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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159331
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】Piezo遺伝子発現量亢進剤
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20241031BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20241031BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20241031BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C12Q1/68
A61K8/9789
A61K8/98
A61Q19/08
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075263
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】横田 真理子
【テーマコード(参考)】
4B063
4C083
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS24
4B063QS31
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA111
4C083AA112
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】
新規な加齢に伴う顔の変化を改善する成分をスクリーニングする方法を提供する。
また、新規なPiezoの発現量を亢進する剤を提供すること、及び新規な加齢による顔の変化を改善する剤を提供することも課題とする。
【解決手段】
細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善する成分を選出することを含む、スクリーニング方法。
ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、Piezo遺伝子の発現量亢進のために用いられる剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善する成分を選出することを含む、スクリーニング方法。
【請求項2】
加齢に伴う顔の前記変化が、加齢に伴う顔の腱、又は腱に支持されている構造の劣化に起因するものである、請求項1に記載のスクリーニング方法。
【請求項3】
加齢に伴う顔の前記変化が、顔のたるみ、顔のシワ、顔表面の凹凸、皮膚の弾力性の低下からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上である、請求項1に記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴うPiezo遺伝子の発現量低下を改善するために用いられる成分を選出することを含む、スクリーニング方法。
【請求項5】
細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善する成分を選出することを含む、スクリーニング方法。
【請求項6】
腱細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標とすることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のスクリーニング方法。
【請求項7】
ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、Piezo遺伝子の発現量亢進のために用いられる剤。
【請求項8】
腱細胞におけるPiezo遺伝子の発現量亢進のために用いられる、請求項7に記載の剤。
【請求項9】
加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善するために用いられる、請求項7に記載の剤。
【請求項10】
ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善するために用いられる剤。
【請求項11】
加齢に伴う顔の前記変化が、加齢に伴う顔の腱、又は腱に支持されている構造の劣化に起因するものである、請求項9又は10に記載の剤。
【請求項12】
加齢に伴う顔の前記変化が、加齢に伴う顔のたるみ、顔のシワ、顔表面の凹凸、皮膚の弾力性の低下からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上である、請求項9又は10に記載の剤。
【請求項13】
加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善するために用いられる、請求項7に記載の剤。
【請求項14】
ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善するために用いられる剤。
【請求項15】
前記刺激が、力学的に加えられるもの又は電気的に加えられるものである、請求項13又は14に記載の剤。
【請求項16】
刺激とともに対象者へ投与して用いられる、請求項13又は14に記載の剤。
【請求項17】
加齢に伴う腱細胞への刺激により惹起される顔の構造変化及び/又は力学的機能の変化の改善効果の低下を抑制するために用いられる、請求項13又は14に記載の剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Piezo遺伝子の発現量亢進剤、及び関連する加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善する成分のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Piezoタンパク質は、細胞膜上に存在し、触覚や聴覚、平衡感覚などを感知するセンサーとして機能するチャネルタンパク質である。Piezo遺伝子には、Piezo1とPiezo2の二つの遺伝子が存在する。
ここで従来、Mohawk(Mkx)という転写因子が皮下組織中の腱細胞の機能に関与していることが知られていた(非特許文献1参照)。
さらに、腱特異的にPiezoの発現量を亢進すると、Mkxが増加することが知られており、Piezoの発現によって腱の機能が維持されていることが知られていた(非特許文献2参照)。
【0003】
ところで、加齢で顕著となる皮膚のたるみやシワは、顔の皮下組織の構造の変化がその原因の一つと考えられている。
【0004】
皮膚のたるみやシワを改善する技術として、皮下組織に存在する皮膚支帯(Retinacula cutis)と呼ばれる網目状の線維構造を改善する技術が知られている。
特許文献1には、細胞における皮膚支帯成分であるタンパク質の発現量を増加させる作用を有する、皮膚支帯改善剤が記載されている。
【0005】
また、加齢によって減少する皮下組織構成成分を発現する細胞を指標として、たるみを改善する成分をスクリーニングする方法が知られている。
特許文献2には、皮膚支帯構成成分の発現量を指標として、皮下組織構造の改善成分の候補物質をスクリーニングする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7190248号
【特許文献2】特許第6993076号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Mol Cell Biol. 2016 Mar 31;36(8):1297-309.
