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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159306
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】DCDCコンバータ及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02M3/155 U
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075211
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 貴大
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀樹
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB86
5H730BB88
5H730DD04
5H730DD12
5H730DD16
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】リアクトルの小型化を可能にすること。
【解決手段】DCDCコンバータ20は、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12と、制御部13と、を備える。第1電圧変換部11は、一対の第1端子t11,t12と一対の第2端子t21,t22との間に接続されて双方向の電圧変換を行う。第2電圧変換部12は、一対の第2端子t21,t22と一対の第3端子t31,t32との間に接続されて双方向の電圧変換を行う。制御部13は、第1電圧変換部11の変換率を段階的に変更可能であり、第2電圧変換部12の変換率を連続的に変更可能である。制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部11の変換率を段階的に設定することによって、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続され、前記一対の第1端子間の第1電圧と、前記一対の第2端子間の第2電圧との間で双方向の電圧変換を行う第1電圧変換部と、
前記一対の第2端子と一対の第3端子との間に接続され、前記一対の第2端子間の前記第2電圧と、前記一対の第3端子間の第3電圧との間で双方向の電圧変換を行う第2電圧変換部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に変更可能であり、前記第2電圧変換部の変換率を連続的に変更可能であり、
前記制御部は、前記第2電圧変換部の変換率が1倍に近づくように、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に設定することによって、前記第1電圧変換部と前記第2電圧変換部とを含めた全体の変換率を目標値に設定する、
DCDCコンバータ。
【請求項2】
前記第1電圧変換部が前記変換率を変化させる最小の変化分よりも、前記第2電圧変換部が前記変換率を変化させる最小の変化分の方が小さい、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
前記第1電圧変換部は、前記第1電圧を電圧変換して前記第2電圧を出力するときの変換率が1倍以上に設定され、前記第2電圧を電圧変換して前記第1電圧を出力するときの変換率が1倍以下に設定される、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項4】
前記第1電圧変換部は、前記第1電圧を電圧変換して前記第2電圧を出力するときの変換率が正の整数倍又は1.5倍に設定され、前記第2電圧を電圧変換して前記第1電圧を出力するときの変換率が(正の整数分の1)倍又は(1.5分の1)倍に設定される、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項5】
前記第2電圧変換部は、前記第2電圧を電圧変換して前記第3電圧を出力するときの変換率が1倍以上に設定され、前記第3電圧を電圧変換して前記第2電圧を出力するときの変換率が1倍以下に設定される、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項6】
前記第2電圧変換部は、前記第2電圧を電圧変換して前記第3電圧を出力するときの変換率が1倍以上2倍以下に設定され、前記第3電圧を電圧変換して前記第2電圧を出力するときの変換率が(1/2)倍以上1倍以下に設定される、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項7】
前記第1電圧変換部は、マルチレベルフライングキャパシタコンバータを含み、
前記制御部は、前記第1電圧、又は、前記第3電圧、又はその両方の電圧値に応じて、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替え、
前記第1モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードであり、
前記第2モードは、前記マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項8】
前記第2電圧変換部は、
前記一対の第2端子のうち正極側の第2端子に第1端が接続されるリアクトルと、
前記リアクトルの第2端と、前記一対の第3端子のうち正極側の第3端子との間に接続される第1スイッチ素子と、
前記リアクトルの前記第2端と、前記一対の第3端子のうち負極側の第3端子との間に接続される第2スイッチ素子と、を備え、
前記一対の第2端子のうち負極側の第2端子と前記負極側の第3端子とは電気的に接続されており、
前記第2電圧変換部は、前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子とが交互にターンオンすることで双方向の電圧変換を行う双方向チョッパ回路を含む、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項9】
前記第2電圧変換部は、前記第2電圧を電圧変換して前記第3電圧を出力するときは前記第2スイッチ素子がゼロ電圧スイッチング動作を行い、前記第3電圧を電圧変換して前記第2電圧を出力するときは前記第1スイッチ素子がゼロ電圧スイッチング動作を行う、
請求項8記載のDCDCコンバータ。
【請求項10】
前記一対の第1端子には、蓄電池ユニットが接続可能であり、
前記一対の第3端子には、前記蓄電池ユニットを充電する電源、及び、負荷の少なくとも一方が接続可能である、
請求項1記載のDCDCコンバータ。
【請求項11】
一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続され、前記一対の第1端子間の第1電圧と、前記一対の第2端子間の第2電圧との間で双方向の電圧変換を行う第1電圧変換部と、
前記一対の第2端子と一対の第3端子との間に接続され、前記一対の第2端子間の前記第2電圧と、前記一対の第3端子間の第3電圧との間で双方向の電圧変換を行う第2電圧変換部と、を備えるDCDCコンバータの制御方法であって、
前記第1電圧変換部の変換率を段階的に変更可能とし、前記第2電圧変換部の変換率を連続的に変更可能とし、
前記第2電圧変換部の変換率が1倍に近づくように、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に設定することによって、前記第1電圧変換部と前記第2電圧変換部とを含めた全体の変換率を目標値に設定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DCDCコンバータ及びその制御方法に関する。より詳細には、本開示は、双方向の電圧変換を行うDCDCコンバータ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フライングキャパシタを備えるDC/DC変換装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-191184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フライングキャパシタを用いたDC/DC変換装置において、入力電圧の電圧変動範囲が広い場合、増幅率の調整範囲を広げる必要があるため、DC/DC変換装置が備えるリアクトルの正規化蓄積エネルギが増加し、リアクトルが大型化する可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、リアクトルの小型化が可能なDCDCコンバータ及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のDCDCコンバータは、第1電圧変換部と、第2電圧変換部と、制御部と、を備える。前記第1電圧変換部は、一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続され、前記一対の第1端子間の第1電圧と、前記一対の第2端子間の第2電圧との間で双方向の電圧変換を行う。前記第2電圧変換部は、前記一対の第2端子と一対の第3端子との間に接続され、前記一対の第2端子間の前記第2電圧と、前記一対の第3端子間の第3電圧との間で双方向の電圧変換を行う。前記制御部は、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に変更可能であり、前記第2電圧変換部の変換率を連続的に変更可能である。前記制御部は、前記第2電圧変換部の変換率が1倍に近づくように、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に設定することによって、前記第1電圧変換部と前記第2電圧変換部とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【0007】
