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特開2024-159404低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159404
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/02 20060101AFI20241031BHJP
   B28B 7/10 20060101ALI20241031BHJP
   B28B 7/16 20060101ALI20241031BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20241031BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20241031BHJP
   C04B 14/06 20060101ALI20241031BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20241031BHJP
   C04B 111/72 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C04B28/02
B28B7/10 Z
B28B7/16 Z
C04B18/08 Z
C04B18/14 A
C04B14/06 Z
C04B24/26 G
C04B24/26 F
C04B111:72
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140250
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】112115636
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523330983
【氏名又は名称】大詠城機械股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WINSON MACHINERY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】謝 宜軒
【テーマコード(参考)】
4G053
4G112
【Fターム(参考)】
4G053BA01
4G053BA06
4G053BA08
4G053BB15
4G053BC03
4G053DA01
4G053DA03
4G053DA05
4G053EA48
4G112MD01
4G112PA04
4G112PA27
4G112PA28
4G112PA29
4G112PB31
4G112PC13
4G112PC14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備を提供する。
【解決手段】低炭素排出成型物10は成型物本体101、複数の埋め込み部材及び接続部を含む。成型物本体は室温で注型固化させて形成される。複数の埋め込み部材は成型物本体に埋設される。接続部は該成型物本体の少なくとも一面に設けられる。低炭素排出成型物の金型は金型底部、複数の金型側部及び少なくとも一つの支持部材を含む。低炭素排出成型物を含む設備は低炭素排出成型物及び加工装置を含む。加工装置は低炭素排出成型物に連結される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温で注型固化させて形成された成型物本体と、
該成型物本体に埋設される複数の埋め込み部材と、
該成型物本体の少なくとも一面に設けられる接続部と、を含む低炭素排出成型物。
【請求項2】
該成型物本体の少なくとも一面に少なくとも一つの溝が画定される請求項1に記載の低炭素排出成型物。
【請求項3】
該複数の埋め込み部材は、該成型物本体の底面に設けられる複数の固定部材を含み、該複数の固定部材のそれぞれに少なくとも第1ロック孔が画定され、少なくとも第1締結部品は該第1ロック孔を介して該固定部材を地面に締結する請求項1に記載の低炭素排出成型物。
【請求項4】
該接続部は金属製であり、第1接続部材、第2接続部材及び第3接続部材を含み、該第1接続部材は該成型物本体の上面中央に設けられ、該第2接続部材は該第1接続部材に隣接して設けられ、該第3接続部材は該成型物本体の側面に設けられる請求項1に記載の低炭素排出成型物。
【請求項5】
該複数の埋め込み部材は、両開口が該成型物本体の少なくとも一面に位置する少なくとも一つの管路を含む請求項1に記載の低炭素排出成型物。
【請求項6】
該複数の埋め込み部材は、締結ユニット、接続ユニット及び埋設ユニットを含む第2締結部品を複数含み、該締結ユニットは該成型物本体の一面に位置し、且つネジ孔が画定され、該接続ユニットは該締結ユニットに連結され、該埋設ユニットは該接続ユニットに連結され、該接続ユニットの有効直径が該締結ユニット及び該埋設ユニットの有効直径よりも小さい請求項1に記載の低炭素排出成型物。
【請求項7】
該低炭素排出成型物は、50mmを超える壁厚を有する請求項1に記載の低炭素排出成型物。
【請求項8】
金型底部と、
該金型底部に設けられる複数の金型側部と、
両端が少なくとも2つの金型側部の上縁を支持する少なくとも一つの支持部材と、を含む請求項1に記載の低炭素排出成型物を製作するための金型。
【請求項9】
該少なくとも一つの支持部材に連結され且つ該金型底部に懸架される少なくとも一つの溝形成部材をさらに含む請求項8に記載の金型。
【請求項10】
請求項1に記載の低炭素排出成型物と、
該低炭素排出成型物に連結される加工装置と、を含む低炭素排出成型物を含む設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、工業部品に使われる鋳造技術は金属の加熱に多く関与するが、環境保護が追求される現在、このような製造方法は大量の二酸化炭素を排出するため、二酸化炭素排出量の大きな製品となっている。
【0003】