【非特許文献2】Nakamichi et al., Sci. Transl. Med. 14, eabj5557 (2022) 1 June 2022.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、加齢による顔の変化を改善する技術が種々開発されている。
しかし、加齢による顔の変化とPiezo遺伝子の発現量との関係に注目した技術は存在しなかった。
さらに上述の通り、Piezo遺伝子と皮下組織中の腱構造の関係は知られていた。しかし、Piezo遺伝子の発現量を亢進することで、加齢によって劣化した腱構造を若齢状態に近づけ、顔の変化を改善するという技術は存在しなかった。
上記状況に鑑みて、本発明は、新規な加齢に伴う顔の変化を改善する成分をスクリーニングする方法を提供する。
また、本発明は、新規なPiezo遺伝子の発現量を亢進する剤を提供することを課題とする。
また、新規な加齢による顔の変化を改善する剤を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
Piezo遺伝子の発現量亢進により、Mkxの発現量が亢進する。さらに、Mkxの発現量が亢進すると、腱構造が改善する。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、Piezo遺伝子の発現量が加齢に伴い減少することを初めて見出した。この発見により、Piezo遺伝子の加齢に伴う発現量の減少が、加齢に伴う腱構造の劣化、ひいては顔の構造変化や力学的機能の変化の要因であることを見出した。かかる知見によって、Piezo遺伝子の発現量を亢進させる作用を有する成分は、加齢に伴う顔の構造変化や力学的機能の変化を改善できることが明らかとなった。
【0010】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善する成分を選出することを含む、スクリーニング方法である。
【0011】
本発明の好ましい形態は、前記加齢に伴う顔の前記変化が、加齢に伴う顔の腱、又は腱に支持されている構造の劣化に起因するものである。
【0012】
本発明の好ましい形態は、加齢に伴う顔の前記変化が、顔のたるみ、顔のシワ、顔表面の凹凸、皮膚の弾力性の低下からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上である。
【0013】
さらに、Piezo遺伝子の発現量が、加齢に伴い減少するという上述の発見に基づき、本発明者は以下の発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴うPiezo遺伝子の発現量低下を改善するために用いられる成分を選出することを含む、スクリーニング方法にも関する。
【0014】
また、腱細胞は刺激に応答して、Piezo遺伝子の発現量を亢進させることが知られている。本発明者らは鋭意研究の結果、加齢に伴い、腱細胞の刺激応答による、Piezo遺伝子の発現量が低下することを見出した。かかる知見に基づき、本発明者は以下の発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標として、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善する成分を選出することを含む、スクリーニング方法にも関する。
【0015】
本発明の好ましい形態は、腱細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標とすることを特徴とする、上記に記載のスクリーニング方法である。
【0016】
さらに、本発明者らは、鋭意研究の結果、Piezo遺伝子の発現量を亢進させるのに有効な抽出物を発見し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、Piezo遺伝子の発現量亢進のために用いられる剤にも関する。
【0017】
本発明の好ましい形態は、腱細胞におけるPiezo遺伝子の発現量亢進のために用いられる。
【0018】
本発明の好ましい形態は、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善するために用いられる。
【0019】
Piezo遺伝子の発現量の亢進によって加齢に伴う顔の変化を改善できるという新たな発見に基づき、以下の本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)、ソウハクヒ、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善するために用いられる剤にも関する。
【0020】
本発明の好ましい形態は、加齢に伴う顔の前記変化が、加齢に伴う顔の腱、又は腱に支持されている構造の劣化に起因するものである。
【0021】
