(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159401
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】敗血症を診断するための重症度の予測方法{SEVERITY PREDICTION METHODS FOR DIAGNOSING SEPSIS}
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20241031BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137465
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0054761
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520047532
【氏名又は名称】ビュノ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VUNO, INC.
【住所又は居所原語表記】9F, 479, Gangnam-daero, Seocho-gu, Seoul 06541 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】テ・ユンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョ・キョンゼ
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ジェウ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の重症度を予測する方法を提供する。
【解決手段】コンピューティング装置による患者の重症度を予測するは、患者のEMRデータ及び上記患者の生体信号を取得し、重症度予測モデルを用いて、患者のEMRデータ及び患者の生体信号に基づいて、患者の重症度に係る予測値を生成する。重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と上記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティング装置により実行される、重症度の予測方法であって、
患者のEMR(Electronic Medical Record)データ及び前記患者の生体信号(vital sign)を取得する段階;及び
重症度予測モデルを用いて、前記患者のEMRデータ及び前記患者の生体信号を基に、前記患者の重症度に係る予測値を生成する段階;
を含み、
前記重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と前記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習された人工神経回路網モデルである、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法おいて、
さらに、前記患者の感染の疑いの有無に係る情報にさらに基づき、前記患者の重症度に係る予測値を生成する段階;
を含む、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記患者の重症度に係る予測値を基に、前記患者について、敗血症(sepsis)に係る情報と敗血症性ショック(septic shock)に係る情報とのうち、少なくとも1つを演算する段階;
をさらに含む、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記方法は、
前記患者の医療データに前記患者の敗血症に係る情報又は敗血症性ショックに係る情報をラベリングし、それに基づいて、第2学習データセットを生成する段階;及び
前記第2学習データセットを基に人工神経回路網モデルである敗血症診断モデルを学習させる段階;
をさらに含む、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記敗血症診断モデルは、
敗血症の発生時点と敗血症性ショックの発生時点とのうち少なくとも1つに係る予測値を生成する人工神経回路網モデルである、
方法。
【請求項6】
コンピューティング装置により実行される、重症度の予測のための学習データを生成する方法であって、
EMR(Electronic Medical Record)データから、予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別する段階;及び
前記識別された時間区間に対応する前記EMRデータの一部と前記識別された時間区間に対応する生体信号(vital sign)とを基に、前記重症度の予測のための学習データを生成する段階;
を含む、
方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記予め決められた複数の項目は、SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアの予測に係る複数の項目である、
方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別する段階は:
前記SOFAスコアの予測に係る6つの項目のうち、予め決められた数以上の項目が取得された時間区間を識別する段階;
を含み、
前記予め決められた数以上の項目の各々は、前記識別された時間区間における少なくとも1つの時点において取得される、
方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、
前記予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別する段階は、
前記SOFAスコアの予測に係る6つの項目のすべてが取得された時間区間を識別する段階
を含み、
前記6つの項目の各々は、前記識別された時間区間における少なくとも1つの時点において取得される、
方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法において、
前記識別された時間区間に対応する前記EMRデータの一部と前記識別された時間区間に対応する生体信号(vital sign)とを基に、前記重症度の予測のための学習データを生成する段階は:
前記識別された時間区間に対応する前記EMRデータの一部と前記識別された時間区間に対応する生体信号の少なくとも一部をマスキング(masking)し、それに基づいて、前記重症度の予測のための学習データを生成する段階;
を含む、
方法。
【請求項11】
コンピューティング装置が重症度の予測のための動作を実行するようにする、コンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラムであって、前記動作は:
患者のEMRデータ及び前記患者の生体信号を取得する動作;及び
重症度予測モデルを用いて、前記患者のEMRデータ及び前記患者の生体信号を基に、前記患者の重症度に係る予測値を生成する動作;
を含み、
前記重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と前記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習された人工神経回路網モデルである、
コンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラム。
【請求項12】
コンピューティング装置であって、
1つ以上のコアを含むプロセッサー;及び
メモリー;
を含み、
前記プロセッサーは、
患者のEMRデータ及び前記患者の生体信号を取得し、且つ、
重症度予測モデルを用いて、前記患者のEMRデータ及び前記患者の生体信号を基に、前記患者の重症度に係る予測値を生成するように構成され、
前記重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と前記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習された人工神経回路網モデルである、
コンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、敗血症を診断するための重症度の予測方法に係り、具体的には人工神経回路網モデルである重症度予測モデルを用いて、患者の医療データを基に患者の重症度に係る予測値を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な疾病の重症度を評価するために多様な種類の多元的評価指標が医療現場において用いられている。重症度を評価するための指標うち、感染が疑われる患者について、敗血症の発生如何及び発生時点を特定できる指標であるSOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアを予測することが重症度の評価、特に敗血症診断において重要な課題となっている。
【0003】
SOFAスコアは、予め決められた6つの項目のスコアを合算したスコアであり、正確な測定のためには、特定の時点において6つの項目(Respiration、Coagulation、Bilirubin、Cardiovascular Hypotension、CNS Glasgow Coma Scale、Renal Creatinine)に係る記録がすべて存在する必要がある。しかし、実際の医療現場において、各項目が同じ時点に測定されないことが多く、測定される間隔も比較的長い方である。従来は、6つの項目のうち、欠測値が存在する時点のSOFAスコアを演算するために以前の時点の測定値で欠測値を代替(Imputation)したり、機械学習モデルを用いて欠測値を予測する方法が用いられた。しかし、欠測値を代替する方法は、実際に測定された時点が過去であるほど正確度が落ちるという短所があり、機械学習モデルを用いて欠測値を予測する方法は、各項目において発生する誤りが重なり、最終SOFAスコアが正確に測定されないという短所が存在する。従って、6つの項目の中に欠測値が存在する場合等においても、敗血症等の重症度の診断のために正確なSOFAスコアを演算する方法に対する需要が当業界に存在する。
【0004】
韓国登録特許第2460948号は、冠状動脈狭窄の重症度の評価に必要な情報を提供する方法について開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、前述の背景技術に対応して案出されたものであり、人工神経回路網モデルである重症度予測モデルを活用し、患者の医療データを基に患者の重症度に係る予測値を生成することを目的とする。
【0006】
しかし、本開示が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限られるわけではなく、以下に説明する内容から、当業者にとって自明な範囲内において、多様な技術的課題が含まれることが可能であるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置により実行される重症度の予測方法が開示される。上記方法は、患者のEMR(Electronic Medical Record)データ及び上記患者の生体信号(vital sign)を取得する段階と、重症度予測モデルを用いて、上記患者のEMRデータ及び上記患者の生体信号を基に、上記患者の重症度に係る予測値を生成する段階とを含むことが可能であり、上記重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と上記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習された人工神経回路網モデルになり得る。
