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特開2024-159333情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159333
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241031BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241031BHJP
   G06V 10/80 20220101ALI20241031BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06N20/00
G06V10/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075266
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 光瑠
(72)【発明者】
【氏名】高井 勇
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA02
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA66
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】既存の学習済みモデルを用いて実行される定められた処理の実行結果の精度の低下を抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理装置は、センサから出力された第1のデータを取得し、データ変換器に対して第1のデータを入力することによって第1のデータを変換した第2のデータを生成し、前記センサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して第2のデータを入力することによって定められた処理を実行し、データ変換器は、データ処理器の出力及び正解データに基づく誤差が小さくなるように学習されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺環境の物理量を測定する1つ以上のセンサから出力された第1のデータを取得する取得部と、
入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルであるデータ変換器に対して前記第1のデータを入力することによって前記第1のデータを変換した第2のデータを生成する生成部と、
入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルであって、前記1つ以上のセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して前記第2のデータを入力することによって前記定められた処理を実行する実行部と、
を含み、
前記データ変換器は、前記データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されている
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のデータは、第1のカメラにより撮影された2次元の第1の画像データであり、
前記データ処理器は、前記第1のカメラとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なる第2のカメラにより撮影された2次元の第2の画像データに対して、前記定められた処理として物体検出処理を実行する学習済みモデルである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の画像データは、遠赤外カメラにより撮影された2次元の遠赤外画像データであり、
前記第2の画像データは、可視光カメラにより撮影された2次元の可視光画像データである
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
周辺環境の物理量を測定する1つ以上のセンサから出力された第1のデータを取得し、
入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルであるデータ変換器に対して前記第1のデータを入力することによって前記第1のデータを変換した第2のデータを生成し、
入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルであって、前記1つ以上のセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して前記第2のデータを入力することによって前記定められた処理を実行する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記データ変換器は、前記データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されている
情報処理方法。
【請求項5】
周辺環境の物理量を測定する1つ以上のセンサから出力された第1のデータを取得し、
入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルであるデータ変換器に対して前記第1のデータを入力することによって前記第1のデータを変換した第2のデータを生成し、
入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルであって、前記1つ以上のセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して前記第2のデータを入力することによって前記定められた処理を実行する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、
前記データ変換器は、前記データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されている
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遠赤外画像データ及び遠赤外画像データを階調変換した変換画像データの各々に対し、学習データを用いて予め学習された結果に基づく物体識別処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-163222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、可視光カメラにより撮影された可視光画像データに対して物体検出処理を行う学習済みモデル等の入力データに対して定められた処理を行う学習済みモデルが開発されている。このような既存の学習済みモデルを利用することができると、開発コストを低減することができる。しかしながら、既存の学習済みモデルでは、例えば学習時に使用したセンサとは異なる仕様のセンサから得られたデータを使用する際に、定められた処理の実行結果の精度が低下してしまう場合がある。
【0005】
