(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159330
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20241031BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075262
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩介
(72)【発明者】
【氏名】道山 学
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA02
5H622CA02
5H622CA10
5H622CB01
5H622CB05
5H622DD04
5H622PP20
5H622QA03
(57)【要約】
【課題】スロットの位置に対してゲートの位置がずれてしまうことを回避する。
【解決手段】ロータ10は、複数のボンド磁石12と、ロータコア14とを有する。ロータコアは、複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット22を有するコアシート18が複数積層されて形成され、複数のコアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有する。複数のコアシートは、複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート26を有するコアシート18Aを含む。第1型36及び第2型38を有する金型34のうちの第1型は、ランナ46を有する。ランナは、ロータコアの周方向に沿って環状に形成され、第1型及び第2型が型締めされた状態において、各ゲートと連通し、各ゲートを通じて磁石用材料を各スロットに注入する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボンド磁石(12)と、
前記複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット(22)を有するコアシート(18)が複数積層されて形成され、複数の前記コアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコア(14)と、
を有するロータ(10)の製造方法において、
第1型(36)及び第2型(38)を有する金型(34)のうちの前記第2型に前記ロータコアをインサートするインサート工程と、
前記第1型及び前記第2型を型締めする型締め工程と、
前記ボンド磁石となる磁石用材料を前記複数のスロットに注入し、前記磁石用材料から前記ボンド磁石を成形する成形工程と、
を備え、
複数の前記コアシートは、前記複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート(26)を有するコアシート(18A)を含み、
前記第1型は、前記ロータコアの周方向に沿って環状に形成され、前記第1型及び前記第2型が型締めされた状態において、各前記ゲートと連通し、各前記ゲートを通じて前記磁石用材料を各前記スロットに注入するランナ(46)を有する、
ロータの製造方法。
【請求項2】
前記コアシートは、シャフトが挿入される挿入穴(20)と、前記挿入穴の内周面(20A)に形成された複数の凹部(24)とを有し、
前記第1型は、前記ロータコアの周方向に沿って環状に形成され、前記第1型及び前記第2型が型締めされた状態において、前記複数の凹部を封止する封止部(52)を有する、
請求項1に記載のロータの製造方法。
【請求項3】
前記ゲートは、前記スロットの中央部と連通している、
請求項1又は請求項2に記載のロータの製造方法。
【請求項4】
複数のボンド磁石(12)と、
前記複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット(22)を有するコアシート(18)が複数積層されて形成され、複数の前記コアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコア(14)と、
を有し、
複数の前記コアシートは、前記複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート(26)を有するコアシート(18A)を含む、
ロータ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、ロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、IPM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)モータに適用されるロータが開示されている。ロータは、複数のボンド磁石と、ロータコアとを備える。ロータコアは、複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロットを有するコアシートが複数積層されて形成される。
【0003】
