(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159359
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】強磁場光通信送受信ユニット
(51)【国際特許分類】
H04B 10/114 20130101AFI20241031BHJP
G02B 3/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
H04B10/114
G02B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023082613
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】595130115
【氏名又は名称】米田 勉
(71)【出願人】
【識別番号】523184146
【氏名又は名称】高橋 義博
(71)【出願人】
【識別番号】523182407
【氏名又は名称】本吉 和征
(72)【発明者】
【氏名】米田 勉
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA22
5K102AL23
5K102AL28
(57)【要約】
【課題】強磁場環境における高速移動車両とのモバイル通信、インターネット通信を可能とする。
【解決手段】無線通信が使えない強磁場環境での高速移動車両が移動中にモバイル通信、インターネット通信を可能とする赤外線あるいは紫外線を用いた光通信送受信ユニット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁場環境で移動中の高速移動車両との情報を送受信する手段と、強磁場環境に影響を受けない光通信による情報を送受信する手段と、高速移動中の光通信の送信側光ビームと受信側光センサの光軸を自動的に一致する手段を有する強磁場環境光通信送受信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強磁場環境で移動中の高速移動車両との情報伝達において、強磁場環境でも情報伝達に影響を受けない光通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年はリニアモータを用いたリニア新幹線などの高速移動車両が東京と名古屋間を30分程度で運行する予定になっている。リニアモーターカーの駆動原理は強磁場を用いた磁気浮上方式で、強磁場のため通常の携帯電話、インターネット通信の無線方式は使えないことが知られている。また、移動車両が高速で移動するため光ファイバなどの有線方式も使えないのが現状である。
【0003】
特にリニア新幹線の運行速度は500Km/時と高速で、分あたり8.3Km、秒あたり0.138Kmの通過距離である。リニア新幹線の車両長さは、先頭車両が28m、中間車両が24.3mと知られている。
【0004】
また、500Km/時の速度の時、車両長さ28mの通過時間は0.202秒、車両長さ24.3mの通過時間は0.176秒である。平均の車両長さが25mなら通過時間は0.181秒となる。
【0005】
リニア新幹線などの高速車両と携帯電話などの通信を行う場合、現状では通信方式は4GならLTE方式が知られている、この通信方式の周波数帯域は3.5GHzが多く用いられており、伝送はパケット通信で送受信することが一般的である。搬送周波数3.5GHzを時間換算すると1ビットあたりの時間は285usであり、パケット通信を1024ビットなら送受信時間は約291msとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、強磁場において高速車両が移動中では通常の無線通信が使えないため、光通信による携帯電話およびインターネット通信を可能にすることを特徴とする。
【課題を解決しようとする手段】
【0007】
本発明は、光通信として赤外線あるいは紫外線を用いる。赤外線の波長は約800nmであり周波数換算では375THzでビット当たりの伝送速度は2.898usに相当する。紫外線の波長は約400nmであり周波数換算では750THzでビット当たりの伝送速度は1.449usに相当する。強磁場における赤外線あるいは紫外線を用いた光通信による携帯電話あるいはインターネット通信を可能にすることを特徴とする。
【0008】
更に、高速車両が移動中に通信するための光通信送受信ユニットを車両本体の特定部分に装備し、および高速車両が通過する近接周辺のポールあるいは側壁などに光通信送受信ユニットを特定間隔で具備し、車両が移動中のどの場所においても通信が可能にすることを特徴とする。
【0009】