【0008】
一実施例において、上記方法は、さらに、上記患者の感染の疑いの有無に係る情報に基づき、上記患者の重症度に係る予測値を生成する段階を含むことが可能である。
【0009】
一実施例において、上記方法は、上記患者の重症度に係る予測値を基に、上記患者について、敗血症(sepsis)に係る情報と敗血症性ショック(septic shock)に係る情報とのうち、少なくとも1つを演算する段階をさらに含むことが可能である。
【0010】
一実施例において、上記方法は、上記患者の医療データに上記患者の敗血症に係る情報又は敗血症性ショックに係る情報をラベリングし、それに基づいて、第2学習データセットを生成する段階と、上記第2学習データセットを基に人工神経回路網モデルである敗血症診断モデルを学習させる段階をさらに含むことが可能である。
【0011】
一実施例において、上記敗血症診断モデルは、敗血症の疑いがある患者の医療データを基に、上記敗血症の疑いがある患者の敗血症の発生時点と敗血症性ショックの発生時点とのうち、少なくとも1つに係る予測値を生成する人工神経回路網モデルになり得る。
【0012】
前述の課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置により実行される、重症度の予測のための学習データを生成する方法が開示される。上記方法は、EMR(Electronic Medical Record)データから、予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別する段階と、上記識別された時間区間に対応する上記EMRデータの一部と上記識別された時間区間に対応する生体信号(vital sign)とを基に、上記重症度の予測のための学習データを生成する段階とを含むことが可能である。
【0013】
一実施例において、上記予め決められた複数の項目は、SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアの予測に係る複数の項目になり得る。
【0014】
一実施例において、上記予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別する段階は:上記SOFAスコアの予測に係る6つの項目のうち、予め決められた数以上の項目が取得された時間区間を識別する段階を含み、上記予め決められた数以上の項目の各々は、上記識別された時間区間における少なくとも1つの 時点において取得されることが可能である。
【0015】
一実施例において、上記予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別する段階は、上記SOFAスコアの予測に係る6つの項目のすべてが取得された時間区間を識別する段階を含み、上記6つの項目の各々は、上記識別された時間区間における少なくとも1つの 時点において取得されることが可能である。
【0016】
一実施例において、上記識別された時間区間に対応する上記EMRデータの一部と上記識別された時間区間に対応する生体信号(vital sign)とを基に、上記重症度の予測のための学習データを生成する段階は:上記識別された時間区間に対応する上記EMRデータの一部と上記識別された時間区間に対応する生体信号の少なくとも一部をマスキング(masking)し、それに基づいて、上記重症度の予測のための学習データを生成する段階をさらに含むことが可能である。
【0017】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置が重症度の予測のための複数の動作を行うようにする、コンピューター可読保存媒体に保存されたコンピュータープログラムが開示される。上記動作は:患者のEMRデータ及び上記患者の生体信号を取得する動作と、重症度予測モデルを用いて、上記患者のEMRデータ及び上記患者の生体信号を基に、上記患者の重症度に係る予測値を生成する動作を含み、上記重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と上記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習された人工神経回路網モデルになり得る。
【0018】
前述の課題を解決するための本開示の一実施例に基づくコンピューティング装置が開示される。上記装置は、1つ以上のコアを含むプロセッサー及びメモリーを含み、上記プロセッサーは、患者のEMRデータ及び上記患者の生体信号を取得し、且つ、重症度予測モデルを用いて、上記患者のEMRデータ及び上記患者の生体信号を基に、上記患者の重症度に係る予測値を生成するように構成され、上記重症度予測モデルは、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に基づいて抽出された学習用EMRデータの一部と上記時間区間に対応する学習用生体信号とを用いて学習された人工神経回路網モデルになり得る。
【発明の効果】
【0019】
本開示によって、敗血症等を診断するための重症度の評価がより正確に遂行される効果が得られる。特に、本開示の人工神経回路網モデルである重症度予測モデルを用いて、患者の医療データを基に患者のSOFAスコアを正確に予測することが可能であり、SOFAスコアを用いて敗血症及び敗血症性ショックの発生時点をより正確に予測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の一実施例における重症度を予測するためのコンピューティング装置のブロック構成図である。
【
図2】本開示の一実施例におけるネットワーク関数を示す概略図である。
【
図3】本開示の一実施例における、患者の重症度を予測する過程を示すフローチャートである。
【
図4】患者のSOFAスコアを演算するために用いられていた従来の方法を示す概念図である。
【
図5】本開示の一実施例における、重症度予測モデルによるSOFAスコアの予測方法を示す概念図である。
【
図6】は、本開示の一実施例において、敗血症診断モデルを学習させる過程を示すフローチャートである。
【
図7a】は、本開示の一実施例における、重症度予測モデル学習させるための学習データを示す概念図である。
【
図7b】は、本開示の一実施例における、重症度予測モデルを学習させるための拡張された学習データを示す概念図である。
【
図8】本開示の一実施例において、重症度予測モデルを学習させる方法を示す概念図である。
【
図9】本開示の実施例が具現化されることが可能である、例示的なコンピューティング環境に係る簡略且つ一般的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、人工神経回路網モデルである重症度予測モデルを用いて、患者の医療データを基に患者の重症度に係る予測値を生成する方法と、患者の重症度に係る予測値を基に敗血症及び敗血症性ショックに係る情報を生成する方法について開示する。
【0022】
多様な実施例について以下に図面を参照用いて説明する。本明細書において多様な説明が本開示に対する理解を容易にするために示される。しかし、かかる実施例がかかる具体的な説明がなくても実施されることが可能であることは自明である。
【0023】
本明細書において、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」等の用語は、コンピューター関連エンティティ、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、又はソフトウェアの実行を指す。例えば、コンポーネントは、プロセッサー上で実行される処理手順(procedure)、プロセッサー、オブジェクト、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピューターになり得るが、これらに限定されるものではない。例えば、コンピューティング装置で実行されるアプリケーションとコンピューティング装置は、両方ともコンポーネントになり得る。1つ以上のコンポーネントは、プロセッサー及び/又は実行スレッドの中に常駐することが可能である。1つのコンポーネントは、1つのコンピューターの中でローカル化されることが可能である。1つのコンポーネントは、2つ以上のコンピューターに配分されることが可能である。また、このようなコンポーネントは、その内部に保存されている多様なデータ構造を有する多様なコンピューター可読媒体において実行することが可能である。コンポーネントは、例えば1つ以上のデータパケットを含む信号(例えば、ローカルシステムや分散システムにおいて他のコンポーネントと相互作用する1つのコンポーネントからのデータ及び/又は信号を用いて、他のシステムと、インターネットのようなネットワークを介して伝送されるデータ)を用いてローカル及び/又は遠隔処理等を通じて通信することが可能である。
【0024】
なお、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、内包的な「又は」を意味する意図で使われる。つまり、特に特定されておらず、文脈上明確ではない場合、「Xは、A又はBを利用する」は、自然な内包的置換のうち1つを意味するものとする。つまり、XがAを利用したり;XがBを利用したり;又はXがA及びBの両方を利用する場合、「XはA又はBを利用する」は、これらのいずれにも当てはまるとすることが可能である。また、本明細書における「及び/又は」という用語は、取り挙げられた複数の関連アイテムのうち、1つ以上のアイテムの可能なすべての組み合わせを指し、含むものと理解されるべきである。
【0025】
また、述語としての「含む(含める)」及び/又は修飾語としての「含む(含める)」という用語は、当該特徴及び/又は構成要素が存在することを意味するものと理解されるべきである。ただし、述語としての「含む(含める)」及び/又は修飾語として「含む(含める)」という用語は、1つ以上の他のさらなる特徴、構成要素及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しないものと理解されるべきである。また、特に数が特定されていない場合や、単数の形を示すことが文脈上明確でない場合、本明細書と請求範囲において単数は、一般的に「1つ又はそれ以上」を意味するものと解釈されるべきである。
【0026】
そして、「A又はBのうち少なくとも1つ」という用語については、「Aだけを含む場合」、「Bだけを含む場合」、「AとBの組み合わせの場合」を意味するものと解釈されるべきである。
【0027】
