IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川湖科技股▲分▼有限公司の特許一覧 ▶ 川益科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-スライドレール組立体 図1
  • 特開-スライドレール組立体 図2
  • 特開-スライドレール組立体 図3
  • 特開-スライドレール組立体 図4
  • 特開-スライドレール組立体 図5
  • 特開-スライドレール組立体 図6
  • 特開-スライドレール組立体 図7
  • 特開-スライドレール組立体 図8
  • 特開-スライドレール組立体 図9
  • 特開-スライドレール組立体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159453
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】スライドレール組立体
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/477 20170101AFI20241031BHJP
   A47B 88/463 20170101ALI20241031BHJP
   A47B 88/49 20170101ALI20241031BHJP
【FI】
A47B88/477
A47B88/463
A47B88/49
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214356
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】112115890
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】梁 秀江
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB33
3B160EA14
3B160EB03
3B160EB24
3B160EB33
3B160EB75
3B160EB82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プッシュオープン機構を十分に保護することが可能なスライドレール組立体を提供する。
【解決手段】スライドレール組立体は、第1レール22、第2レール24、制御部材28、補助部材30、作業部材32、及び弾力構造34を含む。第2レールが第1レールに対して後退位置Rから引っ張られた場合に、制御部材と作業部材とが互いに突き当たって、作業部材を駆動して第1状態S1から第2状態S2に回転させる作用力Vを発生させる。これにより、制御部材の制御部52が、第2レールを開放することを可能にするために、補助部材の所定のパス構造74に対してロック位置Lから移動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レールと、
第1方向、又は前記第1方向と反対の第2方向に、前記第1レールに対して変位可能である第2レールと、
前記第2方向に弾性力を与えるように構成されている弾力部材を含む駆動装置と、
前記第1レールと前記第2レールとのうちの1つに移動可能に取り付けられている制御部材であり、制御部を含む制御部材と、
前記第1レールと前記第2レールとのうちの他の1つに配置されている補助部材であり、所定のパス構造を含む補助部材と、
前記補助部材に対して移動可能である作業部材であり、所定の前記パス構造に隣接して配置された作業部を含む作業部材と、
前記作業部材を第1状態に弾性的に保持するために、前記作業部材に復帰用弾性力を与えるように構成されている弾力構造とを備え、
前記第2レールが前記第1レールに対して後退位置にある場合に、前記制御部材と、前記第1状態にある前記作業部材の前記作業部とは、互いにブロッキングし、前記制御部材の前記制御部を、前記弾力部材により与えられた前記弾性力を維持するためにロック位置に配置し、
前記第2レールが前記第1レールに対して前記後退位置から前記第2方向に引っ張られた場合に、前記制御部材と、前記第1状態にある前記作業部材の前記作業部とは、互いに突き当たり、前記作業部材を駆動して前記第1状態から第2状態へ回転させる作用力を発生させ、これにより、前記第2レールが前記第2方向に開放されることを可能にするために、前記制御部材の前記制御部は、所定の前記パス構造に対して前記ロック位置から移動される、スライドレール組立体。
【請求項2】
前記制御部材は、シャフトによって前記第1レールに枢軸的に接続されている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項3】
