(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159314
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20241031BHJP
H05B 45/355 20200101ALI20241031BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20241031BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20241031BHJP
H05B 47/195 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B45/355
H05B45/375
H05B45/345
H05B47/195
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075220
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入川 敦志
(72)【発明者】
【氏名】片野田 寛治
(72)【発明者】
【氏名】供田 梢吾
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA29
3K273QA30
3K273QA38
3K273QA39
3K273RA12
3K273RA13
3K273SA02
3K273SA08
3K273SA09
3K273SA23
3K273SA32
3K273SA33
3K273SA34
3K273SA35
3K273SA38
3K273SA48
3K273SA50
3K273TA02
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA22
3K273TA27
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA21
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、点検に要する作業負担の軽減を図ることである。
【解決手段】照明器具A1は、LED20と、交換可能な蓄電池30と、充電回路部401と、点灯回路部402と、点検部(制御回路部404)と、経過時間を計時する計時部(制御回路部404)と、点検用負荷5と、を備える。点検用負荷5は、点検部が点検を行っているときに蓄電池30から供給される電力を消費する。計時部は、経過時間が所定のインターバル時間に達したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。点検部は、蓄電池30から点検用負荷5に電力を供給させ、点検開始から所定時間後における蓄電池30の電池電圧に基づいて、蓄電池30の良否を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
交換可能な蓄電池と、
常用電源から供給される常用電力で前記蓄電池を充電する充電回路部と、
前記蓄電池から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる点灯回路部と、
前記点灯回路部を制御し、前記蓄電池の点検を行う点検部と、
経過時間を計時する計時部と、
前記点検部が点検を行っているときに前記蓄電池から供給される電力を消費する点検用負荷と、
を備え、
前記計時部は、前記経過時間が所定のインターバル時間に達したときに前記点検部に前記点検を開始させるための点検開始信号を出力し、
前記点検部は、前記点検開始信号を受け取ると前記点検を開始し、前記蓄電池から前記点検用負荷に電力を供給させ、前記点検開始から所定時間後における前記蓄電池の電池電圧に基づいて、前記蓄電池の良否を判定する、
照明器具。
【請求項2】
前記点検用負荷は、一つ以上の抵抗器である、
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記光源を前記点検用負荷に兼用する、
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記点検用負荷は、前記光源と異なる点検用光源である、
請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記点灯回路部は、前記光源に第1の電流を供給する非常点灯モードと、前記第1の電流よりも小さい第2の電流を供給する点検モードと、を有し、
前記点検部は、前記点検開始信号を受け取ると前記点灯回路部を前記点検モードで動作させ、所定時間が経過した後の前記蓄電池の電圧に基づいて前記蓄電池の良否を判定する、
請求項1-4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
本体ユニットを更に備え、
前記本体ユニットは、前記光源、前記蓄電池、前記充電回路部、前記点灯回路部、前記点検部、前記計時部、及び前記点検用負荷を収容するように構成される、
請求項1-4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記点検用負荷は、前記光源と異なる点検用光源であり、
前記本体ユニットは、前記点検用光源から放射される光を外部に出射するように構成される、
請求項6記載の照明器具。
【請求項8】
前記計時部は、前記充電回路部と前記蓄電池が電気的に接続された時点から前記経過時間の計時を開始する、
請求項1-4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項9】
光源と、
交換可能な蓄電池と、
常用電源から供給される常用電力で前記蓄電池を充電する充電回路部と、
前記蓄電池から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる点灯回路部と、
前記点灯回路部を制御し、前記蓄電池の点検を行う点検部と、
前記点検部が点検を行う予定のスケジュール時刻と現在時刻の一致・不一致を判定する判定部と、
前記点検部が点検を行っているときに前記蓄電池から供給される電力を消費する点検用負荷と、
を備え、
前記判定部は、前記現在時刻が前記スケジュール時刻と一致したときに前記点検部に前記点検を開始させるための点検開始信号を出力し、
前記点検部は、前記点検開始信号を受け取ると前記点検を開始し、前記蓄電池から前記点検用負荷に電力を供給させ、前記点検開始から所定時間後における前記蓄電池の電池電圧に基づいて、前記蓄電池の良否を判定する、