当業者は、さらに、ここに開示されている実施例に係るものとして説明された多様な例示的論理的ブロック、構成、モジュール、回路、手段、ロジック及びアルゴリズム段階が、電子ハードウェア、コンピューターソフトウェア、又はその両方の組み合わせによって実現されることが可能であることを認識すべきである。ハードウェアとソフトウェアとの相互交換性を明確に例示するために、多様な例示的コンポーネント、ブロック、構成、手段、ロジック、モジュール、回路及び段階が、それらの機能性の側面で一般的に上述された。そのような機能性がハードウェアとして実装されるか或いはソフトウェアとして実装されるかは、全般的なシステムに係る特定のアプリケーション(application)及び設計制限によって決まる。熟練した技術者は、個々の特定アプリケーションのために多様な方法で説明された機能性を実現することが可能である。ただし、そのような実現に係る決定が本開示内容の領域を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0028】
ここに示す実施例に係る説明は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が本発明を利用したり、又は実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものである。ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることが可能である。従って、本発明はここに示す実施例だけに限定されるものではない。本発明はここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【0029】
本開示において、医療データは、患者のEMR(Electronic Medical Record)データ及び患者の生体信号(vital sign)を含むことが可能である。本開示において、EMRデータは、患者に係る診療記録を電子的形態で記録したデータを意味することが可能であり、患者の重症度を計算するための複数の細部項目に係るデータがEMRデータに含まれることが可能である。例えば、患者のSOFAスコアを計算するための指標であるRespiration、Coagulation、Bilirubin、Cardiovascular Hypotension、CNS Glasgow Coma Scale、Renal Creatinineに係るデータがEMRデータに含まれることが可能である。
【0030】
本開示において、「重症度に係る細部情報」は、SOFAスコア等のように患者の重症度を表現できる様々な指標を決定するための細部項目を意味することが可能である。例えば、重症度に係る細部情報は、SOFAスコアを計算するための6つの項目、即ち、Respiration、Coagulation、Bilirubin、Cardiovascular Hypotension、CNS Glasgow Coma Scale、Renal Creatinineを意味することが可能である。
【0031】
本開示において、敗血症の発生時点(Sepsis onset time)及び敗血症性ショックの発生時点(Septic Shock onset time)は、感染が疑われる患者を対象に推定され、次のような方法によって推定されることが可能である。先ず、患者の感染が疑われる時点(suspected infection time)が推定される。抗生剤を投与してから24時間以内に培養検査を行う場合における培養検査を行った時点、培養検査が行われてから72時間以内に抗生剤を投与する場合における抗生剤を投与した時点を記録し、2つの時点のうちより早い時点が感染が疑われる時点として推定されることが可能である。
【0032】
感染が疑われる時点から48時間前、感染が疑われる時点から24時間後の時間区間において、24時間内にSOFAスコアが2点以上上がった場合、当該時点が敗血症の発生時点であると推定されることが可能である。
【0033】
また、敗血症の発生時点から一定条件を満足する場合、患者に昇圧剤を使用した時点が敗血症性ショックの発生時点であると推定されることが可能である。
【0034】
図1は、本開示の一実施例における重症度を予測するためのコンピューティング装置のブロック構成図である。
【0035】
図1に図示されたコンピューティング装置(100)の構成は、簡略化して示した例示に過ぎない。本開示の一実施例において、コンピューター装置(100)には、コンピューター装置(100)のコンピューティング環境を実装するための他の構成が含まれることが可能であり、開示されている構成のうち一部だけでコンピューター装置(100)を構成することも可能である。
【0036】
コンピューター装置(100)は、プロセッサー(110)、メモリー(130)、ネットワーク部(150)を含むことができる。
【0037】
本開示の一実施例において、プロセッサー(100)は、1つ以上のコアで構成されることが可能であり、コンピューティング中央処理装置(CPU:central processing unit)、汎用グラフィック処理装置(GPGPU:general purpose graphics processing unit)、テンサー処理装置(TPU:tensor processing unit)等のデータ分析、ディープラーニングのためのプロセッサーを含むことができる。プロセッサー(110)は、メモリー(130)に保存されたコンピュータープログラムを読み取り、本開示の一実施例における機械学習のためのデータ処理を実行することができる。本開示の一実施例に基づき、プロセッサー(110)は、ニューラルネットワークの学習のための演算を行うことができる。プロセッサー(110)は、ディープラーニング(DL:deep learning)において、学習のための入力データの処理、入力データからのフィーチャーの抽出、誤差計算、逆伝播(backpropagation)を利用したニューラルネットワークの重みの更新等のニューラルネットワークの学習のための計算を実行することができる。
【0038】
プロセッサー(110)のCPUとGPGPUとTPUとのうち、少なくとも1つが、ネットワーク関数の学習を処理できる。例えば、CPUとGPGPUとがともにネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータの分類を行うことができる。なお、本開示の一実施例において、複数のコンピューティング装置のプロセッサーを一緒に使ってネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータ分類を行うことができる。また、本開示の一実施例における、コンピューティング装置において実行されるコンピュータープログラムは、CPU、GPGPU又はTPUで実行可能なプログラムになり得る。
【0039】
プロセッサー(110)は、重症度予測モデルを用いて、患者の医療データを基に患者の重症度に係る予測値を生成することが可能である。本開示において、患者の医療データとは、患者の生体信号(vital sign)情報及び上記患者の電子医務記録(Electronic Medical Record)データのうち、少なくとも一部を含むことが可能である。
【0040】
本開示において、プロセッサー(110)が生成する患者の重症度に係る予測値は、患者の時点別のSOFAスコアを含む時系列データ(以下、「SOFAスコア予測値」)になり得る。プロセッサー(110)が、患者の重症度に係る予測値を生成するより具体的な方法は、
図3を用いて後述する。
【0041】
本開示において、プロセッサー(110)は、さらに、患者の医療データ及び患者の感染の疑いの有無に係る情報に基づき、患者の重症度に係る予測値を生成することが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、患者の医療データ及び患者の感染の疑いの有無の入力を受け、患者のSOFAスコア予測値を生成することが可能である。
【0042】
プロセッサー(110)は、患者の重症度に係る予測値を基に、上記患者について、敗血症(sepsis)に係る情報又は敗血症性ショック(septic shock)に係る情報を演算し、この情報をラベルデータとして患者の医療データにラベリングし、第2学習データを生成することが可能である。プロセッサー(110)は、こうして生成された第2学習データを基に、人工神経回路網モデルである敗血症診断モデルを学習させることが可能である。敗血症診断モデルを学習させるための具体的な学習データの生成方法及び学習方法は、
図6を用いて後述する。
【0043】
本開示においてプロセッサー(110)は、EMRデータの少なくとも一部と識別された時間区間に対応する患者の生体信号(vital sign)情報とを基に、重症度予測モデルを学習させるための学習データを生成することが可能である。
【0044】
具体的に、プロセッサー(110)は、患者の全体のEMRデータから、予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別し、当該時間区間に対応するEMRデータの一部のみを用いて、学習データを生成することが可能である。
【0045】
また、本開示において、重症度予測モデルを学習させるための学習データには、患者のEMRデータだけでなく、患者の生体信号(vital sign)情報もまた含まれることが可能である。例えば、重症度予測モデルが患者のSOFAスコアを予測するモデルである場合、重症度予測モデルを学習させるための学習データには、特定の時間区間において測定されたSOFAスコアの予測に係る6つの項目、即ち、Respiration、Coagulation、Bilirubin、Cardiovascular Hypotension、CNS Glasgow Coma Scale、Renal Creatinineに係るデータだけでなく、当該信号に対応する時間区間において測定された生体信号データもまた含まれることが可能である。
【0046】
上述のように、予め決められた複数の項目が取得された時間区間に対応するEMRデータの一部と識別された時間区間に対応する生体信号とを基に、重症度予測モデルを学習させるための学習データを生成する具体的な方法は、
図7a及び
図7bを用いて後述する。
【0047】
本開示においては、患者の重症度、例えば、SOFAスコア予測値を生成するために、EMRデータのうちSOFAスコアの予測に係る6つの項目に係るデータを学習するだけでなく、当該データに対応する時間区間において測定された当該患者の生体信号情報を共に学習する。脈拍、血圧等の生体信号は、6つの項目に比べて測定周期が短く、欠測値がより少ないという特徴を有する。従って、患者のEMRデータのうちSOFAスコアの予測に係る6つの項目のデータに加えて、当該データの時間区間に対応する、同一の患者の生体信号をすべて学習データに含めてモデルを学習させる場合、モデルが2種類のデータ(EMRデータのうちSOFAスコアの予測に係る6つの項目及び生体信号)の関係性をも学習し、重症度予測モデルが生成する予測値の正確度がより高くなる効果が得られる。
【0048】
本開示の一実施例において、メモリー(130)は、フラッシュメモリータイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリー(例えばSD又はXDメモリー等)、ラム(Random Access Memory、RAM)、SRAM(Static Random Access Memory)、ロム(Read-Only Memory、ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリー、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの保存媒体を含むことができる。コンピューティン装置(100)は、インターネット(internet)上で前記メモリー(130)の保存機能を実行するウェブストレージ(web storage)と連携して動作することも可能である。前述のメモリーに係る記述は、例示に過ぎず、本開示はこれらに限定されない。
