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特開2024-159327皮膚外用組成物、ヒアルロン酸の皮膚浸透促進剤、及びヒアルロン酸の皮膚浸透促進方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159327
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】皮膚外用組成物、ヒアルロン酸の皮膚浸透促進剤、及びヒアルロン酸の皮膚浸透促進方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20241031BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20241031BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/99
A61Q19/00
A61K31/728
A61P17/16
A61K47/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075256
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】児玉 敬
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA71
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD45
4C076DD46
4C076EE57
4C076FF34
4C083AA071
4C083AA072
4C083AC122
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AD331
4C083AD332
4C083CC03
4C083DD12
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE12
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA25
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA11
4C086NA14
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヒアルロン酸の皮膚浸透性を向上させることを課題とし、具体的には、ヒアルロン酸の皮膚浸透性を向上させた皮膚外用組成物を提供することを目的とする。さらに、ヒアルロン酸が皮膚のより深部まで浸透することによる、皮膚のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる皮膚外用組成物を提供することも目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するための本発明は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有する皮膚外用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒアルロン酸発酵物、及び
(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩
を含有する皮膚外用組成物。
【請求項2】
(A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
(B)成分として、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、及びアセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを少なくとも含む、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項4】
(A)ヒアルロン酸発酵物、及び
(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有する、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進剤。
【請求項5】
(A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、請求項4に記載の皮膚浸透促進剤。
【請求項6】
(A)ヒアルロン酸発酵物、及び
(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を用いることを特徴とする、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物、ヒアルロン酸の皮膚浸透促進剤、及びヒアルロン酸の皮膚浸透促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸とN‐アセチルグルコサミンから構成される二糖単位が直鎖状に連結した構造のムコ多糖類であり、生体内では細胞や線維間を埋める接合物質として真皮に多量に存在し、表皮にも存在する。ヒアルロン酸は高い保水性と粘弾性を有しているため、保湿剤等として医薬品や化粧品の成分として広く用いられている。
【0003】
しかし、ヒアルロン酸は極めて高分子量であるため、皮膚外用剤成分として用いる場合、皮膚に浸透し難く、実用上十分にその機能を発揮できない場合がある。そこで、ヒアルロン酸の経皮吸収性を高める試みとして、ヒアルロン酸を低分子化する試み(特許文献1:特表2002-533376号公報)ヒアルロン酸と共に両性界面活性剤を配合する試み(特許文献2:国際公開第2022/259901号)、塩化ナトリウム等の電解質を利用して、ヒアルロン酸のマイナス電荷を見かけ上中和させ、水素結合を優位にすることで、ヒアルロン酸分子の広がりを抑制して微粒子化する試み(特許文献3:国際公開第2021/033725号)等が行われているが、その効果は十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002-533376号公報
【特許文献2】国際公開第2022/259901号
【特許文献3】国際公開第2021/033725号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような情況の中、本発明は、ヒアルロン酸の皮膚浸透性を向上させることを課題とし、具体的には、ヒアルロン酸の皮膚浸透性を向上させた皮膚外用組成物を提供することを目的とする。さらに、ヒアルロン酸が皮膚のより深部まで浸透することによる、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる皮膚外用組成物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、微生物によるヒアルロン酸発酵物と、特定のサイズのヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩(以下、「ヒアルロン酸類」ともいう)を含有する皮膚外用組成物において、これを皮膚に適用した際に、ヒアルロン酸類の浸透性が顕著に促進されると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
【0007】
[1](A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有する皮膚外用組成物。
[2](A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、[1]に記載の皮膚外用組成物。
[3](B)成分として、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、及びアセチル化ヒアルロン酸ナトリウムを少なくとも含む、[1]又は[2]に記載の皮膚外用組成物。
[4](A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有することを特徴とする、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進剤。
[5](A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、[4]に記載の皮膚浸透促進剤。
[6](A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を用いることを特徴とする、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進方法。
[7](A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、[6]に記載の皮膚浸透促進方法。
[8](A)ヒアルロン酸発酵物を含有する、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進剤。
[9](A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、[8]に記載の皮膚浸透促進剤。
[10](A)ヒアルロン酸発酵物を用いることを特徴とする、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進方法。
[11](A)ヒアルロン酸発酵物が、ヒアルロン酸の乳酸球菌による発酵物である、[10]に記載の皮膚浸透促進方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有することで、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩の皮膚への浸透性を顕著に促進させることができると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1-1】図1-1は、蛍光標識加水分解ヒアルロン酸(重量平均分子量1万)を含有する試験液1-1を3次元培養皮膚モデルに塗布した後の、皮膚組織断片の蛍光顕微鏡画像である。
図1-2】図1-2は、蛍光標識加水分解ヒアルロン酸(重量平均分子量1万)に加えてヒアルロン酸発酵物を含有する試験液1-2を3次元培養皮膚モデルに塗布した後の、皮膚組織断片の蛍光顕微鏡画像である。
図2-1】図2-1は、蛍光標識加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル(重量平均分子量1万)を含有する試験液2-1を3次元培養皮膚モデルに塗布した後の、皮膚組織断片の蛍光顕微鏡画像である。