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、蓄電池を搭載して非常時用照明を行う照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明装置を例示する。特許文献1記載の照明装置(以下、従来例という。)は、停電時などの外部電源の遮断時に、内蔵する非常用電源(蓄電池)の電力によって点灯する非常用照明装置である。
【0003】
従来例においては、蓄電池の点検を定期的に実施する必要がある。点検時には、作業者が点検する照明装置の下方でリモコンなどの端末を操作し、照明装置へ向けて点検信号を送信する。照明装置は、点検信号を受信すると点検モードとなり、蓄電池の電力で光源を点灯させて蓄電池の寿命を判定する。照明装置は、点検完了後、点検結果をモニタランプで報知するとともに、リモコンなどの端末に点検結果を送信する。作業者は、モニタランプを目視で確認し、また、端末に受信した点検結果を確認することで蓄電池の状態を把握する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例では、点検を開始するために人(作業者)が端末を操作し、点検開始から所定時間(数十分から1時間)が経過した後に照明装置から報知される点検結果を確認しなければならず、点検を行う作業者の負担が大きかった。
【0006】
本開示の目的は、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、光源と、交換可能な蓄電池と、充電回路部と、点灯回路部と、点検部と、経過時間を計時する計時部と、点検用負荷と、を備える。前記充電回路部は、常用電源から供給される常用電力で前記蓄電池を充電する。前記点灯回路部は、前記蓄電池から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる。前記点検部は、前記点灯回路部を制御し、前記蓄電池の点検を行う。前記点検用負荷は、前記点検部が点検を行っているときに前記蓄電池から供給される電力を消費する。前記計時部は、前記経過時間が所定のインターバル時間に達したときに前記点検部に前記点検を開始させるための点検開始信号を出力する。前記点検部は、前記点検開始信号を受け取ると前記点検を開始し、前記蓄電池から前記点検用負荷に電力を供給させ、前記点検開始から所定時間後における前記蓄電池の電池電圧に基づいて、前記蓄電池の良否を判定する。
【0008】
本開示の一態様に係る照明器具は、光源と、交換可能な蓄電池と、充電回路部と、点灯回路部と、点検部と、判定部と、点検用負荷と、を備える。前記充電回路部は、常用電源から供給される常用電力で前記蓄電池を充電する。前記点灯回路部は、前記蓄電池から供給される非常用電力で前記光源を点灯させる。前記点検部は、前記点灯回路部を制御し、前記蓄電池の点検を行う。前記判定部は、前記点検部が点検を行う予定のスケジュール時刻と現在時刻の一致・不一致を判定する。前記点検用負荷は、前記点検部が点検を行っているときに前記蓄電池から供給される電力を消費する。前記判定部は、前記現在時刻が前記スケジュール時刻と一致したときに前記点検部に前記点検を開始させるための点検開始信号を出力する。前記点検部は、前記点検開始信号を受け取ると前記点検を開始し、前記蓄電池から前記点検用負荷に電力を供給させ、前記点検開始から所定時間後における前記蓄電池の電池電圧に基づいて、前記蓄電池の良否を判定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の照明器具は、点検に要する作業負担の軽減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の照明器具の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の照明器具の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図5】
図5は、同上の照明器具の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図6】
図6は、同上の照明器具の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図7】
図7は、同上の照明器具における蓄電池の放電特性を説明する図である。
【
図8】
図8は、変形例1の照明器具の回路ブロック図である。
【
図9】
図9は、変形例2の照明器具の点検動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図10】
図10は、変形例3の照明器具の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
実施形態に係る照明器具A1は、光源と、交換可能な蓄電池30と、充電回路部401と、点灯回路部402と、点検部と、経過時間を計時する計時部と、点検用負荷5と、を備える(
図1参照)。光源は、例えば、LED20である。蓄電池30は、例えば、ニッケル水素蓄電池である。ただし、光源は、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体レーザなどでも構わない。また、蓄電池30は、リチウムイオン蓄電池などでも構わない。
【0013】
充電回路部401は、常用電源から供給される常用電力で蓄電池30を充電する。常用電源は、例えば、電力系統P1である。点灯回路部402は、蓄電池30から供給される非常用電力で光源(LED20)を点灯させる。
【0014】
点検部は、点灯回路部402を制御し、蓄電池30の点検を行う。点検用負荷5は、点検部が点検を行っているときに蓄電池30から供給される電力を消費する。点検用負荷5は、例えば、抵抗器などの受動素子、あるいは発光素子などの能動素子が好ましい。
【0015】
計時部は、経過時間が所定のインターバル時間に達したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。例えば、点検部は、充電回路部401を停止させ、蓄電池30から供給される電力(非常用電力)を点検用負荷5に消費させることで点検を行う。なお、点検部及び計時部は、制御回路部404が備えるマイクロコントローラのプロセッサに、点検用のプログラム及び計時用のプログラムを実行させて実現されることが好ましい。
【0016】
