(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159305
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電力変換システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075210
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】大堀 貴大
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730FD11
5H730FG05
5H730FG22
(57)【要約】
【課題】リアクトルの小型化を可能にすること。
【解決手段】電力変換システム1は、一対の第1端子t11,t12と一対の第2端子t21,t22との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータ10と、制御部13と、を備える。制御部13は、一対の第1端子t11,12及び一対の第2端子t21,t22のいずれかに接続される電圧源2の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10の動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記一対の第1端子及び前記一対の第2端子のいずれかに接続される電圧源の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替え、
前記第1モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードであり、
前記第2モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである、
電力変換システム。
【請求項2】
前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータは、複数のキャパシタと、複数のスイッチ素子と、を有し、
前記制御部は、前記複数のスイッチ素子のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を、前記電圧源の電圧値に応じたオンデューティ比に制御する、
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータは、4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有する、
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記電圧源の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる前記第1モード、及び、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる前記第2モードのいずれかに切り替える、
請求項3記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記電圧源の電圧値に応じて、前記動作モードを前記第1モード、及び、前記第2モードを含む複数のモードのいずれかに自動的に切り替える、
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記動作モードの切替操作を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記制御部は、前記操作受付部が受け付けた前記切替操作に応じて、前記動作モードを前記第1モード、及び、前記第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える、
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータは第1電圧変換部であり、
前記電力変換システムは、
一対の第3端子と、
前記一対の第2端子と前記一対の第3端子との間に接続された第2電圧変換部と、を更に備え、
前記第1電圧変換部は、変換率を段階的に変更可能であり、
前記第2電圧変換部は、変換率を連続的に変更可能である、
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記第1電圧変換部が前記変換率を変化させる最小の変化分よりも、前記第2電圧変換部が前記変換率を変化させる最小の変化分の方が小さい、
請求項7記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記第1電圧変換部は、複数のキャパシタと、複数のスイッチ素子と、を有し、
前記制御部は、前記複数のスイッチ素子のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を、前記電圧源の電圧値に応じたオンデューティ比に設定する、
請求項7記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータは、4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有し、
前記制御部は、前記電圧源の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる前記第1モード、及び、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる前記第2モードのいずれかに切り替えており、
前記制御部は、前記第1モードでは、前記複数のスイッチ素子のうち前記4レベルフライングキャパシタコンバータに含まれる2以上のスイッチ素子のオンデューティ比を33%又は67%に設定し、前記第2モードでは、前記複数のスイッチ素子のうち前記3レベルフライングキャパシタコンバータに含まれる2以上のスイッチ素子のオンデューティ比を50%に設定する、
請求項9記載の電力変換システム。
【請求項11】
一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータを備える電力変換システムの制御方法であって、
前記一対の第1端子及び前記一対の第2端子のいずれかに接続される電圧源の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える制御ステップを含み、
前記第1モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードであり、
前記第2モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換システム及びその制御方法に関する。より詳細には、本開示は、マルチレベルコンバータを備える電力変換システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フライングキャパシタを備えるDC/DC変換装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フライングキャパシタを用いたDC/DC変換装置において、入力電圧の電圧変動範囲が広い場合、増幅率の調整範囲を広げる必要があるため、DC/DC変換装置が備えるリアクトルの正規化蓄積エネルギが増加し、リアクトルが大型化する可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、リアクトルの小型化が可能な電力変換システム及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の電力変換システムは、一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータと、制御部と、を備える。前記制御部は、前記一対の第1端子及び前記一対の第2端子のいずれかに接続される電圧源の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。前記第1モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。前記第2モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【0007】