さらに、前記第1レールと前記第2レールとの間に移動可能に取り付けられている第3レールであり、前記第1レールに対する前記第2レールの変位を延ばすように構成されている第3レールを備えている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項4】
前記補助部材は、前記第2レールに配置され、前記作業部材は、前記補助部材に移動可能に取り付けられている、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項5】
所定の前記パス構造は、進入区間と、前記進入区間と連通する解放区間とを含み、前記作業部材の前記作業部は、前記進入区間と前記解放区間との間に位置し、前記補助部材はさらに、ガイド特徴部を含み、
前記弾力部材により与えられた前記弾性力に応答して、前記第2方向に前記第2レールが変位する間に、前記ガイド特徴部と前記制御部材の前記制御部とが突き当たることによって、前記補助部材は、前記制御部材の前記制御部を駆動して、所定の前記パス構造から前記補助部材の前記進入区間に対応する位置へ移動させ、
前記第2レールが前記第1方向に前記後退位置へ変位する間に、前記制御部材の前記制御部は、前記進入区間を介して所定の前記パス構造に進入することにより、前記ロック位置へ復帰する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【請求項6】
前記補助部材は、前記作業部材のために移動空間を設けるように構成され、前記作業部は、前記補助部材の前記移動空間を通っている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【請求項7】
前記第2レールが前記第1レールに対して前記後退位置から前記第1方向に押された場合に、前記補助部材は、前記制御部材の前記制御部が所定の前記パス構造に対して前記ロック位置から移動するようにガイドし、前記弾力部材が、前記弾性力によって前記第2レールを駆動して前記第2方向に開放することを可能にし、
前記補助部材はさらに、ガイド区間を含み、前記第2レールが前記第1レールに対して前記後退位置から前記第1方向に押された場合に、前記制御部材の前記制御部は、前記ガイド区間によって前記ロック位置から所定の前記パス構造の解放区間の中へ移動するようにガイドされ、前記弾力部材が、前記第2レールを駆動して前記第2方向に開放することを可能にする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【請求項8】
前記作業部材の前記作業部は、突き当て区間を含み、前記突き当て区間と前記作業部材の中心とを通る延長線と、前記第1方向又は前記第2方向に前記作業部材の前記中心を通る延長線との間に、オフセット角が形成され、
前記制御部材の前記制御部が前記ロック位置にある場合に、前記制御部材の前記制御部は前記突き当て区間に突き当たり、
前記第2レールが、前記第1レールに対して前記後退位置にある場合に、前記制御部材と、前記第1状態にある前記作業部材の前記作業部とは、互いにブロッキングし、前記制御部材の前記制御部と前記突き当て区間とがブロッキングされることによって、前記弾力部材により与えられた前記弾性力を維持するために、前記制御部材の前記制御部を前記ロック位置に配置し、
前記第2レールが、前記第1レールに対して前記後退位置から前記第2方向に引っ張られた場合に、前記制御部材の前記制御部と、前記第1状態にある前記作業部材の前記作業部とは、互いに突き当たり、前記オフセット角に起因して、前記作業部材を駆動して前記第1状態から前記第2状態へ回転させる前記作用力を発生させ、
これにより、前記第2レールが前記第2方向に開放されることを可能にするために、前記制御部材の前記制御部は、前記ロック位置から所定の前記パス構造の解放区間の中へ移動される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【請求項9】
前記作業部材は、前記弾力構造により与えられた前記復帰用弾性力に応答して、前記第2状態から前記第1状態へ復帰する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【請求項10】
前記補助部材はさらに、ガイド区間を含み、前記作業部はさらに、突き当て区間を含み、
ロック空間が、前記ガイド区間と前記突き当て区間との間に定義され、前記制御部材の前記制御部を受け入れるように構成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスライドレール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の(特徴項に先立つ)プレアンブルに係るスライドレール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