本開示の一態様の制御方法は、第1電圧変換部と、第2電圧変換部と、を備えるDCDCコンバータの制御方法である。前記第1電圧変換部は、一対の第1端子と一対の第2端子との間に接続され、前記一対の第1端子間の第1電圧と、前記一対の第2端子間の第2電圧との間で双方向の電圧変換を行う。前記第2電圧変換部は、前記一対の第2端子と一対の第3端子との間に接続され、前記一対の第2端子間の前記第2電圧と、前記一対の第3端子間の第3電圧との間で双方向の電圧変換を行う。前記制御方法では、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に変更可能とし、前記第2電圧変換部の変換率を連続的に変更可能とする。前記制御方法では、前記第2電圧変換部の変換率が1倍に近づくように、前記第1電圧変換部の変換率を段階的に設定することによって、前記第1電圧変換部と前記第2電圧変換部とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、リアクトルを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るDCDCコンバータを備える電力変換システムの概略的な回路図である。
図2図2は、同上のDCDCコンバータにおいて、動作モードを第1モードとした場合のタイムチャートである。
図3図3は、同上のDCDCコンバータにおいて、動作モードを第2モードとした場合の模式的な回路図である。
図4図4は、同上のDCDCコンバータにおいて、動作モードを第2モードとした場合のタイムチャートである。
図5図5は、同上のDCDCコンバータにおいて、動作モードを第2モードとした場合のタイムチャートである。
図6図6は、同上のDCDCコンバータにおいて、第1及び第2のスイッチ素子のオン/オフ状態とリアクトル電流の波形図である。
図7図7は、同上のDCDCコンバータにおいて、第1及び第2のスイッチ素子のオン/オフ状態とリアクトル電流の波形図である。
図8図8は、同上のDCDCコンバータが備えるマルチレベルフライングキャパシタコンバータの変換率とリアクトルの正規化蓄積エネルギとの関係を示す図である。
図9図9は、本開示の変形例1に係るDCDCコンバータが備えるマルチレベルフライングキャパシタコンバータの概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るDCDCコンバータ及びその制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
(1)概要
図1は、本実施形態のDCDCコンバータ20を備える電力変換システム1の概略的な回路図である。
【0012】
本実施形態のDCDCコンバータ20は、図1に示すように、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12と、制御部13と、を備える。
【0013】
第1電圧変換部11は、一対の第1端子t11,t12と一対の第2端子t21,t22との間に接続される。第1電圧変換部11は、一対の第1端子t11,t12間の第1電圧Vaと、一対の第2端子t21,t22間の第2電圧Vbとの間で双方向の電圧変換を行う。
【0014】
第2電圧変換部12は、一対の第2端子t21,t22と一対の第3端子t31,t32との間に接続される。第2電圧変換部12は、一対の第2端子t21,t22間の第2電圧Vbと、一対の第3端子t31,t32間の第3電圧Vcとの間で双方向の電圧変換を行う。
【0015】
制御部13は、第1電圧変換部11の変換率を段階的に変更可能であり、第2電圧変換部12の変換率を連続的に変更可能である。制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部11の変換率を段階的に設定することによって、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【0016】
ここにおいて、一対の第1端子t11,t12、一対の第2端子t21,t22、及び一対の第3端子t31,t32は、それぞれ、電線などを接続するための部品(端子)でもよいが、例えば電子部品のリードや、回路基板に配線として形成された導電体の一部でもよい。また、本実施形態において「接続」とは、電気的に導通した状態の接続を意味し、直接的な接続だけではなく、例えば電線などの導体、又は、各種の回路部品を介した間接的な接続も含む。第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とは一対の第2端子t21,t22を介して接続されているが、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12との間には各種の回路部品が接続されていてもよい。
【0017】
また、第2電圧変換部12が「変換率を連続的に変更可能」であるとは、第2電圧変換部12の変換率を、第2電圧変換部12で実現可能な最小単位又は最小単位の数倍の変化幅で変化させることをいう。例えば、第2電圧変換部12がスイッチング電源回路であり、制御部13が、第2電圧変換部12が備えるスイッチ素子のオンデューティ比を変化させることによって、第2電圧変換部12の変換率を調整している場合、第2電圧変換部12で実現可能な変換率の最小単位は、制御部13が制御可能なオンデューティ比の最小の変化分によって発生する変換率の変化分に相当する。また、第1電圧変換部11が「変換率を段階的に変更可能」であるとは、第2電圧変換部12が変換率を変更可能な最小の変化分よりも大きな変化分で、第1電圧変換部11が変換率を変化させることをいう。例えば、第1電圧変換部11は、第2電圧変換部12が変換率を変更可能な最小の変化分の数倍から数十倍の変化分で変換率を変化(増加又は減少)させる。すなわち、第1電圧変換部11が変換率を変化させる最小の変化分よりも、第2電圧変換部12が変換率を変化させる最小の変化分の方が小さくなる。
【0018】
なお、本実施形態では、第1電圧変換部11が昇圧動作を行う場合、第1電圧変換部11の変換率は、正の整数倍又は1.5倍に設定されるのが好ましく、1倍、1.5倍、2倍、3倍のように段階的に変更可能である。また、第1電圧変換部11が降圧動作を行う場合、第1電圧変換部11の変換率は、(正の整数分の1)倍又は(1/1.5)倍に設定されるのが好ましく、1倍、(1/1.5)倍、(1/2)倍、(1/3)倍のように段階的に変更可能である。また、第2電圧変換部12が昇圧動作を行う場合、第2電圧変換部12の変換率は1倍以上2倍以下の範囲で連続的に設定されるのが好ましく、第2電圧変換部12が降圧動作を行う場合、第2電圧変換部12の変換率は(1/2)倍以上1倍以下の範囲で連続的に設定されるのが好ましい。
【0019】
本実施形態によれば、第2電圧変換部12の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部11の変換率を段階的に設定しているので、第1電圧変換部11が備えるリアクトルL1と、第2電圧変換部12が備えるリアクトルL2の蓄積エネルギを低減することができ、リアクトルL1,L2の小型化を図ることができる。
【0020】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るDCDCコンバータ20及びそれを備える電力変換システム1について図1図8を参照して詳しく説明する。
【0021】
(2.1)構成
本実施形態のDCDCコンバータ20は、例えば太陽光発電用のパワーコンバータ(以下、PVパワコンと略称する)16と共に、電力変換システム1を構成する(図1参照)。
【0022】
電力変換システム1は、例えば、住宅等の施設に設置されている。なお、電力変換システム1が設置される施設は住宅用に限定されず、非住宅用の施設でもよい。
【0023】
本実施形態のDCDCコンバータ20は、上述のように、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12と、制御部13とを備える。また、DCDCコンバータ20は、第1駆動回路14A、第2駆動回路14B、及び操作受付部15を更に備えている。
【0024】
DCDCコンバータ20は、一対の第1端子t11,t12と、一対の第3端子t31,t32との間に接続されている。
【0025】
本実施形態では、一対の第1端子t11,t12には、電圧源2である蓄電池ユニットB1が接続されている。言い換えると、一対の第1端子t11,t12には、蓄電池ユニットB1が接続可能である。第1端子t11は、蓄電池ユニットB1の正極側の端子に接続され、第1端子t12は、蓄電池ユニットB1の負極側の端子に接続されている。
【0026】
一対の第3端子t31,t32には双方向の電力変換が可能なPVパワコン16が接続されている。PVパワコン16は、施設に設けられた分電盤3に接続されている。PVパワコン16には、太陽光発電システム等の発電システム4が接続されている。PVパワコン16は、発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換し、さらに交流電圧に変換して分電盤3に出力することも可能であり、DCDCコンバータ20から入力される電圧を交流電圧に変換して分電盤3に出力することも可能である。また、PVパワコン16は、分電盤3から入力される交流電圧を直流電圧に変換してDCDCコンバータ20に出力することも可能であり、発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換してDCDCコンバータ20に出力することも可能である。DCDCコンバータ20は、PVパワコン16から入力された直流電圧を電圧変換して電圧源2である蓄電池ユニットB1を充電することもできる。
【0027】
分電盤3には、分岐配線を介して負荷5が接続されている。また、分電盤3には、系統電源6が接続されている。分電盤3は、系統電源6又はPVパワコン16、又はその両方から供給される交流電力を負荷5に供給する。なお、図1では分電盤3に1つの負荷5しか接続されていないが、分電盤3に複数の分岐配線を介して複数の負荷5が接続されていてもよい。つまり、一対の第3端子t31,t32には、蓄電池ユニットB1を充電する電源(系統電源6又は発電システム4)、及び、負荷5の少なくとも一方が接続可能である。負荷5は、系統電源6又は電力変換システム1又はその両方から電力の供給を受けて動作する。
【0028】
第1電圧変換部11及び第2電圧変換部12は、それぞれ、双方向の電圧変換が可能である。
【0029】