本開示の一態様の制御方法は、一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータを備える電力変換システムの制御方法である。前記制御方法は、前記一対の第1端子及び前記一対の第2端子のいずれかに接続される電圧源の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える制御ステップを含む。前記第1モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。前記第2モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、リアクトルを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る電力変換システムの概略的な回路図である。
【
図2】
図2は、同上の電力変換システムにおいて、動作モードを第1モードとした場合のタイムチャートである。
【
図3】
図3は、同上の電力変換システムにおいて、動作モードを第2モードとした場合の模式的な回路図である。
【
図4】
図4は、同上の電力変換システムにおいて、動作モードを第2モードとした場合のタイムチャートである。
【
図5】
図5は、同上の電力変換システムにおいて、動作モードを第2モードとした場合のタイムチャートである。
【
図6】
図6は、同上の電力変換システムが備えるマルチレベルフライングキャパシタコンバータの変換率とリアクトルの正規化蓄積エネルギとの関係を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の変形例1に係る電力変換システムの概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る電力変換システム及びその制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態の電力変換システム1は、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10と、制御部13と、を備える。
【0012】
マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10は、一対の第1端子t11,t12と、一対の第2端子t21,t22との間に接続される。
【0013】
制御部13は、一対の第1端子t11,t12及び一対の第2端子t21,t22のいずれかに接続される電圧源2の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10の動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【0014】
ここにおいて、一対の第1端子t11,t12及び一対の第2端子t21,t22は、電線などを接続するための部品(端子)でもよいが、例えば電子部品のリードや、回路基板に配線として形成された導電体の一部でもよい。なお、以下の説明では、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をFCコンバータ10と略称する場合がある。
【0015】
制御部13は、電圧源2の電圧値に応じて、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えている。FCコンバータ10の出力電圧を所定の電圧範囲に制御する場合、電圧源2の電圧値に応じて、FCコンバータ10の変換率は変わり得る。例えば、電圧源2として使用される蓄電池ユニットB1が複数種類あり、複数種類の蓄電池ユニットB1の間で出力電圧の許容変動範囲が異なる場合、FCコンバータ10に接続される蓄電池ユニットB1の電圧値によって、FCコンバータ10の変換率は変わり得る。
【0016】
図6は、FCコンバータ10の変換率と、FCコンバータ10が備えるリアクトルL1の正規化蓄積エネルギとの関係を示すグラフである。正規化蓄積エネルギとは、リアクトルL1の充放電エネルギを、FCコンバータ10に入力された入力エネルギで正規化した値である。
図6中のA1は3レベルフライングキャパシタコンバータの場合の特性、
図6中のA2は4レベルフライングキャパシタコンバータの場合の特性である。また、
図6中のA3は昇圧チョッパ回路の場合の特性である。
【0017】
図6より、変換率が2倍付近では4レベルフライングキャパシタコンバータに比べて3レベルフライングキャパシタコンバータの方がリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが小さくなっている。また、変換率が1.5倍付近又は3倍付近では3レベルフライングキャパシタコンバータに比べて4レベルフライングキャパシタコンバータの方がリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが小さくなる。正規化蓄積エネルギは必要とされるリアクトルL1の大きさと相関があるので、変換率が2倍付近では3レベルフライングキャパシタコンバータの方が4レベルフライングキャパシタコンバータよりもインダクタL1を小型化することができる。また、変換率が1.5倍付近又は3倍付近では4レベルフライングキャパシタコンバータの方が3レベルフライングキャパシタコンバータよりもインダクタL1を小型化することができる。以上のことから、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10が、Nレベルフライングキャパシタコンバータ又はMレベルフライングキャパシタコンバータとして動作可能な場合、インダクタL1の小形化に有利なレベルは変換率によって変わり得る。
【0018】
本実施形態では、制御部13が、電圧源2の電圧値に応じて(つまり変換率に応じて)、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えることによって、変換率の調整範囲を広げつつ、リアクトルL1の小型化を図ることができる。
【0019】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る電力変換システム1について
図1~
図6を参照して詳しく説明する。
【0020】
(2.1)構成
本実施形態の電力変換システム1は、例えば、住宅等の施設に設置されている。なお、電力変換システム1が設置される施設は住宅用に限定されず、非住宅用の施設でもよい。
【0021】
本実施形態の電力変換システム1は、上述のように、FCコンバータ10と、制御部13とを備える。また、電力変換システム1は、
図1に示すように、駆動回路14と、操作受付部15と、例えば太陽光発電システム用のパワーコンバータ(以下、PVパワコンと略称する)16とを更に備えている。
【0022】
FCコンバータ10は、一対の第1端子t11,t12と、一対の第2端子t21,t22との間に接続されている。
【0023】
本実施形態では、一対の第1端子t11,t12には、電圧源2である蓄電池ユニットB1が接続されている。第1端子t11は、蓄電池ユニットB1の正極側の端子に接続され、第1端子t12は、蓄電池ユニットB1の負極側の端子に接続されている。
【0024】
一対の第2端子t21,t22には双方向の電力変換が可能なPVパワコン16が接続されている。PVパワコン16は、施設に設けられた分電盤3に接続されている。PVパワコン16には、太陽光発電システム等の発電システム4が接続されている。PVパワコン16は、発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換し、さらに交流電圧に変換して分電盤3に出力することも可能であり、電力変換システム1から入力される電圧を交流電圧に変換して分電盤3に出力することも可能である。また、PVパワコン16は、分電盤3から入力される交流電圧を直流電圧に変換して電力変換システム1に出力することも可能であり、発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換して電力変換システム1に出力することも可能である。電力変換システム1は、PVパワコン16から入力された直流電圧を電圧変換して電圧源2である蓄電池ユニットB1を充電することもできる。
【0025】
分電盤3には、分岐配線を介して負荷5が接続されている。また、分電盤3には、系統電源6が接続されている。分電盤3は、系統電源6又はPVパワコン16、又はその両方から供給される交流電力を負荷5に供給する。なお、
図1では分電盤3に1つの負荷5しか接続されていないが、分電盤3に複数の分岐配線を介して複数の負荷5が接続されていてもよい。
【0026】
FCコンバータ10は双方向の電圧変換が可能である。
【0027】
例えば、系統電源6の停電時には、FCコンバータ10が、電圧源2である蓄電池ユニットB1から入力される直流電圧を電圧変換してPVパワコン16に出力する。PVパワコン16は、FCコンバータ10から入力される直流電圧を交流電圧に変換して分電盤3に出力する。