図2-2】図2-2は、蛍光標識加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル(重量平均分子量1万)に加えてヒアルロン酸発酵物を含有する試験液2-2を3次元培養皮膚モデルに塗布した後の、皮膚組織断片の蛍光顕微鏡画像である。
図3-1】図3-1は、蛍光標識ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量120万)を含有する試験液3-1を3次元培養皮膚モデルに塗布した後の、皮膚組織断片の蛍光顕微鏡画像である。
図3-2】図3-2は、蛍光標識ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量120万)に加えてヒアルロン酸発酵物を含有する試験液3-2を3次元培養皮膚モデルに塗布した後の、皮膚組織断片の蛍光顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
<皮膚外用組成物>
本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩(「(B)ヒアルロン酸類」)を含有する皮膚外用組成物である。本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)ヒアルロン酸類を含有することで、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩の皮膚への浸透性を顕著に促進させることができると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感も優れたものとすることができる。なお、本発明の外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、(B)ヒアルロン酸類以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、また本発明の効果を向上させる目的で、各種任意成分を含んでいてもよい。以下に本発明の皮膚外用組成物が含有する各成分等について詳細に説明する。
【0012】
なお、本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)ヒアルロン酸類が配合されたものであるということもできる。
【0013】
本発明において、ヒアルロン酸とは、N-アセチルグルコサミンとD-グルクロン酸(GlcNAcβ1-4GlcAβ1-3)からなる二糖が直鎖上に連結したムコ多糖を指し、それらの塩とは区別される。
【0014】
本発明において、ヒアルロン酸の塩は、薬理学的又は生理学的に許容されるものであればよく、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属との塩、亜鉛、アルミニウムのような金属との塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミンのようなアミン塩等を挙げることができる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、アンモニウム塩がより好ましい。
【0015】
本発明において、ヒアルロン酸誘導体とは、ヒアルロン酸を母体として考えたとき、官能基の導入、酸化、還元、原子の置換等、母体の構造や性質を大幅に変えない程度の改変がなされた化合物をいう。ヒアルロン酸誘導体としては、例えば、アセチル化ヒアルロン酸、硫酸化ヒアルロン酸、疎水化された加水分解ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸アルキル、加水分解ヒアルロン酸グリセリル等)、架橋型ヒアルロン酸、カルボキシメチルヒアルロン酸、ヒアルロン酸アルキレングリコール、ヒアルロン酸シラノール、カチオン化ヒアルロン酸等が挙げられる。
【0016】
本発明において、ヒアルロン酸誘導体の塩は、薬理学的又は生理学的に許容されるものであればよく、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属との塩、亜鉛、アルミニウムのような金属との塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミンのようなアミン塩等を挙げることができる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、アンモニウム塩がより好ましい。
【0017】
本発明においては、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、ヒアルロン酸誘導体及びヒアルロン酸誘導体の塩を含めたものを「ヒアルロン酸類」ということがある。
【0018】
[(A)ヒアルロン酸発酵物]
本発明の皮膚外用組成物が含有する(A)ヒアルロン酸発酵物は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩を、微生物により発酵させたものをいう。
【0019】
上記発酵に用いる微生物としては、特に限定されないが、例えば乳酸菌、酵母、麹菌、枯草菌等が挙げられる。
【0020】
上記乳酸菌としては、乳酸球菌、乳酸桿菌が挙げられ、具体的には、例えば、ロイコノストック メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック シトレウム(Leuconostoc citreum)等のロイコノストック( Leuconostoc)属の乳酸菌;ラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシルスカゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌;カルノバクテリウム ディバージェンス(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)等のカルノバクテリウム(Carnobacterium)属の乳酸菌;ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)等のストレプトコッカス属の乳酸菌;エンテロコッカス カゼリフラバス(Enterococcus caseliflavus)、エンテロコッカス サルフレウス(Enterococcus sulfreus)等のエンテロコッカス(Enterococcus)属の乳酸菌;ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス ラフィノラクティス(Lactococcus rafinolactis)等のラクトコッカス属の乳酸菌;ヴェイセラ コンフューザ(Weissella confusa)、ヴェイセラ カンドウレリ(Weissella kandleri)等のヴェイセラ属の乳酸菌;アトポビウム ミニュタム(Atopobium minutum)、アトポビウム パービュラス(Atopobiumparvulus)等のアトポビウム(Atopobium) 属の乳酸菌;バゴコッカスフルビアリス(Vagococcus fluvialis)、バゴコッカス サーモニナラム(Vagococcus salmoninarum)等のバゴコッカス(Vagococcus)属の乳酸菌;ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス(Pediococcus)属の乳酸菌が挙げられる。
【0021】
上記酵母としては、例えば、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayonus)等のサッカロミセス属の酵母;ガラクトミセス(Galactomyces)属の酵母;トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母;ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosacchar omyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母;カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母;オーレオバシディウムプルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー( Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母が挙げられる。また、本発明に係る酵母としては、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、植物の花(バラ、ウメ、サクラ、ツバキ、ユリ等)由来の酵母、海由来の酵母の何れであってもよい。
【0022】
上記麹菌としては、例えば、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus) 、アスペルギルス ポリオキソジェネス(Aspergillus polyoxogenes)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌;アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス カワウチ(Aspergillus kawauchii)、アスペルギルス ウサミ(Aspergillus usami)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等の黒麹菌;モナスカス アンカ(Monascus anka)、モナスカス ピロサス(Monascus pilosus)等の紅麹菌が挙げられる。
【0023】
上記枯草菌(Bacillus subtilis)としては、例えば、バシルス ナットー(Bacillus natto)、バシルス サブチルス(Bacillus subtilis)、バシルス サーキュランス(Bacillus circulans)等が挙げられる。
【0024】
本発明において、上記発酵に用いる微生物としては、これらのうち、乳酸菌、酵母が好ましく、乳酸菌がより好ましく、中でも乳酸球菌がさらに好ましい。
【0025】
本発明における(A)ヒアルロン酸発酵物を調製する際、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩を、微生物により発酵させる発酵工程の前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去することが望ましい。この雑菌の殺菌除去方法は、特に限定されず、発酵素材を加熱殺菌等により殺菌するようにしてもよい。加熱殺菌処理としては、発酵素材を120~130℃で10~20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、80~90℃に60~120分間保持することを1日1回2~3日間繰り返す間断殺菌法といった加熱殺菌法が一般に用いられる。
