(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159412
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】液肥製造装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20241031BHJP
A01K 63/04 20060101ALI20241031BHJP
C05F 3/06 20060101ALI20241031BHJP
C05G 5/20 20200101ALI20241031BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20241031BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20241031BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C02F1/44 A
A01K63/04 A
C05F3/06
C05G5/20
B01D61/00 500
B01D61/02 500
B01D61/58
C02F1/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149931
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2023073632
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591205732
【氏名又は名称】マコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】松原幸人
【テーマコード(参考)】
2B104
4D006
4H061
【Fターム(参考)】
2B104AA01
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4H061GG10
4H061GG12
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4H061GG54
4H061GG67
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来に無い非常に実用的な液肥製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水生生物を育成することで生じる排泄物含有水50から液肥100を製造する液肥製造装置であって、前記排泄物含有水50と駆動溶液60とを正浸透膜1aを介して接触させ濃縮排泄物含有水51と希釈駆動溶液61を作出する正浸透膜部1と、この正浸透膜部1で作出された前記希釈駆動溶液61を回収する部位にして前記正浸透膜部1へ供給する前記駆動溶液60を収容する駆動溶液収容部3と、この駆動溶液収容部3から導出する前記駆動溶液60を加圧して逆浸透膜2aを介して不透過液62と透過液63とを作出する逆浸透膜部2とを有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水生生物を育成することで生じる排泄物含有水から液肥を製造する液肥製造装置であって、前記排泄物含有水と駆動溶液とを正浸透膜を介して接触させ濃縮排泄物含有水と希釈駆動溶液を作出する正浸透膜部と、この正浸透膜部で作出された前記希釈駆動溶液を回収する部位にして前記正浸透膜部へ供給する前記駆動溶液を収容する駆動溶液収容部と、この駆動溶液収容部から導出する前記駆動溶液を加圧して逆浸透膜を介して不透過液と透過液とを作出する逆浸透膜部とを有し、前記不透過液が前記駆動溶液収容部に導入されるように構成されていることを特徴とする液肥製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の液肥製造装置において、前記排泄物含有水を収容する液体収容部と、この液体収容部から前記排泄物含有水を前記正浸透膜部へ搬送する第一搬送部と、前記正浸透膜部から前記濃縮排泄物含有水を前記液体収容部へ搬送する第二搬送部とを有することを特徴とする液肥製造装置。
【請求項3】
