(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159341
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】回転式整列装置、整列供給装置、及び整列方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20241031BHJP
B65G 47/28 20060101ALI20241031BHJP
B65G 47/80 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65G47/14 102B
B65G47/28 L
B65G47/80 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075278
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】504151620
【氏名又は名称】株式会社徳永製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100096080
【弁理士】
【氏名又は名称】井内 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】100194098
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 鋼亮
(72)【発明者】
【氏名】三橋 友宏
(72)【発明者】
【氏名】太田 康平
【テーマコード(参考)】
3F072
3F080
3F081
【Fターム(参考)】
3F072AA07
3F072GB06
3F072KB01
3F072KB05
3F072KE01
3F080AA21
3F080BA02
3F080BC02
3F080BC07
3F080CC04
3F080DA04
3F080DA18
3F081AA18
3F081BA01
3F081BC02
3F081BC13
3F081CC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バラバラの状態で供給された物品同士の重なり合いを適切に解消しつつ、次工程への物品の供給能力を向上させることができる回転式整列装置を提供すること。
【解決手段】物品の収容部21と、収容部21上部の外周部に物品を並べて載置する物品載置部24とを備えた回転式整列装置20であって、収容部21から物品載置部24に移載された物品を物品載置部24に吸着させる吸着機構30と、吸着機構30により物品載置部24に吸着させている物品に重なっている状態の物品を収容部21に戻す返戻部40とを装備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の収容部と、該収容部上部の外周部に前記物品を並べて載置する物品載置部とを備えた回転式整列装置であって、
前記収容部から前記物品載置部に移載された前記物品を前記物品載置部に吸着させる吸着機構と、
該吸着機構により前記物品載置部に吸着させている前記物品に重なっている状態の物品を前記収容部に戻す返戻部とを備えていることを特徴とする回転式整列装置。
【請求項2】
前記物品載置部が、当該物品載置部の回転方向に沿って所定間隔を有して形成された複数の開孔を有する載置面を備え、
前記吸着機構が、
前記載置面の反対側から前記複数の開孔のうちの一部の開孔を覆うように配設される吸引ノズル部と、
該吸引ノズル部に取り付けられる吸引装置とを含んで構成され、
前記返戻部が、
前記吸引ノズル部と前記載置面を介して対向する領域上、又はその領域の近傍に配設されていることを特徴とする請求項1記載の回転式整列装置。
【請求項3】
前記返戻部が、前記重なっている状態の物品を非接触方式で前記収容部に戻す非接触式返戻部を含んで構成されていることを特徴とする請求項2記載の回転式整列装置。
【請求項4】
前記返戻部が、前記重なっている状態の物品を接触方式で前記収容部に戻す接触式返戻部を含んで構成されていることを特徴とする請求項2記載の回転式整列装置。
【請求項5】
前記返戻部が、
前記重なっている状態の物品を非接触方式で前記収容部に戻す非接触式返戻部と、
前記重なっている状態の物品を接触方式で前記収容部に戻す接触式返戻部とを含んで構成されていることを特徴とする請求項2記載の回転式整列装置。
【請求項6】
前記非接触式返戻部が、前記収容部の方向に気体を噴射するように構成されているものであることを特徴とする請求項3又は請求項5記載の回転式整列装置。
【請求項7】
前記接触式返戻部が、前記重なっている状態の物品を前記収容部にかき落とすように構成されているものであることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の回転式整列装置。
【請求項8】
前記返戻部によって重なっている状態が解消された前記物品を前記物品載置部から排出する排出部を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれかの項に記載の回転式整列装置。
【請求項9】
請求項1~5のいずれかの項に記載の回転式整列装置と、
前記吸着機構及び前記返戻部が配設された領域を通過した後の前記物品載置部に位置する前記物品を保持する保持部を備え、隣接する搬送装置に、前記保持部により保持された前記物品を所定の姿勢で載置するピッキングロボットと、
撮像装置による画像を基に、前記吸着機構及び前記返戻部が配設された領域を通過した後の前記物品載置部に並べられた前記物品を認識し、前記ピッキングロボットによる前記物品の保持と前記搬送装置への移し替えを制御する制御部とを含んで構成されていることを特徴とする整列供給装置。
【請求項10】
前記撮像装置が、前記物品の3次元画像を撮像する3Dカメラを含み、
前記制御部が、前記3Dカメラで撮像された3D画像データを、前記物品の3次元CADデータと教師データとを利用した機械学習によって生成された学習済みモデルに入力し、前記3D画像データ中の物品の認識結果を出力する照合部を備えていることを特徴とする請求項9記載の整列供給装置。
【請求項11】
物品の収容部と、該収容部上部の外周部に前記物品を並べて載置する物品載置部とを備えた回転式整列装置を用いて、前記物品載置部に前記物品を整列させる方法であって、
前記収容部から前記物品載置部に移載された前記物品を吸着機構により前記物品載置部の一部の領域に吸着させた状態で、該物品載置部に吸着された前記物品に重なっている状態の物品を返戻部により前記収容部に戻すことを特徴とする整列方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラバラの状態で供給された容器などの物品を所定の状態に整列させるための回転式整列装置、整列供給装置、及び整列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、洗剤、化粧用品などの液状物、あるいは、食品、薬品などの粉状や粒状物を容器に連続的に充填する場合、充填工程の前に、バラバラの状態で供給された容器を所定の状態に整列させる工程が設けられることが多い。このような容器の整列に回転式整列装置がしばしば用いられている。この種の回転式整列装置は、通常、容器などの物品が収容される収容部と、収容部上部の外周部に物品を並べて載置する物品載置部とを備えており、例えば、収容部底部を構成する傾斜回転円板の回転に伴って、収容部内の物品が物品載置部に整列されるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、案内体の上部周縁に該案内体と一体的に回転する物品送出帯を付設し、前記案内体内の物品を傾斜した回転支持体により前記物品送出帯に載置する物品送出装置が開示されている。
このような物品送出装置によれば、前記案内体内にバラバラの状態で供給された物品を前記回転支持体の作用により前記物品送出帯に載置した後、前記物品送出帯に設けられた取出部材から排出することが可能となっている。
【0004】