例えば、系統電源6の停電時には、第1電圧変換部11が、電圧源2である蓄電池ユニットB1から入力される第1電圧Vaを第2電圧Vbに電圧変換して第2電圧変換部12に出力する。第2電圧変換部12が、第1電圧変換部11から入力される第2電圧Vbを第3電圧Vcに電圧変換してPVパワコン16に出力する。PVパワコン16は、第2電圧変換部12から入力される第3電圧Vcを交流電圧に変換して分電盤3に出力する。
【0030】
また、例えば系統電源6の通電時には、PVパワコン16が、分電盤3から入力される交流電圧を交流直流変換して得た直流電圧である第3電圧Vcを、第2電圧変換部12に出力する。第2電圧変換部12は、PVパワコン16から入力される第3電圧Vcを第2電圧Vbに電圧変換して第1電圧変換部11に出力する。第1電圧変換部11は、第2電圧変換部12から入力される第2電圧Vbを第1電圧Vaに電圧変換して蓄電池ユニットB1に出力し、蓄電池ユニットB1を充電する。
【0031】
第1電圧変換部11は、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10を含む。なお、以下の説明では、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をFCコンバータ10と略称する場合がある。
【0032】
マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10の動作モードは、制御部13によって、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えられる。具体的には、制御部13は、第1電圧Va、又は、第3電圧VC、又はその両方の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10の動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータ10をNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。ここで、FCコンバータ10が、一対の第1端子t11,t12間の第1電圧Vaを電圧変換して一対の第2端子t21,t22に出力する場合、第1電圧Vaが入力側の電圧となる。一方、FCコンバータ10が、一対の第2端子t21,t22間の第2電圧Vbを電圧変換して一対の第1端子t11,t12に出力する場合、第2電圧Vbが入力側の電圧となる。
【0033】
本実施形態では、FCコンバータ10は、例えば、4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有している。そして、制御部13は、第1電圧Va、又は第3電圧VC、又はその両方の電圧値に応じて、FCコンバータ10の動作モードを、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第1モード、及び、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第2モードのいずれかに切り替える。すなわち、本実施形態はNレベルフライングキャパシタコンバータが4レベルフライングキャパシタコンバータであり、Mレベルフライングキャパシタコンバータが3レベルフライングキャパシタコンバータである場合を例に説明を行う。なお、制御部13による動作モードの切り替えは、制御部13が自動的に行う形態と、ユーザによる動作モードの切替操作に応じて制御部13が動作モードを切り替える形態の両方を含み得る。
【0034】
FCコンバータ10は、例えば、6つのスイッチ素子Q1~Q6と、2つのキャパシタC1,C2と、リアクトルL1と、を備えている。
【0035】
6つのスイッチ素子Q1~Q6の各々は、例えばNチャネル型MOSFETである。一対の第2端子t21,t22の間には6つのスイッチ素子Q1~Q6が直列に接続されている。つまり、高電位側の第2端子t21と、低電位側の第2端子t22との間には、スイッチ素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6の順番で、6つのスイッチ素子Q1~Q6が直列に接続されている。各スイッチ素子Q1~Q6のゲートには、第1駆動回路14Aからの駆動信号S1~S6が入力される。第1駆動回路14Aは、制御部13から入力される制御信号に応じて、各スイッチ素子Q1~Q6のゲートに駆動信号S1~S6を出力することによって、各スイッチ素子Q1~Q6をオン又はオフさせる。
【0036】
リアクトルL1の第1端は正極側の第1端子t11に接続されている。リアクトルL1の第2端は、スイッチ素子Q3とスイッチ素子Q4との間の経路上の節点に接続されている。
【0037】
キャパシタC1の第1端は、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3との間の経路上の節点に接続されており、キャパシタC1の第2端は、スイッチ素子Q4とスイッチ素子Q5との間の経路上の節点に接続されている。
【0038】
キャパシタC2の第1端は、スイッチ素子Q1とスイッチ素子Q2との間の経路上の節点に接続されており、キャパシタC2の第2端は、スイッチ素子Q5とスイッチ素子Q6との間の経路上の節点に接続されている。
【0039】
ここで、FCコンバータ10である第1電圧変換部11は、第1電圧Vaを電圧変換して第2電圧Vbを出力するときは昇圧動作を行い、第2電圧Vbを電圧変換して第1電圧Vaを出力するときは降圧動作を行う。すなわち、第1電圧変換部11は、第1電圧Vaを電圧変換して第2電圧Vbを出力するときの変換率が1倍以上に設定され、第2電圧Vbを電圧変換して第1電圧Vaを出力するときの変換率が1倍以下に設定される。なお、第1電圧変換部11は、第1電圧Vaを電圧変換して第2電圧Vbを出力するときの変換率が正の整数倍又は1.5倍に設定され、第2電圧Vbを電圧変換して第1電圧Vaを出力するときの変換率が(正の整数分の1)倍又は(1.5分の1)倍に設定されるのが好ましい。
【0040】
図8は、FCコンバータ10の変換率と、FCコンバータ10が備えるリアクトルL1の正規化蓄積エネルギとの関係を示すグラフである。正規化蓄積エネルギとは、リアクトルL1の蓄積エネルギを、FCコンバータ10に入力された入力エネルギで正規化した値である。図8中のA1は3レベルフライングキャパシタコンバータの場合の特性、図8中のA2は4レベルフライングキャパシタコンバータの場合の特性である。また、図8中のA3は昇圧チョッパ回路の場合の特性である。
【0041】
図8より、変換率が2倍付近では4レベルフライングキャパシタコンバータに比べて3レベルフライングキャパシタコンバータの方がリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが小さくなっている。また、変換率が1.5倍付近又は3倍付近では3レベルフライングキャパシタコンバータに比べて4レベルフライングキャパシタコンバータの方がリアクトルL1の正規化蓄積エネルギが小さくなっている。正規化蓄積エネルギは必要とされるリアクトルL1の大きさと相関があるので、変換率が2倍付近では3レベルフライングキャパシタコンバータの方が4レベルフライングキャパシタコンバータよりもリアクトルL1を小型化することができる。また、変換率が1.5倍付近又は3倍付近では4レベルフライングキャパシタコンバータの方が3レベルフライングキャパシタコンバータよりもリアクトルL1を小型化することができる。したがって、FCコンバータ10の変換率を1.5倍又は3倍に設定する場合は、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させることによって、リアクトルL1の小形化を図ることができる。また、FCコンバータ10の変換率を2倍に設定する場合は、FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させることによって、リアクトルL1の小形化を図ることができる。
【0042】
第2電圧変換部12は、リアクトルL2と、第1スイッチ素子Q7と、第2スイッチ素子Q8と、を備える。リアクトルL2は、一対の第2端子t21,t22のうち正極側の第2端子t21に第1端が接続される。第1スイッチ素子Q7は、リアクトルL2の第2端と、一対の第3端子t31,t32のうち正極側の第3端子t31との間に接続される。第2スイッチ素子Q8は、リアクトルL2の第2端と、一対の第3端子t31,t32のうち負極側の第3端子t32との間に接続される。一対の第2端子t21,t22のうち負極側の第2端子t22と負極側の第3端子t32とは電気的に接続されている。第2電圧変換部12は、第1スイッチ素子Q7と第2スイッチ素子Q8とが交互にターンオンすることで双方向の電圧変換を行う双方向チョッパ回路を含む。
【0043】
第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8は、例えばNチャネル型MOSFETである。一対の第3端子t31,t32の間には、第1スイッチ素子Q7と第2スイッチ素子Q8とが直列に接続されている。第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のゲートには、第2駆動回路14Bからの駆動信号がそれぞれ入力される。第2駆動回路14Bは、制御部13から入力される制御信号に応じて、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のゲートに駆動信号を出力することによって、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を個別にオン又はオフさせる。制御部13は、第2駆動回路14Bを制御して、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を交互にターンオンさせることで、双方向の電圧変換を行う。
【0044】