【0026】
上記発酵の際には、炭素源としてグルコース、ガラクトース、フルクトース、シュクロース、マルトース、ラクトース等の糖類を添加してもよい。
【0027】
上記のとおり雑菌を除去し無菌化した発酵素材と培地を発酵タンク等に入れ、これに上記微生物を植菌して発酵させる。微生物の接種量は適宜調整し得るが、通常10~10個/mLであり、10~10個/mLが好ましい。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなり好ましくない。
【0028】
上記発酵の際の温度は各微生物の生育至適温度の範囲であればよく、一般に5~50℃の範囲である。発酵日数は、至適温度において通常1~10日であり、2~5日の範囲であることが好ましい。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日より長くしても有効性の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなって好ましくない。
【0029】
本発明における(A)ヒアルロン酸発酵物としては、上記発酵工程後、発酵タンク等から回収した発酵産物をそのまま用いてもよいし、遠心分離等の方法により微生物及びその他の夾雑物を除去した発酵液を用いてもよいが、上記微生物及びその他の夾雑物を除去した発酵液が好ましい。また、(A)ヒアルロン酸発酵物の形態は、液体であってもよいし、液体状のものを乾燥させて固体としたものであってもよい。
【0030】
(A)ヒアルロン酸発酵物を調製する際に発酵素材として用いる、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩としては、鶏冠、サメの皮、臍帯、眼球、皮膚、軟骨等の動物組織や、ストレプトコッカス属微生物等のヒアルロン酸生産微生物、動物細胞、植物細胞の培養物から抽出、回収した天然ヒアルロン酸であってもよいし、上記天然ヒアルロン酸を分解して得られる分解ヒアルロン酸であってもよい。上記分解ヒアルロン酸は、例えば、酸又はアルカリ存在下での加水分解、ヒアルロニダーゼ等の酵素処理、超音波や剪断のような物理的切断等により調製したものであってもよい。また、上記発酵素材としては、上記天然ヒアルロン酸、分解ヒアルロン酸から誘導された各種ヒアルロン酸誘導体であってもよいし、これらの塩であってもよい。
【0031】
(A)ヒアルロン酸発酵物は、上記発酵素材としてのヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩を、微生物により発酵させて得られるものであるため、種々のサイズの分解ヒアルロン酸を含んでいると考えられる。
【0032】
本発明の皮膚外用組成物中の(A)ヒアルロン酸発酵物の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上であり、0.0005質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。また、(A)ヒアルロン酸発酵物の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、10質量%以下であり、5.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.8質量%以下であることが特に好ましい。本発明の皮膚外用組成物中の(A)ヒアルロン酸発酵物の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上10質量%以下であり、0.0005質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。(A)ヒアルロン酸発酵物の含有量を上記範囲内とすることで、本発明の皮膚外用組成物が含有するヒアルロン酸類の皮膚への浸透性を顕著に向上させることができる。
【0033】
[(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩]
本発明の皮膚外用組成物は上述の(A)ヒアルロン酸発酵物に加えて、(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有する。本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物と共に、(B)上記ヒアルロン酸類を配合することで、ヒアルロン酸類の皮膚への浸透性を顕著に向上させることができる。
【0034】
なお、本発明において、重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される値である。
その条件は、下記の通りである。
カラム:TSKgel GMPWXL 7.8mm×30cm(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃付近の一定温度
検出器:示差屈折率計
移動相:0.2mol/L NaCl
流量:0.3mL/分
注入量:100μL
標準物質:プルラン標準品(STANDARD P-82、昭和電工株式会社製)
【0035】
(B)ヒアルロン酸類について以下に、高分子ヒアルロン酸(重量平均分子量5万以上)又はその塩、低分子ヒアルロン酸(重量平均分子量5万未満)又はその塩、ヒアルロン酸誘導体又はその塩に分けて説明する。
【0036】
(高分子ヒアルロン酸又はその塩)
ヒアルロン酸は、酸性ムコ多糖類の一種であり、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンの二糖を構成単位として含む多糖類である。ヒアルロン酸は、鶏冠、サメの皮、臍帯、眼球、皮膚、軟骨などの動物組織や、ストレプトコッカス属微生物などのヒアルロン酸生産微生物、動物細胞、植物細胞の培養物から抽出、回収することができる。また、市販品を購入することもできる。重量平均分子量5万以上、120万以下の高分子ヒアルロン酸としては、このような天然のヒアルロン酸を用いることができる。天然ヒアルロン酸の重量平均分子量は、50~700万程度であるので、その中から上記範囲のサイズのものを用いることができる。
【0037】
また、天然ヒアルロン酸を分解して得られる分解ヒアルロン酸も、重量平均分子量5万以上、120万以下であれば使用できる。分解ヒアルロン酸は、例えば、酸又はアルカリ存在下での加水分解、ヒアルロニダーゼなどの酵素処理、超音波や剪断のような物理的切断、微生物による発酵などにより調製できる。また、市販品を使用することもできる。
【0038】
本発明において、高分子ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は5万以上であるが、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、30万以上がさらに好ましく、50万以上がさらにより好ましい。また、高分子ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は、例えば160万以下とすることができ、120万以下が好ましく、80万以下がより好ましい。さらに、高分子ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は5万以上160万以下であり、10万以上140万以下であることが好ましく、20万以上120万以下であることがより好ましく、30万以上120万以下であることがさらに好ましい。この範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物を皮膚に適用した際に、ヒアルロン酸類の浸透性が顕著に促進されると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる。
【0039】
高分子ヒアルロン酸の市販品としては、ヒアルロン酸ナトリウムHA12N(商品名)(資生堂株式会社;重量平均分子量110~160万)、バイオヒアルロン酸ナトリウムSZE(商品名)(資生堂株式会社;重量平均分子量110~160万)、ヒアルロン酸FCH-120(商品名)(キッコーマンバイオケミファ株式会社;重量平均分子量100~140万)、ヒアルロンサンHA-LQ(商品名)(キユーピー株式会社;重量平均分子量85~160万)、ヒアルロン酸FCH-80(商品名)(キッコーマンバイオケミファ株式会社;重量平均分子量60~100万)、ヒアルロン酸FCH-60(商品名)(キッコーマンバイオケミファ株式会社;重量平均分子量50~70万)、ヒアルロン酸FCH-SU(商品名)(キッコーマンバイオケミファ株式会社;重量平均分子量5~11万)などを挙げることができる。
【0040】
高分子ヒアルロン酸の塩は、薬理学的又は生理学的に許容されるものであればよく、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属との塩、亜鉛、アルミニウムのような金属との塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミンのようなアミン塩などを挙げることができる。中でも、アルカリ金属塩、金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩が特に好ましい。また、高分子ヒアルロン酸においては、塩状態のヒアルロン酸を用いる方が、ヒアルロン酸と比較して、より安定であるため好ましい。
【0041】
高分子ヒアルロン酸又はその塩は、1種又は2種以上を使用できる。
【0042】
高分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.02質量%以上がさらにより好ましい。また、高分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、10質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%以下がさらにより好ましい。さらに、高分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、0.001質量%以上、10質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上、1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.02質量%以上、0.3質量%以下であることがさらにより好ましい。この範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物を皮膚に適用した際に、ヒアルロン酸の浸透性が顕著に促進されると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる。高分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、複数種の高分子ヒアルロン酸又はその塩を含む場合は、それらの総含有量である。
