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特開2024-159470読み取りシステム及び読み取り処理プログラム
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  • 特開-読み取りシステム及び読み取り処理プログラム 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159470
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】読み取りシステム及び読み取り処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20241031BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G06F21/31
H04N1/00 838
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006772
(22)【出願日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2023073437
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野尻 弘也
(72)【発明者】
【氏名】松下 聡
(72)【発明者】
【氏名】柳 哲
(72)【発明者】
【氏名】白木 智美
(72)【発明者】
【氏名】宇野 暁仁
(72)【発明者】
【氏名】大宮 誉史
(72)【発明者】
【氏名】松本 大祐
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝則
(72)【発明者】
【氏名】グエン バン タイン
(72)【発明者】
【氏名】本山 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊和
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC41
5C062AC42
5C062AE01
5C062AE15
5C062AE16
5C062AF02
5C062AF12
5C062AF14
5C062BA02
(57)【要約】
【課題】汎用ドライバアプリケーションのユーザインタフェースを用いない場合でも、セキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行する。
【解決手段】PC10は、受付処理で受け付けたユーザ認証情報を用いて読取装置における認証のための被認証情報を作成する情報作成処理と、作成した被認証情報とともにスキャン実行コマンドを送信する第1コマンド送信処理と、を実行し、読取装置20は、送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドを受信する第1コマンド受信処理と、受信した被認証情報に応じてスキャンに関連する処理を行うスキャン関連処理と、を実行する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御部及び記憶部を備えた端末装置と、第2制御部を備え、前記端末装置に対し接続されて読取対象物に対して読み取りを行う読取装置と、を有し、前記端末装置の前記記憶部に、前記読取装置に対応するアプリケーションプログラムである第1プログラムと、前記第1プログラムから呼び出される汎用のドライバアプリケーションである第2プログラムと、第1プログラム及び第2プログラムとは異なる所定のアプリケーションプログラムである第3プログラムと、が記憶されており、前記第2プログラムが、当該第2プログラムのユーザインタフェースを利用する第1モードと、当該第2プログラムのユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用する第2モードと、を有する読み取りシステムであって、
前記第1制御部は、
前記第3プログラムによりユーザ認証情報の入力を受け付ける受付処理と、
前記受付処理で前記第3プログラムにより受け付けた前記ユーザ認証情報を用いて、前記読取装置における認証のための被認証情報を作成する情報作成処理と、
前記第2プログラムにより、前記被認証情報とともにスキャン実行コマンドを送信する第1コマンド送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記被認証情報及び前記スキャン実行コマンドを受信する第1コマンド受信処理と、
受信した前記被認証情報に応じてスキャンに関連する処理を行うスキャン関連処理と、
を実行する
ことを特徴とする読み取りシステム。
【請求項2】
前記スキャン関連処理は、
前記被認証情報に対する認証を行う第1認証処理と、
前記第1認証処理による前記認証が成功した場合、前記読取対象物の読み取りを行う第1読み取り処理と、
前記第1読み取り処理で読み取った読み取り画像を送信する第1画像送信処理と、
を含み、
前記第1制御部は、
前記第2プログラムにより、前記第1画像送信処理で送信された前記読み取り画像を受信する第1読み取り画像受信処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の読み取りシステム。