第2電圧変換部12は、双方向チョッパ回路であり、第2電圧Vbを第3電圧Vcに電圧変換するときは昇圧動作を行い、第3電圧Vcを第2電圧Vbに電圧変換するときは降圧動作を行う。言い換えると、第2電圧変換部12は、第2電圧Vbを電圧変換して第3電圧Vcを出力するときの変換率が1倍以上に設定され、第3電圧Vcを電圧変換して第2電圧Vbを出力するときの変換率が1倍以下に設定される。なお、第2電圧変換部12は、第2電圧Vbを電圧変換して第3電圧Vcを出力するときの変換率が1倍以上2倍以下に設定され、第3電圧Vcを電圧変換して第2電圧Vbを出力するときの変換率が(1/2)倍以上1倍以下に設定されるのが好ましい。このように変換率の制限を設けることで、リアクトルL2の正規化蓄積エネルギを低く抑えることができ、リアクトルL2の小型化が可能となる。
【0045】
操作受付部15は、動作モードの切替操作を受け付ける。操作受付部15は、例えば、ディップスイッチ等の切替スイッチを有する。ユーザが動作モードを切り替えるために操作受付部15を操作すると、操作受付部15は、ユーザの切替操作に応じた設定信号を制御部13に出力する。
【0046】
制御部13は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部13の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0047】
制御部13は、操作受付部15が受け付けた切替操作に応じて、動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。本実施形態では、制御部13は、操作受付部15から入力される設定信号に基づいて、FCコンバータ10を第1モード及び第2モードのいずれかで動作させる。
【0048】
また、制御部13は、第1端子t11,t12間の第1電圧(つまり電圧源2からの入力電圧)Vaに基づいて、第3電圧Vcが所定の電圧範囲に収まるように、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率の目標値を決定する。そして、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部11の変換率を段階的に設定することによって、全体の変換率を目標値に設定する。
【0049】
例えば、DCDCコンバータ20が第1電圧Vaを電圧変換して第3電圧Vcを出力するときは、制御部13は、FCコンバータ10の変換率を正の整数倍又は1.5倍に設定する。この場合、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1倍に最も近づくように、FCコンバータ10の変換率を正の整数倍又は1.5倍に設定した後、第2電圧変換部12の変換率を調整して、全体の変換率を目標値に設定する。例えば、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させている状態で、全体の変換率を3.3倍に設定する場合、制御部13は、FCコンバータ10の変換率を3倍に設定するとともに、第2電圧変換部12の変換率を1.1倍に設定すればよい。
【0050】
また、DCDCコンバータ20が第3電圧Vcを電圧変換して第1電圧Vaを出力するときは、制御部13は、FCコンバータ10の変換率を(正の整数分の1)倍又は(1.5分の1)倍に設定する。この場合、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率が1倍に最も近づくように、FCコンバータ10の変換率を(正の整数分の1)倍又は(1.5分の1)倍に設定した後、第2電圧変換部12の変換率を調整して、全体の変換率を目標値に設定する。例えば、全体の変換率を(1/3.3)倍に設定する場合、制御部13は、FCコンバータ10の変換率を(1/3)倍に設定するとともに、第2電圧変換部12の変換率を(1/1.1)倍に設定すればよい。
【0051】
制御部13は、FCコンバータ10の変換率を設定すると、スイッチ素子Q1~Q6のうち少なくとも一部のスイッチ素子のオンデューティ比を決定する。そして、制御部13は、スイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御する制御信号を第1駆動回路14Aに出力し、第1駆動回路14Aが、制御部13からの制御信号に基づいて、スイッチ素子Q1~Q6のゲートに駆動信号S1~S6を出力し、スイッチ素子Q1~Q6をオン又はオフさせる。制御部13がFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定している状態では、制御部13は6つのスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御して、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる。また、制御部13がFCコンバータ10の動作モードを第2モードに設定している状態では、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御し、残りの4つのスイッチ素子Q2~Q5のオン/オフを制御することによって、FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる。
【0052】
また、制御部13は、第2電圧変換部12の変換率を決定すると、変換率に応じたオンデューティ比で、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を交互にターンオンすることによって、第2電圧変換部12に電圧変換動作(昇圧動作又は降圧動作)を行わせる。
【0053】
なお、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)及び第2電圧変換部12の動作については、「(2.2)動作説明」においてより詳細に説明する。
【0054】
PVパワコン16は、発電システム4から入力される直流電圧を第3電圧Vcに電圧変換する機能と、分電盤3とDCDCコンバータ20との間で双方向に交流直流変換を行う機能を有している。PVパワコン16は、DCDCコンバータ20又は発電システム4から入力される直流電圧を、例えばAC200Vの交流電圧に変換して分電盤3に出力する。また、PVパワコン16は、分電盤3から入力される交流電圧を直流電圧に変換してDCDCコンバータ20に出力する。なお、PVパワコン16は、例えば発電システム4から入力される直流電圧を電圧変換するための昇圧チョッパ回路と、分電盤3との双方向な交流直流変換を行うフルブリッジ型のインバータ回路を備えているが、回路構成は適宜変更が可能である。
【0055】
(2.2)動作説明
本実施形態の電力変換システム1の動作を図1図7等に基づいて説明する。
【0056】
電力変換システム1に電圧源2として接続される蓄電池ユニットB1には、複数種類の蓄電池ユニットB1がある。複数種類の蓄電池ユニットB1は、出力電圧の許容変動範囲が互いに異なる。複数種類の蓄電池ユニットB1は、例えば、100V系、150V系、及び200V系の蓄電池ユニットB1を含む。100V系の蓄電池ユニットB1の出力電圧の許容変動範囲は例えば80~120Vである。150V系の蓄電池ユニットB1の出力電圧の許容変動範囲は例えば120~180Vである。200V系の蓄電池ユニットB1の出力電圧の許容変動範囲は例えば160V~240Vである。
【0057】
ここで、DCDCコンバータ20の出力電圧である第3電圧Vcが400Vに設定されている場合に、電圧源2が100V系の蓄電池ユニットB1であれば、DCDCコンバータ20の変換率は例えば3.3倍以上5.0倍以下の範囲で設定される。この場合、図8の特性から、FCコンバータ10のリアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータで動作させて、その変換率を3倍に設定することが好ましい。ここで、ユーザが、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定すると、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替える。このとき、制御部13は、第1電圧Vaと第3電圧Vcの電圧値から全体の変換率を推定し、FCコンバータ10の変換率を3倍に設定する。そして、制御部13は、第3電圧Vcが400Vとなるように、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のオンデューティ比を調整して、第2電圧変換部12の変換率を調整する。なお、DCDCコンバータ20の変換率を例えば3.3倍以上5.0倍以下の範囲で設定する場合、FCコンバータ10の変換率が3倍であれば、第2電圧変換部12の変換率は例えば1.1倍以上1.7倍以下の範囲で調整されるのが好ましい。FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させ、その変換率を3倍に設定することで、リアクトルL1の小型化を図ることができ、また第2電圧変換部12の変換率を1倍に近付けることで、リアクトルL2の小型化を図ることができる。
【0058】
また、DCDCコンバータ20の出力電圧である第3電圧Vcが400Vに設定されている場合に、電圧源2が150V系の蓄電池ユニットB1であれば、DCDCコンバータ20の変換率は例えば2.2倍以上3.3倍以下の範囲で設定される。この場合、図8の特性から、FCコンバータ10のリアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータで動作させて、その変換率を2倍に設定することが好ましい。ここで、ユーザが、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第2モードに設定すると、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第2モードに切り替える。このとき、制御部13は、第1電圧Vaと第3電圧Vcの電圧値から全体の変換率を推定し、FCコンバータ10の変換率を2倍に設定する。そして、制御部13は、第3電圧Vcが400Vとなるように、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のオンデューティ比を調整して、第2電圧変換部12の変換率を調整する。なお、DCDCコンバータ20の変換率を例えば2.2倍以上3.3倍以下の範囲で設定する場合、FCコンバータ10の変換率が2倍であれば、第2電圧変換部12の変換率は例えば1.1倍以上1.7倍以下の範囲で調整されるのが好ましい。FCコンバータ10を3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させ、その変換率を2倍に設定することで、リアクトルL1の小型化を図ることができ、また第2電圧変換部12の変換率を1倍に近付けることで、リアクトルL2の小型化を図ることができる。