【0043】
(低分子ヒアルロン酸又はその塩)
重量平均分子量5万未満の低分子ヒアルロン酸としては、高分子ヒアルロン酸の分解物を使用できる。低分子ヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸を塩酸などの酸又はアルカリの存在下で加水分解する方法、ヒアルロニダーゼなどの酵素を用いて処理する方法、又は超音波や剪断によって物理的に切断する方法、微生物により発酵させる方法などによって得ることができる。低分子ヒアルロン酸として、ヒアルロン酸オリゴ糖及び/又はその塩を用いる場合、2~16糖程度が好ましく、飽和型又は不飽和型のいずれを用いてもよい。例えば一部又は全てのD-グルクロン酸の4位と5位との間が二重結合を形成している不飽和型ヒアルロン酸が挙げられる。
【0044】
本発明において、低分子ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は、5万未満であるが、4万以下が好ましく、3万以下がより好ましく、2万以下がさらに好ましい。また、低分子ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、500以上がさらに好ましく、1000以上がさらにより好ましい。さらに、低分子ヒアルロン酸又はその塩の重量平均分子量は、100以上、5万未満であることが好ましく、200以上、4万以下がより好ましく、500以上、3万以下がさらに好ましく、1000以上、2万以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物を皮膚に適用した際に、ヒアルロン酸の浸透性が顕著に促進されると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる。
【0045】
本発明において、低分子ヒアルロン酸は、市販品を購入して使用することもできる。低分子ヒアルロン酸の市販品としては、ヒアロオリゴ(商品名)(キユーピー株式会社;重量平均分子量1万以下)、ヒアルロン酸(SL)(商品名)(株式会社FAPジャパン;重量平均分子量1万以下)、マイクロヒアルロン酸FCH(商品名)(キッコーマンバイオケミファ株式会社;重量平均分子量5000以下)、HAbooster(商品名)(キユーピー株式会社;重量平均分子量2000)などを挙げることができる。
【0046】
低分子ヒアルロン酸の塩は、薬理学的又は生理学的に許容されるものであればよく、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属との塩、亜鉛、アルミニウムのような金属との塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミンのようなアミン塩などを挙げることができる。中でも、アルカリ金属塩、金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0047】
低分子ヒアルロン酸又はその塩は、1種又は2種以上を使用できる。
【0048】
低分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上がさらに好ましく、0.01質量%以上がさらにより好ましい。また、低分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、20.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましく、3.0質量%以下がさらにより好ましい。さらに、本発明の皮膚外用組成物中の低分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上20.0質量%以下であり、0.001質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上3.0質量%以下が特に好ましい。低分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量を上記範囲内とすることで、本発明の皮膚外用組成物が含有するヒアルロン酸類の皮膚への浸透性を顕著に向上させることができる。なお、低分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、複数種の低分子ヒアルロン酸又はその塩を含む場合は、それらの総含有量である。
【0049】
本発明の皮膚外用組成物中のヒアルロン酸又はその塩の含有量(高分子ヒアルロン酸又はその塩と低分子ヒアルロン酸又はその塩の合計含有量)は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.05質量%以上がさらにより好ましい。また、ヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5.0質量%以下がさらにより好ましい。さらに、本発明の皮膚外用組成物中のヒアルロン酸又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上30.0質量%以下であり、0.005質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上5.0質量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物を皮膚に適用した際に、ヒアルロン酸の浸透性が顕著に促進されると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる。
【0050】
本発明の皮膚外用組成物中の高分子ヒアルロン酸又はその塩と低分子ヒアルロン酸又はその塩との含有比率は、高分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量の1質量部に対して、低分子ヒアルロン酸又はその塩の含有量が0.0001質量部以上、0.001質量部以上、0.01質量部以上、0.1質量部以上、又は0.3質量部以上とすることができる。また、1000質量部以下、50質量部以下、10質量部以下、又は5質量部以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物を皮膚に適用した際に、ヒアルロン酸の浸透性が顕著に促進されると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感にも優れる。
【0051】
(ヒアルロン酸誘導体又はその塩)
本発明におけるヒアルロン酸誘導体は、ヒアルロン酸誘導体のうち、重量平均分子量が120万以下のものであれば特に限定されないが、例えば、アセチル化ヒアルロン酸、硫酸化ヒアルロン酸、疎水化された加水分解ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸アルキル、加水分解ヒアルロン酸グリセリル等)、架橋型ヒアルロン酸、カルボキシメチルヒアルロン酸、ヒアルロン酸アルキレングリコール、ヒアルロン酸シラノール、カチオン化ヒアルロン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0052】
これらのうち、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、加水分解ヒアルロン酸アルキル(炭素数12~13のアルキル基;C12-13)グリセリル、架橋型ヒアルロン酸、カルボキシメチルヒアルロン酸、ヒアルロン酸プロピレングリコール、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、及びこれらの塩が好ましく、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、架橋型ヒアルロン酸、ヒアルロン酸プロピレングリコール、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、及びこれらの塩がより好ましい。
【0053】
アセチル化ヒアルロン酸は、好ましくはヒアルロン酸の水酸基がアセチル化したものである。ヒアルロン酸は構成単位(2糖)あたり4個の水酸基を有しており、アセチル化ヒアルロン酸としては、水酸基の2~4個がアセチル化したものが好ましい。
【0054】
ヒアルロン酸誘導体の市販品としては、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム(商品名)(資生堂株式会社;重量平均分子量1~10万)、ヒアロベール(商品名)(キユーピー株式会社;重量平均分子量50~80万)、ヒアロリペア(商品名)(キユーピー株式会社;重量平均分子量1万以下)、ヒアロキャッチ(商品名)(キユーピー株式会社;重量平均分子量80万~120万)、ヒアルジョン(商品名)(キッコーマンバイオケミファ株式会社;ヒアルロン酸プロピレングリコール)、D.S.H.CN6(商品名)(EXSYMOL S.A.M;ヒアルロン酸ジメチルシラノール)、D.S.H.CN(商品名)(EXSYMOL S.A.M;ヒアルロン酸ジメチルシラノール)等が挙げられる。
【0055】
ヒアルロン酸誘導体における塩は、薬理学的又は生理学的に許容されるものであればよく、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金属との塩、亜鉛、アルミニウムのような金属との塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミンのようなアミン塩等を挙げることができる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、アンモニウム塩がより好ましい。ヒアルロン酸誘導体の塩としては、例えば、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸カリウム、アセチル化ヒアルロン酸カルシウム、アセチル化ヒアルロン酸マグネシウム、アセチル化ヒアルロン酸亜鉛、アセチル化ヒアルロン酸アンモニウム、ヒアルロン酸クロスポリマーナトリウム、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム等が挙げられる。
【0056】
ヒアルロン酸誘導体は、1種又は2種以上を使用できる。
【0057】
