(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159320
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20241031BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20241031BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20241031BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A01C15/00 G
A01C11/00 302
A01B69/00 303M
A01C11/02 331D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075242
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】阿部 匡良
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
【テーマコード(参考)】
2B043
2B052
2B060
2B062
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA07
2B043BB06
2B043DA07
2B043DA15
2B043DA17
2B043EA33
2B043EB14
2B043EB15
2B043EC02
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED27
2B043EE01
2B052BC05
2B052BC09
2B052BC16
2B052DC07
2B052DC09
2B052DC14
2B052DD04
2B052EB11
2B060AA10
2B060AC03
2B060AD09
2B060AE10
2B060BA04
2B060BB06
2B060DA04
2B060DA07
2B060DA10
2B062AA05
2B062AB01
2B062AB07
2B062BA26
2B062BA51
2B062CA25
2B062CB06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業走行中に、自機の位置情報が取得できなくなった場合においても、施肥量を自動調節しながら作業を続行できる作業車両を提供する。
【解決手段】施肥装置4と、自機位置を取得する測位装置5とを備え、測位装置5により取得した自機位置に基づき、圃場の区画ごとに施肥量が設定された施肥マップを利用して、自機位置が属する区画に設定された目標施肥量を取得して、施肥装置の施肥量を制御するよう構成された作業車両1であって、圃場の土壌情報を取得する土壌情報取得部Jと、施肥装置4の施肥量を制御する制御装置Cとをさらに備え、施肥マップの情報に基づき、施肥装置4の施肥量を決定する施肥マップ利用施肥モードと、土壌情報取得部Jから取得した土壌情報と土壌情報学習部によって学習した土壌情報との比較によって、施肥装置4の施肥量を決定する土壌情報利用施肥モードとを選択して実行可能に構成されたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施肥装置と、自機位置を取得する測位装置とを備え、前記測位装置により取得した自機位置に基づき、圃場の区画ごとに施肥量が設定された施肥マップを利用して、自機位置が属する区画に設定された目標施肥量を取得して、前記施肥装置の施肥量を制御するよう構成された作業車両であって、
圃場の土壌情報を取得する土壌情報取得部と、前記施肥装置の施肥量を制御する制御装置とをさらに備え、
前記土壌情報取得部は、土壌の作土深を測定する作土深センサと、土壌の肥沃度を測定する肥沃度センサとを備えており、
前記制御装置は、取得した前記土壌情報を学習する土壌情報学習部を備え、
前記土壌情報取得部から前記土壌情報を取得可能に構成され、かつ、
前記施肥マップの情報に基づき、前記施肥装置の施肥量を決定する施肥マップ利用施肥モードと、前記土壌情報取得部から取得した土壌情報と前記土壌情報学習部によって学習した土壌情報との比較によって、前記施肥装置の施肥量を決定する土壌情報利用施肥モードとを選択して実行可能に構成されたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記制御装置は、施肥マップ利用施肥モード中に、前記測位装置が受信不良となったことを判定すると、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
さらに、前記制御装置は、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えた後、前記測位装置の受信不良が解消したと判定すると、自動で土壌情報利用施肥モードから施肥マップ利用施肥モードに切り替えることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記施肥マップの情報を記憶する携帯情報端末をさらに備え、
前記制御装置は、前記携帯情報端末から通信により、前記施肥マップの情報を取得可能に構成されるとともに、施肥マップ利用施肥モード中に、前記制御装置と前記携帯情報端末とが通信不可能となったことを判定すると、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
さらに、前記制御装置は、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えた後、前記制御装置と携帯情報端末の通信が可能となったことを判定すると、自動で土壌情報利用施肥モードから施肥マップ利用施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記制御装置は、さらに、予め設定された基本施肥量を前記施肥装置の施肥量として決定する基本施肥量施肥モードを実行可能に構成され、土壌情報利用施肥モード中に、前記土壌情報取得部から土壌情報が取得できなくなったと判定すると、自動で、土壌情報利用施肥モードから基本施肥量施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記制御装置は、施肥マップ利用施肥モードによって決定される施肥量と、土壌情報利用施肥モードによって決定される施肥量を、それぞれ重み付けの上、加算することで施肥量が決定されるハイブリッド施肥モードを選択して実行可能に構成されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項8】
前記作業車両は、予め設定された目標走行経路上を自動走行可能に構成され、さらに、前記目標走行経路上に、自動走行を一時停止する複数の停止位置が予め設定されており、前記作業車両の自動走行中、前記携帯情報端末が所定操作されると、予め設定された停止位置をスキップするよう構成されたこと特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項9】