【0028】
また、例えば系統電源6の通電時には、PVパワコン16が、分電盤3から入力される交流電圧を交流直流変換して得た直流電圧をFCコンバータ10に出力する。FCコンバータ10は、PVパワコン16から入力される直流電圧を電圧変換して蓄電池ユニットB1に出力し、蓄電池ユニットB1を充電する。なお、この場合は一対の第2端子21,22に接続されるPVパワコン16又は発電システム4が電圧源となる。
【0029】
FCコンバータ10は、例えば、4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有している。そして、制御部13は、電圧源2の電圧値に応じて、FCコンバータ10の動作モードを、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第1モード、及び、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第2モードのいずれかに切り替える。すなわち、本実施形態はNレベルフライングキャパシタコンバータが4レベルフライングキャパシタコンバータであり、Mレベルフライングキャパシタコンバータが3レベルフライングキャパシタコンバータである場合を例に説明を行う。なお、制御部13による動作モードの切り替えは、制御部13が自動的に行う形態と、ユーザによる動作モードの切替操作に応じて制御部13が動作モードを切り替える形態の両方を含み得る。
【0030】
FCコンバータ10は、例えば、6つのスイッチ素子Q1~Q6と、2つのキャパシタC1,C2と、リアクトルL1と、を備えている。つまり、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10は、複数のキャパシタC1,C2と、複数のスイッチ素子Q1~Q6と、を有している。
【0031】
6つのスイッチ素子Q1~Q6の各々は、例えばNチャネル型MOSFETである。一対の第2端子t21,t22の間には6つのスイッチ素子Q1~Q6が直列に接続されている。つまり、高電位側の第2端子t21と、低電位側の第2端子t22との間には、スイッチ素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6の順番で、6つのスイッチ素子Q1~Q6が直列に接続されている。各スイッチ素子Q1~Q6のゲートには、駆動回路14からの駆動信号S1~S6が入力される。駆動回路14は、制御部13から入力される制御信号に応じて、各スイッチ素子Q1~Q6のゲートに駆動信号S1~S6を出力することによって、各スイッチ素子Q1~Q6をオン又はオフさせる。
【0032】
リアクトルL1の第1端は正極側の第1端子t11に接続されている。リアクトルL1の第2端は、スイッチ素子Q3とスイッチ素子Q4との間の経路上の節点に接続されている。
【0033】
キャパシタC1の第1端は、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3との間の経路上の節点に接続されており、キャパシタC1の第2端は、スイッチ素子Q4とスイッチ素子Q5との間の経路上の節点に接続されている。
【0034】
キャパシタC2の第1端は、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2との間の経路上の節点に接続されており、キャパシタC2の第2端は、スイッチ素子Q5とスイッチ素子Q6との間の経路上の節点に接続されている。
【0035】
操作受付部15は、動作モードの切替操作を受け付ける。操作受付部15は、例えば、ディップスイッチ等の切替スイッチを有する。ユーザが動作モードを切り替えるために操作受付部15を操作すると、操作受付部15は、ユーザの切替操作に応じた設定信号を制御部13に出力する。
【0036】
制御部13は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部13の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
制御部13は、操作受付部15が受け付けた切替操作に応じて、動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。本実施形態では、制御部13は、操作受付部15から入力される設定信号に基づいて、FCコンバータ10を第1モード及び第2モードのいずれかで動作させる。また、制御部13は、第1端子t11,t12間の電圧(つまり電圧源2からの入力電圧)Vaに基づいて、出力電圧Vbが所定の電圧範囲に収まるように変換率を決定する。そして、制御部13は、決定した変換率が得られるように、スイッチ素子Q1~Q6のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を決定し、スイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御する制御信号を駆動回路14に出力する。つまり、制御部13は、複数のスイッチ素子Q1~Q6のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を、電圧源2の電圧値に応じたオンデューティ比に制御する。駆動回路14は、制御部13から入力される制御信号に基づいて、スイッチ素子Q1~Q6のゲートに駆動信号S1~S6を出力し、スイッチ素子Q1~Q6をオン又はオフさせる。
【0038】
なお、制御部13がFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定する場合、制御部13は6つのスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御して、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる。制御部13がFCコンバータ10の動作モードを第2モードに設定する場合、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御し、残りの4つのスイッチ素子Q2~Q5のオン/オフを制御することによって、FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる。なお、FCコンバータ10の動作については、「(2.2)動作説明」においてより詳細に説明する。
【0039】
PVパワコン16は、発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換してFCコンバータする機能と、分電盤3とDCDCコンバータ20との間で双方向に交流直流変換を行う機能とを有している。PVパワコン16は、FCコンバータ10又は発電システム4から入力される直流電圧を、例えばAC200Vの交流電圧に変換して分電盤3に出力する。また、PVパワコン16は、分電盤3から入力される交流電圧を直流電圧に変換してFCコンバータ10に出力する。なお、PVパワコン16は、例えば発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換するための昇圧チョッパ回路と、分電盤3との双方向な交流直流変換を行うフルブリッジ型のインバータ回路を備えているが、回路構成は適宜変更が可能である。
【0040】
(2.2)動作説明
本実施形態の電力変換システム1の動作を
図1~
図6等に基づいて説明する。
【0041】
電力変換システム1に電圧源2として接続される蓄電池ユニットB1には、複数種類の蓄電池ユニットB1がある。複数種類の蓄電池ユニットB1は、出力電圧の許容変動範囲が互いに異なる。複数種類の蓄電池ユニットB1は、例えば、100V系、150V系、及び200V系の蓄電池ユニットB1を含む。100V系の蓄電池ユニットB1の出力電圧の許容変動範囲は例えば80~120Vである。150V系の蓄電池ユニットB1の出力電圧の許容変動範囲は例えば120~180Vである。200V系の蓄電池ユニットB1の出力電圧の許容変動範囲は例えば160V~240Vである。
【0042】
ここで、FCコンバータ10の出力電圧Vbが300Vに設定されている場合に、電圧源2が100V系の蓄電池ユニットB1であれば、FCコンバータ10の変換率は例えば2.5倍以上3.8倍以下の範囲で設定される。この場合、
図6の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させることが好ましい。したがって、ユーザは、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定し、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替える。