【0059】
また、DCDCコンバータ20の出力電圧である第3電圧Vcが400Vに設定されている場合に、電圧源2が200V系の蓄電池ユニットB1であれば、DCDCコンバータ20の変換率は例えば1.7倍以上2.5倍以下の範囲で設定される。この場合、図8の特性から、リアクトルL1をより小型化するためには、FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させ、その変換率を1.5倍に設定することが好ましい。ここで、ユーザが、操作受付部15を操作してFCコンバータ10の動作モードを第1モードに設定すると、制御部13が、操作受付部15からの設定信号に基づいてFCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替える。このとき、制御部13は、第1電圧Vaと第3電圧Vcの電圧値から全体の変換率を推定し、FCコンバータ10の変換率を1.5倍に設定する。そして、制御部13は、第3電圧Vcが400Vとなるように、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のオンデューティ比を調整して、第2電圧変換部12の変換率を調整する。なお、DCDCコンバータ20の変換率を例えば1.7倍以上2.5倍以下の範囲で設定する場合、FCコンバータ10の変換率が1.5倍であれば、第2電圧変換部12の変換率は例えば1.1倍以上1.7倍以下の範囲で調整されるのが好ましい。FCコンバータ10を4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させ、その変換率を1.5倍に設定することで、リアクトルL1の小型化を図ることができ、また第2電圧変換部12の変換率を1倍に近付けることで、リアクトルL2の小型化を図ることができる。
【0060】
(2.2.1)第1モード
制御部13が、FCコンバータ10の動作モードを第1モードに切り替えた場合の動作を図1及び図2に基づいて説明する。上述のように、電圧源2が、100V系又は200V系の蓄電池ユニットB1である場合、制御部13は、操作受付部15が受け付けたユーザの切替操作に応じて、FCコンバータ10を第1モードで動作させる。
【0061】
DCDCコンバータ20は、PVパワコン16から入力される第3電圧Vcを変換して蓄電池ユニットB1を充電する充電動作を行う。また、DCDCコンバータ20は、蓄電池ユニットB1からの第1電圧Vaを第3電圧Vcに変換して、PVパワコン16に出力する放電動作を行う。
【0062】
まず、制御部13がFCコンバータ10を第1モードで動作させた状態で、DCDCコンバータ20が放電動作を行う場合のDCDCコンバータ20の動作について説明する。放電動作では、制御部13は、図2に示すように、スイッチ素子Q1,Q6を相補的に動作させ、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。なお、制御部13が2つのスイッチ素子を相補的に動作させるとは、制御部13が、2つのスイッチ素子のうちの一方をオン、2つのスイッチ素子のうちの他方をオフにするような動作のことをいう。また、制御部13は、スイッチ素子Q1をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とを120度ずつ位相がずれるように制御する。制御部13は、スイッチ素子Q1、スイッチ素子Q2、スイッチ素子Q3の順番でオフからオンに切り替える。また、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5,Q6のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0063】
制御部13は、図2のタイムチャートに示すようなタイミングでスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御することによって、FCコンバータ10は蓄電池ユニットB1からの第1電圧Vaを昇圧した第2電圧Vbを生成し、第2電圧Vbを第2電圧変換部12に出力する。図2の期間T1~T6におけるスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフは表1の通りである。
【0064】
【表1】
【0065】
制御部13は、期間T1~期間T6のスイッチング動作を繰り返し行っており、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合はスイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。オンデューティ比の設定値によっては期間T1~T6の各スイッチングパターンの中で、出現しない期間も発生し得る。
【0066】
ここにおいて、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合は、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比をDaとすると、第2電圧Vbは数式“Vb=Va/(1-Da/100)”で求まる電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を3倍に設定する場合、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が例えば67%に設定され、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が例えば33%に設定される。また、FCコンバータ10の変換率を1.5倍に設定する場合、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が例えば33%に設定され、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が例えば67%に設定される。
【0067】
また、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)の変換率を設定すると、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率が目標値となるように、第2電圧変換部12の変換率を設定する。第2電圧変換部12の変換率は連続的に調整可能であるので、制御部13は、第1電圧変換部11の変換率を3倍又は1.5倍に設定した状態で、第2電圧変換部12の変換率を調整することによって、全体の変換率を目標値に設定できる。制御部13は、第2電圧変換部12の変換率に応じて第2スイッチ素子Q8のオンデューティ比を設定し、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を交互にターンオンすることによって、第2電圧変換部12に昇圧動作を行わせる。
【0068】
なお、図6は、第2電圧変換部12が昇圧動作を行う場合の、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のオン/オフの状態、及びリアクトルL2に流れるリアクトル電流ILの波形図である。リアクトル電流ILは、第2端子t21から第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8の間の節点に電流が流れる向きを正とする。制御部13は、第1スイッチ素子Q7をターンオン、第2スイッチ素子Q8をターンオフした後、リアクトル電流ILの向きが正から負に切り替わった後に、第2スイッチ素子Q8をターンオンしており、第2スイッチ素子Q8のゼロ電圧スイッチング動作(ZVS)を実現できる。つまり、第2電圧変換部12は、第2電圧Vbを電圧変換して第3電圧Vcを出力するときは第2スイッチ素子Q8がゼロ電圧スイッチング動作を行う。これにより、第2スイッチ素子Q8のスイッチング損失を低減できる。
【0069】
次に、制御部13がFCコンバータ10を第1モードで動作させた状態で、DCDCコンバータ20が充電動作を行う場合のDCDCコンバータ20の動作について説明する。充電動作においても、制御部13は、図2に示すように、スイッチ素子Q1,Q6を相補的に動作させ、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。また、制御部13は、スイッチ素子Q1をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とを120度ずつ位相がずれるように制御する。制御部13は、スイッチ素子Q1、スイッチ素子Q2、スイッチ素子Q3の順番でオフからオンに切り替える。また、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5,Q6のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0070】
制御部13が、図2のタイムチャートに示すようなタイミングでスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフを制御することによって、一対の第1端子t11,t12の間には、第2電圧Vbをスイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比に応じた変換率で降圧した第1電圧Vaが発生する。なお、充電動作時のFCコンバータ10の動作については説明を省略する。
【0071】
