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  • 特開-電気加熱式触媒装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159363
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気加熱式触媒装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20241031BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20241031BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20241031BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20241031BHJP
   B01J 35/50 20240101ALI20241031BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20241031BHJP
【FI】
F01N3/20 K ZAB
F01N3/24 L
F01N3/28 311U
F01N3/28 311M
B01D53/94 300
B01J35/02 G
B01J35/04 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023082618
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 英介
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091BA04
3G091BA39
3G091CA03
3G091GA11
3G091GB17Z
3G091HA27
4D148CA08
4D148CC02
4D148CC43
4D148CC53
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA11
4G169BA13A
4G169BA17
4G169CA03
4G169DA06
4G169EA18
4G169EE03
(57)【要約】
【課題】外管と内管の間の絶縁性を担保しつつ内管の内部に発熱体を収容できる電気加熱式触媒装置を提案する。
【解決手段】電気加熱式触媒装置100において、第1ケース10と第3ケース30の間に絶縁性を担保する第2ケース20を介在させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒を担持し通電により発熱する円筒状の発熱体は半径方向に突出する一対の電極を備え、
前記発熱体を電気絶縁材料からなる緩衝材である第1保持部材を介して金属製の筒状の第1ケース内に保持し、
該第1ケースを電気絶縁材料からなる緩衝材である第2保持部材を介して筒状で少なくとも内外表面が絶縁性を有する第2ケース内に保持し、
該第2ケースを電気絶縁材料からなる緩衝材である第3保持部材を介して金属製の筒状の第3ケース内に保持した
ことを特徴とする電気加熱式触媒装置。
【請求項2】
前記第2ケースは金属製であり、内周面及び外周面に絶縁層が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱式触媒装置。
【請求項3】
前記第2ケースは絶縁材料により形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱式触媒装置。
【請求項4】
前記電極の突出量は前記第1保持部材の厚さと前記第1ケースの厚さと前記第2保持部材の厚さを合計した値より小さい
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の電気加熱式触媒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式触媒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、内燃機関より排出される排気ガスを、内装した触媒担体やフィルタ体で浄化する、排気ガス浄化装置が備え付けられている。
【0003】
近年排気ガス規制の厳格化に伴い、触媒を担持した発熱体に通電し昇温させ触媒の早期活性化を図る電気加熱式触媒装置(以下、EHCと称することがある)が用いられることがある。発熱体は金属製あるいはセラミック製でいずれも一対の電極が付設されており、電極は筐体を貫通し外部へ露出している。
【0004】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、電気絶縁材料からなる保持部材を介してセラミック製の円筒状の発熱体を金属製の内管内に保持し、更にその内管を電気絶縁材料からなる保持部材を介して金属製の外管内に保持する2重管構造となる電気加熱式触媒装置の構造が開示されている。特許文献1では内管の内周面、外周面及び端面を含む全表面にセラミック等の電気絶縁材料による絶縁層が形成されている。特許文献2では外管の内面の一部に絶縁層が形成されている。このような構造により、排気ガスに含まれる水分により保持部材が湿潤しても、水分によって形成される電気的な経路が内管又は外管の絶縁層によって遮断され、短絡が抑制されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5626371号公報