周波数3.5GHzを用いた4GLTE通信の1024ビットのパケット通信の送受信時間は前述の291msである。赤外線を用いた通信では1024ビットのパケット通信の送受信時間はビット当たりの伝送速度が2.898usなので2.9msとなり、4GLTE通信速度のおおよそ100倍速くなることを特徴とする。紫外線を用いた光通信では、波長が赤外線の1/2であるから赤外線通信の2倍、4GLTE通信速度の200倍速くなるのは言うまでもない。
【0010】
前述の赤外線によるパケット当たりの通信時間2.9ms、500Km/時の車両の移動時間は車両長さ平均25mの通過時間は181ms、1ms当たりの通過距離は0.138Km=138cmとなり、パケット当たり2.9msの車両通過時間は400cmとなる。即ち、長さ400cmの光送受信ユニットにおけるパケット数は62パケットに相当し、長さ400cmの光送受信ユニットを連続で車両の特定位置に具備することによりパケット通信が途絶えることがなく連続で通信が可能となることを特徴とする。4GLTEにおける1024ビットのパケット通信時間は2.9ms、赤外線における周波数換算のビットあたり通信速度は2.898us、車両の高速移動中においてリアルタイムで通信データを切れ目なく送受信するには、長さ400cmの送受信ユニットに最小1000ケ以上の光送信半導体と光受信半導体を0.4cmピッチ以下で配置することでリアルタイム通信が可能となることを特徴とする。
【0011】
更に、車両が運行中に振動や風の抵抗により車両が上下、左右に動くことがあり赤外線などの光ビームが斜めに入射される場合では光送受信ユニットの光受信センサが反応しないこともあるので、セルホックレンズを用いて斜めからの入射された光ビームを集光して光ビームを確実に光受信センサに照射することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の強磁場光通信は、リニア新幹線や強磁場電源施設などの通常の無線通信が使用できない環境において、光を用いることにより強磁場の影響を受けずに信頼性の高い携帯電話あるいはインターネットなどの通信が可能となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の実施例の強磁場環境光通信の全体構成図である。
【0014】
【
図2】
図2は本発明の実施例の光通信送受信ユニットの構造図である。
【0015】
【
図3】
図3は本発明の実施例である光通信送受信ユニットの光ビーム位置合わせ構造図である。
【0016】
【
図4】
図4は本発明の実施例である光通信送受信ユニットの電気回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
車両運行中における車両のローリングやピッチングによる光送受信ユニットと固定化された線路側壁に設置する光送受信ユニットとの光ビームの位置合わせは固定側の光送受信ユニットに回転機構を具備することにより光ビームの信号がピーク値になるように角度を変更でき常に最適な光通信が可能となる。
【実施例0018】
図1は光通信の全体構成図であり、高速移動車両が通過する側壁、またはポールに光通信送受信ユニットを取り付け、および移動車両の屋根部分に光通信送受信装置を具備して、車両が移動中に光通信が行えることを示している。10は側壁、20は光送受信装置、30はポール、40は高速移動車両。
図2は光通信送受信ユニットの構造図であり、基板の両側部分に光通信送信半導体を特定のピッチで配置し、基板の中央部分に光通信受信半導体を特定のピッチで配備し、その光通信受信半導体の上部にかまぼこ型のセルホックレンズを具備して光通信送信半導体から照射された光ビームが斜めから当たっても、その光ビームをセルホックレンズにより光通信受信半導体の中央部分に光ビームが当たることを示している。50は光通信送信半導体、60は光通信受信半導体、70はかまぼこ型セルホックレンズ、80は基板。
図3は光通信送受信ユニットの光ビーム位置合わせの構造図であり、光ビーム位置合わせは側壁、およびポールに光通信小受信装置を取り付け、高速移動車両の屋根部分に取り付けた光通信送受信装置が高速移動中でも光送信半導体の光ビームが光受信光半導体の最大感度レベルになることを示している。90は光通信送受信装置、100はギアヘッド、110はモータ、120は取り付け板、130はかまぼこ型セルホックレンズ。
図4は光通信送受信ユニットの電気回路構成図であり、光送信半導体は通信情報を光ビームとして照射し、光受信半導体は光送信半導体から照射された光ビームをセルホックレンズを介して光受信半導体で情報を受信する。受信した光受信半導体の最大値レベルを検知するピーク検出器により、最大感度の光受信半導体の信号をマルチプレックサーにて選択して受信信号を出力することを示している。140は光通信送信半導体、150は光通信受信半導体、160は光通信ピーク検出器、170は光通信マルチプレックサー。
磁気浮上式のリニア新幹線は強磁場のため通常の無線通信は磁場の影響で正常な動作が行えない、また発電所の高電圧近辺では強磁場のため無線通信に不具合が生じる環境、高速自動車道のトンネル内など無線が使えない環境や場所に適用できる。