(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159452
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】染毛用組成物及び染毛方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20241031BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241031BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q5/10
A61K8/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213366
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2023073146
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516326380
【氏名又は名称】株式会社NIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸蔵
(72)【発明者】
【氏名】鄭 真
(72)【発明者】
【氏名】岡田 久
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB082
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB322
4C083AB332
4C083AB352
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC542
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD202
4C083AD282
4C083AD642
4C083BB21
4C083CC33
4C083CC36
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD23
4C083EE10
4C083EE26
4C083FF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い染毛力を有する染毛用組成物、及びこの染毛用組成物を使用する染毛方法を提供する。
【解決手段】染毛用組成物が、4-メトキシ-1-ナフトール等の色素前駆体を含有する。また、染毛方法が、染毛用組成物中の色素前駆体を、空気中の酸素により酸化して色素を形成させる工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)~(4)で表される色素前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有し、下記一般式(1)~(4)において、R
1はアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表し、R
2及びR
3はそれぞれ水素原子、水酸基、又はアルコキシ基を表すことを特徴とする染毛用組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【請求項2】
前記色素前駆体と酸素の反応速度を高める酸化触媒を更に含有する、請求項1に記載された染毛用組成物。
【請求項3】
前記色素前駆体、酸素及び前記酸化触媒の酸化反応サイクルを加速させるメディエーターを更に含有する、請求項2に記載された染毛用組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載された染毛用組成物中の前記色素前駆体を、空気中の酸素により酸化して色素を形成させる工程を含むことを特徴とする染毛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛用組成物及び染毛方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている毛髪を段階的に染毛する染毛方法として、シャンプー、コンディショナー、又はトリートメントに少量の染料を含有させ、シャンプー、コンディショニング、又はトリートメント処理の過程で当該染料を少しずつ毛髪に染着させる方法が知られている。さらに従来の別の染毛方法として、空気酸化により色素に変換される化合物(色素前駆体)を用い、ヘアケア処理中に当該化合物を空気酸化して色素を形成させ、毛髪を段階的に着色させる方法も知られている。
【0003】
前記染料を少しずつ毛髪に染着させる方法は、ヘアケア時に手及び皮膚への着色が避けられないという欠点を有する。一方、前記の空気酸化により色素を形成させて毛髪を段階的に着色させる方法は、染毛にやや時間を要するが、手及び皮膚への着色が軽減されるという利点を有する。
【0004】
前記の空気酸化により毛髪を段階的に着色させる方法として、1,2,4-トリヒドロキシベンゼンを用いる方法(特許文献1)、5,6-ジヒドロキシインドールを用いる方法(特許文献2)、1,8-ジヒドロキシナフタレンを用いる方法(特許文献3)等が知られている。しかしながら、いずれの方法も所望の染毛度を得るために長い時間を要するか、もしくは多数回の染毛処理を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63-064401号公報
【特許文献2】特開2006-160669号公報
【特許文献3】特表2013-512861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い染毛力を有する染毛用組成物および染毛方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題に鑑み検討を重ね、特定の化合物が空気中の酸素により迅速に酸化されて高い染毛力を有する色素を形成することを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0008】
本発明は、下記一般式(1)~(4)で表される色素前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有し、下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)において、R1はアルキル基、アルコキシ基又はアシルオキシ基を表し、R2及びR3はそれぞれ水素原子、水酸基、又はアルコキシ基を表すことを特徴とする染毛用組成物に関する。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
前記染毛用組成物は、好ましくは、前記色素前駆体と酸素の反応速度を高める酸化触媒を更に含有する。
前記染毛用組成物は、より好ましくは、前記色素前駆体、酸素及び前記酸化触媒の酸化反応サイクルを加速させるメディエーターを更に含有する。
【0014】
さらに本発明は、染毛用組成物中の前記色素前駆体を、空気中の酸素により酸化して色素を形成させる工程を含む染毛方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の染毛用組成物は、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い染毛力を有する染毛用組成物を提供する。本発明の染毛方法は、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、短時間で高い染毛力を発現する染毛方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明について更に詳細に説明する。