ここにおいて、FCコンバータ10が降圧動作を行う場合は、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比をDbとすると、第1電圧Vaは数式“Va=Vb×(Db/100)”で求まる電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を(1/3)倍に設定する場合、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が例えば33%に設定され、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が例えば67%に設定される。また、FCコンバータ10の変換率を(1/1.5)倍に設定する場合、スイッチ素子Q1~Q3のオンデューティ比が例えば67%に設定され、スイッチ素子Q4~Q6のオンデューティ比が例えば33%に設定される。
【0072】
また、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)の変換率を設定すると、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率が目標値となるように、第2電圧変換部12の変換率を設定する。第2電圧変換部12の変換率は連続的に調整可能であるので、制御部13は、第1電圧変換部11の変換率を(1/3)倍又は(1/1.5)倍に設定した状態で、第2電圧変換部12の変換率を調整することによって、全体の変換率を目標値に設定できる。制御部13は、第2電圧変換部12の変換率に応じて第1スイッチ素子Q7のオンデューティ比を設定し、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を交互にターンオンすることによって、第2電圧変換部12に降圧動作を行わせる。
【0073】
なお、図7は、第2電圧変換部12が降圧動作を行う場合の、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8のオン/オフの状態、及びリアクトル電流ILの波形図である。リアクトル電流ILは、第2端子t21から第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8の間の節点に電流が流れる向きを正とする。制御部13は、第1スイッチ素子Q7をターンオフ、第2スイッチ素子Q8をターンオンした後、リアクトル電流ILの向きが負から正に切り替わった後に、第1スイッチ素子Q7をターンオンしており、第1スイッチ素子Q7のゼロ電圧スイッチング動作(ZVS)を実現できる。つまり、第2電圧変換部12は、第3電圧Vcを電圧変換して第2電圧Vbを出力するときは第1スイッチ素子Q7がゼロ電圧スイッチング動作を行う。これにより、第1スイッチ素子Q7でのスイッチング損失を低減できる。
【0074】
(2.2.2)第2モード
制御部13が、FCコンバータ10を第2モードで動作させる場合の動作を図3図4及び図5に基づいて説明する。上述のように、電圧源2が、150V系の蓄電池ユニットB1である場合、制御部13は、操作受付部15が受け付けたユーザの切替操作に応じて、FCコンバータ10を第2モードで動作させる。
【0075】
制御部13は、FCコンバータ10を第2モード、すなわち3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる場合、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御する。図3では、スイッチ素子Q1,Q6が常時オンになっている状態を模式的に図示している。
【0076】
まず、制御部13がFCコンバータ10を第2モードで動作させた状態で、DCDCコンバータ20が放電動作を行う場合のDCDCコンバータ20の動作について説明する。放電動作では、制御部13は、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御した状態で、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。また、制御部13は、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とが180度位相がずれるように制御し、スイッチ素子Q4をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q5をオンに制御する期間とが180度位相がずれるように制御する。また、制御部13は、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0077】
制御部13は、図4又は図5のタイムチャートに示すようなタイミングでスイッチ素子Q2~Q5のオン/オフを制御する。なお、図4の期間T11~T14におけるスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフは表2の通りであり、図5の期間T11~T14におけるスイッチ素子Q1~Q6のオン/オフは表3の通りである。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
制御部13は、期間T11~T14のスイッチング動作を繰り返し行っており、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合はスイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。オンデューティ比の設定値によっては期間T11~T14の各スイッチングパターンの中で、出現しない期間も発生し得る。一対の第2端子t21,t22の間には、第1電圧Vaをスイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比に応じた変換率で昇圧した第2電圧Vbが発生する。
【0081】
ここにおいて、FCコンバータ10が昇圧動作を行う場合、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比をDaとすると、第2電圧Vbは、数式“Vb=Va/(1-Da/100)”で求まる電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を2倍に設定する場合、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比が例えば50%に設定され、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比が例えば50%に設定される。
【0082】
また、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)の変換率を設定すると、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率が目標値となるように、第2電圧変換部12の変換率を設定する。第2電圧変換部12の変換率は連続的に調整可能であるので、制御部13は、第1電圧変換部11の変換率を2倍に設定した状態で、第2電圧変換部12の変換率を調整することによって、全体の変換率を目標値に設定できる。制御部13は、第2電圧変換部12の変換率に応じて第2スイッチ素子Q8のオンデューティ比を設定し、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を交互にターンオンすることによって、第2電圧変換部12に昇圧動作を行わせる。
【0083】
次に、制御部13がFCコンバータ10を第2モードで動作させた状態で、DCDCコンバータ20が充電動作を行う場合のDCDCコンバータ20の動作について説明する。充電動作においても、制御部13は、図4及び図5に示すように、スイッチ素子Q1,Q6を常時オンに制御した状態で、スイッチ素子Q2,Q5を相補的に動作させ、スイッチ素子Q3,Q4を相補的に動作させる。また、制御部13は、スイッチ素子Q2をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q3をオンに制御する期間とを180度位相がずれるように制御し、スイッチ素子Q4をオンに制御する期間と、スイッチ素子Q5をオンに制御する期間とが180度位相がずれるように制御する。また、制御部13は、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を同じ値に制御し、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比を同じ値に制御する。
【0084】
制御部13は、期間T11~T14のスイッチング動作を繰り返し行っており、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。一対の第1端子t11,t12の間には、一対の第2端子t21,t22に入力された第2電圧Vbを降圧した第1電圧Vaが発生する。ここで、制御部13が、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比を変化させることによって、FCコンバータ10の変換率が設定される。一対の第1端子t11,t12の間には、第2電圧Vbをスイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比に応じた変換率で降圧した第1電圧Vaが発生する。
【0085】
ここにおいて、FCコンバータ10が降圧動作を行う場合、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比をDbとすると、第1電圧Vaは、数式“Va=Vb×(Db/100)”によって決定される電圧値となる。例えば、FCコンバータ10の変換率を(1/2)倍に設定する場合、スイッチ素子Q2,Q3のオンデューティ比が50%に設定され、スイッチ素子Q4,Q5のオンデューティ比が50%に設定される。
【0086】
また、制御部13は、第1電圧変換部11(FCコンバータ10)の変換率を設定すると、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率が目標値となるように、第2電圧変換部12の変換率を設定する。第2電圧変換部12の変換率は連続的に調整可能であるので、制御部13は、第1電圧変換部11の変換率を(1/2)倍に設定した状態で、第2電圧変換部12の変換率を調整することによって、全体の変換率を目標値に設定できる。制御部13は、第2電圧変換部12の変換率に応じて第1スイッチ素子Q7のオンデューティ比を設定し、第1スイッチ素子Q7及び第2スイッチ素子Q8を交互にターンオンすることによって、第2電圧変換部12に降圧動作を行わせる。