しかしながら、上記のような物品送出装置においては、前記回転支持体の回転速度を高めて、前記取出部材から物品を排出する能力、換言すれば、次工程への物品の供給能力を高めようとした場合に、前記物品送出帯上で物品同士が重なりやすくなる。特に、物品の厚みが薄くなるほど物品同士が重なりやすくなる。そして、物品同士が重なり合った状態のまま前記取出部材から排出されることとなり、物品が重なり合うことなく整列させた状態で排出することが難しいという課題があった。
【0005】
このような物品同士が重なるという課題を解決する技術として、特許文献2には、最上位の整列面の上方に、該整列面との間にワーク1個が余裕をもって通過可能な間隔を設けて平面視三角形状のかき落とし板を設けた振動式パーツフィーダが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、螺旋状の搬送路の出口側に、重なり合っている物品を前記搬送路上からかき落とすための回転羽根によるかき落とし部材が配設されている搬送装置が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、物品ストック部のバケットの搬送路の側壁部にエアノズルを設け、このエアノズルから前記物品ストック部の内側に向けてエアが常時吹き出すように構成された搬送装置が開示されている。
【0008】
特許文献2、3、4に開示された構成によれば、前記かき落とし板、前記回転羽根、又は前記エアノズルを設けることにより、重なり合っている物品をかき落としたり、吹き飛ばしたりすることで、物品同士の重なりを解消することができるとしている。
【0009】
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、特許文献2、3、4に開示された構成では、物品の種類や形状、物品同士の重なり方によっては、上に重なっている方の上段の物品だけを上手くかき落としたり、吹き飛ばしたりすることができず、重なり合ったまま通過したり、下段の物品も連れだって一緒にかき落とされたり、吹き飛ばされたりすることも多く、物品同士の重なりを解消しつつ、次工程への物品の供給能力を向上させることが難しいという課題があった。
【0010】
このような課題の具体例を以下に説明する。
図12は、エアノズルが設けられた従来の回転式整列装置の課題を説明するための模式図であり、(a)は物品載置部を含む要部平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図、(c)は(a)におけるc-c線断面図である。
【0011】
図12(a)に示すように、回転式整列装置200は、回転しながら収容部210から物品載置部220へ物品2が移動するように構成され、物品載置部220の外周部の近傍位置にエアノズル230が配設され、収容部210の中心方向に向けてエアを吹き出すように構成されている。
【0012】
図12(b)の左図に示すように、例えば、物品2の横断面が三角形状を有し、物品同士が図示したような状態で重なった場合、上に重なった方の物品2にエアを十分に吹き付けることができず、物品同士の重なりを解消できないことがあった。
【0013】
また、
図12(b)の右図に示すように、物品2の横断面が薄型矩形状を有し、物品同士が図示したような状態で重なった場合、上に重なった方の上段の物品2にのみエアを吹き付けることが難しく、物品同士の重なりを解消することができなかったり、またはエアの吹き出し位置や向き、吐出量の設定によっては、下段の物品2も連れだって一緒に吹き飛ばされたりすることがあった。
また、
図12(c)に示すような状態で物品同士の一部が重なり合った場合、上段の物品2にエアが一瞬しか当たらず、上段の物品2を効果的に吹き飛ばすことができないことがあった。
【0014】
図13は、回転羽根が設けられた従来の回転式整列装置の課題を説明するための模式図であり、(a)は物品載置部を含む要部平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図である。
回転式整列装置200Aは、
図13(a)に示すように、回転しながら収容部210から物品載置部220へ物品が移動するように構成され、物品載置部220の載置面の上方に、物品1個が通過可能な間隔を設けて回転羽根240が配設され、回転羽根240を回転させて、回転羽根240を上に重なった方の物品2に当てて収容部210に書き落とすようになっている。
図13(b)に示すように、物品2の横断面の形状が三角形状を有している場合、物品同士が
図13(b)に示すような向きで重なり合った場合、上に重なった方の上段の物品2とともに下段の物品2も連れだって一緒に収容部にかき落とされてしまうことがあった。
上記のような整列時の課題は、物品が容器である場合に限られるものではなく、例えば、物品が容器の蓋、特に厚みの薄い蓋(キャップ)のような場合でも同様の課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平9-71314号公報
【特許文献2】特開2000-219313号公報
【特許文献3】特開2000-281210号公報
【特許文献4】特開2001-335141号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、バラバラの状態で供給された物品同士の重なり合いを適切に解消しつつ、次工程への物品の供給能力を向上させることができる回転式整列装置、整列供給装置及び整列方法を提供することを目的としている。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る回転式整列装置(1)は、物品の収容部と、該収容部上部の外周部に前記物品を並べて載置する物品載置部とを備えた回転式整列装置であって、
前記収容部から前記物品載置部に移載された前記物品を前記物品載置部に吸着させる吸着機構と、
該吸着機構により前記物品載置部に吸着させている前記物品に重なっている状態の物品を前記収容部に戻す返戻部とを備えていることを特徴としている。
【0018】
上記回転式整列装置(1)によれば、前記収容部から前記物品載置部に移載された前記物品を前記吸着機構によって前記物品載置部に吸着させるので、該物品載置部に吸着されている前記物品に重なっている状態の物品だけが前記返戻部によって前記収容部に戻されることとなる。
したがって、前記物品載置部上で重なっている状態の物品を前記返戻部によって前記収容部に戻す際に、重なり合った物品同士が連れだって一緒に前記収容部に戻されるような、整列効率を低下させる現象を防ぐことができ、前記物品載置部での物品同士の重なり合いを適切に解消しつつ、次工程への物品の供給能力を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係る回転式整列装置(2)は、上記回転式整列装置(1)において、
前記物品載置部が、当該物品載置部の回転方向に沿って所定間隔を有して形成された複数の開孔を有する載置面を備え、
前記吸着機構が、
前記載置面の反対側から前記複数の開孔のうちの一部の開孔を覆うように配設される吸引ノズル部と、
該吸引ノズル部に取り付けられる吸引装置とを含んで構成され、
前記返戻部が、
前記吸引ノズル部と前記載置面を介して対向する領域上、又はその領域の近傍に配設されていることを特徴としている。
【0020】
上記回転式整列装置(2)によれば、前記物品載置部が前記複数の開孔を有する前記載置面を備え、前記吸着機構が、前記吸引ノズル部と前記吸引装置とを含んで構成され、前記返戻部が、前記吸引ノズル部と前記載置面を介して対向する領域上、又はその領域の近傍に配設されている。
したがって、前記吸引装置を作動させることにより、前記吸引ノズル部で覆われている領域の前記載置面に前記物品を吸着させた状態とし、前記載置面に吸着されている前記物品に重なっている状態の物品だけが前記返戻部によって前記収容部に戻されることとなる。
そのため、前記物品載置部で物品同士が重なり合っている状態が、前記吸引ノズル部で覆われている領域内で適切に解消され、前記物品の整列効率が低下することなく、次工程への物品の供給能力を向上させることができる。
また、前記吸着機構の構成を装置に組み込むことは容易であり、装置コストも抑えることができる。また、前記吸引ノズル部によって前記複数の開孔のうちの一部の開孔を覆う領域、すなわち吸着領域の調整が、前記吸引ノズル部の吸引口の大きさを調整することで容易に行える。
【0021】