工業技術の進歩に伴い、市場には、さまざまな機能を備えたスライドレール製品が出回っている。例えば、スライドレール製品の中には、プッシュオープン機構を備えたスライドレール組立体がある。引き出しがプッシュオープン機構を備えたスライドレール組立体によってキャビネットに取り付けられ、かつキャビネットに対して後退位置にある場合に、引き出しをキャビネットに対して押すことによって、プッシュオープン機構が引き出しを駆動してキャビネットに対して開放されることを可能にするために、引き出しの前面パネル部分とキャビネットとの間に隙間が形成される。
【0003】
ユーザの癖や、ユーザがプッシュオープン機構に気づかないことのために、引き出しが後退位置から誤って引っ張られた場合に、引き出しに取り付けられたスライドレール組立体の可動レールの移動により、プッシュオープン機構の構造的な損傷、及び/又は機能不全を引き起こす可能性がある。そのため、プッシュオープン機構は保護機能を必要とする。
【0004】
例えば、米国特許第8857868号(特許文献1)には、係合機構を備えている閉鎖装置が開示されている。係合機構は、係合ブロックと、位置決めフックと、ピンとを含む。係合ブロックは、突き当て面と、突き当て面から延びるガイド面とを有する。位置決めフックは、係合ブロックに接続され、位置決めフックは、弾力性部分と、弾力性部分から延びるストップとを有する。ストップは、突き当て面に隣接し、ガイド面から離れて位置する。ピンは、係合ブロックに対応する位置に配置され、位置決めフックの突き当て面とストップとに対してスライド可能に突き当たる。可動レール又は引き出しが開放されるように引っ張られた場合に、ピンはストップと突き当て面とに突き当てられ、ピンがストップを越して移動して突き当て面から外れるように、弾力性部分が弾性的に変形し、これは係合フックの摩耗又は損傷を防止し、保護の目的を達成する。
【0005】
さらに、欧州特許第2272400B1号(特許文献2)には、引き出しスライドに適合されているロック装置が開示されている。欧州特許第2272400B1号での図5Aに示すように、ロック装置は、突出部を有するディスクを備え、突出部は、ディスクが初期位置にある場合に、スイッチング素子の端部を受容又はロックするように構成されている。欧州特許第2272400B1号での図5Bに示すように、可動レール又は引き出しが開放されるように引っ張られた場合に、スイッチング素子の端部は、ディスクの回転運動によってディスクの突出部から外れ、これにより保護目的が達成される。また、可動レール又は引き出しが後退された後、円板はバネによって初期位置へ復帰することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8857868号
【特許文献2】欧州特許第2272400B1号
【発明の概要】
【0007】
しかし、さまざまな要求を満たすためには、改良されたスライドレール組立体を提供することが重要な課題(topic)となる。
【0008】
そこで、本発明は、保護機能を有するプッシュオープン機構を備えているスライドレール組立体を提供することを目的とする。
【0009】
これは、請求項1に記載のスライドレール組立体によって達成される。従属請求項は、対応する一層の開発と改良とに関係する。
【0010】
以下の詳細な説明からさらに明確に分かるように、請求項に記載されるスライドレール組立体は、第1レールと;第1方向、又は第1方向と反対の第2方向に、第1レールに対して変位可能である第2レールと;第2方向に弾性力を与えるように構成されている弾力部材を含む駆動装置と;第1レールと第2レールとのうちの1つに移動可能に取り付けられている制御部材であり、制御部を含む制御部材と;第1レールと第2レールとのうちの他の1つに配置されている補助部材であり、所定のパス構造を含む補助部材と;補助部材に対して移動可能である作業部材であり、所定のパス構造に隣接して配置された作業部を含む作業部材と;作業部材を第1状態に弾性的に保持するために、作業部材に復帰用弾性力を与えるように構成されている弾力構造とを備え;第2レールが第1レールに対して後退位置にある場合に、制御部材と、第1状態にある作業部材の作業部とは、互いにブロッキングし、制御部材の制御部を、弾力部材により与えられた弾性力を維持するためにロック位置に配置し;第2レールが第1レールに対して後退位置から第2方向に引っ張られた場合に、制御部材と、第1状態にある作業部材の作業部とは、互いに突き当たり、作業部材を駆動して第1状態から第2状態へ回転させる作用力を発生させ、これにより、第2レールが第2方向に開放されることを可能にするために、制御部材の制御部は、所定のパス構造に対してロック位置から移動される。