【0087】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、DCDCコンバータ20と同様の機能は、DCDCコンバータ20の制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る制御方法は、第1電圧変換部11と、第2電圧変換部12と、を備えるDCDCコンバータ20の制御方法である。第1電圧変換部11は、一対の第1端子t11,t12と一対の第2端子t21,t22との間に接続され、一対の第1端子t11,t12間の第1電圧Vaと、一対の第2端子t21,t22間の第2電圧Vbとの間で双方向の電圧変換を行う。第2電圧変換部12は、一対の第2端子t21,t22と一対の第3端子t31,t32との間に接続され、一対の第2端子t21,t22間の第2電圧Vbと、一対の第3端子t31,t32間の第3電圧Vcとの間で双方向の電圧変換を行う。上記制御方法では、第1電圧変換部11の変換率を段階的に変更可能とし、第2電圧変換部12の変換率を連続的に変更可能とする。上記制御方法では、第2電圧変換部12の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部11の変換率を段階的に設定することによって、第1電圧変換部11と第2電圧変換部12とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【0088】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。また、上記の実施形態を基本構成という場合もある。
【0089】
本開示におけるDCDCコンバータ20及びその制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるDCDCコンバータ20及びその制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(VERY LARGE SCALE INTEGRATION)、又はULSI(ULTRA LARGE SCALE INTEGRATION)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(FIELD-PROGRAMMABLE GATE ARRAY)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0090】
また、DCDCコンバータ20における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることはDCDCコンバータ20に必須の構成ではなく、DCDCコンバータ20の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。
【0091】
(3.1)変形例1
基本構成で説明したFCコンバータ10の回路構成及び動作シーケンスは一例であり、適宜変更が可能である。
【0092】
図9は、変型例1のDCDCコンバータ20が備える第1電圧変換部11Aの概略的な回路図である。第1電圧変換部11AはFCコンバータ10Aを含み、FCコンバータ10Aは、リアクトルL1と、8個のスイッチ素子Q11~Q18と、キャパシタC11~C14と、を備える。なお、第1電圧変換部11A以外の構成は基本構成と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、図示及び説明を省略する。
【0093】
一対の第2端子t21,t22の間には、Nチャネル型MOSFETのスイッチ素子Q11~Q18が直列に接続されている。
【0094】
リアクトルL1の第1端は正極側の第1端子t11に接続されている。リアクトルL1の第2端は、スイッチ素子Q12とスイッチ素子Q13との間の経路上の節点に接続されている。負極側の第1端子t12は、スイッチ素子Q16とスイッチ素子Q17との間の経路上の節点に接続されている。
【0095】
キャパシタC11の第1端は、スイッチ素子Q11とスイッチ素子Q12との間の経路上の節点に接続されており、キャパシタC11の第2端は、スイッチ素子Q13とスイッチ素子Q14との間の経路上の節点に接続されている。
【0096】
キャパシタC12の第1端は、スイッチ素子Q15とスイッチ素子Q16との間の経路上の節点に接続されており、キャパシタC12の第2端は、スイッチ素子Q17とスイッチ素子Q18との間の経路上の節点に接続されている。
【0097】
また、一対の第2端子t21,t22の間には、キャパシタC13,C14が直列に接続されており、キャパシタC13とキャパシタC14との間の経路上の節点は、スイッチ素子Q14とスイッチ素子Q15との間の経路上の節点に接続されている。
【0098】
制御部13は、スイッチ素子Q11~Q18のオン/オフを制御する制御信号を第1駆動回路14Aに出力する。第1駆動回路14Aは、制御部13からの制御信号に基づいて、スイッチ素子Q11~Q18のゲートに駆動信号を入力することによって、スイッチ素子Q11~Q18をオン又はオフに切り替える。
【0099】
ここで、制御部13は、例えば表4に示すようなシーケンスでスイッチ素子Q11~Q18のオン/オフを制御する。期間T21~T24におけるスイッチ素子Q11~Q18のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、FCコンバータ10Aは、一対の第1端子t11,t12間の第1電圧Vaと、一対の第2端子t21,t22間の第2電圧Vbとの間で双方向に電圧変換を行うことができる。
【0100】
【表4】
【0101】
(3.2)その他の変形例
基本構成では、FCコンバータ10が4レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有しているが、FCコンバータ10は、5レベル以上のマルチレベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有していてもよい。
【0102】
また基本構成では、第1モードでのNレベルが4レベルであり、第2モードでのMレベルが3レベルであるが、第1モードでのNレベル、及び、第2モードでのMレベルは適宜変更が可能である。例えば、FCコンバータ10が5レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を有している場合、第1モードでのNレベルが5レベル、第2モードでのMレベルが4レベル又は3レベルに設定されていてもよい。第2モードでのMレベルは、第1モードでのNレベルよりも小さければよく、適宜変更が可能である。
【0103】
また基本構成では、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードのいずれかに切り替えているが、3つ以上の複数のモードのいずれかに切り替えてもよい。例えば、FCコンバータ10が5レベルフライングキャパシタコンバータの回路構成を備える場合に、制御部13が、FCコンバータ10を、5レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第1モード、4レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第2モード、3レベルフライングキャパシタコンバータとして動作させる第3モードのいずれかに切り替えてもよい。
【0104】
また、基本構成で説明した第2電圧変換部12の回路構成は一例であり、適宜変更が可能である。
【0105】
また、基本構成では、制御部13が、操作受付部15が受け付けたユーザの切替操作に応じてFCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードのいずれかに切り替えているが、動作モードの切り替えを自動的に行ってもよい。
【0106】
例えば、制御部13は、第1電圧Va、又は第3電圧Vc、又はその両方の電圧値に応じて、動作モードを第1モード、及び、第2モードを含む複数のモードのいずれかに自動的に切り替えてもよい。具体的には、制御部13は、第1電圧Va、又は第3電圧Vc、又はその両方の電圧値に基づいてFCコンバータ10の変換率を推定し、この変換率において第2電圧変換部12の変換率が1に近づくように、FCコンバータ10の動作モードを第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替えればよい。このように、制御部13は、第1電圧Va、又は第3電圧Vc、又はその両方の電圧値に応じて、動作モードの切り替えを自動的に行うので、ユーザによる動作モードの切替操作を不要にできるという利点がある。なお、制御部13は、FCコンバータ10の動作モードを切り替える場合、FCコンバータ10が電力変換動作を停止している状態で、動作モードの切り替えを行うことが好ましい。
【0107】
また、基本構成では、第2電圧変換部12は、一対の第2端子t21,t22から一対の第3端子t31,t32の方向へは昇圧動作、一対の第3端子t31,t32から一対の第2端子t21,t22の方向へは降圧動作を行うものとして説明したが、いずれの方向においても昇降圧動作が可能な回路としてもよい。第2電圧変換部12を双方向で昇降圧動作が可能な回路とすることで、第2電圧変換部12の電圧変換率を、より1に近づけるように第1電圧変換部11の動作モード及び変換率を選択することができるようになる。これにより、更なるリアクトルの小型化が期待できる。
【0108】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0109】