なお、数値範囲の「~」は、断りがなければ、以上から以下を表し、両端の数値をいずれも含む。また、数値範囲を示したときは、上限値および下限値を適宜組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示したものとする。
【0017】
<色素前駆体>
本発明の染毛用組成物は、下記一般式(1)~(4)で表される色素前駆体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する。前記色素前駆体は、色調調節のために1種または2種以上が使用される。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
上記一般式(1)~(4)において、R1はアルキル基、アルコキシ基、又はアシルオキシ基を表し、R2及びR3はそれぞれ水素原子、水酸基、又はアルコキシ基を表す。
また、上記一般式(1)または(2)において、R1とR2は互いに連結して環構造を取っていてもよい。
【0023】
前記アルキル基は、炭素数が1以上12以下のアルキル基が好ましく、1以上8以下のアルキル基がより好ましく、1以上6以下のアルキル基が更に好ましい。前記アルキル基は置換基を有していてよい。前記アルキル基として、例えばメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0024】
前記アルコキシ基は、炭素数1以上12以下のアルコキシ基が好ましく、1以上10以下のアルコキシ基がより好ましくは、1以上8以下のアルコキシ基が更に好ましい。前記アルコキシ基は置換基を有していてよい。前記アルコキシ基として、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシエトキシ、2-ヒドロキシプロポキシ、スルホエトキシ、スルホプロポキシ、スルホブトキシ、スルホプロピルチオエトキシ(これらのスルホ基はNa、K、アンモニウム等の塩であってもよい)、(2-トリメチルアンモニオ)エトキシ、(3-トリメチルアンモニオ)プロポキシ、(2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニオ)プロポキシ、(2-ヒドロキシ-3-ジメチルヒドロキシエチルアンモニオ)プロポキシ(これらの4級アンモニウム基の対アニオンは塩素イオン、硫酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、1,5-ナフタレンジスルホン酸イオン等)等が挙げられる。
【0025】
前記アシルオキシ基は、炭素数1以上20以下のアシルオキシ基が好ましくは、1以上12以下のアシルオキシ基がより好ましくは、1以上10以下のアシルオキシ基が更に好ましい。前記アシルオキシ基は置換基を有していてよい。前記アシルオキシ基として、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ベンゾイルオキシ、ピバロイルオキシ、3-スルホベンゾイルオキシ、2-スルホベンゾイルオキシ、3-トリメチルアンモニオベンゾイルオキシ(対アニオンは塩素イオン)等が挙げられる。
【0026】
前記アルキル基、前記アルコキシ基、及び前記アシルオキシ基のそれぞれは、前記される置換基以外の置換基Tを有していてよい。前記置換基Tは特に限定されないが、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基(芳香族ヘテロ環基)、又は脂肪族へテロ環基が好ましい。
【0027】
シクロアルキル基は、炭素数が3以上8以下のシクロアルキル基が好ましく、3以上6以下のシクロアルキル基がより好ましい。シクロアルキル基として、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0028】
アルケニル基は、炭素数が2以上10以下のアルケニル基が好ましく、2以上8以下のアルケニル基がより好ましく、2以上6以下のアルケニル基が更に好ましい。アルケニル基として、例えばビニル、アリル、ブテニル等が挙げられる。
【0029】
アルキニル基は、炭素数が2以上8以下のアルキニル基が好ましく、2以上6以下のアルキニル基がより好ましい。アルキニル基として、例えばエチニル、ブチニル等が挙げられる。
【0030】
アリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基が好ましく、炭素数6以上10以下のアリール基がより好ましい。アリール基として、例えばフェニル、トリル等が挙げられる。
【0031】
芳香族ヘテロ環が縮合環である場合、単環の芳香族ヘテロ環のみからなる基に加えて、単環の芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環又はヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基を包含する。芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子の数は1個以上であればよく、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、5~6員環が好ましい。芳香族ヘテロ環の炭素数は5以上12以下であることが好ましく、5以上10以下であることがより好ましく、5以上8以下であることが更に好ましい。芳香族ヘテロ環の炭素数は5以上12以下であることが好ましく、5以上10以下であることがより好ましく、5以上8以下であることが更に好ましい。5員環の芳香族ヘテロ環及び5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環及び6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環が挙げられる。
【0032】
前記置換基Tとして、以下の基も挙げられる。
アリールオキシ基(好ましくは炭素数6以上12以下のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1-ナフチルオキシ、4-メチルフェノキシ、4-メトキシフェノキシ等)、
ヘテロ環オキシ基(上記ヘテロ環基に-O-基が結合した基)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2以上12以下のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、
アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6以上12以下のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、4-メチルフェノキシカルボニル、4-メトキシフェノキシカルボニル等)、
アミノ基(炭素数0以上10以下の無置換もしくは置換アミノ基、例えば、アミノ(-NH2)、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチルアミノ、アニリノ等)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0以上12以下のスルファモイル基、例えば、N,N-ジメチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイル等)、
アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、好ましくは炭素数1以上12以下のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、ベンゾイル、ナフトイル、ニコチノイル等)、
アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素数7以上13以下のアリーロイルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ等)、
カルバモイル基(好ましくは炭素数1以上12以下のカルバモイル基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1以上12以下のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1以上12以下のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、
アリールチオ基(好ましくは炭素数6以上12以下のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1-ナフチルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メトキシフェニルチオ等)、
ヘテロ環チオ基(上記ヘテロ環基に-S-基が結合した基)、
アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1以上12以下のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、
アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6以上12以下のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、
ホスホリル基(好ましくは炭素数0以上12以下のリン酸基、例えば、-OP(=O)(RP)2)、
ホスホニル基(好ましくは炭素数0以上12以下のホスホニル基、例えば、-P(=O)(RP)2)、
ホスフィニル基(好ましくは炭素数0以上12以下のホスフィニル基、例えば、-P(RP)2)、スルホ基(スルホン酸基)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)。RPは、水素原子又は置換基(好ましくは上記置換基から選択される基)である。
また、これらの置換基で挙げた各基は、更に置換基Tを有していてもよい。
【0033】
前記色素前駆体の含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、本発明の染毛用組成物の0.01~3質量%の範囲が好ましく、0.03~2質量%の範囲がより好ましい。
【0034】
前記色素前駆体は、対応する1-ナフトール誘導体、2-ナフトール誘導体、1,2-ナフトキノン誘導体、又は1,4-ナフトキノン誘導体等から合成できる。具体的には、4位に置換基を有する1-ナフトール誘導体の官能基変換による方法、1,4-ジヒドロキシナフタレンのヒドロキシ基をアルキル化又はアシル化する方法、1,4-ナフトキノン誘導体の還元アルキル化による方法等を適用できる。
【0035】
<酸化触媒>
本発明では、前記色素前駆体を空気中の酸素で酸化して色素を形成させてよい。その際、酸化反応を促進させる酸化触媒が好ましく用いられる。
【0036】
前記酸化触媒として公知の触媒を利用できる。例えば、遷移金属錯体触媒及び酸化酵素が挙げられる。前記遷移金属錯体触媒としては、Fe、Co、Ni、Mn、Cu等の卑金属錯体、Pt、Rh、Ru、Pd等の貴金属錯体が有用であり、特に好ましいものとして、Co、Mn、Cuが挙げられる。これらの遷移金属錯体において、金属に配位する配位子としては、1,3-ジケトン誘導体(アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等)ジアミノビピリジル誘導体(6,6’-ビスベンゾイルアミノー2,2’-ビピリジル等)、サレン誘導体(ビスサリチリデンエチレンジアミン等)、ポルフィリン誘導体、サイクラム誘導体、ヒドロキシカルボン酸類(乳酸、グルコン酸等)、含窒素複素環カルボン酸類(2-ピロリドン-5-カルボン酸等)、アミノ酸類(グリシン、ヒスチジン等)、ペプチド類(グリシルグリシン等)等が挙げられる。また、前記酸化酵素としては、ラッカーゼ、カタラーゼ、チトクロム酸化酵素、キサンチン酸化酵素等が挙げられる。
【0037】
前記酸化触媒の含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、好ましくは、前記色素前駆体の0~500質量%の範囲であり、より好ましくは0.05~100質量%の範囲である。
【0038】
前記酸化触媒として、前記色素前駆体の被酸化特性から所望のものが選択されてよい。本発明の染毛用組成物の染毛性を高くするには、酸化活性の高い酸化触媒が好ましい。一方、本発明の染毛用組成物が1剤型の染毛用組成物の場合、当該染毛用組成物を製造する工程、及び容器への充填工程での酸化反応を抑制する必要から、適度な活性の酸化触媒が選択される。
【0039】
<メディエーター>
本発明では、前記酸化触媒と酸素による前記色素前駆体の酸化反応を促進するメディエーター(電子伝達剤)を使用することができる。メディエーターとしては、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、ビオルル酸、シリンガルダジン、シリンガルデヒド、グアイアコール、2,6-ジメトキシフェノール、NADH,フラビン、ABTS等を挙げることができる。
【0040】
前記メディエーターの含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、好ましくは、前記色素前駆体の0~100質量%の範囲であり、より好ましくは0.05~10質量%の範囲である。
【0041】
前記色素前駆体、前記酸化触媒、及び前記メディエーターは、水溶性であっても、水に難溶であってもよい。複数の水酸基を有するもの、スルホ基又は四級アンモニウム基を有するものは一般に水溶性であるが、その他のものは低級アルコール類等の極性有機溶媒に良く溶解する。前記化合物の溶解性に応じて染毛用組成物を構成する溶媒を選ぶことができる。
【0042】
前記色素前駆体の溶液は一般に、前記酸化触媒が存在しなければ、pHが6以下であれば空気存在下でも安定で、長期間保存できる。一方、pHが8以上では徐々に空気酸化(自動酸化)が起こり、特にpHを9より大きくすると酸化反応が起こり易くなるので、空気存在下では中性~弱酸性で保存することが望ましい。
【0043】
また、前記酸化触媒の活性もpHの影響を受けやすく、低pHで高活性の触媒も、高pHで高活性の触媒もある。したがって、前記色素前駆体及び前記酸化触媒の特性と所望の酸化速度を考慮して最適なpHが選定される。
【0044】
本発明の染毛用組成物が1剤型である場合、前記色素前駆体、酸化触媒、及びメディエーターはすべて予め混合される。一方、本発明の染毛用組成物が2剤型である場合、前記色素前駆体と前記メディエーターが予め混合され、別途、前記酸化触媒は分離され、染毛時にこれらを混合して使用される。前記色素前駆体が、前記メディエーターと前記酸化触媒の混合物から分離され、染毛時にこれらが混合されてもよい。
【0045】
本発明の染毛用組成物が1剤型である場合、空気を遮断した環境で、当該染毛用組成物はpH8以下で調製され、空気を完全に遮断できるエアレス容器又は噴射ガスを圧入するエアゾール型容器等に充填して保存される。
【0046】
本発明の染毛用組成物の形態は限定されない。すなわち、本発明の染毛用組成物はクリーム状、ゲル状ないし溶媒に溶解している液状であってもよい。本発明の染毛用組成物は手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えないので、日常的に頻繁に用いられるシャンプーやヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等への適用を推奨できる。また、1回の処理で高い染毛性を提供し得る染毛剤へも適用できる。それらの形態は、液状、クリーム状、ジェル状、泡状等があるが、空気との接触表面積を増大して酸化反応を加速し、染毛性を高めるためにエアゾール缶から吐出されるムース状が好ましい。