【0011】
さまざまな図及び図面に示された好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読めば、本発明のこれらの目的及び他の目的は、当業者には疑いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の添付の図面を参照しながら、下記に本発明を例としてさらに説明する。
【0013】
図1】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の概略図である。
図2】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の分解図である。
図3】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の部分分解図である。
図4】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の異なる視点での部分図である。
図5】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の異なる視点での部分図である。
図6】本発明の実施形態に係り、第2レールが、第1レールに対して後退位置にある場合のスライドレール組立体の図である。
図7】本発明の実施形態に係り、第2レールが、第1レールに対して後退位置から第1方向に押された場合のスライドレール組立体の図である。
図8】本発明の実施形態に係り、駆動装置によって、第2レールが、第1レールに対して第2方向に変位するように駆動された場合のスライドレール組立体の図である。
図9】本発明の実施形態に係り、第2レールが、第1レールに対して伸長位置にある場合のスライドレール組立体の図である。
図10】本発明の実施形態に係り、第2レールが、第1レールに対して後退位置から第2方向に引っ張られた場合のスライドレール組立体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書の一部を構成し、本発明が実施可能である具体的な実施形態が例示として示される添付図面を、以下の好ましい実施形態の詳細な説明で参照する。これに関して、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向用語は、説明される図の向きを参照して使用される。本発明の構成要素は、多数の異なる方向に配置されてよい。そのため、方向用語は、例示の目的で使用され、決して限定はしない。従って、図面及び記載は、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものとはみなされない。また、特定されない場合に、「接続する」という用語は、間接的又は直接的な機械的接続のいずれかを意味することが意図される。従って、第1装置が第2装置に接続された場合に、その接続は、直接的な機械的接続、又は、他の装置や接続部を介した間接的な機械的接続によるものであってよい。
【0015】
図1及び2に示すように、スライドレール組立体20は、第1レール22、第2レール24、駆動装置26、制御部材28、補助部材30、作業部材32、及び弾力構造34を備えている。
【0016】
第2レール24は、第1レール22に対して長手方向に変位可能である。好ましくは、スライドレール組立体20はさらに、第3レール36を備えてよく、第3レール36は、第1レール22と第2レール24との間に移動可能に取り付けられ、第1レール22に対する第2レール24の変位を延ばす。実際上、第1レール22はキャビネットに取り付け又は固定されてよい。第2レール24は引き出しを支持するように構成されてよい。理解可能なように、別の実施形態では、第3レールは省略されてよい。
【0017】
図1に示すように、駆動装置26は、第2レール24が、第1レール22に対して後退位置Rから第1方向D1、例えば後退方向に押された後に、第2レール24を開放する(伸長、前進、展開する)ように駆動するように構成されている。駆動装置26は、弾力部材38を含む。本実施形態では一例として、弾力部材38はバネであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。弾力部材38は、第1端部40aと、第1端部40aから反対側の第2端部40bとを含む。弾力部材38の第1端部40aは、接続部材42によって第1レール22に固定されている。駆動部材44が、弾力部材38の第2端部40bに配置されている。好ましくは、対応部材46又は対応部が、第2レール24又は第3レール36に配置され、駆動部材44と協働するように、駆動部材44に対応する位置に配置されている。本実施形態では一例として、対応部材46は第3レール36に配置されてよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態では、対応部材又は対応部は第2レールに配置されてよい。
