IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 伊東電機株式会社の特許一覧

特開2024-159346植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法
<>
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図1
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図2
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図3
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図4
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図5
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図6
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図7
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図8
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図9
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図10
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図11
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図12
  • 特開-植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159346
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】植物栽培装置及びそれを用いた植物収穫方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20241031BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20241031BHJP
【FI】
A01G31/04 Z
A01G31/00 604
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075290
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 政樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正樹
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA38
2B314MA67
2B314NA33
2B314NC07
2B314NC08
2B314NC24
2B314NC31
2B314NC38
2B314NC43
2B314NC48
2B314NC54
2B314ND04
2B314ND05
2B314ND06
2B314ND15
2B314ND16
2B314ND27
2B314ND32
2B314PB02
2B314PC08
2B314PC24
2B314PC32
2B314PC50
2B314PD07
2B314PD19
2B314PD27
2B314PD37
2B314PD59
(57)【要約】
【課題】収穫時に栽培用パネルを傾斜板上で滑らせて引き寄せることで、栽培用パネルの回収に過大な力を必要とせず、作業の効率化が図れる植物栽培装置及びそれを使用した植物栽培方法を提供する。
【解決手段】水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、栽培槽が溝状であり、複数の栽培用パネルがその長手方向に一列に並べられた植物栽培装置において、前記栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部が栽培槽の内側に向って傾斜している傾斜面を有する植物栽培装置及びそれを用いた植物栽培方法である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、栽培槽が溝状であり、複数の栽培用パネルが前記栽培槽の長手方向に並べられた植物栽培装置において、
前記栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部に栽培槽の内側に向って傾斜している傾斜面を有することを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、栽培槽が溝状であり、複数の栽培用パネルがその長手方向に一列に並べられた植物栽培装置において、
前記栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部に前記栽培槽の短手方向と平行である天板と、天板と一体となり栽培槽の内側に向って傾斜する傾斜板とを有するガイド部材とを、備えたことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項3】