前記土壌情報学習部による土壌情報の学習を、前記携帯情報端末の操作によって開始し、あるいは、終了できるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を走行しながら施肥を行う作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、農業従事者の高齢化や労働力不足が問題視される中、我が国における販売農家1戸当たりの経営農地面積は増加傾向にあり、今後もこの傾向は継続するものと予測されている。これに応じて、ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現するスマート農業への関心が益々高まっている。
【0003】
このような潮流の中、農作業を行う作業車両の技術分野においては、例えば、下記特許文献1に示されるように、GPS等の測位衛星システムを利用し、圃場内において、作業車両を無人操縦により走行させることで作業のスマート化が図られている。
【0004】
ところで、圃場全体の作物の生育を平準化することは、作物の倒伏等を防止する上で、従来からの課題となっている。しかしながら、圃場内において、作物を生育する環境は均一でなく、圃場内の場所により作物の育ちやすさが異なることが通常であり、圃場の面積が大きいほど、生育度合いにバラツキが生じやすい。そこで、圃場内において、作物の育ちやすい場所では、施肥量を増やし、育ちにくい場所では、施肥量を減らすことで、圃場全体の作物の生育の平準化が図られる。例えば、下記特許文献2に記載されているように、無人操縦により走行可能な作業車両の技術分野においては、圃場の所定区画ごとに目標となる施肥量が設定された施肥計画マップの情報を用いて、圃場内の位置に応じて、作業車両の施肥量を自動で調節する技術が公知である。なお、この施肥計画マップは、圃場の所定区画ごとに、その区画の位置情報と目標となる施肥量が紐づけられて記録されたデータであり、作物が育ちやすい区画では、施肥量が少なく、育ちにくい区画では、施肥量が多く設定される。
【0005】
この施肥計画マップの情報を用い、従来の作業車両は、作業走行中、所定の時間間隔で、自機の位置情報を取得することで、自機が作業を行っている圃場の区画を特定し、特定された区画に紐づけられた目標の施肥量となるように、施肥装置を自動制御する。これにより、従来の作業車両は、圃場を自動で走行しつつ、圃場の区画毎に施肥量の自動調節することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-266608号公報
【特許文献2】特開2021-101667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の作業車両は、作業走行中に、GPS等の測位衛星システムの受信不良などにより、自機の位置情報が取得できなくなった場合、自機が存在する圃場の区画を特定することができないため、施肥量の自動調節をすることができない。これにより、作業が中断され、作業効率が大幅な低下するおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題を解消し、作業走行中に、自機の位置情報が取得できなくなった場合においても、施肥量を自動調節しながら作業を続行できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、
施肥装置と、自機位置を取得する測位装置とを備え、前記測位装置により取得した自機位置に基づき、圃場の区画ごとに施肥量が設定された施肥マップを利用して、自機位置が属する区画に設定された目標施肥量を取得して、前記施肥装置の施肥量を制御するよう構成された作業車両であって、
圃場の土壌情報を取得する土壌情報取得部と、前記施肥装置の施肥量を制御する制御装置とをさらに備え、
前記土壌情報取得部は、土壌の作土深を測定する作土深センサと、土壌の肥沃度を測定する肥沃度センサとを備えており、
前記制御装置は、取得した前記土壌情報を学習する土壌情報学習部を備え、
前記土壌情報取得部から前記土壌情報を取得可能に構成され、かつ、
前記施肥マップの情報に基づき、前記施肥装置の施肥量を決定する施肥マップ利用施肥モードと、前記土壌情報取得部から取得した土壌情報と前記土壌情報学習部によって学習した土壌情報との比較によって、前記施肥装置の施肥量を決定する土壌情報利用施肥モードとを選択して実行可能に構成されたことを特徴とする作業車両を提供する。
【0010】
上記第1の発明によれば、自機の位置情報が取得できなくなった場合においても、土壌情報利用施肥モードの選択実行によって、施肥量の自動調節をすることができ、その結果、作業効率の低下を防止できる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、
前記制御装置は、施肥マップ利用施肥モード中に、前記測位装置が受信不良となったことを判定すると、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、測位装置の受信不良が発生して、施肥マップ利用施肥モードによる施肥に不具合が生じた場合においても、円滑に施肥作業を続行でき、作業効率の低下を防止することができる。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、
さらに、前記制御装置は、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えた後、前記測位装置の受信不良が解消したと判定すると、自動で土壌情報利用施肥モードから施肥マップ利用施肥モードに切り替えることを特徴とする。
【0014】
上記第3の発明によれば、上記第2の発明の効果に加え、
測位装置の受信不良が解消すると、迅速に施肥マップ利用施肥モードに復帰できるため、利便性を向上できる。
【0015】
第4の発明は、上記第1の発明において、
前記施肥マップの情報を記憶する携帯情報端末をさらに備え、
前記制御装置は、前記携帯情報端末から通信により、前記施肥マップの情報を取得可能に構成されるとともに、施肥マップ利用施肥モード中に、前記制御装置と前記携帯情報端末とが通信不可能となったことを判定すると、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする。
【0016】
上記第4の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、
制御装置と携帯情報端末とが通信不可能となったことを判定すると、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えることで、円滑に施肥作業を続行でき、作業効率の低下を防止することができる。
【0017】
第5の発明は、上記第4の発明において、
さらに、前記制御装置は、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えた後、前記制御装置と携帯情報端末の通信が可能となったことを判定すると、自動で土壌情報利用施肥モードから施肥マップ利用施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする。
【0018】
上記第5の発明によれば、上記第4の発明の効果に加え、
前記制御装置と携帯情報端末の通信不具合が解消すると、迅速に施肥マップ利用施肥モードに復帰できるため、利便性を向上できる。
【0019】
第6の発明は、上記第4または第5の発明において、
前記制御装置は、さらに、予め設定された基本施肥量を前記施肥装置の施肥量として決定する基本施肥量施肥モードを実行可能に構成され、土壌情報利用施肥モード中に、前記土壌情報取得部から土壌情報が取得できなくなったと判定すると、自動で、土壌情報利用施肥モードから基本施肥量施肥モードに切り替えるよう構成されたことを特徴とする。
