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特開2024-15947経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステム
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  • 特開-経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステム 図1
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  • 特開-経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015947
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240130BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G01R31/00
H02J3/00 170
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169049
(22)【出願日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】202210875152.0
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522413803
【氏名又は名称】国網江蘇省電力有限公司南京供電分公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(72)【発明者】
【氏名】周 冬旭
(72)【発明者】
【氏名】朱 正誼
(72)【発明者】
【氏名】呉 輝
(72)【発明者】
【氏名】梁 竜
【テーマコード(参考)】
2G036
5G066
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036AA25
2G036AA28
2G036BA46
5G066AA03
5G066AA09
(57)【要約】
【課題】経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステムに関する。本発明は、取得した都市統合エネルギーシステムのリアルタイム動作パラメータに基づいて時空間ソースデータ行列を形成した後、移動ウィンドウ法を使用して、ランダム行列理論に基づいて時空間ソースデータ行列をリアルタイムで分析処理し、データの線形固有値統計量(Linear Eigenvalue Statistics、LES)を計算し、さらにリアルタイムで分析して故障発生の時刻を取得し、故障検出の精度を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法であって、
都市統合エネルギーシステムの動作データを取得することと、
前記動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成することと、
移動ウィンドウを使用して、前記時空間ソースデータ行列のウィンドウデータを取得し、第1データ行列を取得することと、
前記データ行列を正規化処理して、正規化行列を取得することと、
前記正規化行列に基づいて第2データ行列を取得することと、
前記第2データ行列に基づいて共分散行列を決定することと、
前記共分散行列の固有値を決定することと、
前記固有値に基づいて線形固有値統計量を決定することと、
前記線形固有値統計量に基づいてLES-t曲線を生成し、前記LES-t曲線に基づいて故障検出を完了することとを含むことを特徴とする経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法。
【請求項2】
前記動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成することは、具体的には、
前記動作データの状態変数を決定することと、
前記状態変数に基づいて前記時空間ソースデータ行列を生成することとを含むことを特徴とする請求項1に記載の経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法。
【請求項3】
前記正規化行列に基づいて第2データ行列を取得することは、具体的には、
前記正規化行列にランダムホワイトノイズを追加して、前記第2データ行列を取得することを含むことを特徴とする請求項1に記載の経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法。
【請求項4】
前記固有値に基づいて線形固有値統計量を決定することは、具体的には、
シャノンテスト関数を使用して、前記固有値に基づいて前記線形固有値統計量を決定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法。
【請求項5】
経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システムであって、
都市統合エネルギーシステムの動作データを取得するために用いられる動作データ取得モジュールと、
前記動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成するために用いられるデータ行列生成モジュールと、
移動ウィンドウを使用して、前記時空間ソースデータ行列のウィンドウデータを取得し、第1データ行列を取得するために用いられる第1行列決定モジュールと、
前記データ行列を正規化処理して、正規化行列を取得するために用いられる正規化処理モジュールと、
前記正規化行列に基づいて第2データ行列を取得するために用いられる第2行列決定モジュールと、
前記第2データ行列に基づいて共分散行列を決定するために用いられる共分散行列決定モジュールと、
前記共分散行列の固有値を決定するために用いられる固有値決定モジュールと、
前記固有値に基づいて線形固有値統計量を決定するために用いられる統計量決定モジュールと、
前記線形固有値統計量に基づいてLES-t曲線を生成し、前記LES-t曲線に基づいて故障検出を完了するために用いられる故障検出モジュールとを含むことを特徴とする経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システム。
【請求項6】