前記ガイド部材が前記栽培槽と独立し、前記天板を前記端部上に載置した請求項2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記栽培用パネルが水耕栽培用養液上で浮いた状態である請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
前記傾斜面又は傾斜板の下端が少なくとも栽培槽内の水耕栽培用養液の液面にまで達している請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項6】
水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、栽培槽が溝状であり、複数の栽培用パネル画素の前記栽培槽の長手方向に一列に並べられた植物栽培装置を使用し、養育後の植物を収穫する方法であって、植物収穫時に前記水耕栽培用養液に浮いた状態の栽培用パネルを、前記栽培槽の長手方向の少なくとも作業者側の端部に、該端部の短手方向と平行である天板と、天板と一体となり栽培槽の内側に向って傾斜する傾斜板とを有するガイド部材を使用し、該傾斜板に沿って栽培用パネルを引き寄せることで収穫を行うことを特徴とする前記植物栽培装置を用いた植物収穫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物等の植物を水耕栽培する植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作物を建屋内で栽培する植物栽培装置が知られている。植物栽培装置は、作物工場と称される栽培形態に使用され、人工照明を使用して作物に適度の日照を与えると共に、建屋内や室内を生育に適した温度や湿度に保って作物を生育する装置である。
【0003】
従来、作物工場等で使用する水耕栽培用プランターは、水耕栽培用養液を湛える平面矩形形状の栽培槽と、多数の保持孔に植物を保持して栽培槽上を長手方向に移動可能となるように、短手方向の両縁部に架け渡されて連接配置される複数の矩形上の栽培用パネルを備えてなり、栽培用パネルの下方に出る植物の根を養液に漬けることにより植物を栽培する。栽培用パネルを配置する際には、作業者が養液槽の長手方向の基端部から養液槽上に栽培用パネルを載せて、その栽培用パネルの後端縁部に次の栽培用パネルの前端側を移動させることを繰り返すことにより効率的に作業している。
【0004】
また、収穫のために栽培用パネルを回収する際は、作業者がパネルを一枚ずつ引き上げる際に上方に引き上げなければならず重く、効率が悪くなっていた。
【0005】
一方、特許文献1によれば、栽培用パネルを栽培槽中に配置する際に、コンベアで栽培用パネルを栽培用水槽へ移送する際に、コンベアと栽培用水槽の間に滑り台を渡して人力で移動させるとある。
さらに特許文献2によれば、マット苗に用いられるロックウール材等でなる人工苗床を育成箱内に自動で供給するための苗床供給装置で、育苗箱供給機構は積み重ね状態の育苗箱群から1枚ずつ育苗箱を搬送コンベア上に連続的に順次載置供給するよう構成され、分離された苗床を育苗箱に対して斜め姿勢で滑り込ませて育苗箱に苗床を装填している。支持枠内に多数の苗床を積み重ね状態で載置収納した苗床収納部から、支持枠の底板を傾斜姿勢に揺動解放させるとともに、その傾斜姿勢の底板を滑り台として傾斜下方に滑り供給するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実全昭62-125458号公報
【特許文献2】特開平6-225642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の滑り台では、コンベアと栽培水槽の間に滑り台を渡して栽培用パネルを栽培水槽に供給することや、特許文献2に記載の傾斜姿勢の底板では、前記底板を滑り台として使用し、人工苗床を育成箱内に供給していた。
【0008】
上記のように特許文献1及び特許文献2では、栽培用パネルを栽培水槽に供給するときや、人工苗床を育成箱内に供給するときに滑り台を使用することが記載されており、植物の収穫時への使用は記載されておらず、収穫時の作業の効率が向上するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するための態様は、水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、複数の栽培用パネルが前記栽培槽の長手方向に並べられた植物栽培装置において、前記栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部に栽培槽の内側に向って傾斜している傾斜面を有する植物栽培装置である。
【0010】
本発明の実施形態によると、栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部に栽培槽の内側に向って傾斜している傾斜面を有する植物栽培装置であることから、植物収穫時に栽培用パネルを傾斜部に沿って滑らせながら引き寄せることができ、効率的に収穫ができる。