【0047】
本発明を例えばシャンプーに適用する場合、具体的にはエアゾール缶から吐出されるムース状のシャンプーである場合、噴射剤として液化石油ガス、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素ガス等を使用できる。噴射剤と本発明の染毛用組成物との比率は、質量ベースで、好ましくは1:20~1:1、より好ましくは1:20~1:10の範囲である。
【0048】
本発明の染毛用組成物は、空気酸化を受けて着色物質を生成する他の色素前駆体を更に含んでいてもよい。前記他の色素前駆体の好ましい具体例として、没食子酸、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、タンニン酸、タラタンニン、カテキン類、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)、ブラジリン、ヘマトキシリン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2-メチル-1-ナフトール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、2,6-ジメトキシフェノール等を挙げることができる。これらの化合物の1種又は2種以上が使用される。
【0049】
本発明の染毛用組成物がシャンプーとして使用される場合、前記の他の色素前駆体の含有量はシャンプー液に対して、好ましくは0.01~1.0質量%の範囲であり、より好ましくは0.05~0.5質量%の範囲である。
【0050】
本発明の染毛用組成物がシャンプーとして使用される場合、色素前駆体を予め、水又は有機溶媒に溶解し、次いで空気遮断条件下で適量の界面活性剤を添加して、徐染型のシャンプーを調製することができる。
【0051】
前記有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、安息香酸エチル、安息香酸ヒドロキシエチル、カルビトール、エトキシジグリコール等が挙げられる。これらの有機溶媒の1種又は2種以上が使用される。
【0052】
前記有機溶媒として、前記色素前駆体の溶解度が高く、染毛性が良好な有機溶媒が好ましい。具体的には、プロピレングリコール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、エトキシジグリコール等が挙げられる。
【0053】
前記有機溶媒の含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、好ましくは、前記色素前駆体の10~1000質量%、より好ましくは20~200質量%の範囲である。
【0054】
本発明の染毛用組成物は界面活性剤を含有していてよい。前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0055】
前記アニオン性界面活性剤としては、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0056】
前記カチオン性界面活性剤としては、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアラミドプロピルジメチルアミン等を挙げることができる。
【0057】
前記非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド類、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリビニルピロリドン類、ポリエチレンオキシド類、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシドジエーテル類、ポリエチレンオキシドモノフェニルエーテル類、ポリプロピレンオキシド類、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル類、ポリプロピレンオキシドジアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシド脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、グリセリンモノエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。
【0058】
前記両性界面活性剤としては、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルベタイン等を挙げることができる。
これらの界面活性剤の1種又は2種以上が使用される。
【0059】
本発明で好ましい界面活性剤は、適度な洗浄力を有するアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤であり、色素前駆体や併用する色素が持つ荷電特性によって好ましいものが選ばれる。
【0060】
前記界面活性剤の含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、好ましくは前記色素前駆体の10~1000質量%の範囲であり、より好ましくは20~800質量%の範囲である。
【0061】
本発明の染毛用組成物は、前記色素前駆体以外に染料を含有していてよい。前記染料として、酸性染料、塩基性染料、HC染料等を挙げることができる。前記染料として、黄色406号、黄色407号、橙色205号、赤色227号、紫401号、黒色401号、塩基性黄40,塩基性黄57,塩基性黄87、塩基性橙1,塩基性橙31、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性青99,塩基性青124等がより好ましく用いられる。また、ローソン、ジュグロン、ブラジレイン、ヘマテイン等の植物由来色素を併用できる。
【0062】
本発明の染毛用組成物は、シャンプー後の髪質を改良する目的で、種々のカチオンポリマーを含んでいてよい。前記カチオンポリマーの具体例として、デンプン、セルロース、グアーガム、タラガム、キトサン、ヒアルロン酸等の天然多糖類をヒドロキシプロピルトリモニウム化したもの、合成多糖類に四級アンモニオ基を導入したポリクオタニウム類等を挙げることができる。前記ポリクオタニウム類として、ポリクオタニウム6、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム11、ポリクオタニウム22、ポリクオタニウム53等が好ましく用いられる。本発明の染毛用組成物中の前記カチオンポリマーの含有量は、好ましくは0.02~1.5質量%の範囲である。
【0063】
本発明の染毛用組成物は、前記色素前駆体の酸化を抑制するため、安定化剤を含んでいてよい。前記安定化剤の具体例として、アスコルビン酸、エリソルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等を挙げることができる。本発明の染毛用組成物中の前記安定化剤の含有量は、好ましくは0.005~0.5質量%の範囲である。
【0064】
本発明の染毛用組成物は、各種添加剤を含んでいてよい。前記添加剤として、湿潤剤、増粘剤、油性成分、高級アルコール類、動植物エキス、アミノ酸類、防腐剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、皮膚コンディショニング剤、消炎剤、色素、香料などが挙げられる。
【0065】