本発明の皮膚外用組成物中のヒアルロン酸誘導体又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がさらにより好ましい。また、ヒアルロン酸誘導体又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、20.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましく、3.0質量%以下がさらにより好ましい。さらに、本発明の皮膚外用組成物中のヒアルロン酸誘導体又はその塩の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上20.0質量%以下であり、0.001質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下が特に好ましい。ヒアルロン酸誘導体又はその塩の含有量を上記範囲内とすることで、本発明の皮膚外用組成物が含有するヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩の皮膚への浸透性を顕著に向上させることができる。なお、ヒアルロン酸誘導体又はその塩の含有量は、複数種のヒアルロン酸誘導体又はその塩を含む場合は、それらの総含有量である。
【0058】
本発明の皮膚外用組成物においては、(B)ヒアルロン酸類として、上記に上げたヒアルロン酸類から成る群より選択される少なくとも3種を含み、少なくとも4種を含むことが好ましく、少なくとも5種を含むことがより好ましく、少なくとも6種を含むことがさらにより好ましい。本発明の皮膚外用組成物が含有する(B)ヒアルロン酸類の組み合わせは、特に限定されないが、好ましい組合せとして、例えば、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムの組み合わせを含むもの、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量120万)、加水分解ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量1万)、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル(重量平均分子量1万)の組み合わせを含むものが挙げられる。
【0059】
本発明の皮膚外用組成物中の(B)ヒアルロン酸類の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がさらにより好ましい。また、(B)ヒアルロン酸類の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、30.0質量%以下が好ましく、20.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下がさらに好ましく、5.0質量%以下がさらにより好ましい。さらに、本発明の皮膚外用組成物中の(B)ヒアルロン酸類の含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、0.0001質量%以上30.0質量%以下であり、0.001質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上5.0質量%以下が特に好ましい。(B)ヒアルロン酸類の含有量を上記範囲内とすることで、本発明の皮膚外用組成物が含有するヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩の皮膚への浸透性を顕著に向上させることができる。なお、(B)ヒアルロン酸類の含有量は、複数種の(B)ヒアルロン酸類を含む場合は、それらの総含有量である。
【0060】
[溶媒]
本発明の皮膚外用組成物は、水、アルコール、親水性有機溶媒、脂肪酸、高級脂肪酸エステル類、グリセライド又は疎水性有機溶媒、或いは、これらの混和し得る混合溶媒を含む。
【0061】
溶媒は、本発明の皮膚外用組成物において基剤又は担体として機能するものが好ましく、水等の水系溶媒、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;ポリメチルシルセスキオキサン等のメチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリルジメチコンポリグリセリン-3クロスポリマー等のポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジンのようなシリコーン油;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのような高級アルコール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ホホバ油のようなエステル類;デキストリン、マルトデキストリンのような多糖類;エタノール、イソプロパノールのようなアルコール等が挙げられる。これらのうち、水系溶媒が好ましく、水が特に好ましい。本発明の皮膚外用組成物が水を含有する場合、その配合量は、皮膚への使用感や本発明の効果を考慮して適宜選択できるが、本発明の皮膚外用組成物の全体に対して例えば0.001質量%~99.99質量%、好ましくは0.01質量%~99.9質量%、より好ましくは0.1質量%~95質量%であり、最も好ましくは1質量%~90質量%である。
【0062】
[油分]
本発明の皮膚外用組成物は、油分を含まないか、又はその含有量が、皮膚外用組成物の全量に対して、10質量%以下である。油分含有量は、皮膚外用組成物の全量に対して、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、本発明の皮膚外用組成物が含有するヒアルロン酸類の皮膚への浸透性の観点からも好ましい。
【0063】
本発明において、油分は25℃で液状又は流動状の油性物質である。本発明における油分は、25℃で液状、流動状、又は半固形状の油性物質であることが好ましく、25℃で液状、流動状、半固形状、又は固形状の油性物質であることがより好ましい。固形とは25℃で流動性がないものをいい、半固形とは25℃~45℃の融点を有するものをいい、液状とは25℃で流動性があるものをいう。油性物質としては、炭化水素類、ろう類、シリコーン類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、油脂類、エステル類等が挙げられる。なお、これらの油性物質は、上記溶媒とは異なる目的で配合されるものである。
【0064】
炭化水素類としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリブテン、ポリエチレン末、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン、軽質イソ流動パラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。中でも流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン、軽質イソ流動パラフィンが好ましく、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン、軽質イソ流動パラフィンがより好ましい。
【0065】
ロウ類としては、ホホバ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン等が挙げられる。中でもホホバ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウが好ましく、ホホバ油が特に好ましい。
【0066】
シリコーン類としては、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のフェニル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジン等が挙げられる。中でもメチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
【0067】
高級アルコール類としては、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐の炭素数8~22の高級アルコールが挙げられる。具体的には、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、フィトステロール、コレステロール、オレイルアルコール等が挙げられる。中でもセタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールが好ましく、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールがより好ましい
【0068】
高級脂肪酸類としては、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐の炭素数8~22の高級アルコールが挙げられる。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びベヘン酸等が挙げられる。中でも、イソステアリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましく、イソステアリン酸がより好ましい。
【0069】
油脂類としては、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、アーモンド油、メドウフォーム油、サザンカ油、ナタネ油、ゴマ油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、モクロウ、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、シア脂、硬化油、オレンジラフィー油、馬油等が挙げられる。中でもアボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、アーモンド油、メドウフォーム油、ゴマ油、パーム油、パーム核油、米胚芽油、米ヌカ油、大豆油、月見草油、シア脂、オレンジラフィー油が好ましい。
【0070】
エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、乳酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、水素添加ホホバ油、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、)モノイソステアリン酸ポリグリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、オレイン酸オレイル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。中でも、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、オレイン酸オレイル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、水素添加ホホバ油、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、)モノイソステアリン酸ポリグリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、オレイン酸オレイル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルが好ましい。