前記データ行列生成モジュールは、
前記動作データの状態変数を決定するために用いられる状態変数決定ユニットと、
前記状態変数に基づいて前記時空間ソースデータ行列を生成するために用いられるデータ行列生成ユニットとを含むことを特徴とする請求項5に記載の経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システム。
【請求項7】
前記第2行列決定モジュールは、
前記正規化行列にランダムホワイトノイズを追加して、前記第2データ行列を取得するために用いられる第2行列決定ユニットを含むことを特徴とする請求項5に記載の経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システム。
【請求項8】
前記統計量決定モジュールは、
シャノンテスト関数を使用して、前記固有値に基づいて前記線形固有値統計量を決定するために用いられる統計量決定ユニットを含むことを特徴とする請求項5に記載の経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーシステム故障分析の技術分野に関し、特に、経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
統合エネルギーの故障検出は、統合エネルギーモデリング方法と故障検出方法の2つの観点から考える必要がある。
【0003】
1)機器の時変特性及び需給の不確実性を考慮したモデリングがまだ不十分である。機器の動作は、機器の寿命、動作時間などの内部影響及び極端な天候、動作条件などの外部影響などの共同作用により、時変特性を示している。従来の研究では、機器の時変特性をモデリングすることは主にマルコフ多状態の故障修復モデルによって達成されるが、機器の正常な動作に影響を与える要因の増加に伴い、二状態モデルは機器の故障の原因を明確に説明できず、多状態モデルは機器の各故障要因が互いに独立していると考えており、その固有の関連性を無視し、動作の実際の状況を満たさないため、マルコフ多状態モデルは機器動作の信頼性を説明する際に制限がある。IESには、電気負荷、ガス負荷、冷熱負荷などの様々な負荷が含まれており、多次元・多時間スケールの統合システムである。また、IESにおける再生可能エネルギーの大量消費に伴い、システム動作の不確実性要因が大幅に増加し、再生可能エネルギーの固有のランダム性と変動性、及びIESへのアクセスがシステム動作にもたらす不確実性の問題はまだモデリングでは完全に解決されていない。従来の研究では、ラフ集合法とファジーPetriネット法を代表とするファジーモデル法のみを使用して、機器動作の不確実性をモデリングし、その推論プロセスは主観的意識によって容易に妨げられ、解釈可能性が弱く、機器の動作レベルのモデリング要件を完全に満たすことができない。
【0004】
結合機器の動作をモデリングする方法がまだ完全ではない。IESは、典型的なマルチエネルギー結合システムである。システム内の結合機器が故障すると、システムのカスケード故障が発生することになり、結合システム内の2つ以上のサブシステムが互いに分離することさえある。従来の単一エネルギー供給システムに比べて、IES動作の信頼性の変化は、主にシステム間の結合関係によって引き起こされ、システム間の故障の相互影響は結合機器によって伝達される。IESの動作状態をより正確に評価し、システムの動作安全性を向上させるために、システム間の結合関係を十分に研究して、機器の結合特性及びエネルギー変換プロセスにおける信頼性を反映する必要がある。結合機器をモデリングする従来の方法は、基本的にモデル駆動型に基づいて達成され、動作中に結合機器が直面する動作条件の変化が機器に与える不確実性の問題及びエネルギー変換プロセスにおける損失の問題による機器の動作信頼性に対する影響を反映できず、従来の作業ではまだ十分に研究されていない。
【0005】
データ駆動型の統合エネルギーモデリング方法はまだ十分に発展していない。IESの動作規模の拡大化、動作構造の複雑化、動作状態の多様化に伴い、機器の動作データが大幅に増加し、データ駆動型の人工知能技術は多次元時変データ情報に直面する時に高い処理能力及び速い計算効率を有し、機器の動作状態の判断及び情報感知の面でも良好な精度を有し、機器の故障情報及び動作データの変化をより正確に捉えることができる。人工知能アルゴリズムに基づく従来のデータ駆動型モデリング手法は、すでに一定の研究基礎を持っているが、上記で分析したように、アルゴリズムの欠陥により、モデリング結果が不正確になる可能性がある。現在、深層学習、強化学習などのより高度な機械学習アルゴリズムを使用して、IESにおける機器、特に結合機器の動作状態をモデリング及び分析する研究成果は少なく、その有用性はさらに深く研究する余地がある。
【0006】
2)統合エネルギーネットワークには電気-熱-ガスの異なるサブシステムが含まれているため、その検出方法は通常、各サブシステムの故障を検出することである。モデル駆動型モデリングの故障検出は異なるエネルギーサブシステムに通用できず、均質化モデリングの複雑なネットワークモデリングの故障検出は現実の状況に対して精度が低く、演算量が大きい。「改良型遺伝的アルゴリズムに基づく配電網の故障位置特定」という文献には、配電網の故障位置特定における改良型遺伝的アルゴリズムの適用が詳しく述べられており、対応する演算子を改良することにより、適応的反復が実現され、精度がある程度向上する。「人工魚群アルゴリズムに基づく配電網の故障位置特定」という文献には、人工魚群アルゴリズムに基づく配電網の故障位置特定アルゴリズムが提案されており、強いグローバル能力がある。また、粒子群アルゴリズム、人工ニューラルネットワークアルゴリズム、蟻コロニーアルゴリズムなどがある。しかし、上記の方法は、時間がかかり、ネットワークノードの増加に伴い、計算量も増加し、リアルタイム処理の目的を達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に存在する上記問題を解決するために、本発明は、経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の解決手段を提供する。
【0009】
経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法であって、
都市統合エネルギーシステムの動作データを取得することと、
前記動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成することと、