しかして、実施形態に係る照明器具A1は、計時部が計時する経過時間がインターバル時間に達すると、点検部に点検開始信号を出力して点検を開始させるので、従来例のように点検を開始するための人の作業が不要になる。その結果、実施形態に係る照明器具A1は、従来例と比べて、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる。なお、点検用負荷5を光源と別の素子(例えば、抵抗器など)とした場合、実施形態に係る照明器具A1は、蓄電池30から供給される電力を、光源ではなく点検用負荷5に消費させて点検を行うので、光源の劣化の抑制を図ることができる。
【0017】
また、実施形態に係る照明器具A1は、計時部に代えて、判定部を備えてもよい。判定部は、点検部が点検を行う予定のスケジュール時刻と現在時刻の一致・不一致を判定する。判定部は、現在時刻がスケジュール時刻と一致したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。なお、判定部は、制御回路部404が備えるマイクロコントローラのプロセッサに、判定用のプログラムを実行させて実現されることが好ましい。
【0018】
しかして、実施形態に係る照明器具A1は、現在時刻がスケジュール時刻と一致したと判定部が判定すると、点検部に点検開始信号を出力して点検を開始させるので、従来例のように点検を開始するための人の作業が不要になる。その結果、実施形態に係る照明器具A1は、従来例と比べて、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる。なお、点検用負荷5を光源と別の素子(例えば、抵抗器など)とした場合、実施形態に係る照明器具A1は、蓄電池30から供給される電力を、光源ではなく点検用負荷5に消費させて点検を行うので、光源の劣化の抑制を図ることができる。
【0019】
(2)詳細
実施形態に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、電池内蔵形非常時用照明器具の一種である非常灯である。非常灯は、火災などの災害発生による停電の場合に、避難経路を照明するための全般照明用の非常時用照明器具である。なお、照明器具A1は、非常用照明のみを行う専用形非常時用照明器具であるが、常用照明と非常用照明の両方を行う併用形の電池内蔵形非常時用照明器具であっても構わない。あるいは、照明器具A1は、2個以上の光源をもつ非常時用照明器具の1種であり、1個以上の光源を非常用電源によって点灯させ、その他の光源を常用電源によって点灯させる、組込型非常時用照明器具であっても構わない。
【0020】
(2-1)照明器具(非常灯)の構造
照明器具A1は、天井仕上材9の下面(天井面)に直接取り付けられる、いわゆる天井直付け型の非常灯である(
図2参照)。ただし、照明器具A1は、天井仕上材9に設けられる穴を通して天井(天井仕上材9)に埋め込むように取り付けられる、いわゆる埋込型の非常灯であっても構わない。
【0021】
照明器具A1は、本体ユニット1と、光源ユニット2と、電池ユニット3と、点灯ユニット4と、点検用負荷5と、を備える(
図2及び
図3参照)。
【0022】
(2-1-1)本体ユニット
本体ユニット1は、円盤状の取付板10と、バケツ型のカバー11と、一対の取付ばね12と、を有する(
図3参照)。
【0023】
取付板10は、金属材料によって円盤状に形成されている。取付板10の中央に円形の引込穴100が開口している(
図3参照)。この引込穴100に挿通される電源ケーブルを介して、電力系統P1と点灯ユニット4の点灯装置40が電気的に接続される(
図1参照)。取付板10は、天井仕上材9にねじ止めされることで天井面に固定される。
【0024】
一対の取付ばね12はそれぞれ、金属製の線材によって略ひし形に形成される。一対の取付ばね12は、取付板10の中心を挟んで対向する周縁部分に一つずつ取り付けられる。
【0025】
カバー11は、上面が開口した円すい台形状(バケツ型)に形成されている(
図3参照)。ただし、カバー11の上面の直径は、取付板10の直径よりもわずかに大きい。また、カバー11の下面(底面)の中央に円形の窓穴110が設けられている。この窓穴110に、後述する光源ユニット2のレンズ21が挿通される。さらに、カバー11の底面における窓穴110の近傍に、4つの穴(第1穴111、第2穴112、第3穴113、第4穴114)が縦横2列に並ぶように設けられている。
【0026】
カバー11の内周面に、一対のばね受け部材(図示せず)が設けられている。一対のばね受け部材は、窓穴110を挟んで対向する位置に配置される。各ばね受け部材は、取付ばね12が挿通される溝を有している。しかして、カバー11は、一対の取付ばね12が一対のばね受け部材の溝に一つずつ挿通されることによって、取付板10に着脱可能に取り付けられる(
図2及び
図3参照)。
【0027】
(2-1-2)光源ユニット
光源ユニット2は、
図3に示すように、LED20、レンズ21、ホルダ22、放熱板23などを有する。
【0028】
LED20は、例えば、パッケージ型の照明用白色LEDである。レンズ21は、例えば、ガラス製であって、概ね半球状に形成されている。ホルダ22は、例えば、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂によって、中央部分が開口した枠状に形成されている。放熱板23は、アルミ又はアルミ合金製の板材によってU字状に形成されている。ホルダ22は、中央部分の開口からレンズ21を突出させ、放熱板23との間にLED20及びレンズ21を挟み込むようにして、放熱板23にねじ止めされる。
【0029】
(2-1-3)電池ユニット
電池ユニット3は、複数本(図示例では3本)の蓄電池30と、これら複数本の蓄電池30を収容する電池ケース31と、を有する(
図1及び
図3参照)。蓄電池30は、円筒形のニッケル水素蓄電池である。ただし、蓄電池30は、角筒形のニッケル水素蓄電池又は円筒形若しくは各筒形のリチウムイオン蓄電池などでも構わない。また、蓄電池30の本数は、非常灯に要求される点灯時間の規格値を満たすことができる本数であれば、2本以下又は4本以上でも構わない。
【0030】
電池ケース31は、上下両側の底面が馬蹄形(U字形)である筒状に形成される。複数本の蓄電池30は、その軸方向を上下方向に一致させ、径方向に沿って一列に並ぶように電池ケース31内に収容される。なお、電池ケース31の下側の一端部にコネクタ部32が設けられる。コネクタ部32は、電池ケース31内で電気的に直列接続された複数本の蓄電池30を、後述する点灯ユニット4の点灯装置40と電気的に接続するように構成される。