【請求項3】
前記スキャン関連処理は、
前記読取対象物の読み取りを行う第2読み取り処理と、
前記被認証情報に対する認証を行う第2認証処理と、
前記第2認証処理による前記認証が成功した場合、前記第2読み取り処理で読み取った読み取り画像を送信する第2画像送信処理と、
を含み、
前記第1制御部は、
前記第2プログラムにより、前記第2画像送信処理で送信された前記読み取り画像を受信する第2読み取り画像受信処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の読み取りシステム。
【請求項4】
前記端末装置は、表示部をさらに有し、
前記第1制御部は、さらに、
前記第2プログラムにより、レジストリに記憶された前記ユーザ認証情報を参照する参照処理と、
前記参照処理において前記レジストリにおける前記ユーザ認証情報を識別できなかった場合に、前記第2プログラムにより前記スキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記スキャン実行コマンドを受信する第2コマンド受信処理と、
受信した前記スキャン実行コマンドに応じて、認証エラー通知を送信する通知送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、
前記第2プログラムにより、送信された前記認証エラー通知を受信する通知受信処理と、
受信した前記認証エラー通知に対応し、前記第3プログラムを起動して当該第3プログラムにより、前記ユーザ認証情報を入力するための入力画面を前記表示部に表示する表示処理と、
を実行し、
前記受付処理では、
前記表示部に表示された前記入力画面を介して前記ユーザ認証情報の入力を受け付け、
当該受付処理の後、
前記第1制御部は、前記情報作成処理と、前記第1コマンド送信処理と、前記第1読み取り画像受信処理と、を実行し、
前記第2制御部は、前記第1コマンド受信処理と、前記第1画像送信処理と、を実行する
ことを特徴とする請求項2記載の読み取りシステム。
【請求項5】
前記第1制御部が、前記参照処理において前記レジストリにおける前記ユーザ認証情報を識別できた場合には、
当該第1制御部は、
前記第2コマンド送信処理と、前記通知受信処理と、前記表示処理と、前記受付処理と、を実行することなく、前記情報作成処理と、前記第1コマンド送信処理と、前記第1読み取り画像受信処理と、を実行し、
前記第2制御部は、
第2コマンド受信処理と、前記通知送信処理と、を実行することなく、前記第1コマンド受信処理と、前記第1画像送信処理と、を実行する、
ことを特徴とする請求項4記載の読み取りシステム。
【請求項6】
前記端末装置は、表示部をさらに有し、
前記第1制御部は、さらに、
前記第2プログラムにより、レジストリに記憶された前記ユーザ認証情報を参照する参照処理と、
前記参照処理において前記レジストリにおける前記ユーザ認証情報を識別できなかった場合に、前記第2プログラムにより前記スキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
送信された前記スキャン実行コマンドを受信する第2コマンド受信処理と、
受信した前記スキャン実行コマンドに応じて、認証エラー通知を送信する通知送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、
前記第2プログラムにより、送信された前記認証エラー通知を受信する通知受信処理と、
受信した前記認証エラー通知に対応し、前記第3プログラムを起動して当該第3プログラムにより、前記ユーザ認証情報を入力するための入力画面を前記表示部に表示する表示処理と、
を実行し、
前記受付処理では、
前記表示部に表示された前記入力画面を介して前記ユーザ認証情報の入力を受け付け、
当該受付処理の後、
前記第1制御部は、前記情報作成処理と、前記第1コマンド送信処理と、前記第2読み取り画像受信処理と、を実行し、
前記第2制御部は、前記第1コマンド受信処理と、前記第2画像送信処理と、を実行する
ことを特徴とする請求項3記載の読み取りシステム。
【請求項7】
前記第1制御部が、前記参照処理において前記レジストリにおける前記ユーザ認証情報を識別できた場合には、
当該第1制御部は、
前記第2コマンド送信処理と、前記通知受信処理と、前記表示処理と、前記受付処理と、を実行することなく、前記情報作成処理と、前記第1コマンド送信処理と、前記第2読み取り画像受信処理と、を実行し、
前記第2制御部は、
第2コマンド受信処理と、前記通知送信処理と、を実行することなく、前記第1コマンド受信処理と、前記第2画像送信処理と、を実行する、
ことを特徴とする請求項6記載の読み取りシステム。
【請求項8】
読取対象物に対して読み取りを行う読取装置に接続され、演算部及び記憶部を備えた端末装置であって、前記記憶部に、前記読取装置に対応するアプリケーションプログラムである第1プログラムと、前記第1プログラムから呼び出される汎用のドライバアプリケーションである第2プログラムと、第1プログラム及び第2プログラムとは異なる所定のアプリケーションプログラムである第3プログラムと、が記憶されており、前記第2プログラムが、当該第2プログラムのユーザインタフェースを利用する第1モードと、当該第2プログラムのユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用する第2モードと、を有する、前記端末装置の前記演算部に対し、