また、本発明に係る回転式整列装置(3)は、上記回転式整列装置(1)又は(2)において、前記返戻部が、前記重なっている状態の物品を非接触方式で前記収容部に戻す非接触式返戻部を含んで構成されていることを特徴としている。
【0022】
上記回転式整列装置(3)によれば、前記返戻部が前記非接触式返戻部を含んで構成されているので、前記物品載置部に吸着されている物品に重なっている状態の物品だけを物理的接触のない状態で前記収容部に戻すことができる。
【0023】
また、本発明に係る回転式整列装置(4)は、上記回転式整列装置(1)又は(2)において、前記返戻部が、前記重なっている状態の物品を接触方式で前記収容部に戻す接触式返戻部を含んで構成されていることを特徴としている。
【0024】
上記回転式整列装置(4)によれば、前記返戻部が前記接触式返戻部を含んで構成されているので、前記物品載置部に吸着されている物品に重なっている状態の物品に前記接触式返戻部を物理的に接触させて、前記重なっている状態の物品だけを前記収容部に確実に戻すことができる。
【0025】
また、本発明に係る回転式整列装置(5)は、上記回転式整列装置(1)又は(2)において、前記返戻部が、
前記重なっている状態の物品を非接触方式で前記収容部に戻す非接触式返戻部と、
前記重なっている状態の物品を接触方式で前記収容部に戻す接触式返戻部とを含んで構成されていることを特徴としている。
【0026】
上記回転式整列装置(5)によれば、前記返戻部が、前記非接触式返戻部と、前記接触式返戻部とを含んで構成されているので、これらを組み合わせることによって、前記物品載置部に吸着されている物品に重なっている状態の物品だけを前記収容部に戻す動作をより確実に行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る回転式整列装置(6)は、上記回転式整列装置(3)又は(5)において、前記非接触式返戻部が、前記収容部の方向に気体を噴射するように構成されているものであることを特徴としている。
【0028】
上記回転式整列装置(6)によれば、前記重なっている状態の物品に前記気体を噴射することにより、前記重なっている状態の物品を物理的接触のない状態で前記収容部に戻すことができる。
【0029】
また、本発明に係る回転式整列装置(7)は、上記回転式整列装置(4)又は(5)において、前記接触式返戻部が、前記重なっている状態の物品を前記収容部にかき落とすように構成されているものであることを特徴としている。
【0030】
上記回転式整列装置(7)によれば、前記重なっている状態の物品を前記収容部にかき落とすように前記接触式返戻部を物理的に接触させることで、前記重なっている状態の物品を確実に前記収容部に戻すことができる。
【0031】
また、本発明に係る回転式整列装置(8)は、上記回転式整列装置(1)~(5)のいずれかにおいて、
前記返戻部によって重なっている状態が解消された前記物品を前記物品載置部から排出する排出部を備えていることを特徴としている。
【0032】
上記回転式整列装置(8)によれば、前記排出部を備えているので、前記吸着機構と前記返戻部の作用によって、重なり合っている状態が解消された前記物品を前記物品載置部から次の工程に効率良く排出することができる。
【0033】
また、本発明に係る整列供給装置(1)は、上記回転式整列装置(1)~(7)のいずれかと、
前記吸着機構及び前記返戻部が配設された領域を通過した後の前記物品載置部に位置する前記物品を保持する保持部を備え、隣接する搬送装置に、前記保持部により保持された前記物品を所定の姿勢で載置するピッキングロボットと、
撮像装置による画像を基に、前記吸着機構及び前記返戻部が配設された領域を通過した後の前記物品載置部に並べられた前記物品を認識し、前記ピッキングロボットによる前記物品の保持と前記搬送装置への移し替えを制御する制御部とを含んで構成されていることを特徴としている。
【0034】
上記整列供給装置(1)によれば、前記回転式整列装置の前記収容部にバラバラに供給された物品が、前記物品載置部上で重なり合った場合でも、前記吸着機構と前記返戻部の作用により物品同士の重なり合いを適切に解消し、前記物品を前記物品載置部に効率良く整列させることが可能となる。
そのため、前記ピッキングロボットが配設された位置に前記物品を安定的に移動させることができ、前記ピッキングロボットによる前記物品の保持と、前記搬送装置への物品の移し替えを円滑、かつ効率良く行うことができる。
また、上記整列供給装置の場合には、前記ピッキングロボットを、前記回転式整列装置と前記搬送装置との間に配置することができるので、前記保持部で前記物品載置部上の前記物品を保持する位置と、前記搬送装置との間の距離を短くすることができる。そのため前記回転式整列装置から前記搬送装置への前記物品の移し替えに要する時間を短縮でき、前記物品を効率的に移し替えることができ、次工程への前記物品の供給能力を向上させる効果を高めることができる。
【0035】
また、本発明に係る整列供給装置(2)は、上記整列供給装置(1)において、
前記撮像装置が、前記物品の3次元画像を撮像する3Dカメラを含み、
前記制御部が、前記3Dカメラで撮像された3D画像データを、前記物品の3次元CADデータと教師データとを利用した機械学習によって生成された学習済みモデルに入力し、前記3D画像データ中の物品の認識結果を出力する照合部を備えていることを特徴としている。
【0036】
上記整列供給装置(2)によれば、前記制御部が、前記3Dカメラで撮像された前記物品の奥行(深度)情報を含む3D画像データを、前記物品の3次元CADデータと教師データとを利用した機械学習によって生成された学習済みモデルに入力し、前記3D画像データ中の物品の認識結果を出力するように構成されている。そのため、前記物体を認識する画像処理の高速化を図ることができ、前記物品が複雑な形状を有したものであっても、前記ピッキングロボットによる前記物品の保持と、前記搬送装置への物品の移し替えを高速かつ精度良く行うことが可能となる。
また、前記3Dカメラを用いることにより、撮像時の補助照明が不要となり、また外乱光を防ぐための照明BOXのような装備も不要となり、前記物品を撮像するための装備を減らすことができる。
また、前記3Dカメラを用いることにより、前記物品の色に応じて前記物品載置部の色を変えたりする必要もなくなるため、前記回転式整列装置で整列供給対応可能な前記物品の種類を増やすことができる。
【0037】
また、本発明に係る整列方法は、物品の収容部と、該収容部上部の外周部に前記物品を並べて載置する物品載置部とを備えた回転式整列装置を用いて、前記物品載置部に前記物品を整列させる方法であって、
前記収容部から前記物品載置部に移載された前記物品を吸着機構により前記物品載置部の一部の領域に吸着させた状態で、該物品載置部に吸着された前記物品に重なっている状態の物品を返戻部により前記収容部に戻すことを特徴としている。
【0038】
上記整列方法によれば、前記収容部から前記物品載置部に移載された前記物品を前記吸着機構により前記物品載置部の一部の領域に吸着させるため、前記重なっている状態の物品を前記返戻部により前記収容部に戻す際に、重なり合った物品同士が連れだって一緒に前記収容部に戻されるような、整列効率を低下させる現象を防ぐことが可能となり、前記物品載置部での物品同士の重なり合いを適切に解消しつつ、次工程への物品の供給能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施の形態に係る回転式整列装置の構成例を示す要部平面図である。
【
図2】
図1におけるII-II線要部断面図である。
【
図3】別の実施の形態に係る回転式整列装置の構成例を示す要部断面図である。
【
図4】さらに別の実施の形態に係る回転式整列装置の構成例を示す要部断面図である。
【
図5】実施の形態に係る回転式整列装置における吸着機構と返戻部が設けられている物品載置面付近を示す要部部分断面図であり、(a)~(c)は、物品同士の重なり合いを解消する工程の一場面を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る回転式整列装置を含む整列供給装置の構成例を示す要部平面図である。
【
図7】
図6におけるVII-VII線要部断面図である。
【
図8】回転式整列装置における物品載置部の別の構成例を示す要部部分断面図であり、(a)~(c)は、プレートの形態の違いを示す図である。