【0031】
(2-1-4)点灯ユニット
点灯ユニット4は、点灯装置40と、点灯装置40を収容する筐体41と、端子台ケース42と、を有する(
図1及び
図3参照)。点灯装置40は、プリント回路で構成されている。筐体41は、合成樹脂材料で箱状に形成され、かしめ又はねじ止めなどの適宜の方法で取付板10の下面に取り付けられる。
【0032】
端子台ケース42は、合成樹脂材料で箱状に形成され、筐体41の外側面に取り付けられた端子台を覆うように筐体41に取り付けられる。なお、端子台は、点灯装置40と電気的に接続されるとともに、引込穴100から引き込まれる電源ケーブルが抜き差し可能に接続される。つまり、点灯装置40は、端子台を介して電源ケーブルと電気的に接続される。
【0033】
(2-1-5)点検用負荷
点検用負荷5は、例えば、一つ以上の抵抗器である。点検用負荷5は、単一の抵抗器でもよいし、電気的に直列又は並列に接続された複数の抵抗器でもよい。なお、点検用負荷5は、抵抗器などの受動素子に限定されず、発光素子などの能動素子でも構わない。ただし、点検用負荷5は、点検時におけるLED20で消費される電力と同等の電力を消費するように構成されることが好ましい。
【0034】
実施形態における点検用負荷5は、例えば、合成樹脂製のケースに収容されて点灯ユニット4の筐体41に取り付けられる(
図3参照)。ただし、点検用負荷5は、ケースに収容されて取付板10に取り付けられても構わない。
【0035】
(2-2)照明器具の回路構成
次に、
図1を参照して照明器具A1の回路構成を詳細に説明する。ただし、
図1においては蓄電池30を一つしか図示していないが、実際は複数本(例えば、3本)の蓄電池30が電気的に直列接続されている。
【0036】
照明器具A1は、点灯装置40と、点検用負荷5と、切替スイッチSW1と、を備える。
【0037】
点灯装置40は、電源回路部400、充電回路部401、点灯回路部402、停電検出部403、制御回路部404、操作入力受付部405、報知部406、を有する。
【0038】
電源回路部400は、例えば、リンギングチョークコンバータなどの自励型のスイッチング電源回路で構成され、電力系統P1から供給される交流電圧を、当該交流電圧の実効値よりも低い直流電圧に変換する。ただし、電源回路部400は、力率改善回路とバックコンバータなどで構成されても構わない。
【0039】
充電回路部401は、電力系統P1から給電されているときに動作し、電源回路部400から蓄電池30へ一定の充電電流を流すように構成される。
【0040】
点灯回路部402は、蓄電池30から供給される直流電流を定電流化してLED20に供給する。
【0041】
停電検出部403は、電源回路部400の出力電圧から電力系統P1の停電を検出して制御回路部404に通知するように構成される。
【0042】
操作入力受付部405は、一つ以上の押釦スイッチと、赤外線を媒体とする制御信号を受信する赤外線受信モジュールと、を有する。操作入力受付部405は、押釦スイッチが押操作されることで操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する操作入力信号を制御回路部404に出力する。また、操作入力受付部405は、リモートコントローラから送信される制御信号を赤外線受信モジュールで受信することで操作入力信号(制御コマンド)を受け付け、受け付けた操作入力信号(制御コマンド)を制御回路部404に出力する。なお、制御信号(赤外線信号)は、カバー11の底面に設けられた第4穴114を通して赤外線受信モジュールに受信される。
【0043】
報知部406は、例えば、表示用の緑色のLEDを有する。ただし、報知部406は、表示用のLEDとともに、あるいは、表示用のLEDに代えて、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを有しても構わない。さらに、報知部406は、圧電ブザーなどを有し、光だけでなく、音による報知を行っても構わない。
【0044】
制御回路部404は、(1)概要で説明したように、一つ以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラを備える。制御回路部404は、一つ以上のプロセッサに、通常動作用(蓄電池30の充電及びLED20の非常点灯)のプログラムを実行させる。また、制御回路部404は、点検用及び計時用の各プログラムを実行させることで点検部及び計時部の機能を実現する。なお、制御回路部404は、計時部の機能を実現するに当たって、マイクロコントローラが有するタイマ(カウンタ)を利用する。
【0045】
制御回路部404は、充電回路部401を動作させて常用電源(電力系統P1)から供給される常用電力で蓄電池30を充電させる。なお、制御回路部404は、報知部406のLEDを点灯させることで蓄電池30が充電中であることを報知する。報知部406のLEDから放射される緑色光は、カバー11の底面に設けられた第3穴113を通してカバー11の外に出射される。
【0046】
また、制御回路部404は、電力系統P1が停電したことを停電検出部403から通知されると、充電回路部401を停止させ、点灯回路部402を動作させて蓄電池30から供給される非常用電力でLED20を点灯させる。なお、制御回路部404は、点灯回路部402の動作中は報知部406のLEDを消灯させる。
【0047】
切替スイッチSW1は、点灯回路部402をLED20に接続する状態(以下、第1の接続状態と呼ぶ場合がある。)と、点灯回路部402を点検用負荷5に接続する状態(以下、第2の接続状態と呼ぶ場合がある。)と、を択一的に切り替えるように構成される。切替スイッチSW1は、例えば、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチング素子、あるいは、半導体スイッチング素子を利用したソリッドステートリレー(SSR)で構成される。ただし、切替スイッチSW1は、電磁リレーなどのメカニカルリレーで構成されても構わない。
【0048】
切替スイッチSW1は、点検部が点検を行う際に第1の接続状態から第2の接続状態に切り替えられる。切替スイッチSW1が第2の接続状態に切り替えられることにより、蓄電池30から放電される直流電力が点灯回路部402及び切替スイッチSW1を介して点検用負荷5に供給される。なお、切替スイッチSW1は、点検部が点検を行っていないときは第1の接続状態に維持される。
