(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159332
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電池異常監視システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/572 20210101AFI20241031BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20241031BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/569
H01M50/503
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075265
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】トヨタバッテリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 将宏
【テーマコード(参考)】
5H030
5H043
【Fターム(参考)】
5H030AA06
5H030AS06
5H030FF44
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA01
5H043CB02
5H043CB07
5H043DA01
5H043FA04
5H043GA02
5H043KA24F
5H043LA23D
(57)【要約】
【課題】異常発熱した電池セルを精度よく検知する。
【解決手段】電池異常監視システム5は、電池セル20の外部端子22間を電気的に接続するバスバー30と、バスバー30に電気的に接続され、外部端子22に近づく方向に傾動可能に構成され、外部端子22とバスバー30とを橋絡する橋絡部32と、橋絡部32が、外部端子22に接触しないように支持するものであって、熱によって溶融する熱溶融部材40と、バスバー30の電圧を測定する電圧測定器50と、電圧に基づいて、異常な電池セル20を判定する異常判定部62と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの端子間を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに電気的に接続され、前記端子に近づく方向に傾動可能に構成され、前記端子と前記バスバーとを橋絡する橋絡部と、
前記橋絡部が、前記端子に接触しないように支持するものであって、熱によって溶融する熱溶融部材と、
前記バスバーの電圧を測定する電圧測定器と、
前記電圧に基づいて、異常な前記電池セルを判定する異常判定部と、
を備える電池異常監視システム。
【請求項2】
前記橋絡部は、前記端子に近づく方向に付勢されている
請求項1に記載の電池異常監視システム。
【請求項3】
前記端子は、前記バスバーから上方に突出した突出ピンを備え、
前記突出ピンの先端面は、傾斜している
請求項1に記載の電池異常監視システム。
【請求項4】
前記端子は、前記バスバーから上方に突出した突出ピンを備え、
前記橋絡部は、前記橋絡部が前記端子と前記バスバーとを橋絡した際に、前記突出ピンから飛び出す長さに設定されている
請求項1に記載の電池異常監視システム。
【請求項5】
前記熱溶融部材は、前記バスバーに取り付けられている
請求項1に記載の電池異常監視システム。
【請求項6】
前記電圧測定器は、同一の前記電池セルに接続された前記バスバー間の電圧を測定する
請求項1に記載の電池異常監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池異常監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器と、容器の蓋部に取り付けられた正極端子と、蓋部に取り付けられた負極端子と、正極端子と負極端子とを電気的に接続するための接続機構とを具備し、接続機構は、電池の温度上昇によって特定部材が溶融すると、正極端子と負極端子とが電気的に接続されるように構成されている電池が開示されている。これにより、温度が上昇した場合に自己放電を開始させ、電池をより安全な状態に戻す。
【0003】
