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特開2024-159403低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法と低炭素排出鉱石成型物を含む設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159403
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法と低炭素排出鉱石成型物を含む設備
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20241031BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C04B28/02 ZAB
C04B20/00 A
C04B20/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140249
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】112115635
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523330983
【氏名又は名称】大詠城機械股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WINSON MACHINERY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】謝 宜軒
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA04
4G112PA07
4G112PC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法と低炭素排出鉱石成型物を含む設備を提供する。
【解決手段】低炭素排出鉱石成型物材料は、バインダ、第1骨材及び添加剤を含む。バインダが、ケイ酸塩、アルミン酸塩又は鉄アルミン酸塩の1種又は複数種を含む。第1骨材の第1粒子径が15mm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低炭素排出鉱石成型物材料であって、
ケイ酸塩、アルミン酸塩又は鉄アルミン酸塩の1種又は複数種を含むバインダと、
第1粒子径が15mm以下である第1骨材と、
添加剤と、を含み、
該低炭素排出鉱石成型物材料は、室温で注型及び凝固されて低炭素排出鉱石成型物が形成される低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項2】
該第1骨材の該第1粒子径が5mm~12mmである請求項1に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項3】
該第1骨材が斑れい岩、花崗岩、玄武岩、安山岩、礫岩、砂岩、頁岩、輝緑岩、輝岩、石英の1種又は複数種である請求項2に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項4】
第2骨材をさらに含み、該第2骨材は、第2粒子径が3mm未満であり、砂質材料である請求項1に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項5】
該第1骨材は、気乾状態となって無塵で角張っている硬質石材である請求項1に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項6】
該ケイ酸塩がケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウムの1種又は複数種であり、該アルミン酸塩がアルミン酸三カルシウムであり、該鉄アルミン酸塩が鉄アルミン酸四カルシウムである請求項1に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項7】
添加剤をさらに含み、該添加剤がセメント改質剤及びコンクリート用収縮低減剤を含む請求項1に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項8】
該低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、熱伝導率が2~7W・m-1-1であり、比熱容量が0.7~1.5kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が5~15×10-6/Kであり、圧縮強さが125MPaであり、曲げ強度が15MPaよりも大きく、ヤング率が40000MPaよりも大きく、密度が2~3g・cm-3である請求項1に記載の低炭素排出鉱石成型物材料。
【請求項9】
低炭素排出鉱石成型物材料の製造方法であって、
鉱石原料を粉砕して、複数の粉砕鉱石原料を形成するステップと、
第1粒子径に基づいて、該複数の粉砕鉱石原料を選別して、第1骨材を得るステップと、
該第1骨材、バインダ、添加剤及び水を混合して、該低炭素排出鉱石成型物材料を形成するステップと、を含み、
該バインダがケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム及び鉄アルミン酸四カルシウムを含み、該第1骨材の第1粒子径が15mm以下であり、該低炭素排出鉱石成型物材料は、室温で注型すると、自然流下で金型に充填した後に、凝固させて低炭素排出鉱石成型物を形成する低炭素排出鉱石成型物材料の製造方法。
【請求項10】
低炭素排出鉱石成型物を含む設備であって、
請求項1に記載の該低炭素排出鉱石成型物材料からなる低炭素排出鉱石成型物と、