前記湿潤剤として、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビット、グルコース、マルチトール、キシロース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース等が挙げられる。
【0066】
前記増粘剤として、ペクチン、カラギナン、ガラクトマンナン、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、アラビアガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等が挙げられる。
【0067】
前記油性成分として、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、ジメチコン、アモジメチコン等が挙げられる。
【0068】
前記高級アルコール類として、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
【0069】
前記動植物エキスとして、プラセンタエキス、海洋性プラセンタエキス、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン 、加水分解シルク、加水分解エラスチン、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス 、シャクヤクエキス、シソエキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、 ホップエキス、セージエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、コメヌカ発酵エキス、マツエキス、プルーンエキス、トレハロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ダイズ醗酵エキス、ヒドロキシエチルキトサン、水溶性コラーゲン、アマチャヅルエキス、ウイキョウエキス、カッコンエキス、キウイエキス、キュウリエキス、クチナシエキス、クロレラエキス、ジオウエキス、バクモンドウエキス、ヘチマエキス、ボタンエキス、フキタンポポエキス 、ブクリョウエキス、ブドウ葉エキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、リンゴエキス 、サイタイエキス、加水分解酵母エキス、ムコ多糖、ハチミツ、加水分解シルク、アロエベラエキス、モモ葉エキス、オトギリソウエキス、カワラヨモギエキス、キイチゴエキス、グレープフルーツエキス、オーキッドエキス、レンゲソウエキス、アテロコラーゲン等が挙げられる。
【0070】
前記アミノ酸類として、グリシン、アラニン、γ-アミノ酪酸、L-アスパラギン酸、L-アルギニン、L-イソロイシン、L-グルタミン、L-グルタミン酸 、L-トレオニン、L-チロシン、L-トリプトファン、L-バリン、L-ヒスチジン塩酸塩、L-ヒドロキシプロリン、L-プロリン、L-ロイシン、L-メチオニン、塩酸リジン等が挙げられる。
【0071】
前記防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパ ラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、lーメントール、d-カンフル等が挙げられる。
【0072】
前記紫外線吸収剤として、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチル等が挙げられる。
【0073】
前記金属イオン封鎖剤として、エデト酸、エデト酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラキス(2-ヒドロキシイソプロピル)ジオレイン酸塩、ヒドロキシエタンジスルホン酸塩、フィチン酸等が挙げられる。
【0074】
前記pH調整剤として、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸やそれらの塩類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール等が挙げられる。
【0075】
前記皮膚コンディショニング剤として、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、水添ポリイソブテン、加水分解エラスチン、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解コラーゲンエチル、加水分解コラーゲンヘキサデシル、水溶性コラーゲン、キシリット、グアノシン、グアニン、グルクロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、細胞間脂質、酸性ムコ多糖類、水溶性エラスチン、スフィンゴ脂質、セリシン、大豆リゾリン脂質リゾレシチン、大豆リン脂質、トサカ抽出液 、卵黄リン脂質、加水分解コンキオリン、加水分解卵殻膜解物、動物胎盤エキス、ローヤルゼリーエキス等が挙げられる。
【0076】
前記消炎剤として、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、塩酸ジフェンヒドラミン、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、ニコチン酸ベンジル、塩化リゾチーム、アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0077】
本発明の染毛用組成物は、種々の目的に適用できる。本発明の染毛用組成物がシャンプーとして使用される場合、毛髪に繰り返し、シャンプー処理を施すことで高い染毛効果をもたらす。前記シャンプー処理の回数は特定の範囲に限定されないが、好ましくは1日1回で1週間以上、より好ましく1か月以上継続して処理するとよい。本発明の染毛用組成物を通常のシャンプーとして日常的に使用することが更に好ましい。本発明の染毛用組成物をシャンプーとして用いる場合、1回の使用量は毛量に応じて適宜調整され、1回のシャンプー時間は長いほど良いが、通常は1分~10分の範囲である。シャンプー後はお湯ですすぐのみでよいが、引き続きコンディショナー及び/又はトリートメント処理をしてもよい。
【0078】
本発明の染毛用組成物がカラートリートメントとして使用される場合、毛髪に繰り返し、トリートメント処理を施すことで高い染毛効果をもたらす。前記トリートメント処理の回数は特定の範囲に限定されないが、好ましくは、最初の週は3日連続してトリートメント処理を行い、次週からは週1回の頻度でトリートメント処理するとよい。本発明の染毛用組成物をカラートリートメントとして用いる場合、1回の使用量は毛量に応じて適宜調整され、1回のトリートメント時間は長いほど良いが、通常は3分~15分の範囲である。トリートメント処理後はお湯で十分にすすげばよい。また、引き続きシャンプーをしてもよい。
【0079】
本発明の染毛用組成物が1回の処理で十分に染毛できる染毛剤して使用される場合、毛髪を予めお湯で洗浄して毛髪を膨潤させた後、くしやブラシを用いて十分な量の本発明の染毛用組成物を毛髪に塗布し、通常は5分~30分放置する。その間、薄いポリマーフィルムで毛髪をラップすると染毛性が向上する。その後、お湯で十分にすすぎ、さらにシャンプー及びトリートメント処理を行うとよい。
【実施例0080】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
(合成例1)
前記一般式(1)においてR1=メトキシ基、R2=R3=Hである化合物1の合成