このロータの製造方法は、第1型及び第2型を有する金型のうちの第2型にロータコアをインサートするインサート工程と、第1型及び第2型の型締めを行う型締め工程と、ボンド磁石となる磁石用材料を複数のスロットに注入し、磁石用材料からボンド磁石を成形する成形工程とを備える。
【0004】
第1型は、放射状に延びる複数のランナを有しており、各ランナの先端には、開口が形成されている。そして、成形工程では、各スロットに対してランナから開口を通じて磁石用材料が注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロータコアとして、複数のコアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコアがある。ここで、複数のコアシートの厚みにばらつきがある場合には、ロータコアの軸長を所望の長さにするために、コアシートの枚数が調節される。
【0007】
しかしながら、スキュー構造を有するロータコアにおいて、コアシートの枚数が調節されると、ロータコアの端部に位置するコアシートの周方向の位置がコアシートの枚数によって変わる。このため、ランナにゲートが形成されていると、スロットの位置に対してゲートの位置がずれてしまう場合がある。この場合、磁石用材料から形成されるボンド磁石の品質に影響する虞がある。したがって、スキュー構造を有するロータコアにおいて、コアシートの枚数が調節される場合でも、スロットの位置に対してゲートの位置がずれてしまうことを回避できることが望まれる。
【0008】
本開示の技術は、上記課題に鑑みてなされたものであって、スキュー構造を有するロータコアにおいて、コアシートの枚数が調節されることにより、ロータコアの端部に位置するコアシートの周方向の位置がコアシートの枚数によって変わる場合でも、スロットの位置に対してゲートの位置がずれてしまうことを回避することができるロータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の技術の第1態様に係るロータの製造方法は、複数のボンド磁石(12)と、前記複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット(22)を有するコアシート(18)が複数積層されて形成され、複数の前記コアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコア(14)と、を有するロータ(10)の製造方法において、第1型(36)及び第2型(38)を有する金型(34)のうちの前記第2型に前記ロータコアをインサートするインサート工程と、前記第1型及び前記第2型を型締めする型締め工程と、前記ボンド磁石となる磁石用材料を前記複数のスロットに注入し、前記磁石用材料から前記ボンド磁石を成形する成形工程と、を備え、複数の前記コアシートは、前記複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート(26)を有するコアシート(18A)を含み、前記第1型は、前記ロータコアの周方向に沿って環状に形成され、前記第1型及び前記第2型が型締めされた状態において、各前記ゲートと連通し、各前記ゲートを通じて前記磁石用材料を各前記スロットに注入するランナ(46)を有する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本開示の技術の第2態様に係るロータは、複数のボンド磁石(12)と、前記複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット(22)を有するコアシート(18)が複数積層されて形成され、複数の前記コアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコア(14)と、を有し、複数の前記コアシートは、前記複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート(26)を有するコアシート(18A)を含む。
【0011】
本開示の技術に係るロータの製造方法によれば、スキュー構造を有するロータコアにおいて、コアシートの枚数が調節されることにより、ロータコアの端部に位置するコアシートの周方向の位置がコアシートの枚数によって変わる場合でも、スロットの位置に対してゲートの位置がずれてしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の技術の一実施形態に係るロータの斜視図である。
【
図2】本開示の技術の一実施形態に係るコアシートの斜視図である。
【
図3】本開示の技術の一実施形態に係る別のコアシートの斜視図である。
【
図4】本開示の技術の一実施形態に係るロータコアの斜視図である。
【
図5】本開示の技術の一実施形態に係るロータコアの拡大斜視図である。
【
図6】本開示の技術の一実施形態に係る金型を模式的に示す縦断面である。
【
図7】本開示の技術の一実施形態に係るロータコアとランナとの位置関係を示す斜視図である。
【
図8】本開示の技術の一実施形態に係る第1封止部によって複数の凹部のうちの一の凹部が封止されている態様を模式的に示す縦断面図である。