【0043】
また、FCコンバータ10の出力電圧Vbが300Vに設定されている場合に、電圧源2が150V系の蓄電池ユニットB1であれば、FCコンバータ10の変換率は例えば1.7倍以上2.5倍以下の範囲で設定される。この場合、
図6の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させることが好ましい。したがって、ユーザは、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第2モードに設定し、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第2モードに切り替える。
【0044】
また、FCコンバータ10の出力電圧Vbが300Vに設定されている場合に、電圧源2が200V系の蓄電池ユニットB1であれば、FCコンバータ10の変換率は例えば1.3倍以上1.9倍以下の範囲に設定される。この場合、
図6の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させるのが好ましい。したがって、ユーザは、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定し、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替える。
【0045】
なお、FCコンバータ10の出力電圧Vbが400Vに設定されている場合は、制御部13は、蓄電池ユニットB1の電圧値に応じて、FCコンバータ10の動作モードを以下のように切替えればよい。
【0046】
なお、FCコンバータ10の出力電圧Vbが400Vに設定されている場合に、電圧源2が100V系の蓄電池ユニットB1であれば、FCコンバータ10の変換率は例えば3.3倍以上5.0倍以下の範囲で設定される。この場合、
図6の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させることが好ましい。したがって、ユーザは、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定し、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替える。
【0047】
また、FCコンバータ10の出力電圧Vbが400Vに設定されている場合に、電圧源2が150V系の蓄電池ユニットB1であれば、FCコンバータ10の変換率は例えば2.2倍以上3.3倍以下の範囲で設定される。この場合、
図6の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させることが好ましい。したがって、ユーザは、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定し、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替える。
【0048】
また、FCコンバータ10の出力電圧Vbが400Vに設定されている場合に、電圧源2が200V系の蓄電池ユニットB1であれば、FCコンバータ10の変換率は例えば1.7倍以上2.5倍以下の範囲に設定される。この場合、
図6の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させるのが好ましい。したがって、ユーザは、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第2モードに設定し、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第2モードに切り替える。
【0049】
(2.2.1)第1モード
制御部13が、FCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替えた場合の動作を
図1及び
図2に基づいて説明する。上述のように、電圧源2が、100V系又は200V系の蓄電池ユニットB1である場合、制御部13は、操作受付部15が受け付けたユーザの切替操作に応じて、FCコンバータ10を第1モードで動作させる。
【0050】
FCコンバータ10は、PVパワコン16から入力される電圧Vbを変換して蓄電池ユニットB1を充電する充電動作を行う。また、FCコンバータ10は、蓄電池ユニットB1からの電圧Vaを電圧Vbに変換して、PVパワコン16に出力する放電動作を行う。
【0051】
まず、制御部13がFCコンバータ10を第1モードで動作させ、FCコンバータ10が放電動作を行う場合のFCコンバータ10の動作について説明する。放電動作では、制御部13は、
図2に示すように、スイッチ素子Q1,Q6を相補的に動作させ、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。なお、制御部13が2つのスイッチ素子を相補的に動作させるとは、制御部13が、2つのスイッチ素子のうちの一方をオン、2つのスイッチ素子のうちの他方をオフにするような動作のことをいう。また、制御部13は、スイッチ素子Q1をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とを120度ずつ位相がずれるように制御する。制御部13は、スイッチ素子Q1、スイッチ素子Q2、スイッチ素子Q3の順番でオフからオンに切り替える。また、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5,Q6のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0052】
制御部13は、
図2のタイムチャートに示すようなタイミングでスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御することによって、FCコンバータ10は蓄電池ユニットB1の電圧Vaを昇圧した電圧VbをPVパワコン16に出力する。
図2の期間T1~T6におけるスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフは表1の通りである。
【0053】
【0054】
制御部13は、期間T1~期間T6のスイッチング動作を繰り返し行っており、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合はスイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。オンデューティ比の設定値によっては期間T1~T6の各スイッチングパターンの中で、出現しない期間も発生し得る。
【0055】
ここにおいて、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合は、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比をDaとすると、電圧Vbは数式“Vb=Va/(1-Da/100)”で求まる電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を2倍に設定する場合、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が50%に設定され、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が50%に設定される。また、FCコンバータ10の変換率を3倍に設定する場合、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が67%に設定され、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が33%に設定される。また、FCコンバータ10の変換率を1.5倍に設定する場合、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が33%に設定され、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が67%に設定される。
【0056】
次に、制御部13がFCコンバータ10を第1モードで動作させ、FCコンバータ10が充電動作を行う場合について説明する。充電動作においても、制御部13は、