そのほかにも、従来の金属鋳造法では、多くの場合、溶融金属を型に注入し、これらの金属が冷却固化された後に、鋳物に形成することができる。しかしながら、当業者は、金属を溶融状態まで加熱するには大量のエネルギーを消費しなければならなく、それによって炭素排出量が増加することを知っている。
【0004】
さらに説明すると、製錬などの金属材料の製造では炭素排出量が多いため、鋳物製品の製造過程における各段階で大量の炭素排出が発生し、これは現在の環境保護の傾向に大きく合わない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述した従来の問題を解決するための低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的に基づいて、本発明は低炭素排出成型物を提供し、成型物本体、複数の埋め込み部材及び接続部を含む。成型物本体は室温で注型固化させて形成される。複数の埋め込み部材は成型物本体に埋設されている。接続部は、該成型物本体の少なくとも一面に設けられる。
【0007】
好ましくは、成型物本体の少なくとも一面に少なくとも一つの溝が画定される。
【0008】
好ましくは、複数の埋め込み部材は、成型物本体の底面に設けられる複数の固定部材を含み、複数の固定部材のそれぞれに少なくとも一つの第1ロック孔が画定され、少なくとも一つの第1締結部品は第1ロック孔を介して固定部材を地面に締結する。
【0009】
好ましくは、接続部は金属製であり、第1接続部材、第2接続部材及び第3接続部材を含む。第1接続部材は成型物本体の上面中央に設けられ、第2接続部材は第1接続部材に隣接して設けられ、第3接続部材は成型物本体の側面に設けられる。
【0010】
好ましくは、複数の埋め込み部材は、両開口が成型物本体の少なくとも一面に位置する少なくとも一つの管路を含む。
【0011】
好ましくは、複数の埋め込み部材は、締結ユニット、接続ユニット及び埋設ユニットを含む第2締結部品を複数含む。締結ユニットは成型物本体の一面に位置し、ネジ孔が画定されている。接続ユニットは締結ユニットに連結され、埋設ユニットは接続ユニットに連結され、接続ユニットの有効直径が締結ユニット及び埋設ユニットの有効直径よりも小さい。
【0012】
好ましくは、低炭素排出成型物は、50mmを超える壁厚を有する。
【0013】
上述した目的に基づいて、本発明は上記低炭素排出成型物を製作するための金型をさらに提供し、金型底部、複数の金型側部及び少なくとも一つの支持部材を含む。複数の金型側部は金型底部に設けられ、少なくとも2つの側部の上縁が少なくとも一つの支持部材の両端に支持される。
【0014】
好ましくは、本発明の低炭素排出成型物の金型は、少なくとも一つの支持部材に連結され且つ金型底部に懸架される少なくとも一つの溝形成部材をさらに含む。
【0015】
上述した目的に基づいて、本発明は、前記低炭素排出成型物と、低炭素排出成型物に連結される加工装置とを含む、低炭素排出成型物を含む設備をさらに提供する。
【発明の効果】
【0016】
本出願は、低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備を提供する。成型物本体の製造が高温溶融の状態を経過する必要がないため、エネルギーを節約する効果を有し、二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、成型物本体の製造が高温溶融の状態を経過する必要がないため、埋め込み部材を先に金型に配置することができて、後続の加工工程が減り、製造の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本出願の実施例による低炭素排出成型物の第1概略図である。
図2】本出願の実施例による低炭素排出成型物の第2概略図である。
図3A】本出願の実施例による第2管路の第1概略図である。
図3B】本出願の実施例による第2管路の第2概略図である。
図4】本出願の実施例による第2締結部品の概略図である。
図5】本出願の実施例による低炭素排出鉱石成型物材料の概略図である。
図6】本出願の実施例による低炭素排出成型物の金型の第1概略図である。
図7A】本出願の実施例による低炭素排出成型物の金型の第2概略図である。
図7B】本出願の実施例による低炭素排出成型物の金型の第3概略図である。
図7C】本出願の実施例による低炭素排出成型物の金型の第4概略図である。
図8A】本出願の実施例による低炭素排出成型物の第3概略図である。
図8B】本出願の実施例による低炭素排出成型物の第4概略図である。
図9】本出願の実施例による低炭素排出成型物を含む設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
審査官が本出願の技術的特徴、内容、利点及び本出願が達成できる効果を理解するように、図面を合わせて、実施形態について詳細に説明する。また、本出願で使用される図面は、説明を例示及び補助するためのものであり、必ずしも本出願の実施後の実際の比率及び正確な構成とは限らないので、添付図面の比率及び構成関係を、本出願の実際の実施における権利の範囲に限定するものとして解釈してはならないことを、最初に説明する。
【0019】
以下、本出願の実施形態について関連図面を参照しながら説明するが、理解を容易にするために、以下の実施形態において同一の要素には同一の符号を付して説明する。
【0020】
図1図4を参照し、本出願の低炭素排出成型物10は、成型物本体101、複数の埋め込み部材及び接続部を含む。本出願の成型物本体101は室温で注型固化させて形成される。つまり、成型物本体101の成型物材料は室温で金型に流し込み、室温で固化させ、いかなる加熱又は昇温工程を経ることない。したがって、複数の埋め込み部材は、鋳鉄などの従来の鋳物のように高温の影響を受けることがない。室温は25℃であってもよく、又は、-5℃~50℃などの他の温度であってもよく、好ましくは15℃~40℃、さらに好ましくは20℃~35℃である。本出願の成型物材料は、0℃未満などの極度に低い室温でも注型できることに留意されたい。