ユーザ認証情報の入力を受け付ける受付手順と、
前記受付手順で受け付けた前記ユーザ認証情報を用いて、前記読取装置における認証のための被認証情報を作成する情報作成手順と、
を実行させるための、読み取り処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるプルスキャンを行う読み取りシステム及び読み取り処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置と、サーバ装置と、スキャン機能を有する画像処理装置を含むスキャンシステムであって、情報処理装置は、アプリケーションとスキャナドライバを備え、スキャナドライバとしてTWAINドライバを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、この従来技術では、いわゆるプルスキャンを行うことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6732607号公報(段落[0002]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、端末装置の記憶部に、汎用のドライバアプリケーション(スキャナドライバ)であるTWAINドライバが記憶されている。このTWAINドライバは、当該TWAINドライバのユーザインタフェースを利用するモードと、当該TWAINドライバのユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用するNonUIモードと、を備えている。
ここで、端末装置側からプルスキャンを行う際、読取装置に読み取り対象物をセットした本来ユーザでない別ユーザの読み取り画像の取得を防止しセキュリティを確保するためには、端末装置からのアクセスに対し読取装置側でユーザ名等の認証を行う必要がある。
その場合、上記TWAINドライバのユーザインタフェースを利用するモードでは、上記ユーザ名等の入力をTWAINドライバのユーザインタフェースにより行えば足りるが、上記NonUIモードではその手法は使えない。上記従来技術では、そのような点までは特に配慮されておらず、端末装置において汎用ドライバアプリケーションのユーザインタフェースを用いない場合には、セキュリティを確保しつつプルスキャンを実行することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、端末装置において汎用ドライバアプリケーションのユーザインタフェースを用いない場合でも、セキュリティを確保しつつプルスキャンを実行できる、読み取りシステム及び読み取り処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、第1制御部及び記憶部を備えた端末装置と、第2制御部を備え、前記端末装置に対し接続されて読取対象物に対して読み取りを行う読取装置と、を有し、前記端末装置の前記記憶部に、前記読取装置に対応するアプリケーションプログラムである第1プログラムと、前記第1プログラムから呼び出される汎用のドライバアプリケーションである第2プログラムと、第1プログラム及び第2プログラムとは異なる所定のアプリケーションプログラムである第3プログラムと、が記憶されており、前記第2プログラムが、当該第2プログラムのユーザインタフェースを利用する第1モードと、当該第2プログラムのユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用する第2モードと、を有する読み取りシステムであって、前記第1制御部は、前記第3プログラムによりユーザ認証情報の入力を受け付ける受付処理と、前記受付処理で前記第3プログラムにより受け付けた前記ユーザ認証情報を用いて、前記読取装置における認証のための被認証情報を作成する情報作成処理と、前記第2プログラムにより、前記被認証情報とともにスキャン実行コマンドを送信する第1コマンド送信処理と、を実行し、前記第2制御部は、送信された前記被認証情報及び前記スキャン実行コマンドを受信する第1コマンド受信処理と、受信した前記被認証情報に応じてスキャンに関連する処理を行うスキャン関連処理と、を実行する、ように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本願発明の読み取りシステムでは、端末装置の記憶部に、汎用のドライバアプリケーションである第2プログラムが記憶されている。この第2プログラムは、当該第2プログラムのユーザインタフェースを利用する第1モードと、当該第2プログラムのユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用する第2モードと、を備えている。
【0008】
ここで、端末装置側からプルスキャンを行う際、読取装置に読み取り対象物をセットした本来ユーザでない別ユーザの読み取り画像の取得を防止しセキュリティを確保するためには、端末装置からのアクセスに対し読取装置側でユーザ名等の認証を行う必要がある。その場合、上記第1モードでは、上記ユーザ名等の入力を第2プログラムのユーザインタフェースにより行えば足りるが、上記第2モードではその手法は使えない。
【0009】