ところで、電池では、異常発熱した電池セルを精度よく検知すること好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、異常発熱した電池セルを精度よく検知することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の電池異常監視システムは、電池セルの端子間を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続され、前記端子に近づく方向に傾動可能に構成され、前記端子と前記バスバーとを橋絡する橋絡部と、前記橋絡部が、前記端子に接触しないように支持するものであって、熱によって溶融する熱溶融部材と、前記バスバーの電圧を測定する電圧測定器と、前記電圧に基づいて、異常な前記電池セルを判定する異常判定部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の電池異常監視システムでは、本発明の第1態様の電池異常監視システムにおいて、前記橋絡部は、前記端子に近づく方向に付勢されている。
【0008】
本発明の第3態様の電池異常監視システムでは、本発明の第1態様又は第2態様の電池異常監視システムにおいて、前記端子は、前記バスバーから上方に突出した突出ピンを備え、前記突出ピンの先端面は、傾斜している。
【0009】
本発明の第4態様の電池異常監視システムでは、本発明の第1態様から第3態様のいずれか1つの電池異常監視システムにおいて、前記端子は、前記バスバーから上方に突出した突出ピンを備え、前記橋絡部は、前記橋絡部が前記端子と前記バスバーとを橋絡した際に、前記突出ピンから飛び出す長さに設定されている。
【0010】
本発明の第5態様の電池異常監視システムでは、本発明の第1態様から第4態様のいずれか1つの電池異常監視システムにおいて、前記熱溶融部材は、前記バスバーに取り付けられている。
【0011】
本発明の第6態様の電池異常監視システムでは、本発明の第1態様から第5態様のいずれか1つの電池異常監視システムにおいて、前記電圧測定器は、同一の前記電池セルに接続された前記バスバー間の電圧を測定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様の電池異常監視システムでは、バスバーに電気的に接続され、端子に近づく方向に傾動可能に構成され、端子とバスバーとを橋絡する橋絡部と、橋絡部が、端子に接触しないように支持するものであって、熱によって溶融する熱溶融部材と、を備えることで、溶融部材が熱によって溶融すると、橋絡部が端子に接触する。橋絡部が端子に接触すると、バスバーと端子との間の導通経路が増え、バスバーと端子との間の接触抵抗が低下し、電圧が低下する。そして、測定したバスバーの電圧に基づいて、異常な電池セルを判定することで、異常発熱した電池セルを精度よく検知することができる。
【0013】
本発明の第2態様の電池異常監視システムでは、橋絡部は、端子に近づく方向に付勢されていることで、熱溶融部材が熱によって溶融した際に、橋絡部は、端子に近くづ方向に移動する。そのため、熱溶融部材が熱によって溶融した際に、橋絡部を端子に接触させることができる。その結果、異常発熱した電池セルの検知精度を向上させることができる。
【0014】
本発明の第3態様の電池異常監視システムでは、突出ピンの先端面は、傾斜していることで、突出ピンの先端面が平坦に形成されている場合と比較して、橋絡部が接触する面積が増大する。そのため、橋絡部が端子に接触した際の電圧低下量が増加する。その結果、異常発熱した電池セルを精度よく検知することができる。
【0015】
本発明の第4態様の電池異常監視システムでは、橋絡部は、橋絡部が端子とバスバーとを橋絡した際に、突出ピンから飛び出す長さに設定されていることで、突出ピンから飛び出さない長さに設定されている場合と比較して、橋絡部が接触する面積が増大する。そのため、橋絡部が端子に接触した際の電圧低下量が増加する。その結果、異常発熱した電池セルを精度よく検知することができる。
【0016】
本発明の第5態様の電池異常監視システムでは、熱溶融部材は、バスバーに取り付けられていることで、バスバーが発熱した際に早期に熱溶融部材が溶融する。そのため、異常発熱した電池セルを素早く検知することができる。その結果、シールアウトの発生を、未然に防いだり、早期に発見したりすることができる。
【0017】