移動ウィンドウを使用して、前記時空間ソースデータ行列のウィンドウデータを取得し、第1データ行列を取得することと、
前記データ行列を正規化処理して、正規化行列を取得することと、
前記正規化行列に基づいて第2データ行列を取得することと、
前記第2データ行列に基づいて共分散行列を決定することと、
前記共分散行列の固有値を決定することと、
前記固有値に基づいて線形固有値統計量を決定することと、
前記線形固有値統計量に基づいてLES-t曲線を生成し、前記LES-t曲線に基づいて故障検出を完了することとを含む。
【0010】
好ましくは、前記動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成することは、具体的には、
前記動作データの状態変数を決定することと、
前記状態変数に基づいて前記時空間ソースデータ行列を生成することとを含む。
【0011】
好ましくは、前記正規化行列に基づいて第2データ行列を取得することは、具体的には、
前記正規化行列にランダムホワイトノイズを追加して、前記第2データ行列を取得することを含む。
【0012】
好ましくは、前記固有値に基づいて線形固有値統計量を決定することは、具体的には、
シャノンテスト関数を使用して、前記固有値に基づいて前記線形固有値統計量を決定することを含む。
【0013】
上で提供された経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法に対応して、本発明はまた、経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システムを提供し、該システムは、
都市統合エネルギーシステムの動作データを取得するために用いられる動作データ取得モジュールと、
前記動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成するために用いられるデータ行列生成モジュールと、
移動ウィンドウを使用して、前記時空間ソースデータ行列のウィンドウデータを取得し、第1データ行列を取得するために用いられる第1行列決定モジュールと、
前記データ行列を正規化処理して、正規化行列を取得するために用いられる正規化処理モジュールと、
前記正規化行列に基づいて第2データ行列を取得するために用いられる第2行列決定モジュールと、
前記第2データ行列に基づいて共分散行列を決定するために用いられる共分散行列決定モジュールと、
前記共分散行列の固有値を決定するために用いられる固有値決定モジュールと、
前記固有値に基づいて線形固有値統計量を決定するために用いられる統計量決定モジュールと、
前記線形固有値統計量に基づいてLES-t曲線を生成し、前記LES-t曲線に基づいて故障検出を完了するために用いられる故障検出モジュールとを含む。
【0014】
好ましくは、前記データ行列生成モジュールは、
前記動作データの状態変数を決定するために用いられる状態変数決定ユニットと、
前記状態変数に基づいて前記時空間ソースデータ行列を生成するために用いられるデータ行列生成ユニットとを含む。
【0015】
好ましくは、前記第2行列決定モジュールは、
前記正規化行列にランダムホワイトノイズを追加して、前記第2データ行列を取得するために用いられる第2行列決定ユニットを含む。
【0016】
好ましくは、前記統計量決定モジュールは、
シャノンテスト関数を使用して、前記固有値に基づいて前記線形固有値統計量を決定するために用いられる統計量決定ユニットを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明が提供する具体的な実施例によれば、本発明は以下の技術的効果を開示する。
【0018】
本発明が提供する経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法は、取得した都市統合エネルギーシステムのリアルタイム動作パラメータに基づいて時空間ソースデータ行列を形成した後、移動ウィンドウ法を使用して、ランダム行列理論に基づいて時空間ソースデータ行列をリアルタイムで分析処理し、データの線形固有値統計量(Linear Eigenvalue Statistics、LES)を計算し、さらにリアルタイムで分析して故障発生の時刻を取得し、故障検出の精度を向上させる。
【0019】
本発明が提供する経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システムによって達成される技術的効果と上で提供された経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法によって達成される技術的効果は同じであるため、ここでは繰り返して説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明し、以下に説明する図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【0021】
図1】本発明が提供する経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例が提供する電熱統合エネルギーネットワークの概略図である。
図3】本発明の実施例が提供するグリッド電圧データの概略図である。
図4】本発明の実施例が提供する故障検出指標の曲線図である。
図5】本発明が提供する経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、説明した実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0023】
本発明は、故障検出の精度を確保するとともに、故障検出のリアルタイム性を向上させることができる、経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法及びシステムを提供することを目的とする。
【0024】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明が提供する経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法は、ステップ100~ステップ108を含む。
【0026】
都市統合エネルギーシステムの動作データを取得するステップ100。動作データは、電力ネットワークの電圧と電流、熱供給ネットワークの給水温度と戻り水温度及びノード水流量などを含む。