本発明の好ましい形態は、加齢に伴う顔の前記変化が、加齢に伴う顔のたるみ、顔のシワ、顔表面の凹凸、皮膚の弾力性の低下からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上である。
【0022】
本発明の好ましい形態は、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善するために用いられる。
【0023】
さらに、Piezo遺伝子の発現量を亢進させることで、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善できるという新たな発見に基づき、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善するために用いられる剤にも関する。
【0024】
本発明の好ましい形態は、前記刺激が、機械的に又は電気的に加えられるものである。
【0025】
本発明の好ましい形態は、刺激とともに対象者へ投与して用いられる。
【0026】
本発明の好ましい形態は、加齢に伴う腱細胞への刺激により惹起される顔の構造変化及び/又は力学的機能の変化の改善効果の低下を抑制するために用いられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、Piezo遺伝子の発現量亢進により、加齢に伴う顔の構造変化や機能的変化を改善するという新たな作用機序に基づく、皮下組織構造の改善に有効な成分を探索することができる。さらに、本発明によれば加齢による顔の構造変化や機能的変化の改善に有効な成分を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明を、<1>Piezo遺伝子の発現量を指標とした、スクリーニング方法、及び<2>Piezo遺伝子の発現量亢進に関連する剤に項分けし、詳細に説明する。
【0029】
<1>Piezo遺伝子の発現量を指標とした、スクリーニング方法
以下、本発明にかかるスクリーニング方法について詳細に説明する。
ここで、スクリーニングとは、対象となる改善成分、又はその候補を探索することを含む。
【0030】
Piezo遺伝子は、Piezo1とPiezo2の二つの遺伝子が存在する。
本発明のスクリーニング方法は、好ましくは細胞におけるPiezo1遺伝子の発現量を指標として用いる。より好ましくは腱細胞におけるPiezo1遺伝子の発現量を指標として用いる。
【0031】
本発明のスクリーニング方法は、細胞の培養系に被験物質を添加し、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を測定することを含む。具体的には、被験物質を添加して培養した細胞におけるPiezo遺伝子の発現量が、被験物質を添加せずに培養した細胞におけるPiezo遺伝子の発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質を改善成分の候補として判定することが可能である。
より好ましくは、被験物質を添加せずに培養した細胞におけるPiezo遺伝子の発現量の1.5倍より大きい場合、さらに好ましくは2倍より大きい場合、本発明の改善成分の候補として選択する。このような形態とすることによって、より効果の高い改善成分をスクリーニングすることができる。
【0032】
Piezo遺伝子の発現量は、ELISA法、ウエスタンブロッティング法、及び免疫染色法などの、免疫化学的解析や、mRNA測定等の常法により測定することができる。
例えば、Piezoタンパク質の発現をコードする遺伝子の発現量は、当該遺伝子の配列に特異的に結合する配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行い、mRNAの定量的な検出を行う。なお、前記Piezoタンパク質の発現をコードする遺伝子配列は、公開されているので、当業者は適宜プライマーを設計することが可能である。また、適宜、市販のプライマーを購入してもよい。
【0033】
本発明のスクリーニング方法の実施の際、使用する細胞は、特に限定されない。好ましくは腱細胞を使用する。
前記細胞を培養するための培地は、当業者であれば一般に用いられるものを使用することができる。さらに、前記細胞を培養するための培養条件は、使用する細胞等に応じて適宜設定することが可能である。
【0034】
本発明のスクリーニング方法が被験対象とする物質は、純物質、生物由来の抽出物、又はそれらの混合物等のいずれであってもよい。生物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
【0035】
上述のとおり、Piezo遺伝子の発現量は加齢に伴い減少する。Piezo遺伝子の発現量を亢進させる作用を有する成分であれば、この加齢に伴うPiezo遺伝子の発現量の低下を抑制することができる。