【0021】
本出願の成型物本体101は、低炭素排出鉱石成型物材料で形成され、金属溶解の高温を経過することなく固化させて成型物を形成することができ、工作機械又はその他の機器のベース、旋盤本体、ビーム、機械柱、軸頭、機械本体、作業台などに使用できる。つまり、一実施形態では、低炭素排出鉱石成型物材料は金属材料を含まない。
【0022】
さらに説明すると、図5に示すように、成型物本体101は、粘結剤51、鉱石材料及び添加剤54を含むことができる。具体的には、鉱石材料は第1骨材52及び第2骨材53を含むことができる。つまり、成型物本体101は、粘結剤51、第1骨材52及び第2骨材53を含む低炭素排出鉱石成型物材料で形成することができる。
【0023】
他の実施形態では、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料の製造は、第2骨材53を使用せず、鉱石を主成分とする第1骨材52のみを成型物の主骨材として使用してもよい。
【0024】
一実施形態では、粘結剤51は、ケイ酸塩、アルミン酸塩又は鉄アルミン酸塩を含むことができ、ケイ酸塩はケイ酸三カルシウム及びケイ酸二カルシウムであってもよく、アルミン酸塩はアルミン酸三カルシウムであってもよく、鉄アルミン酸塩は鉄アルミン酸四カルシウムであってもよいが、これらに限定されない。
【0025】
一実施形態では、粘結剤51は、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウム、マイクロシリカ粉末(石英粉末)、及び強度と耐久性を高めることができる他の材料を含むことができる。好ましい実施形態では、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、及び鉄アルミン酸四カルシウムが粘結剤の約50重量%を占めることができる。
【0026】
さらに、好ましい実施形態では、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウム、マイクロシリカ粉末(石英粉末)はいずれもナノスケールの粉末であるので、緻密な構造を形成することができる。好ましい実施形態では、マイクロシリカ粉末は二酸化ケイ素粉末であり、緻密な構造を形成するために、その粒径は7nm~40nmの間、例えば10nm~20nmである。他の実施形態では、二酸化ケイ素粉末は、300nm未満などの他の粒径を有していてもよい。
【0027】
一実施形態では、粘結剤51の成分は酸化カルシウムをさらに含む。酸化カルシウム中の微細酸化カルシウムの粒径は0.7~100μm、好ましくは20~80μmの間であってもよい。微細酸化カルシウムの重量%は酸化カルシウムの90%~99%を占める。
【0028】
一実施形態では、粘結剤51はセメント、二酸化ケイ素及び酸化カルシウムを含む。セメントには普通セメントと極細セメントが含まれる。極細セメントの粒径は2~20μmであり、普通セメントと極細セメントの重量%は3:1~5:1である。
【0029】
一実施形態では、二酸化ケイ素は2つの形態、すなわち、気相二酸化ケイ素と沈殿二酸化ケイ素を有することができ、両方の重量%は1:1~1:50であってもよい。
【0030】
一実施形態では、セメントは、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉末、ポゾラン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、アルミニウム酸化物(三酸化二アルミニウムなど)、鉄酸化物(三酸化二鉄など)、石膏の1つ以上を含んでもよい。
【0031】
さらに説明すると、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料は良好な耐浸透性と吸水性能を有し、その吸水性能は骨材配合比、水とバインダー比、材料成分などの要因に依存する。本出願の低炭素排出鉱石成型物材料の場合、吸水率が非常に低く、約0.1%未満である。これは、前記微細骨材及び粉末により、成型物の微細構造がより緻密になるためである。また、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料は、流動性及び作業性を改善するために、通常、高効率減水剤及び他の添加剤を含有するので、最終成型物の吸水性を低減するのに役立つ。本出願の低炭素排出鉱石成型物材料により形成された成型物は耐浸透性能にも優れており、水圧下において高い耐浸透性能を維持することができる。
【0032】
一実施形態では、図5に示すように、強度及び耐久性を高めることができる他の材料は、強化繊維55、鋼繊維、プラスチック鋼繊維、プラスチック繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン)などであり得る。その長さは3mm~10mmの間、好ましくは4~6mmであり得る。また、一実施形態では、粘結剤中の強化繊維55の重量%は1%未満である。なお、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料は熱伝導係数が低いため、プラスチック繊維又は他の高温に弱い強化繊維55を添加したとしても、高温によって強化繊維55の特性に影響を与えにくいことに留意されたい。なお、他の実施形態では、鉱物成分のみを含む粘結剤51を使用するなど、強化繊維55などの強度及び耐久性を高めることができる他の材料を省略することもできる。
【0033】
さらに、好ましい実施形態では、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、アルミン酸三カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウム、マイクロシリカ粉末(石英粉末)はいずれもナノスケールの粉末、すなわち、これらの粉末の粒径が約100~300nmであるので、緻密な構造を形成することができる。
【0034】