【0027】
例えば、各動作データの取得プロセスは以下のとおりである。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】
【数4】
【0032】
【数5】
【0033】
【数6】
【0034】
【数7】
【0035】
【数8】
【0036】
【数9】
【0037】
【数10】
【0038】
【数11】
【0039】
【数12】
【0040】
共分散行列の固有値を決定するステップ106。
【0041】
【数13】
【0042】
線形固有値統計量に基づいてLES-t曲線を生成し、LES-t曲線に基づいて故障検出を完了するステップ108。即ち、故障が発生する前にLES値が迅速に変化し、指標曲線は「U」のような形を示す。「U」形の高さは故障の重大度を示し、「U」形の幅は故障の持続時間を示す。スライディングウィンドウに対する故障信号の遅延影響のため、通常、「U」形の幅はウィンドウサイズ以上である。
【0043】
以下では、シミュレーションデータを使用して、上で提供された経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法を検証する。
【0044】
上記統合エネルギーモデリング方法を使用してモデリングすると、図2に示すような電熱統合エネルギーネットワークが得られる。ここで、HB*とEB*は、それぞれ熱と電力のノードである。CHP*は熱電併給ノードで、熱源と電源とする。
【0045】
【数14】
【0046】
図4から分かるように、ウィンドウのスライドに伴ってLES-t曲線が生成されつつあるが、曲線の開始時刻がt=200サンプリング時刻であるのは、初期ウインドの幅が200に設定されているためである。実験結果は以下のように分析される。
(1)200から500までのサンプリング時刻で、LES指標はほとんど変化せず、データの時空間相関性もほとんど変化せず、システムが正常な状態で動作していることを示す。
(2)501サンプリング時刻から、LES指標は迅速に増加し、異常信号が現れてデータの時空間相関性の変化を引き起こすことを示す。500から700までのサンプリング時刻で、指標曲線は逆「U」形を示し、幅がスライディングウィンドウのサイズに等しく、これは、主にウィンドウに対する故障信号の遅延影響がウィンドウの幅に等しいためである。
(3)t=701のサンプリング時刻から、LES指標は正常に戻り、システムの動作状態が変化しなくなることを示す。
【0047】
上記の分析から、LES指標はデータ間の相関性の変化に非常に敏感であり、データ中のノイズ及びランダム摂動に対して良好なロバスト性を持っているため、故障発生の早期に故障を正確に検出できる。
【0048】
上記の説明に基づき、従来技術に対して、本発明は以下の利点を有する。
1)真の統合エネルギーシステムは通常、非線形であり、ハイブリッド潮流分析方式は反復によって真の解を近似し、ノイズを加えて真にシミュレートされ、サンプリングにより真の程度を最大化し、シミュレーションデータの真実性を確保する。
2)都市統合エネルギーシステムにとって、通常、データ量が巨大であり、データ駆動型のアプローチは、データ量の多いタスクの故障検出の精度を高めることができる。
3)データ駆動型のアプローチはモデル駆動型に比べて、異なる構成の統合エネルギーネットワークに対して汎用性に優れている。
4)工程上、良好なロバスト性を有する。
【0049】
また、上で提供された経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出方法に対応して、本発明は、経験的スペクトル分析に基づく都市統合エネルギーシステムの故障検出システムをさらに提供し、図5に示すように、該システムは、
都市統合エネルギーシステムの動作データを取得するために用いられる動作データ取得モジュール1と、
動作データに基づいて時空間ソースデータ行列を生成するために用いられるデータ行列生成モジュール2と、
移動ウィンドウを使用して、時空間ソースデータ行列のウィンドウデータを取得し、第1データ行列を取得するために用いられる第1行列決定モジュール3と、
データ行列を正規化処理して、正規化行列を取得するために用いられる正規化処理モジュール4と、
正規化行列に基づいて第2データ行列を取得するために用いられる第2行列決定モジュール5と、
第2データ行列に基づいて共分散行列を決定するために用いられる共分散行列決定モジュール6と、
共分散行列の固有値を決定するために用いられる固有値決定モジュール7と、
固有値に基づいて線形固有値統計量を決定するために用いられる統計量決定モジュール8と、
線形固有値統計量に基づいてLES-t曲線を生成し、LES-t曲線に基づいて故障検出を完了するために用いられる故障検出モジュール9とを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施例として、上記で使用されたデータ行列生成モジュール2は、
動作データの状態変数を決定するために用いられる状態変数決定ユニットと、
状態変数に基づいて時空間ソースデータ行列を生成するために用いられるデータ行列生成ユニットとを含む。
【0051】
本発明の別の好ましい実施例として、上記で使用された第2行列決定モジュール5は、
正規化行列にランダムホワイトノイズを追加して、第2データ行列を取得するために用いられる第2行列決定ユニットを含む。
【0052】
本発明のさらに別の好ましい実施例として、上記で使用された統計量決定モジュール8は、
シャノンテスト関数を使用して、固有値に基づいて線形固有値統計量を決定するために用いられる統計量決定ユニットを含む。
【0053】
本明細書の各実施例は漸進的に説明され、各実施例では、重点的に説明するのは他の実施例との相違点であり、各実施例の間の同じ又は類似する部分は互いに参照すればよい。実施例で開示されたシステムについては、実施例で開示された方法に対応するため、説明が比較的簡単であり、関連する部分は方法の説明を参照すればよい。
【0054】
本明細書では、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその核心思想を理解するのを助けるためのものに過ぎない。また、当業者であれば、本発明の趣旨に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲のいずれも変化できる。要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5