【0011】
本発明の別の実施形態は、水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、複数の栽培用パネルがその長手方向に並べられた植物栽培装置において、前記栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部に該端部の短手方向と平行である天板と、天板と一体となり栽培槽の内側に向って傾斜する傾斜板とを有するガイド部材とを、備えた植物栽培装置にある。
【0012】
本態様によると、前記栽培槽の長手方向の少なくとも一方の端部に前記栽培槽の短手方向と平行である天板と、天板と一体となり栽培槽の内側に向って傾斜する傾斜板とを、有するガイド部材を備えた植物栽培装置であることから、植物収穫時に栽培用パネルをガイド部材の傾斜板に沿って滑らせながら引き寄せることができ、効率的に収穫ができる。
【0013】
上記した態様において、前記ガイド部材が前記栽培槽と独立し、前記天板を前記端部上に載置した植物栽培装置である。
【0014】
前記ガイド部材が前記栽培槽と独立していることより、前記ガイド部材を必要に応じて別の植物栽培装置にも使用できる。
【0015】
上記した各態様において、前記栽培用パネルが水耕栽培用養液上で浮いた状態である植物栽培装置である。
【0016】
栽培用パネルが水耕栽培用養液上で浮いた状態であることから、収穫時に栽培用パネルを引き寄せるときに大きな力が必要ではなく、収穫時の効率が向上する。
【0017】
上記した各態様において、前記傾斜面又は傾斜板の下端が少なくとも栽培槽内の水耕栽培用養液の液面にまで達している植物栽培装置にある。
【0018】
前記傾斜面又は傾斜板の下端が少なくとも栽培槽内の水耕栽培用養液の液面にまで達していることから、栽培用パネルが水耕栽培用養液に浮いた状態のまま傾斜面又は傾斜板に引き寄せることができる。
【0019】
さらに本発明の実施態様は、水耕栽培用養液を貯留する栽培槽と、植物を栽培する栽培用パネルとを備えており、栽培槽が溝状であり、複数の栽培用パネルが栽培槽の長手方向に一列に並べられた植物栽培装置を使用し、養育後の植物を収穫する方法であって、植物収穫時に前記水耕栽培用養液に浮いた状態の栽培用パネルを、前記栽培槽の長手方向の少なくとも作業者側の端部に、前記栽培槽の短手方向と平行である天板と、天板と一体となり栽培槽の内側に向って傾斜する傾斜板とを有するガイド部材を使用し、該ガイド部材の傾斜板に沿って栽培用パネルを引き寄せることで収穫を行う植物収穫方法である。
【0020】
植物収穫時に前記水耕栽培用養液に浮いた状態の栽培用パネルを、前記栽培槽の長手方向の少なくとも作業者側の端部に、前記栽培槽の短手方向と平行である天板と、天板と一体となり栽培槽の内側に向って傾斜する傾斜板とを有するガイド部材を使用し、該ガイド部材の傾斜板に沿って栽培用パネルを引き寄せることで収穫を行うことから、栽培用パネルを浮いた状態のまま続けて傾斜板上で滑らせて引き寄せることができ、過大な力をかけずに栽培用パネルを引き寄せることができ、効率的な作業が行える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の植物栽培装置は、収穫時に栽培用パネルを傾斜面又は傾斜板上を滑らせて引き寄せることで、栽培用パネルの回収に過大な力を必要とせず、作業の効率化が図れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態の植物栽培装置を含む植物栽培システムの全景を表す斜視図である。
図2図1の植物栽培システムで使用されている植物栽培装置の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る植物栽培装置の斜視図である。
図4図3の植物栽培装置を部材ごとに分けて示した斜視図である。
図5図3の植物栽培装置の栽培用パネルの斜視図である。
図6図5の栽培用パネルの連結を解除した斜視図である。
図7】植物を栽培していない状態の栽培用パネルの斜視図であり、(a)は栽培用パネルを連結していない状態を示し、(b)は栽培用パネルを連結手段で連結した状態を示した斜視図である。
図8図7の連結部材の拡大図である。
図9図7の栽培用パネルの断面図であり、(a)は開口の断面図であり、(b)は凹部の断面図である。
図10図8の凸部材の別の実施形態である。(a)はU字形の凸部材であり、(b)はピン状の凸部材である。
図11図4の植物栽培装置の別の実施形態である。
図12】本発明の植物栽培装置を用いて、植物を収穫している状態を示しており、(a)は植物を栽培している状態を示し、(b)は植物の収穫時の状態を示す。
図13】本発明の植物収穫装置を用いて、植物を収穫している収穫時の状態を示した図であり、(c)(d)は図12(a)、(b)に続く収穫時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の植物栽培装置1は、図2の様に一連の筒状空間32を有し、この筒状空間32の中で植物を栽培するものである。また本発明の実施形態の植物栽培システム100は、図2の植物栽培装置1が複数、立体的に配置されたものである。即ち植物栽培システム100は、図1の様に植物栽培装置1が複数段且つ複数列に渡って設置されたものである。