さらに説明すると、マイクロシリカ粉末の形成において、相転移の形成中の表面張力の作用により、マイクロシリカ粉末が表面張力の作用下で非晶質相にあり、表面が滑らかである。マイクロシリカ粉末の一部は球状粒子が多数付着した集合体である。マイクロシリカ粉末は非常に表面積が大きく、活性の高い材料である。マイクロシリカ粉末の繊度は1000nm未満であり、平均粒径は100~300nmであり、比表面積は20~28m/gである。その繊度と比表面積はセメントの約80~100倍、フライアッシュの50~70倍である。そのため、他の基材との接着に非常に適している。
【0035】
好ましい実施形態では、マイクロシリカ粉末のほとんどが二酸化ケイ素粉末であり、緻密な構造を形成するために、その粒径は7nm~40nmの間、例えば10nm~20nmである。他の実施形態では、二酸化ケイ素粉末は、300nm未満などの他の粒径を有していてもよい。
【0036】
さらに、好ましい実施形態では、マイクロシリカ粉末は、重量%で、75%~98%の二酸化ケイ素、1.0±0.2%の酸化アルミニウム、0.9±0.3%の三酸化二鉄、0.7±0.1%酸化マグネシウム、0.3±0.1%の酸化カルシウム、1.3±0.2%のNaOの1つ以上から構成され得る。また、そのかさ密度は約320~700kg/mである。
【0037】
一実施形態では、マイクロシリカ粉末とケイ酸塩が反応すると、水和反応が起こり、水和ケイ酸カルシウム及び水酸化カルシウムが生成される。水和ケイ酸カルシウムは他の物質を接着する効果がある。マイクロシリカ粉末、水酸化カルシウム及び水が反応すると、より多くのケイ酸カルシウムゲルポリマーが生成されるが、このとき、水酸化カルシウムの含有量は低下し、これは次の化学反応で示すことができる。
【0038】
水酸化カルシウム+マイクロシリカ粉末+水→ケイ酸カルシウム水和物Ca(OH)+SiO+HO→CSH
【0039】
ケイ酸カルシウムゲルポリマーは、成型物内部の各母材の結合を強化し、浸透性の低減に役立つとともに、この反応中に水酸化カルシウムが減少するため、構造全体の耐久性を向上させることができる。
【0040】
上述したように、マイクロシリカ粉末の粒子が非常に小さいため、充填剤やゲル化剤として使用できる。マイクロシリカ粉末は各母材の粒子間、特に、骨材間の隙間に充填することができ、またマイクロシリカ粉末を水酸化カルシウムと組み合わせることができるため、成型物の構造がより緻密で強固であり、浸透性が低くなる。
【0041】
さらに説明すると、本出願の低炭素排出鉱石材料は良好な耐浸透性と吸水性能を有し、その吸水性能は骨材配合比、水とバインダー比、材料成分などの要因に依存する。本出願の低炭素排出鉱石材料は、吸水率が非常に低く、約0.1%未満である。これは、前記微細骨材及び粉末により、成型物の微細構造がより緻密になるためである。また、本出願の低炭素排出鉱石材料は、流動性及び作業性を改善するために、通常、高効率減水剤及び他の添加剤を含有するので、最終成型物の吸水性を低減するのに役立つ。本出願の低炭素排出鉱石材料により形成された成型物は耐浸透性能にも優れており、水圧下において高い耐浸透性能を維持することができる。
【0042】
一実施形態では、第1骨材52の粒径は15mm以下であり、第2骨材の第2粒径は第1骨材の第1粒径よりも小さい。好ましくは、一実施形態では、第1骨材の粒径は、5mm~12mmの間、例えば、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm又は12mmであってもよく、又はこれらの範囲内の任意の粒径であってもよく、これらに限定されない。一実施形態では、好ましくは、第1骨材52の粒径は5mm~10mmである。
【0043】
さらに説明すると、一実施形態では、第1骨材は気乾状態の硬質石材であってもよく、第1骨材は斑れい岩、花崗岩、玄武岩、安山岩、礫岩、砂岩、頁岩、輝緑岩、輝石、石英のうちの1つ以上であってもよい。つまり、1つ以上の硬質石材からなる第1骨材を選択することができる。
【0044】
一実施形態では、第1骨材52は、自然乾燥させることもできるし、他の方法によって気乾状態に形成することもできる。他の実施形態では、第1骨材52は塵のない角ばった硬質石材である。つまり、本出願では、鉱石原料は、乾燥、粉砕、除塵、洗浄、粒径選別(順序は実際のニーズに応じて調整でき、特に限定しない)などのプロセスを経るだけで第1骨材52を得ることができる。第1骨材52の形状は特に限定されないため、骨材形状の加工工程を省略することができる。
【0045】
一実施形態では、該第2骨材53の該第2粒径は3mm未満、例えば、1mm、2mm、3mm、又は0mm~3mmの間の任意の粒径であってもよい。好ましくは、第2骨材は、気乾状態であり、塵のない角ばった砂質材料であってもよい。さらに説明すると、一実施形態では、第2骨材は天然砂又は人工砂であり、その主材質は二酸化ケイ素であってもよい。
【0046】
他の実施形態では、第2骨材は他の物質を含んでもよく、例えば、第2骨材はスラグ、海砂、サンゴ砂のうちの1つ以上を含んでもよい。つまり、スラグ、海砂、サンゴ砂のうちの1つ以上は、二酸化ケイ素を主成分とする砂質物質を部分的又は完全に置き換えることができる。
【0047】
一実施形態では、低炭素排出鉱石成型物材料における第1骨材52及び第2骨材53の重量%は0~80%の間であってもよい。好ましくは、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料は、重量%で、粘結剤が35%~45%、第1骨材52及び第2骨材53が35%~45%、水が5%~12%、添加剤が2%~8%であってもよい。さらに説明すると、好ましい実施形態では、第1骨材52及び第2骨材53の重量%は約50%であってもよい。
【0048】
一実施形態では、添加剤は、セメント改質剤及びコンクリート収縮改質剤のうちの1つ又は複数を含み得る。例えば、セメント改質剤は高性能減水剤などであり、コンクリート収縮改質剤は酸化マグネシウム膨張剤、高性能コンクリート膨張剤などであってもよい。
【0049】