【
図9】実施の形態に係る整列供給装置における制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態に係る整列供給装置における制御部のピッキングロボットによる物品の移し替えを制御する機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】別の実施の形態に係る回転式整列装置の一例を示す図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるb-b線要部断面図である。
【
図12】エアノズルが設けられた従来の回転式整列装置の課題を説明するための模式図であり、(a)は物品載置部を含む要部平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図、(c)は(a)におけるc-c線断面図である。
【
図13】回転羽根が設けられた従来の回転式整列装置の課題を説明するための模式図であり、(a)は物品載置部を含む要部平面図、(b)は(a)におけるb-b線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態に係る回転式整列装置、整列供給装置、及び整列方法を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0041】
図1は、実施の形態に係る回転式整列装置の構成例を示す要部平面図である。
図2は、
図1におけるII-II線要部断面図である。
図1、2に示すように、回転式整列装置20は、図示しない供給搬送機により供給された物品2を収容する収容部21と、収容部21の上部の外周部に物品2を並べて載置する物品載置部24とを備えている。
収容部21は、傾斜した状態で回転し底部を構成する傾斜回転円板22と、傾斜回転円板22の外周部に位置する回転外周壁23とを含んで構成されている。
【0042】
回転外周壁23は、
図2に示すように、架台25に固定された第1の基台26によって支持され、傾斜回転円板22は、第2の基台27によって支持され、第2の基台27は、円筒体28と第1の基台26とによって支持されている。円筒体28は、その上端部が第2の基台27に固定され、下端部が第1の基台26に固定されている。
【0043】
回転外周壁23は、ボウル型内壁23aと、ボウル型内壁支持部23bとを含んで構成されている。ボウル型内壁23aは、傾斜回転円板22の外周部に近接するように配置され、その内径が下部に比べ上部の方が大きく、底部が開口した形状を有している。ボウル型内壁23aの上端部と物品載置部24とが、ボウル型内壁支持部23bの上端開口部に支持された状態で固定され、ボウル型内壁支持部23bの底部中央部が回転支持体26bに固定されている。
【0044】
回転支持体26bは、第1の基台26に固定されたモータ26aのギア26cと噛み合うように取り付けられている。上記構造により、ブラシレスモータなどからなるモータ26aの回転が、ギア26c、回転支持体26bを介してボウル型内壁支持部23bに伝達されて、回転外周壁23が回転駆動するように構成されている。
【0045】
傾斜回転円板22は、水平面に対して傾斜した回転軸回りに回転するように第2の基台27に取り付けられており、その外周部がボウル型内壁23aに近接するように配設されている。第2の基台27には、ブラシレスモータなどからなるモータ27aが水平面に対し回転軸を傾斜させて固定されている。上記構造により、回転軸が傾斜したモータ27aの回転が、ギア27bを介して傾斜回転円板22に伝達されて、傾斜回転円板22が回転駆動するように構成されている。このように、回転外周壁23と傾斜回転円板22とがそれぞれ別々の駆動装置によって回転する構造となっている。
【0046】
なお、
図1、2に示す構成例では、傾斜回転円板22の外周部は、回転中心の右側がもっとも高く、左側がもっとも低くなっている。傾斜回転円板22の外周部には、外側の方が低い、言い換えると下向きに傾斜した滑り出し部22aを設けることが好ましい。さらに、傾斜回転円板22の滑り出し部22aの端部と、物品載置部24の載置面24bの内側端部の高さが、傾斜回転円板22のもっとも高い位置でほぼ同じレベルになるようにすることが好ましい。上記の構成とすることによって、物品2が、より円滑、かつ確実に収容部21から物品載置部24に移動することとなる。
【0047】
また、傾斜回転円板22の外周部とボウル型内壁23aとの隙間は、その隙間から物品2が落下しないように、できるだけ狭くなるように設定されている。また、傾斜回転円板22の水平面に対する角度は、物品2の重さ、大きさ、形状等の条件により異なるものの、例えば、10°~30°程度に設定されることが好ましい。このように、回転外周壁23と傾斜回転円板22とは、水平面に対し異なった角度で別々の駆動装置で回転するように構成されている。なお、傾斜回転円板22は、外周部に滑り出し部22aを備えているが、傾斜回転円板22は、滑り出し部22aを有していない平円板形状であってもよく、この場合の傾斜回転円板22の水平面に対する角度は、物品2の種類等に応じて、例えば、10°~45°程度に設定することができる。
【0048】
物品載置部24は、円環状の載置面24bを有し、ボウル型内壁23aの上端部に外向きに設けられている。物品載置部24の円環状の幅は、物品2を載置させるために物品2の胴部の幅より大きくなっている。また、物品載置部24の外周部には物品2の落下防止壁24aが設けられている。落下防止壁24aは、物品載置部24の載置面24bの外周縁部に固定されているが、別の構成例では、物品載置部24の載置面24bとは固定しない構成としてもよい。
【0049】
また、物品載置部24における物品2の載置面24bには、物品載置部24の回転方向(円周方向)に沿って所定間隔で複数の開孔24cが形成されている。これら複数の開孔24cは、後述する吸着機構30によって物品2を物品載置部24に吸着させるために形成されている。
【0050】
図1、2に示す例では、複数の開孔24cが、物品載置部24の回転方向に2列に設けられているが、1列でもよいし、3列以上で設けてもよい。また、複数の開孔24cの孔径や間隔は、物品載置部24の円環状の幅、整列対象となる物品2の大きさや形状などを考慮して、物品2を物品載置部24に吸着させることができる孔径や配置間隔に設定されている。
【0051】
さらに、回転式整列装置20は、特徴的構成として、収容部21から物品載置部24に移載された物品2を物品載置部24に吸着させる吸着機構30と、吸着機構30により物品載置部24に吸着させている物品2に重なっている状態の物品2を収容部21に戻すための返戻部40とを備えている。
【0052】
吸着機構30は、物品載置部24の載置面24bの反対側(下面側)から複数の開孔24cのうちの一部の開孔24cを覆うように配設される吸引ノズル部31と、吸引ノズル部31に取り付けられる吸引装置32とを含んで構成されている。
【0053】
吸引ノズル部31は、一部の開孔24cを覆う大きさを有し、載置面24bの一部に吸着領域24dを形成する吸引口31aと、吸引装置32に接続される接続口31bとを備えている。吸引口31aの大きさ、換言すれば、吸着領域24dの大きさは、返戻部40の構成、その配設位置等を考慮して、物品2の重なり合いを解消する機能を発揮できる大きさに設定される。例えば、吸引口31aの大きさは、円環状の載置面24bの4分の1以下の領域を覆う大きさに設定することが好ましい。
【0054】
吸引装置32は、吸引ノズル部31の接続口31bに一端側が接続される吸引ホース32aと、吸引ホース32aの他端側に接続される吸引ブロアなどからなる吸引駆動部32bとを含んで構成されている。
【0055】
返戻部40は、物品載置部24の回転方向から順に、エア噴射部41と、回転羽根部42とを含んで構成されている。
エア噴射部41は、物品載置部24の載置面24b上で重なっている状態の物品2を非接触方式で収容部21に戻すための非接触式返戻部の一例であり、圧縮空気などの気体を噴射するエアノズル41aを備えている。エアノズル41aは、ブロアポンプ又はコンプレッサーなどを備えたエア供給源41bに接続され、エア供給源41bからエアノズル41aに圧縮空気が送り込まれるようになっている。なお、エア供給源41bは、必ずしも回転式整列装置20内に装備する必要はなく、別の構成例では、回転式整列装置20の外部に設けられたエア供給源からエアノズル41aに圧縮空気が送り込まれる構成としてもよい。