本発明の第6態様の電池異常監視システムでは、電圧測定器は、同一の電池セルに接続されたバスバー間の電圧を測定することで、単一の電池セルの電圧の変化が測定される。そのため、異常発熱した電池セルを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る電池モジュールを模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る電池モジュールを模式的に示す上面図である。
【
図3】実施形態に係る電池セルを模式的に示す断面図であり、
図2のA-A断面を示す。
【
図4】実施形態に係る電池セルを模式的に示す断面図であり、熱溶融部材が溶融して橋絡部が端子に接触した状態を示す。
【
図5】実施形態に係る電圧測定器により計測される電圧につてい説明するグラフである。
【
図6】実施形態に係る電池異常監視システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る電池異常監視システムによる電池異常監視処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】別の実施形態に係る電池セルを模式的に示す断面図である。
【
図9】別の実施形態に係る電池セルを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係る電池異常監視システムについて、図面を参照して説明する。実施形態に係る電池異常監視システムは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車載用電源として使用される電池としての電池モジュール10を構成する複数の電池セル(単電池)20の電池異常を監視する例を説明する。
【0020】
なお、各図において、矢印Dは、電池セル20の長手方向Dを示し、矢印Eは、電池セル20の幅方向Eを示し、矢印Fは、電池セル20の上下方向Fを示している。
【0021】
[電池モジュール10の構成]
図1に示すように、電池モジュール10は、複数の電池セル20と、バスバー30と、熱溶融部材40と、を備えている。バスバー30には、電圧測定器50が接続されている。
【0022】
(電池セル20)
電池セル20は、内部に収容空間を有する筐体21と、端子としての外部端子22と、を備えている。
【0023】
筐体21は、長手方向Dに延在した矩形の箱状に形成されている。筐体21の内部には、電極体(図示せず)と、電解液(図示せず)と、が密閉されて収容されている。
【0024】
外部端子22は、筐体21の上部に、外部に露出して設けられている。外部端子22には、長手方向Dの一端側に、負極外部端子又は正極外部端子が設けられ、長手方向Dの他端側に、負極外部端子又は正極外部端子が設けられている。
【0025】
<外部端子22>
図3に示すように、外部端子22は、例えば、アルミニウムや銅等の導電性材料で形成され、基部23と、突出ピン24と、を備えている。
【0026】
基部23は、上下方向Fを板厚方向とした矩形の板状に形成されている。基部23は、筐体21の内部において、電極体が備える集電体と電気的に接続されている。
【0027】
突出ピン24は、基部23から上方に突出した円柱状に形成されている。突出ピン24の先端面は、水平方向に対して傾斜した傾斜面24Aとなっている。
【0028】
図1に示すように、複数の電池セル20は、筐体21の幅方向Eの幅広面が相互に対向するように、幅方向Eに一列に並んで配置されている。電池セル20は、負極外部端子と正極外部端子が幅方向Eに沿って交互に並ぶように配置されている。隣接した電池セル20の間で正極外部端子と負極外部端子とがバスバー30を介して電気的に接続されている。
【0029】
(バスバー30)
図2及び
図3に示すように、バスバー30は、例えば、アルミニウムや銅等の導電性材料によって構成され、ベース部31と、橋絡部32と、を備えている。
【0030】
バスバー30は、隣接して配置された各電池セル20の幅方向Eの外部端子22間を、電気的に接続するように配置されている。1つの電池セル20には、長手方向Dの一端側の外部端子22に1つのバスバー30が配置され、長手方向Dの他端側の外部端子22に1つのバスバー30が配置されている。長手方向Dの一端側の外部端子22に配置されたバスバー30は、幅方向Eの一方側に隣接した電池セル20の外部端子22に接続されている場合、長手方向Dの他端側の外部端子22に配置されたバスバー30は、幅方向Eの他方側に隣接した電池セル20の外部端子22に接続されている。
【0031】
<ベース部31>
図2及び
図3に示すように、ベース部31は、上下方向Fを板厚方向とし、幅方向Eに延在した矩形の板状に形成されている。ベース部31は、隣接して配置された各電池セル20の外部端子22間を跨ぐように配置されている。
