する。
【0138】
図7の再配線基板100においては、第1の絶縁層50に形成される複数の貫通孔THeのうち一の貫通孔THe(第1の貫通孔TH1)と他の貫通孔THe(第2の貫通孔TH2)とが互いに異なるテーパ角α1,α2で形成されている。
【0139】
これに対して、本参考形態に係る
図38の再配線基板100においては、第1の絶縁層50に形成される複数の貫通孔THeが共通のテーパ角α1で形成されている。一方、第2の絶縁層60の各貫通孔THcのテーパ角α3は、第1の絶縁層50の各貫通孔THeのテーパ角α1よりも小さい。
【0140】
このように、積層配置される絶縁層ごとに、当該絶縁層に形成される貫通孔の形状(テーパ角)を設定する。それにより、各絶縁層でビアを形成する導体層の形状を調整することができる。なお、
図38の例では、第2の絶縁層60の各貫通孔THcのテーパ角α3が第1の絶縁層50の各貫通孔THeのテーパ角α1よりも小さいが、第2の絶縁層60の各貫通孔THcのテーパ角α3は第1の絶縁層50の各貫通孔THeのテーパ角α1よりも大きくてもよい。
【0141】
8.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0142】
上記実施の形態では、再配線基板100が配線回路基板の例であり、第1の絶縁層50が第1の絶縁層の例であり、第1の絶縁層50の上面が第1の面の例であり、第1の絶縁層50の下面が第2の面の例であり、ビアを形成する第2の導体層2上に形成された貫通孔THe(第1の貫通孔TH1)が第1の貫通孔の例であり、ビアを形成しない第2の導体層2上に形成された貫通孔THe(第2の貫通孔TH2)が第2の貫通孔の例である。
【0143】
また、ビアを形成する第2の導体層2上に形成された貫通孔THeを埋める第3の導体層3が第1のビア部の例であり、ビアを形成しない第2の導体層2上に形成された貫通孔THeを埋める第3の導体層3が第2のビア部の例であり、テーパ角α1が第1の角度の例であり、テーパ角α2が第2の角度の例である。
【0144】
また、第2の絶縁層60上に形成される複数の第2の導体層2の部分が第1の配線層および第2の配線層の例であり、ビアを形成する第2の導体層2上に形成された貫通孔THeが第1の貫通孔の底部開口が第1の底部開口の例であり、ビアを形成しない第2の導体層2上に形成された貫通孔THeの底部開口が第2の底部開口の例であり、底部寸法BD1が第1の底部開口の大きさの例であり、底部寸法BD2が第2の底部開口の大きさの例である。
【0145】
また、第2の絶縁層60が第2の絶縁層の例であり、第2の絶縁層60の上面が第3の面の例であり、第2の絶縁層60の下面が第4の面の例であり、支持層10が支持層の例であり、マスク610がマスクの例であり、光源部600が光源部の例であり、第1のマスク部分611が第1のマスク部の例であり、第2のマスク部分612が第2のマスク部の例である。
【0146】
9.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る配線回路基板は、
厚み方向において互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有するとともに、前記第1の面から前記第2の面にそれぞれ貫通する第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の前記第1の貫通孔の内部に設けられた第1のビア部と、
前記第1の絶縁層の前記第2の貫通孔の内部に設けられた第2のビア部とを備え、
前記第1の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第1の角度と、前記第2の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第2の角度とは互いに異なる。
【0147】
上記の配線回路基板において、第1の貫通孔の第2の面側の開口部が閉塞された状態で、第1の貫通孔の内部にめっきにより第1のビア部が形成される場合を想定する。この場合、第1の面が向く方向における第1のビア部の厚み方向の高さ位置は第1の貫通孔の形状に応じて定まる。また、第2の貫通孔の第2の面側の開口部が閉塞された状態で、第2の貫通孔の内部にめっきにより第2のビア部が形成される場合を想定する。この場合、第1の面が向く方向における第2のビア部の厚み方向の高さ位置は第2の貫通孔の形状に応じて定まる。