図2に示すように、スイッチ素子Q1,Q6を相補的に動作させ、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。また、制御部13は、スイッチ素子Q1をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とを120度ずつ位相がずれるように制御する。制御部13は、スイッチ素子Q1、スイッチ素子Q2、スイッチ素子Q3の順番でオフからオンに切り替える。また、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5,Q6のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0057】
制御部13が、
図2のタイムチャートに示すようなタイミングでスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御することによって、一対の第1端子t11,t12の間には、電圧Vbをスイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比に応じた変換率で降圧した電圧Vaが発生する。なお、充電動作時のFCコンバータ10の動作については説明を省略する。
【0058】
ここにおいて、FCコンバータ10が降圧動作を行う場合は、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比をDbとすると、電圧Vaは数式“Va=Vb×(Db/100)”で求まる電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を(1/2)倍に設定する場合、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が50%に設定され、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が50%に設定される。また、FCコンバータ10の変換率を(1/3)倍に設定する場合、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が33%に設定され、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が67%に設定される。また、FCコンバータ10の変換率を(1/1.5)倍に設定する場合、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が67%に設定され、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が33%に設定される。
【0059】
(2.2.2)第2モード
制御部13が、FCコンバータ10を第2モードで動作させる場合の動作を
図3、
図4及び
図5に基づいて説明する。上述のように、電圧源2が、150V系の蓄電池ユニットB1である場合、制御部13は、操作受付部15が受け付けたユーザの切替操作に応じて、FCコンバータ10を第2モードで動作させる。
【0060】
制御部13は、FCコンバータ10を第2モード、すなわち3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる場合、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御する。
図3では、スイッチ素子Q1,Q6が常時オンになっている状態を模式的に図示している。
【0061】
まず、制御部13がFCコンバータ10を第2モードで動作させ、FCコンバータ10が放電動作を行う場合について説明する。放電動作では、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御した状態で、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。また、制御部13は、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とが180度位相がずれるように制御し、スイッチ素子Q4をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q5をオンに制御する期間とが180度位相がずれるように制御する。また、制御部13は、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0062】
制御部13は、
図4又は
図5のタイムチャートに示すようなタイミングでスイッチ素子Q2~Q5のオン/オフを制御する。
図4と
図5とはスイッチングパターンが異なっており、これはスイッチ素子Q2~Q5のオンデューティの違いに起因する。なお、
図4の期間T11~T14におけるスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフは表2の通りであり、
図5の期間T11~T14におけるスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフは表3の通りである。
【0063】
【0064】
【0065】
制御部13は、期間T11~T14のスイッチング動作を繰り返し行っており、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合はスイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。オンデューティ比の設定値によっては期間T11~T14の各スイッチングパターンの中で、出現しない期間も発生し得る。一対の第2端子t21,t22の間には、電圧Vaをスイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比に応じた変換率で昇圧した電圧Vbが発生する。
【0066】
ここにおいて、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比をDaとすると、電圧Vbは、数式“Vb=Va/(1-Da/100)”で求まる電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を2倍に設定する場合、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比が50%に設定され、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比が50%に設定される。
【0067】
次に、制御部13がFCコンバータ10を第2モードで動作させ、FCコンバータ10が充電動作を行う場合について説明する。充電動作においても、制御部13は、
図4及び
図5に示すように、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御した状態で、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。また、制御部13は、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とを180度位相がずれるように制御し、スイッチ素子Q4をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q5をオンに制御する期間とが180度位相がずれるように制御する。また、制御部13は、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0068】
制御部13は、期間T11~T14のスイッチング動作を繰り返し行っており、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。一対の第1端子t11,t12の間には、一対の第2端子T21,T22に入力された電圧Vbを降圧した電圧Vaが発生する。ここで、制御部13が、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。一対の第1端子t11,t12の間には、電圧Vbをスイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比に応じた変換率で降圧した電圧Vaが発生する。
【0069】
ここにおいて、FCコンバータ10が降圧動作を行う場合、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比をDbとすると、電圧Vaは、数式“Va=Vb×(Db/100)”によって決定される電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を(1/2)倍に設定する場合、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比が50%に設定され、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比が50%に設定される。