請求項2記載の液肥製造装置において、前記液体収容部内の前記排泄物含有水の濃度を計測する濃度計測部を有し、前記液体収容部内の前記排泄物含有水の濃度が所定値よりも高くなった場合、この高濃度の排泄物含有水を前記液肥として収容する液肥収容部へ導出するように構成されていることを特徴とする液肥製造装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の液肥製造装置において、前記駆動溶液収容部から前記駆動溶液を前記逆浸透膜部へ搬送する第三搬送部と、前記逆浸透膜部から前記不透過液を前記駆動溶液収容部に搬送する第四搬送部と、前記駆動溶液収容部から前記駆動溶液を前記正浸透膜部へ搬送する第五搬送部と、前記正浸透膜部から前記希釈駆動溶液を前記駆動溶液収容部に搬送する第六搬送部とを有することを特徴とする液肥製造装置。
【請求項5】
請求項1~3いずれか1項に記載の液肥製造装置において、前記逆浸透膜部から前記透過液を前記水生生物を育成する水生生物育成部へ搬送する第七搬送部を有することを特徴とする液肥製造装置。
【請求項6】
請求項4記載の液肥製造装置において、前記逆浸透膜部から前記透過液を前記水生生物を育成する水生生物育成部へ搬送する第七搬送部を有することを特徴とする液肥製造装置。
【請求項7】
水生生物を育成することで生じる排泄物含有水から液肥を製造する液肥製造装置であって、前記排泄物含有水を正浸透膜を介して駆動溶液と接触させて濃縮排泄物含有水を作出する正浸透膜部と、この正浸透膜部から導出された前記駆動溶液を加圧し逆浸透膜を通過させて抜水する逆浸透膜部とを有することを特徴とする液肥製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液肥製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、水産養殖と水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスが注目され、これを実現するための種々の技術(例えば特許文献1や特許文献2など)が提案されている。
【0003】
具体的には、これら従来例は、水生生物を養殖する養殖水槽部と、養殖水槽から送られた水を浄化する浄化部と、浄化部で浄化された水が送られ植物を栽培する植物槽部とを備えたものであり、養殖用の水を浄化処理して循環再利用しながら水生生物と植物を育てるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-42492号公報
【特許文献2】特許第6876187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来においても養殖水槽の水(排泄物含有水)から植物栽培に使用される液肥の製造が試みられているが、この排泄物含有水に含まれる肥料成分は微量であり、一般的に使用される液肥にする為には200~500倍に濃縮する必要があると言われている。よって、排泄物含有水から液肥を製造することは技術的にもコスト的にも困難とされていた。
【0006】
本発明者は、前述した水生生物を育成する水生生物育成部において、この水生生物育成部で生じる排泄物含有水から液肥を製造する技術について更なる研究開発を進めた結果、従来に無い非常に実用的な液肥製造装置を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
水生生物を育成することで生じる排泄物含有水50から液肥100を製造する液肥製造装置であって、前記排泄物含有水50と駆動溶液60とを正浸透膜1aを介して接触させ濃縮排泄物含有水51と希釈駆動溶液61を作出する正浸透膜部1と、この正浸透膜部1で作出された前記希釈駆動溶液61を回収する部位にして前記正浸透膜部1へ供給する前記駆動溶液60を収容する駆動溶液収容部3と、この駆動溶液収容部3から導出する前記駆動溶液60を加圧して逆浸透膜2aを介して不透過液62と透過液63とを作出する逆浸透膜部2とを有し、前記不透過液62が前記駆動溶液収容部3に導入されるように構成されていることを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の液肥製造装置において、前記排泄物含有水50を収容する液体収容部4と、この液体収容部4から前記排泄物含有水50を前記正浸透膜部1へ搬送する第一搬送部5と、前記正浸透膜部1から前記濃縮排泄物含有水51を前記液体収容部4へ搬送する第二搬送部6とを有することを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【0010】