【0049】
本開示の一実施例におけるネットワーク部(150)は、公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)、xDSL(x Digital Subscriber Line)、RADSL(Rate Adaptive DSL)、MDSL(Multi Rate DSL)、VDSL(Very High Speed DSL)、UADSL(Universal Asymmetric DSL)、HDSL(High Bit Rate DSL)及び近距離通信網(LAN)等のような多様な有線通信システムを使用することが可能である。
【0050】
また、本明細書におけるネットワーク部(150)は、CDMA(Code Division Multi Access)、TDMA(Time Division Multi Access)、FDMA(Frequency Division Multi Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multi Access)、SC-FDMA(Single Carrier-FDMA)及びその他のシステムのような多様な無線通信システムを利用することが可能である。
本開示において、ネットワーク部(150)は、任意の形態の有・無線通信システムを利用することが可能である。
【0051】
本明細書において説明された技術は、上記のネットワークだけでなく、他のネットワークで使われることも可能である。
【0052】
図2は、本開示の一実施例において、ネットワーク関数を示す概略図である。
【0053】
本明細書の全体を通して、演算モデル、神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワーク(neural network)は、同一の意味で用いることができる。神経回路網は、一般的にノードと呼ばれる相互連結された計算単位の集合で構成されることが多い。このようなノードは、ニューロン(neuron)と称することもできる。神経回路網は、少なくとも1つ以上のノードを含めて構成される。神経回路網を構成するノード(またはニューロン)は1つ以上のリンクによって相互連結されることが可能である。
【0054】
神経回路網において、リンクを介して繋がっている1つ以上のノードは、相対的に入力ノード及び出力ノードの関係を形成することができる。入力ノード及び出力ノードの概念は相対的なものであり、あるノードに対して出力ノードとなる任意のノードは、他のノードとの関係においては入力ノードになり得るが、その逆も成立する。前述のように、入力ノードと出力ノードとの関係はリンクを中心にして成立することができる。1つの入力ノードに1つ以上の出力ノードがリンクを介して繋がることができ、その逆も成立する。
【0055】
1つのリンクを介して繋がっている入力ノード及び出力ノードの関係において、出力ノードのデータは入力ノードに入力されたデータに基づきその値が決められることが可能である。ここで入力ノードと出力ノードとを相互連結するノードは加重値(weight)を持つことができる。加重値は可変的なものになり得るが、神経回路網が所望の機能を行うために、利用者またはアルゴリズムによって変わることが可能である。例えば、1つの出力ノードに1つ以上の入力ノードが各リンクによって相互連結されている場合、出力ノードは前記出力ノードに繋がっている入力ノードに入力された値及び各入力ノードに対応するリンクに設定された加重値に基づき出力ノードの値を決定することができる。
【0056】
前述のように、神経回路網は、1つ以上のノードが1つ以上のリンクを介して相互連結され神経回路網の中で入力ノードと出力ノードの関係を形成する。神経回路網において、ノードとリンクの数及びノードとリンクとの間の相関関係、各リンクに付与された加重値の値によって、神経回路網の特性が決まることが可能である。例えば、同数のノード及びリンクが存在し、リンクの加重値の値がそれぞれ異なる2つの神経回路網が存在する場合、その2つの神経回路網を、相異なるものと認識することができる。
【0057】
神経回路網は、1つ以上のノードの集合で構成することができる。神経回路網を構成するノードの部分集合は、レイヤー(layer)を構成できる。神経回路網を構成する複数のノードのうち一部は、第1入力ノードからの距離に基づき、1つのレイヤー(layer)を構成することができる。例えば、第1入力ノードからの距離がnであるノードの集合は、nレイヤーを構成することができる。第1入力ノードからの距離は、第1入力ノードから当該ノードに到達するために経由しなければならないリンクの最小限の数を基に定義することができる。しかし、このようなレイヤーの定義は、説明のために任意に取り挙げたものであり、神経回路網の中におけるレイヤーの構成は、前述の説明と異なる方法で定義されることができる。例えば、ノードのレイヤーは、最終出力ノードからの距離を基に定義することもできる。
【0058】
第1入力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係においてリンクを経由せずにデータが直接入力される1つ以上のノードを意味することができる。または、神経回路網のネットワークの中で、リンクを基準にしたノード間の関係において、リンクを介して繋がっている他の入力ノードを持たないノードを意味することができる。これと同様に、最終出力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係において、出力ノードを持たない1つ以上のノードを意味することができる。また、ヒドンノードは、第1入力ノード及び最終出力ノードではないノードで、神経回路網を構成するノードを意味することができる。
【0059】
本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードと同数で、入力レイヤーからヒドゥンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が一度減ってから、再び増加する形の神経回路網になり得る。本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より少なく、入力レイヤーからヒドゥンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が減少していく形の神経回路網になり得る。また、本開示の他の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より多く、入力レイヤーからヒドゥンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が増加していく形の神経回路網になり得る。本開示の他の一実施例における神経回路網は、上述の神経回路網を組み合わせた形の神経回路網になり得る。
【0060】
ディープニューラルネットワーク(DNN:deep neural network、深層神経回路網)は、入力レイヤーと出力レイヤー以外に複数のヒドゥンレイヤーを含む神経回路網を意味することができる。ディープニューラルネットワークを利用するとデータの潜在的な構造(latent structures)を把握することができる。つまり、写真、文章、ビデオ、音声、音楽の潜在的な構造(例えば、ある物が写真に映っているか、文章の内容と感情はどのようなものなのか、音声の内容と感情はどのようなものなのか等)を把握することができる。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)、リカレントニューラルネットワーク(RNN;:recurrent neural network)、オートエンコーダー(auto encoder)、GAN(Generative Adversarial Networks)、制限ボルツマンマシン(RBM:restricted boltzmann machine)、深層信頼ネットワーク(DBN:deep belief network)、Qネットワーク、Uネットワーク、シャムネットワーク、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)等を含むことができる。前述のディープニューラルネットワークは、例示に過ぎず本開示はこれらに限定されない。
【0061】
本開示の一実施例において、ネットワーク関数は、オートエンコーダー(autoencoder)を含むこともできる。オートエンコーダーは、入力データに類似した出力データを出力するための人工神経回路網の一種になり得る。オートエンコーダーは、少なくとも1つのヒドゥンレイヤーを含むことができ、奇数個のヒドゥンレイヤーが入出力レイヤーの間に配置されることができる。各レイヤーのノード数は、入力レイヤーのノード数から、ボトルネックレイヤー(エンコード)という中間レイヤーに向かって減っていき、ボトルネックレイヤーから出力レイヤー(入力レイヤーと対称を成す)に向かって、縮小と対称する形で、拡張することもできる。オートエンコーダーは、非線形次元減少を行うことができる。入力レイヤー及び出力レイヤーの数は、入力データの前処理後に次元に対応することができる。オートエンコーダー構造において、エンコーダーに含まれたヒドゥンレイヤーのノードの数は、入力データから遠くなるほど減っていく構造を持つことができる。ボトルネックレイヤー(エンコーダーとデコーダーの間に位置する、ノードの数が最も少ないレイヤー)のノードの数が少なすぎる場合、十分な量の情報が伝わらない可能性があるため、特定の数以上(例えば、入力レイヤーの半分以上等)に維持されることもあり得る。
【0062】
ニューラルネットワークは、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、半教師あり学習(semi supervised learning)、または、強化学習(reinforcement learning)のうち、少なくともいずれか1つの方式で学習されることができる。ニューラルネットワークの学習は、ニューラルネットワークが特定の動作を行うための知識をニューラルネットワークに提供する過程になり得る。
【0063】