【0032】
ベース部31は、外部端子22の基部23に、溶接によって接合されている。これにより、各々の電池セル20が電気的に接続されて電池モジュール10が構築される。なお、ベース部31は、外部端子22の基部23に、ボルト締結等によって接合されていてもよい。
【0033】
ベース部31には、幅方向Eに並んで形成された2つの開口部31Aが形成されいる。開口部31Aは、ベース部31の板厚方向に貫通する矩形の貫通孔として形成されている。開口部31Aには、突出ピン24が挿入され、突出ピン24がベース部31から上方に突出している。なお、開口部31Aの形状は、矩形に限定されず、例えば、円形や多角形であってもよい。
【0034】
<橋絡部32>
各開口部31Aには、橋絡部32が形成されている。橋絡部32は、長手方向Dに延在する矩形の板状に形成されている。橋絡部32の幅は、開口部31Aの幅より小さく形成されている。
【0035】
橋絡部32は、ベース部31と一体に形成され、ベース部31に電気的に接続されている。ベース部31と橋絡部32は、1枚の板金をプレス加工することで形成することができる。橋絡部32は、外部端子22の突出ピン24に近づく方向に傾動可能に構成されている。橋絡部32は、弾性変形領域において折り曲げられて形成される。これにより、橋絡部32は、外部端子22の突出ピン24に近づく方向に付勢されることになる。橋絡部32は、外力が作用しない自由状態では、突出ピン24の傾斜面24Aに接触して、ベース部31と外部端子22の突出ピン24とを電気的に接続するようになっている。
【0036】
図4に示すように、橋絡部32の長さは、橋絡部32が突出ピン24の傾斜面24Aに接触して、ベース部31と外部端子22の突出ピン24とを電気的に接続した際に、突出ピン24から長さL飛び出すように設定されている。
【0037】
(熱溶融部材40)
図1及び
図3に示すように、熱溶融部材40は、開口部31Aを跨ぐように掛け渡されている。熱溶融部材40は、例えば、接着剤等によって、バスバー30のベース部31に取り付けられている。熱溶融部材40は、橋絡部32が外部端子22の突出ピン24に接触しないように、橋絡部32を支持している。
【0038】
熱溶融部材40は、熱によって溶融する材料で形成されている。熱溶融部材40の材料としては、電池モジュール10の通常使用時の最大発熱温度より高い温度で、外部端子22の周辺に配置されたシール材の許容負荷温度、又は電極体を構成するセパレータの融解温度等よりも低い温度で融解するものとすることができる。熱溶融部材40の材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂とすることができる。
【0039】
(電圧測定器50)
図1及び
図2に示すように、電圧測定器50のリード線51は、各バスバー30に接続されている。電圧測定器50は、同一の電池セル20に接続されたバスバー30間の電圧を測定する。
【0040】
[電池セル20の異常発熱]
電池セル20では、バスバー30と外部端子22との接触不良により、電池モジュール10の充放電時に接触抵抗が増加し、バスバー30が異常発熱する。
【0041】
[異常発熱時のバスバー30の動作]
図3に示すように、電池モジュール10の通常使用時においては、橋絡部32は、熱溶融部材40に支持されており、橋絡部32が外部端子22の突出ピン24に接触しないようになっている。
【0042】
図4に示すように、バスバー30の異常発熱時においては、熱溶融部材40が溶融すると、橋絡部32は、外部端子22の突出ピン24に近づく方向に傾動し、突出ピン24の傾斜面24Aに接触して、ベース部31と外部端子22の突出ピン24とを電気的に接続する。
【0043】
[通常時と異常発熱時の電圧]
橋絡部32が突出ピン24に接触すると、外部端子22とバスバー30との間の導通経路が増加する。電池モジュール10の充放電時に、外部端子22とバスバー30との間の導通経路が増加すると、抵抗が低下して電圧が低下する。そうすると、
図5に示すように、通常の電池セル20に接続されたバスバー30間の電圧V1と、異常発熱した電池セル20に接続されたバスバー30間の電圧V2とで、電圧差が生じる。電池異常監視システム5では、この電圧差に基づいて、異常発熱した電池セル20を特定する検査異常監視処理を実行する。
【0044】
[電池異常監視システムの機能構成]
