(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159364
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】フレーム材の端部処理方法
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20241031BHJP
B27M 3/18 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B27M3/00 N
B27M3/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023083485
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】523186140
【氏名又は名称】舛元木工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】舛元 眞人
【テーマコード(参考)】
2B250
【Fターム(参考)】
2B250AA13
2B250BA03
2B250CA11
2B250DA03
2B250EA02
2B250EA13
2B250FA01
2B250FA03
2B250FA13
2B250FA21
2B250GA06
2B250HA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】化粧板等の板状基材を形成し、曲面加工するには、生産コスト工程が複雑で、木縁の貼り付け精度や強度の品質要求も高く不良率も高く発生している為、ネック工程とされていた。化粧合板、基材とも規格サイズより指定の寸法に裁断するため、廃棄部材が多く、材料損失を生じていた。
【解決手段】板状の木質材からなるベースプレートと、このベースプレートに張り付けられている表面化粧板と裏面化粧板とからなるフレーム材の端部の処理方法であって、前記フレーム材の長手方向の少なくとも一方側の表面化粧板を残してベースプレートを所定幅切除する切除工程と、前記表面化粧板との境目の前記切除されたベースプレートの端面部分に円弧状の湾曲面を形成する湾曲面成形工程と、前記湾曲面に前記表面化粧板を押圧して接着させる表面化粧板接着工程とからなるフレーム材の端部処理方法を特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の木質材からなるベースプレートと、このベースプレートに張り付けられている表面化粧板と裏面化粧板からなるフレーム材の端部の処理方法であって、前記フレーム材の長手方向の少なくとも一方側の表面化粧板を残してベースプレートを所定幅切除する切除工程と、前記表面化粧板との境目の前記切除されたベースプレートの端面部分に円弧状の湾曲面を形成する湾曲面成形工程と、前記湾曲面に前記表面化粧板を押圧して接着させる表面化粧板接着工程とからなるフレーム材の端部処理方法。
【請求項2】
前記切除工程と前記湾曲面成形工程は、略円錐形状の切削刃によって所定幅の切除する切除工程と円弧状の湾曲面を形成する湾曲面成形工程とを同時成形することを特徴とする請求項1記載のフレーム材の端部処理方法。
【請求項3】
前記表面化粧板接着工程は、前記表面化粧板を押圧する押圧機器との間に柔軟性を有する補助板を介助させて押圧接着することを特徴とする請求項1または2記載のフレーム材の端部処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベッドのフットボードなどのフレーム材の端部の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
〔従来の工法〕
化粧板等の板状基材を形成し、曲面加工するにはフラッシュ構造体か
または板状基材の端面を円弧状に切削加工し、加工部分に化粧シートを貼り付けるか、または基材の切断部分に別加工された無垢材の面材に塗装仕上げを施した木縁面材を貼り付けることが一般的である。
しかしながら、別加工の木縁面材の加工工程は多く、複雑であり、
製材から裁断、成形加工、塗装工程と小さな部品ではあるが
生産コスト工程は複雑で、木縁の貼り付け精度や強度の品質要求も高く不良率も高く発生している為、ネック工程とされていた。
また、化粧合板、基材とも規格サイズより指定の寸法に裁断するため