成型物本体101には複数の埋め込み部材が埋設されていてもよい。一実施形態において、複数の埋め込み部材は複数の固定部材102を含むことができる。さらに、一実施形態では、埋め込み部材の溶融温度又は耐温度は金属の溶融温度よりも低く、例えば800℃未満であり、別の実施形態では、埋め込み部材の溶融温度又は耐温度は250℃未満である。
【0050】
複数の固定部材102は該成型物本体101の底面に設けられ、少なくとも一つの第1ロック孔1021が複数の固定部材102のそれぞれに画定され、少なくとも一つの第1締結部品1022は第1ロック孔1021を介して固定部材102を地面に締結することができるので、成型物本体101を地面にしっかりと固定できる。
【0051】
他の実施形態では、固定部材102を成型物本体101にしっかりと連結するために、固定部材102にロック孔、固定孔、固定ユニットなどが設けられてもよい。また、固定部材102を成型物本体101が固化する前に成型物本体101に予め埋め込んでいるので、後続の加工工程を減らすことができる。
【0052】
この他に、複数の埋め込み部材は、少なくとも一つの管路を含むこともでき、少なくとも一つの管路のそれぞれの両開口が成型物本体101の少なくとも一面に位置し、つまり、管路の入口及び出口は成型物本体101の同じ面又は異なる面に位置することができる。さらに、一実施形態では、管路の溶融温度は金属の溶融温度より低く、例えば800℃未満であり、別の実施形態では、管路の溶融温度は250℃未満である。
【0053】
一実施形態では、図2に示すように、管路は第1管路106及び第2管路107を含むことができる。第1管路106は、プラスチック管、金属管などを用いることができ、電線、制御線などの配線を通すことができる。本出願の発明では、成型物本体101が固化する前に管路を予め埋め込むことができるため、スパイラル状管路など複雑な形状の管路を設けることができ、これに対し、従来の鋳物は金属又は鋳物材料を溶かす工程が必要なため、管路を予め埋め込むことが難しく、鋳物が冷却されてからでないと後続の加工を行うことができない。
【0054】
第2管路107は金属管であってもよいし、熱伝導性に優れ且つ丈夫な材料で作られた他の管路であってもよい。第2管路107は、水、油、冷却液などの様々な流体を通過させることができ、冷却管路又は他の供給管路として使用される。
【0055】
好ましくは、一実施形態では、第2管路107が冷却管路として使用される場合、より良好な温度低下効果を得るために、図3A及び図3Bに示す方法で成型物本体101内に螺旋状に配置することもできる。
【0056】
一実施形態において、複数の埋め込み部材は複数の第2締結部品108を含むことができる。図4に示されるように、各第2締結部品108は、締結ユニット1081、接続ユニット1082及び埋設ユニット1083を含むことができる。締結ユニット1081は成型物本体101の一面に位置することができ、他の部品を締結するために、締結ユニット1081にネジ孔を画定することができる。接続ユニット1082は締結ユニット1081に連結することができ、埋設ユニット1083は接続ユニット1082に連結することができる。この実施形態では、接続ユニット1082の有効直径は、締結ユニット1081及び埋設ユニット1083の有効直径よりも小さくすることができ、それにより、成型物本体101が固化した後、第2締結部品108が成型物本体101内にしっかりと配置することができる。
【0057】
一実施形態では、複数の埋め込み部材は、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、速度センサなどの少なくとも一つのセンサ110をさらに含むことができる。本出願の成型物材料は、追加のエネルギーを加えずに(少なくとも熱又は機械的応力を加えずに)注型を行うことができるため、先にセンサ110を金型に配置した後に成型物材料を加えることができる。したがって、後続の加工工程を減らすことができ、さらに、センサ110が熱によって損傷することもない。
【0058】
さらに説明すると、接続部は、成型物本体101の少なくとも一面に設けられてもよい。そして、一実施形態では、接続部は、加工精度を高めるために、金属製とすることができ、例えば、数値制御(numerical control, computer numerical control、CNC)により加工することができるが、これに限定されず、金属製の接続部は、加工精度が高く、ネジ孔、ほぞ、溝などの構造的特徴を有するものの配置が容易であるという利点がある。
【0059】
一実施形態において、接続部は少なくとも一つの接続部材を含み、例えば、第1接続部材103、第2接続部材104及び第3接続部材105を含むことができる。第1接続部材103は該成型物本体101の上面中央に設けられ、第2接続部材104は第1接続部材103に隣接して設けられ、第3接続部材105は成型物本体101の側面に設けられてもよい。
【0060】
一実施形態では、第1接続部材103はスライドレールに連結でき、第2接続部材104は、例えば、カッター、3軸加工プラットフォーム、多軸加工プラットフォームなどの加工装置に連結することができ、第3接続部材105は板金部品を締結することができ、板金部品を外殻として使用することができる。
【0061】
一実施形態では、本出願の低炭素排出成型物10の軽量化を図って、金型の設計を通じて、成型物本体101の少なくとも一面に少なくとも一つの溝1011を画定することもできる。したがって、低炭素排出成型物10全体の機械的強度を確保しつつ、全体構成をさらに軽量化することができる。
【0062】
応じて、一実施形態では、本出願は、上述した低炭素排出成型物10を製作するための金型をさらに提供する。低炭素排出成型物10の金型は、金型底部21、複数の金型側部22及び少なくとも一つの支持部材23を含む。複数の金型側部22は、金型底部21に設けられ、少なくとも一つの支持部材23の両端が少なくとも2つの金型側部22の上縁を支持する。
【0063】