【0070】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、電力変換システム1と同様の機能は、電力変換システム1の制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る制御方法は、一対の第1端子t11,t12と一対の第2端子t21,t22との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータ10を備える電力変換システム1の制御方法である。この制御方法は、一対の第1端子t11,t12及び一対の第2端子t21,t22のいずれかに接続される電圧源2の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10の動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える制御ステップを含む。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【0071】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。また、上記の実施形態を基本構成という場合もある。
【0072】
本開示における電力変換システム1及びその制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電力変換システム1及びその制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0073】
また、電力変換システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは電力変換システム1に必須の構成ではなく、電力変換システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。
【0074】
(3.1)変形例1
変形例1の電力変換システム1について
図7を参照して説明する。変形例1の電力変換システム1では、基本構成で説明したFCコンバータ10である第1電圧変換部11に加えて、第2電圧変換部12を備える点で基本構成と相違する。第1電圧変換部11は蓄電池ユニットB1に接続されている。第2電圧変換部12はPVパワコン16に接続されており、負荷5が接続される電路側に接続されている。なお、基本構成の電力変換システム1と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0075】
変形例1の電力変換システム1は、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12とを備える。電力変換システム1において第1電圧変換部11は蓄電池ユニットB1側に接続され、第2電圧変換部12は負荷5側に接続されている。
【0076】
第1電圧変換部11は、基本構成で説明したマルチレベルフライングキャパシタコンバータ(FCコンバータ)10である。また、変形例1の電力変換システム1は、基本構成で説明した駆動回路14である第1駆動回路14Aを備えている。
【0077】
そして、変形例1の電力変換システム1は、一対の第3端子t31,t32と、一対の第2端子t21,t22と一対の第3端子t31,t32との間に接続された第2電圧変換部12と、を更に備えている。ここで、第1電圧変換部11は、変換率を段階的に変更可能であり、第2電圧変換部12は、変換率を連続的に変更可能である。
【0078】
ここにおいて、一対の第1端子t31,t32は、電線などを接続するための部品(端子)でもよいが、例えば電子部品のリードや、回路基板に配線として形成された導電体の一部でもよい。第2電圧変換部12が「変換率を連続的に変更可能」であるとは、第2電圧変換部12の変換率を、第2電圧変換部12で実現可能な最小単位又は最小単位の数倍の変化幅で変化させることをいう。例えば、制御部13が、スイッチ素子Q7又はQ8のオンデューティ比を変化させることによって第2電圧変換部12の変換率を調整している場合、第2電圧変換部12で実現可能な変換率の最小単位は、制御部13が制御可能なオンデューティ比の最小の変化分によって発生する変換率の変化分に相当する。したがって、第2電圧変換部12が変換率を連続的に変化させる場合の最小の変化分は、第1電圧変換部11が変換率を段階的に変化させる場合の最小の変化分よりも小さくなる。すなわち、第1電圧変換部11が「変換率を段階的に変更可能」であるとは、第2電圧変換部12が変換率を変更可能な最小の変化分よりも大きな変化分で、第1電圧変換部13が変換率を変化させることを言う。例えば、第1電圧変換部11は、第2電圧変換部12が変換率を変更可能な最小の変化分の数倍から数十倍の変化分で変換率を変化(増加又は減少)させる。
【0079】
変形例1の電力変換システム1では、第1電圧変換部11の変換率と、第2電圧変換部12の変換率とを掛け合わせた値が、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含む直流変換部20の変換率となる。第2電圧変換部12は、変換率を連続的に変更可能であるから、第1電圧変換部11が変換率を大まかに調整した後、第2電圧変換部12が変換率を微調整することで、直流変換部20の変換率を所望の値に設定できる。また、負荷5が接続される給電路の電圧は、蓄電池ユニットB1の電圧に比べて変動しやすいが、変換率を連続的に変更可能な第2電圧変換部12が給電路側に配置されているので、第2電圧変換部12の変換率を微調整することで、給電路の電圧変動を抑制することができるという利点もある。
【0080】
第1電圧変換部11は基本構成で説明したFCコンバータ10と同様であるので、その説明は省略する。
【0081】
変形例1の電力変換システム1では、一対の第2端子t21,t22の間にキャパシタC3が接続されている。
【0082】
第2電圧変換部12は、リアクトルL2と、スイッチ素子Q7,Q8と、キャパシタC4とを備える。第2電圧変換部12は、電圧の昇圧動作と降圧動作を双方向で行うことが可能な双方向昇降圧チョッパ回路である。スイッチ素子Q7,Q8は例えばNチャネル型のMOSFETである。第2駆動回路14Bが、制御部13から入力される制御信号に応じてスイッチ素子Q7,Q8をオン又はオフにする。
【0083】
第2端子t21にはリアクトルL2の第1端が接続されている。リアクトルL2の第2端にはスイッチ素子Q7のドレインが接続され、スイッチ素子Q7のソースは第2端子t22に接続されている。また、リアクトルL2とスイッチ素子Q7のドレインとの間の経路上の節点には、スイッチ素子Q8のソースが接続され、スイッチ素子Q8のドレインは第3端子t31に接続されている。一対の第3端子t31,t32の間にはキャパシタC4が接続されている。第2端子t22とキャパシタC4との間の経路上の節点に第3端子t32が接続されている。また、一対の第3端子t31,t32の間にはPVパワコン16が接続されている。
【0084】
制御部13は、第2駆動回路14Bに制御信号を出力することによって、第2駆動回路14Bにてスイッチ素子Q7,Q8を交互にターンオンする。制御部13は、スイッチ素子Q7,Q8を交互にターンオンすることで、双方向の電圧変換動作(昇降動作又は降圧動作)を実現する。なお、第2電圧変換部12が、第1電圧変換部11の出力電圧を電圧変換してPVパワコン16に出力する場合、制御部13は、スイッチ素子Q7をゼロ電圧スイッチングすることで、スイッチング損失の低減を図っている。また、第2電圧変換部12が、PVパワコン16からの入力電圧を電圧変換して第1電圧変換部11に出力する場合、制御部13は、スイッチ素子Q8をゼロ電圧スイッチングすることで、スイッチング損失の低減を図っている。
【0085】
変形例1の電力変換システム1では、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)の変換率を段階的に変更し、第2電圧変換部12の変換率を連続的に変更している。
【0086】
具体的には、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)が昇圧動作を行う場合、第1電圧変換部11の変換率を、3レベルフライングキャパシタコンバータでリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが最小となる2倍、又は、4レベルフライングキャパシタコンバータでリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが最小となる1.5倍、又は、3倍に設定する。