該低炭素排出鉱石成型物に連結される作業機と、を含む、低炭素排出鉱石成型物を含む設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法と低炭素排出鉱石成型物を含む設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工業部品のための鋳造技術は、主に金属についての加熱に関わるが、環境保護を求める現在では、この製造方法は、大量の二酸化炭素を排出し、製品に大量の二酸化炭素排出量をもたらす。
【0003】
さらに、従来の金属鋳造方法では、溶融した金属を金型に注入し、冷却固化してから鋳物を形成する必要がある。しかしながら、当業者であれば、金属を溶融状態まで加熱するには、大量のエネルギーを消費する必要があるため、炭素排出量の増加になることが知られる。
【0004】
さらに、金属材料の製造、例えば、製錬は大量の炭素排出を必要とするため、鋳物製品の製造過程の各工程で大量の炭素排出が発生し、現在の環境保護の傾向に非常に合致しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述した周知の問題点を解決するために、低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的に基づいて、本発明は、バインダ、第1骨材及び添加剤を含む低炭素排出鉱石成型物材料を提供する。バインダが、ケイ酸塩、アルミン酸塩又は鉄アルミン酸塩の1種又は複数種を含む。第1骨材の第1粒子径が15mm以下である。
【0007】
好ましくは、一実施例において、第1骨材の該第1粒子径が3mm~5mmである。
【0008】
好ましくは、一実施例において、第1骨材が気乾状態の硬質石材であって、気乾状態となって無塵で角張っている硬質石材である。
【0009】
好ましくは、一実施例において、第1骨材が斑れい岩、花崗岩、玄武岩、安山岩、礫岩、砂岩、頁岩、輝緑岩、輝岩、石英の1種又は複数種である。
【0010】
好ましくは、一実施例において、第2骨材をさらに含み、第2骨材の第2粒子径が3mm未満である。
【0011】
好ましくは、一実施例において、第2骨材が気乾状態となって無塵で角張っている砂質材料である。
【0012】
好ましくは、一実施例において、ケイ酸塩がケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウムの1種又は複数種である。該アルミン酸塩はアルミン酸三カルシウムである。該鉄アルミン酸塩は鉄アルミン酸四カルシウムである。
【0013】
好ましくは、添加剤はセメント改質剤及びコンクリート用収縮低減剤を含む。
【0014】
好ましくは、一実施例において、低炭素排出鉱石成型物材料の熱伝導率が2~7W・m-1-1であり、比熱容量が0.7~1.5kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が5~15×10-6/Kであり、圧縮強さが125MPaよりも大きく、曲げ強度が15MPaよりも大きく、ヤング率が40000MPaよりも大きく、密度が2~3g・cm-3である。
【0015】
上述した目的に基づき、本発明は、鉱石原料を粉砕して、複数の粉砕鉱石原料を形成するステップと、第1粒子径に基づいて、複数の粉砕鉱石原料を選別して、第1骨材を得るステップと、第1骨材、バインダ、添加剤及び水を混合して、低炭素排出鉱石成型物材料を形成するステップと、を含む低炭素排出鉱石成型物材料の製造方法をさらに提供する。バインダはケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム及び鉄アルミン酸四カルシウムを含む。第1骨材の第1粒子径が15mm以下であり、低炭素排出鉱石成型物材料を室温で注型することができ、自然流下で金型に充填した後に、凝固させて低炭素排出鉱石成型物を形成する。
【0016】
上述した目的に基づいて、本発明は、低炭素排出鉱石成型物及び作業機を含む、低炭素排出鉱石成型物を含む設備をさらに提供する。低炭素排出鉱石成型物は上述したいずれかの実施例における低炭素排出鉱石成型物材料からなる。作業機が低炭素排出鉱石成型物に連結される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法を提供する。鉱石の加工は、金属材料の製造に比べて明らかに炭素排出量を低減できるため、経済的で環境に優しい。また、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、成型物を形成する過程において、低炭素排出鉱石成型物材料を加熱して溶融状態にする必要がないので、より一層の省エネルギーが可能となり、最終製品の炭素排出量を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の実施例に係る低炭素排出鉱石成型物材料の第1模式図である。
図2図2は本発明の実施例に係る低炭素排出鉱石成型物材料の第2模式図である。
図3図3は本発明の実施例に係る低炭素排出鉱石成型物材料と他の材料との材料特性の比較図である。
図4図4は本発明の実施例に係る低炭素排出鉱石成型物を含む設備の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
審査官殿が本発明の技術的特徴、内容と利点及びそれらが達成できる効果を理解するために、本発明を、図面を参照して実施例の表現形式で以下のように詳細に説明するが、その中で使用した図面は、模式及び補助的な説明のみを目的とし、本発明の実施後の真の比例と正確な配置であるとは限らないので、添付した図面の比例と配置関係について本発明の実際の実施上の権利範囲を解釈し、限定してはならず、ここで予め説明しておく。