一実施形態では、成型物本体101に埋め込み部材、接続部などの部品が予め埋め込まれており、また、成型物本体101にロック孔、溝などの空間がさらに画定されているため、例えば、部品と部品との間の成型物本体101によって充填された間隔、部品と空間との間の成型物本体101によって充填された間隔、空間と空間との間の成型物本体101によって充填された間隔、空間又は部品と成型物本体101の縁部との間隔など、成型物本体101の壁厚(肉厚)が異なっている。成型物本体101全体の強度を維持するため、最小の壁厚(肉厚)は50mmである。
【0064】
本出願の低炭素排出成型物10は加熱する必要がないため、従来の金型のように材料の選択を制限する必要がない。従来の鉄鋳物を例にすると、鉄鋳物を製造するには通常砂型に頼らなければならなく、大型の鋳物を例にすると、砂型では通常一つの鋳物しか作られず、効率が十分ではない。また、一般的な砂型では、砂はリサイクルできるものの、これらの砂のリサイクルには相当な電力が必要であり、砂と混合する化学薬品も再利用できない。本出願の低炭素排出成型物10の金型は、金型底部21及び複数の金型側部22をモジュール化しやすい木材、プラスチック鋼、金属などの材料であるので、再利用可能であり、本出願の低炭素排出成型物10及びその材料を組み合わせることにより、省エネ・低炭素排出効果にも優れている。
【0065】
一実施形態では、図6及び図7Aに示すように、支持部材23の両端が少なくとも2つの金型側部22の上縁を支持するため、金型への支持力をさらに高めることができる。なお、本出願においては、支持部材23の配置方法や数量は限定されない。例えば、支持部材23は、隣接する2つの金型側部22の間において支持することもでき、あるいは一つの支持部材23のみで金型に支持力を提供することもできる。
【0066】
一実施形態において、低炭素排出成型物10の金型は、前記溝1011を形成するための少なくとも一つの溝形成部材24をさらに含んでもよく、溝形成部材24は少なくとも一つの支持部材23に連結されるとともに金型底部21に懸架されていてもよい。
【0067】
一実施形態において、溝形成部材24は、ゴム材質などの軟質材料で製造されてもよいが、これに限定されない。また、別の実施形態では、複数の金型側部22の上縁に少なくとも一つの突出部材25が設けられてもよく、第1締結部品1022が締結を行う空間を提供するとともに、全体構造をある程度軽量化することもできる。また、溝形成部材24、突出部材25及び前記埋め込み部材はいずれも高温耐性を必要としない材料で製造することができる。
【0068】
本出願における金型底部21は、本出願における成型物本体101の上面に対応することに留意されたい。つまり、製造中に、最初に、埋め込み部材及び接続部を金型に配置し、次に、低炭素排出鉱石成型物材料を金型の上から追加することができる。別の実施形態では、必要に応じて、金型上部を追加することができ、金型上部を成型物本体101の底面に被せるようにしてもよい。
【0069】
一実施形態では、図7B及び図7Cに示すように、金型の縁部に面取り26又は丸み27を付けてもよく、例えば、金型側部22と金型底部21との接合箇所に面取り26又は丸み27を付けることができ、離型を例に挙げる。この場合、成型物本体101の対応する位置にも面取り26又は丸み27が付けられ、応力集中を回避することができる。一実施形態では、低炭素排出成型物10全体の構造強度又は耐震性能をさらに強化するために、構造補強材109をさらに設けることができる。図8Aに示すように、構造補強材109は、鋼管又は他の丈夫な棒及び柱とすることができ、構造補強材109を低炭素排出成型物の金型20内に予め配置し、その後、低炭素排出鉱石成型物材料を追加することで、成型物本体101の構造を強化することができる。
【0070】
また、構造補強材109は限定されず、例えば、構造補強材109が角形鋼管の場合、成型物本体101を横切る少なくとも1本の鋼管のみを設けてもよく、また、各方向の構造補強が必要な場合には、先に鋼管を交差して配列し、溶接などにより連結することができる。したがって、成型物本体101が固化成形された後、これらの交差して配列された鋼管により、各方向の抵抗力を高めることができる。構造補強材109の交差配列方法は特に限定されないが、一般的には、平面上で同一方向に沿って互いに平行に配列する形態、平面上で互いに直交する2つの方向に沿って交差して配列する形態、及び、成型物本体101において互いに直交する3つの方向に沿って交差して配列する形態など少なくともいくつかを有する。
【0071】
別の実施形態では、図8Bに示すように、構造補強材109は異形鉄筋などの鉄筋であってもよい。実施においては、先に、異形鉄筋を低炭素排出成型物の金型20内に配置した後、低炭素排出鉱石成型物材料を追加して、成型物本体101の構造を強化することができる。さらに説明すると、成型物本体101の各方向の抵抗力を高めるために、最初に鉄筋同士を連結するか又は巻き付けてかご状構造を形成することができる。
【0072】
さらに、他の実施形態では、図8A及び図8Bの実施形態を組み合わせて使用することができ、例えば、構造補強材109は鉄筋、鉄骨又は鋼管であってもよく、鉄筋は鉄骨又は鋼管を囲んで、より強固な構造を形成することができる。
【0073】
一実施形態では、低炭素排出成型物10を製造する場合、
鉱石原料を破砕して複数の破砕鉱石原料を形成する工程と、
第1粒径に基づいて、複数の破砕鉱石原料を選別し、第1骨材52を得る工程と、
第1骨材52の除塵及び浄化工程と、
第2骨材53を用意する工程と、
第2骨材53の除塵及び浄化工程と、
第1骨材52、第2骨材53、粘結剤51、添加剤54及び水を混合して、低炭素排出鉱石成型物材料を形成する工程と、
室温で、最初に、埋め込み部材及び接続部を金型に配置し、最後に、低炭素排出鉱石成型物材料を金型に加え、低炭素排出鉱石成型物材料を室温で固化させて、低炭素排出成型物10を形成する工程と、を含む方法によって製造することができる。
【0074】