すなわち、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標とすることで、加齢に伴うPiezo遺伝子の発現量低下を改善するために用いられる成分のスクリーニングが可能である。本スクリーニング方法によれば、加齢に伴い減少する、Piezo遺伝子の発現量を、若齢状態に近づける成分をスクリーニングすることができる。
【0036】
また、上述のとおり、Piezo遺伝子の加齢に伴う発現量の減少は、加齢に伴う腱構造の劣化、ひいては顔の構造変化や力学的機能の変化の要因である。かかる知見に基づけば、Piezo遺伝子の発現量を亢進させる作用を有する成分は、加齢に伴う顔の構造変化や力学的機能の変化を改善できる。
すなわち、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標とすることで、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善する成分のスクリーニングを行うことができる。
【0037】
ここで、「加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化」は、好ましくは、加齢に伴う腱、又は腱に支持されている構造の劣化に起因する変化である。
【0038】
腱に支持されている構造の例として、皮下組織中の腱周辺の構造が挙げられる。
例として、腱周辺の筋膜、腱周辺の隔膜、腱周辺の皮膚支帯(Retinacula cutis)、及び腱周辺の靱帯等が挙げられる。
例えば、腱周辺の筋膜として、Playsma auricular fasciaが挙げられる。
腱周辺の隔膜として、superior temporal septum、inferior temporal septum、又はmandibular septum等が挙げられる。
また、靱帯の例として、皮膚靭帯(Retinacula ligament)や、支持靭帯(Retaining ligament)が挙げられる。
さらに、皮膚靭帯の例として頬部皮膚靭帯や咬筋皮膚靭帯が挙げられる。支持靭帯の例として、眼窩靭帯、眼窩頬部靭帯、上顎靭帯、及び下顎靭帯などが挙げられる。
中でも、本発明は、皮膚支帯や皮膚靭帯の劣化に起因する、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化を改善する成分のスクリーニングに特に有効である。
【0039】
「加齢に伴う顔の構造の変化」として具体的には、顔のたるみ、顔のシワ、顔表面の凹凸が挙げられる。
ここで、「顔のシワ」のうち、本発明に係る改善の対象として特に好適なものは、顔の腱又は腱に支持されている構造の劣化に起因するシワである。具体的には、ゴルゴラインやほうれい線、マリオネットラインなどが挙げられる。
また、「顔表面の凹凸」のうち、本発明に係る改善の対象として特に好適なものは、顔の腱又は腱に支持されている構造の劣化に起因する、顔の肌表面の凹凸である。
【0040】
「加齢に伴う顔の力学的機能の変化」としては、皮膚の弾力性の低下が挙げられる。
【0041】
また、上述のとおり、腱細胞の刺激応答により惹起されるPiezo遺伝子の発現亢進の程度は、加齢に伴い低下する。Piezo遺伝子の発現量を亢進させる作用を有する成分であれば、この加齢に伴う腱細胞の刺激応答の低下を抑制することができる。
すなわち、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標とすることで、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善する成分のスクリーニングを行うことができる。
【0042】
上述のとおり、Piezo遺伝子の発現量の亢進は、Mkxの増加を誘起し、腱の強化をもたらす。すなわち、腱細胞に刺激を加えることによるPiezo遺伝子の発現量の亢進は、Mkxの増加を介して腱強化、ひいては顔の構造変化や力学的機能の変化の改善につながる。ここで、腱細胞の刺激応答により惹起されるPiezo遺伝子の発現亢進の程度は、加齢に伴い低下することに照らすと、腱細胞への刺激によりもたらされる顔の構造変化や力学的機能の変化を改善効果は、加齢に伴い低下するといえる。
以上に照らし、細胞におけるPiezo遺伝子の発現量を指標とすることで、腱細胞への刺激により惹起される顔の構造変化及び/又は力学的機能の変化の改善効果の、加齢に伴う低下を抑制する成分をスクリーニングすることができる。
【0043】
<2>Piezo遺伝子の発現量亢進に関連する剤
本発明は、フウロソウ科(Geraniaceae)フウロソウ属(Geranium)ヒメフウロ(Geranium robertianum L.)の抽出物、バラ科(Rosaceae)ワレモコウ属(Sanguisorba)ワレモコウ(Sanguisorba officinalis)の抽出物、ソウハクヒの抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる、1つ又は2つ以上の成分を有効成分として含む。