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明するが、理解を容易にするために、以下の実施例における同一の要素には同一の符号を付して説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、バインダ11、第1骨材12及び添加剤14を含む。さらに、バインダ11、第1骨材12及び添加剤14を混合撹拌した後に、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料を加熱することなく、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料を金型に注入して固化させると、成型物を形成することができ、特に、工作機械又は他の機器のベース、ベッド、クロスビーム、コラム、軸頭、機体、テーブルなどの成型物に使用することができる。
【0022】
さらに、バインダ11が、ケイ酸塩、アルミン酸塩又は鉄アルミン酸塩の1種又は複数種を含むことができる。いくつかの実施例において、ケイ酸塩がケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウムの1種又は複数種であってもよく、アルミン酸塩がアルミン酸三カルシウムであってもよく、鉄アルミン酸塩が鉄アルミン酸四カルシウムであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0023】
好ましい実施例において、バインダ11がケイ酸塩、アルミン酸塩及び鉄アルミン酸塩を含むことができ、ケイ酸塩がケイ酸三カルシウム及びケイ酸二カルシウムであってもよく、アルミン酸塩がアルミン酸三カルシウムであってもよく、鉄アルミン酸塩が鉄アルミン酸四カルシウムであってもよい。
【0024】
さらに、第1骨材12の第1粒子径が15mm以下であり、一実施例において、構造をさらに強化するために、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、第2骨材13をさらに含むことができ、第2骨材13の第2粒子径が第1骨材12の第1粒子径よりも小さい。つまり、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料中の第1骨材12及び第2骨材13の粒子径がいずれも小さいため、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料の構成材料の異なる粒子径が最適な比率で最密充填を形成することができ、後に形成される成型物が優れた物理的特性及び機械的特性を有する。
【0025】
一実施例において、第1骨材12の第1粒子径が5mm~12mmであり、例えば5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm又は12mmであってもよいし、これらの範囲内のいずれかの粒子径であってもよいが、これらに限定されるものではない。一実施例において、好ましくは、第1骨材12の粒子径が5mm~10mmである。
【0026】
さらに、他の実施例において、第1骨材12が気乾状態の硬質石材であり、第1骨材12が斑れい岩、花崗岩、玄武岩、安山岩、礫岩、砂岩、頁岩、輝緑岩、輝岩、石英の1種又は複数種である。つまり、1種又は複数種の硬質石材からなる第1骨材12を選択することができる。
【0027】
一実施例において、第1骨材12が自然乾燥であるか又は他の形式で気乾状態になってもよい。他の実施例において、第1骨材12が無塵で角張っている硬質石材である。つまり、本発明において、鉱石原料は乾燥、粉砕、除塵、洗浄、粒子径選別(順序は実際の需要に応じて調整可能であるが、限定するものではない)などのフローのみを経由するだけで、第1骨材12を得ることができる。第1骨材12の形状には限定されるものではないので、骨材の形状の加工プロセスを省略することができる。
【0028】
一実施例において、該第2骨材13の該第2粒子径が3mm未満であり、例えば、1mm、2mm、3mm、又は0mm~3mmの間のいずれかの粒子径であってもよい。好ましくは、第2骨材13が気乾状態となって無塵で角張っている砂質材料であってもよい。さらに、一実施例において、第2骨材13は、主たる材質がシリカである天然砂又は人工砂であってもよい。
【0029】
他の実施例において、第2骨材13は他の物質を含んでいてもよく、例えば、第2骨材13はスラグ、海砂、サンゴ砂礫の1種又は複数種を含んでいてもよい。つまり、スラグ、海砂、サンゴ砂礫の1種又は複数種は、シリカを主とする砂質材料の一部又は全部に代えることができる。
【0030】
一実施例において、添加剤14はセメント改質剤、コンクリート用収縮低減剤の1種又は複数種を含むことができる。例えば、セメント改質剤は、高性能減水剤などであってもよく、コンクリート用収縮低減剤が酸化マグネシウム膨張剤、高性能コンクリート膨張剤などであってもよい。
【0031】
また、一実施例において、重量百分率で、第1骨材12及び第2骨材13の低炭素排出鉱石成型物材料における含有量が0~80重量%である。好ましくは、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、重量百分率で換算され、バインダ11が35重量%~45重量%であってもよく、第1骨材12及び第2骨材13が35重量%~45重量%で、水が5重量%~12重量%で、添加剤が2重量%~8重量%であってもよい。さらに、好ましい実施例において、重量百分率で、第1骨材12及び第2骨材13が約50重量%であってもよい。
【0032】
本発明は、
鉱石原料を粉砕して、複数の粉砕鉱石原料を形成するステップと、
第1粒子径に基づいて、複数の粉砕鉱石原料を選別して、第1骨材12を得るステップと、