ニューラルネットワークは、出力のエラーを最小化する方向で学習されることが可能である。ニューラルネットワークの学習において、繰り返し学習データをニューラルネットワークに入力させ、学習データに関するニューラルネットワークの出力とターゲットのエラーを計算し、エラーを減らすための方向としてニューラルネットワークのエラーをニューラルネットワークの出力レイヤーから入力レイヤーの方向へ逆伝播(back propagation)してニューラルネットワークの各ノードの加重値を更新するプロセスが行われる。教師あり学習の場合、個々の学習データに正解がラベリングされている学習データを使い(つまり、ラベリングされた学習データ)、教師なし学習の場合は、個々の学習データに正解がラベリングされていない場合がある。つまり、例えばデータ分類に関する教師あり学習における学習データは、学習データの各々にカテゴリがラベリングされたデータになり得る。ラベリングされた学習データがニューラルネットワークに入力され、ニューラルネットワークの出力(カテゴリ)と学習データのラベルを比較することでエラー(error)を計算することが可能である。他の例として、データ分類に関する教師なし学習の場合、入力である学習データをニューラルネットワークの出力と比較することでエラーを計算することが可能である。計算されたエラーは、ニューラルネットワークにおいて逆方向(つまり、出力レイヤーから入力レイヤー方向)へ逆伝播され、逆伝播を通じてニューラルネットワークの各レイヤーの各ノードの連結加重値を更新することが可能である。更新される各ノードの連結加重値は、学習率(learing rate)によって変化量が決まることが可能である。入力データに対するニューラルネットワークの計算とエラーの逆伝播は、学習のサイクル(epoch)を構成することができる。学習率は、ニューラルネットワークの学習のサイクルの反復回数によって適用方式が変わることが可能である。例えば、ニューラルネットワークの学習初期においては、学習率を高くしてニューラルネットワークが早く一定のレベルの性能を確保するようにすることで効率を高め、学習の後半においては学習率を低くして精度を上げることが可能である。
【0064】
ニューラルネットワークの学習において、一般的に学習データは実際のデータ(つまり、学習されたニューラルネットワークを利用して処理しようとするデータ)の部分集合であることが可能であり、そのため学習データに係るエラーは減少するが、実際のデータに係るエラーは増加する学習サイクルが存在し得る。過剰適合(over fitting)は、このように学習データについて過度に学習したため、実際のデータにおいてエラーが増加する現象である。例えば、黄色い猫を見て猫を学習したニューラルネットワークが、黄色以外の色の猫を見ると猫であることを認識できない現象が過剰適合の一種になり得る。過剰適合は、マシンラーニングアルゴリズムのエラーを増加させる原因になり得る。このような過剰適合を防ぐために、多様な最適化方法を適用できる。過剰適合を防ぐためには、学習データを増加させる方法、正則化(regulaization)、学習の過程でネットワークのノードの一部を非活性化するドロップアウト(drop out)、バッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)の活用等の方法を適用できる。
【0065】
図3は、本開示の一実施例における、患者の重症度を予測する過程を示すフローチャートである。
【0066】
図3によると、本開示の一実施例における、患者の重症度を予測する過程は、患者のEMRデータ及び患者の生体信号を取得する段階(S310)と、重症度予測モデルを用いて、患者のEMRデータ及び患者の生体信号を基に患者の重症度に係る予測値を生成する段階(S320)とを含むことが可能である。
段階S310において、プロセッサー(110)は、患者のEMRデータ及び患者の生体信号を含む医療データを取得することが可能である。例えば、医療データは、患者について測定されたRespiration、Coagulation、Bilirubin、Cardiovascular Hypotension、CNS Glasgow Coma Scale及びRenal Creatinineの数値のようなEMRデータ及び患者の呼吸数、脈拍数、血圧等の生体信号を含むことが可能である。
【0067】
段階S320において、プロセッサー(110)は、重症度予測モデルを用いて、段階S310において取得された患者のEMRデータ及び患者の生体信号を基に、患者の重症度に係る予測値を生成することが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、重症度予測モデルを用いて、各時点において患者のSOFAスコア予測値が含まれた時系列データを生成することが可能である。
【0068】
SOFAスコアは、EMRデータのうち6つの項目について測定された項目別のSOFAスコアの合計として計算されるが、以下に、
図4を用いて、従来、患者のSOFAスコアを計算するために行われていた方法について述べる。
【0069】
上述のように、SOFAスコアは、EMRデータのうち6つの項目の測定値について演算された項目別のSOFAスコアの合計として計算される。各時点において、SOFAスコアを計算するための複数の項目について欠測値が存在する場合、従来は同一の項目の以前の時点のデータを用いて、各時点に存在する欠測値を代替(imputation)し、その後、各時点において、6つの項目の値のすべて合算して各時点におけるSOFAスコアを導出した。
【0070】
例えば、
図4において白い点は、測定値が存在しないデータポイント、黒い点は、実際に測定された値が存在するデータポイントを意味することが可能である。この場合、20:23の時点においては、SOFAスコアを計算するための6つの項目のうち、Coagulation、Cardiovascular Hypotension(Cardiovascular)、Glasgow Coma Scale(Central nervous system)の3つの項目がそれぞれ1、3、1と測定された。従来は、測定されていない残りの3つの項目について、Respiration、Bilirubin(Liver)のように過去の測定記録がない場合は0で代替し、Renal Creatinine(Renal)のように過去の測定記録が存在する場合は過去の値で代替した。
図4において、Renal Creatinineの場合、13:32の時点において1と測定されているため、20:23の時点におけるRenal 項目を1で代替することが可能である。結果的に各項目の項目別のSOFAスコアは、[0、1、0、3、1、1]であり、20:23の時点において患者のSOFAスコアは、これらの合計である6と計算された。しかし、かかる従来の方法は、欠測値を代替するための過去のデータがあまりにも遠い過去に測定された場合、又は最初から測定値が存在しない場合、SOFAスコアが不正確に計算される可能性があるという問題が存在した。
【0071】
本開示においては、
図5のように代替の値を使用していないデータ、つまり、実際に測定されたEMRデータの一部と、患者の生体信号(vital sign)情報とを重症度予測モデルに入力し、各時点において予測されるSOFAスコアを演算することが可能である。例えば、
図5に示すようなデータが重症度予測モデルに入力される場合、20:23の時点において欠測値が存在するが、本開示においては、欠測値に影響されず20:23の時点においてすぐにSOFAスコアを6と予測することが可能である。
【0072】
従来の方法では、欠測値を過去の値で代替する過程において、過去のデータがあまりにも遠い過去に測定された場合、又は最初から測定値が存在しない場合、代替 のデータと実際の患者の状況とが一致しない可能性が高かった。従って、代替の値によって最終的に導出された患者のSOFAスコアも不正確なものになる可能性があった。これと比べて、本開示においては、別途の代替の過程を経ることなく、人工神経回路網モデルが過去に実際に測定されたデータだけを入力を受け、SOFAスコアの予測値を生成しているため、従来の方法と比較して、より正確なSOFAスコアを生成することが可能である。
【0073】
図6は、本開示の一実施例において、敗血症診断モデルを学習させる過程を示すフローチャートである。
【0074】
図6によると、本開示の敗血症診断モデルを学習させる過程は、患者の重症度に係る予測値を基に、上記患者について敗血症に係る情報と敗血症性ショックに係る情報とのうち少なくとも1つを演算する段階(S410)と、上記患者の医療データに上記患者の敗血症に係る情報又は敗血症性ショックに係る情報をラベリングし、それに基づいて、第2学習データを生成する段階(S420)と、第2学習データを基に人工神経回路網モデルである敗血症診断モデルを学習させる段階(S430)とを含むことが可能である。
【0075】
段階S410において、プロセッサー(110)は、患者の重症度に係る予測値を基に、患者について、敗血症に係る情報と敗血症性ショックに係る情報とのうち少なくとも1つを演算することが可能である。例えば、プロセッサー(110)は、患者の重症度予測モデル等を通じて生成された、患者のSOFAスコア予測値が含まれた医療データを基に、患者の敗血症の発生時点又は敗血症性ショックの発生時点を推定することが可能である。SOFAスコアを基に、敗血症の発生時点又は敗血症性ショックの発生時点を推定する具体的な方法は、前述した。
【0076】
段階S420において、プロセッサー(110)は、段階S410において演算された敗血症に係る情報又は敗血症性ショックに係る情報を、演算の基礎となった医療データにラベリングし、第2学習データを生成することが可能である。
【0077】
段階S430において、プロセッサー(110)は、第2学習データを基に人工神経回路網モデルである敗血症診断モデルを学習させることが可能である。本開示において、敗血症診断モデルは、敗血症の疑いがある患者の医療データを基に、上記敗血症の疑いがある患者の敗血症の発生時点と敗血症性ショックの発生時点とのうち、少なくとも1つに係る予測値を生成する人工神経回路網モデルを意味することが可能である。
【0078】
本開示によって、患者の医療データから各時点における正確なSOFAスコアを予測することが可能であり、医療データ及びSOFAスコアから敗血症の発生時点又は敗血症性ショックの発生時点を正確に推定することが可能になる。
【0079】
図7a及び
図7bは、本開示の一実施例における、重症度予測モデルを学習させるための学習データを示す概念図である。
【0080】
重症度予測モデルを学習させるための学習データを生成するために、プロセッサー(110)は、患者のEMRデータから予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別することが可能である。例えば、重症度予測モデルが、患者のSOFAスコアを予測する人工神経回路網モデルである場合、EMRデータのうちSOFAスコアの予測に係る6つの項目は、Respiration、Coagulation、Bilirubin、Cardiovascular Hypotension、CNS Glasgow Coma Scale、Renal Creatinineを含む。プロセッサー(110)は、患者のEMRデータから特定の時間区間(例えば、24時間)において、SOFAスコアの予測に係る6つの項目がすべて取得された時間区間を識別することが可能である。つまり、この場合、6つの項目の各々は、識別された時間区間における少なくとも1つの時点において取得される。
【0081】
例えば、ある患者のEMRデータにおいて、入院後13時間32分経過した時点から入院後37時間32分経過した時点までの時間区間に、SOFAスコアの予測に係る6つの項目の各々について、少なくとも1つの測定値が存在する場合、つまり、6つの項目のすべてが取得された時間区間が存在する場合、プロセッサー(110)は、入院後13時間32分経過した時点から入院後37時間32分経過した時点までの時間区間を識別することが可能である。
【0082】