【0049】
(2-3)照明器具の点検
次に、照明器具A1で行われる点検について説明する。非常灯については、6か月に1度の割合で非常点灯への切替え、及び点灯時間(非常点灯した時間)の確認(点検)を行うことが法令(建築基準法)で義務づけられている。そして、点検の結果、非常点灯しない、あるいは、法令で定められた非常点灯の定格時間(30分又は60分)が経過する前に消灯した場合、適切な処置、例えば、新しい蓄電池30への交換などを実施する必要がある。
【0050】
(2-3-1)基本的な点検動作
制御回路部404で実現される点検部(以下、点検部と略す。)は、点灯回路部402及び切替スイッチSW1を制御して蓄電池30の点検を行う。制御回路部404で実現される計時部(以下、計時部と略す。)は、経過時間が所定のインターバル時間に達したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。例えば、点検部は、充電回路部401を停止させるとともに切替スイッチSW1を第1の接続状態から第2の接続状態に切り替えて、蓄電池30から供給される非常用電力を、点灯回路部402を介して点検用負荷5に消費させることで点検を行う。ただし、点検部は、操作入力受付部405から出力される操作入力信号及び制御コマンドに応じて点検を開始する場合もある。
【0051】
点検部は、点検開始時点から計時部に計時を開始させる。点検部は、計時部が計時する時間が非常点灯の定格時間(30分又は60分)に達した後、切替スイッチSW1に印加される電圧(蓄電池30の電池電圧に比例した電圧)の検出値を所定のしきい値と比較する。点検部は、検出値がしきい値以上であれば、蓄電池30に異常なしと判断し、検出値がしきい値未満であれば、蓄電池30に異常有りと判断する。例えば、蓄電池30が寿命末期に至っている場合、定格時間に達する前に、蓄電池30の電池電圧が点灯回路部402の下限電圧(LED20に電流を供給するために必要な最低電圧)を下回ってしまえば、LED20に電流が供給されなくなる。
【0052】
制御回路部404は、点検部の点検結果(蓄電池30の異常の有無)を報知部406から報知させる。点検部の点検結果が蓄電池30の異常なしの場合、制御回路部404は、報知部406のLEDを点灯させるとともに充電回路部401による充電を再開する。一方、点検部の点検結果が蓄電池30の異常ありの場合、制御回路部404は、充電回路部401を停止させたまま、報知部406のLEDを点滅させることで蓄電池30の異常を報知する。
【0053】
(2-3-2)自動的に点検を開始する動作
次に、点検部が自動的に点検を開始する動作について、
図4-
図6を参照して詳細に説明する。
【0054】
まず、照明器具A1が設置された後、電力系統P1の給電が開始されるか、あるいは、電力系統P1の給電開始後に電池ユニット3が取付板10に取り付けられて点灯装置40と電気的に接続されると、点灯装置40が動作を開始する。
【0055】
点灯装置40が動作を開始することにより、計時部が経過時間(点灯装置40の動作開始時点をゼロとした経過時間)の計時を開始する(
図4の時点S1-1)。計時部は、経過時間が第1インターバル時間T1(例えば、60日)に達したときに初回の点検開始信号を出力する(
図4の時点S1-2)。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。なお、計時部は、点検開始信号の出力後に経過時間の計時を中止し、点検部の点検完了後に新たに経過時間の計時を開始する。
【0056】
計時部は、再開後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達したときに2回目の点検開始信号を出力する(
図4の時点S1-3)。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。なお、計時部は、点検開始信号の出力後に経過時間の計時を中止し、点検部の点検完了後に新たに経過時間の計時を開始する。
【0057】
さらに、計時部は、再開後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達したときに3回目の点検開始信号を出力する(
図4の時点S1-4)。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。なお、計時部は、点検開始信号の出力後に経過時間の計時を中止し、点検部の点検完了後に新たに経過時間の計時を開始する。以降、計時部は、再開後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達するごとに3回目、4回目、5回目、…の点検開始信号を出力する。
【0058】
しかして、照明器具A1は、計時部が計時する経過時間がインターバル時間(第1インターバル時間T1及び第2インターバル時間T2)に達すると、点検部に点検開始信号を出力して点検を開始させる。そのため、照明器具A1は、従来例のように点検を開始するための人の作業が不要になるので、従来例と比べて、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる。また、照明器具A1は、初回の点検を2回目以降の点検よりも短期間で行うことにより、蓄電池30の初期不良を早期に発見できる。
【0059】
ここで、点検で蓄電池30の異常有りと判断された場合、照明器具A1は、電池ユニット3が交換される。交換作業を行う作業者は、電力系統P1の給電を継続した状態で取付板10からカバー11を取り外し、電池ユニット3を交換する。制御回路部404は、充電回路部401の充電電流の供給が停止した後、充電電流の供給が再開された場合、電池ユニット3が交換されたと判定し、計時部が計時する経過時間をリセットする。また、制御回路部404は、電池ユニット3が交換されて新しい蓄電池30が充電回路部401に接続されると、充電回路部401から充電電流の供給を開始させる。
【0060】
あるいは、新しい電池ユニット3を取り付けた後、カバー11の第1穴111から突出する操作部材4050(
図2参照)を作業者が押操作して操作入力受付部405に操作入力を受け付けさせてもよい。操作入力受付部405は、受け付けた操作入力に対応する操作入力信号を制御回路部404に出力する。制御回路部404は、操作入力受付部405から受け取った操作入力信号に基づいて計時部の経過時間をリセットする。
【0061】
計時部は、蓄電池30(電池ユニット3)が交換されると、交換された時点から経過時間の計時を行う(