【0071】
本発明の皮膚外用組成物において、油分は、1種又は2種以上を使用できる。
【0072】
[任意成分]
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を向上させる目的で上述の(A)、(B)成分に加えて、ビタミン類、アルカンジオール、多価アルコール、グリコールエーテル、増粘剤等を含んでもよい。また、これら以外にも、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでいてもよい。なお、これらの成分は、それぞれ1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、各成分として具体的に例示されている化合物が重複している場合には、いずれかの成分として含まれていればよい。
【0073】
(ビタミン類)
上記ビタミン類としては、例えば、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d-δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエート、β-トコフェリルレチノエート等のビタミンA類;β-カロチン、α-カロチン、γ-カロチン、δ-カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノン等のプロビタミンA類;δ-トコフェロール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム、δ-トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸メチル、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類;ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸等のビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類;ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテテイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオシチン等のビオチン類;そのほか、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸、γ-オリザノール等のビタミン様作用因子等が挙げられる。これらのうち、本発明の皮膚外用組成物の効果の観点から、ビタミンC類が好ましい。なお、ビタミンC類のうち、ビタミンC誘導体の一部は、生体内で酵素によりビタミンCに変換されて作用する。
【0074】
ビタミン類を配合する場合、その使用量は、使用感を考慮して適宜選択できるが、本発明の皮膚外用組成物の全体に対して、例えば0.001質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%、より好ましくは0.5~20質量%である。
【0075】
(アルカンジオール)
本発明の皮膚外用組成物は、炭素数5~10のアルカンジオールを含んでいてもよい。アルカンジオールとしては、炭素数5~10のものが好ましく、炭素数5~8のものがより好ましく、炭素数5~6のものがさらに好ましい。また、アルカンジオールは、1,2-アルカンジオールであることが好ましい。
【0076】
炭素数5~10のアルカンジオールとしては、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオールが挙げられる。中でも1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールが好ましく、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオールがより好ましく、1,2-ペンタンジオールがさらに好ましい。
【0077】
炭素数5~10のアルカンジオールの市販品としては、HYDROLITE-5、HYDROLITE-5 Green(シムライズ(株)製)、KMO-6(大阪有機化学工業製)、マイクロケア Emollient PTGJ、マイクロケアEmollient HXD(THOR製)等が挙げられる。
【0078】
炭素数5~10のアルカンジオールは、1種又は2種以上を使用できる。
【0079】
本発明の皮膚外用組成物における1,2-アルカンジオールの含有量は、0.001質量%~20質量%であることが好ましく、0.01質量%~15質量%であることがより好ましく、0.1質量%~10質量%であることがさらに好ましい。アルカンジオールの含有量は、複数種のアルカンジオールを含む場合は、それらの総含有量である。
【0080】
(多価アルコール)
本発明の皮膚外用組成物は、多価アルコールをさらに含むことができる。本発明の皮膚外用組成物に用いられる多価アルコールとしては、化粧品、医薬部外品又は医薬品の多価アルコールとして使用されるものを制限なく使用できる。例えば、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール等)、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、アルカンジオール(プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、ペンタンジオール等)等が挙げられる。これらのうち、使用感等も考慮した製剤化の観点から、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、アルカンジオール(プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール)等が好ましく、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコールがより好ましい。
【0081】
多価アルコールの含有量は、本発明の皮膚外用組成物中、0.01質量%~99.9質量%が好ましく、0.1質量%~75質量%がより好ましく、0.5質量%~50質量%がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果に加え、皮膚外用組成物に保湿力と良好な使用感を付与できる。
【0082】
(グリコールエーテル)
本発明の皮膚外用組成物は、グリコールエーテルをさらに含むことができる。本発明の皮膚外用組成物に用いられるグリコールエーテルとしては、化粧品、医薬部外品又は医薬品のグリコールエーテルとして使用されるものを制限なく使用できる。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びエチレングリコールモノプロピルエーテルのようなエチレングリコール系のグリコールエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノプロピルエーテルのようなジエチレングリコール系のグリコールエーテル;プロピレングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなプロピレングリコール系のグリコールエーテル;並びにジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなジプロピレングリコール系のグリコールエーテル等が挙げられる。中でも、エチレングリコール系、及びジエチレングリコール系のグリコールエーテルが好ましく、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルがより好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。
【0083】
グリコールエーテルの含有量は、本発明の外用組成物中、0.01質量%~97質量%が好ましく、0.1質量%~50質量%がより好ましく、0.5質量%~30質量%がさらにより好ましい。上記範囲であれば、本発明の効果に加え、外用組成物に保湿力と良好な使用感を付与できる。
【0084】
(増粘剤)
本発明の皮膚外用組成物は、さらに増粘剤を含むことできる。これにより、肌なじみがよく、使用感に優れる皮膚外用組成物とすることができる。このような増粘剤として、化粧品、医薬部外品又は医薬品の増粘剤として使用されるものを制限なく使用できる。例えば、寒天、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス-25)クロスコポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド等が挙げられる。これらのうち、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーがより好ましい。
【0085】
増粘剤の含有量は、本発明の外用組成物中、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.001質量%~10質量%がより好ましく、0.05質量%~5質量%がさらに好ましい。増粘剤の含有量が上記範囲であれば、肌なじみがよく、使用感に優れる皮膚外用組成物とすることができる。
【0086】
(その他の成分)
本発明の皮膚外用組成物には、上述の成分以外にも、他の有用な作用を付加するため、紫外線散乱成分、紫外線吸収成分、DNA損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、ブライトニング成分、抗炎症成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、老化防止成分、保湿成分、角質柔軟成分、血行促進成分等の各種成分を、1種又は2種以上組み合わせて配合してもよい。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、化粧品分野等において使用され得るものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。また、以下の複数の成分に該当するものは、それらのうちの任意の効能の成分として添加できるものとする。