プロセッサー(110)は、識別された時間区間に対応するEMRデータの一部と識別された時間区間に対応する生体信号とを基に、重症度の予測のための学習データを生成することが可能である。
【0083】
例えば、重症度予測モデルが患者のSOFAスコアを予測する人工神経回路網モデルであり、予め決められた複数の項目が取得された時間区間が、患者の入院後13時間32分経過した時点から入院後37時間32分経過した時点までの区間である場合、プロセッサー(110)は、当該時間区間において測定されたEMRデータのうち6つの項目について取得されたすべてのデータと、当該時間区間において測定された患者の生体信号とをすべて含めて、重症度の予測のための学習データを生成することが可能である。
【0084】
しかし、本開示において学習データを生成する方法は、上述の例に限らず、データの種類及び学習時間等を考慮し、適切な学習データ生成方法が選択されることが可能である。例えば、重症度予測モデルが患者のSOFAスコアを予測するモデルである場合、プロセッサー(110)は、SOFAスコアの予測に係る6つの項目のうち5つの項目が取得された時間区間、つまり、全く測定されていない項目が1つ以下である時間区間を識別し、当該時間区間において測定された5つの項目に係るデータと、対応する生体信号とを基に、学習データを生成することが可能である。
【0085】
重症度予測モデルが患者のSOFAスコアを予測する人工神経回路網モデルである場合、重症度予測モデルを学習させるための学習データの例示的構造が
図7aに図示されている。学習データは、特定の時間区間(例えば、24時間)において取得されたSOFAスコアの予測に係る6つの項目、即ち、Respiration、Coagulation、Liver、Cardiovascular、Central nervous system、Renalに係る測定値と、当該時間区間において取得された患者の生体信号とを含むデータになり得る。
【0086】
SOFAスコアの計算のための6つの項目の各々は生体信号ほど短い周期で測定されるものではなく、すべての項目が同時に測定されない場合もある。従って、患者について記録されたEMRデータの全体を用いてSOFAスコアを予測する人工神経回路網モデルを学習させる場合、学習したEMRデータに有用なデータが十分に含まれていない場合は、逆にモデルの予測性能が低下する問題が発生する。本開示においては、患者の全体のEMRデータを学習データとして用いるのではなく、SOFAスコアを予測するのに十分な量のデータが含まれている時間区間(例えば、24時間)のデータのみを用いて学習データを生成する。従って、学習により有効なデータのみをフィルタリングしてモデルを学習させることが可能であり、最終的に完成したモデルの性能が向上する効果が得られる。
【0087】
それだけでなく、本開示においては、人工神経回路網モデルの入力として、患者のEMRデータだけでなく、生体信号情報も含まれているため、人工神経回路網モデルが2種類のデータ間の関係性を反映し、より正確なSOFAスコアを予測することが可能である。
【0088】
本開示においては、重症度予測モデルの正確度を高めるために、学習データを拡張し、拡張された学習データを用いてモデルを学習させることが可能である。プロセッサー(110)は、予め決められた複数の項目が取得された時間区間を識別し、当該時間区間に含まれているEMRデータの一部と生体信号の少なくとも一部をマスキングし、それに基づいて、拡張された学習データを生成することが可能である。
【0089】
上述のような方法によって拡張された学習データの例示的構造が
図7bに図示されている。
図7bに示すように、生体信号の測定値の一部、又はEMRデータの各項目の測定値のうち一部がマスキングされ、欠測値と同じ形態になったデータが、重症度予測モデルを学習させるための学習データとして用いられることが可能である。
【0090】
このようにマスキングに基づいて学習データにデータ拡張(data augmentation)を行う場合、重症度予測モデルは、モデルに入力される医療データに欠測値が多い場合にも、安定的に重症度に係る予測値を生成することが可能になる。結果的に、本開示によって重症度予測モデルの性能が向上することが可能である。
【0091】
図8は、本開示の一実施例において、重症度予測モデルを学習させる方法を示す概念図である。
【0092】
重症度予測モデル(830)には、学習データとして、患者のEMRデータ及び生体信号を含む時系列データ(810)が入力されることが可能である。このとき、入力される学習データには、各時点における患者のSOFAスコアがラベリングされることが可能である。重症度予測モデルは、時系列データの処理に適した再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)の形態になり得るが、本開示の学習データを処理するための多様な形態の人工神経回路網モデルが用いられることが可能である。
【0093】
重症度予測モデル(830)は、患者のSOFAスコア予測値(840)とラベルデータとを比較する方式で、教師あり学習で学習され、結果的に重症度予測モデル(830)は、患者のEMRデータ及び生体信号を含む時系列データ(810)の特性を学習することが可能である。
【0094】
本開示において、重症度予測モデル(830)は患者のEMRデータ及び生体信号を含む時系列データ(810)である医療データ以外にも、さらに、患者の感染の疑いの有無に係る情報(820)に基づき学習されることが可能である。患者の医療データ以外にも、患者の感染の疑いの有無に係る情報をも利用することで、重症度予測モデル(830)が、学習過程において、相異なるタイプの情報間の関係性も学習することが可能であり、結果的にモデルの性能が向上することが可能である。
【0095】
本開示の一実施例に基づき、データ構造を保存したコンピューター可読保存媒体が開示される。
【0096】
データ構造は、データに効率的なアクセスおよび修正を可能にするデータの組織、管理、保存を意味することができる。データ構造は、特定の問題(例えば、最短時間でデータ検索、データ保存、データ修正)を解決するためのデータ組織を意味することができる。データ構造は、特定のデータ処理機能をサポートするように設計されたデータ要素間の物理的または論理的な関係と定義することもできる。データ要素間の論理的な関係は、ユーザーが考えるデータ要素間の連結関係を含むことができる。データ要素間の物理的な関係は、 コンピューター可読保存媒体(例えば、ハードディスク)に物理的に保存されているデータ要素間の実際の関係を含むことができる。データ構造は具体的にデータの集合、データ間の関係、データに適用できる関数またはコマンドを含むことができる。効果的に設計されたデータ構造により、コンピューティング装置はコンピューティング装置のリソースを最小限に使用しながら計算を行うことができる。具体的にコンピューティング装置は効果的に設計されたデータ構造を通じて演算、読み取り、挿入、削除、比較、交換、検索の効率性を高めることができる。
【0097】
データ構造はデータ構造の形態によって線形データ構造と非線形データ構造に区分されることができる。線形データ構造は、一つのデータの後に一つのデータだけが連結される構造である可能性がある。線形データ構造はリスト(List)、スタック(Stack)、キュー(Queue)、デッキ(Deque)を含むことができる。リストは、内部的に順序が存在する一連のデータセットを意味することが可能である。リストは連結リスト(Linked List)を含むことができる。連結リストはそれぞれのデータがポインタを持って一列に連結されている方式でデータが連結されたデータ構造でありうる。連結リストでポインタは、次や以前のデータとの連結情報を含むことができる。連結リストは形態によって単一連結リスト、二重連結リスト、円形連結リストで表現できる。スタックは制限的にデータにアクセスできるデータリスト構造である可能性がある。スタックは、データ構造の片端でのみデータを処理(例えば、挿入または削除)できる線形データ構造である可能性がある。スタックに保存されたデータは、遅く入るほど早く出てくるデータ構造(LIFO-Last in First Out)である可能性がある。キューは制限的にデータにアクセスできるデータ羅列構造であり、スタックとは異なり遅く保存されたデータほど遅く出てくるデータ構造(FIFO-FirstinFirstOut)であることができる。デッキはデータ構造の両端でデータを処理できるデータ構造になり得る。
【0098】
非線形データ構造は、一つのデータの後に複数のデータが連結される構造である可能性がある。非線形データ構造はグラフ(Graph)データ構造を含むことができる。グラフデータ構造は頂点(Vertex)と幹線(Edge)で定義でき、幹線は互いに異なる二つの頂点を連結する線を含むことができる。グラフデータ構造ツリー(Tree)データ構造を含むことができる。ツリーデータ構造はツリーに含まれる複数の頂点のうち、互いに異なる2つの頂点を連結させる経路が一つのデータ構造になり得る。すなわち、グラフデータ構造でループ(loop)を形成しないデータ構造になり得る。
【0099】
本明細書にかけて、演算モデル、 神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワークは同じ意味で使用できる。(以下ではニューラルネットワークで統一して記述する。) データ構造はニューラルネットワークを含むことができる。そして、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造はまた、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノードまたはレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークの学習のための損失関数を含むことができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造は、前記開示された構成のうち任意の構成要素を含むことができる。すなわち、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノードまたはレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークのトレーニングのための損失関数など、全部またはこれらの任意の組み合わせを含んで構成されることができる。前述した構成以外にも、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークの特性を決定する任意の他の情報を含むことができる。また、データ構造は、ニューラルネットワークの演算過程で使用されたり発生するすべての形態のデータを含むことができ、前述の事項に制限されるわけではない。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読記録媒体および/またはコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。ニューラルネットワークは、一般的にノードと呼ばれる相互接続された計算単位の集合で構成されることができる。このようなノードはニューロン(neuron)と呼ばれることができる。ニューラルネットワークは、少なくとも1つ以上のノードを含んで構成される。
【0100】