【0044】
実施例で後述するように、上記各成分は単独で上記Piezo遺伝子の発現を増大させる効果を有する。そのため、本発明の剤は、各成分を単独で含む形態であってもよいし、また、2以上を組み合わせて含む形態であってもよい。
【0045】
ソウハクヒ抽出物、ワレモコウ抽出物、ローヤルゼリーの何れか1つ又は2つ以上を有効成分として含む形態が好ましい。かかる形態の剤はPiezo遺伝子の発現亢進効果に優れる。
【0046】
2以上の成分を組み合わせる場合、その組み合わせ方は特に限定されないが、ヒメフウロ抽出物とソウハクヒ抽出物の組み合わせ、並びに、ワレモコウ抽出物とローヤルゼリーの組み合わせが好適に例示できる。
【0047】
2成分を組み合わせる場合、その含有比率(乾燥質量比)は特に限定されないが、好ましくは2:1~1:2、特に好ましくは1.5:1~1:1.5である。
【0048】
ヒメフウロ、ソウハクヒ及びワレモコウの抽出物は、一次的な抽出物のみならず、これらの抽出物の画分、精製した画分、抽出物乃至は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとする。
【0049】
ヒメフウロ、ワレモコウの抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
上記抽出物を抽出する場合、その抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。
さらに、上記抽出物を抽出する場合、その抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花穂、花蕾等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。
【0050】
ソウハクヒ抽出物は、ソウハクヒを原料として、当業者には周知の方法を用いて調製してもよい、また市販品を使用してもよい。
ソウハクヒ抽出物を抽出するためのソウハクヒは、通常市販されている漢方原料を用いてもよい。
また、ソウハクヒは、好ましくはクワ科(Moraceae)の植物の根皮である。より好ましくは、マグワ(Morus alba Linn&eacute;)の根皮、又は、ヤマグワ(Morus bombycis Koidzumi)の根皮であることが好ましい。
また、ソウハクヒは前記根皮を基原とし、その根皮の一部又は全部を乾燥し製造してもよい。
【0051】
ヒメフウロ、ソウハクヒ及びワレモコウの抽出物の作製に用いる抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される1種乃至は2種以上が好適なものとして例示することができる。
【0052】
上記抽出物の具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられるが、抽出方法はこれに限定されない。
【0053】
ローヤルゼリーは通常市販されている、ミツバチの分泌物及び/又はその精製物の抽出物を用いてもよい。
また、ローヤルゼリーの抽出物である、ローヤルゼリー抽出物を用いてもよい。前記抽出物は、市販の物を用いてもよい。また、当業者には周知の方法を用いて、原料となるローヤルゼリーから抽出してもよい。
例えば、セイヨウミツバチ(Apis mellifera Linnaeus)又はトウヨウミツバチ(Apis cerana Fabricius)の頭部等にある分泌腺から分泌される物質から、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、又はこれらの混液によって抽出して、入手してもよい。
【0054】
本発明の剤は、製剤化に用いられる任意の成分と適宜組み合わせて、外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。
外用剤としては、例えば、化粧料、医薬部外品、皮膚外用医薬等の形態が挙げられる。また、それらの剤形は特に制限されない。Piezo遺伝子の発現を促進させるという用途との関係から、継続的に使用可能な化粧料の形態が好ましい。例として、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ジェル、サンケア品等の形態が挙げられる。
【0055】
外用剤における各抽出物の含有量(乾燥質量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である。
また、複合抽出物を含む外用剤である場合、複合抽出物の合計含有量(乾燥質量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。
【0056】