【0087】
また、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)が降圧動作を行う場合、第1電圧変換部11の変換率を、3レベルフライングキャパシタコンバータでリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが最小となる(1/2)倍、又は、4レベルフライングキャパシタコンバータでリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが最小となる(1/1.5)倍、又は、(1/3)倍に設定する。
【0088】
例えば、制御部13は、第1モードでは、複数のスイッチ素子Q1~Q6のうち4レベルフライングキャパシタコンバータに含まれる2以上のスイッチ素子Q1~Q6のオンデューティ比を33%又は67%に設定する。これにより、制御部13は、第1モードにおいて、FCコンバータ10の変換率を放電動作時は1.5倍又は3倍に設定でき、充電動作時は(1/1.5)倍又は(1/3)倍に設定できる。
【0089】
また、制御部13は、第2モードでは、複数のスイッチ素子Q1~Q6のうち3レベルフライングキャパシタコンバータに含まれる2以上のスイッチ素子Q2~Q5のオンデューティ比を50%に設定する。これにより、制御部13は、第2モードにおいて、FCコンバータ10の変換率を放電動作時は2倍に設定でき、充電動作時は(1/2)倍に設定できる。
【0090】
そして、制御部13は、電力変換システム1の全体の変換率が所望の変換率となるように、第2電圧変換部12の変換率を設定する。ここで、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1に最も近づくように、第1電圧変換部11の変換率を1.5倍、2倍、3倍のいずれかに設定した後、全体の変換率が所望の変換率となるように第2電圧変換部12の変換率を設定する。
【0091】
また、FCコンバータ10が降圧動作を行う場合、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1に最も近づくように、第1電圧変換部11の変換率を1/(1.5)倍、1/2倍、1/3倍のいずれかに設定した後、全体の変換率が所望の変換率となるように第2電圧変換部12の変換率を設定する。
【0092】
このように、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1に最も近づくように、第1電圧変換部11の変換率を設定しており、第1電圧変換部11及び第2電圧変換部12が備えるリアクトルL1,L2の小型化を図ることができる。
【0093】
(3.2)その他の変形例
基本構成で説明したFCコンバータ10の回路構成及び動作シーケンスは一例であり、適宜変更が可能である。
【0094】
基本構成では、FCコンバータ10が4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有しているが、FCコンバータ10は、5レベル以上のマルチレベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有していてもよい。
【0095】
また基本構成では、第1モードでのNレベルが4レベルであり、第2モードでのMレベルが3レベルであるが、第1モードでのNレベル、及び、第2モードでのMレベルは適宜変更が可能である。例えば、FCコンバータ10が5レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有している場合、第1モードでのNレベルが5レベル、第2モードでのMレベルが4レベル又は3レベルに設定されていてもよい。第2モードでのMレベルは、第1モードでのNレベルよりも小さければよく、適宜変更が可能である。
【0096】
また基本構成では、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードのいずれかに切り替えているが、3つ以上の複数のモードのいずれかに切り替えてもよい。例えば、FCコンバータ10が5レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を備える場合に、制御部13が、FCコンバータ10を、5レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第1モード、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第2モード、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第3モードのいずれかに切り替えてもよい。
【0097】
また、基本構成では、制御部13が、操作受付部15が受け付けたユーザの切替操作に応じてFCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードのいずれかに切り替えているが、動作モードの切り替えを自動的に行ってもよい。
【0098】
例えば、制御部13は、電圧源2の電圧値に応じて、動作モードを第1モード、及び、第2モードを含む複数のモードのいずれかに自動的に切り替えてもよい。具体的には、制御部13は、電圧源2から入力される電圧Vaの電圧値に基づいてFCコンバータ10の変換率を推定し、この変換率でのリアクトルL1をより小型化できるように、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えてもよい。このように、制御部13は、電圧源2の電圧値に応じて、動作モードの切り替えを自動的に行うので、ユーザによる動作モードの切替操作を不要にできるという利点がある。なお、制御部13は、FCコンバータ10の動作モードを切り替える場合、FCコンバータ10が電力変換動作を停止している状態で、動作モードの切り替えを行うことが好ましい。
【0099】
また、制御部13は、一対の第1端子t11,t12間の電圧Vaの電圧値、又は、一対の第2端子t21,t22間の電圧Vbの電圧値、又は電圧Va,Vbの両方の電圧値に基づいて、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えてもよい。つまり、制御部13は、電圧Vaの電圧値、又は、電圧Vbの電圧値、又は電圧Va,Vbの両方の電圧値に基づいて、FCコンバータ10の変換率を推定し、この変換率でのリアクトルL1をより小型化できるように、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えてもよい。
【0100】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0101】
第1の態様の電力変換システム(1)は、一対の第1端子(t11,t12)と一対の第2端子(t21,t22)との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)と、制御部(13)と、を備える。制御部(13)は、一対の第1端子(t11,t12)及び一対の第2端子(t21,t22)のいずれかに接続される電圧源(2)の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)をNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)をMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【0102】
この態様によれば、制御部(13)が、電圧源(2)の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えることによって、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0103】
第2の態様の電力変換システム(1)では、第1の態様において、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)は、複数のキャパシタ(C1,C2)と、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)と、を有する。制御部(13)は、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を、電圧源(2)の電圧値に応じたオンデューティ比に制御する。
【0104】