第1骨材12を除塵及び浄化するステップと、
第2骨材13を提供するステップと、
第2骨材13を除塵及び浄化するステップと、
第1骨材12、第2骨材13、バインダ11、添加剤14及び水を混合して、低炭素排出鉱石成型物材料を形成するステップと、を含む低炭素排出鉱石成型物材料の製造方法をさらに提供する。
【0033】
その後、低炭素排出鉱石成型物材料を金型に注入して、成型物を形成する。さらに、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料にエポキシ樹脂などの樹脂材料を加えないため、優れた流動性を有してもよく、少なくとも樹脂材料を加えた成型物材料よりも高い。本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、優れた流動性を有し、その性能が固化前に金型の隅々まで充填するのに十分である。つまり、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料を、室温(例えば-5℃~50℃、好ましくは15℃~35℃、より好ましくは20℃~30℃)で注型することができ、自然流下で金型に充填した後に、凝固させて低炭素排出鉱石成型物を形成する。したがって、振動装置又は他の外力手段を必要とせずに、該材料をスムーズかつ確実に金型で満たすことができる。また、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料を、0℃未満の極低の室温においても、注型することもできることを留意されたい。
【0034】
他の実施例において、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料の製造において、第2骨材13を用いることなく、鉱石を本体とする第1骨材12のみを成型物の主要骨材としてもよい。
【0035】
この実施例において、バインダはケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウム、シリカヒューム(石英粉)及び強度や耐用性を高めることができる他の材料を含んでいてもよい。好ましい実施例において、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウムは、バインダの約50重量%を占める。
【0036】
一実施例において、図2に示すように、強度や耐用性を高めることができる他の材料が強化繊維15、スチール繊維、HPP繊維、プラスチック繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン)などであってもよい。その長さが3mm~10mmであってもよく、好ましくは4~6mmであってもよい。一実施例において、強化繊維15の含有量がバインダにおいて1重量%未満である。また、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、熱伝導率が低いため、プラスチック繊維又は他の耐高温に弱い強化繊維15を添加しても、高温によって強化繊維15の特性に影響を与えにくい。また、他の実施例において、強度や耐用性を高めることができる他の材料は、強化繊維15なども省略することができ、例えば、ミネラル成分のみを含有するバインダ11を用いる。
【0037】
また、好ましい実施例において、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウム、シリカヒューム(石英粉)は、いずれもナノサイズの粉末であるため、緻密な構造が形成される。
【0038】
さらに、シリカヒュームは、形成過程において、相変化の形成過程における表面張力の作用により、表面張力の作用で非晶質相となり、表面が平滑となる。シリカヒュームの一部は、複数の球状粒子が一緒に付着した凝集体である。シリカヒュームは、非常に高い表面積及び高い活性を有する材料である。シリカヒュームは、1000ナノメートル未満の微細度、100~300ナノメートルの平均粒子径、20~28m/gの比表面積を有してもよい。その微細度及び比表面積は、セメントの約80~100倍であり、フライアッシュの約50~70倍である。したがって、他の基材を接着するのに非常に適している。
【0039】
好ましい実施例において、シリカヒュームの大部分はシリカ粉末であり、粒子径が、10ナノメートル~20ナノメートルなどの7ナノメートル~40ナノメートルであり、緻密な構造を形成するのに有利である。他の実施例において、シリカ粉は、300ナノメートル未満の他の粒子径を有してもよい。また、好ましい実施例において、重量百分率で、シリカヒュームは、シリカ 75重量%~98重量%、アルミナ 1.0±0.2重量%、三酸化二鉄 0.9±0.3重量%、酸化マグネシウム0.7±0.1%、酸化カルシウム0.3±0.1重量%、NaO 1.3±0.2重量%の1種又は複数種からなってもよい。また、その嵩密度は約320~700kg/mである。
【0040】
一実施例において、シリカヒュームとケイ酸塩とが反応すると、水和反応が発生し、水和ケイ酸カルシウム及び水酸化カルシウムを生成する。水和ケイ酸カルシウムは、他の物質を結合する効果を有してもよい。シリカヒューム、水酸化カルシウム及び水は、反応してより多くのケイ酸カルシウムゲルポリマーをさらに生成することができ、このとき水酸化カルシウムの含有量が低下し、以下の化学反応で示すことができ、
【0041】
水酸化カルシウム+シリカヒューム+水→ケイ酸カルシウム水和物Ca(OH)+SiO+HO→CSH
【0042】
ケイ酸カルシウムゲルポリマーは、成型物内のマトリックスの接着を増加させ、透過性を低下させるのに役立ち、この反応では水酸化カルシウムが減少するため、構造全体の耐久性も向上させることができる。
【0043】