図5の時点S2-1)。そして、計時部は、経過時間が所定の充電時間T3(例えば、48時間)に達すると、再度、経過時間をリセットして再度ゼロから計時を開始する(
図5の時点S2-2)。なお、充電時間T3は、新しい電池ユニット3(蓄電池30)を満充電まで充電するのに要する時間である。
【0062】
計時部は、蓄電池30の充電完了後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達したときに初回の点検開始信号を出力する(
図5の時点S2-3)。計時部は、点検開始信号の出力後に経過時間の計時を中止し、点検部の点検完了後に新たに経過時間の計時を開始する。以降、計時部は、再開後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達するごとに2回目、3回目、4回目、…の点検開始信号を出力する。
【0063】
しかして、照明器具A1は、交換された蓄電池30の充電が完了した後、点検を開始するための経過時間の計時を計時部に再開させるので、蓄電池30が満充電されていない状態で点検が開始されることを回避できる。
【0064】
ところで、照明器具A1は、経過時間が第2インターバル時間T2に達する前に停電が発生した場合(
図6の時点S3-1)、制御回路部404が点灯回路部402を動作させてLED20を非常点灯させる。なお、制御回路部404は、LED20を点灯させている時間(以下、点灯時間という。)を計時部に計時させる。
【0065】
電力系統P1が復電すると、制御回路部404は、計時部が計時した点灯時間Tonを上限時間(例えば、30分)と比較する(
図6の時点S3-2、S3-4)。点灯時間Tonが上限時間を超えた場合、計時部は、経過時間をリセットしてゼロから計時を再開する。そして、計時部は、復電後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達したときに点検開始信号を出力する(
図6の時点S3-3)。計時部は、点検開始信号の出力後に経過時間の計時を中止し、点検部の点検完了後に新たに経過時間の計時を開始する。言い換えると、計時部は、LED20の点灯時間が上限時間を超えた場合、経過時間が第2インターバル時間T2に達するまで点検開始信号を出力しない。すなわち、LED20の点灯時間Tonが上限時間を超えた場合、実質的に蓄電池30の点検が行われたことになるので、不要な点検が行われることを避けて蓄電池30の劣化抑制を図ることができる。なお、計時部は、再開後の経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達するごとに点検開始信号を出力する。
【0066】
一方、点灯時間Tonが上限時間を超えなかった場合、計時部は、経過時間をリセットせずに計時を継続する(
図6の時点S3-4)。そして、計時部は、前回の点検完了からの経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達したときに点検開始信号を出力する(
図6の時点S3-5)。計時部は、点検開始信号の出力後に経過時間の計時を中止し、点検部の点検完了後に新たに経過時間の計時を開始する。以降、計時部は、経過時間が第2インターバル時間T2(例えば、180日)に達するごとに点検開始信号を出力する。
【0067】
しかして、計時部は、点灯時間Tonが上限時間を超えない場合、経過時間が第2インターバル時間T2に達するごとに点検開始信号を出力する。つまり、点灯時間Tonが上限時間を超えなかった場合、実質的に点検が行われたことにはならないので、計時部が経過時間の計時を継続することで定期的な点検を自動で行うことができる。
【0068】
ここで、計時部は、操作入力受付部405が受け付ける操作入力に応じて、複数のインターバル時間を設定しても構わない。例えば、操作入力受付部405がディップスイッチを有し、ディップスイッチによって1か月から6か月までの6通りのインターバル時間を選択できるように構成されても構わない。これにより、照明器具A1は、点検を行う期間(インターバル時間)の設定の自由度を高めて使い勝手の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、計時部は、操作入力受付部405が受け付ける操作入力に応じて、経過時間の計時をリセットしても構わない。すなわち、照明器具A1は、操作入力受付部405を操作して計時部による経過時間のリセットを可能とすれば、例えば、インターバル時間の誤設定等によって不要な点検が行われることを回避できる。
【0070】
ところで、照明器具A1の点灯装置40は、計時部に代えて判定部を有しても構わない。ただし、判定部は、計時部と同様に、制御回路部404が有するマイクロコントローラのプロセッサに、判定用のプログラムを実行させることで実現することが好ましい。
【0071】
制御回路部404で実現される判定部(以下、判定部と略す。)は、点検部が点検を行う予定のスケジュール時刻と現在時刻の一致・不一致を判定する。そのため、判定部は、マイクロコントローラに搭載されているRTC(リアルタイムクロック)機能を利用して現在時刻(日付と時刻)を計時する。なお、判定部が計時する現在時刻は、操作入力受付部405が受け付ける操作入力に応じて設定されることが好ましい。また、判定部は、現在時刻の設定が行われた時点を起点として、6か月ごとの定刻(例えば、深夜零時)を点検開始時刻に設定することが好ましい。
【0072】
しかして、判定部は、現在時刻がスケジュール時刻と一致したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。
【0073】
上述のように照明器具A1は、あらかじめ決められたスケジュールに従って自動的に点検を行うことにより、従来例のように点検を開始するための人の作業が不要になるので、従来例と比べて、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる。
【0074】
(3)実施形態の変形例
次に、実施形態に係る照明器具A1の変形例を説明する。ただし、以下に説明する変形例の照明器具A1の基本構成は、実施形態に係る照明器具A1の基本構成と共通である。したがって、実施形態に係る照明器具A1の基本構成と共通する構成及び実質的に共通する構成については、同一の符号を付して図示及び説明を適宜省略する。なお、以下の説明において「実質的に共通する構成」とは、形状・大きさなどは多少相違しているが機能は共通している構成を意味する。