【0024】
植物栽培装置1は、図1のように支持枠20で支持されており、溝状の栽培槽2と、側面部材17、屋根部材16を有している。また屋根部材16の内面に照明基板(照明手段)が設けられている。
【0025】
植物栽培装置1は、図3及び図4に示されるように、水分や肥料成分を含む水耕栽培用養液を貯留する栽培槽2と、栽培槽2の上端開口を塞ぎかつ植物を栽培する栽培用パネル3とを備えている。栽培用パネル3は植物栽培装置1の長手方向40に移動自在となっている。
【0026】
植物栽培装置1は図2に示すように、栽培槽2は、溝状の水槽であり、底13と、長手の側面9a,9bと、短手の側面10a,10bが壁で覆われており、上面が開放されている。
栽培槽2は細長く、深さは浅い。栽培槽2の内面は、防水処理が施されていて内部に水(培養液)を溜めることができる。
【0027】
本実施形態では、栽培槽2と、側面部材17a,17b及び屋根部材16でトンネル状の筒状空間32が形成されている。
【0028】
植物栽培装置1は、例えばLED灯具などの光源を有し、かつ栽培用パネル3の上方に配置された照明装置15と、図示しない養液タンク、養液供給管及び養液タンク内の養液を養液供給管を通して栽培槽2に供給するポンプを有する養液供給装置とを備えている。
【0029】
本実施形態では、栽培槽2に栽培用パネル3が複数浮かべられ、栽培用パネル3は外力によって図1図3の矢印の方向に進められる。即ち栽培槽2の液面を覆うように栽培用パネル3が敷きつめられ、栽培用パネル3が栽培槽2の液面に浮かされている。そのため人力によって、栽培用パネル3は容易に移動する。即ち栽培用パネル3は、筏のごとく栽培槽2の液面に浮いている。
【0030】
植物栽培装置1は、図3及び図4に示すように、前記栽培槽2の長手方向40の少なくとも一方の端部10に前記栽培槽2の短手方向50と平行である天板21と、天板21と一体となり栽培槽2の内側に向って傾斜する傾斜板22、とを有するガイド部材23とを備えている。
【0031】
ここで端部10は、栽培槽2に栽培用パネル3が並べられた状態を基準として、栽培用パネルの前後方向の端部である。すなわち、栽培槽2の長手方向40の少なくとも一方の端部10は、図4で示した栽培槽2の長手方向で端に位置する部分となる領域である。
【0032】
前記ガイド部材23が前記栽培槽2と独立し、前記天板21を前記端部10上に載置したほうが好ましい。
【0033】
前記栽培用パネル3が水耕栽培用養液30上で浮いた状態であることが好ましい。
【0034】
また、前記傾斜板22の下端24が少なくとも栽培槽2内の水耕栽培用養液30の液面31にまで達していることが好ましい。
【0035】
また、栽培槽2の長手方向40の少なくとも一方の端部10を栽培槽2の内側に向かって傾斜して延長した傾斜面を設けることも可能である。
【0036】
また、前記ガイド部材23を使用して養育後の植物を収穫する方法としては、収穫時に前記水耕栽培用養液30に浮いた状態の栽培用パネル3を、前記栽培槽2の長手方向の少なくとも作業者側の端部10に、前記ガイド部材23を使用し、該傾斜板22に沿って、栽培用パネル3を引き寄せることで収穫を行う植物収穫方法であることが好ましい。
【0037】
本実施の形態においては、栽培用パネル3が前記水耕栽培用養液30に浮いた状態で説明したが、栽培用パネル3は浮いてなくてもよい。
【0038】
植物栽培装置1内には複数の栽培用パネル3が植物栽培装置1の長手方向に二列に並べられるとともに、前後に隣り合う二つの栽培用パネル3が連結手段4によって着脱自在に連結されることによって構成されており、栽培用パネル3は、栽培槽2の中で植物栽培装置1の長手方向に移動しうるように配置されている。
即ち植物栽培装置1内には栽培用パネル3が前後に並べられた状態を基準として、移動方向の前後に隣り合う二つの栽培用パネル3が連結手段4によって着脱自在に連結されている。
図7に示すように、栽培用パネル3には、植物を保持する開口60が形成されており、苗を保持しスポンジなどからなる植物育成部材が開口60に嵌め入れられるようになっている。前記開口60は、図9(a)のように各栽培用パネル3に形成された貫通孔などからなる。栽培用パネル3は、比重の小さな発泡スチロール、ポリカーボネート、アクリルなどの合成樹脂からなることが好ましく、浮力が強く、単体で水に浮くばかりでなく、植物を保持した状態であっても沈まない。栽培用パネル3は、開口に植物を保管した状態で、栽培槽2の養液に浮かんだ状態となる。
【0039】
また、栽培用パネル3は、図5及び図7に示すように、植物栽培装置1の長手方向で隣り合う二つの栽培用パネル3を連結手段4にて連結している。図7は栽培用パネル3の連結を解除した斜視図である。図10は前記凸部材5の拡大図であり、前記連結手段4は、少なくとも二つの凸部6を有する凸部材5と、隣接する当該栽培用パネル3a、3bに設けられ、前記凸部6と嵌合する凹部7からなっている。
【0040】
栽培用パネル3は図5及び図7に示すように、保持部領域11と端部領域12とに分かれる。保持部領域11は、栽培用パネル3の長手方向40において、植物を保持する保持部70が並んだ領域で、端部領域12とは栽培用パネル3で長手方向40の端に位置し、保持部領域11を除いた領域のことである。