この場合、既存の学習済みモデルによる実行結果の精度の低下を抑制するために、既存の学習済みモデルを再学習させることは、開発コスト及び開発期間等の面で難しい場合がある。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、既存の学習済みモデルを用いて実行される定められた処理の実行結果の精度の低下を抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の情報処理装置は、周辺環境の物理量を測定する1つ以上のセンサから出力された第1のデータを取得する取得部と、入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルであるデータ変換器に対して前記第1のデータを入力することによって前記第1のデータを変換した第2のデータを生成する生成部と、入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルであって、前記1つ以上のセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して前記第2のデータを入力することによって前記定められた処理を実行する実行部と、を含み、前記データ変換器は、前記データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されている。
【0008】
第1の態様の情報処理装置によれば、データ変換器に入力するデータと、データ処理器の学習の際に用いられた入力データとが、数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサにより得られるものである。また、第1の態様の情報処理装置によれば、データ変換器は、データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されている。従って、既存の学習済みモデルを用いて実行される定められた処理の実行結果の精度の低下を抑制することができる。
【0009】
第2の態様の情報処理装置は、第1の態様の情報処理装置において、前記第1のデータは、第1のカメラにより撮影された2次元の第1の画像データであり、前記データ処理器は、前記第1のカメラとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なる第2のカメラにより撮影された2次元の第2の画像データに対して、前記定められた処理として物体検出処理を実行する学習済みモデルである。
【0010】
第2の態様の情報処理装置によれば、画像データに対する物体検出処理の実行結果の精度の低下を抑制することができる。
【0011】
第3の態様の情報処理装置は、前記第1の画像データは、遠赤外カメラにより撮影された2次元の遠赤外画像データであり、前記第2の画像データは、可視光カメラにより撮影された2次元の可視光画像データである。
【0012】
第3の態様の情報処理装置によれば、画像データに対する物体検出処理の実行結果の精度の低下を抑制することができる。
【0013】
第4の態様の情報処理方法は、周辺環境の物理量を測定する1つ以上のセンサから出力された第1のデータを取得し、入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルであるデータ変換器に対して前記第1のデータを入力することによって前記第1のデータを変換した第2のデータを生成し、入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルであって、前記1つ以上のセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して前記第2のデータを入力することによって前記定められた処理を実行する処理をコンピュータが実行する情報処理方法であって、前記データ変換器は、前記データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されているものである。
【0014】
第5の態様の情報処理プログラムは、周辺環境の物理量を測定する1つ以上のセンサから出力された第1のデータを取得し、入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルであるデータ変換器に対して前記第1のデータを入力することによって前記第1のデータを変換した第2のデータを生成し、入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルであって、前記1つ以上のセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを入力データとして学習されたデータ処理器に対して前記第2のデータを入力することによって前記定められた処理を実行する処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、前記データ変換器は、前記データ処理器の出力及び正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるように学習されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、既存の学習済みモデルを用いて実行される定められた処理の実行結果の精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】データ変換器を説明するための図である。
図3】物体検出器を説明するための図である。
図4】学習フェーズにおける情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5】学習処理を説明するための図である。
図6】学習処理の一例を示すフローチャートである。
図7】運用フェーズにおける情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図8】物体検出処理を説明するための図である。
図9】物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る物体検出処理を説明するための図である。
図11】変形例に係る物体検出処理を説明するための図である。
図12】変形例に係る物体検出処理を説明するための図である。
図13】変形例に係るデータ変換器を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0018】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成を説明する。図1に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、及び通信I/F(Interface)23を含む。CPU20、ROM21、RAM22、及び通信I/F23は、バス27を介して相互に通信可能に接続される。情報処理装置10の例としては、後述する運用フェーズにおいては、車載のECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータが挙げられる。また、情報処理装置10の例としては、後述する学習フェーズにおいては、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等のコンピュータが挙げられる。
【0019】
CPU20は、プロセッサの一例であり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM21からプログラムを読み出し、RAM22を作業領域としてプログラムを実行する。
【0020】