【0020】
上記第6の発明によれば、上記第4または第5の発明の効果に加え、土壌情報取得部から土壌情報が取得できなくなったと判定すると、自動で、土壌情報利用施肥モードから基本施肥量施肥モードに切り替えることで、円滑に施肥作業を続行でき、作業効率の低下を防止することができる。
【0021】
第7の発明は、上記第1または第6のいずれかの発明において、
前記制御装置は、施肥マップ利用施肥モードによって決定される施肥量と、土壌情報利用施肥モードによって決定される施肥量を、それぞれ重み付けの上、加算することで施肥量が決定されるハイブリッド施肥モードを選択して実行可能に構成されたことを特徴とする。
【0022】
上記第7の発明によれば、上記第1または第6のいずれかの発明の効果に加え、作業者のニーズに応じた細かな可変施肥を実現できる。また、圃場の多面的な評価により施肥の質を向上できる。
【0023】
第8の発明は、上記第1または第7のいずれかの発明において、
前記作業車両は、予め設定された目標走行経路上を自動走行可能に構成され、さらに、前記目標走行経路上に、自動走行を一時停止する複数の停止位置が予め設定されており、前記作業車両の自動走行中、前記携帯情報端末が所定操作されると、予め設定された停止位置をスキップするよう構成されたこと特徴とする。
【0024】
上記第8の発明によれば、上記第1または第7のいずれかの発明の効果に加え、作業者のニーズに応じた細かな可変施肥を実現できる。また、圃場の多面的な評価により施肥の質を向上できる。
【0025】
第9の発明は、上記第1の発明において、
前記土壌情報学習部による土壌情報の学習を、前記携帯情報端末の操作によって開始し、または、終了できるよう構成されたことを特徴とする。
【0026】
上記第9の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、作業者の所望の場所やタイミングで、土壌情報を学習させることができるため、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、作業走行中に、自機の位置情報が取得できなくなった場合においても、施肥量を自動調節しながら作業を続行できる作業車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る作業車両の左側面図である。
【
図4】
図4は、施肥マップのデータ構成の概念図である。
【
図5】
図5は、
図1の制御装置を含む制御系の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、作業車両の目標走行経路を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、施肥モード自動切替処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。
まず、作業車両1の基本構成について以下説明する。
【0030】
<作業車両の基本構成>
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる作業車両1の左側面図である。
本明細書においては、
図1に矢印で示されるように、作業車両1の進行方向となる側を前方とし、特に断りがない限り、作業車両1の進行方向に向かって左側を「左」といい、その反対側を「右」という。また、作業車両1を、単に「機体」ともいう。
【0031】
本実施形態にかかる作業車両1は、一例として、田植機の構成を有する。具体的には、
図1に示されるように、その基本構成として、圃場を走行する走行車体2(以下、単に「車体」ともいう。)を備え、その走行車体2に、圃場に苗を植え付ける苗植付部3と、圃場に施肥を行う施肥装置4と、機体の位置を測定する測位装置5と、圃場の土壌情報を取得する土壌情報取得部Jと、作業車両1の各種機構を制御する制御装置Cとを搭載している。また、作業者が、作業車両1を遠隔操作するための携帯情報端末6(
図3及び
図5参照)を備えている。
【0032】
<走行車体の構成>
走行車体2は、作業車両1の本体を成す走行可能な車体である。この走行車体2は、機体骨格を形成する、機体前後方向に延びるメインフレーム2aと、このメインフレーム2aの後端部に取り付けられた、幅方向に延びる後部フレーム2bとを備えている。このメインフレーム2aの上部に、作業者が搭乗可能なフロアステップ2cが設けられており、このフロアステップ2c上に、操縦を司る操縦部7と、作業者が着座する操縦席7gとが設けられている。
【0033】
また、走行車体2の動力源であるエンジンEは、操縦席7gの下方に配設されており、エンジンEから出力された動力は、
図1に示されるように、フロアステップ2cの下方に設けられたベルト式動力伝達機構e1を介して、静油圧式無段変速機(HST)e2からミッションケースe3へと伝達される。
【0034】
なお、静油圧式無段変速機e2は、トラニオン軸(図示せず)の開度がHSTサーボモータe4(
図2参照)の駆動によって調整されて、ミッションケースe3への出力を変更する機構である。これにより、車速の調整が可能となっている。
【0035】
ミッションケースe3に伝達された動力は、その内部で変速され、さらに、左右一対の前輪9および左右一対の後輪10への走行用の動力と、苗植付部3への作業用の動力とに分岐して伝達される。走行用の動力は、前輪ファイナルケースe5および前輪車軸e6(
図1参照)を介して、左右一対の前輪9に伝達される他、
図1に示される左右一対の後輪伝動軸e7、左右一対の後輪ギアケースe8および後輪車軸82を介して、左右一対の後輪9に伝達される。一方、作業用の動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチ(図示せず)へ伝達され、所定操作により植付クラッチが入れられると、さらに苗植付部3へと伝達される。
【0036】
操縦部7は、作業者が操作に供する各種の操作部材を備えている。具体的には、走行車体2の前後進と車速を変更する主変速レバー7aと、左右一対の前輪9を操舵するステアリングホイール7bと、自動運転の一つである直進制御を制御装置Cに開始または終了させる直進アシストレバー7cと、種々の操作スイッチが設けられた操作盤7dとを備えている。さらに、この操作盤7dには、各種情報を表示可能なモニタ7eが設けられている。また、操縦部7は、作業車両1を操舵するための操舵機構として、ステアリングホイール7bの他、ステアリングシャフト7f、ピットマンアームおよびタイロッド(不図示)等を備えており、これらの機構により、ステアリングホイール7bの回動操作に応じて、操舵輪である前輪9の操舵角が変更される。また、ステアリングホイール7b後方には、操縦席7gが配設される。
【0037】
<苗植付部の構成>
苗植付部3は、昇降リンク装置11を介して、走行車体2の後部に取り付けられている。昇降リンク装置11は、上部リンクアーム11aおよび左右一対の下部リンクアーム11bを備え、苗植付部3を昇降可能に構成されている。
【0038】
上部リンクアーム11aおよび下部リンクアーム11bの前側の端部は、後部フレーム2dに固定されたリンクベースフレーム12に取り付けられ、他端は苗植付部63の下部に位置する上下リンクアーム13に取り付けられている。
【0039】
ここで、制御装置Cによって電子油圧バルブ(図示せず)が制御されて、