図6に示すように、電池異常監視システム5では、電圧測定器50で測定された電圧が、制御部60に入力され、制御部60において実行された電池異常監視処理の処理結果が、出力部70に出力されるようになっている。制御部は、記憶部64に記録されたプログラムにしたがって、検査異常監視処理を実行する。
【0045】
(電圧測定器50)
電圧測定器50は、同一の電池セル20に接続されたバスバー30間の電圧を測定する。
【0046】
(制御部60)
制御部60は、プロセッサとして構成され、例えば、車両に搭載されている。制御部60は、機能的には、電圧取得部61と、異常判定部62と、報知部63と、記憶部64と、を備えている。
【0047】
電圧取得部61は、電圧測定器50が測定した電圧を取得する。
【0048】
異常判定部62は、電圧測定器50が測定した電圧に基づいて、異常発熱した電池セル20を判定する。具体的には、異常判定部62は、充放電時の電流値を参照して、測定した電圧と、本来あるべき電圧との差分を算出し、この差分が閾値以上であった場合、電池セル20が異常発熱したと判定する。
【0049】
報知部63は、異常判定部62が電池セル20の異常発熱を判定した場合、出力部70に対して、異常発熱した電池セル20の報知情報を出力する。
【0050】
記憶部64には、検査異常監視処理を実行するプログラムや、充放電時の電流値における本来あるべき電圧値の情報が記憶されている。
【0051】
(出力部70)
出力部70は、異常発熱した電池セル20の報知情報を出力する。出力部70としては、画像を出力する画像出力装置であってもよいし、音声を出力する音声出力装置であってもよい。
【0052】
[電池異常監視処理の流れ]
図7に示すように、検査異常監視処理を開始すると、電圧取得部61は、電圧測定器50が測定した電圧を取得する(ステップS101)。次いで、異常判定部62は、充放電時の電流値を参照して、電圧測定器50が測定した電圧と、本来あるべき電圧との差分が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0053】
電圧測定器50が測定した電圧と、本来あるべき電圧との差分が閾値以上であると判定された場合(ステップS102でYES)、ステップS103に進む。一方、電圧測定器50が測定した電圧と、本来あるべき電圧との差分が閾値以上でないと判定された場合(ステップS102でNO)、検査異常監視処理を終了する。
【0054】
ステップS103に進むと、報知部63は、出力部70に対して、異常発熱した電池セル20の報知情報を出力し、検査異常監視処理を終了する。
【0055】
[作用]
実施形態の電池異常監視システム5は、電池セル20の外部端子22間を電気的に接続するバスバー30と、バスバー30に電気的に接続され、外部端子22に近づく方向に傾動可能に構成され、外部端子22とバスバー30とを橋絡する橋絡部32と、橋絡部32が、外部端子22に接触しないように支持するものであって、熱によって溶融する熱溶融部材40と、バスバー30の電圧を測定する電圧測定器50と、電圧に基づいて、異常な電池セル20を判定する異常判定部62と、を備える(
図3参照)。
【0056】
バスバー30に電気的に接続され、外部端子22に近づく方向に傾動可能に構成され、外部端子22とバスバー30とを橋絡する橋絡部32と、橋絡部32が、外部端子22に接触しないように支持するものであって、熱によって溶融する熱溶融部材40と、を備えることで、溶融部材が熱によって溶融すると、橋絡部32が外部端子22に接触する。橋絡部32が外部端子22に接触すると、バスバー30と外部端子22との間の導通経路が増え、バスバー30と外部端子22との間の接触抵抗が低下し、電圧が低下する。そして、測定したバスバー30の電圧に基づいて、異常な電池セル20を判定することで、異常発熱した電池セル20を精度よく検知することができる。
【0057】
実施形態の電池異常監視システム5では、橋絡部32は、外部端子22に近づく方向に付勢されている(
図3参照)。
【0058】
橋絡部32は、外部端子22に近づく方向に付勢されていることで、熱溶融部材40が熱によって溶融した際に、橋絡部32は、外部端子22に近くづ方向に移動する。そのため、熱溶融部材40が熱によって溶融した際に、橋絡部32を外部端子22に接触させることができる。その結果、異常発熱した電池セル20の検知精度を向上させることができる。
【0059】
実施形態の電池異常監視システム5では、外部端子22は、バスバー30から上方に突出した突出ピン24を備え、突出ピン24の先端面は、傾斜している(