20gの1,4-ナフトキノン、250mlのメタノール、及び90mlの濃塩酸の混合物に塩化第一錫2水塩100gを少量ずつ加え、40℃で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、500mlの水を加え、2時間撹拌して析出した4-メトキシ-1-ナフトール(前記一般式(1)においてR1=メトキシ基、R2=R3=H、化合物1)を濾取した(収量17.7g)。n-ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(体積比1/1)から再結晶して精製品を得た。
【0082】
(合成例2)
前記一般式(1)においてR1=ヒドロキシエトキシ基、R2=R3=Hである化合物2の合成
20gの1,4-ナフトキノン、300mlのエチレングリコール、及び100mlの濃塩酸の混合物に塩化第一錫2水塩100gを少量ずつ加え、70℃で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、500mlの水を加え、500mlの酢酸エチルで2回抽出した。得られた抽出液を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧溜去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(前記一般式(1)においてR1=ヒドロキシエトキシ基、R2=R3=Hである化合物)10.5gを得た。
【0083】
(合成例3)
前記一般式(1)においてR1=スルホブトキシ基、R2=R3=Hである化合物3の合成
16gの1,4-ナフトハイドロキノンを、窒素気流下、30mlのエタノールおよび5.2gの水酸化ナトリウムを200mlの水に溶解した溶液に加えた。次いで、窒素気流下、室温で13.6gのブタンスルトンを滴下した。80℃で3時間撹拌した後、室温まで冷却し、希塩酸で中和した。200mlの酢酸エチルを加えて振とうし、酢酸エチル可溶分を分離した。水層に過剰の塩化カリウムを加えて塩析し、析出した結晶をカリウム塩(前記一般式(1)においてR1=スルホブトキシ基、R2=R3=H、化合物3)として濾取した(収量13.9g)。粗製品を塩化カリウム水溶液で再結晶して精製品を得た。
【0084】
(合成例4)
前記一般式(1)においてR1=2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニオプロポキシ基、R2=R3=Hである化合物4の合成
10gの1,4-ナフトハイドロキノン、塩化グリシジルトリメチルアンモニウムの80質量%水溶液12g、及び100mlのエタノールの混合物に、窒素気流下、125mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を加えた。窒素気流下、40℃で4時間撹拌後、室温まで冷却し、希塩酸で中和した。反応液に200mlの酢酸エチルを加えて振とうし、酢酸エチル可溶分を分離した。水層に100mlの飽和食塩水を加え、100mlのアセトニトリルで2回抽出した。抽出液から溶媒を減圧溜去し、残渣に200mlのメタノールを加えて加温し、不溶分を濾別した。濾液から溶媒を減圧溜去して目的物を塩化物(前記一般式(1)においてR1=2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニオプロポキシ基、R2=R3=H、化合物4)として得た(収量8.2g)。
【0085】
(合成例5)
前記一般式(1)においてR1=メトキシ基、R2=H、R3=水酸基である化合物5の合成
ジュグロン2.0gおよび塩化第一スズ2水和物9.0gを塩化水素2Mメタノール溶液60mlに加え、65℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応液を冷水500mlに注ぎ、酢酸エチル200mlで2回抽出した。飽和食塩水で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、前記一般式(1)においてR1=メトキシ基、R2=H、R3=水酸基の化合物5の淡灰色結晶を濾取した(収量1.5g)。
【0086】
(合成例6)
前記一般式(1)においてR1=エトキシ基、R2=H、R3=OHである化合物6の合成
5gのジュグロン、50mlのエタノール、及び10mlの濃塩酸の混合物に20gの塩化第一錫2水塩を少量ずつ加え、40℃で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液に300mlの水を加え、150mlの酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧溜去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、目的の化合物6(前記一般式(1)においてR1=エトキシ基、R2=H、R3=OH)2.9gを得た。
【0087】
(合成例7)
前記一般式(2)においてR1=スルホブトキシ基、R2=R3=Hである化合物7の合成
合成例3の化合物3.0gを100mlの水に溶解し、大気下、40℃で48時間攪拌した。室温まで冷却した後、減圧下で50mlの水を留去した。一夜放置後、析出した目的物のジカリウム塩(前記一般式(2)においてR1=スルホブトキシ基、R2=R3=H、化合物7)の白色結晶を濾取した(収量2.1g)。
【0088】
(合成例8)
前記一般式(3)においてR1=メトキシ基、R2=R3=Hである化合物8の合成
2-メトキシ-1-ナフトアルデヒド、1.68gを塩化メチレン10mlに溶かした。次いで、30%過酸化水素水10ml、トリフルオロ酢酸1mlおよび二酸化セレン0.1gを加えて、室温で激しく撹拌した。4時間撹拌後、反応液を氷水に加え、飽和食塩水100mlと酢酸エチル100mlを加えて有機層を分液した。有機層を重曹水および食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4:1)により精製して白色結晶(化合物8のホルミル体)を得た。このものを、窒素下、5%水酸化ナトリウム水溶液20mlに加え、室温で1時間撹拌した。希塩酸で中和、酢酸エチルで抽出、水洗、乾燥後、溶媒を減圧溜去して、一般式(3)においてR1=メトキシ基、R2=R3=Hである化合物8の無色液体を得た(収量0.75g)。
【0089】
(合成例9)
前記一般式(3)においてR1=3-トリメチルアンモニオプロポキシ基、R2=R3=Hである化合物9の合成
2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド3.44g、3-ブロモプロピルトリメチルアンモニウムブロミド6.26g、および無水炭酸カリウム3.32gをアセトニトリル100mlに加えて5時間加熱攪拌した。放冷後、溶媒を減圧溜去した。残渣をメタノールに溶かし、溶解分をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:メタノール/塩化メチレン(1:3))により精製して、2-(3-トリメチルアンモニオプロポキシ)―1-ナフトアルデヒドの臭化物の結晶3.70gを得た。
30%過酸化水素水15mlに上記化合物、2.5gを加え、次いでトリフルオロ酢酸2mlおよび二酸化セレン0.1gを加えて、40℃で3時間撹拌した。放冷後、反応液を氷水30mlに加え、1,5-ナフタレンジスルホン酸4水和物、7.21gを加え、室温で2時間撹拌し、化合物9の水酸基がホルミル化された化合物(アニオンが1,5-ナフタレンジスルホナート)の淡桃色結晶1.45gを得た。このものを、窒素下、5%水酸化ナトリウム水溶液20mlに加え、室温で1時間撹拌した。その後、反応液に1,5-ナフタレンジスルホン酸4水和物7.21gを加えて中和し、析出した化合物9の淡桃色結晶を得た(収量0.98g)。
【0090】
(合成例10)
前記一般式(4)においてR1=メトキシ基、R2=R3=Hである化合物10の合成