廃棄部材が多く、材料損失を生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述のような従来技術の欠点を解決するもので従来の工法の化粧板と芯材とを別々に加工し、その後にその端部を無垢材である木縁面材を接合接着する方法に比べ、はるかに精度がよく不良率の低減化を図り、コストを削減させることを目的とする。
【0006】
また、別加工の無垢材である木縁面材の加工工程は多く複雑であり、
製材から裁断、成形加工、塗装工程と小さな部品ではあるが、
生産コスト及び工程は複雑で、品質要求も高く不良発生率も高いため。
このネック工程の削減を目的とする。
【0007】
さらに、化粧合板、基材とも規格サイズより指定の寸法に裁断するため廃棄部材が多く発生していた、切断廃棄部分を木口面に延長して
一体的に成形することで損失の削減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、板状の木質材からなるベースプレートと、このベースプレートに張り付けられている表面化粧板と裏面化粧板とからなるフレーム材の端部の処理方法であって、前記フレーム材の長手方向の少なくとも一方側の表面化粧板を残してベースプレートを所定幅切除する切除工程と、前記表面化粧板との境目の前記切除されたベースプレートの端面部分に円弧状の湾曲面を形成する湾曲面成形工程と、前記湾曲面に前記表面化粧板を押圧して接着させる表面化粧板接着工程とからなるフレーム材の端部処理方法を特徴とする。
【0009】
また、前記切除工程と前記湾曲面成形工程は、略円錐形状の切削刃の円弧状の刃によって所定幅切除する切除工程と円弧状の湾曲面を形成する湾曲面成形工程 及び切削刃底部の切削により表面を薄く切削した単板状の部分を残す切削工程を同時成形することを特徴とする。
【0010】
また、前記表面化粧板接着工程は、前記表面化粧版を押圧する押圧機器との間に柔軟性を有する補助版(例えばゴム板)を介助させて押圧接着する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フレーム材の長手方向の一方側の表面化粧版を残してベースプレートを所定幅削除し、前記表面化粧版との境目の前記削除されたベースプレートの端面部分に他方側に向かって円弧状の湾曲面を形成し、この湾曲面に前記表面化粧版を押圧して接着させるようにしているため、表面化粧版が湾曲面に沿ってなめらかな曲線となり、継ぎ目がない状態でフレーム材の端部処理が簡単に行えるようになり、工程も低減できてコストダウンが図れる。
【0012】
また、略円錐形状の切削刃を使用することで、表面化粧板の薄板を残しながらベースプレートを切除するとともに、円弧状の湾曲面も同時形成することができるようになる。このため処理工程が短縮でき、更なるコストダウンが図れる。
【0013】
また、前記表面化粧板の薄板を円弧状の湾曲面に押圧して接着する際に、前記表面化粧版と押圧機器との間に柔軟性を有する補助版(例えばゴム板)を介在させて押圧接着するようにしているため、表面化粧版が円弧状の湾曲面になめらかに沿うようになり、接着がスムーズに行なえて接着精度が向上し、不良品の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】フレーム材の端部処理の工程を表す説明図である。
【
図3】本発明フレーム材の端部処理後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
本発明のフレーム材は
図1に示すように木製ベッド1のフットボード4で構成される。なお、このベッド1はヘッドボード2と、ボトム枠3と、フットボード4とで構成される。
【0016】
次にフットボード4の端部の構造について説明する。
フットボード4としてのフレーム材5は、木材で構成された板状とされており、ベースプレート5aと、このベースプレート5aの表面に貼り付けられる表面化粧板5bと、前記ベースプレート5aの裏面に貼り付けられる裏面化粧板5cとから構成されている。
そして、このフレーム材5の端部はベースプレート5aと裏面化粧板5cとが所定幅Y、(例えば40mm程度)切除されており(
図2(b)参照)、さらにこのベースプレート5aは、表面化粧板5b側に向かって円弧状の湾曲面5dが形成されている。この湾曲面5dは切除されない表面化粧板5bが湾曲されて接着剤によって貼り付けられている(