【0075】
(3-1)変形例1
実施形態における蓄電池30に使用されるニッケル水素蓄電池は、満充電からの放電開始直後と放電終了直前の期間を除いて、放電時間に対して電池電圧がほぼ直線的に低下する特性(放電特性)を有している(
図7参照)。したがって、蓄電池30の放電特性が線形とみなせる期間であれば、任意の時点の電池電圧から、その後の電池電圧を推定することができる。
【0076】
変形例1の照明器具A1において、点灯回路部402は、第1の電流を供給する非常点灯モードと、第1の電流よりも小さい第2の電流を供給する点検モードと、を有する。また、変形例1における点検部は、点検開始信号を受け取ると、切替スイッチSW1を第2の接続状態に切り替えた後、点灯回路部402を点検モードで動作させる。さらに、変形例1における点検部は、点検モードの動作開始から所定時間(非常点灯の定格時間よりも長い時間)が経過した後の蓄電池30の電圧に基づいて蓄電池30の良否を判定する。
【0077】
しかして、変形例1の照明器具A1は、点検時に点灯回路部402から点検用負荷5に流す電流(第2の電流)を、非常点灯時の電流(第1の電流)よりも小さくするので、点検中の点検用負荷5の発熱量を低減できる。その結果、変形例1の照明器具A1は、点検時の温度上昇の抑制を図ることができる。
【0078】
(3-2)変形例2
変形例2の照明器具A1は、LED20を点検用負荷5に兼用する。したがって、変形例2の照明器具A1は、切替スイッチSW1を備えていない(
図8参照)。また、変形例2における点灯回路部402は、変形例1と同様に、第1の電流を供給する非常点灯モードと、第1の電流よりも小さい第2の電流を供給する点検モードと、を有する。
【0079】
例えば、
図9に示すように、時刻t=t1に点検部が点検を開始し、点灯回路部402を点検モードで動作させたと仮定する。
図9において、一点破線は点灯回路部402が非常点灯モードで動作して第1の電流をLED20に供給する場合の放電特性を表している。一方、
図9において、実線は点灯回路部402が点検モードで動作して第2の電流(<第1の電流)をLED20に供給する場合の放電特性を表している。
【0080】
ここで、蓄電池30に使用されるニッケル水素蓄電池の放電特性(
図7参照)から、蓄電池30の放電時間に対する電池電圧の減少率が既知であると仮定する。そうすると、点検開始時点(放電開始時点)の時刻t=t1から非常点灯の定格時間に達する時刻t=t2における蓄電池30の電池電圧を、時刻t=t2よりも後の時刻t=t3の時点の蓄電池30の電池電圧から推定できる。したがって、点検部は、点検開始時点から所定時間が経過した時点(時刻t=t3)の蓄電池30の電池電圧に基づいて、蓄電池30の良否を判定できる。
【0081】
しかして、変形例2の照明器具A1は、LED20を点検用負荷5に兼用することにより、部品点数の増加を抑制できる。また、変形例2の照明器具A1は、点検時に点検用負荷(LED20)に供給する電流を、非常点灯時に供給する電流よりも小さくするので、LED20の劣化の抑制を図ることができる。ただし、変形例2の照明器具A1は、点検開始時点の時刻t=t1から非常点灯の定格時間に達する時刻t=t2における蓄電池30の電池電圧に基づいて、点検部に蓄電池30の良否を判定させても構わない。この場合、変形例2の照明器具A1は、LED20の劣化の抑制を図りつつ点検時間を従来と同程度に抑えることができる。
【0082】
(3-3)変形例3
変形例3の照明器具A1は、LED20と異なる点検用光源50を点検用負荷5とする(
図10参照)。さらに、変形例3の照明器具A1は、報知部406が有する表示用のLEDを点検用光源50に兼用する。なお、表示用のLEDを点検用光源50に兼用する場合、点検中に点検用光源50から放射される光(緑色光)は、カバー11の底面に設けられた第3穴113を通して本体ユニット1の外部に出射する(
図2参照)。
【0083】
ここで、変形例3における報知部406は、電源回路部400から供給される直流電流と蓄電池30から供給される直流電流を択一的に選択して表示用のLED(点検用光源50)を点灯させるように構成される。つまり、報知部406は、点検部による点検中は蓄電池30から供給される直流電流で点検用光源50を点灯させ、点検中以外は電源回路部400から供給される直流電流と蓄電池30から供給される直流電流で表示用のLED(点検用光源50)を点灯させる。
【0084】
しかして、変形例3の照明器具A1は、LED20と異なる点検用光源50を点検用負荷5とするので、点検用負荷5の負荷特性(例えば、抵抗値及び抵抗値の温度特性など)をLED20の負荷特性に近付けやすくなる。その結果、変形例3の照明器具A1は、点検用負荷5(点検用光源50)を使用した点検における蓄電池30の良否判定の信頼性向上を図ることができる。
【0085】
さらに、変形例3の照明器具A1は、点検用光源50の放射する光を本体ユニット1の外部に照射するので、例えば、報知部406が有する表示用のLEDを点検用光源50に兼用できる。その結果、変形例3の照明器具A1は、部品点数の削減を図ることができる。
【0086】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明器具(A1)は、光源(LED20)と、交換可能な蓄電池(30)と、充電回路部(401)と、点灯回路部(402)と、点検部(制御回路部404)と、経過時間を計時する計時部(制御回路部404)と、点検用負荷(5)と、を備える。充電回路部(401)は、常用電源(電力系統P1)から供給される常用電力で蓄電池(30)を充電する。点灯回路部(402)は、蓄電池(30)から供給される非常用電力で光源を点灯させる。点検部は、点灯回路部(402)を制御し、蓄電池(30)の点検を行う。点検用負荷(5)は、点検部が点検を行っているときに蓄電池(30)から供給される電力を消費する。計時部は、経過時間が所定のインターバル時間(第1インターバル時間T1、第2インターバル時間T2)に達したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。点検部は、蓄電池(30)から点検用負荷(5)に電力を供給させ、点検開始から所定時間後における蓄電池(30)の電池電圧に基づいて、蓄電池(30)の良否を判定する。
【0087】