また、請求項2記載の液肥製造装置において、前記液体収容部4内の前記排泄物含有水50の濃度を計測する濃度計測部7を有し、前記液体収容部4内の前記排泄物含有水50の濃度が所定値よりも高くなった場合、この高濃度の排泄物含有水50を前記液肥100として収容する液肥収容部8へ導出するように構成されていることを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の液肥製造装置において、前記駆動溶液収容部3から前記駆動溶液60を前記逆浸透膜部2へ搬送する第三搬送部9と、前記逆浸透膜部2から前記不透過液62を前記駆動溶液収容部3に搬送する第四搬送部10と、前記駆動溶液収容部3から前記駆動溶液60を前記正浸透膜部1へ搬送する第五搬送部11と、前記正浸透膜部1から前記希釈駆動溶液61を前記駆動溶液収容部3に搬送する第六搬送部12とを有することを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の液肥製造装置において、前記逆浸透膜部2から前記透過液63を前記水生生物を育成する水生生物育成部Xへ搬送する第七搬送部13を有することを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【0013】
また、請求項4記載の液肥製造装置において、前記逆浸透膜部2から前記透過液63を前記水生生物を育成する水生生物育成部Xへ搬送する第七搬送部13を有することを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【0014】
また、水生生物を育成することで生じる排泄物含有水50から液肥100を製造する液肥製造装置であって、前記排泄物含有水50を正浸透膜1aを介して駆動溶液60と接触させて濃縮排泄物含有水51を作出する正浸透膜部1と、この正浸透膜部1から導出された前記駆動溶液60を加圧し逆浸透膜2aを通過させて抜水する逆浸透膜部2とを有することを特徴とする液肥製造装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、水生生物を育成する水生生物育成部において、この水生生物育成部で生じる排泄物含有水から液肥を良好に製造することができるなど、従来に無い非常に実用的な液肥製造装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施例に係る水生生物育成装置(液肥製造装置)の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
本発明は、正浸透膜部1と逆浸透膜部2とを用いて、水生生物を育成する水生生物育成部Xから生じる排泄物含有水50から液肥100を製造するものである。
【0019】
具体的には、例えば排泄物含有水50が正浸透膜部1を通過すると、この排泄物含有水50は正浸透膜1aを介して駆動溶液60と接触して該駆動溶液60により水分が抜かれ、濃縮排泄物含有水51となる。この濃縮排泄物含有水51を循環するなどして再度、正浸透膜部1を通過させると、より濃度が高くなった濃縮排泄物含有水51となり、この正浸透膜部1に対する通過を繰り返すことで、所望の濃度(植物栽培に必要な濃度)に濃縮される。
【0020】
従って、正浸透膜部1を用いた簡易構造により、水生生物を育成する水生生物育成部Xから生じる排泄物含有水50から植物栽培に使用可能な液肥100が確実に得られる。
【0021】
ところで、正浸透膜部1へ供給された駆動溶液60は該正浸透膜部1を通過することで排泄物含有水50から水分を得て希釈駆動溶液61となるが、本発明は、この正浸透膜部1で作出された希釈駆動溶液61を廃液とせず、逆浸透膜部2において加圧して逆浸透膜2aを介して水分を抜く処理を経て、正浸透膜部1で用いる駆動溶液60として再生させる。この逆浸透膜2aを透過して抜かれた水分(透過液63)は浄化された水として扱うことができる。
【0022】
従って、逆浸透膜部2を併用することで、正浸透膜部1を用いた濃縮処理しても無駄が生じない。
【0023】
また、本発明は、正浸透膜部1で作出された希釈駆動溶液61を回収する部位にして正浸透膜部1へ供給する駆動溶液60を収容する駆動溶液収容部3を有し、この駆動溶液収容部3から導出する駆動溶液60を逆浸透膜部2に通過させて不透過液62を作出し、この不透過液62を駆動溶液収容部3に導入し、希釈駆動溶液61と混ぜて該駆動溶液60とする構成であり、この構成から常に正浸透膜部1での処理に適した濃度の駆動溶液60が安定的に得られることになる。
【0024】