記憶部としてのROM21には、情報処理プログラム30、データ変換器32、及び物体検出器34が記憶される。RAM22は、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。通信I/F23は、外部装置と通信するためのインタフェースである。
【0021】
通信I/F23には、カメラ11が接続される。カメラ11は、例えば、車載のカメラである。カメラ11は、例えば、車室内のリアビューミラーの位置に前向きに設置され、車両の周辺環境の一例としての車両の前方の画像を撮影する。後述する学習フェーズにおいては、通信I/F23にカメラ11が接続されていなくてもよい。
【0022】
カメラ11は、周辺環境の物理量を測定し、2次元のデータを出力するセンサの一例として、遠赤外線を検出するイメージセンサを備える遠赤外カメラである。カメラ11は、車両の前方の画像を撮影して得られた2次元の遠赤外画像データを、通信I/F23を介してCPU20に対して出力する。カメラ11から出力される2次元の遠赤外画像データは、開示の技術に係る第1のデータ及び第1の画像データの一例である。
【0023】
データ変換器32は、入力データを変換したデータを出力とする学習済みモデルである。図2に示すように、本実施形態に係るデータ変換器32は、2次元の遠赤外画像データを入力とし、入力の遠赤外画像データを物体検出器34に対して入力する2次元の画像データに変換する。データ変換器32は、例えば、ディープニューラルネットワークにより構成される。データ変換器32は、後述する学習フェーズにおいて学習される。
【0024】
物体検出器34は、入力データに対して定められた処理を実行し、かつ実行結果を出力する学習済みモデルである。図3に示すように、本実施形態に係る物体検出器34は、可視光カメラにより撮影された可視光画像データを入力データとして予め学習された学習済みモデルである。可視光画像データは、カメラ11が備えるセンサとは種類が異なるセンサから出力されたデータの一例である。このセンサの例としては、可視光を検出するイメージセンサが挙げられる。すなわち、可視光画像データは、第1のカメラ11とは種類の異なる第2のカメラにより撮影された2次元の第2の画像データの一例である。
【0025】
物体検出器34は、例えば、ディープニューラルネットワークにより構成される。物体検出器34は、入力の可視光画像データに対して、定められた処理として物体検出処理を行い、実行結果として物体の検出結果を出力する。物体の検出結果の例としては、物体の検出数、物体の位置、物体のサイズ、種類及び信頼度等が挙げられる。図3の例における破線の矩形は、物体検出器34が検出した物体の輪郭に接する矩形を示している。物体検出器34は、学習用データを用いた機械学習によって内部パラメータが予め設定されたものである。
【0026】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る学習フェーズにおける情報処理装置10の機能的な構成について説明する。図4に示すように、学習フェーズにおける情報処理装置10は、取得部40、生成部42、実行部44、及び学習部46を含む。CPU20が情報処理プログラム30を実行することにより、取得部40、生成部42、実行部44、及び学習部46として機能する。
【0027】
取得部40は、学習用データを取得する。本実施形態に係る学習用データは、遠赤外画像データと、その遠赤外画像データ内に存在する物体の位置、サイズ、及び種類等を表す正解データとの組である。取得部40は、学習用データを外部システムから取得してもよいし、ROM21等の記憶装置から取得してもよい。
【0028】
図5に示すように、生成部42は、取得部40により取得された遠赤外画像データをデータ変換器32に対して入力することによって遠赤外画像データを変換した画像データを生成する。図5の例では、この画像データが、「変換後画像」と表記されている。
【0029】
図5に示すように、実行部44は、生成部42により生成された画像データを物体検出器34に入力することによって物体検出処理を実行する。
【0030】
図5に示すように、学習部46は、実行部44による物体検出処理の実行により物体検出器34から出力された物体の検出結果及び取得部40により取得された正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるようにデータ変換器32を学習させる。具体的には、学習部46は、物体検出器34から出力された物体の検出結果及び取得部40により取得された正解データを誤差関数に入力することによって誤差を導出する。そして、学習部46は、導出した誤差が最小化されるようにデータ変換器32を学習させる。誤差関数の例としては、交差クロスエントロピー誤差関数、平均二乗誤差関数、又は平均絶対誤差関数等が挙げられる。
【0031】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る学習フェーズにおける情報処理装置10の作用を説明する。図6に示す学習処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力された場合等に実行される。
【0032】
図6のステップS10で、取得部40は、学習用データを取得する。ステップS12で、生成部42は、ステップS10で取得された遠赤外画像データをデータ変換器32に対して入力することによって遠赤外画像データを変換した画像データを生成する。
【0033】
ステップS14で、実行部44は、ステップS12で生成された画像データを物体検出器34に入力することによって物体検出処理を実行する。ステップS16で、学習部46は、前述したように、ステップS14の実行により物体検出器34から出力された物体の検出結果及びステップS10で取得された正解データに基づいて導出される誤差が小さくなるようにデータ変換器32のパラメータを更新させる。ステップS16の処理が終了すると、データ学習処理が完了する。以上の学習処理が、異なる複数の学習用データを用いて実行され、全ての学習用データを用いた学習処理が完了した後に同じ学習用データを用いて所定回数学習処理が繰り返される。CPU20は、以上の学習処理を、物体検出器34の内部パラメータを固定した状態、すなわち、物体検出器34の内部パラメータを更新せずに実行する。
【0034】
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る運用フェーズにおける情報処理装置10の機能的な構成について説明する。図7に示すように、運用フェーズにおける情報処理装置10は、取得部50、生成部52、実行部54、及び出力部56を含む。CPU20が情報処理プログラム30を実行することにより、取得部50、生成部52、実行部54、及び出力部56として機能する。
【0035】
取得部50は、カメラ11により撮影された遠赤外画像データを、通信I/F23を介してカメラ11から取得する。
【0036】
図8に示すように、生成部52は、取得部50により取得された遠赤外画像データをデータ変換器32に対して入力することによって遠赤外画像データを変換した画像データを生成する。図8の例では、この画像データが、「変換後画像」と表記されている。この変換した画像データは、開示の技術に係る第2のデータ及び第2の画像データの一例である。
【0037】
図8に示すように、実行部54は、生成部52により生成された画像データを物体検出器34に入力することによって物体検出処理を実行する。