第1の態様のDCDCコンバータ(20)は、第1電圧変換部(11)と、第2電圧変換部(12)と、制御部(13)と、を備える。第1電圧変換部(11)は、一対の第1端子(t11,t12)と一対の第2端子(t21,t22)との間に接続され、一対の第1端子(t11,t12)間の第1電圧(Va)と、一対の第2端子(t21,t22)間の第2電圧(Vb)との間で双方向の電圧変換を行う。第2電圧変換部(12)は、一対の第2端子(t21,t22)と一対の第3端子(t31,t32)との間に接続され、一対の第2端子(t21,t22)間の第2電圧(Vb)と、一対の第3端子(t31,t32)間の第3電圧(Vc)との間で双方向の電圧変換を行う。制御部(13)は、第1電圧変換部(11)の変換率を段階的に変更可能であり、第2電圧変換部(12)の変換率を連続的に変更可能である。制御部(13)は、第2電圧変換部(12)の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部(11)の変換率を段階的に設定することによって、第1電圧変換部(11)と第2電圧変換部(12)とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【0110】
この態様によれば、第1電圧変換部(11)が備えるリアクトル(L1)と、第2電圧変換部(12)が備えるリアクトル(L2)の正規化蓄積エネルギを低減して、リアクトルの小型化を図ることができる。
【0111】
第2の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1の態様において、第1電圧変換部(11)が変換率を変化させる最小の変化分よりも、第2電圧変換部(12)が変換率を変化させる最小の変化分の方が小さい。
【0112】
この態様によれば、リアクトルの小型化を図りつつ、第2電圧変換部(12)の変換率を調整することで、全体の変換率を目標値に設定することができる。
【0113】
第3の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1又は第2の態様において、第1電圧変換部(11)は、第1電圧(Va)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときの変換率が1倍以上に設定され、第2電圧(Vb)を電圧変換して第1電圧(Va)を出力するときの変換率が1倍以下に設定される。
【0114】
この態様によれば、第1電圧変換部(11)が第1電圧(Va)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときは昇圧動作を行い、第1電圧変換部(11)が第2電圧(Vb)を電圧変換して第1電圧(Va)を出力するときは降圧動作を行うことができる。
【0115】
第4の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第3のいずれかの態様において、第1電圧変換部(11)は、第1電圧(Va)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときの変換率が正の整数倍又は1.5倍に設定され、第2電圧(Vb)を電圧変換して第1電圧(Va)を出力するときの変換率が(正の整数分の1)倍又は(1.5分の1)倍に設定される。
【0116】
この態様によれば、第1電圧変換部(11)の変化率を段階的に設定した状態で、第2電圧変換部(12)の変換率を調整することで、全体の変換率を目標値に設定することができる。
【0117】
第5の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第4のいずれかの態様において、第2電圧変換部(12)は、第2電圧(Vb)を電圧変換して第3電圧(Vc)を出力するときの変換率が1倍以上に設定され、第3電圧(Vc)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときの変換率が1倍以下に設定される。
【0118】
この態様によれば、第2電圧変換部(12)が第2電圧(Vb)を電圧変換して第3電圧(Vc)を出力するときは昇圧動作を行い、第2電圧変換部(12)が第3電圧(Vc)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときは降圧動作を行うことができる。
【0119】
第6の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第5のいずれかの態様において、第2電圧変換部(12)は、第2電圧(Vb)を電圧変換して第3電圧(Vc)を出力するときの変換率が1倍以上2倍以下に設定され、第3電圧(Vc)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときの変換率が(1/2)倍以上1倍以下に設定される。
【0120】
この態様によれば、第2電圧変換部(12)が備えるリアクトル(L2)の正規化蓄積エネルギを低減して、リアクトルの小型化を図ることができる。
【0121】
第7の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第6のいずれかの態様において、第1電圧変換部(11)は、マルチレベルフライングキャパシタコンバータを含む。制御部(13)は、第1電圧(Va)、又は、第3電圧(VC)、又はその両方の電圧値に応じて、マルチレベルフライングキャパシタコンバータの動作モードを、第1モード及び第2モードを含む複数のモードのいずれかに切り替える。第1モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータをNレベルフライングキャパシタコンバータ(Nは3以上の整数)として動作させる動作モードである。第2モードは、マルチレベルフライングキャパシタコンバータをMレベルフライングキャパシタコンバータ(MはNよりも小さい整数)として動作させる動作モードである。
【0122】
この態様によれば、マルチレベルフライングキャパシタコンバータが備えるリアクトルの正規化蓄積エネルギが減少するように、動作モードを複数のモードのいずれかに設定することで、マルチレベルフライングキャパシタコンバータが備えるリアクトルの小型化を図ることができる。
【0123】
第8の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第7のいずれかの態様において、第2電圧変換部(12)は、リアクトル(L2)と、第1スイッチ素子(Q7)と、第2スイッチ素子(Q8)と、を備える。リアクトル(L2)は、一対の第2端子(t21,t22)のうち正極側の第2端子(t21)に第1端が接続される。第1スイッチ素子(Q7)は、リアクトル(L2)の第2端と、一対の第3端子(t31,t32)のうち正極側の第3端子(t31)との間に接続される。第2スイッチ素子(Q8)は、リアクトル(L2)の第2端と、一対の第3端子(t31,t32)のうち負極側の第3端子(t32)との間に接続される。一対の第2端子(t21,t22)のうち負極側の第2端子(t22)と負極側の第3端子(t32)とは電気的に接続されている。第2電圧変換部(12)は、第1スイッチ素子(Q7)と第2スイッチ素子(Q8)とが交互にターンオンすることで双方向の電圧変換を行う双方向チョッパ回路を含む。
【0124】
この態様によれば、第2電圧変換部(12)が備えるリアクトル(L2)の小型化を図ることができる。
【0125】
第9の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第8のいずれかの態様において、第2電圧変換部(12)は、第2電圧(Vb)を電圧変換して第3電圧(Vc)を出力するときは第2スイッチ素子(Q8)がゼロ電圧スイッチング動作を行い、第3電圧(Vc)を電圧変換して第2電圧(Vb)を出力するときは第1スイッチ素子(Q7)がゼロ電圧スイッチング動作を行う。
【0126】
この態様によれば、第1スイッチ素子(Q7)及び第2スイッチ素子(Q8)でのスイッチング損失を低減することができる。
【0127】
第10の態様のDCDCコンバータ(20)では、第1~第9のいずれかの態様において、一対の第1端子(t11,t12)には、蓄電池ユニット(B1)が接続可能である。一対の第3端子(t31,t32)には、蓄電池ユニット(B1)を充電する電源(6)、及び、負荷(5)の少なくとも一方が接続可能である。
【0128】
この態様によれば、蓄電池ユニット(B1)の充放電を行うDCDCコンバータ(20)においてリアクトルの小型化を図ることができる。
【0129】
第11の態様の制御方法は、第1電圧変換部(11)と、第2電圧変換部(12)と、を備えるDCDCコンバータの制御方法である。第1電圧変換部(11)は、一対の第1端子(t11,t12)と一対の第2端子(t21,t22)との間に接続され、一対の第1端子(t11,t12)間の第1電圧(Va)と、一対の第2端子(t21,t22)間の第2電圧(Vb)との間で双方向の電圧変換を行う。第2電圧変換部(12)は、一対の第2端子(t21,t22)と一対の第3端子(t31,t32)との間に接続され、一対の第2端子(t21,t22)間の第2電圧(Vb)と、一対の第3端子(t31,t32)間の第3電圧(Vc)との間で双方向の電圧変換を行う。制御方法では、第1電圧変換部(11)の変換率を段階的に変更可能とし、第2電圧変換部(12)の変換率を連続的に変更可能とする。制御方法では、第2電圧変換部(12)の変換率が1倍に近づくように、第1電圧変換部(11)の変換率を段階的に設定することによって、第1電圧変換部(11)と第2電圧変換部(12)とを含めた全体の変換率を目標値に設定する。
【0130】
この態様によれば、第1電圧変換部(11)が備えるリアクトル(L1)と、第2電圧変換部(12)が備えるリアクトル(L2)の小型化を図ることができる。
【0131】
上記態様に限らず、上記の実施形態に係るDCDCコンバータ(20)の種々の構成(変形例を含む)は、DCDCコンバータ(20)の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0132】
第2~第10の態様に係る構成については、DCDCコンバータ(20)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0133】
5 負荷
6 系統電源(電源)
11 第1電圧変換部
12 第2電圧変換部
13 制御部
20 DCDCコンバータ
B1 蓄電池ユニット
L1,L2 リアクトル
Q7 第1スイッチ素子
Q8 第2スイッチ素子
t11,t12 第1端子
t21,t22 第2端子
t31,t32 第3端子
Va 第1電圧
Vb 第2電圧
Vc 第3電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9