【特許文献2】特許第7025607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発熱体のような円筒状の担体を内管内に収容する工法として圧入工法やサイジング工法が挙げられる。圧入工法とは、電気絶縁材料からなる保持部材が外周面に巻回された発熱体を保持部材の圧縮を伴いつつ筒状のケース内に挿入することで保持部材の復元力によって発熱体を保持する工法である。一方、サイジング工法とは、保持部材が外周面に巻回された発熱体を保持部材の圧縮を実質的に伴わずに筒状のケースの内部に挿入した後に当該ケースの側壁の保持部材に対向する領域の少なくとも一部を所定の径まで縮径させる縮径加工を行うことにより保持部材の復元力によって発熱体を保持する工法である。しかし発熱体には通電するための一対の電極が発熱体の径方向に突出して設けられており、電極が内管に干渉するので圧入工法を用いて発熱体を内管内に収容することは困難である。内管内に発熱体を収容するにはサイジング工法を用いる必要があるが、特許文献1に開示される発熱体を保持する内管には絶縁層が設けられているので、サイジング工法を用いると内管に縮径加工を施す際に絶縁層が破壊されてしまい絶縁性を担保できなくなる。また特許文献2に開示されるように外管の内周面のみに絶縁層を設けるのは困難である。
【0007】
そこで本発明は、外管と内管の間の絶縁性を担保しつつ内管の内部に発熱体を収容できる電気加熱式触媒装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の電気加熱式触媒装置は、触媒を担持し通電により発熱する円筒状の発熱体は半径方向に突出する一対の電極を備え、発熱体を電気絶縁材料からなる緩衝材である第1保持部材を介して金属製の筒状の第1ケース内に保持し、第1ケースを電気絶縁材料からなる緩衝材である第2保持部材を介して筒状で少なくとも内外表面が絶縁性を有する第2ケース内に保持し、第2ケースを電気絶縁材料からなる緩衝材である第3保持部材を介して金属製の筒状の第3ケース内に保持している。
【0009】
また第2ケースは金属製であり、内周面及び外周面に絶縁層が設けられていてもよい。また第2ケースは絶縁材料により形成されていてもよい。
【0010】
また電極の突出量は第1保持部材の厚さと第1ケースの厚さと第2保持部材の厚さを合計した値より小さくてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1ケースと第3ケースの間に絶縁性を担保する第2ケースを介在させることで、第1ケースと第3ケースを絶縁できるとともに、サイジング工法により第1ケース内に発熱体を保持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る電気加熱式触媒装置の模式断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電気加熱式触媒装置の製造方法の模式断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る電気加熱式触媒装置の製造方法の模式断面図の一部である。
図4】本発明の第3実施形態に係る電気加熱式触媒装置の製造方法の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の望ましい実施形態及びその製造方法について図1乃至図4を参照して説明する。
【0014】
図1に本発明の第1実施形態の電気加熱式触媒装置の模式図を示す。図1は電気加熱式触媒装置100の発熱体40の中心軸及び電極41の中心軸を通る平面で切った断面図である。電気加熱式触媒装置100は筒状の第1ケース10と筒状の第2ケース20と筒状の第3ケース30と円筒状の発熱体40を備えており、発熱体40の中心軸側から順に発熱体40、第1ケース10、第2ケース20、第3ケース30が備えられている。また、発熱体40と第1ケース10の間に第1保持部材51が、第1ケース10と第2ケース20の間に第2保持部材52が、第2ケース20と第3ケース30の間に第3保持部材53が設けられている。本実施例において第1ケース10や第2ケース20及び第3ケース30はステンレス材により構成されている。
【0015】
第1ケース10には径が一定である収容部10aが設けられている。第1保持部材51は発熱体40と第1ケース10の収容部10aとの間に挟持されており、第1ケース10の内部の所定の位置に復元力によって発熱体40を保持している。発熱体40には半径方向に突出する円筒状の電極41及び電極42が設けられており、第1ケース10には電極を挿通するため孔11及び孔12が設けられている。
【0016】
第2ケース20は内周面、外周面及び端面を含む全面に絶縁層20aが設けられており、さらに電極と外部電源を接続するための孔21及び孔22が設けられている。孔21及び孔22は図示されない外部電源と接続するための端子を電極41及び電極42に接続する際に、端子が挿通可能な位置に設けられている。第2保持部材52は第1ケース10と第2ケース20の絶縁層20aの間に挟持されており、第2ケース20の内部の所定の位置に復元力によって第1ケース10を保持している。
【0017】