また、経口剤とする場合は、本発明の剤を含む食品用組成物の形態とすることが好ましい。より具体的には、一般食品、錠剤、顆粒剤、ドリンク剤等の剤形を有するサプリメントの形態とすることが好ましい。
【0057】
経口剤の場合は、剤形に応じて、1回あたりの摂取量が各抽出物の乾燥質量として、通常、0.1mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは10mg以上であり、通常2000mg以下、好ましくは1000mg以下、より好ましくは500mg以下である。
また、複合抽出物を含む経口剤である場合も、剤形に応じて、1回あたりの合計摂取量が複合抽出物の乾燥質量として、通常、0.1mg以上、好ましくは1mg以上、より好ましくは10mg以上であり、通常2000mg以下、好ましくは1000mg以下、より好ましくは500mg以下である。
【0058】
本発明の剤を、化粧料の形態とする場合、通常化粧料に使用される成分を広く配合することが可能であり、また、その剤形や用途についても、何ら限定されない。
【0059】
上述の成分を有効成分とする本発明の剤は、Piezo遺伝子の発現量亢進の用途に使用することができる。本発明によれば、加齢に伴い減少する、Piezo遺伝子の発現量を亢進し、若齢状態に近づけることができる。本発明の剤は、好ましくは腱細胞におけるPiezo遺伝子の発現亢進のために用いられる。
【0060】
上述の通り、Piezo遺伝子の発現量亢進により、Mkxの発現量が亢進する。Mkxの発現量が亢進すると、腱構造が強化される。従って本発明の剤は、加齢に伴う顔の構造の変化及び/又は力学的機能の改善のために用いることができる。より具体的には、本発明の剤は、加齢に伴う腱構造の劣化に起因する、顔の構造変化及び/又は力学的機能を改善する用途に用いることができる。
本発明の剤は、加齢に伴う顔のたるみ改善、顔のシワ改善、顔表面の凹凸改善、皮膚の弾力性の低下防止を目的として使用するのに特に有効である。
なお、上記顔の構造の変化及び/又は力学的機能の変化の説明は、上述の<1>スクリーニング方法の記載を援用できる。
【0061】
また、上述の通り、加齢に伴い、腱細胞の刺激応答による、Piezo遺伝子の発現量亢進効果が低下する。Piezo遺伝子の発現量の亢進作用のある本発明の剤は、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善する用途に使用することができる。
本発明によれば、加齢によって低下した、腱細胞の刺激応答による、Piezo遺伝子の発現量を若齢状態に近づけることができる。
【0062】
上述のとおり、Piezo遺伝子の発現量の亢進は、Mkxの増加を誘起し、腱の強化をもたらす。すなわち、腱細胞に刺激を加えることによるPiezo遺伝子の発現量の亢進は、Mkxの増加を介して腱の強化、ひいては顔の構造変化や力学的機能の変化の改善につながる。ここで、腱細胞の刺激応答により惹起されるPiezo遺伝子の発現亢進の程度は、加齢に伴い低下することに照らすと、腱細胞への刺激によりもたらされる顔の構造変化や力学的機能の変化を改善効果は、加齢に伴い低下するといえる。
以上に照らし、Piezo遺伝子の発現亢進作用のある本発明の剤は、腱細胞への刺激により惹起される顔の構造変化及び/又は力学的機能の変化の改善効果の、加齢に伴う低下を抑制するために用いることができる。
【0063】
本発明の剤は、対象者に刺激を加える際に、当該対象者に投与して用いることができる。
本発明において、刺激とは、好ましくは腱細胞に力学的に又は電気的に加えられる刺激である。
前記、力学的に加えられる刺激は、伸展刺激、収縮刺激、圧縮刺激、せん断応力を含む。
好ましくは、腱細胞を物理的に伸展させるような、伸展刺激である。
上記、腱細胞に力学的に加えられる刺激は、表皮の上から加えられるものであってもよい。例として、手指、美容機器によるマッサージが挙げられる。
【0064】
また、上記、電気的に加えられる刺激は、腱細胞に間接的に加えられる、力学的な刺激を含む。
前記、腱細胞に間接的に加えられる力学的な刺激は、伸展刺激、収縮刺激、圧縮刺激、せん断応力を含む。好ましくは、電気刺激により筋肉を収縮させ、腱細胞に間接的に加えられる、伸展刺激である。
上記、腱細胞に電気的に加えられる刺激は、表皮の上から加えられるものであってもよい。
例として、美容機器、医療機器による施術が挙げられる。前記、機器として好ましくは、EMSなどの筋肉への電気刺激を利用した美容機器が挙げられる。
【0065】
対象者に刺激を加える際に本発明の剤を投与する場合、その投与形態は塗布であることが好ましい。当該対象者の皮膚に本発明の剤を直接塗布し、塗布された皮膚に対して、刺激を加えることが好ましい。
好ましくは、対象者の皮膚に本発明の剤を塗布した後、刺激を加える。
上記用法とすることで、本発明の剤を皮膚に対してより浸透させ、加齢に伴う腱細胞の刺激応答性の低下を改善する効果を高めることができる。