【0018】
制御部材28は、第1レール22と第2レール24とのうちの1つに移動可能に取り付けられている。本実施形態では一例として、制御部材28は、第1レール22に移動可能に取り付けられてよい。具体的には、制御部材28は、シャフト48によって第1レール22に枢軸的に接続されてよく、制御部材28が第1レール22に対して旋回可能であるようにする。好ましくは、図6に示すように、第1レール22は、第1規制特徴部50を含み、制御部材28は、第2規制特徴部51を含む。第1規制特徴部50と第2規制特徴部51とのうちの1つは、開口又は凹部である。第1規制特徴部50と第2規制特徴部51とのうちの他の1つは、延長脚部であり、延長脚部は開口又は凹部の中へ延び、開口又は凹部の壁に突き当たるように構成されている。これにより、制御部材28が、限られた範囲内で第1レール22に対して旋回することだけが可能にされる。本実施形態では一例として、第1規制特徴部50は開口であってよい。第2規制特徴部51は延長脚部であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0019】
制御部材28は、制御部52を含む。本実施形態では一例として、制御部52は、突出部又はピンであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。
【0020】
好ましくは、第1レール22は、前端部分54aと後端部分54bとを含み、制御部材28は、第1レール22の前端部分54aに隣接して配置されている。
【0021】
図3、4及び5に示すように、補助部材30は、制御部材28が配置されていない、第1レール22と第2レール24とのうちの他の1つに配置されている。本実施形態では一例として、補助部材30は第2レール24に配置されてよい。好ましくは、補助部材30は、第2レール24に直接又は間接的に接続されてよい。第2レール24は、前端部分56aと後端部分56bとを含み、補助部材30は、第2レール24に配置され、第2レール24の前端部分56aに隣接して配置されている。
【0022】
作業部材32は、補助部材30に対して移動可能である。本実施形態では一例として、作業部材32を補助部材30に移動可能に取り付けてよい。
【0023】
弾力構造34は、作業部材32を図4に示す第1状態S1に弾性的に保持するために、復帰用弾性力Kを作業部材32に与えるように構成されている。本実施形態では一例として、弾力構造34は板バネであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態では、弾力構造は、バネ、又は任意の他の弾性的に変形可能な物体、例えばゴムシリンダであってよい。
【0024】
好ましくは、補助部材30は、作業部材32のために移動空間Mを設けるように構成されている。図3に示すように、移動空間Mは、補助部材30の第1部分58と第2部分60とを貫通する。
【0025】
作業部材32は作業部66を含む。好ましくは、作業部材32はさらに、本体部62と延長区間64とを含む。延長区間64は本体部62から延びる。作業部66は、本体部62の表面67から突出する。図4に示すように、本体部62と延長区間64とは、補助部材30の第1部分58に隣接して配置されている。図5に示すように、作業部66は、移動空間Mを通っていて、補助部材30の第2部分60に隣接して位置する。
【0026】
好ましくは、補助部材30はさらに、弾力構造34を受容する補助受容空間Qを設けるように構成されている。補助受容空間Qは、移動空間Mに隣接して配置されている。弾力構造34は、第1所定部分68と第2所定部分70とを含む。図3及び4に示すように、第1所定部分68は、補助部材30の壁72に突き当たるように構成され、第2所定部分70は、作業部材32の延長区間64に突き当たるように構成されている。
【0027】
図5に示すように、補助部材30は、所定のパス構造(経路構造)74を含み、作業部材32の作業部66は、所定のパス構造74に隣接して配置されている。
【0028】
好ましくは、図5に示すように、作業部材32の作業部66は、ハート形の突出部であり、所定のパス構造74によって囲まれている。所定のパス構造74は、進入区間76aと、進入区間76aと連通する解放区間76bとを含む。作業部材32の作業部66は、進入区間76aと解放区間76bとの間に位置する。