図3参照)。
【0060】
突出ピン24の先端面は、傾斜していることで、突出ピン24の先端面が平坦に形成されている場合と比較して、橋絡部32が接触する面積が増大する。そのため、橋絡部32が外部端子22に接触した際の電圧低下量が増加する。その結果、異常発熱した電池セル20を精度よく検知することができる。
【0061】
実施形態の電池異常監視システム5では、橋絡部32は、橋絡部32が外部端子22とバスバー30とを橋絡した際に、突出ピン24から飛び出す長さに設定されている(
図4参照)。
【0062】
橋絡部32は、橋絡部32が外部端子22とバスバー30とを橋絡した際に、突出ピン24から飛び出す長さに設定されていることで、突出ピン24から飛び出さない長さに設定されている場合と比較して、橋絡部32が接触する面積が増大する。そのため、橋絡部32が外部端子22に接触した際の電圧低下量が増加する。その結果、異常発熱した電池セル20を精度よく検知することができる。
【0063】
ところで、電池は、外部端子22やバスバー30の温度が上昇すると、シール部が劣化してへたることがある。シール部がへたると、シール箇所に隙間が発生する。そうすると、隙間から電解液が揮発したりするシールアウトという現状が生じる可能性がある。
【0064】
実施形態の電池異常監視システム5では、熱溶融部材40は、バスバー30に取り付けられている(
図3参照)。
【0065】
熱溶融部材40は、バスバー30に取り付けられていることで、バスバー30が発熱した際に早期に熱溶融部材40が溶融する。そのため、異常発熱した電池セル20を素早く検知することができる。その結果、シールアウトの発生を、未然に防いだり、早期に発見したりすることができる。
【0066】
実施形態の電池異常監視システム5では、電圧測定器50は、同一の電池セル20に接続されたバスバー30間の電圧を測定する(
図2参照)。
【0067】
電圧測定器50は、同一の電池セル20に接続されたバスバー30間の電圧を測定することで、単一の電池セル20の電圧の変化が測定される。そのため、異常発熱した電池セル20を特定することができる。
【0068】
以上、本発明の電池異常監視システムを、上記実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0069】
上記実施形態では、突出ピン24の先端面は、水平方向に対して傾斜した傾斜面24Aとなっている例を示した。しかし、
図8に示すように、突出ピン124の先端面は、水平面124Aであってもよい。この場合、橋絡部132は、外部端子22の突出ピン124に近づく方向に傾動した際に、突出ピン124の水平面124Aに接触するように、屈曲した形状に形成されていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、熱溶融部材40は、バスバー30のベース部31に取り付けられている例を示した。しかし、
図9に示すように、熱溶融部材140は、突出ピン24の側面に取り付けられてもよい。この場合、熱溶融部材140は、絶縁材料によって形成される。
【0071】
上記実施形態では、橋絡部32は、ベース部31と一体に形成されている例を示した。しかし、橋絡部32は、ベース部と別体に形成され、例えば、溶接によってベース部に接合されてもよい。
【0072】
上記実施形態では、橋絡部32は、弾性変形領域において折り曲げられて形成されることで、外部端子22の突出ピン24に近づく方向に付勢される例を示した。しかし、橋絡部は、外部端子の突出ピンに近づく方向に付勢されるように、バネ等の付勢部材を設けてもよい。
【0073】
上記実施形態では、外部端子22は、突出ピン24を備えている例を示した。しかし、外部端子は、突出ピンを備えていなくてもよい。この場合、橋絡部は、熱溶融部材が溶融すると、外部端子に近づく方向に移動し、外部端子に接触して、バスバーと外部端子とを橋絡する態様であればよい。
【0074】
上記実施形態では、外部端子22は、筐体21の上部に、外部に露出して設けられている例を示した。しかし、外部端子は、筐体の側部に、外部に露出して設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
5 電池異常監視システム
20 電池セル
22 外部端子(端子の一例)
24 突出ピン
30 バスバー
32 橋絡部
40 熱溶融部材
50 電圧測定器
62 異常判定部