また、本発明の剤は皮膚に直接注入してもよい。また、電流によって皮膚の奥に浸透させてもよい。例えば、エレクトロポーション法などによって、皮膚の奥に浸透させてもよい。
【0066】
本発明の剤は、若齢状態と比較して、Piezo遺伝子の発現量が低下した、加齢者に対する投与が好適である。
また、若齢状態と比較して、腱細胞の刺激応答により惹起されるPiezo遺伝子の発現亢進の程度が低下した、加齢者に対する投与が好適である。
本発明の剤の投与に好適な、加齢者の年代として、30代、40代、特に50代~60代を例示できる。なお、本発明の剤は、Piezo遺伝子の発現亢進の程度が低下していれば、上記の年代以外の者に対しても、効果を奏する。
【実施例0067】
<試験例1>腱細胞(Tenocytes)におけるPiezo1発現の加齢変化
試験には59歳、87歳、及び96歳の献体の腱細胞を使用した(以降、使用した腱細胞を59 y.o.、87 y.o、及び、96 y.o.と表記する。)。
腱細胞(59 y.o.、87 y.o、及び、96 y.o.)をカルチャープレートにセミコンフルエントになるようDEN-1培地(ZenBio)で播種した。接着後、24時間培養し、RNAを回収した。リアルタイムRT-PCR法を用いてPiezo1の遺伝子発現を評価した。
なお、Piezo1発現量はハウスキーピング遺伝子としてGAPDHの遺伝子発現量で補正した。
【0068】
(結果)
腱細胞(59 y.o.、87 y.o、及び、96 y.o.)のPiezo1の遺伝子発現比を表1に示す。
腱細胞(59 y.o.)と比較して、腱細胞(87 y.o、及び、96 y.o.)のPiezo1発現比は、加齢とともに有意に減少した。
また、腱細胞(87 y.o.)と比較して、腱細胞(96 y.o.)のPiezo1発現比も、加齢とともに有意に減少した。
つまり、Piezo1発現は加齢とともに減少しているといえる。
【表1】
【0069】
<試験例2>腱細胞(Tenocytes)の伸展刺激応答性の加齢変化
腱細胞(59 y.o.、87 y.o、および、96 y.o.)をストレッチチャンバーにセミコンフルエントになるようDEN-1培地(ZenBio)で播種した。接着後、1分あたり30サイクルの頻度で、腱細胞が100~105%となるように5%の伸展刺激を6時間付与した。その後、RNAを回収した。リアルタイムRT-PCR法を用いてPiezo1の遺伝子発現を評価した。
なお、Piezo1発現量はハウスキーピング遺伝子としてGAPDHの遺伝子発現量で補正した。
【0070】
(結果)
伸展刺激を加えた腱細胞(59 y.o.、87 y.o、および、96 y.o.)のPiezo1の遺伝子発現比を表2に示す。
腱細胞の伸展刺激によるPiezo1発現の増加率は、加齢とともに低下した。
つまり、加齢とともに伸展刺激によるPiezo1発現の応答性が低下すると言える。
【表2】
【0071】
<試験例3>腱細胞(Tenocytes)のPiezo1発現を亢進する抽出物
腱細胞(87 y.o.)をカルチャープレートにセミコンフルエントになるようDEN-1培地(ZenBio)で播種した。接着後、各種有効成分抽出物を添加して24時間培養し、RNAを回収した。リアルタイムRT-PCR法を用いてPiezo1の遺伝子発現を評価した。なお、Piezo1発現量はハウスキーピング遺伝子としてGAPDHの遺伝子発現量で補正した。また、コントロールとして、各有効成分抽出物を添加せずに培養したPiezo1の遺伝子発現量を比較した。
上記、各種有効成分抽出物は、以下の抽出物を用いた。
・ヒメフウロエキス(一丸ファルコス社製)
・マグワ根皮エキス(丸善製薬社製)
・ワレモコウエキス(丸善製薬社製)
・ローヤルゼリーエキス(久木田薬品工業社製)
【0072】
(結果)
各種有効成分抽出物を添加して培養した、腱細胞(87 y.o)のPiezo1の遺伝子発現比を表3に示す。
コントロールと比較して、各有効成分抽出物抽出液を添加して培養した、腱細胞(87 y.o)のPiezo1の遺伝子発現比が亢進した。
さらに、本発明の有効成分である各抽出物抽出液単独で、コントロールと比較して、腱細胞(87 y.o)のPiezo1の遺伝子発現比が亢進した。
特に、0.1質量%ソウハクヒ抽出液、0.1質量%ワレモコウ抽出物、及び0.1質量%ローヤルゼリー抽出物で有意な亢進が認められた。
【0073】
さらに複合抽出物の場合、0.1質量%ヒメフウロ+0.1質量%ソウハクヒ抽出液、又は0.1質量%ワレモコウ抽出物+0.1質量%ローヤルゼリー抽出物を添加して培養した、腱細胞(87 y.o)のPiezo1の遺伝子発現比が有意に亢進した。
つまり、加齢によって低下したPiezo1発現を、本発明の有効成分抽出物によって若齢状態に近づけることが可能と言える。
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、化粧料やサプリメントの処方設計に応用できる。