【0087】
上記紫外線散乱成分としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸チタン、ケイ酸亜鉛、無水ケイ酸、ケイ酸セリウム、含水ケイ酸等の無機化合物や、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカやタルク等の無機粉体で被覆したり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂粉体に複合化したもの、さらにシリコン油や脂肪酸アルミニウム塩等で処理したもの等が挙げられる。中でも、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄等の無機化合物や、これらの無機化合物を水酸化アルミニウム、含水ケイ酸、マイカやタルク等の無機粉体やシリコン油で被覆したものが好ましい。
【0088】
上記紫外線吸収成分としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0089】
上記ブライトニング成分としては、例えば、ハイドロキノン;プラセンタ;アルブチン;コウジ酸;エラグ酸;フィチン酸;トラネキサム酸;4-n-ブチルレゾルシノール;カミツレエキス;ビタミンA又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体等のビタミン類等が挙げられる。更に、美白作用を有する植物成分を美白成分として用いてもよく、かかる植物成分としては、イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、クチナシ、クジン、クロレラ、ゴバイシコムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、コメヌカ、サイシン、サンショウ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、納豆、茶、トウキ、トウキンセンカ、ニンニク、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、トウキ、アメジスト、アセンヤク、アセビワラビ、イヌマキ、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、キササゲ、クロマメ、ゲンチアナ、ゲンジン、サルサ、サヤインゲンショクマ、ジュウロウ、セージ、ゼンコ、ダイコン、ツツジ、ツクシハギ、トシン、ニガキ、パセリ、ヒイラギ、ホップ、マルバハギ、チョウジ、カンゾウ、グレープフルーツ等に由来する成分が挙げられる。好ましくは、イリス(アイリス)、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、クチナシ、クジン、ゴバイシ、コムギ、コメ、コメヌカ、サイシン、サンショウ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、キササゲ、クロマメ、ゲンチアナ、サルサ、サヤインゲン、ジュウロウ、セージ、ゼンコ、ダイコン、ツツジ、ツクシハギ、トシン、ニガキ、パセリ、ヒイラギ、ホップ、チョウジ、カンゾウ、グレープフルーツ及びトウキ由来成分であり、より好ましくは、イリス(アイリス)、アロエ、イチョウ、エイジツ、オゴン、オウレン、オトギリソウ、クチナシ、クジン、コメ、コメヌカ、サイシン、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、セージ、ダイコン、ツツジ、パセリ、ホップ、カンゾウ、グレープフルーツ及びヨクイニン由来成分が挙げられる。これらのうち、イリス(アイリス)由来成分であるイリス根エキス、海藻由来成分である、褐藻エキス、カラフトコンブエキス、及びアロエエキスがさらに好ましい。これらの植物成分を本発明の外用組成物に用いる場合、植物成分の形態は特に制限されないが、通常は植物エキス(植物抽出物)や精油等の態様で使用することができる。なお、上記植物成分中に記載の( )内は、その植物の学名、別名又は生薬名である。
【0090】
上記抗炎症成分としては、例えば、アラントイン、カラミン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、グリチルレチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、酸化亜鉛、グアイアズレン、酢酸トコフェロール、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸又はその誘導体等が挙げられる。好ましくはグリチルリチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム等)、グリチルレチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、又は酸化亜鉛である。
【0091】
上記細胞賦活化成分としては、例えば、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸等のアミノ酸類:グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類:タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号等が挙げられる。
【0092】
上記収斂成分としては、例えば、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の金属塩;タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸等の有機酸を挙げることができる。
【0093】
上記抗酸化成分としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン、L-システイン塩酸塩、アスタキサンチン等が挙げられる。
【0094】
上記老化防止成分としては、例えば、パンガミン酸、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0095】
上記保湿成分としては、例えば、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、トリメチルグリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン等のアミノ酸及びその誘導体;グリセリン等の多価アルコール;ソルビトール等の糖アルコール;レシチン、水素添加レシチン等のリン脂質;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素等のNMF由来成分、ラベンダー油、アッケシソウエキス等の植物由来成分等が挙げられる。
【0096】
上記角質柔軟成分としては、例えば、ラノリン、尿素、フィチン酸、乳酸、乳酸塩、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。
【0097】
上記血行促進成分としては、例えば、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;ニコチン酸トコフェロール、グルコシルヘスペリジン、ヘスペリジンが挙げられる。
【0098】
また本発明の外用組成物には、上記各成分に加えてその用途あるいは剤形に応じて、医薬品、医薬部外品、又は化粧品等の分野に通常使用される添加剤を適宜配合してもよい。配合できる添加剤としては、特に制限されないが、例えば、界面活性剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、着色剤、分散剤、香料等の添加剤を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて配合することができる。またこれらの使用量は、従来公知の範囲から本発明の効果を損なわない範囲で、適宜決定することができる。
【0099】
上記界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸PEGソルビタン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート及びソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POE-ソルビタンモノオレエート;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO-10);グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリルグリセリルエーテルやモノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;ステアリン酸ポリグリセリド、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、及びジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等の各種非イオン界面活性剤:あるいはレシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、胆汁酸等の天然由来の界面活性剤等を例示することができる。
【0100】
上記保存剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0101】
上記pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0102】
上記キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Na等)、カリウム塩等)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。中でも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0103】
上記安定化剤としては、例えば、硫酸マグネシウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0104】
上記刺激低減剤としては、例えば、甘草エキス、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0105】
上記着色剤としては、無機顔料、天然色素等が挙げられる。
【0106】
上記分散剤としては、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸架橋コポリマー、有機酸等が挙げられる。
【0107】
[pH]