【0029】
好ましくは、補助部材30はさらに、ガイド区間78を含む。本実施形態では一例として、ガイド区間78は傾斜面又は円弧面であってよい。作業部材32の作業部66はさらに、突き当て区間80を含む。
【0030】
好ましくは、図3又は5に示すように、作業部材32の本体部62の表面67は、実質的に円形状に形成される。
【0031】
図6に示すように、第2レール24が第1レール22に対して後退位置Rにある場合に、制御部材28と、第1状態S1にある作業部材32の作業部66とは、互いにブロッキングすることができ、第2方向D2、例えば開放方向に弾力部材38により与えられた弾性力Jを維持するために、制御部材28の制御部52をロック位置Lに配置する。ここで第2方向D2は、第1方向D1と反対である。
【0032】
好ましくは、第2レール24が第1レール22に対して後退位置Rにある場合に、制御部材28の制御部52と、第1状態S1にある作業部材32の作業部66の突き当て区間80とは、互いにブロッキングし、これにより、制御部材28と、第1状態S1にある作業部材32の作業部66とは、互いにブロッキングする。従って、制御部材28の制御部52と作業部材32の作業部66の突き当て区間80とがブロッキングされることによって、第2方向D2に弾力部材38により与えられた弾性力Jを維持するために、制御部材28の制御部52をロック位置Lに配置する。さらに、ロック空間Xが、ガイド区間78と突き当て区間80との間に定義され、制御部材28の制御部52を受け入れるように構成されている。
【0033】
好ましくは、突き当て区間80と、作業部材32の中心82、例えば作業部材32の本体部62の中心とを通る延長線と、第1方向D1又は第2方向D2に作業部材32の中心82を通る延長線との間に、オフセット角Aが形成される。
【0034】
図7、8及び9に示すように、第2レール24が、第1の力F1によって第1レール22に対して後退位置Rから第1方向D1に押された場合に、補助部材30は、制御部材28の制御部52をガイドして所定のパス構造74に対してロック位置Lから移動させる。これにより、弾力部材38が、弾性力Jによって、例えば、第2レール24が伸長位置Eへ変位されるまで、第2レール24を駆動して第1レール22に対して第2方向D2に開放することを可能にする。言い換えれば、スライドレール組立体20は、第2レール24を後退位置Rから第1方向D1に押すことによって、第2レール24を第1レール22に対して第2方向D2に開放することを可能にするプッシュオープン機構を提供するように構成されている。
【0035】
好ましくは、図7に示すように、第2レール24が、第1の力F1によって第1レール22に対して後退位置Rから第1方向D1に押された場合に、制御部材28の制御部52と補助部材30のガイド区間78とは、互いに突き当たる。これにより、制御部材28の制御部52は、ガイド区間78によってガイドされてロック位置Lから所定のパス構造74の解放区間76bの中へ移動するので、弾力部材38が第2レール24を駆動して第2方向D2に開放することを可能にする。例えば、図8及び9に示すように、弾力部材38の第2端部40bは、駆動部材44によって第3レール36での対応部材46を押して、第3レール36と第2レール24とを駆動して第2方向D2に開放することができる。
【0036】
好ましくは、補助部材30はさらに、ガイド特徴部84を含む。本実施形態では一例として、ガイド特徴部84は、傾斜面又は円弧面であってよい。図8及び9に示すように、弾力部材38により与えられた弾性力Jに応答して第2レール24が第2方向D2に変位する間、ガイド特徴部84と制御部材28の制御部52とが突き当たることによって、補助部材30は、制御部材28の制御部52を駆動して、図8及び9に示すように、所定のパス構造74から補助部材30の進入区間76aに対応する位置へ移動させる。従って、第2レール24が伸長位置Eから第1方向D1に後退位置Rへ変位する間に、制御部材28の制御部52は、進入区間76aを通って所定のパス構造74に進入することによって、図6に示すロック位置Lへ復帰することができる。
【0037】
図6及び10に示すように、第2レール24が、第2の力F2によって第1レール22に対して後退位置Rから第2方向D2に引っ張られた場合に、制御部材28の制御部52と作業部材32の作業部66とは、互いに突き当たって、作業部材32を駆動して、第1状態S1から図10に示す第2状態S2へ回転させる作用力Vを発生させることができる。第2レール24を第2方向D2に開放することを可能にするために、制御部材28の制御部52は、所定のパス構造74に対してロック位置Lから移動される。
【0038】