上記製造工程において、第2骨材53を省略することもできる。また、埋め込み部材及び接続部は最初に金型内に配置され、すなわち、埋め込み部材及び接続部はそれぞれ成型物本体101に予め埋め込まれる。
【0075】
さらに説明すると、一実施形態では、先に、第1接続部材103、第2接続部材104、第3接続部材105、第2締結部品108、第1管路106、及び第2管路107を金型内に配置した後、低炭素排出鉱石成型物材料を加えるとともに、固定部材102及び溝1011を設けることができる。その後、低炭素排出鉱石成型物材料が固化した後、金型及び余分な材料40を除去した後、必要な加工を施して、低炭素排出成型物10を得ることができる。
【0076】
一実施形態では、低炭素排出鉱石成型物材料は樹脂材料を含まない。さらに説明すると、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料はエポキシ樹脂などの樹脂材料が添加されていないため、少なくとも樹脂材料を添加した成型物材料よりも良好な流動性を有することができる。本出願の低炭素排出鉱石成型物材料は流動性に優れており、固化前に金型の隅々まで充填できる性能を持っている。すなわち、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料は、室温(例えば、20℃~35℃)で注型され、自然流動下で金型に充填された後、固化して低炭素排出鉱石成型物を形成することができる。したがって、振動装置又は他の外部手段を必要とせずに、該材料を金型内にスムーズかつ確実に充填することができる。
【0077】
一実施形態では、金型には埋め込み部材、接続部などの部品が設けられており、また、ロック孔、溝などの空間を画定するための部品をさらに有するので、成型物本体101は、例えば、部品と部品との間の成型物本体101によって充填された間隔、部品と空間との間の成型物本体101によって充填された間隔、空間と空間との間の成型物本体101によって充填された間隔など、壁厚(肉厚)が異なっている。成型物本体101全体の強度を維持するため、金型内の各部品間の最小間隔、及び金型内の各部品と金型との最小間隔は50mmである。
【0078】
さらに、一実施形態では、金型内の各部品間の最小間隔、及び金型内の各部品と金型との間の間隔は、2つの部品が連結されるように、0にするか、あるいは、部品(例えば、接続部)を金型に密着させて配置することができるので、成型物材料を流し込んだ後、部品(例えば、接続部)が成型物本体101に露出する。
【0079】
具体的には、成型物本体101に十分な強度を持たせるため、また、成型物材料が注型時に金型内でスムーズに流れるようにするため、金型内の最小間隔は50mm、すなわち、成型物本体101の最小壁厚(肉厚)は約50mmである。
【0080】
さらに説明すると、上記の材料を含むか、又は上記の材料から構成される本出願の低炭素排出鉱石成型物材料によって形成された低炭素排出成型物10は、2~7W・m-1-1の熱伝導係数、0.7~1.5kJ・kg-1-1の比熱容量、5~15×10-6/Kの線熱膨張係数、125MPaを超える圧縮強度、15MPaを超える曲げ強度、40000MPaの間のヤング率、2~3g・cm-3の間の密度を有する。
【0081】
また、低炭素排出鉱石成型物材料からなる低炭素排出成型物10は、耐高温性も有しており、450℃以上の高温に耐えることができ、優れた機械的及び物理的特性を維持することができる。樹脂材料を含む成型物、例えば、エポキシ樹脂を含む材料と比較すると、本出願は、耐熱温度が少なくとも200℃高くなる(一般的にエポキシ樹脂の最高適用温度範囲は約150℃である)。
【0082】
一実施形態において、低炭素排出鉱石成型物材料の第1の実施形態によって形成された低炭素排出成型物10の熱伝導係数は2~5W・m-1-1で、例えば3.0W・m-1-1であり得、成型物の比熱容量は0.8~2.0kJ・kg-1-1で、例えば1.2kJ・kg-1-1であり得、成型物の線熱膨張係数は8~15×10-6/Kで、例えば12×10-6/Kであり得、成型物の圧縮強度は125MPaより大きく、成型物の曲げ強度は15MPaより大きく、成型物のヤング率は45000MPaであり、成型物の密度は1.8~3.3g・cm-3で、例えば2.5g・cm-3であり得、減衰対数減衰率は0.02~0.04で、例えば0.03であり得、減衰比は0.4~0.6で、例えば0.5であり得る。
【0083】
別の実施形態において、低炭素排出鉱石成型物材料の第2の実施形態によって形成された成型物の熱伝導係数は3~9W・m-1-1で、例えば6.0W・m-1-1であり得、成型物の比熱容量は0.5~1.6kJ・kg-1-1で、例えば0.85kJ・kg-1-1であり得、成型物の線熱膨張係数は5~15×10-6/Kで、例えば、7×10-6/Kであり得、成型物の圧縮強度は150MPaより大きく、成型物の曲げ強度は20MPaより大きく、成型物のヤング率は80000MPaであり、成型物の密度は1.8~3.3g・cm-3で、例えば2.8g・cm-3であり得、減衰対数減衰率は0.01~0.03で、例えば0.021であり得、減衰比は0.2~0.5で、例えば0.33であり得る。
【0084】
さらに説明すると、エポキシ樹脂鉱石成型物の熱伝導係数は2.9~3.0W・m-1-1、エポキシ樹脂鉱石成型物の比熱容量は0.7~0.9kJ・kg-1-1、エポキシ樹脂鉱石成型物の線熱膨張係数は15×10-6/K、エポキシ樹脂鉱石成型物の圧縮強度は110~150MPa、エポキシ樹脂鉱石成型物の曲げ強度は30~35MPa、エポキシ樹脂鉱石成型物のヤング率は38000~45000MPa、エポキシ樹脂鉱石成型物の密度は2.3~2.4g・cm-3である。
【0085】
さらに説明すると、普通コンクリートの熱伝導係数は2W・m-1-1、普通コンクリートの比熱容量は1kJ・kg-1-1、普通コンクリートの線熱膨張係数は10~11×10-6/K、普通コンクリートの圧縮強度は5~55MPa、普通コンクリートの曲げ強度は0~5MPa、普通コンクリートのヤング率は22000~35000MPa、普通コンクリートの密度は2.3g・cm-3である。