【0148】
上記の構成によれば、第1の貫通孔の形状を特定する第1の角度と、第2の貫通孔の形状を特定する第2の角度とが異なる。そこで、第1の絶縁層の複数の部分でめっきの形成状態にばらつきが生じる場合でも、そのばらつきの範囲が小さくなるように複数の部分に第1の貫通孔および第2の貫通孔を適宜形成する。この場合、配線回路基板の作製時に、複数のビア部の高さを揃えるための工程が不要となる。したがって、製造工程数の増加を抑制しつつ複数のビア部上に位置する複数の端子部の高さ位置を均一化することが可能になる。
【0149】
(第2項)第1項に記載の配線回路基板において、
前記配線回路基板は、
一の面上に形成される第1の配線層および第2の配線層をさらに備え、
前記第1の絶縁層は、前記第2の面が前記一の面に接するとともに前記第1の配線層および前記第2の配線層を覆うように形成され、
前記第1の貫通孔は、前記第1の絶縁層の前記第2の面側で前記第1の配線層により閉塞される第1の底部開口を有し、
前記第2の貫通孔は、前記第1の絶縁層の前記第2の面側で前記第2の配線層により閉塞される第2の底部開口を有し、
前記第1のビア部は、前記第1の貫通孔内で前記第1の配線層上に形成され、
前記第2のビア部は、前記第2の貫通孔内で前記第2の配線層上に形成され、
前記第1の底部開口の大きさと前記第2の底部開口の大きさとは互いに異なってもよい。
【0150】
上記の構成によれば、第1の貫通孔の形状を特定する第1の底部開口の大きさと、第2の貫通孔の形状を特定する第2の底部開口の大きさとが異なる。そこで、これらの形状の相違を考慮しつつ第1の絶縁層の複数の部分に第1の貫通孔および第2の貫通孔を適宜形成する。それにより、複数のビア部の高さ位置をより均一化することができる。
【0151】
(第3項)第1項または第2項に記載の配線回路基板において、
前記配線回路基板は、
前記厚み方向において互いに逆方向を向く第3の面および第4の面を有するとともに、前記第3の面が前記第2の面に接するように前記第1の絶縁層の前記第2の面上に設けられる第2の絶縁層をさらに備えてもよい。
【0152】
この場合、第2の絶縁層に貫通孔を設け、当該貫通孔内にさらなるビア部を形成することができる。それにより、配線回路基板における配線の設計の自由度が向上する。
【0153】
(第4項)第3項に記載の配線回路基板において、
前記配線回路基板は、
前記第2の絶縁層の前記第4の面上に直接的または間接的に設けられ、前記第1の絶縁層および前記第2の絶縁層よりも高い剛性を有する支持層をさらに備えてもよい。
【0154】
この場合、第1のビア部および第2のビア部を含む配線回路の構成が支持層により支持されるので、配線回路基板の信頼性が向上する。また、配線回路基板が全体的にフレキシブル性を有する場合でも、支持層により配線回路基板の取り扱い性が向上する。
【0155】
(第5項)第1項または第2項に記載の配線回路基板において、
前記第1の絶縁層は、感光性材料からなってもよい。
【0156】
この場合、フォトリソグラフィにより第1の絶縁層に第1の貫通孔および第2の貫通孔を形成することができる。それにより、機械的な加工を要することなく、複数のビア部の高さ位置を均一化することができる。
【0157】
(第6項)第6項に係る配線回路基板の製造方法は、
厚み方向において互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有するとともに、前記第1の面から前記第2の面にそれぞれ貫通する第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層の前記第1の貫通孔の内部にめっきにより第1のビア部を形成するとともに、前記第1の絶縁層の前記第2の貫通孔の内部にめっきにより第2のビア部を形成する工程とを含み、
前記第1の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第1の角度と、前記第2の貫通孔の内周面の少なくとも一部と前記第1の面とがなす第2の角度とは互いに異なる。
【0158】