データ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、ニューラルネットワークの学習過程で入力される学習データおよび/または学習が完了したニューラルネットワークに入力される入力データを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、前処理(pre-processing)を経たデータおよび/または前処理対象となるデータを含むことができる。前処理はデータをニューラルネットワークに入力させるためのデータ処理過程を含むことができる。したがって、データ構造は前処理対象となるデータおよび前処理で発生するデータを含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0101】
データ構造は、ニューラルネットワークの加重値を含むことができる。(本明細書で加重値、パラメータは同じ意味で使用できる。)そして、神経回路網の加重値を含むデータ構造はコンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークは、複数の加重値を含むことができる。加重値は可変的であり、ニューラルネットワークが望む機能を遂行するために、ユーザーまたはアルゴリズムによって可変することができる。例えば、一つの出力ノードに一つ以上の入力ノードがそれぞれのリンクによって相互接続された場合、出力ノードは前記出力ノードと連結された入力ノードに入力された値及びそれぞれの入力ノードに対応するリンクに設定されたパラメータに基づいて出力ノード値を決定することができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0102】
制限ではなく例として、加重値は神経回路網学習過程で可変する加重値および/または神経回路網学習が完了した加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値は、学習サイクルが始まる時点の加重値および/または学習サイクルの間に可変される加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習が完了した加重値は、学習サイクルが完了した加重値を含むことができる。したがって、ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値および/またはニューラルネットワーク学習が完了した加重値を含むデータ構造を含むことができる。したがって、上述した加重値および/または各加重値の組み合わせは、神経回路網の加重値を含むデータ構造に含まれるものとする。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0103】
ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、直列化(serialization)過程を経た後、コンピューター可読保存媒体(例えば、メモリ、ハードディスク)に保存されることができる。直列化は、データ構造を同一または他のコンピューティングデバイスに保存し、後で再構成して使用できる形態に変換する過程である可能性がある。コンピューティングデバイスは、データ構造を直列化し、ネットワークを介してデータを送受信することができる。直列化されたニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、逆直列化(deserialization)を通じて同じコンピューティング装置または他のコンピューティング装置で再構成されることができる。ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、シリアル化に限定されるものではない。さらに、神経回路網の加重値を含むデータ構造は、コンピューティング装置の資源を最小限に使用しながら演算の効率を高めるためのデータ構造(例えば、非線形データ構造でB-Tree、Trie、m-way search tree、AVLtree、Red-Black Tree)を含むことができる。前述の事項は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0104】
データ構造は、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ(Hyper-parameter)を含むことができる。そして、ニューラルネットワークのハイパーパラメータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ハイパーパラメータは、ユーザーによって可変される変数である可能性がある。ハイパーパラメータは、例えば、学習率(learning rate)、コスト関数(cost function)、学習サイクル反復回数、加重値初期化(例えば、加重値初期化対象となる加重値の範囲設定)、Hidden Unit個数(例えば、ヒドゥンレイヤーの個数、ヒドゥンレイヤーのノード数)を含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0105】
図9は、本開示の実施例が具現化されることのできる例示的なコンピューティング環境に係る簡略で一般的な概略図である。
【0106】
本開示が一般的にコンピューティング装置により具現化されることができると前述されているが、当業者であれば本開示が一つ以上のコンピューター上で実行されることのできるコンピューター実行可能命令及び/またはその他のプログラムモジュールと結合して及び/またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして具現化されることができるということをよく理解できるだろう。
【0107】
一般的に、本明細書におけるモジュールは、特定のタスクを実行したり特定の抽象的なデータ類型を実装するルーティン、プログラム、コンポーネント、データ構造、その他等々を含む。また、当業者なら本開示の方法がシングルプロセッサーまたはマルチプロセッサーコンピューターシステム、ミニコンピューター、メインフレームコンピューターはもちろん、パーソナルコンピューター、ハンドヘルド(handheld)コンピューティング装置、マイクロプロセッサー基盤、またはプログラム可能な家電製品、その他等々(これらは、それぞれ1つ以上の関連する装置と繋がって動作することができる)をはじめとする、他のコンピューターシステムの構成によって実施されることができることをよく理解できるだろう。
【0108】
本開示において説明された実施例は、さらに、あるタスクが通信ネットワークを通じて繋がっている遠隔処理装置によって実行される分散コンピューティング環境で実施されることができる。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルや遠隔メモリー保存装置の両方に位置することができる。
【0109】
コンピューターは、多様なコンピューター可読媒体を含む。コンピューターによってアクセス可能な媒体はいずれもコンピューター可読媒体になり得るが、このようなコンピューター可読媒体は揮発性及び非揮発性媒体、一時的(transitory)及び非一時的(non-transitory)媒体、移動式及び非-移動式媒体を含む。制限ではなく例として、コンピューター可読媒体は、コンピューター可読保存媒体及びコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータのような情報を保存する任意の方法又は技術により実装される揮発性及び非揮発性媒体、一時的及び非-一時的媒体、移動式及び非移動式媒体を含む。コンピューター可読保存媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリーまたはその他のメモリー技術、CD-ROM、DVD(digital video disk)またはその他の光ディスク保存装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク保存装置またはその他の磁気保存装置、またはコンピューターによってアクセスされることができ、情報を保存するのに使われることのできる任意のその他の媒体を含むが、これに限定されない。
【0110】
コンピューター可読伝送媒体は、通常、搬送波(carrier wave)またはその他の伝送メカニズム(transport mechanism)のような被変調データ信号(modulated data signal)にコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたはその他のデータ等を実装し、すべての情報伝達媒体を含む。被変調データ信号という用語は、信号の中で情報をエンコードするように、その信号の特性のうち1つ以上を設定または変更した信号を意味する。制限ではなく例として、コンピューター可読伝送媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続(direct-wired connection)のような有線媒体、そして音響、RF、赤外線、その他の無線媒体のような無線媒体を含む。前述の媒体のいずれかによる任意の組み合わせもまたコンピューター可読伝送媒体の範囲に含まれるものとする。
【0111】
コンピューター(1102)を含む本開示の多様な側面を実現する例示的な環境(1100)が示されており、コンピューター(1102)は、処理装置(1104)、システムメモリー(1106)、システムバス(1108)を含む。システムバス(1108)は、システムメモリー(1106)(これに限定されない)をはじめとするシステムコンポーネントを処理装置(1104)につなげる。処理装置(1104)は、多様な商用プロセッサーのうち任意のプロセッサーになり得る。デュエルプロセッサーとその他のマルチプロセッサーアーキテクチャもまた処理装置(1104)として利用されることができる。
【0112】
システムバス(1108)は、メモリーバス、周辺装置バス、そして多様な商用バスアーキテクチャの中から、任意のものを使用するローカルバスにさらに相互連結されることのできる複数の類型のバス構造のうちいずれかになり得る。システムメモリー(1106)は、読み取り専用メモリー(ROM)(1110)やランダムアクセスメモリー(RAM)(1112)を含む。基本的な入出力システム(BIOS)は、ROM、EPROM、EEPROM等の非揮発性メモリー(1110)に保存され、このBIOSは、起動中の時等にコンピューター(1102)の中の複数の構成要素間の情報のやりとりをサポートする基本的なルーティンを含む。RAM(1112)は、またデータをキャッシュするための静的RAM等の高速RAMを含むことができる。
【0113】