図1に示される昇降油圧シリンダ14が油圧で縮められると、上部リンクアーム11aが後ろ上がりに回動され、苗植付部3が非作業位置まで上昇されるように構成されている。苗植付部3が非作業位置にあるときには、その下端部がメインフレーム2aの底部と略同一の高さに位置する。
【0040】
これに対して、昇降油圧シリンダ14が油圧で伸ばされると、上部リンクアーム11aが後ろ下がりに回動され、苗植付部3が、苗の植付け作業が可能な作業位置(
図1に示された位置)まで下降される。
【0041】
図1に示されるように、苗植付部3は、土付きのマット状の苗(以下、「苗マット」という。)を立て掛ける苗載台3aと、苗載台3aの後方かつ下方に設けられた植付装置3bと、苗植付部3bの下部に設けられたセンターフロート3cと、センターフロート3cの左右に配置されたサイドフロート3dを備えている。
【0042】
植付装置3bは作業車両1の幅方向に並べて複数設けられ、各植付装置3bは、前後方向に並ぶ左右二対の植付具3eを備えている。植付クラッチが入れられて、
図1に示される駆動軸3fが回転されると、
図1に示される前側の植付具3eと後ろ側の植付具3eとが、駆動軸3fまわりに回転しつつ、交互に苗載台3aの下端部に位置する苗を取出し、圃場に植え付けるように構成されている。
【0043】
センターフロート3cおよびサイドフロート3dはそれぞれ、作業車両1が走行するのに伴って、圃場上を滑走し、整地するように構成され、各フロート3c,3dによって整地された圃場に、各植付装置3bによって苗が植え付けられる。また、センターフロート3cおよびサイドフロート3dはそれぞれ、圃場の凹凸に合わせて揺動可能に構成されている。
【0044】
<施肥装置の構成>
図2は、
図1に示された施肥装置4の概略左側面図である。
施肥装置4は、機体の左右方向に延びるエアチャンバー4aと、エアチャンバー4aを通じて左方から右方へエアを圧送するブロワ4bと、圃場に供給する肥料を貯留する施肥ホッパ4cと、施肥ホッパ27の下方に設けられた複数の繰出装置4dと、各繰出装置4dの下方に設けられ、前端部がエアチャンバー4aに接続された複数の接続管4eと、各接続管4eの後端部に接続され、苗植付部3の下部へ延びる複数の施肥ホース4fとを備えている。
【0045】
ブロワ4bは、吸気ダクト4gを備え、図示しないブロワモータが駆動されると、吸気ダクト4fを通じて吸引されたエアが、エアチャンバー4a内へ供給される。エアチャンバー4a内へ供給されたエアは、右方へ圧送される間に、各接続管4eを通じて、各施肥ホース4f内へ供給される。
【0046】
繰出装置4dは、各々、施肥ホッパ4cから落下供給される肥料を内部に受け入れる開口部を上部に備えるとともに、外周面に繰出溝4hを有する繰出ロール4iを内部に備えている。各繰出ロール4iを左右方向に貫通する孔(図示せず)に挿通された繰出軸4jが回転するのに伴い、繰出ロール4iが回転する。これにより、繰出溝4h内の肥料が繰出装置4dの下方へ繰り出される。繰出ロール4iによって繰り出された肥料は、接続管4e内に供給される。このとき、接続管4e内に供給された肥料は、前方のエアチャンバー4aから供給されたエアによって、施肥ホース6fを通過して圃場へ供給される。
【0047】
ここで、繰出軸4jを回転させる施肥量調節モータ4mは、制御装置Cによって回転速度が制御される。すなわち、繰出装置4dによる肥料の繰出量は、繰出ロール4iの回転速度に応じて決まるため、制御装置Cは、施肥量調節モータ4mを制御することにより、施肥装置4の施肥量の制御が可能となっている。なお、施肥量とは、より詳細には、圃場の単位面積当たりに供給される肥料の重量であり、例えば、10a(1アール)当たりに、供給される肥料のkgで決定される。したがって、制御装置Cは、目標の施肥量に応じて、繰出ロール4iの回転速度が、目標の施肥量に基づき算出される目標の速度となるように制御する。なお、目標の施肥量が、多いほど繰出ロール4iの回転速度は速く、少ないほど遅くなるよう制御される。
【0048】
<測位装置の構成>
測位装置5は、受信アンテナGNSS衛星からの電波を受信する受信アンテナを有するGNSS受信及び機体の三軸の傾きや加速度を検出する慣性計測モジュールが含まれて構成されている。この測位装置5は、走行車体1の前部において、上方へと延びるフレーム材の上端に配設されており、機体の位置情報を取得する機能を果たす。ここで、位置情報とは、作業車両1の位置を示す情報を指し、少なくとも機体の緯度・経度を示す情報を含んでいる。測位装置5によって測定された位置情報は、制御装置Cに送信される(
図5参照)。
【0049】
<土壌情報取得部の構成>
土壌情報取得部Jは、圃場の土壌を測定することで、その土壌の地力(すなわち、
作物の育ちやすさ)を示す情報(以下、土壌情報という。)を取得する。土壌情報取得部Jは、土壌の作土深(すなわち、作土層の深さ)を測定する作土深センサj1と、土壌の肥沃度を測定する肥沃度センサj2とを備えている。作土深センサj1は、走行車体2の前部に設けられた超音波センサであり、機体が硬盤まで沈んだ深さを計測することで作土深を測定可能となっている。また、肥沃度センサj2は、前輪9に設けられており、土壌に微弱な電流を流しその電気伝導度(電気抵抗)から、土壌中のイオン(養分)を計測することで土壌の肥沃度を測定可能となっている。より詳細には、肥沃度の指標としてSFV値(Soil Fertility Value)を測定する。このSFV値は、EC値(Electric Conductivity)に相当する数値であり、単位は、mS/cm(ミリジーメンス)である。土壌情報取得部Jの測定情報(作土深、SFV値)は、所定の時間間隔で、測位装置5が測定した地点の位置情報(例えば、緯度、経度)と紐づけられて、制御装置Cに送信される。
【0050】
<携帯情報端末の構成>
図3は、
図1の携帯情報端末の概略平面図である
携帯情報端末6は、走行車体2と別体の情報処理装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット等、作業者が携帯可能な情報処理装置である。この携帯情報端末6は、表示部6a、操作部6b、施肥マップ記憶部6c、施肥マップ設定部6c、施肥マップ記憶部6d、NDVI値取得部6e、通信制御部6fを備える(
図5参照)。なお、施肥マップDhについて、詳細は、後述する。
【0051】
表示部6aは、映像や音声を出力する機能を備え、例えば、スピーカを有する液晶パネルによって構成される。また、操作部6bは、押圧検知式の複数のボタン等により構成される。施肥マップ6cは、後述する施肥マップDhを施肥マップ記憶部6c及び制御装置Cに設定する機能を果たす。係る施肥マップDhに関するデータは、外部サーバSVから取得するように構成されてもよく、また、操作部6bの操作に基づきデータを生成可能に構成し、作業者の施肥量設定に係る操作部6bの操作によって、設定されるよう構成されてもよい。
【0052】
また、施肥マップ記憶部6dは、記憶領域を備えたメモリであり、RAMなどで構成されるが、SDカードなどの脱着可能な記録媒体で構成されてもよい。この施肥マップ記憶部6cには、後述する施肥マップDhのデータが作業開始前に予め記憶される。
【0053】