具体的には、仮に正浸透膜部1と逆浸透膜部2とが直接接続される構造の場合、即ち、正浸透膜部1で作出された希釈駆動溶液61が逆浸透膜部2へ直接供給され、一方、逆浸透膜2で作出された不透過液62が正浸透膜部1へ直接供給される構造とした場合、夫々の濃縮能力の差から駆動溶液60の濃度が大きく変化して不安定になり、処理不能になるといった問題が生じるが、この点、本発明は、前述したような構成としたから、駆動溶液収容部3内の溶液濃度をモニタリングし、例えば濃度の変化に応じて各膜部における溶液の流量を調整するだけで駆動溶液60の濃度を簡易且つ良好に制御することができ、ひいては、正浸透膜部1における良好な濃縮処理を実現することができる。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、水生生物を育成する水生生物育成部Xにおいて、この水生生物育成部Xで生じる排泄物含有水50から液肥100を製造する液肥製造装置であって、前述した水生生物を育成する水生生物育成部Xと、この水生生物育成部Xから生じる排泄物含有水50を浄化する水浄化部Yとを備えた水生生物育成装置の一部として構成したものである。尚、この液肥製造装置を水生生物育成装置とは別の装置の一部として構成したり、単独に構成しても良い。
【0027】
水生生物育成部Xは、
図1に図示したように所定量の育成水を収容して水生生物(魚介)を育成する水槽(養殖水槽)であり、水生生物を育成するに必要なその他の器具(図示省略)を種々備えている。
【0028】
また、水生生物育成部Xは、水生生物を育成する上で生じる排泄物含有水50を後述する水浄化部Y(前処理部20)へ搬送する第九搬送部15(ポンプ36付き往路配管)が設けられると共に、後述する水浄化部Y(逆浸透膜部2)から延設される第七搬送部13(復路配管)の端部が設けられている。尚、本実施例に係る排泄物含有水50は、魚介の糞尿や残餌などの有機物を含んだ水である。
【0029】
水浄化部Yは、水生生物育成部Xと第九搬送部15を介して連設する前処理部20と、この前処理部20と第十搬送部16を介して連設する液体収容部4と、この液体収容部4と第一搬送部5及び第二搬送部6を介して連設する正浸透膜部1と、この正浸透膜部1と第五搬送部11及び第六搬送部12を介して連設する駆動溶液収容部3と、この駆動溶液収容部3と第三搬送部9及び第四搬送部10を介して連設する逆浸透膜部2と、液体収容部4と第一搬送部5から分岐する第八搬送部14を介して連設する液肥収容部8とを有しており、更に、逆浸透膜部2は第七搬送部13を介して水生生物育成部Xと連設されており、水生生物育成部Xとの組み合わせから閉鎖循環型の育成システム(養殖システム)として構成されている。
【0030】
以下、水浄化部Yに係る構成各部について詳細な説明をする。
【0031】
前処理部20は、
図1に図示したように所定容量を有するタンクであり、水生生物育成部Xから延設される第九搬送部15の端部が設けられ、該第九搬送部15を介して排泄物含有水50が導入されるように構成されている。
【0032】
また、この前処理部20内にして第九搬送部15の端部が設けられる排泄物含有水50の導入部位には、濾過フィルター部20a(バグフィルター)が設けられ、この濾過フィルター部20aは排泄物含有水50と共に導入される塵や藻などの比較的大きめの不要物を除去するように構成されている。
【0033】
また、前処理部20は、第十搬送部16(ポンプ36付き配管)が設けられ、該第十搬送部16を介して濾過された排泄物含有水50が導出されるように構成されている。
【0034】
液体収容部4は、
図1に図示したように所定容量を有するタンクであり、前処理部20から延設される第十搬送部16の端部が設けられ、該第十搬送部16を介して濾過された排泄物含有水50が導入されるように構成されている。
【0035】
また、液体収容部4は、第一搬送部5(ポンプ36付き往路配管)が設けられ、該第一搬送部5を介して排泄物含有水50が導出されると共に、正浸透膜部1から延設される第二搬送部6(復路配管)の端部が設けられ、該第二搬送部6を介して濃縮排泄物含有水51が導入されるように構成されている。符号35はフィルター部である。
【0036】
この液体収容部4は、前処理部20から所定量の排泄物含有水50が導入された後、前処理部20からの排泄物含有水50の導入を停止した状態で、正浸透膜部1との間で排泄物含有水50(濃縮排泄物含有水51)の循環処理を行うことで、高濃度の排泄物含有水50(濃縮排泄物含有水51)が溜まる濃縮タンクとして機能する。
【0037】
正浸透膜部1は、
図1,2に図示したように筒状本体1’内に筒状の正浸透膜1aが設けられ、この正浸透膜1aによって筒状本体1’内が内外2つの室(第一室部1b及び第二室部1c)に仕切られた構成としている。
【0038】