【
図9】本開示の技術の一実施形態に係るロータの製造方法の前半工程を模式的に説明する説明図である。
【
図10】本開示の技術の一実施形態に係るロータの製造方法の後半工程を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の技術の一実施形態について説明する。
【0014】
はじめに、本実施形態に係るロータ10について説明する。
【0015】
図1に示す本実施形態に係るロータ10は、IPMモータに適用されるロータである。ロータ10は、複数のボンド磁石12と、ロータコア14と、シャフト16とを有する。ロータコア14は、複数のコアシート18を有する。各コアシート18は、円板状に形成されている。ロータコア14は、複数のコアシート18が積層されて形成されている。コアシート18は、例えば、電磁鋼板によって形成される。
【0016】
各コアシート18の中央部には、挿入穴20が形成されている。挿入穴20は、コアシート18の板厚方向に貫通している。コアシート18の板厚方向は、ロータコア14の軸方向と同じ方向である。各コアシート18の挿入穴20には、シャフト16が圧入されている。
【0017】
各コアシート18における挿入穴20よりも径方向外側には、複数のスロット22が形成されている。複数のスロット22は、挿入穴20の周囲に形成されている。複数のスロット22は、コアシート18の周方向に並んで形成されている。各スロット22は、コアシート18の板厚方向に貫通している。各スロット22は、コアシート18の板厚方向視でU字形状に形成されている。スロット22は、U字形状の下部が挿入穴20側に位置し、U字形状の上部がコアシート18の外周側に位置する向きで形成されている。各スロット22には、ボンド磁石12が収容されている。なお、スロット22の形状は、例えばI字形状などU字形状以外の形状でもよい。
【0018】
ロータコア14を形成する複数のコアシート18は、
図2に示すコアシート18Aと、
図3に示すコアシート18Bの2種類のコアシートを含んでいる。コアシート18A及びコアシート18Bは、いずれも複数の凹部24を有する。複数の凹部24は、挿入穴20の内周面20Aに形成されている。つまり、複数の凹部24は、それぞれ内周面20Aに開口する凹状に形成されている。複数の凹部24は、コアシート18の周方向に並んで形成されている。各凹部24は、コアシート18の板厚方向に貫通している。複数の凹部24は、挿入穴20にシャフト16が圧入される際に内周面20Aの変形を補助する役割を果たす部分である。
【0019】
図2に示すように、コアシート18Aは、複数のゲート26を有する。各ゲート26は、各スロット22に対して一つずつ形成されている。各ゲート26は、各スロット22と連通している。具体的には、各ゲート26は、各スロット22の中央部(すなわち、各スロット22のU字形状の下部)から挿入穴20に向けて延びる溝状に形成されている。各ゲート26は、コアシート18の板厚方向に貫通している。一方、
図3に示すコアシート18Bは、ゲート26を有しない構成となっている。
【0020】
図4及び
図5に示すように、複数のコアシート18のうち軸方向一端側に位置する幾つかのコアシート18には、コアシート18Aが用いられており、残余のコアシート18には、コアシート18Bが用いられている。ロータコア14は、複数のコアシート18が積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有している。
【0021】
スキュー構造を有するロータコア14において、複数のコアシート18に形成された各スロット22は、スキューされた状態でロータコア14の軸方向に連なっている。同様に、複数のコアシート18に形成された各凹部24は、スキューされた状態でロータコア14の軸方向に連なっており、複数のコアシート18Aに形成された各ゲート26は、スキューされた状態で複数のコアシート18Aの範囲でロータコア14の軸方向に連なっている。
【0022】
次に、本実施形態に係るロータ10の製造方法に用いられる成形装置30について説明する。
【0023】
図6に示すように、本実施形態に係るロータ10の製造方法には、成形装置30が用いられる。成形装置30は、射出設備32と、金型34とを備える。金型34は、第1型36と、第2型38とを有する。一例として、第1型36は、上型であり、第2型38は、下型である。境界40は、第1型36と第2型38との間の境界を示している。第2型38は、ロータコア14がインサートされるキャビティ42を有する。キャビティ42は、ロータコア14の外形と同様の空間によって形成されている。また、第2型38は、配向磁場体44を有する。配向磁場体44は、配向用の磁石を有する。配向磁場体44は、キャビティ42の周囲に配置されている。
【0024】
第1型36は、ランナ46と、スプル48と有する。ランナ46及びスプル48は、第1型36の型本体とは別体に構成されている。ランナ46は、ロータコア14の周方向に沿って環状に形成されている。ランナ46は、ロータコア14の周方向に沿って環状に形成された環状流路46Aを有する。