NDVI値取得部6eは、作業対象となる圃場のNDVI値(正規化植生指数)を取得する機能を果たす。なお、NDVI値は、例えば、苗の植付けを行う圃場が写された前年度の収穫前の圃場の衛星画像に基づき、圃場の地点ごとに、赤外線の反射率等から算出される。また、苗の植付けを行う圃場が写された前年度の収穫前の圃場の衛星画像は、ネットワークNWを介して接続された外部サーバSVから取得する。なお、NDVI値は、0~200の整数値で表され、値が大きいほど、土壌の肥沃度が高いことが推定される。算出された圃場のNDVI値に関する情報は、圃場の地点ごとに、施肥マップDhのデータと紐づけられて、施肥マップ記憶部6dに記憶される。これにより、施肥マップDhのデータは、圃場のNDVI値に関する情報を含むように構成されている。
【0054】
また、携帯情報端末6は、通信制御部6fによって、ネットワークNWを介して、作業車両1、外部サーバSVと無線通信により各種情報の送受信が可能である。なお、操作部6bの操作情報は、作業車両1の制御装置Cへと送信され、制御装置Cは、取得した操作情報に応じた各種の処理を実行する。これにより、作業者は、携帯情報端末6の操作によって、作業車両1に搭乗することなく、遠隔から、作業開始、走行開始、前後進、停車等の各種指示や各種設定を行うことが可能となっている。
【0055】
<施肥マップ>
図4は、施肥マップDhのデータ構成の概念図である。
施肥マップDhは、圃場の区画ごとに目標施肥量が設定されたデータであり、少なくとも、圃場の領域を示す情報、圃場の領域の各地点の位置情報、圃場の区画毎に設定された目標施肥量の情報を含んで構成される。
【0056】
詳細には、
図4に示されるように、施肥マップDhは、圃場の領域を示す略矩形の圃場領域R内の任意の地点Pが、その地点Pの緯度・経度と対応する二次元座標X、Yで特定可能となっている(図示例においては、X=210、Y=10)。すなわち、圃場内にある機体の緯度・経度を示す位置情報から、圃場領域R内の地点Pが特定できるよう構成されている。
【0057】
さらに、その圃場領域Rは、マトリクス状に所定の大きさの矩形の区画Kに区切られる。施肥マップDhは、区画K毎に、その区画を特定するための区画番号、その区画の二次元座標上の範囲(範囲X、範囲Y)及びその区画Kに設定された目標施肥量M、NDVI値の情報を含んで構成されている。図示例では、区画K1の場合、区画番号P31であり、その範囲が、X座標:200~300、Y座標:0~100、目標施肥量30である。なお、目標施肥量Mは、例えば、10a(アール)当たりの肥料のKg数で設定される。
【0058】
なお、施肥マップDhの各区画には、NDVI値取得部6eによって取得されたその区画のNDVI値が紐づけられて記録されている。NDVI値取得部6eによって取得されたその区画のNDVI値は、NDVI値取得部6eによる新たなNDVI値の情報の取得により、例えば、1年ごとに更新され、圃場の区画毎のNDVI値の推移(1年ごとの更新であれば、現在と過去の各年のNDVI値)を比較することが可能となっている。なお、より詳細には、各区画には、その区画に属する複数の地点において測定されたNDVI値の平均値が、その区画全体のNDVI値として記録されている。
【0059】
このようなデータ構成により、制御装置Cは、施肥マップDhの参照によって、作業対象である圃場の任意の地点の位置情報から、その地点が属する区画Kを特定し、その特定された区画に設定された目標施肥量Mの情報を取得して、取得した目標施肥量Mとなるように、施肥装置4の施肥量を制御することができる。なお、施肥マップDhの各区画の目標施肥量Mは、予め、作業者によって、携帯情報端末6の操作により設定可能となっている。これにより、圃場の区画毎に、肥沃度等を考慮した施肥量の設定が可能となってる。
【0060】
すなわち、施肥計画マップDhの各区画には、目標施肥量Mとして、対応する圃場の領域に施肥すべき肥料の施肥量が入力されて設定される。この目標施肥量Mは、例えば、昨年の穀粒の収穫量の分布に応じて求められても良いし、作業者が経験から決定しても良く、任意の方法で定められる。
【0061】
<制御装置の構成>
図5は、作業車両1の制御装置Cを含む制御系の構成を示すブロック図である。
制御装置Cは、複数のECU(Electronic Control Unit)を組み合わせて構成された情報処理装置である。この複数のECUは、それぞれが、演算処理を行うCPUと、演算処理に必要な情報を読み書き可能なメモリとを備えて構成されており、メモリに記憶された各種制御プログラムに従ってCPUが動作することにより、
図2中に機能ブロックとして記載された構成が実現される。
【0062】
制御装置Cは、
図5に示されるように、出力処理部c1、通信処理部c2、入力処理部c3、走行制御部c4、情報格納部c5、走行管理部c6、施肥量設定部c7、施肥装置制御部c8を備えており、これらは通信バスBAを介して相互に情報を送受可能に構成されている。
【0063】
出力処理部c1は、入出力インターフェースの機能を果たすものであり、作業車両1の走行・停止・走行方向の変更等の走行機能を司る走行系機器群M1、施肥や植付け等の作業機能を司る作業系機器群M2、映像や音声を出力するモニタ7eと接続されている。例えば、本実施形態において、走行系機器群M1には、操舵アクチュエータ、エンジンE、変速装置、ブレーキ等の機構が含まれ、作業系機器群M2には、PTOクラッチやPTO変速装置や制動装置、昇降油圧シリンダ14等の機構が含まれる。
【0064】
通信処理部c2は、制御装置Cと物理的に離間した外部機器とネットワークNWを介して接続を行い、通信により情報交換を行う通信機構である。本実施形態において、通信処理部c2は、例えば、携帯情報端末6と接続され、各種情報の送受が可能となっている。
【0065】
入力処理部c3は、接続された外部機器から情報の入力を受ける機構であり、測位情報や検出情報等の各種情報を取得可能となっている。本実施形態においては、入力処理部c3は、測位装置5、操舵角検出手段を含む走行系検出センサS1、苗植付部3、施肥装置4の動作の状態を検出する各種センサや土壌情報取得部Jを含む作業系検出センサS2と接続されている。
【0066】
また、制御装置Cは、作業車両Aの走行を制御する走行制御部c4、各種情報を格納する情報格納部c5、目標走行経路Lに関する処理を行う経路管理部c6を備えている。
【0067】
走行制御部c4は、自動走行(自動操舵)及び手動走行(手動操舵)時の作業車両1の走行を制御するプログラム及び各種回路を含む機構であり、自動走行時に走行系機器群M1を制御する自動走行制御装置c41、手動走行時に走行系機器群M1を制御する手動走行制御装置c42を備えている。
【0068】
自動走行制御装置c41は、測位装置5の測位情報(位置情報)の取得により、圃場における自機位置を算出する自機位置算出部c411、自機方位を算出する自機方位算出部c412、偏差を算出する偏差算出部c413、走行系検出センサ群S1の検出情報から操舵角を算出する操舵角算出部c414を備えている。このように構成された自動走行制御装置c41は、偏差算出部c413により偏差を算出し、算出された偏差に基づいて、作業車両1が目標走行経路Lに沿って走行するために適切なステアリングホイール7bの操舵角を算出し、算出された操舵角となるように操舵アクチュエータを制御することで、作業車両1の目標走行経路L上の自動走行が可能となっている。
【0069】