また、筒状本体1’の一端部には、第一室部1bに排泄物含有水50を導入する液体収容部4から延設される第一搬送部5の端部が設けられると共に、他端部には、第一室部1b内を通過した濃縮排泄物含有水51を導出する第ニ搬送部6(復路配管)が設けられ、一端側周面部には、第二室部1cに後述する駆動溶液60を導入する駆動溶液収容部3から延設される第五搬送部11の端部が設けられると共に、他端側周面部には、第二室部1cを通過した希釈駆動溶液61を導出する第六搬送部12(復路配管)が設けられる。
【0039】
従って、正浸透膜部1では、第一搬送部5から第一室部1bに導入される排泄物含有水50と、第五搬送部11から第二室部1cに導入される駆動溶液60とが正浸透膜1aを介して接触し、排泄物含有水50は水分が抜かれて濃縮排泄物含有水51となって第ニ搬送部6へ導出され、駆動溶液60は排泄物含有水50の水分を含んで希釈駆動溶液61となって第六搬送部12へ導出される。
【0040】
尚、正浸透膜1aは上記構造に限られるものではない。
【0041】
逆浸透膜部2は、
図1,3に図示したように筒状本体2’内に逆浸透膜2aが設けられた構成としている。
【0042】
また、筒状本体2’の一端部には、逆浸透膜2aに駆動溶液60を導入する駆動溶液収容部3から延設される第三搬送部9の端部が設けられると共に、他端部には、逆浸透膜2aを透過せずに筒状本体2’を通過した不透過液62を導出する第四搬送部10(復路配管)が設けられ、他端側周面部には、逆浸透膜2aを透過して筒状本体2’を通過した透過液63を導出するための第七搬送部13(復路配管)が設けられている。
【0043】
従って、逆浸透膜部2では、第三搬送部9から駆動溶液60が高圧に加圧された状態で導入され、逆浸透膜2aを透過せず筒状本体2’を通過した不透過液62(水分が抜かれた濃縮駆動溶液)は第四搬送部10へ導出され、逆浸透膜2aを透過して筒状本体2’を通過した透過液63(水分)は第七搬送部13へ導出される。
【0044】
尚、逆浸透膜2aは上記構造に限られるものではない。
【0045】
駆動溶液収容部3は、
図1に図示したように所定容量を有するタンクで構成されており、駆動溶液60(ドロー液)が収容されている。尚、本実施例では、駆動溶液60として塩化ナトリウム(NaCl/1mоl(58.5g/L))の水溶液を採用している。
【0046】
また、駆動溶液収容部3は、第五搬送部11(ポンプ36付き往路配管)が設けられ、該第五搬送部11を介して駆動溶液60が導出されると共に、正浸透膜部1から延設される第六搬送部12の端部が設けられ、該第六搬送部12を介して希釈駆動溶液61が導入されるように構成されている。
【0047】
また、駆動溶液収容部3は、第三搬送部9(ポンプ36付き往路配管)が設けられ、該第三搬送部9を介して駆動溶液60が導出されると共に、逆浸透膜2から延設される第四搬送部10の端部が設けられ、該第四搬送部10を介して不透過液62が導入されるように構成されている。
【0048】
従って、駆動溶液収容部3は、第六搬送部12を介して希釈駆動溶液61が、第四搬送部10を介して不透過液62が導入され、この希釈駆動溶液61と不透過液62が混合することで所定濃度に調整された駆動溶液60が作出される回生タンクとして機能する。
【0049】
また、本実施例では、第一搬送部5の途中部位から後述する方向切換え弁部30を介して分岐する第八搬送部14が設けられ、この第八搬送部14の端部には液肥収容部8が設けられており、更に、第一搬送部5には液体収容部4内の排泄物含有水50の濃度を計測する濃度計測部7(電気伝導度センサー)が設けられている。
【0050】
従って、濃度計測部7で液体収容部4内の排泄物含有水50の濃度が所定値(肥料100に適用する電導度)以上に達した場合、第一搬送部5から第八搬送部14へ排泄物含有水50の搬送経路が切り替わり、この高濃度の排泄物含有水50が液肥収容部8へ導入されるように構成されている。
【0051】
また、本実施例では、第七搬送部13の途中部位から方向切換え弁部30を介して分岐する液搬送部17が設けられ、この液搬送部17の端部は第五搬送部11の途中部位へ方向切換え弁部30を介して設けられている。
【0052】
従って、第七搬送部13を通過する透過液63が液搬送部17を介して第五搬送部11へ送られ、この透過液63が正浸透膜部1へ供給されることで正浸透膜1aにおいて浸透圧による逆洗が行われる。
【0053】
また、本実施例は、前述したフィルター部35及びポンプ36の他、各種液が搬送される経路内に方向切換え弁部30,逆止弁部31,水位計測部32,圧力計部33及び流量計部34が設けられ、これら各作動部位の作動は、図示省略の制御部により制御されている。
【0054】
以上の構成から成る本実施例に係る水生生物育成装置(液肥製造装置)における水浄化処理(液肥100及び浄化水の製造)について説明する。