この態様によれば、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)のオンデューティ比を、電圧源(2)の電圧値に応じたオンデューティ比に制御することによって、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の変換率を調整することができる。
【0105】
第3の態様の電力変換システム(1)では、第1又は第2の態様において、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)は、4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有する。
【0106】
この態様によれば、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が3レベルフライングキャパシタコンバータで構成されている場合に比べて、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0107】
第4の態様の電力変換システム(1)では、第3の態様において、制御部(13)は、電圧源(2)の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の動作モードを、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第1モード、及び、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第2モードのいずれかに切り替える。
【0108】
この態様によれば、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0109】
第5の態様の電力変換システム(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、制御部(13)は、電圧源(2)の電圧値に応じて、動作モードを第1モード、及び、第2モードを含む複数のモードのいずれかに自動的に切り替える。
【0110】
この態様によれば、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0111】
第6の態様の電力変換システム(1)は、第1~第4のいずれかの態様において、動作モードの切替操作を受け付ける操作受付部(15)を更に備える。制御部(13)は、操作受付部(15)が受け付けた切替操作に応じて、動作モードを第1モード、及び、第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。
【0112】
この態様によれば、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0113】
第7の態様の電力変換システム(1)では、第1~第6のいずれかの態様において、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)は第1電圧変換部(11)である。電力変換システム(1)は、一対の第3端子(t31,t32)と、一対の第2端子(t21,t22)と第3端子(t31,t32)との間に接続された第2電圧変換部(12)と、を更に備える。第1電圧変換部(11)は、変換率を段階的に変更可能であり、第2電圧変換部(12)は、変換率を連続的に変更可能である。
【0114】
この態様によれば、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0115】
第8の態様の電力変換システム(1)では、第7の態様において、第1電圧変換部(11)が変換率を変化させる最小の変化分よりも、第2電圧変換部(12)が変換率を変化させる最小の変化分の方が小さい。
【0116】
この態様によれば、第2電圧変換部(12)で変換率を微調整することができるので、第1電圧変換部(11)では変換率を大まかに設定すればよいという利点がある。
【0117】
第9の態様の電力変換システム(1)では、第7又は第8の態様において、第1電圧変換部(11)は、複数のキャパシタ(C1,C2)と、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)と、を有する。制御部(13)は、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を、電圧源(2)の電圧値に応じたオンデューティ比に設定する。
【0118】
この態様によれば、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)のオンデューティ比を調整することによって、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の変換率を調整することができる。
【0119】
第10の態様の電力変換システム(1)では、第9の態様において、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)は、4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有する。制御部(13)は、電圧源(2)の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の動作モードを、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第1モード、及び、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第2モードのいずれかに切り替えている。制御部(13)は、第1モードでは、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)のうち4レベルフライングキャパシタコンバータに含まれる2以上のスイッチ素子のオンデューティ比を33%又は67%に設定する。制御部(13)は、第2モードでは、複数のスイッチ素子(Q1~Q6)のうち3レベルフライングキャパシタコンバータに含まれる2以上のスイッチ素子のオンデューティ比を50%に設定する。
【0120】
この態様によれば、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0121】
第11の態様の制御方法は、一対の第1端子(t11,t12)と一対の第2端子(t21,t22)との間に接続されるマルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)を備える電力変換システム(1)の制御方法である。この制御方法は、一対の第1端子(t11,t12)及び一対の第2端子(t21,t22)のいずれかに接続される電圧源(2)の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える制御ステップを含む。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)をNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)をMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【0122】
この態様によれば、電圧源(2)の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えることによって、変換率の調整範囲を広げつつ、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(10)が備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0123】
上記態様に限らず、上記の実施形態に係る電力変換システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、電力変換システム(1)の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0124】
第2~第10の態様に係る構成については、電力変換システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 電力変換システム
2 電圧源
10 マルチレベルフライングキャパシタコンバータ(FCコンバータ)
11 第1電圧変換部
12 第2電圧変換部
13 制御部
15 操作受付部
C1,C2 キャパシタ
Q1~Q6 スイッチ素子
t11,t12 第1端子
t21,t22 第2端子
t31,t32 第3端子