情報格納部c5は、各種情報を格納可能な記憶装置であり、例えば、例えばHDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)で構成される。情報格納部c5は、圃場に関する情報(以下、「圃場情報」という。)を格納する圃場情報格納部c51、作業車両1の走行経路に関する情報(以下、「経路情報」という。)を格納する経路情報格納部c52、作業に関する設定情報(以下、「圃場情報」という。)を格納する作業情報格納部c53を備える。なお、情報格納部c5に格納された情報は、ネットワークNWを介して、携帯情報端末6が取得可能であり、取得した情報を表示部6aに表示して作業者が可能となっている。これにより、作業者は、圃場や作業の分析を行うことができる。
【0070】
圃場情報格納部c51は、圃場情報を格納する記憶領域である。ここで、圃場情報には、例えば、作業対象となっている圃場の大きさ・形状・位置や当該圃場の境界線を規定する畦の位置データなどの情報が含まれる。
【0071】
経路情報格納部c52は、経路情報を格納する記憶領域である。ここで、経路情報には、
例えば、後述する目標走行経路Lを示す位置情報等、作業車両1の走行経路に関する情報が含まれる。
【0072】
作業情報格納部c53は、作業情報を格納する記憶領域である。ここで、作業情報には、
例えば、作業者によって予め設定された作業幅W、作業の種類(施肥、植付けなど)等、作業車両1の作業に関する設定情報が含まれる。
【0073】
走行管理部c6は、作業車両1の走行を管理するプログラムであり、経路算出部c61、走行順設定部c62、停止位置設定部c63を備えている。
【0074】
経路算出部c61は、圃場情報及び作業情報等に基づき目標走行経路Lを算出する。
図6は、作業車両1の目標走行経路を説明するための説明図である。ここで、目標走行経路Lとは、自動走行時に作業車両1が目標とする走行経路を指し、目標走行経路Lを示す情報は、目標走行経路Lの軌跡を示す位置情報を含んで構成される。経路算出部c61は、目標走行経路Lの算出は、例えば、以下のような設計手順で行われる。
【0075】
まず、圃場情報を取得し、圃場領域R内を、周回状に走行して作業を行う枕地走行領域R1と、直線状に走行して作業を行う直線走行領域R2とに区画分けする。ここで、枕地走行領域R1は、作業幅Wを有する枠形状の領域に設定され、枕地走行領域R1の内側に、矩形状の直線走行領域R2が設定される。なお、圃場領域Rとは、圃場を示す領域であり、圃場の形状や大きさに対応して領域の形状や大きさが設計されている。
【0076】
次に、枕地走行領域R1内を周回状に走行する枕地走行経路l1が設計される(作業経路VI~IX)。続いて、直線走行領域R2内を直線状に走行する複数の直線走行経路l2が設計される(作業経路I~V)。ここで、直線走行経路l2同士は、1つの地点に重複して作業が行われないようにするため、作業幅Wと略同一の間隔が設けられる。
【0077】
次に、一筆書きの要領で直線走行経路l2同士を移動し、また、直線走行経路l2同士の旋回や、直線走行経路l2から枕地走行経路l1へと移動するための、作業を行わない経路である非作業経路l3が設計される。以上のように算出された目標走行経路Lを示す情報は、経路情報格納部c52に格納される。
【0078】
走行順設定部c62は、経路算出部c61によって算出された目標走行経路Lを示す情報を取得し、目標走行経路Lに含まれる作業を行う経路である作業経路(図示例においては、作業経路I~IX)の走行順を設定する。係る走行順は、所定のルールに基づいて設定されるが、作業者が、携帯情報端末6や操作盤7dの操作により、任意の走行順に変更することもできる。係る走行順の設定情報は、目標走行経路Lを示す情報とともに、経路情報格納部c52に格納される。
【0079】
例えば、
図6の図示例においては、走行順は、作業経路I、作業経路II、作業経路III、作業経路IV、作業経路V、作業経路VI、作業経路VII、作業経路VIII、作業経路IXの順に設定される。なお、図中に示される枕地走行経路l1及び直線走行経路l2の矢線の向きは、作業車両1の走行の方向を示すが、走行順によっては、必ずしもこの方向に限定されるものではない。なお、作業車両1の自動走行開始時においては、作業開始点Ps近傍まで作業車両1が移動される。係る移動は、作業者の運転により行われるが、作業開始点Psの位置情報に基づき、作業車両1を自動走行させてもよい。また、作業車両1は、
図6中の直線走行経路l2の作業終了点Peに達すると、直線走行経路l2から枕地走行経路l1への走行に移行するよう構成されているが、走行順によっては、逆に、枕地走行経路l1から直線走行経路l2への走行に移行するように構成することもできる。
【0080】
停止位置設定部c63は、目標走行経路L上の自動走行において、作業車両1が一時的に停止する位置を設定する。係る停止位置は、所定のルールに基づいて設定されるが、作業者が、携帯情報端末6や操作盤7dの操作により、設定された停止位置を変更することもできる。設定された停止位置に関する情報は、経路情報格納部c52に格納される。作業車両1は、自動走行中に停止位置に達すると、自動走行を一時停止する。一時停止後、携帯情報端末6の所定操作により走行再開を指示することで、自動走行を再開するよう構成されている。これにより、作業者は、停止位置において作業車両1の燃料や肥料、苗等の残量を確認し、必要な場合は、資材補給することができる。
【0081】
停止位置は、作業経路I~作業経路IXの終端位置に設定可能であり、図示例においては、圃場の一端側(すなわち、作業者が確認しやすい側)の作業経路II、作業経路IVの終端位置Pm1、Pm2に設定されている。なお、圃場の他端側に作業経路I、作業経路III、作業経路Vの終端位置に設定されてもよい。
【0082】
また、停止位置設定部c63は、作業車両1の自動走行中、携帯情報端末6が所定操作されると、設定された停止位置をスキップ(停止せず自動走行を継続)するよう構成されている。スキップ回数は、停止位置に達する前に回数を累積して予約でき、係るスキップ回数は、作業情報格納部c53に都度記憶される。例えば、操作部6bの「F」ボタンと、「右」「決定」ボタンの同時押しで、停止位置のスキップ回数を1回増加させるよう構成できる。さらに、操作部6bの「F」ボタンと、「左」「戻る」ボタンの同時押しで、停止位置のスキップ回数を1回減少させるよう構成できる。これにより、例えば、圃場の大小に応じて、資材補給のための停止回数を柔軟に変更することができる。
きる。
【0083】
施肥量設定部c7は、施肥量を設定する機能を果たすプログラムであり、基本施肥量設定部c71、土壌情報学習部c72を備えている。
【0084】
基本施肥量設定部c71は、基本施肥量を設定する機能を果たすプログラムである。係る基本施肥量の設定は、携帯情報端末6や操作盤7dの操作によって行うことができ、設定された基本施肥量の設定値は、作業情報格納部c53に記憶され、施肥作業において必要時に参照される。ここで、基本施肥量とは、作業対象の圃場の基本となる施肥量であり、換言すれば、圃場毎に設定される施肥量の基本値である。基本施肥量は、例えば、10a(アール)当たりの肥料のKg数で設定される。
【0085】
<土壌情報の学習(ティーチング)>
土壌情報学習部c72は、土壌情報を学習(ティーチング)する機能を果たすプログラムである。土壌情報学習部c72は、土壌情報の学習の開始及び終了を管理し、学習中に土壌情報取得部Jから取得した土壌情報(作土深、SFV値)を作業情報格納部c53に格納する。さらに、土壌情報(作土深、SFV値)を取得すると、都度、作土深及びSFV値を用いた生育評価値Wを算出し、作業情報格納部c53に格納する。ここで、生育評価値Wは、土壌の苗の生育し易さの評価値を示し、値が大きいほど生育がし易いことを表す。
【0086】