【0086】
さらに説明すると、天然硬石の熱伝導係数は1.7W・m-1-1、天然硬石の比熱容量は0.85kJ・kg-1-1、天然硬石の線熱膨張係数は5.5~7.5×10-6/K、天然硬石の圧縮強度は280~360MPa、天然硬石の曲げ強度は13~35MPa、天然硬石のヤング率は90000~120000MPa、天然硬石の密度は2.9~3.0g・cm-3である。
【0087】
さらに説明すると、鋳鉄の熱伝導係数は29~54W・m-1-1、鋳鉄の比熱容量は0.46~0.63kJ・kg-1-1、鋳鉄の線熱膨張係数は9.5~10.5×10-6/K、鋳鉄の曲げ強度は100~800MPa、鋳鉄のヤング率は80000~185000MPa、鋳鉄の密度は7.2~7.4g・cm-3、減衰対数減衰率は0.003、減衰比は0.05である。
【0088】
さらに説明すると、S235鋼の熱伝導係数は50W・m-1-1、S235鋼の比熱容量は0.45kJ・kg-1-1、S235鋼の線熱膨張係数は12×10-6/K、S235鋼の曲げ強度は340~470MPa、S235鋼のヤング率は210000MPa、S235鋼の密度は7.8g・cm-3、減衰対数減衰率は0.001、減衰比は0.02である。
【0089】
さらに説明すると、アルミニウムの熱伝導係数は130~220W・m-1-1、アルミニウムの比熱容量は0.9kJ・kg-1-1、アルミニウムの線熱膨張係数は23~24×10-6/K、アルミニウムの曲げ強度は120~500MPa、アルミニウムのヤング率は70000MPa、アルミニウムの密度は2.7g・cm-3である。
【0090】
さらに説明すると、ステンレス鋼の熱伝導係数は15W・m-1-1、ステンレス鋼の比熱容量は0.5kJ・kg-1-1、ステンレス鋼の線熱膨張係数は10~16×10-6/Kである。
【0091】
さらに説明すると、アルミニウム合金の減衰対数減衰率は0.01~0.15であり、減衰比は0.01~0.05である。
【0092】
以上の内容から、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料により形成された成型物の制震性能は鋳鉄(ねずみ鋳鉄)の約10倍であり、鋳鉄に比べて熱伝導係数が低く、エポキシ樹脂鉱石成型物に比べて耐熱性及びヤング率が優れており、熱膨張係数が低いことが分かる。すなわち、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料により形成された成型物は、耐熱性、低熱伝導、低膨張率、高制震性能などの効果を有する。
【0093】
つまり、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料により形成された低炭素排出成型物10は、他の材料、特に鋳鉄、コンクリートなどの従来の材料と比較して、熱伝導係数が低く、十分な圧縮強度、曲げ強度、ヤング率を有するので、工作機械など優れた断熱性と耐震動性が要求される設備に適している。
【0094】
なお、一実施形態では、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料によって形成された成型物は、幅約3メートル、高さ約2~4メートル、長さ約4メートルを有し得る。少なくとも本実施形態の成型物は上記各実施形態における各機能を有することができる。
【0095】
上述した利点に加えて、本出願の低炭素排出鉱石成型物材料によって形成された低炭素排出成型物10は、鋳鉄やほとんどの金属材料よりも密度が低いため、完成品の重量全体が大幅に軽減される。つまり、本出願の低炭素排出成型物10は、優れた機械的特性を有するだけでなく、軽量化の効果も有する。
【0096】
図9に示すように、本出願は、前記低炭素排出成型物10と、加工装置31とを含む、低炭素排出成型物を含む設備30をさらに提供する。加工装置31は低炭素排出成型物10に連結することができる。一実施形態において、加工装置31は低炭素排出成型物10の接続部に連結することができる。
【0097】
加工装置31は、3軸加工装置、5軸加工装置、カッター、リニアスライドレール、昇降台、加熱装置、冷却装置、搬送装置のうちの1つ以上を含むことができる。成型物本体101は、工作機械又はその他の機器のベース、旋盤本体、ビーム、機械柱、軸頭、機械本体、作業台などであり得る。
【0098】
以上のように、本出願は、低炭素排出成型物及びその金型、並びに低炭素排出成型物を含む設備を提供する。成型物本体の製造が高温溶融の状態を経過する必要がないため、エネルギーを節約し、二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、成型物本体の製造が高温溶融の状態を経過する必要がないため、埋め込み部材を先に金型に配置することができ、後続の加工工程が減り、製造の効率化が図れる。
【0099】
以上の説明は単なる例示であり、限定的なものではない。本出願の精神及び範囲から逸脱せずに行った同等の修正又は変更はいずれも添付の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0100】
10:低炭素排出成型物
101:成型物本体
1011:溝
102:固定部材
1021:第1ロック孔
1022:第1締結部品
103:第1接続部材
104:第2接続部材
105:第3接続部材
106:第1管路
107:第2管路
108:第2締結部品
1081:締結ユニット
1082:接続ユニット
1083:埋設ユニット
109:構造補強材
110:センサ
20:低炭素排出成型物の金型
21:金型底部
22:金型側部
23:支持部材
24:溝形成部材
25:突出部材
26:面取り
27:丸み
30:設備
31:加工装置
40:余分な材料
51:粘結剤
52:第1骨材
53:第2骨材
54:添加剤
55:強化繊維
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9