【0056】
エア噴射部41は、吸引ノズル部31の吸引口31aと物品載置部24を介して対向する領域、すなわち吸着領域24dの近傍に配設されており、吸着領域24dで重なっている状態の物品2に向けてエアを噴射する機能を備えている。
【0057】
エアノズル41aの形態は特に限定されない。物品2の種類、形状、大きさなどを考慮して、噴射口が1つのストレートタイプや噴射口が複数個並べられたフラットタイプのエアノズル41aなど異なる形態のものを選択することが可能である。また、エアノズル41aは、物品載置部24の回転方向、及び/又は落下防止壁24aの高さ方向に所定の間隔を設けて複数配置するようにしてもよい。落下防止壁24aには、エアノズル41aが設けられる高さ位置に通孔24aaが設けられている。
【0058】
回転羽根部42は、物品載置部24の載置面24b上で重なっている状態の物品2を接触方式で収容部21に戻すための接触式返戻部の一例であり、例えば、4枚以上の平羽根42aを備え、平羽根42aの回転軸42bが、物品載置部24の円環方向に略水平に設けられている。そして、平羽根42aの回転軸42bが、図示しない回転駆動部に接続されており、該回転駆動部を作動させることにより、平羽根42aが、重なっている上段の物品2を収容部21にかき落とす方向に所定の回転速度で回転するように構成されている。なお、回転羽根部42は、3枚以下の平羽根42aを備えた構成であってもよいし、平羽根42aに代えて、先端側にブラシが設けられたブラシ付き羽根を備えた構成であってもよいし、ローラ型ブラシで構成してもよい。
【0059】
回転羽根部42は、吸引ノズル部31の吸引口31aと物品載置部24を介して対向する領域上、すなわち、吸着領域24d上に配設されており、物品載置部24の回転方向の手前にあるエア噴射部41によるエアの噴射によっても重なりが解消されていない状態の物品2を収容部21にかき落とす機能を備えている。
【0060】
なお、上記構成例では、返戻部40が、エア噴射部41と、回転羽根部42とを含んで構成されているが、別の構成例では、返戻部40が、エア噴射部41のみ、又は複数のエア噴射部41で構成されてもよいし、さらに別の構成例では、返戻部40が、回転羽根部42のみ、又は、複数の回転羽根部42で構成されてもよい。
【0061】
また、回転式整列装置20には、収容部21内の物品2の量を検出する手段や、物品載置部24上に載置された物品2の整列状態(向きなど)を検出する手段がさらに設けられてもよい。
収容部21内の物品2の量を検出する手段は、例えば、レーザー照射部と撮像部とを含んで構成され、収容部21内にレーザー光を照射し、レーザー光に照射された物品2を撮像部で撮影し、得られた画像を解析することによって物品2の量を求め、収容部21内における物品2の過不足を判断する構成とすることができる。レーザー光を用いる場合には、例えば、線状のレーザー光を照射し、物品2に照射された際のレーザー光の状態を検出すればよいので、単に画像を解析する場合に比べて、より簡単に物品2の有無を検出することができる。そして検出結果のデータを基に、物品2が所定の量以下になったと判断された場合には、図示しない供給搬送機を介して、物品2を回転式整列装置20の収容部21に送り込むように構成すればよい。
【0062】
また、回転式整列装置20では、ボウル型内壁23aの上端部と物品載置部24とが、ボウル型内壁支持部23bの上端開口部に支持された状態で固定されているが、ボウル型内壁23aとボウル型内壁支持部23bとの取付け構造は、これに限定されない。
【0063】
図3に示すように、別の実施の形態に係る回転式整列装置20Aでは、物品載置部24がボウル型内壁23aの上端開口部に支持された状態で固定され、ボウル型内壁支持部23bの上端開口部が、ボウル型内壁23aの下部外周面に固定される構成としてもよい。係る取付け構造とすることにより、吸引ノズル部31を配設するスペースをより広く確保することができ、また、物品載置部24の載置面24bのより内側に開孔24cを設けることが可能となる。
【0064】
また、傾斜回転円板22と回転外周壁23とを回転駆動させるためのモータ27a、26a等の取付け構造は、
図2に示した構造に限定されるものではなく、別の構成例では、
図4の要部断面図に示すような取付け構造であってもよい。
【0065】
図4に示す別の実施の形態に係る回転式整列装置20Bでは、ボウル型内壁23aの底部にボウル型内壁支持部23bが固定され、ボウル型内壁支持部23bの下部に円環状の回転支持体26dが固定され、回転支持体26dの外周ギア歯面とモータ26aのギア26cとが噛み合うように取り付けられ、モータ26aが第1の基台26Aに取り付けられている。第1の基台26Aは、ベアリング26eを介してボウル型内壁支持部23bを支持する構成となっている。また、第1の基台26Aは架台25に固定されている。
上記構造により、モータ26aの回転が、ギア26c、回転支持体26dを介してボウル型内壁支持部23bに伝達されて、ベアリング26eを介して回転外周壁23が回転駆動するように構成されている。
【0066】
また、傾斜回転円板22は、水平面に対して傾斜した回転軸回りに回転するように第2の基台27Aに取り付けられ、第2の基台27Aには、モータ27aが水平面に対し回転軸を傾斜させて固定されている。また、第2の基台27Aは架台25に固定されている。
上記構造により、モータ27aの回転が、ギア27bを介して傾斜回転円板22に伝達されて、傾斜回転円板22が回転駆動するように構成されている。係る取付け構造によれば、傾斜回転円板22の回転動作の安定性をより高めることが可能となる。
【0067】
次に、実施の形態に係る回転式整列装置20による物品2の整列動作について説明する。
回転式整列装置20が整列対象としている物品2は、例えば、液体、粉体、粒状体などが詰め込まれる容器であり、内容物が出し入れされる口部を有する頭部と、該頭部に比べて面積が大きい底部とを備えているものである。前記頭部と前記底部との間の胴部に相当する部分は、横断面が円形、楕円形、略四角形、略三角形、その他の形でもよく、容器側面が前記底部から前記頭部にかけて湾曲しているものなどであってもよい。また、前記胴部が偏平で、内容物を出し入れする口部が偏平な胴部の一方側に設けられた形状の容器であってもよい。
以下の説明では、物品2が、胴部の厚みが薄い形状を有する軽量の薄型ボトルである場合について説明する。
【0068】
回転式整列装置20は、傾斜回転円板22と回転外周壁23との作用により、回転外周壁23の上部外側に形成された円環状の物品載置部24に、物品2の頭部と底部の向きを円周方向に向けて、物品2を整列して載置させる装置である。
【0069】
傾斜回転円板22とボウル型内壁23aとで構成された収容部21内に物品2が搬入された状態で、傾斜回転円板22及びボウル型内壁23aを含む回転外周壁23を回転させる。この回転動作とともに、吸着機構30及び返戻部40も動作させる。すなわち、吸引駆動部32bを駆動させて、吸引ノズル部31が配設された吸着領域24dでの物品2の吸着動作を行い、また、エア噴射部41のエアノズル41aからエアを噴射する動作と、回転羽根部42の平羽根42aを回転させる動作とを行う。
【0070】
なお、収容部21から物品載置部24への物品の移動が円滑に進むように、傾斜回転円板22及び回転外周壁23の回転方向は同じであり、回転速度も、ほぼ同じ速度に設定されている。ただし、物品2の形状、大きさ等の条件によっては、傾斜回転円板22の回転速度と回転外周壁23の回転速度とが異なる方がよい場合もあるので、そのような場合には、適宜両者の回転速度が個別に設定される。
【0071】
傾斜回転円板22及びボウル型内壁23aを回転させると、収容部21内の物品2は、
図1に示すように、傾斜回転円板22及びボウル型内壁23aの回転に伴って収容部21内で円周方向に回転移動する。この回転移動に伴い、物品2に遠心力が発生し、物品2は傾斜回転円板22の中心部から外周側に向けて移動する。そして外周側に向けての移動が進み、物品2が傾斜回転円板22のもっとも高い位置、換言すれば、物品2が傾斜回転円板22上で物品載置部24の高さ位置(