0.50gの化合物8をエタノール10mlに溶かし、室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧溜去し、残渣にn-ヘキサン10mlを加えて室温で撹拌し、析出した化合物10の淡桃色結晶を得た(収量0.28g)。
【0091】
(実施例1)
窒素を充満させたグローブボックス内で、200mgの前記化合物1及び50mgのコバルト(II)サレン錯体を、200mgのエタノールと200mgのベンジルオキシエタノールの混合液に加熱溶解し、下記に示す組成の界面活性剤原液9.35gと混合してシャンプー1を調製した。
【0092】
コカミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na 0.05質量%
デシルグルコシド 1.60質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
亜硫酸水素ナトリウム 0.02質量%
乳酸 0.20質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0093】
前記シャンプー1の適量を、お湯で湿らせたビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gに塗り、十分泡立たせながら5分間シャンプー操作を行い、お湯ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は淡青緑色に染まっていた。前記シャンプー操作を5回繰り返すと、毛束は濃い青緑色に染まった。
【0094】
(実施例2)
窒素を充満させたグローブボックス内で、200mgの前記化合物2及び100mgのマンガン(II)アセチルアセトナート錯体を、200mgのエタノールと200mgのベンジルオキシエタノールの混合液に加熱溶解し、下記に示す組成の界面活性剤原液9.3gと混合してシャンプー2を調製した。
【0095】
コカミドプロピルベタイン 3.00質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na 0.05質量%
デシルグルコシド 3.60質量%
ラウラミドプロピルベタイン 1.50質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.20質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0096】
実施例1と同様にシャンプー処理を行ったところ、白髪毛束は淡青色に染まった。
【0097】
(実施例3)
実施例1における前記化合物1の代わりに、250mgの化合物3を水2mlに溶かした液を、下記に示す組成の界面活性剤原液7.75gと混合してシャンプー3を調製した。
【0098】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
グルコン酸銅 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.30質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0099】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は淡青緑色に染まった。
【0100】
(実施例4)
実施例1における前記化合物1の代わりに、250mgの前記化合物4を、下記に示す組成の界面活性剤原液9.75gと混合してシャンプー4を調製した。
【0101】
ラウラミドプロピルベタイン 2.50質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.50質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.30質量%
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0102】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は比較的濃い緑青色に染まった。
【0103】
(実施例5)
実施例4において、2-ピロリドン-5-カルボン酸銅の代わりに100mgのカワラタケ由来ラッカーゼを添加し、下記に示す組成の界面活性剤原液9.65gと混合してシャンプー5を調製した。
【0104】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.20質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0105】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は濃い青緑色に染まった。
【0106】
(実施例6)
実施例1における前記化合物1の代わりに、200mgの化合物8を、下記に示す組成の界面活性剤原液9.8gと混合してシャンプー6を調製した。
【0107】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.05質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.20質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0108】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は淡桃色に染まった。
【0109】
(実施例7)
実施例1における前記化合物1の代わりに、250mgの化合物9を、下記に示す組成の界面活性剤原液9.75gと混合してシャンプー7を調製した。
【0110】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0111】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は暗赤紫色に染まった。
【0112】
(実施例8)
実施例1における前記化合物1の代わりに、200mgの化合物4を、下記に示す組成の界面活性剤原液9.8gと混合してシャンプー8を調製した。
【0113】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.30質量%
塩基性橙31 0.01質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0114】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は褐色に染まった。
【0115】
(実施例9)
実施例1における前記化合物1の代わりに、100mgの化合物4を、下記に示す組成の界面活性剤原液9.8gと混合してシャンプー9を調製した。
【0116】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.30質量%
塩基性橙31 0.01質量%
塩基性青124 0.02質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0117】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は黒色に染まった。
【0118】
(実施例10)
実施例4において、更にメディエーターとして30mgのN-ヒドロキシスクシンイミドを加え、下記に示す組成の界面活性剤原液9.72gと混合してシャンプー10を調製した。
【0119】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.05質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