生育評価値Wは、例えば、下式(1)により算出されうる。
(式1)W=α×SFV値+β×作土深
α、βは、重み付け係数である。これにより、生育評価値Wは、SFV値が大きいほど、また、作土深が深いほど、大きい値となる。
【0087】
土壌情報学習部c72は、予め設定された開始条件が充足されると、土壌情報の学習の開始し、また、予め設定された終了条件が充足されると、土壌情報の学習を終了する。土壌情報の学習の開始条件・終了条件は、予め、作業情報格納部c53に設定され記憶されているが、作業者は、携帯情報端末6や操作盤7dの操作によって設定変更が可能となっている。
【0088】
土壌情報の学習の開始条件は、例えば、自動走行が開始されたことを条件とすることができる。また、目標走行経路L上の、作業を行う経路である作業経路I~作業経路IXのいずれか(作業者が選択して設定可能)の始端に到達したことを条件とすることができる(
図6参照)。また、目標走行経路L上の、作業経路I~作業経路IXのうち予め設定されたいずれか1つの作業経路の始点に到達したことを条件とすることができる。
【0089】
土壌情報の学習の終了条件は、例えば、自動走行が終了(走行停止)されたことを条件とすることができる。また、目標走行経路L上の、作業を行う経路である作業経路I~作業経路IXのいずれか(作業者が選択して設定可能)の終端に到達したことを条件とすることができる。また、目標走行経路L上の、作業経路I~作業経路IXのうち予め設定されたいずれか1つの作業経路の終端に到達したことを条件とすることができる。
【0090】
好ましい土壌情報の学習の開始条件・終了条件として、例えば、自動走行による作業の開始後、直線走行経路l2の3工程目(作業経路III)の始端に到達したことを条件として土壌情報の学習を開始し、直線走行経路l2の3工程目(作業経路III)の終端に到達したことを条件として土壌情報の学習を終了するよう構成されることが好ましい。なお、3工程目は例示であり、圃場の大きさによっては、1工程目でも4工程目でもよく、作業者が任意の工程を選択して設定できる。これにより、直線走行領域R2内の作業1工程において、土壌情報の学習を行うことで、より正確な圃場全体の土壌情報を学習できるためである。逆に、圃場の端近傍において、土壌情報を学習すると、例えば、圃場脇の水路等の存在により、土壌情報の測定値が偏った値とる場合があり、必ずしも圃場全体を反映したものとならないおそれがある。
【0091】
また、土壌情報学習部c72は、上記条件に拘わらず、携帯情報端末6や操作盤7dの所定操作(例えば、ボタンの押圧操作)により、作業者の所望のタイミングで、土壌情報の学習を開始し、または、終了させることができるよう構成されている。これにより、作業者の所望の場所やタイミングで、土壌情報を学習させることができるため、利便性が向上する。
【0092】
土壌情報学習部c72は、土壌情報の学習が終了すると、学習中における作土深、SFV値、生育評価値Wの平均値を算出し、作業情報格納部c53に格納する。このとき、算出され、作業情報格納部c53に格納された生育評価値Wの平均値を、以下の説明において、学習結果による生育評価値Wと称する。
【0093】
施肥装置制御部c8は、施肥量制御部c81、施肥モード実行部c82、施肥モード管理部c83を備える。
【0094】
施肥量制御部c81は、施肥量を制御するための制御信号を施肥装置4に送信し、これにより施肥装置4の施肥量を制御する機能を果たすプログラムである。
【0095】
施肥モード実行部c82は、施肥量の決定方法の異なる複数の施肥モードを実行可能なプログラムであり、施肥量制御部c81に、施肥装置4の施肥量(制御量)の情報を受け渡すことで、施肥作業中において、施肥装置4の施肥量を決定する機能を果たす。
【0096】
施肥モード実行部c82は、実行可能な施肥モード(プログラム)として、基本施肥量施肥モードc821、施肥マップ利用施肥モードc822、土壌情報利用施肥モードc823、ハイブリッド施肥モードc824を備える。
【0097】
<基本施肥量施肥モード>
基本施肥量施肥モードc821は、予め設定された基本施肥量を施肥装置4の施肥量として決定するモードである。すなわち、基本施肥量施肥モードc821の実行中(つまり、基本施肥量施肥モード選択中)においては、施肥装置4の施肥量は、基本施肥量となるように制御されるため、通常は一定となる。なお、基本施肥量は、作業情報格納部c53に設定された値を適宜参照する。作業情報格納部c53に設定された値が変更されると、施肥装置4の施肥量も変更される。
【0098】
<施肥マップ利用施肥モード>
施肥マップ利用施肥モードc822は、施肥マップDhの情報に基づき、施肥装置4の施肥量を決定するモードである。すなわち、基本施肥量施肥モードc821の実行中(つまり、施肥マップ利用施肥モード選択中)においては、下記の手順により施肥装置4の施肥量が決定される。
【0099】
この施肥マップ利用施肥モードc822は、所定の時間間隔で、測位装置5から自機の位置情報(緯度、経度)を取得し、その都度、施肥マップDhの情報を参照し、施肥マップDhの位置情報と、測位装置5から取得した位置情報を突き合わせ、施肥マップDh上の区画Kを特定する。次に、特定された区画Kに設定された目標施肥量Mの情報を取得し、取得した施肥量を施肥装置4の施肥として決定する。
【0100】
<土壌情報利用施肥モード>
土壌情報利用施肥モードc823は、土壌情報に基づき、施肥装置4の施肥量を決定するモードである。すなわち、土壌情報利用施肥モードc821の実行中(つまり、土壌情報利用施肥モード選択中)においては、下記の手順により施肥装置4の施肥量が決定される。
【0101】
土壌情報利用施肥モードc823は、所定の時間間隔で、土壌情報取得部Jから土壌情報を取得し、上記式(1)による生育評価値Wを算出する。次に、算出された生育評価値Wと、作業情報格納部c53に記憶された学習結果による生育評価値Wを比較し、その大小によって施肥装置4の施肥量を決定する。土壌情報利用施肥モードc823によって決定される施肥量は、例えば、下記式(2)により算出されうる。
【0102】
(式2)施肥量=基本施肥量×(100-減肥率(%))/100
但し、生育評価値W>学習結果による生育評価値Wのとき、減肥率(%)=20×算出された生育評価値W/学習結果による生育評価値W、また、生育評価値W<学習結果による生育評価値Wのとき、減肥率(%)=0とする。
【0103】
すなわち、学習結果による生育評価値Wに対して、算出された生育評価値Wが高いほど、その土壌情報が取得された地点は、圃場全体の平均的な肥沃度よりも、肥沃であることが推測されるから、減肥率(%)を増加させ、それにより、施肥量を減じるよう決定する。逆に、学習結果による生育評価値Wに対して、算出された生育評価値Wが低い場合、その土壌情報が取得された地点は、圃場全体の平均的な肥沃度よりも、肥沃でないことが推測されるから、減肥率(%)を0とし、減肥せずに基本施肥量を施肥量として決定する。このように構成された土壌情報利用施肥モードc824によれば、リアルタイムで測定される土壌情報を反映しながら、施肥量の増減、すなわち可変施肥を行うことができる。
【0104】
なお、土壌情報利用施肥モードc824は、作業開始直後で、未だ土壌情報学習部c72による土壌情報の学習が行われておらず、作業情報格納部c53に、学習結果による生育評価値Wの情報が存在しない場合、土壌情報学習部c72による土壌情報の学習が完了するまで、減肥率(%)=0として、基本施肥量を施肥装置4の施肥量として決定する。