要約すると、シリカヒュームの粒子がとても小さいため、フィラー及びゲル材料として使用できる。シリカヒュームは、様々な基材の粒子間、特に骨材間の隙間に充填することができ、シリカヒュームは水酸化カルシウムと結合することもできるため、成型物の構造がより緻密で、より堅牢になり、透過性が低くなる。
【0044】
一実施例において、バインダ11の成分が酸化カルシウムをさらに含む。酸化カルシウム中の微細化酸化カルシウムの粒子径は、0.7~100ミクロン、好ましくは20~80ミクロンであってもよい。微細化された酸化カルシウムが酸化カルシウムの90重量%~99重量%を占める。
【0045】
一実施例において、バインダ11がセメント、シリカ及び酸化カルシウムを含む。セメントは一般セメント及び超微粒子セメントを含む。超微粒子セメントの粒子径が2~20ミクロンであり、一般セメントと超微粒子セメントとの重量百分率が3:1~5:1である。
【0046】
一実施例において、シリカは、それぞれヒュームドシリカ及び沈降シリカである2つの態様を有してもよく、両方の重量百分率の比が1:1~1:50であってもよい。
【0047】
一実施例において、セメントは、高炉スラグ、フライアッシュ、シリコン粉、ポゾラン、炭酸カルシウム、シリカ、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウムなど)、鉄酸化物(三酸化二鉄など)、石膏の1種又は複数種を含むことができる。さらに、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、耐にじみ性及び吸水特性に優れ、吸水特性が骨材の配合比、水結合材比、材料成分などの要因に決まる。本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、約0.1%未満である吸水率が非常に低い。これは、上記の微細化された骨材及び粉末材料が成型物の微細構造をより緻密にするためである。また、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、通常、流動性及び動作性能を向上させるために、高性能減水剤及び他の添加剤を含有し、最終成型物の吸水性を低下させるのに役立つ。本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、耐にじみ性にも優れ、水圧で耐にじみ性を高く保持することができる。
【0048】
さらに、上述した材料を含むか、又は上述した材料からなる本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、熱伝導率が1~8W・m-1-1であり、比熱容量が0.7~1.5kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が1~15×10-6/Kであり、圧縮強さが125MPaよりも大きく、曲げ強度が15MPaよりも大きく、ヤング率が40000MPaよりも大きく、密度が2~3g・cm-3である。
【0049】
また、低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、高温に耐えることができ、少なくとも450℃の高温に耐えることができ、優れた機械的特性及び物理的特性を維持することができる。樹脂材料を含有する成型物に比べて、例えばエポキシ樹脂を含有する材料に比べて、本発明では耐えられる温度が少なくとも200℃よりも高い(一般的に、エポキシ樹脂の最高温度の適用範囲が約150℃である)。
【0050】
図3に示すように、一実施例において、第1実施例の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、熱伝導率が2~5W・m-1-1であり、例えば、3.0W・m-1-1であってもよく、比熱容量が0.8~2.0kJ・kg-1-1であり、例えば、1.2kJ・kg-1-1であってもよく、線熱膨張率が8~15×10-6/Kであり、例えば12×10-6/Kであってもよく、圧縮強さが125MPaよりも大きく、曲げ強度が15MPaよりも大きく、ヤング率が45000MPaであり、密度が1.8~3.3g・cm-3であり、例えば、2.5g・cm-3であってもよく、対数減衰率が0.02~0.04であり、例えば、0.03であってもよく、減衰率が0.4~0.6であり、例えば0.5であってもよい。
【0051】
別の実施例において、第2実施例の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、熱伝導率が3~9W・m-1-1であり、例えば、6.0W・m-1-1であってもよく、比熱容量が0.5~1.6kJ・kg-1-1であり、例えば、0.85kJ・kg-1-1であってもよく、線熱膨張率が5~15×10-6/Kであり、例えば7×10-6/Kであってもよく、圧縮強さが150MPaよりも大きく、曲げ強度が20MPaよりも大きく、ヤング率が80000MPaであり、密度が1.8~3.3g・cm-3であり、例えば、2.8g・cm-3であってもよく、対数減衰率が0.01~0.03であり、例えば、0.021であってもよく、減衰率が0.2~0.5であり、例えば0.33であってもよい。
【0052】
さらに、エポキシ樹脂鉱石成型物は、熱伝導率が2.9~3.0W・m-1-1であり、比熱容量が0.7~0.9kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が15×10-6/Kであり、圧縮強さが110~150MPaであり、曲げ強度が30~35MPaであり、ヤング率が38~45000MPaであり、密度が2.3~2.4g・cm-3である。
【0053】