グルコン酸銅 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0120】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は比較的濃い青緑色に染まった。
【0121】
(実施例11)
実施例1における前記化合物1の代わりに、200mgの前記化合物4及び100mgのヘマトキシリンの混合物に代え、下記に示す組成の界面活性剤原液9.7gと混合してシャンプー11を調製した。
【0122】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
ラウロイルメチルアラニンNa 0.10質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.20質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
コバルト(II)サレン錯体 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0123】
実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は淡黒褐色に染まった。
【0124】
(実施例12)
窒素を充満させたグローブボックス内で、300mgの前記化合物4を、2.0gの水に加熱溶解し、下記に示す組成の界面活性剤原液19.7gと混合してシャンプー液を調製した。前記シャンプー液を容量50mlのエアゾール缶に充填し、次いで、液化石油ガス2.0gを圧入してエアゾール型のシャンプー12を調製した。
【0125】
ラウラミドプロピルベタイン 3.50質量%
デシルグルコシド 1.20質量%
コカミドプロピルベタイン 1.00質量%
ラウリン酸ポリグリセリド-10 1.00質量%
ポリクオタニウム10 1.00質量%
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.30質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
乳酸 0.10質量%
精製水を加えて全量を100質量%とした。
【0126】
前記エアゾール缶からムース状のシャンプーを吐出させ、その十分な量を、お湯で湿らせたビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gに万遍なく塗り、5分間放置した。その後、お湯で十分にすすぎ、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は淡青緑色に染まっていた。同様の操作を5回繰り返すと、毛束は濃い青緑色に染まった。
【0127】
(比較例1)
実施例1において、前記化合物1及びコバルト(II)サレン錯体の代わりに、200mgの1,2,4-トリヒドロキシベンゼンを用いて比較用シャンプー1を調製し、実施例1と同様にシャンプー1回、5回及び10回の操作を行った。白髪毛束は徐々に褐色に染まったが、実施例1と比較すると染毛性は著しく低かった。
【0128】
(比較例2)
実施例1において、前記化合物1及びコバルト(II)サレン錯体の代わりに、200mgの1,8-ジヒドロキシナフタレンを用いて比較用シャンプー2を調製し、実施例1と同様にシャンプーの操作を行った。シャンプー時の放置時間を15分まで延ばしたが、白髪毛束はほとんど染まらなかった。
【0129】
(実施例13)
カラートリートメントへの適用
下記に示す配合割合で各化合物を80℃で均一になるまで撹拌し、混合してA相を調整した。
セテアリルアルコール 5.00g
ベヘニルアルコール 0.50g
パルミチン酸ソルビタン 0.50g
ポリソルベート20 0.20g
PPG-52ブチル 0.50g
【0130】
下記に示す配合割合で各化合物を80℃で均一になるまで撹拌し、混合してB相を調整した。
水 79.4g
プロピレングリコール 2.00g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.20g
クロルヒドロキシアルミニウム 0.10g
アスコルビン酸 0.05g
水酸化ナトリウム 0.07g
前記化合物4 0.50g
【0131】
下記に示す配合割合で各化合物を80℃で均一になるまで撹拌し、混合してC相を調整した。
エチルヘキシルグリセリン 0.20g
フェノキシエタノール 0.50g
水 10.00g
2-ピロリドン-5-カルボン酸銅 0.50g
【0132】
カラートリートメント液の調製
窒素雰囲気下、ホモミキサーで撹拌しながら、80℃で前記A相を前記B相に徐々に添加した。次いで、得られた混合物を80℃で回転数4000rpmにて10分間攪拌し、60℃まで冷却した。その後、前記混合物を撹拌しながら前記C相を加え、温かいうちにエアレスボトルに注入してカラートリートメント1を調製した。
【0133】
前記カラートリートメント1の適量を、ビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gに万遍なく塗布し、室温で10分間放置した。その後、洗液が着色しなくなるまでお湯ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は青緑色に染まっていた。前記カラートリートメント操作を5回繰り返すと、白髪毛束は濃い暗青緑色に染まった。
【0134】
(実施例14)
実施例13において、B相に塩基性橙31を0.01g加えた以外は同様の操作を行って、カラートリートメント2を調製した。
【0135】
前記カラートリートメント2の適量を、ビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gに万遍なく塗布し、室温で10分間放置した。その後、洗液が着色しなくなるまでお湯ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は褐色に染まっていた。前記操作を5回繰り返すと、白髪毛束は濃い暗褐色に染まった。
【0136】
(実施例15)
染毛剤への適用
300mgの前記色素前駆体化合物5を、水10ml、エタノール10ml及びアンモニア水0.1mlの混合物に溶解し、そこへ、ビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gを浸漬させた。室温で30分静置後、お湯ですすぎ、シャンプー処理を行い、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は濃い暗緑色に染まっていた。
【0137】
(実施例16)
300mgの前記色素前駆体化合物5を、水10ml、エタノール10ml及びエタノールアミン50mgの混合物に溶解し、そこへ、ビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gを浸漬させた。室温で30分静置後、お湯ですすぎ、シャンプー処理を行い、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は濃い暗青緑色に染まっていた。
【0138】
(実施例17)
200mgの前記色素前駆体化合物5と100mgの前記色素前駆体化合物8を、水10ml、エタノール5ml、プロピレングリコール5ml、セテス40、50mg及び炭酸水素カリウム50mgの混合物に溶解させた。次いで、グルコン酸銅100mgを水5mlに溶かした溶液を添加した。ビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gを浸漬し、室温で15分間、振とうさせた。毛束をお湯ですすぎ、シャンプー処理を行い、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は黒色に染まっていた。