【0038】
出力部56は、実行部54による物体検出処理の実行により物体検出器34から出力された物体の検出結果を、通信I/F23を介して外部装置に出力する。この物体の検出結果は、例えば、車両の自動運転の制御等に用いられる。
【0039】
次に、図9を参照して、本実施形態に係る運用フェーズにおける情報処理装置10の作用を説明する。図9に示す物体検出処理は、例えば、車両のイグニッションスイッチがオン状態とされた場合、又は自動運転の開始時等に実行される。
【0040】
図9のステップS20で、取得部50は、カメラ11により撮影された遠赤外画像データを、通信I/F23を介してカメラ11から取得する。ステップS22で、生成部52は、ステップS20で取得された遠赤外画像データをデータ変換器32に対して入力することによって遠赤外画像データを変換した画像データを生成する。
【0041】
ステップS24で、実行部54は、ステップS22で生成された画像データを物体検出器34に入力することによって物体検出処理を実行する。ステップS26で、出力部56は、ステップS24の実行により物体検出器34から出力された物体の検出結果を、通信I/F23を介して外部装置に出力する。ステップS26の処理が終了すると、物体検出処理が終了する。CPU20は、以上の物体検出処理を、物体検出器34の内部パラメータを固定した状態、すなわち、物体検出器34の内部パラメータを更新せずに実行する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、データ変換器32が遠赤外画像データを変換し、変換後の画像データが物体検出器34へ入力されることによって物体の検出処理が実行される。従って、物体検出器34の学習に用いられた可視光画像データを撮影したカメラとは異なる種類のカメラにより撮影された遠赤外画像データを用いた場合においても、物体の検出結果の精度の低下を抑制することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、物体検出器34の入力データとして、カメラ11とは異なる種類のセンサから出力された可視光画像データを適用した例を説明したが、開示の技術はこの態様に限定されない。物体検出器34の入力データとして、取得部50が取得対象とするセンサとは数、仕様、設定パラメータ、及び種類の少なくとも1つが異なるセンサから出力されたデータを適用する形態としてもよい。
【0044】
例えば、図10に示すように、物体検出器34の入力データが可視光画像データであり、カメラ11がグレースケール画像データを出力するグレースケールカメラであってもよい。また、例えば、カメラ11が可視光カメラである場合、カメラ11と、物体検出器34の学習に用いられた可視光画像データを撮影したカメラとは、装着レンズの焦点距離等の仕様が異なっていてもよいし、解像度又は感度などの設定パラメータが異なっていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態において、カメラ11に代えて、LiDAR(Light Detection And Ranging)を用いてもよい。この場合、LiDARは、2次元の距離マップ、反射率マップ、又は明暗画像データ等を出力する。
【0046】
また、図11に示すように、データ変換器32の入力データの数と物体検出器34の入力データの数とが異なっていてもよい。すなわち、取得部50がデータの取得対象とするセンサの数と、物体検出器34の学習に用いられる入力データを取得するセンサの数とが異なっていてもよい。図11では、カメラ11Aが可視光カメラであり、カメラ11Bが遠赤外カメラである例を示している。この場合、可視光カメラを備えるシステムに対して遠赤外カメラが追加された場合に、物体検出器34を再学習させることなく、物体検出処理の精度を向上させることができる。
【0047】
また、図12に示すように、物体検出器34の入力データの数が、データ変換器32の入力データの数よりも多くてもよい。図12では、カメラ11Aが可視光カメラであり、カメラ11Bが遠赤外カメラである例を示している。また、図12では、物体検出器34の入力データが、可視光画像データ、遠赤外画像データ、及び距離マップの3つの異なる種類のセンサにより出力されたデータである例を示している。この場合、可視光カメラ、遠赤外カメラ、及びLiDARを備えるシステムにおいて、LiDARが使用できなくなった場合に、物体検出器34を再学習させることなく、物体検出処理の精度の低下を抑制することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、入力データに対して定められた処理を実行するデータ処理器として、物体検出処理を実行する物体検出器34を適用した例を説明したが、開示の技術はこの態様に限定されない。例えば、データ処理器として、入力データである可視光画像データから、その画像データに存在している物体を識別する物体識別器を適用する形態としてもよい。また、例えば、データ処理器として、入力データである可視光画像データに対してキャプションを付与する画像キャプション器を適用する形態としてもよい。例えば、データ処理器として、入力データである可視光画像データに対してセグメンテーション処理を行うセグメンテーション装置を適用する形態としてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、データ変換器32の入力データが2次元データである例を説明したが、開示の技術はこの態様に限定されない。例えば、図13に示すように、データ変換器32の入力データが音声データ等の1次元データであってもよい。この場合、カメラ11に代えて、1次元の音声データを出力するマイクロフォン等の音声入力装置12が用いられる。また、この場合、物体検出器34に代えて、入力データに対して音声認識処理を実行し、実行結果を出力する音声認識器36が用いられる。この場合、例えば、音声入力装置12が異なる種類のものに変更された場合でも、音声認識器36を再学習させることなく、音声認識処理の精度の低下を抑制することができる。
【0050】
また、上記実施形態において、情報処理装置10の各種の処理を実行する機能部をCPU以外のプロセッサにより実現してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、情報処理装置10の各機能部を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実現してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実現してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0051】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム30がROM21に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 情報処理装置
11 カメラ
12 音声入力装置
20 CPU
30 情報処理プログラム
32 データ変換器
34 物体検出器
36 音声認識器
40、50 取得部
42、52 生成部
44、54 実行部
46 学習部
56 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13