上記の製造方法により作製される配線回路基板において、第1の貫通孔の第2の面側の開口部が閉塞された状態で、第1の貫通孔の内部にめっきにより第1のビア部が形成される場合を想定する。この場合、第1の面が向く方向における第1のビア部の厚み方向の高さ位置は第1の貫通孔の形状に応じて定まる。また、第2の貫通孔の第2の面側の開口部が閉塞された状態で、第2の貫通孔の内部にめっきにより第2のビア部が形成される場合を想定する。この場合、第1の面が向く方向における第2のビア部の厚み方向の高さ位置は第2の貫通孔の形状に応じて定まる。
【0159】
上記の構成によれば、第1の貫通孔の形状を特定する第1の角度と、第2の貫通孔の形状を特定する第2の角度とが異なる。そこで、第1の絶縁層の複数の部分でめっきの形成状態にばらつきが生じる場合でも、そのばらつきの範囲が小さくなるように複数の部分に第1の貫通孔および第2の貫通孔を適宜形成する。この場合、配線回路基板の作製時に、複数のビア部の高さを揃えるための工程が不要となる。したがって、製造工程数の増加を抑制しつつ複数のビア部上に位置する複数の端子部の高さ位置を均一化することが可能になる。
【0160】
(第7項)第6項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記第1の絶縁層を形成する工程は、
所定の面上に感光性材料の前駆体からなる仮絶縁層を形成する工程と、
前記所定の面に対向する位置から前記仮絶縁層に、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔に対応するパターンを有するマスクを介して露光光を照射することにより前記仮絶縁層を露光する工程と、
露光後の前記仮絶縁層を現像する工程とを含んでもよい。
【0161】
この場合、第1の貫通孔および第2の貫通孔を有する第1の絶縁層を、フォトリソグラフィにより容易に作製することができる。
【0162】
(第8項)第7項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記露光光は、
前記第1の貫通孔に対応する第1の露光光と、
前記第2の貫通孔に対応する第2の露光光とを含み、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に光源部から前記マスクを通して前記第1の露光光を照射することと、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に前記光源部から前記マスクを通して前記第2の露光光を照射することとを含み、
前記マスクから前記光源部を見た前記第1の露光光の光源部の寸法を角度で表す第1のコリメーション半角と、前記マスクから前記光源部を見た前記第2の露光光の光源部の寸法を角度で表す第2のコリメーション半角とは互いに異なってもよい。
【0163】
仮絶縁層にマスクを通して露光光を照射し、現像処理を行うことにより一の貫通孔を有する絶縁層を形成する場合を想定する。この場合、一の貫通孔の内周面と絶縁層の一面とがなす角度は、マスクから光源部を見た露光光の光源部の寸法を角度で表すコリメーション半角に応じて変化する。上記の方法によれば、第1の貫通孔を形成するための第1の露光光に対応する第1のコリメーション半角と、第2の貫通孔を形成するための第2の露光光に対応する第2のコリメーション半角とが異なる。したがって、簡単な調整作業で第1の角度と第2の角度とを異ならせることができる。
【0164】
(第9項)第7項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に対して、第1の距離をおいて前記マスクを配置し、前記露光光を照射することと、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に対して、前記第1の距離とは異なる第2の距離をおいて前記マスクを配置し、前記露光光を照射することとを含んでもよい。
【0165】
仮絶縁層にマスクを通して露光光を照射し、現像処理を行うことにより一の貫通孔を有する絶縁層を形成する場合を想定する。この場合、一の貫通孔の内周面と絶縁層の一面とがなす角度は、上記の露光光の照射時におけるマスクと仮絶縁層との間の距離に応じて変化する。上記の方法によれば、第1の貫通孔を形成するための露光と、第2の貫通孔を形成するための露光との間で、マスクと仮絶縁層との間の距離が異なる。したがって、簡単な調整作業で第1の角度と第2の角度とを異ならせることができる。