図1、2の右側)に到達すると、物品2は、傾斜回転円板22上から物品載置部24に対して押し出されるようにして、物品載置部24の載置面24b上に移動する。
【0072】
なお、物品2が、回転移動に伴い発生する遠心力が小さいもの、例えば、軽量のものである場合、又は扁平形状等のため傾斜回転円板22等との摩擦が多い形状のものである場合には、傾斜回転円板22から物品載置部24への物品2の移動を補助する手段として、例えば、傾斜回転円板22が最も高くなる位置付近に、物品載置部24へ向けてエアを噴射するエアノズルなどをさらに設けてもよい。
【0073】
載置面24b上に移動した物品2は、その長さ方向が落下防止壁24aに沿った状態で1列に整列されることとなる。
このとき、物品2が重なり合った状態で載置面24b上に移動した場合、吸着機構30及び返戻部40が配設された吸着領域24dにおいて、
図5に示すように、吸着機構30と返戻部40の動作により物品2の重なり合いが解消されるようになっている。
図5(a)~(c)は、回転式整列装置20における吸着機構30及び返戻部40が設けられている吸着領域24d付近を示す要部部分断面図である。
【0074】
図5(a)は、吸着機構30により下段の物品2を載置面24bに吸着させた状態としつつ、エアノズル41aから噴射するエアにより上段の物品2だけを収容部21内に吹き飛ばしている状態を示している。
図5(a)に示すように、物品2の横断面が三角形状を有し、物品同士が図示したような状態で重なり合った状態で吸着領域24d内に入ると、吸着機構30による吸引動作によって下段の物品2が載置面24bに吸着される。
【0075】
そして、下段の物品2が載置面24bに吸着された状態で物品載置部24が回転し、重なり合った物品2がエアノズル41aと対面する位置に到達すると、エアノズル41aから噴射されたエアが、重なり合った物品2に当たる(右図参照)。このとき下段の物品2は載置面24bに吸着しているため、上段の物品2だけが収容部21内に吹き飛ばされて、物品同士の重なり合いが解消されることとなる(左図参照)。その後、下段の物品2だけが載置面24b上に載置されたまま回転移動する。
【0076】
図5(b)は、
図5(a)に示したエアノズル41aから噴射されるエアでは上手く上段の物品2を吹き飛ばすことができずに、エア噴射部41の後段に設けられた回転羽根部42により上段の物品2だけを収容部21内にかき落としている状態を示している。
【0077】
図5(b)に示すように、重なり合った物品2のうち下段の物品2が載置面24bに吸着された状態で、
図5(a)に示した位置から物品載置部24がさらに回転し、重なり合った物品2が回転羽根部42の位置に到達すると、回転している平羽根42aが、重なり合った物品2に当たる。このとき下段の物品2は載置面24bに吸着しているため、上段の物品2だけが収容部21内にかき落とされて、物品同士の重なり合いが解消されることとなる(左図参照)。その後、下段の物品2だけが載置面24b上に載置されたまま回転移動する。
【0078】
図5(c)は、物品載置部24の回転方向に物品同士の一部が重なり合った場合において、エアノズル41aから噴射されるエアでは上手く上段の物品2を吹き飛ばすことができずに、エア噴射部41の後段に設けられた回転羽根部42により上段の物品2だけを収容部21内にかき落としている状態を示している。
【0079】
図5(c)に示すように、重なり合った物品2のうち下段の物品2が載置面24bに吸着された状態で、一部が重なり合った物品2が回転羽根部42の位置に到達すると、回転している平羽根42aが、重なり合った物品2に当たる。このとき下段の物品2は載置面24bに吸着しているため、上段の物品2だけが収容部21内にかき落とされて、物品同士の重なり合いが解消されることとなる(左図参照)。その後、下段の物品2だけが載置面24b上に載置されたまま回転移動する。
【0080】
重なり合った状態が解消されて載置面24bに整列した物品2は、その後、物品載置部24から、適宜図示しない搬送装置に移し替えられるようになっている。物品載置部24から前記搬送装置に移し替えられなかった物品2は、回転移動を継続させてもよいし、エアを噴射したりして、収容部21内に戻すようにしてもよい。
【0081】
次に上記した回転式整列装置20を含む整列供給装置の一例を説明する。
図6は、実施の形態に係る回転式整列装置20を含む整列供給装置50の構成例を示す要部平面図である。
図7は、
図6におけるVII-VII線要部断面図である。
図6、7に示した整列供給装置50は、
図1、2に示した回転式整列装置20に、ピッキングロボット60、撮像装置65、及び搬送装置70が組み合わされた装置である。
【0082】
整列供給装置50は、回転式整列装置20の物品載置部24に整列させた物品2をピッキングロボット60により保持し、ベルトコンベアなどの搬送装置70に対し、物品2を所定の姿勢、例えば、起立状態に整列された状態で移し替える装置である。
回転式整列装置20には、
図1、2を参照して説明したように、吸着機構30と返戻部40(エア噴射部41と回転羽根部42)とが装備されており、物品載置部24での物品同士の重なり合いが適切に解消され、物品載置部24には物品2が1列に効率良く整列して載置されるようになっている。
【0083】
また、回転式整列装置20は、
図8(a)~(c)の要部部分断面図に示すように、物品載置部24の載置面24b上に、円環状のプレート24e、24g、24hを配設してもよい。プレート24e、24g、24hは、載置面24bに形成された複数の開孔24cと重なる位置に複数の開孔24fが形成されている。
【0084】
図8(a)に示したプレート24eは、上面が略水平な形状となっている。
図8(b)に示したプレート24gは、上面の内側部分が傾斜した形状、例えば、傾斜回転円板22の滑り出し部22aの傾斜に合わせて傾斜した形状となっている。また、
図8(c)に示したプレート24hは、上面全体が傾斜した形状、例えば、傾斜回転円板22の滑り出し部22aの傾斜に合わせて傾斜した形状となっている。
【0085】
また、プレート24e、24g、24hの高さは、物品2の形状やエアノズル41aの高さ位置を考慮して、重なり合った上段の物品2にエアを当てることができるように設定することが好ましい。
また、プレート24e、24g、24hは、物品2の色に応じて使い分けされるように、色が異なる複数種類のものをセットとして備えてもよい。
また、プレート24e、24g、24hのように、物品2の形状等に対応させて、水平面となす角度が異なる種類のものをセットとして備えてもよい。
このように物品載置部24が、色、及び/又は形状が異なる複数種類のプレート24e、24g、24hを備える構成とすることにより、物品2の色や形状に応じて、プレート24e、24g、24hの中から適切なものを選択して使用することが可能となる。
【0086】
ピッキングロボット60は、3自由度以上の多自由度の動作が可能なパラレルリンクロボットで構成されており、本体部61と、本体部61に取り付けられた複数のピッキングアーム62と、ピッキングアーム62のヘッド部63に設けられた保持部64とを備えている。各ピッキングアーム62は、複数のリンク(ジョイント)と複数のアームとを含んで構成されている。保持部64は、回転式整列装置20の物品載置部24に整列させた物品2を保持する手段であり、例えば、真空吸着式の吸着パッドで構成されている。
【0087】
撮像装置65は、ピッキングロボット60と吸着領域24dとの間の載置面24b上方に配設されている。撮像装置65は、例えば、物品2の3次元画像を撮像することが可能な左右一対の3Dカメラユニットを含んで構成され、回転する載置面24b上の物品2を認識できるように所定のフレームレート(fps)で動画像を撮影するようになっている。
【0088】
ピッキングロボット60は、保持部64により保持された物品2を、隣接する搬送装置70上に、所定の姿勢、例えば、物品2の頭部を上に、底部を下にして立てた起立姿勢で載置する装置である。なお、物品2の胴部が偏平状で、内容物の出し入れをする口部が偏平な胴部に設けられている形状の物品2の場合には、口部がある側の胴部を上にして横に寝かせた姿勢で、物品2を搬送装置70上に載置するようにしてもよい。
【0089】
ピッキングロボット60は、