【0055】
先ず、水生生物育成部Xの排泄物含有水50は、第九搬送部15で前処理部20へ搬送され、濾過フィルター部20aで濾過される。
【0056】
続いて、前処理部20の排泄物含有水50は、第十搬送部16で液体収容部4へ搬送され、この液体収容部4内の水位が所定位置に達したら第十搬送部16による搬送は停止される。
【0057】
続いて、液体収納部4の排泄物含有水50は、第一搬送部5で正浸透膜部1へ搬送され、一方、駆動溶液収容部3の駆動溶液60は、第五搬送部11で正浸透膜部1へ搬送され、この正浸透膜部1へ搬送された排泄物含有水50と駆動溶液60は正浸透膜1aを介して接触し、水分を抜かれて濃縮された濃縮排泄物含有水51は第二搬送部6で液体収納部4へ搬送され、水分を得て希釈された希釈駆動溶液61は第六搬送部12で駆動溶液収容部3へ搬送される。この排泄物含有水50(濃縮排泄物含有水51)を暫く循環させて正浸透膜1aを介して駆動溶液60と接触させると、より濃度が高くなった濃縮排泄物含有水51となり、濃度計測部7で予め設定された所望の濃度(液肥100としての植物栽培に必要な濃度)に濃縮されたことが検知されると、第八搬送部14で液肥収容部8へ搬送される。その後、空となった液体収納部4に対し、その都度、前処理部20から排泄物含有水51が供給され、前述と同様に、排泄物含有水50の濃縮処理(液肥100の製造)が行われる。
【0058】
この排泄物含有水50の濃縮処理が行われている間、駆動溶液収容部3の駆動溶液60は、第三搬送部9で逆浸透膜部2へ搬送され、加圧された状態で逆浸透膜2aを介して不透過液62(水分が抜かれた(脱水された)濃縮駆動溶液)と透過液63(浄化された水)とが作出され、不透過液62は第四搬送部10で駆動溶液収容部3へ搬送され、この駆動溶液収容部3に導入された不透過液62は、第六搬送部12を介して導入された希釈駆動溶液61と混合することで所定濃度に調整された駆動溶液60が作出され、一方、透過液63(浄化された水)は第七搬送部13で水生生物育成部Xへ搬送される。
【0059】
本実施例は上述のように構成したから、水生生物を育成する水生生物育成部Xから生じる排泄物含有水50から植物栽培に適した液肥100を良好に製造することができ、しかも、正浸透膜部1での処理に重要となる駆動溶液60の濃度制御が簡易且つ良好に行われるから、コスト面(製造コスト及びランニングコスト)において極めて秀れたものとなる。
【0060】
また、本実施例は、濃縮度を上げても目詰まりしにくい正浸透膜1aを用いた構成であるから、この点おいても液肥100を良好に製造することができる。
【0061】
即ち、液体の濃縮においては、逆浸透膜が用いられることが多く、海水淡水化装置などでも多くの実績がある。但し、逆浸透膜は膜を通過させるために大きな圧力をかける必要があるため膜が詰まりやすく、寿命が短いという欠点がある。これに対して正浸透膜は浸透圧のみで膜を通過するため圧力をかける必要がなく、逆浸透膜よりも長期に安定した濃縮が期待できる。
【0062】
また、本実施例は、排泄物含有水50を収容する液体収容部4と、この液体収容部4から前記排泄物含有水50を正浸透膜部1へ搬送する第一搬送部5と、正浸透膜部1から濃縮排泄物含有水51を前記液体収容部4へ搬送する第二搬送部6とを有するから、前述した作用効果を確実に奏することになる。
【0063】
また、本実施例は、液体収容部4内の排泄物含有水50の濃度を計測する濃度計測部7を有し、液体収容部4内の排泄物含有水50の濃度が所定値よりも高くなった場合、この高濃度の排泄物含有水50を液肥100として収容する液肥収容部8へ導出するように構成されているから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することになる。
【0064】
また、本実施例は、駆動溶液収容部3から駆動溶液60を逆浸透膜部2へ搬送する第三搬送部9と、逆浸透膜部2から不透過液62を駆動溶液収容部3に搬送する第四搬送部10と、駆動溶液収容部3から駆動溶液60を正浸透膜部1へ搬送する第五搬送部11と、正浸透膜部1から希釈駆動溶液61を駆動溶液収容部3に搬送する第六搬送部12とを有するから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することになる。
【0065】
また、本実施例は、逆浸透膜部2から透過液63を水生生物育成部Xへ搬送する第七搬送部13を有するから、水生生物育成部Xへ浄化された水を効率良く供給することができる。
【0066】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。