第3ケース30には電極と外部電源を接続するための孔31及び孔32が設けられている。孔31及び孔32は図示されない外部電源と接続するための端子を電極41及び電極42に接続する際に、端子が挿通可能な位置に設けられている。第3保持部材53は第2ケース20の絶縁層20aと第3ケース30の間に挟持されており、第3ケース30の内部の所定の位置に復元力によって第2ケース20を保持している。
【0018】
第1保持部材51や第2保持部材52及び第3保持部材53は絶縁性を有するセラミックファイバー等の材料によって構成されており、平面視が矩形である。第1保持部材51及び第2保持部材52及び第3保持部材53にはそれぞれ2ヶ所に孔が設けられており、それらの孔は端子が挿通可能となるように各部品に巻回される。
【0019】
第2ケース20には内周面、外周面及び端面を含む全面に絶縁層20aが設けられている。絶縁層20aは、絶縁が可能な材料で作られているならば材質は問わず、例えばガラス成分を含んでいてもよい。また絶縁層20aを形成する際には、第2ケース20を絶縁が可能な材料を含む溶液内に浸漬後に、大気中で焼成することで全面に絶縁層20aを形成してもよい。
【0020】
本発明の構成では、第1ケース10と第3ケース30の間に絶縁層20aを設けた第2ケース20を介在させることで、内管である第1ケース10と外管である第3ケース30を絶縁しつつ、サイジング工法により第1ケース10内に発熱体40を保持することが可能になる。また第2ケース20を溶液内に浸漬後に大気中で焼成するだけで絶縁層20aを全面に形成できるので、絶縁層の形成も容易である。
【0021】
次に図2に本発明の第1の実施形態に係る電気加熱式触媒装置の製造方法の模式断面図を示す。図2(a)乃至(c)は発熱体40の中心軸及び電極41の中心軸を通る平面で切った断面図である。まず図2(a)に示すように、第1保持部材51を発熱体40の外周面に巻回し、電極41及び電極42が孔11又は孔12を挿通可能な位置に配置してケース70内に収容する。その後にケース70に縮径加工を施すことで収容部10aを備えた第1ケース10を形成し、その内部に第1保持部材51を介して発熱体40を保持する。次に図2(b)に示すように、第2保持部材52を第1ケース10の外周面に巻回し、圧入工法により全面に絶縁層20aが設けられた第2ケース20内に保持する。次に図2(c)に示すように、第3保持部材53を第2ケース20の外周面に巻回し、圧入工法により第3ケース30内に保持する。本発明の構成によればサイジング工法を用いて発熱体40を第1ケース10内に収容することが可能になる。また図1に示すように電極41の半径方向への突出量aは第1保持部材51の厚さt1と第1ケース10の板厚t2及び第2保持部材52の厚さt3の合計よりも小さいので、圧入工法により第2ケース20内に第1ケース10を収容することが出来る。
【0022】
次に図3に本発明の第2の実施形態に係る電気加熱式触媒装置の製造方法の模式断面図の一部を示す。図3(a)及び(b)は発熱体40の中心軸に対して垂直かつ電極41の中心軸を通る平面で切った断面図である。図3(a)に示すように、第1保持部材51を発熱体40の外周面に巻回し、電極41を半円筒状のアッパシェル61に設けられた孔61aが挿通可能な位置に配置し、電極42を半円筒状のロアシェル62に設けられた孔62aが挿通可能な位置に配置する。次に図3(b)に示すように、アッパシェル61の端部61bとロアシェル62の端部62bを当接させ、当接部を溶接Wにより接合することで第1ケース60を成形し、第1ケース60内に発熱体40を保持する。次に図2(b)及び図2(c)と同様に圧入工法を用いて第1ケース60を第2ケース20内に保持した後に、第2ケース20を第3ケース30内に保持する。本発明の構成によればプレスシェル工法を用いて発熱体40を第1ケース60内に収容することが可能になる。
【0023】
次に図4に本発明の第3の実施形態に係る電気加熱式触媒装置の製造方法の模式断面図を示す。図4(a)乃至(c)は発熱体40の中心軸を通る平面で切った断面図である。第1及び第2の実施形態では発熱体40に設けられた一対の電極41及び電極42は半径方向に突出する円筒状の電極であったが、第3の実施形態に示すように、電極43及び電極44が可撓性を有し折りたたむことが出来るものを使用してもよい。電極の構造が異なるのみで、製造方法は図2(a)乃至(c)と同様である。本発明の構成によれば第2ケース20を第3ケース30内に圧入により収容した後に電極を引き延ばすことで、外部電源と電極の接続を容易に行うことができる。
【0024】
実施例1乃至実施例3において、第2ケース20の全面に絶縁層を設けることで絶縁性を担保しているが、第2ケース20の内周面及び外周面のみに絶縁層を設けてもよいし、第2ケース20をセラミック等の絶縁材料で形成してもよい。
【0025】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。
【符号の説明】
【0026】
100 電気加熱式触媒装置
10、60 第1ケース
10a 収容部
11、12 孔
20 第2ケース
20a 絶縁層
21、22 孔
30 第3ケース
31、32 孔
40 発熱体
41、42、43、44 電極
51 第1保持部材
52 第2保持部材
53 第3保持部材
61 アッパシェル
61a 孔
61b 端部
62 ロアシェル
62a 孔
62b 端部
70 ケース
図1
図2
図3
図4