図6に示すように、ロボット支持台66に固定されており、本体部61が、回転式整列装置20の上方で、その中心部が回転式整列装置20の外周近傍に位置するように取り付けられている。また、ロボットハンドを構成するピッキングアーム62のヘッド部63が、回転式整列装置20の物品載置部24に近接した高さに位置するように構成されている。さらに、ピッキングロボット60は、搬送装置70に近接して配置されている。そして、ピッキングアーム62の先端に取り付けられた保持部64は、回転式整列装置20の物品載置部24と搬送装置70の間に位置し、回転移動する物品載置部24が搬送装置70に近接する領域に位置するように配置されている。そのため、物品2が保持部64に保持されてから、搬送装置70に載置されるまでの物品2の移動距離が短くなっており、物品2の移し替えに要する時間も短くすることができる。
【0090】
このようなピッキングロボット60で物品2を保持する位置と、物品2を移し替える先の搬送装置70との位置関係は、回転式整列装置20と、ピッキングロボット60と、搬送装置70との組合せによって得られるものである。
なお、搬送装置70の移動方向は、ピッキングロボット60が物品2を保持する位置における回転式整列装置20の物品載置部24の移動方向(回転方向)と同じでもよく、逆方向でもよい。
また、上記したピッキングロボット60には、市販されている汎用のロボットを適用することができ、上記したパラレルリンクロボットの他に、水平多関節ロボット(スカラロボット)、垂直多関節ロボットなどが適用可能である。
【0091】
整列供給装置50は、回転式整列装置20の各部の動作、ピッキングロボット60の各部の動作、保持部64の動作、及び撮像装置65の動作などを制御する制御部51(
図9参照)を備えている。
【0092】
図9のブロック図に示すように、制御部51は、そのハードウェア構成として、1以上のCPU52、ROM53、RAM54、入出力部55、及び通信部56を含んで構成されている。CPU52は、ROM53に格納されている各種のプログラムを読み込んで実行する。RAM54には、CPU52で処理したデータなどが読み出し可能に記憶され、記憶されたデータはCPU52でブログラムを実行する際に適宜読み出される。入出力部55は、撮像装置65からの撮像データや図示しない装置の操作盤などからの入力データなどを入力したり、制御部51から各部へ信号を出力したりするのに用いられる。通信部56は、通信ネットワークを介して、整列供給装置50を構成する各装置の制御等に必要なデータのやり取りをするのに用いられる。通信部56は、無線通信、及び/又は有線通信を行うことができる通信モジュール又は通信デバイスで構成されている。
【0093】
制御部51は、例えば、回転式整列装置20における収容部21内の物品量の制御を行う。また、制御部51は、撮像装置65で撮像された画像データを基に、吸着機構30及び返戻部40が配設された吸着領域24dを通過した後の載置面24bに並べられた物品2を認識し、ピッキングロボット60による物品2の保持と搬送装置70へ移し替えるピッキング制御などを行う。
【0094】
図10は、実施の形態に係る整列供給装置50における制御部51のピッキングロボット60による物品の移し替えを制御するシステムの機能構成例を示すブロック図である。
この制御システム51Aは、入力部55A、ピッキング制御ユニット52A、及び出力部55Bを含んで構成されている。
【0095】
入力部55Aには、撮像装置65から得られる3Dカメラユニットの左右の画像データから合成された物品の3D画像データ、物品の3次元CADデータを利用した機械学習により予め生成された学習済みモデル、前記操作盤などから入力される物品の数などの物品データ、回転式整列装置20や搬送装置70の操業条件などの装置データが入力される。また、
図9に示したROM53、RAM54に格納されているデータも適宜入力される。
【0096】
前記学習済みモデルは、図示しない教師データ生成装置と人工知能(AI)学習装置とを備えた機械学習システムにより予め生成されたモデルである。前記機械学習システムは、コンピュータ装置で構成されている。
前記教師データ生成装置は、物品の3次元CADデータ、物品の保持位置情報、現実のピッキング操作環境で想定される様々な光学条件、物品の傾きなどの様々な物理条件などに基づいて複数の教師データを生成し、前記AI学習装置に提供する。
そして該AI学習装置は、物品の3次元CADデータと前記教師データ生成装置から提供された教師データとを利用して機械学習を実施する。
前記学習済みモデルは、前記AI学習装置による前記機械学習の結果、出力されるモデルであり、物品の3次元CADデータから抽出した特徴量を示すニューラルネットワークの構造と、各リンクの重み付け等の学習済みパラメータとを含む推論用プログラムであり、
図9に示すROM53に記憶されている。
【0097】
ピッキング制御ユニット52Aは、照合部、物品形状・位置・姿勢判定部、物品保持制御部、及び物品移動制御部などを含んで構成されている。
前記照合部は、撮像装置65で撮像された3D画像データを前記学習済みモデルに入力し、3D画像データ中の物品の認識結果を出力する。この認識結果には、物品の形状、位置、及び姿勢に関する情報が含まれており、さらに、ピッキングロボット60による物品の保持位置に関する情報も含まれている。なお、前記照合部が行う前記学習済みモデルを用いた画像認識処理は適宜公知の処理方法を採用することができる。
【0098】
前記物品形状・位置・姿勢判定部は、前記照合部で照合できた物品を特定し、該物品の形状、位置、及び姿勢(向きや傾きを含む)を判定する処理を行う。
前記物品保持制御部は、前記物品形状・位置・姿勢判定部で判定された情報に基づいて、保持部64による物品の保持位置を決定し、該保持位置に保持部64を移動させるための各ピッキングアーム62の移動量や移動角度などの制御データを算出し、ピッキングロボット60に出力する。
【0099】
前記物品移動制御部は、物品載置部24での保持部64による物品の保持位置から搬送装置70に物品を移し替えるための各ピッキングアーム62の移動量や移動角度などの制御データを算出し、ピッキングロボット60に出力する。
ピッキングロボット60は、前記物品保持制御部と前記物品移動制御部からの制御データに基づいて、各ピッキングアーム62と保持部64とを動作させて、物品2を物品載置部24から搬送装置70の所定の位置に所定の姿勢で移し替える動作を行う。
【0100】
上記実施の形態に係る回転式整列装置20によれば、物品載置部24が複数の開孔24cを有する載置面24bを備え、吸着機構30が、吸引ノズル部31と吸引装置32とを含んで構成されている。また、返戻部40を構成するエア噴射部41が、吸引ノズル部31と載置面24bを介して対向する吸着領域24dの近傍に配設され、また、回転羽根部42が、その吸着領域24d上に配設されている。
【0101】
したがって、吸引装置32を作動させることにより、吸引ノズル部31で覆われている吸着領域24dの載置面24bに物品2を吸着させた状態とし、載置面24bに吸着されている物品2に重なっている状態の物品2だけがエア噴射部41又は回転羽根部42によって収容部21に戻されることとなる。
そのため、物品載置部24で物品同士が重なり合っている状態が、載置面24bの吸着領域24d内で適切に解消され、物品2の整列効率が低下することなく、次工程への物品の供給能力を向上させることができる。
また、吸着機構30の構成を装置に組み込むことは容易であり、装置コストも抑えることができる。また、吸着領域24dの調整が、吸引ノズル部31の吸引口31aのサイズを調整することで容易に行える。
【0102】
また、返戻部40が非接触式のエア噴射部41を含んで構成されているので、吸着領域24dで載置面24bに吸着されている物品2に重なっている状態の物品2だけを物理的接触のない状態で収容部21に戻すことができる。
【0103】
また、返戻部40として、接触式の回転羽根部42がエア噴射部41の後段にさらに設けられているので、前段に設けられたエア噴射部41からのエア噴射では上手く物品同士の重なり合いが解消できなかった場合であっても、回転羽根部42の平羽根42aを重なっている状態の物品2に物理的に接触させて、より確実に収容部21にかき落とすことができる。
【0104】
また、上記実施の形態に係る整列供給装置50によれば、回転式整列装置20と搬送装置70とが近接して配置され、さらにピッキングロボット60が平面視で回転式整列装置20と搬送装置70との間に配設されている。