さらに、通常コンクリートは、熱伝導率が2W・m-1-1であり、比熱容量が1kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が10~11×10-6/Kであり、圧縮強さが5~55MPaであり、曲げ強度が0~5MPaであり、ヤング率が22000~35000MPaであり、密度が2.3g・cm-3である。
【0054】
さらに、天然硬石は、熱伝導率が1.7W・m-1-1であり、比熱容量が0.85kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が5.5~7.5×10-6/Kであり、圧縮強さが280~360MPaであり、曲げ強度が13~35MPaであり、ヤング率が90000~120000MPaであり、密度が2.9~3.0g・cm-3である。
【0055】
さらに、鋳鉄は、熱伝導率が29~54W・m-1-1であり、比熱容量が0.46~0.63kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が9.5~10.5×10-6/Kであり、曲げ強度が100~800MPaであり、ヤング率が80~185000MPaであり、密度が7.2~7.4g・cm-3であり、対数減衰率が0.003であり、減衰率が0.05である。
【0056】
さらに、S235シリーズ鋼材は、熱伝導率が50W・m-1-1であり、比熱容量が0.45kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が12×10-6/Kであり、曲げ強度が340~470MPaであり、ヤング率が210000MPaであり、密度が7.8g・cm-3であり、対数減衰率が0.001であり、減衰率が0.02である。
【0057】
さらに、アルミニウムは、熱伝導率が130~220W・m-1-1であり、比熱容量が0.9kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が23~24×10-6/Kであり、曲げ強度が120~500MPaであり、ヤング率が70000MPaであり、密度が2.7g・cm-3である。
【0058】
さらに、ステンレス鋼は、熱伝導率が15W・m-1-1であり、比熱容量が0.5kJ・kg-1-1であり、線熱膨張率が10~16×10-6/Kである。
【0059】
さらに、アルミニウム合金は、対数減衰率が0.01~0.15であり、減衰率が0.01~0.05である。
【0060】
上記の内容から、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物の制振性能は、鋳鉄(灰鋳鉄)の約10倍であり、鋳鉄よりも低い熱伝導率を有し、エポキシ樹脂鉱石成型物よりも優れた耐熱性及びヤング率を有し、低い熱膨張率を有することがわかる。つまり、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、耐熱、低熱伝導、低膨張率、高制振性能などの効果を有する。
【0061】
また、一実施例において、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、幅が約3メートルであり、高さが約2~4メートルであり、長さが約4メートルであり、したがって、少なくともこの実施例の成型物は、上記の各実施例の様々な効果を有することができる。
【0062】
図4に示すように、本発明は、低炭素排出鉱石成型物100及び作業機200を含む、低炭素排出鉱石成型物を含む設備10をさらに提供する。低炭素排出鉱石成型物100は上述したいずれかの実施例における低炭素排出鉱石成型物材料からなり、作業機200が低炭素排出鉱石成型物に接続される。
【0063】
さらに、一実施例において、低炭素排出鉱石成型物100は、工作機械又は他の機器のベース、ベッド、クロスビーム、コラム、軸頭、機体、テーブルなどであってもよい。作業機200は、三軸加工テーブル、五軸加工テーブル、カッタ、モータなどの加工テーブル又は作業テーブルとすることができる。
【0064】
本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、他の材料、特に従来の鋳鉄、コンクリートなどの材料と比べて、低い熱伝導率、十分な圧縮強さ、曲げ強度及びヤング率を有するため、工作機械などの優れた断熱性、耐衝撃性を必要とする装置に適している。
【0065】
上記の利点に加えて、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、鋳鉄及び大部分の金属材料よりも密度が低いため、完成品全体の重量を大幅に低減できる。つまり、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料からなる成型物は、優れた機械的特性を有するだけではなく、軽量化の効果をさらに有する。
【0066】
要約すると、本発明は、低炭素排出鉱石成型物材料及びその製造方法を提供する。鉱石の加工は、金属材料の製造に比べて明らかに炭素排出量を低減できるため、経済的で環境に優しい。また、本発明の低炭素排出鉱石成型物材料は、成型物を形成する過程において、低炭素排出鉱石成型物材料を加熱して溶融状態にする必要がないので、より一層の省エネルギーが可能となり、最終製品の炭素排出量を効果的に低減することができる。
【0067】
上記は単なる例に過ぎず、限定するものではない。本発明の精神と範囲から逸脱することなく、行われる等価の修正や変更は、添付した特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0068】
11 バインダ
12 第1骨材
13 第2骨材
14 添加剤
15 強化繊維
10 低炭素排出鉱石成型物を含む設備
100 低炭素排出鉱石成型物
200 作業機
図1
図2
図3
図4