図3参照)。
【0017】
次にこのフレーム材5の両端部の処理の仕方について
図2に基づいて説明する。
最初にフレーム材5を用意する。そして、このフレーム材5はベッドに取り付けられるフットボード4の長さよりも少し長め(例えば80mm程度)に切断しておく。この状態から切削刃6を使って裏面化粧板5cと、ベースプレート5aとを所定の長さに切除する(切除工程)。この切除長さは(例えば40mm程度)である。
【0018】
前記した切除工程で使用する切削刃6は、略円錐形状の刃型とされている(
図2(b)参照)。この略円錐形状の切削刃6を使用すればベースプレート5aと裏面化粧版5cとを切除する切除工程と、ベースプレート5aに円弧状の湾曲面5dを形成する湾曲面成形工程とを同時に行うことができる。なお上記した切除は、切削刃6をダウンカットで進行させることによって行われるようにしている。これによって表面化粧板5bの厚みなどに不良が出るのを防ぐことができる。
【0019】
切削刃6の先端を鋭利な刃先にすると刃こぼれ破損の原因となり2mm厚程度にすることで破損対策ができる。また、切削部の先端部によってできる表面化粧板5bの先端先部分にできる隙間部は糊だまり5e(
図3参照)となり接着力の強化になる。前記したような略円錐形状の切削刃6を使用することで切除工程と湾曲面成形工程を同時に行うことが可能になる。
なお、ベースプレート5aと裏面化粧版5cとを平刃状の切削刃を使って切削した後に、円弧状の切削刃を使ってベースプレート5aに湾曲面を形成するという切除工程と湾曲面成形工程とを別々に2工程で行うようにしても良いものである。また、本実施例の表面化粧板5bは少し厚みがあるためこの表面化粧板5bも所定量の厚みが切除されている(
図3参照)。
【0020】
次に、前記湾曲面成形工程で切削された表面化粧板5bの裏面に、刷毛で薄く均一に接着剤を塗布する。その際に接着剤の塗布量が過剰となった場合は前記した糊だまり5eに吸収され表面へのはみ出しを防ぐ。また糊だまり5eが存在することによって接着強度の向上になるという効果がある。
【0021】
次に、表面化粧板5bの裏側に接着剤を塗布した状態で段差がある台座Dにフレーム材5を裁置し(
図2(e)参照)、この裁置した状態で表面化粧板5bを図面上で上側方向へ少し湾曲させる。そして、この表面化粧板5bと前記台座との間に柔軟性を有する補助板8を介在させる。この補助板8を介在させた状態でエアーシリンダー9の先端部に設けられるパッド部材9aを使って補助板8と表面化粧板5bとを前記湾曲面5dに押しつける(化粧板接着工程)。これによって表面化粧板5bが湾局面5dに接着固定されることになる。
【0022】
前記した化粧板接着工程においては、正確に合わせ精度よく接着するために、水平方向の左右からエアーシリンダー9で側圧をかけながら、接着部分10に高周波で加熱し接着剤を硬化させます。また接着剤の使用量が少ないため、余分な接着剤のはみ出しがなく、製品の表面材を傷めず、きれいな仕上がりになる(
図2(e)参照)。
また、高周波接着工程は従来の自然養生の方式よりも短時間(1分以内)で接着し工程も低減できてコストダウンが図れる。
【0023】
なお、前記した実施例では、厚みのある表面化粧板5bを使うようにしているため、この表面化粧板5bが所定量切削してこの表面化粧板を湾曲面に接着させるようにしているが、表面化粧板5bを薄いシート状とした場合は、表面化粧板5bを切除することなく湾曲面に接着してもよく、また、表面化粧板5bがさらに薄いシート状の場合は、切削工程においてベースプレートを少し残して表面化粧板5bと合わせて湾曲面に接着固定するようにしても良いものである。
【0024】
また、ベースプレート5aの切除幅Yを大きく(例えば50mm程度)することにより、表面化粧板5bの切削部分が延伸される(例えば10mm)。裏面化粧板5cを延伸された表面化粧板5bが埋め込める深さに掘り込み、延伸された表面化粧板5bを裏面まで巻き込む事により一体的な形状が成形される(
図4参照)。
【0025】
本発明の化粧板は薄い板材をベースプレートに貼り付けるようにした実施例で説明したが、この化粧板をビニール化粧紙材で構成してもよいものである。
【符合の説明】
【0026】
5 フレーム材
5a ベースプレート
5b 表面化粧板
5d 湾曲面