端部領域は、栽培槽2に栽培用パネル3が並べられた状態を基準として、栽培用パネルの前後方向の端部である。
【0041】
前記凸部材5は樹脂製であることが好ましい。その材料としては、樹脂であれば限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリルニトリル‐ブタジエン‐スチレン等を挙げることができる。
【0042】
また、前記凸部材5はステンレス製であってもよい。
【0043】
図8に示すように、前記凸部材5の形状は矩形であることが好ましいが、矩形には限定されず、例えば図10に示すようなU字形80やピン90であってもよい。また、前記凹部7の形状も平面視で四角形とは限らず円形でも多角形でもよく、前記凹部7に嵌合する凸部6も前記凹部7に篏合できる形状であればよい。前記凹部7の位置は特に限定しないが、連結手段4が照明装置15からの光を遮断すると、植物の生育の妨げとなる。従って、前記凹部7の位置は栽培用パネル3で植物が栽培されていない端部領域12とすることが好ましい。さらに栽培用パネル3の端部領域12であって、栽培用パネル3の幅方向略中央に位置するのが好ましい。また、前記凸部材5の凸部6a、6b間の距離は、隣り合う二つの栽培用パネル3に設けられ、連結した状態での二つの凹部7a、7b間の距離と一致させることが好ましい。
【0044】
図9(b)に示すように、前記凹部7は栽培用パネル3を貫通した孔であることが好ましい。前記凹部7が栽培用パネル3を貫通した孔であることから、前記凸部6がさらに完全に嵌合し、収穫のために連結された一連の栽培用パネル3を引き寄せるときに、篏合部が外れるなど栽培用パネル3の回収に手間取ることが無い。
【0045】
植物栽培装置1への栽培用パネル3装着時には、栽培用パネル3の保持部70に植物の苗を保持した育成部材を配置するとともに、隣接する二枚の栽培用パネル3を連結手段4により連結する作業を、栽培用パネル3の全てにおいて繰り返す。このとき、前記凹部7の長手方向の寸法Lと短手方向の寸法Wが前記凸部6の長手方向の寸法L´と短手方向の寸法W´に比べ十分大きく、前記凸部6と凹部7を嵌合したときに隙間があり、前記凹部7に凸部6を簡単に装着できることが好ましい。
【0046】
植物栽培装置1の栽培用パネル3からの植物の収穫時には、連結手段4によって連結された一連の栽培用パネル3を引っ張って移動させながら、全ての栽培用パネル3の保持部70から植物を収穫するとともに、隣接する二枚の栽培用パネル3a、3bの連結手段4による連結を解除していく作業を、栽培槽2のいずれか他端側において、順次実施する。
【0047】
図12(a)は、本発明の植物栽培装置1で植物を栽培している状態を示し、図12(b)及び図13(c)、(d)は植物の収穫時の状態を示している。植物栽培装置1で植物を栽培中は、隣り合う栽培用パネル3a、3bは連結手段4で連結されている。植物の収穫時は、隣り合う二枚の栽培用パネル3aと3b、3bと3cが連結手段4にて連結されているので、収穫側8にて収穫作業を行う作業者は、図12(b)及び図13(c)、(d)のように栽培用パネル3aを引っ張ると、栽培用パネル3b、3cを連なって栽培槽2の端部10に引き上げることができ、効率的に収穫作業を行うことができる。
【0048】
このとき、ガイド部材23の傾斜板22を利用して連なった栽培用パネル3a、3b、3cを傾斜板22上で滑らせながら引き寄せるので、過大な力を必要とせず、より効率的に収穫作業を行うことができる。
【0049】
また、ガイド部材23の代わりに、栽培槽2の長手方向40の端部10に栽培槽2の内側に向かって傾斜している傾斜面を、栽培槽2と一体に設けてもよい。
【0050】
栽培用パネル3の連結を解除する場合も、凸部材を凹部7から抜くときに、嵌合した凸部6と凹部7に隙間ができているので、簡単に凸部6を上方に引き抜くことができる。
【0051】
図11は、複数の栽培用パネル3のうち前記栽培槽2の短手方向50で隣り合う二つの栽培用パネル3が、連結手段4によって着脱自在に連結されており、前記連結手段4が少なくとも二つの凸部6を有する凸部材5と、隣接する当該栽培用パネルに設けられ、前記凸部6と嵌合する凹部7からなり、前記凹部7が前記栽培槽2の長手方向40であって栽培用パネル3の略中央に設けられたものである。本実施形態の植物栽培装置では、栽培槽2の長手方向40及び短手方向50の両方で隣接する栽培用パネル3が連結されるので、万が一連結部の一か所が外れたとしても、他の連結部がそれを補い、栽培用パネル3の回収に手間取ることが無い。
【0052】
本実施形態の植物栽培装置は、栽培槽2に栽培用パネル3a、3bが複数列に配置されている。そして栽培槽2の幅方向に隣接する二つの栽培用パネル3a、3bが、連結手段4aによって着脱自在に連結されている。
連結手段4aが取り付けられている位置は、栽培槽2の長手方向40の中央である。
【符号の説明】
【0053】
1 植物栽培装置
2 栽培槽
3 栽培用パネル
8 収穫側
21 天板
22 傾斜板
23 ガイド部材
40 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13