回転式整列装置20では、上記のとおり、吸着機構30と返戻部40の作用により物品載置部24での物品同士の重なり合いを適切に解消しつつ、物品2を物品載置部24に効率良く整列させることができる。
そのため、ピッキングロボット60が配設された位置に物品2を整列させた状態で安定的に移動させることができ、ピッキングロボット60による物品2の保持と、搬送装置70への物品2の移し替えを円滑、かつ効率良く行うことができる。
また、ピッキングロボット60の保持部64で物品載置部24上の物品2を保持する位置と、搬送装置70との間の距離が短く設定されているので、回転式整列装置20から搬送装置70への物品2の移し替えに要する時間を短縮でき、物品2を効率的に移し替えることができ、搬送装置70への物品2の供給能力を向上させる効果を高めることができる。
【0105】
なお、回転式整列装置20では、吸着機構30が、吸引ノズル部31と吸引装置32とを含む機構、すなわちエアの吸引力により吸着させる機構で構成されているが、吸着機構30の構成はこれに限定されるものではない。別の構成例では、吸着機構が、物品の材質等に応じて、静電気力、磁力などを吸引力として用いる構成であってもよい。
また、回転式整列装置20では、返戻部40が、エア噴射部41と回転羽根部42とを含んで構成されているが、返戻部40の構成はこれに限定されるものではない。別の構成では、回転羽根部42の後段の載置面24bの上方に、物品1個が通過可能な間隔を設けて除去プレートがさらに設けられてもよいし、又は該除去プレートが回転羽根部42の代わりに設けられてもよい。前記除去プレートは、物品載置部24の回転方向に向かって物品載置部24の外周から内周に接近するように配置される。
【0106】
また、整列供給装置50によれば、ピッキングロボット60の前段に、物品2の3次元画像を撮像する3Dカメラユニットを含む撮像装置65が配設され、制御部51が、撮像装置65で撮像された3D画像データを、物品2の3次元CADデータと教師データとを利用した機械学習によって生成された学習済みモデルに入力し、前記3D画像データ中の物品2の認識結果を出力するように構成されている。
【0107】
そのため、物品載置部24上の物品2を認識する画像処理の高速化を図ることができ、物品2が複雑な形状を有したものであっても、ピッキングロボット60による物品2の保持と、搬送装置70への物品2の移し替えを高速かつ精度良く行うことが可能となる。
また、撮像装置65が3Dカメラで構成されることにより、撮像時の補助照明が不要となり、また外乱光を防ぐための照明BOXのような装備も不要となり、物品載置部24上の物品2を撮像するための装備を減らすことができる。
【0108】
また、撮像装置65が3Dカメラで構成されることにより、物品2の色に応じて載置面24bの色を画像認識しやすい色に変えたりする必要もなくなり、また、物品2の立体形状を認識できるので、従来、高速ピッキングすることが難しかった複雑な形状をした物品であっても整列供給することが可能となり、整列供給装置50で整列供給可能な物品の種類を増やすことができる。
【0109】
上記した整列供給装置50では、撮像装置65が二眼式の3Dカメラで構成されているが、別の構成例では、撮像装置65が単眼で3D撮影可能な2Dカメラ、深度推定可能な2Dカメラ、又は一般的な2Dカメラで構成してもよい。
また、整列供給装置50の別の構成例では、回転式整列装置20の代わりに、
図3、4に示した回転式整列装置20A、20Bが搭載された構成としてもよい。
【0110】
上記した整列供給装置50は、ピッキングロボット60により回転式整列装置20から搬送装置70に物品2を所定の姿勢(例えば、起立状態等)に変えた状態で移し替えるように構成されているが、別の構成例では、ピッキングロボット60を設けずに、回転式整列装置20の物品載置部24に整列させた物品2を整列させた状態のまま回転式整列装置20から排出するように構成してもよい。
【0111】
図11は、別の実施の形態に係る回転式整列装置の一例を示す図であり、(a)は要部平面図、(b)は(a)におけるb-b線要部断面図である。なお、
図1、2に示した回転式整列装置20と同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0112】
回転式整列装置20Cは、収容部21に投入された物品2を物品載置部24上に1列に整列させながら排出部71から排出し、図示しない搬送装置などに移し替える構成となっている。
図11では、物品2が薄型の蓋である場合を示している。
【0113】
回転式整列装置20Cでは、ボウル型内壁23aの底部にボウル型内壁支持部23bが固定され、ボウル型内壁23aの上端部に物品載置部24が固定されている。一方、物品載置部24の落下防止壁24aは、載置面24bに固定されておらず、載置面24bの上に平面視で略円形、又は1周の螺旋形状に配設されて、その上端部がハウジング29に固定されている。したがって、物品載置部24の載置面24bは、回転外周壁23とともに回転し、物品載置部24の落下防止壁24aは、回転しない構造となっている。
【0114】
また、物品載置部24の吸着領域24dの後段には、表裏選別部35が1箇所以上配設されている。表裏選別部35により、物品2の表裏(天地)が検出され、一方の向きの物品2のみ通過させ、他方の向きの物品2は、収容部21内に戻されるようになっている。表裏選別部35は、例えば、画像センサ又は測距センサと、エアを噴射するエアノズルとを含んで構成されている。
【0115】
排出部71は、落下防止壁24aに沿うように配設されている。排出部71の形態(幅等)は、物品2の形態に応じて適宜設計することが可能である。例えば、
図11に示すように、物品2が薄型の蓋であれば、その蓋の直径に応じて、排出部71の幅等を設定すればよいし、物品2が容器等であれば、その容器等の幅に応じて、排出部71の幅等を設定すればよい。また、排出部71には、物品2をよりスムーズに排出できるように、物品2の移送方向にエアを噴射する構成が設けられてもよいし、物品2を移送するための回転ローラ又は回転ベルトなどの移送手段が設けられてもよい。
【0116】
回転式整列装置20Cにおいても、上記した回転式整列装置20と同様に、吸着機構30と返戻部40とを備え、吸着領域24dにおいて物品同士の重なり合いを適切に解消しつつ、物品2を載置面24b上に効率良く整列させながら、排出することが可能となっている。
【0117】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記の説明は本発明の例示にすぎない。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の改良や変更を行うことができ、それらも本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0118】
2 物品
20、20A、20B、20C 回転式整列装置
21 収容部
22 傾斜回転円板
22a 滑り出し部
23 回転外周壁
23a ボウル型内壁
23b ボウル型内壁支持部
24 物品載置部
24a 落下防止壁
24aa 通孔
24b 載置面
24c 開孔
24d 吸着領域
24e、24g、24h プレート
24f 開孔
25 架台
26、26A 第1の基台
26a、27a モータ
26b、26d 回転支持体
26c、27b ギア
27、27A 第2の基台
28 円筒体
29 ハウジング
30 吸着機構
31 吸引ノズル部
31a 吸引口
31b 接続口
32 吸引装置
32a 吸引ホース
32b 吸引駆動部
35 表裏選別部
40 返戻部
41 エア噴射部
41a エアノズル
41b エア供給源
42 回転羽根部
42a 平羽根
42b 回転軸
50 整列供給装置
51 制御部
51A 制御システム
52 CPU
52A ピッキング制御ユニット
53 ROM
54 RAM
55 入出力部
55A 入力部
55B 出力部
56 通信部
60 ピッキングロボット
61 本体部
62 ピッキングアーム
63 ヘッド部
64 保持部
65 撮像装置
66 ロボット支持台
70 搬送装置
71 排出部
200、200A 回転式整列装置
210 収容部
220 物品載置部
230 エアノズル
240 回転羽根