【0105】
<ハイブリッド施肥モード>
ハイブリッド施肥モードc824は、施肥マップの情報及び土壌情報を利用して、施肥装置4の施肥量を決定するモードである。より詳細には、ハイブリッド施肥モードc824の実行中(つまり、ハイブリッド施肥モード選択中)においては、施肥マップ利用施肥モードc822によって決定される施肥量と、土壌情報利用施肥モードc824によって決定される施肥量を組み合わせて施肥量が決定される。
【0106】
具体的には、施肥マップ利用施肥モードc822によって決定される施肥量をM1(kg/10a)とし、土壌情報利用施肥モードc823によって決定される施肥量M2(kg/10a)とすると、ハイブリッド施肥モードc824によって決定される施肥量は、例えば、下記式(3)により算出されうる。
【0107】
(式3)施肥量=(γ1×M1+γ2×M2)/2
但し、γ1、γ2は、作業者が任意に設定可能な重み付け係数であって、γ1+γ2=1である。重み付け係数の設定において、γ1の値を大きくすれば、施肥マップ利用施肥モードc822によって決定される施肥量M1がより重視され、γ2の値を大きくすれば、土壌情報利用施肥モードc823によって決定される施肥量M2がより重視されることとなる。これにより、作業者のニーズに応じた細かな可変施肥を実現できる。また、圃場の多面的な評価により施肥の質を向上できる。
【0108】
施肥モード管理部c83は、制御装置Cが実行する施肥モードを管理する機能を果たし、施肥モード選択切替部c831、施肥モード自動切替部c832を備える。
【0109】
施肥モード選択切替部c831は、上述の施肥モード実行部c82が実行可能な施肥モードを、作業者が所定操作により選択可能とするプログラムであり、例えば、携帯情報端末6の表示部6aやモニタ7eに、選択可能な施肥モード一覧を表示して、操作部6bや操作盤7dの操作により、作業者が所望する施肥モードを選択させ、選択された施肥モードを施肥モード実行部c82に実行させる。
【0110】
<施肥モード自動切替処理>
施肥モード自動切替部c832は、施肥モードを自動で切り替える機能(以下、施肥モード自動切替機能という。)を果たすプログラムであり、施肥モード自動切替機能は、作業者の所定操作により、適宜オンオフすることができる。施肥モード自動切替機能がオンされると、施肥モード自動切替部c832は、以下の施肥モード自動切替処理を行う。
【0111】
図7は、施肥モード自動切替処理の流れを示すフローチャートである。
施肥モード自動切替部c832は、施肥モード自動切替処理を開始すると、施肥マップ利用施肥モードc822を実行する(ステップ♯1)。これにより、施肥マップ利用施肥モードによる施肥が行われる。
【0112】
次に、測位装置5の受信不良が発生していないか判定する(ステップ♯2)。測位装置5の受信不良が発生していると判定した場合、土壌情報利用施肥モードc823を実行する(ステップ♯3)。これにより、施肥モードが自動で切り替えられて、土壌情報利用施肥モードによる施肥が行われる。その結果、測位装置5の受信不良が発生して、施肥マップ利用施肥モードによる施肥に不具合が生じた場合においても、円滑に施肥作業を続行でき、作業効率の大幅な低下を防止することができる。
【0113】
続いて、施肥モード自動切替部c832は、測位装置5の受信不良が解消したか判定し(ステップ♯4)、解消した場合は(ステップ♯4でY)、施肥マップ利用施肥モードc822を実行する(ステップ♯1)。これにより、測位装置5の一時的な受信不良に対して、迅速に、施肥マップ利用施肥モードによる施肥に復帰させることができる。
【0114】
また、測位装置5の受信不良が解消しない場合は(ステップ♯4でN)、土壌情報利用施肥モードを継続するとともに、土壌情報が取得不能か判定する(ステップ♯5)。土壌情報が問題なく取得可能であると判定した場合(ステップ♯5でN)、土壌情報利用施肥モードを継続する(ステップ♯3)。
【0115】
一方で、土壌情報が取得不能である(ステップ♯5でY)、すなわち、土壌情報取得部Jから制御装置Cが土壌情報を取得できておらず、何らかの不具合が生じていると判定される場合は、基本施肥量施肥モードc821を実行する(ステップ♯6)。これにより、施肥モードが自動で切り替えられて、基本施肥量施肥モードによる施肥が行われる。その結果、さらに、土壌情報取得部Jに何らかの不具合が発生して、土壌情報利用施肥モードによる施肥の進行に不具合が生じた場合においても、円滑に施肥作業を続行でき、作業効率の大幅な低下をさらに好適に防止することができる。
【0116】
その後、ステップ♯4に戻り、測位装置5の受信不良が解消した場合は、施肥マップ利用施肥モードによる施肥に復帰し(ステップ♯1)、また、土壌情報が問題なく取得可能であると判定した場合(ステップ♯5でN)、土壌情報利用施肥モードに復帰する(ステップ♯3)。
【0117】
以上、本発明の実施形態を説明した。本件発明は、前記した実施形態の態様にのみ限定されない。技術的思想の範囲内で、適宜変更であることは言うまでも無い。例えば、
図7記載の実施形態においては、ステップ♯2で、測位装置5の受信不良が発生したかを判定するように構成されているが、制御装置Cと携帯情報端末6の通信が不可能となったかを判定するように構成されてもよい。すなわち、制御装置Cと携帯情報端末6の通信に何らかの不具合が生じると、制御装置Cが携帯情報端末6から施肥マップDhの情報を取得できなくなるためである。さらに、このとき、通信不具合により、自動で施肥マップ利用施肥モードから土壌情報利用施肥モードに切り替えた後、制御装置Cと携帯情報端末6の通信が可能となったことを判定すると、自動で、土壌情報利用施肥モードから施肥マップ利用施肥モードに切り替えるよう構成されることが望ましい。これにより、通信障害が解消すると迅速に施肥マップ利用施肥モードに切り替えることができ、利便性を向上できる。
【0118】
また、例えば、
図7記載の実施形態においては、施肥モードの実行の優先順位が、施肥マップ利用施肥モード、土壌情報利用施肥モード、基本施肥量施肥モードとなっているが、これに限定されず、施肥モードの実行の優先順位を、土壌情報利用施肥モード、施肥マップ利用施肥モード、基本施肥量施肥モードとすることもできる(なお、このとき、
図7の実施例において、ステップ♯1とステップ♯3、ステップ♯2とステップ♯4を入れ替える)。また、この優先順位を、作業者が所定操作により選択可能に構成されてもよい。これにより、作業者の細かなニーズに応じた施肥が可能となる。
【符号の説明】
【0119】
1 作業車両
2 走行車体
2a メインフレーム
2b 後部フレーム
2c フロアステップ
3 苗植付部
3a 苗載台
3b 植付装置
3c センターフロート
3d サイドフロート
3e 植付具
3f 駆動軸
4 施肥装置
4a エアチャンバー
4b ブロワ
4c 施肥ホッパ
4d 繰出装置
4e 接続管
4f 施肥ホース
4g 吸気ダクト
4h 繰出溝
4i 繰出ロール
4j 繰出軸
4m 施肥量調節モータ
5 測位装置
6 携帯情報端末
7 操縦部
7a 主変速レバー
7b ステアリングホイール
7c 直進アシストレバー
7d 操作盤
7e モニタ
7f ステアリングシャフト
7g 操縦席
9 前輪
10 後輪
11 昇降リンク装置
11a 上部リンクアーム
11b 下部リンクアーム
12 リンクベースフレーム
13 上下リンクアーム
14 昇降油圧シリンダ
C 制御装置
E エンジン
J 土壌情報取得部