コンピューター(1102)においては、また、内蔵型ハードディスクドライブ(HDD)(1114)(例えば、EIDE、SATA)―この内蔵型ハードディスクドライブ(1114)はまた適切なシャシー(図示は省略)の中で外付け型の用途で構成されることができる―、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)(1116)(例えば、移動式ディスケット(1118)から読み取ったりそれに書き込むためのものである)及び光ディスクドライブ(1120)(例えば、CD-ROMディスク(1122)を読み取ったり、DVD等のその他の高容量光媒体から読み取ったり、それに書き込むためのものである)を含む。ハードディスクドライブ(1114)、磁気ディスクドライブ(1116)及び光ディスクドライブ(1120)は、それぞれハードディスクドライブインターフェース(1124)、磁気ディスクドライブインターフェース(1126)及び光ドライブインターフェース(1128)によってシステムバス(1108)に繋がることができる。外付け型ドライブの実装のためのインターフェース(1124)は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394インターフェース技術のうち、少なくとも1つまたはその両方を含む。
【0114】
これらのドライブ及びこれらに係るコンピューター可読媒体は、データ、データ構造、コンピューターで実行可能な命令、その他等々の非揮発性保存を提供する。コンピューター(1102)の場合、ドライブ及び媒体は、任意のデータを適切なデジタル形式に保存することに対応する。前述におけるコンピューター可読保存媒体に係る説明が、HDD、移動式磁気ディスク及びCDまたはDVD等の移動式光媒体について触れているが、当業者ならジップドライブ(zip drive)、磁気カセット、フラッシュメモリーカード、カートリッジ、その他等々のコンピューターにより読み取り可能な他の類型の保存媒体もまた例示的な運営環境で使われることができ、さらに、このような媒体のうち任意のある媒体が、本開示の方法を実行するためのコンピューターで実行可能な命令を含むことができることをよく理解できるだろう。
【0115】
運営システム(1130)、1つ以上のアプリケーションプログラム(1132)、その他のプログラムモジュール(1134)及びプログラムデータ(1136)をはじめとする多数のプログラムモジュールが、ドライブ及びRAM(1112)に保存されることができる。運営システム、アプリケーション、モジュール及び/またはデータの全部またはその一部分がまたRAM(1112)にキャッシュされることができる。本開示が商業的に利用可能な様々な運営システムまたは複数の運営システムの組み合わせにより実装されることができることをよく理解できるだろう。
【0116】
ユーザーは、1つ以上の有線・無線の入力装置、例えば、キーボード(1138)及びマウス(1140)等のポインティング装置を通じてコンピューター(1102)に命令及び情報を入力することができる。その他の入力装置(図示は省略)としてはマイク、IRリモコン、ジョイスティック、ゲームパッド、スタイラスペン、タッチスクリーン、その他等々があり得る。これら及びその他の入力装置が、よくシステムバス(1108)に繋がっている入力装置インターフェース(1142)を通じて処理装置(1104)に繋がることがあるが、並列ポート、IEEE1394直列ポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェース、その他等々のその他のインターフェースによって繋がることができる。
【0117】
モニター(1144)または他の類型のディスプレイ装置も、ビデオアダプター(1146)等のインターフェースを通じてシステムバス(1108)に繋がる。モニター(1144)に加えて、コンピューターは一般的にスピーカー、プリンター、その他等々のその他の周辺出力装置(図示は省略)を含む。
【0118】
コンピューター(1102)は、有線及び/または無線通信による(複数の)遠隔コンピューター(1148)等の1つ以上の遠隔コンピューターへの論理的接続を利用し、ネットワーク化された環境で動作することができる。(複数の)遠隔コンピューター(1148)は、ワークステーション、サーバーコンピューター、ルーター、パーソナルコンピューター、携帯用コンピューター、マイクロプロセッサー基盤の娯楽機器、ピア装置またはその他の通常のネットワークノードになることができ、一般的にコンピューター(1102)について述べられた構成要素のうち、多数またはその全部を含むが、簡略化するために、メモリー保存装置(1150)のみ図示されている。図示されている論理的接続は、近距離通信網(LAN)(1152)及び/または、より大きいネットワーク、例えば、遠距離通信網(WAN)(1154)における有線・無線の接続を含む。このようなLAN及びWANのネットワーキング環境は、オフィスや会社では一般的なもので、イントラネット等の全社的コンピューターネットワーク(enterprise-wide computer network)を容易にし、これらはすべて全世界のコンピューターネットワーク、例えば、インターネットに繋がることができる。
【0119】
LANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター(1102)は、有線及び/または無線通信ネットワークインターフェース、または、アダプター(1156)を通じてローカルネットワーク(1152)に繋がる。アダプター(1156)は、LAN(1152)への有線または無線通信を容易にすることができ、このLAN(1152)は、また無線アダプター(1156)と通信するためにそれに設置されている無線アクセスポイントを含む。WANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター(1102)は、モデム(1158)を含むことができたり、WAN(1154)上の通信サーバーに繋がったり、またはインターネットを通じる等、WAN(1154)を通じて通信を設定するその他の手段を持つ。内蔵型又は外付け型、そして、有線または無線装置になり得るモデム(1158)は、直列ポートインターフェース(1142)を通じてシステムバス(1108)に繋がる。ネットワーク化された環境において、コンピューター(1102)について説明されたプログラムモジュールまたはその一部分が、遠隔メモリー/保存装置(1150)に保存されることができる。図示されたネットワーク接続が例示的なものであり、複数のコンピューター間で通信リンクを設定する他の手段が使われることができるということは容易に理解できることである。
【0120】
コンピューター(1102)は、無線通信で配置されて動作する任意の無線装置またはユニット、例えば、プリンター、スキャナー、デスクトップ及び/または携帯用コンピューター、PDA(portable data assistant)、通信衛星、無線で検出可能なタグに係る任意の装備または場所及、及び電話と通信する動作をする。これは、少なくともWi-Fi及びブルートゥース(登録商標)無線技術を含む。従って、通信は、従来のネットワークのように予め定義された構造であったり、単純に少なくとも2つの装置の間でのアドホック通信(ad hoc communication)になり得る。
【0121】
Wi-Fi(Wireless Fidelity)は、有線で繋がっていなくても、インターネット等への接続を可能にする。Wi-Fiは、このような装置、例えば、コンピューターが室内及び室外で、つまり基地局の通話圏内のどこからでもデータを送受信できるようにするセル電話のような無線技術である。Wi-Fiネットワークは、安全で信頼性があり、高速である無線接続を提供するためにIEEE802.11(a、b、g、その他)という無線技術を使う。コンピューターを互いに、インターネット及び有線ネットワーク(IEEE802.3またはイーサネットを使う)に接続するためにWi-Fiが使われることができる。Wi-Fiネットワークは、非認可2.4や5GHzの無線帯域において、例えば、11Mbps(802.11a)または54Mbps(802.11b)のデータレートで動作したり、両帯域(デュエル帯域)を含む製品において動作することができる。
【0122】
本開示の技術分野における通常の知識を持つ者は情報及び信号が任意の多様な異なる技術及び手法を利用して示されることができることを理会できる。例えば、前記の説明において参照できるデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁気派、磁場等または粒子、光学場等または粒子、またはこれらの任意の組み合わせによって示されることができる。
【0123】
本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、ここに開示された実施例に係る説明で取り挙げられた多様な例示的な論理ブロック、モジュール、プロセッサー、手段、回路、アルゴリズム段階が電子ハードウェア、(利便性のために、ここでは「ソフトウェア」と称される)多様な形のプログラムまたは設計コード、またはこれらすべての結合により実装されることができることを理解できるだろう。ハードウェア及びソフトウェアのこのような相互互換性を明確に説明するために、多様な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及び段階がこれらの機能に着目して前記で一般的に説明された。このような機能がハードウェアやソフトウェアで実装されるかどうかは、特定のアプリケーションおよび全体システムに対して付与される設計上の制限によって決まる。本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、個々の特定のアプリケーションについて多様な手法で説明された機能を実現することができるが、このような実現の決定は、本開示の範囲を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0124】
ここに示された多様な実施例は、方法、装置、または標準プログラミング及び/またはエンジニアリング技術を使った製造物品(article)によって実現できる。用語「製造物品」は、任意のコンピューターで可読な装置からアクセス可能なコンピュータープログラム、キャリアー、または媒体(media)を含む。例えば、コンピューターで可読保存媒体は、磁気保存装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ等)、光学ディスク(例えば、CD、DVD等)、スマートカード及びフラッシュメモリー装置(例えば、EEPROM、カード、スティック、キードライブ等)を含むが、これらに限定されるものではない。また、ここに示されている多様は保存媒体は、情報を保存するための1つ以上の装置及び/または他の機械可読媒体を含む。
【0125】
示されたプロセスにおける複数の段階の特定の順番または階層構造は、例示的なアプローチの一例であることを理解すべきである。設計上の優先順位に基づき、本開示の範囲内で、プロセスにおける段階の特定の順番または階層構造が再配列されることができることを理解すべきである。添付の方法請求項は、サンプルとしての順番で、多様な段階のエレメントを提供するが、示された特定の順番または階層構造に限定されることを意味するわけではない。
【0126】
示された実施例に関する説明は、任意の本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が、本開示を利用したりまたは実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものであり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。従って、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。