【0166】
(第10項)第7項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記露光光は、
予め定められた複数の波長領域のうち一の波長領域の光からなる第3の露光光と、
前記複数の波長領域のうち2以上の波長領域の光からなる第4の露光光とを含み、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に前記第3の露光光を照射し、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に前記第4の露光光を照射することを含んでもよい。
【0167】
仮絶縁層にマスクを通して露光光を照射し、現像処理を行うことにより一の貫通孔を有する絶縁層を形成する場合を想定する。この場合、一の貫通孔の内周面と絶縁層の一面とがなす角度は、上記の露光光を構成する光の波長分布に応じて変化する。上記の方法によれば、第1の貫通孔を形成するための第3の露光光の波長分布と、第2の貫通孔を形成するための第4の露光光の波長分布とが異なる。したがって、簡単な調整作業で第1の角度と第2の角度とを異ならせることができる。
【0168】
(第11項)第7項に記載の配線回路基板の製造方法において、
前記マスクは、
グレイトーンマスク、ハーフトーンマスクおよび位相シフトマスクのうち一のマスクの構造を有し、前記第1の貫通孔に対応する第1のマスク部と、
前記グレイトーンマスク、前記ハーフトーンマスクおよび前記位相シフトマスクのうち他のマスクの構造を有し、前記第2の貫通孔に対応する第2のマスク部とを含み、
前記仮絶縁層を露光する工程は、
前記仮絶縁層のうち前記第1の貫通孔が形成されることになる第1の部分または前記第1の部分を取り囲む部分に光源部から前記マスクの前記第1のマスク部を通して前記露光光を照射することと、
前記仮絶縁層のうち前記第2の貫通孔が形成されることになる第2の部分または前記第2の部分を取り囲む部分に前記光源部から前記マスクの前記第2のマスク部を通して前記露光光を照射することとを含んでもよい。
【0169】
仮絶縁層にマスクを通して露光光を照射し、現像処理を行うことにより一の貫通孔を有する絶縁層を形成する場合を想定する。この場合、一の貫通孔の内周面と絶縁層の一面とがなす角度は、マスクを通して仮絶縁層に入射する光の態様(強度分布および拡散度合い等)に応じて変化する。上記の方法においては、マスクにおける第1のマスク部の構成と第2のマスク部の構成とが異なる。そのため、第1の貫通孔を形成するために第1のマスク部を通して仮絶縁層に照射される光の態様と、第2の貫通孔を形成するために第2のマスク部を通して仮絶縁層に照射される光の態様とは異なる。したがって、第1のマスク部および第2のマスク部を含むマスクを用いることにより、第1の角度と第2の角度とを容易に異ならせることができる。
【符号の説明】
【0170】
1…第1の導体層,1a,1b…部分導体層,2…第2の導体層,3…第3の導体層,3T…端子形成部,4…第4の導体層,10…支持層,40…カバー絶縁層,50…第1の絶縁層,50x…仮絶縁層,60…第2の絶縁層,70…第3の絶縁層,80…第4の絶縁層,100…再配線基板,101…第1の面,102…第2の面,110…金属支持体,110a…第5の面,110b…第6の面,120…絶縁被覆層,121,123…第1の仮被覆層,122,124…第2の仮被覆層,200…半導体チップ,211…対向面,220…柱状接合部,290…アンダーフィル,300…リジッド基板,301…電極パッド,500…ロール装置,501…巻き出し部,502…巻き取り部,510,520…処理部,600…光源部,610…マスク,611…第1のマスク部分,612…第2のマスク部分,BD,BD1,BD2…底部寸法,DT…厚み方向,EL…露光光,HP…高さ位置,MD…マスク距離,R1…繰り出しロール,R2…巻き取りロール,S…半田,T1,T2…端子部,TH1…第1の貫通孔,TH2…第2の貫通孔,THa,THb,THc,THd,THe,THf,THg,THh,THi,THj,THk,THl,THm,THn…貫通孔,d1,d2…距離,s1…第3の面,s2…第4の面,α,α1,α2,α3…テーパ角,β…コリメーション半角