【0025】
スプル48は、ランナ46の周方向の一部と接続されている。スプル48には、射出設備32が接続される。スプル48は、ランナ46に形成された環状流路46Aと射出設備32に形成された射出口とを連通する連通流路48Aを有する。
【0026】
第1型36は、第1封止部52と、第2封止部54と有する。第1封止部52は、第1型36における第2型38側の面のうちのランナ46よりも内側の領域によって形成されている。第1封止部52は、複数の凹部24と対応する位置に形成されている。第1封止部52は、ロータコア14の周方向に沿って環状に形成されている。第1封止部52は、第1型36及び第2型38が型締めされた状態において、複数の凹部24を封止する。第1封止部52は、本開示の技術における「封止部」の一例である。
【0027】
第2封止部54は、第1型36における第2型38側の面のうちの第1封止部52よりも内側の領域によって形成されている。第2封止部54は、挿入穴20と対応する位置に形成されている。第2封止部54は、円形に形成されている。第2封止部54は、第1型36及び第2型38が型締めされた状態において、挿入穴20を封止する。
【0028】
図7には、ロータコア14とランナ46との位置関係を示す。
図6及び
図7に示すように、ランナ46は、第1型36及び第2型38が型締めされた状態において、各ゲート26と連通する。射出設備32は、ボンド磁石12となる磁石用材料を射出する。磁石用材料は、バインダ樹脂に磁石粉末を混ぜ合わせた材料である。バインダ樹脂は、例えば熱可塑性樹脂によって形成され、磁石粉末は、例えば希土類異方性磁石粉末によって形成される。射出設備32から射出された磁石用材料は、スプル48、ランナ46、及びゲート26を通じて各スロット22に注入される。
【0029】
ランナ46には、複数の凸部50が形成されている。複数の凸部50は、ランナ46の周方向に間隔を空けて形成されている。複数の凸部50は、第2型38とは反対側に突出している。凸部50は、ランナ46及びスプル48によって複数のボンド磁石12と一体に成形された成形物を、治具を用いて複数のボンド磁石12から切り離す際に使用される。具体的には、治具は、複数の凸部50を含むランナ46の全体を覆う形状とされ、複数の凸部50と係合される。そして、治具をロータコア14の軸周りに回転させることにより、成形物が複数のボンド磁石12から切り離される。
【0030】
図8には、第1封止部52によって複数の凹部24のうちの一の凹部24が封止されている態様を模式的に示す。金型34は、複数のコアシート18に形成された凹部24に挿入される入れ子56を有する。ロータコア14がスキュー構造を有することにより、ロータコア14の端部に位置するコアシート18Aに形成された凹部24の側面と入れ子56との間には隙間58が生じるが、隙間58を含む凹部24の全体は、第1封止部52によって封止される。
【0031】
次に、本実施形態に係るロータ10の製造方法について説明する。
【0032】
図9及び
図10に示すように、本実施形態に係るロータ10の製造方法は、準備工程Aと、インサート工程Bと、型締め工程Cと、成形工程Dと、型開き工程Eと、取り出し工程Fとを備える。
【0033】
準備工程Aでは、第1型36及び第2型38が型開きした状態とされる。インサート工程Bでは、第2型38にロータコア14がインサートされる。型締め工程Cでは、第1型36及び第2型38が型締めされる。第1型36及び第2型38が型締めされた状態では、複数の凹部24が第1封止部52によって封止され、挿入穴20が第2封止部54によって封止される(
図6参照)。
【0034】
成形工程Dでは、ボンド磁石12となる磁石用材料が射出設備32から射出される。射出設備32から射出された磁石用材料は、スプル48、ランナ46、及びゲート26を通じて各スロット22に注入される。各スロット22に注入された磁石用材料に含まれる磁石粉末は、配向磁場体44によって配向される。磁石用材料に含まれるバインダ樹脂が固化することにより、磁石用材料からボンド磁石12が成形される。そして、ボンド磁石12及びロータコア14が一体化される。
【0035】
型開き工程Eでは、第1型36及び第2型38が型開きされる。取り出し工程Fでは、第2型38からロータコア14、ランナ46、及びスプル48が取り出される。第2型38から取り出されたランナ46及びスプル48は、脱磁される。また、ランナ46及びスプル48によって複数のボンド磁石12と一体に成形された成形物は、治具を用いて複数のボンド磁石12から切り離される。そして、図示を省略するが、挿入穴20にシャフト16(
図1参照)が圧入される。以上の各工程を経て、
図1に示すロータ10が得られる。
【0036】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0037】
本実施形態において、複数のコアシート18のうちのコアシート18Aは、複数のスロット22とそれぞれ連通する複数のゲート26を有する(
図2及び