好ましくは、第2レール24が、第2の力F2によって第1レール22に対して後退位置Rから第2方向D2に引っ張られた場合に、制御部材28の制御部52と作業部材32の作業部66とは、互いに突き当たって、作業部材32を駆動して、オフセット角Aによって容易に、図6に示す第1状態S1から図10に示す第2状態S2へ回転させる作用力Vを発生させることができる。第2レール24を第2方向D2に容易に開放することを可能にするために、制御部材28の制御部52は、所定のパス構造74に対してロック位置Lから移動するように、作業部材32の作業部66によって駆動されることが可能である。その上、作業部材32の作業部66はさらに、突き当て区間80に隣接して配置されたガイド面55を含む。制御部材28の制御部52は、ガイド輪郭59を含む。本実施形態では一例として、ガイド面55は傾斜面又は円弧面であってよい。ガイド輪郭59は円形状又は円弧状に形成されてよい。第2レール24が、第2の力F2によって第1レール22に対して後退位置Rから第2方向D2に引っ張られた場合に、制御部材28の制御部52と作業部材32の作業部66とは、互いに突き当たって、ガイド面55とガイド輪郭59との協働によって作用力Vを発生させることができる。これにより、図6に示す第1状態S1から図10に示す第2状態S2への作業部材32の回転運動が、容易になるだけでなく、ロック位置Lから所定のパス構造74の解放区間76bの中への制御部材28の制御部52の移動も、容易になる。
【0039】
さらに、図10に示すように、作業部材32が第2状態S2にある場合に、弾力構造34は弾性的に変形する。そのため、第2レール24が、第1レール22に対して、後退位置Rから第2方向D2に所定位置、例えば伸長位置Eへ変位した場合に、作業部材32は、弾力構造34により与えられた復帰用弾性力Kに応答して、図10に示す第2状態S2から図9に示す第1状態S1へ復帰することができる。
【0040】
以上より、第2レール24が第1レール22に対して後退位置Rにある場合には、正常に、即ち、第2レール24を第1方向D1に押すことにより、第2レール24を開放することができる。しかし、第2レール24が不適切に第2方向D2に引っ張られた場合に、作業部材32の補助部材30に対する第1状態S1から第2状態S2への回転運動により、制御部材28の制御部52がロック位置Lから所定のパス構造74の解放区間76bの中へ移動することができる。これにより、摩擦や衝突に起因して、作業部材32の作業部66、及び/又は制御部材28の制御部52が磨耗又は損傷することを防止し、保護の目的を達成する。
【0041】
要約すると、スライドレール組立体20は以下の特徴を備えている。
【0042】
1.第2レール24が、第2の力F2によって第1レール22に対して後退位置Rから第2方向D2に引っ張られた場合に、制御部材28の制御部52と作業部材32の作業部66とは、互いに突き当たって、作業部材32を駆動して第1状態S1から第2状態S2へ移動させる作用力Vを発生させることができる。これにより、第2レール24が第2方向D2に開放されることを可能にするために、制御部材28の制御部52は、ロック位置Lから所定パス構造74の解放区間76bの中へ移動される。作業部材32の回転運動は、制御部材28の制御部52がロック位置Lから移動することを可能にし、摩擦又は衝突に起因して、作業部材32の作業部66及び/又は制御部材28の制御部52が摩耗又は損傷することを防止する。
【0043】
2.第2レール24が、後退位置Rから所定位置、例えば伸長位置Eへ変位した場合に、弾力構造34により与えられた復帰用弾性力Kに応答して、作業部材32は、図10に示す第2状態S2から図9に示す第1状態S1へ復帰することができる。
【0044】
3.第2レール24が、第2の力F2によって第1レール22に対して後退位置Rから第2方向D2に引っ張られた場合に、制御部材28の制御部52と作業部材32の作業部66とは、互いに突き当たることができ、作業部材32を駆動して、オフセット角Aによって容易に、図6に示す第1状態S1から図10に示す第2状態S2へ回転させる作用力Vを発生させる。第2レール24を第2方向D2に容易に開放することを可能にするために、制御部材28の制御部52は、所定のパス構造74に対してロック位置Lから移動するように、作業部材32の作業部66によって駆動されることが可能である。
【0045】
本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多数の修正及び変更が可能であることを、当業者であれば容易に理解することである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10