本発明の皮膚外用組成物は、通常pH2.0~9.0の液性を備えていればよいが、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH3.0~8.5、より好ましくはpH3.5~8.0である。
【0108】
[性状・製剤]
本発明の皮膚外用組成物の性状は、特に限定されず、液体状、流動状、又は半固形状とすることができる。また製剤形態としては、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等の製剤とすることができる。中でも、乳剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤が好適であり、クリーム剤、乳液、軟膏剤、ゲル剤が特に好適である。
【0109】
なお、本発明の皮膚外用組成物を充填する容器としては、公知の形状の容器を制限なく使用できる。容器の素材も特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなプラスチック製やガラス製等の素材の容器に充填して提供されることもできる。
【0110】
<皮膚外用組成物の製造方法>
本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類、上述したその他の成分を適宜選択して配合することにより製造することができる。本発明の皮膚外用組成物の製造方法は特に制限されず、(A)ヒアルロン酸発酵物、(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類、上述したその他の成分を適宜選択し、常法により溶媒中で混合することにより製造することができる。
【0111】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類を含有することで、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩の皮膚への浸透性を顕著に促進させると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感を優れたものとすることができる。本発明の皮膚外用組成物はヒアルロン酸類の皮膚浸透性に優れ、上記使用感も向上しているため、化粧品、医薬部外品や医薬品分野において好適に用いることができる。
【0112】
<皮膚浸透促進剤>
本発明は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類を含有することを特徴とする、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進剤も含む。本発明の皮膚浸透促進剤は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類を含有することで、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩(ヒアルロン酸類)の皮膚への浸透性を顕著に促進させることができると共に、肌のやわらかさ、潤い感等の使用感も優れたものとすることができる。なお、本発明の皮膚浸透促進剤は、(A)ヒアルロン酸発酵物、(B)ヒアルロン酸類以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、また本発明の効果を向上させる目的で、各種任意成分を含んでいてもよい。
【0113】
なお、本発明の皮膚浸透促進剤は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)ヒアルロン酸類が配合されたものであるということもできる。
【0114】
本発明の皮膚浸透促進剤は、上述の本発明の皮膚外用組成物の一実施形態であるため、具体的な説明は、皮膚外用組成物の項の記載をそのまま適用できる。
【0115】
本発明は、(A)ヒアルロン酸発酵物を含有する、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進剤も含む。(A)ヒアルロン酸発酵物を含有する皮膚浸透促進剤を、ヒアルロン酸類を含有する皮膚外用組成物に配合すると、ヒアルロン酸類の皮膚浸透性を顕著に促進する効果を奏する。
【0116】
<皮膚浸透促進方法>
本発明は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類を用いることを特徴とする、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進方法も含む。(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸類を、皮膚外用組成物に含有させる等したものを皮膚に適用することで、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩(ヒアルロン酸類)の皮膚への浸透性を顕著に促進させることができると共に、肌のやわらかさ、潤い感、等の使用感も優れたものとすることができる。
【0117】
本発明の皮膚浸透促進方法は、上述の本発明の皮膚外用組成物を使用することでヒアルロン酸類の皮膚への浸透を促進させる方法であるということもできる
【0118】
本発明は、(A)ヒアルロン酸発酵物を使用するヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩の皮膚浸透促進方法も含む。本発明の方法によると、(A)ヒアルロン酸発酵物を、ヒアルロン酸類を含有する皮膚外用組成物に配合することで、ヒアルロン酸類の皮膚浸透性を顕著に促進させることができる。
【実施例0119】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0120】
1.ヒアルロン酸の浸透性評価試験1
[皮膚外用組成物の調製]
下記の表1に記載の処方に従い、常法によって各組成物(試験液)を調製した。各表中の数値の単位は質量(%)である。表1の各試験液のヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリルは、フルオレセインアミン標識処理を行ったものである。
【0121】
【表1】
【0122】
[ヒアルロン酸の浸透性評価]
各試験液を3次元培養皮膚モデル(LabCyte EPI-MODEL12、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング製)の表面に塗布し、閉鎖条件にて30分間静置した後、皮膚モデルの表面をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、表面に残った試験液を除去した。皮膚モデルの組織をホルマリンで24時間固定し、蛍光顕微鏡を用いて組織片の画像を取得した。その結果を、図1-1~3-2に示す。
【0123】
図1-1~3-2に示すとおり、各試験液のヒアルロン酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリルはいずれも、ヒアルロン酸発酵物を配合することで、皮膚浸透性が顕著に向上することがわかった。
【0124】
2.ヒアルロン酸の浸透性評価試験2
[皮膚外用組成物の調製]
下記の表2記載の処方に従い、常法によって各組成物(試験液)を調製した。各表中の数値の単位は質量(%)である。
【0125】
【表2】
【0126】
[ヒアルロン酸の浸透性評価]
専門パネル6名が、各組成物の残存性を評価基準に従って評価した。評価結果を表2に示す。
【0127】
(残存性の評価)
各組成物1gを腕の10cmの領域に塗布した。1分間塗布を行い、塗布部表面の組成物の残存性を評価した。残存性を全く感じない場合を1点、残存性を強く感じる場合を7点とした。専門パネルの点数の平均を各組成物の残存性とした。
【0128】
表2に示すとおり、重量平均分子量120万のヒアルロン酸ナトリウム及びヒアルロン酸発酵物を含有する組成物は、重量平均分子量120万のヒアルロン酸ナトリウムを含有する組成物より残存性を低く感じた。このことから組成物中の重量平均分子量120万のヒアルロン酸ナトリウムは、ヒアルロン酸発酵物を配合することで皮膚浸透性が高まったと考えられる。
【0129】
3.ヒアルロン酸の浸透性評価試験3
[皮膚外用組成物の調製]
下記の表3記載の処方に従い、常法によって各組成物(試験液)を調製した。各表中の数値の単位は質量(%)である。
【0130】
【表3】
【0131】
[ヒアルロン酸の浸透性評価]
専門パネル3名が、各組成物の浸透感を評価基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
【0132】
(肌のやわらかさの評価)
各組成物2gを指で腕に塗布した。塗布後に、塗布部を指で押して、肌のやわらかさを評価した。塗布していない腕の部分と比較して、やわらかさを全く感じない場合を1点、やわらかさを最も感じる場合を7点とした。専門パネルの点数の平均を肌のやわらかさとした。塗布直後と、塗布後2分後に評価を行い、結果を表3に示した。
【0133】
(うるおい感の評価)
各組成物1gを腕の12cmの領域に塗布した。1分間塗布を行い、塗布部表面のうるおい感を評価した。うるおい感を全く感じない場合を1点、うるおい感を強く感じる場合を7点とした。専門パネルの点数の平均を各組成物のうるおい感とした。
【0134】
表3に示すとおり、重量平均分子量120万のヒアルロン酸ナトリウム、重量平均分子量1万の加水分解ヒアルロン酸ナトリウム、重量平均分子量1万の加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル及びヒアルロン酸発酵物を含有する組成物は、肌のやわらかさ及びうるおい感が促進された。このことから組成物中の重量平均分子量120万のヒアルロン酸ナトリウム、重量平均分子量1万の加水分解ヒアルロン酸ナトリウム、重量平均分子量1万の加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル及びヒアルロン酸発酵物は、皮膚浸透性が高まったと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
発明の皮膚外用組成物は、(A)ヒアルロン酸発酵物、及び(B)重量平均分子量120万以下のヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、又はそれらの塩を含有することで、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体及び/又はそれらの塩の皮膚への浸透性を顕著に促進させることができると共に、皮膚のやわらかさ、潤い感等の使用感を優れたものとすることができる。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】