第1の態様に係る照明器具(A1)は、計時部が計時する経過時間がインターバル時間に達すると、点検部に点検開始信号を出力して点検を開始させるので、従来例のように点検を開始するための人の作業が不要になる。その結果、第1の態様に係る照明器具(A1)は、従来例と比べて、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる。また、第1の態様に係る照明器具(A1)は、点検用負荷(5)を光源と別の素子(例えば、抵抗器など)とすることにより、蓄電池(30)から供給される電力を、光源ではなく点検用負荷(5)に消費させて点検を行うので、光源の劣化の抑制を図ることができる。
【0088】
本開示の第2の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(A1)において、点検用負荷(5)は、一つ以上の抵抗器であることが好ましい。
【0089】
第2の態様に係る照明器具(A1)は、一つ以上の抵抗器を点検用負荷(5)とするので、点検用負荷(5)の占有スペースを抑制できる。
【0090】
本開示の第3の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(A1)において、光源を点検用負荷(5)に兼用することが好ましい。
【0091】
第3の態様に係る照明器具(A1)は、光源を点検用負荷(5)に兼用するので、部品点数の増加を抑制できる。
【0092】
本開示の第4の態様に係る照明器具(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明器具(A1)において、点検用負荷(5)は、光源と異なる点検用光源(50)であることが好ましい。
【0093】
第4の態様に係る照明器具(A1)は、点検用負荷(5)の負荷特性(例えば、抵抗値及び抵抗値の温度特性など)を光源の負荷特性に近付けやすくなる。その結果、第3の態様に係る照明器具(A1)は、点検用負荷(5)を使用した点検における蓄電池(30)の良否判定の信頼性向上を図ることができる。
【0094】
本開示の第5の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明器具(A1)において、点灯回路部(402)は、光源に第1の電流を供給する非常点灯モードと、第1の電流よりも小さい第2の電流を供給する点検モードと、を有することが好ましい。点検部は、点検開始信号を受け取ると点灯回路部(402)を点検モードで動作させ、所定時間が経過した後の蓄電池(30)の電圧に基づいて蓄電池(30)の良否を判定することが好ましい。
【0095】
第5の態様に係る照明器具(A1)は、点検中の点検用負荷(5)の発熱量を低減できる。その結果、第5の態様に係る照明器具(A1)は、点検時の温度上昇の抑制を図ることができる。
【0096】
本開示の第6の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明器具(A1)は、本体ユニット(1)を更に備えることが好ましい。本体ユニット(1)は、光源、蓄電池(30)、充電回路部(401)、点灯回路部(402)、点検部、計時部、及び点検用負荷(5)を収容するように構成されることが好ましい。
【0097】
第6の態様に係る照明器具(A1)は、点検用負荷(5)を本体ユニット(1)に収容するので、点検用負荷(5)を本体ユニット(1)の外に設ける場合に比べて、施工性の向上を図ることができる。
【0098】
本開示の第7の態様に係る照明器具(A1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明器具(A1)において、点検用負荷(5)は、光源と異なる点検用光源(50)であることが好ましい。本体ユニット(1)は、点検用光源(50)から放射される光を外部に出射するように構成されることが好ましい。
【0099】
第7の態様に係る照明器具(A1)は、点検用光源(50)の放射する光を本体ユニット(1)の外部に照射するので、例えば、他の用途の発光素子を点検用光源(50)に兼用できる。その結果、第7の態様に係る照明器具(A1)は、部品点数の削減を図ることができる。
【0100】
本開示の第8の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第7のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る照明器具(A1)において、計時部は、充電回路部(401)と蓄電池(30)が電気的に接続された時点から経過時間の計時を開始することが好ましい。
【0101】
第8の態様に係る照明器具(A1)は、蓄電池(30)が交換された場合、計時部に交換の時点から経過時間の計時を開始させるので、交換後の蓄電池(30)に対しても自動的に点検できる。その結果、第8の態様に係る照明器具(A1)は、点検に要する作業負担の更なる軽減を図ることができる。
【0102】
本開示の第9の態様に係る照明器具(A1)は、光源(LED20)と、交換可能な蓄電池(30)と、充電回路部(401)と、点灯回路部(402)と、点検部(制御回路部404)と、判定部(制御回路部404)と、点検用負荷(5)と、を備える。充電回路部(401)は、常用電源(電力系統P1)から供給される常用電力で蓄電池(30)を充電する。点灯回路部(402)は、蓄電池(30)から供給される非常用電力で光源を点灯させる。点検部は、点灯回路部(402)を制御し、蓄電池(30)の点検を行う。判定部は、点検部が点検を行う予定のスケジュール時刻と現在時刻の一致・不一致を判定する。点検用負荷(5)は、点検部が点検を行っているときに蓄電池(30)から供給される電力を消費する。判定部は、現在時刻がスケジュール時刻と一致したときに点検部に点検を開始させるための点検開始信号を出力する。点検部は、点検開始信号を受け取ると点検を開始する。点検部は、蓄電池(30)から点検用負荷(5)に電力を供給させ、点検開始から所定時間後における蓄電池(30)の電池電圧に基づいて、蓄電池(30)の良否を判定する。
【0103】
第9の態様に係る照明器具(A1)は、あらかじめ決められたスケジュールに従って自動的に点検を行うことにより、従来例のように点検を開始するための人の作業が不要になるので、従来例と比べて、点検に要する作業負担の軽減を図ることができる。
【符号の説明】
【0104】
A1 照明器具
P1 電力系統(常用電源)
T1 第1インターバル時間
T2 第2インターバル時間
1 本体ユニット
5 点検用負荷
20 LED(光源)
30 蓄電池
50 点検用光源
401 充電回路部
402 点灯回路部
404 制御回路部(点検部、計時部、判定部)