図5参照)。つまり、ゲート26がランナ46ではなく、コアシート18に形成されている。したがって、スキュー構造を有するロータコア14において、コアシート18の枚数が調節されることにより、ロータコア14の端部に位置するコアシート18Aの周方向の位置がコアシート18の枚数によって変わる場合でも、スロット22の位置に対してゲート26の位置がずれてしまうことを回避することができる。
【0038】
また、ゲート26は、スロット22の中央部と連通している。したがって、例えば、ゲート26がスロット22の中央部からずれた位置と連通している場合に比して、ボンド磁石12の成形性を向上させることができる。
【0039】
また、ランナ46は、ロータコア14の周方向に沿って環状に形成されており、第1型36及び第2型38が型締めされた状態において、各ゲート26と連通する(
図6参照)。したがって、ロータコア14の端部に位置するコアシート18Aの周方向の位置(ひいては、コアシート18Aの各ゲート26の位置)がコアシート18の枚数によって変わる場合でも、ランナ46と各ゲート26とが連通した状態を維持することができる。
【0040】
また、コアシート18は、シャフト16が挿入される挿入穴20と、挿入穴20の内周面20Aに形成された複数の凹部24とを有し、第1型36は、第1型36及び第2型38が型締めされた状態において、複数の凹部24を封止する第1封止部52を有する(
図6参照)。ここで、第1封止部52は、ロータコア14の周方向に沿って環状に形成されている。したがって、ロータコア14の端部に位置するコアシート18Aの周方向の位置(ひいては、コアシート18Aの各凹部24の位置)がコアシート18の枚数によって変わる場合でも、第1封止部52によって各凹部24を封止した状態を維持することができる。
【0041】
特に、ロータコア14がスキュー構造を有することにより、ロータコア14の端部に位置するコアシート18Aに形成された凹部24の側面と入れ子56との間に隙間58(
図8参照)が生じても、隙間58を含む凹部24の全体を第1封止部52によって封止した状態に維持することができる。
【0042】
なお、挿入穴20の内周面20Aに形成された複数の凹部24を第1封止部52によって封止する構成は、スキュー構造を有しないロータコアに対して適用されてもよい。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0044】
以下、本実施形態の特徴を示す。
(付記1)
複数のボンド磁石(12)と、
前記複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット(22)を有するコアシート(18)が複数積層されて形成され、複数の前記コアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコア(14)と、
を有するロータ(10)の製造方法において、
第1型(36)及び第2型(38)を有する金型(34)のうちの前記第2型に前記ロータコアをインサートするインサート工程と、
前記第1型及び前記第2型を型締めする型締め工程と、
前記ボンド磁石となる磁石用材料を前記複数のスロットに注入し、前記磁石用材料から前記ボンド磁石を成形する成形工程と、
を備え、
複数の前記コアシートは、前記複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート(26)を有するコアシート(18A)を含み、
前記第1型は、前記ロータコアの周方向に沿って環状に形成され、前記第1型及び前記第2型が型締めされた状態において、各前記ゲートと連通し、各前記ゲートを通じて前記磁石用材料を各前記スロットに注入するランナ(46)を有する、
ロータの製造方法。
(付記2)
前記コアシートは、シャフトが挿入される挿入穴(20)と、前記挿入穴の内周面(20A)に形成された複数の凹部(24)とを有し、
前記第1型は、前記ロータコアの周方向に沿って環状に形成され、前記第1型及び前記第2型が型締めされた状態において、前記複数の凹部を封止する封止部(52)を有する、
付記1に記載のロータの製造方法。
(付記3)
前記ゲートは、前記スロットの中央部と連通している、
付記1又は付記2に記載のロータの製造方法。
(付記4)
複数のボンド磁石(12)と、
前記複数のボンド磁石をそれぞれ収容する複数のスロット(22)を有するコアシート(18)が複数積層されて形成され、複数の前記コアシートが積層位置に応じて周方向へずれたスキュー構造を有するロータコア(14)と、
を有し、
複数の前記コアシートは、前記複数のスロットとそれぞれ連通する複数のゲート(26)を有するコアシート(18A)を含む、
ロータ(10)。
【符号の説明】
【0045】
10…ロータ、12…ボンド磁石、14…ロータコア、16…シャフト、18…コアシート、20…挿入穴、20A…内周面、22…スロット、24…凹部、26…ゲート、30…成形装置、32…射出設備、34…金型、36…第1型、38…第2型、40…境界、42…キャビティ、44…配向磁場体、46…ランナ、46A…環状流路、48…スプル、48A…連通流路、50…凸部、52…第1封止部、54…第2封止部、56…入れ子、58…隙間