そこで本願発明においては、端末装置の第1制御部が、上記第3プログラムを用いて受付処理を実行する。受付処理では、上記第3プログラムによってユーザ認証情報の入力が受け付けられる。
【0010】
その後、前述の認証を読取装置に行ってもらうにあたり、端末装置では、情報作成処理において、上記取得したユーザ認証情報を用いて被認証情報が作成される。そして、第2プログラムにより、第1コマンド送信処理において、作成された被認証情報とスキャン実行コマンドとが、送信される。
【0011】
これにより、読取装置の第2制御部は、送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドを第1コマンド受信処理で受信する。その後、例えばそれら被認証情報に応じて認証を行うことができる。認証が成功した場合には、読取対象物に対する読み取りが行われて読み取り画像が端末装置へと送信される。あるいは、例えば先に読み取り対象物に対する読み取りを行った後に認証を行い、認証が成功した場合に読み取り画像が端末装置へ送信されるようにしてもよい。
【0012】
以上の結果、本願発明によれば、端末装置において汎用ドライバアプリケーションのユーザインタフェースを用いない場合でも、セキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行することができる。
【0013】
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、読み取り処理方法および読み取り処理装置、読み取りデータを処理するように構成されたサーバシステム、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、端末装置において汎用ドライバアプリケーションのユーザインタフェースを用いない場合でも、セキュリティを確保しつつプルスキャンを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の第1実施形態に係る読み取りシステムの構成及び処理手順の一例を示す説明図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係る読み取りシステムの構成及び処理手順の他の例を示す説明図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るユーザ名(ID)及びパスワードの入力画面の一例を示す説明図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るTWAINドライバを利用したスキャン実行画面の一例を示す説明図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るアプリケーションドライバを利用したスキャン設定画面の一例を示す説明図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る他の読み取りシステムの構成及び処理手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態に係る読み取りシステムについて、図面を参照して説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る読み取りシステムの構成及び処理手順の一例を示す説明図である。この図1Aでは、本実施形態の読み取りシステムを利用するユーザP(以下、「利用者」又は「操作者」とも称する場合がある)と、ユーザPが操作する端末装置としての汎用のパーソナルコンピュータ10(以下、単に「PC10」とも称する。)と、図示を略す本や書類等の読取対象物(以下、「被読取媒体」とも称する場合がある。)の読み取りを実行することができる読取装置20、との間の処理が表されている。
【0018】
なお、PC10は、例えば、第1制御部としてのCPU及び大容量ハードディスクドライブ・ROM・RAM等の記憶媒体からなる記憶部等を備える本体11と、表示画面12と、操作部としてキーボード13及びマウス14と、を備える。したがって、以下の説明においては、第1制御部及び記憶部が実行する処理においては単にPC10が処理するものとして説明する。
【0019】
なお、端末装置としてのPC10には、上述したデスクトップ型のパーソナルコンピュータの他、ノート型のパーソナルコンピュータ、あるいは、タブレット端末(スマートフォン等を含む)のようにコンピュータ機能を備えた端末装置の全般にて適用可能である。
【0020】
読取装置20は、被読取媒体を載置する透明ガラス等からなる読取面21を備えると共に、第2制御部としてのCPU、画像読み取りのための読取ユニット、読取ユニットで読み取った画像の画像データの一時的な保存や読取ユニットの駆動制御を含むCPUで読み取りを実行するためのアプリケーションを記憶したハードディスクドライブ・ROM・RAM等の記憶媒体からなる記憶部を備える。したがって、以下の説明においては、第2制御部及び記憶部が実行する処理においては単に読取装置20が処理するものとして説明する。
【0021】
また、読取装置20は、PC10と有線又は無線で接続されており、少なくともユーザPがPC10を操作して読取装置20による被読取媒体の読み取りを実行させるプルスキャンを可能としている。なお、ユーザPが読取装置20を操作してPC10或いは他のパーソナルコンピュータや記憶媒体(例えば、SDカード等)に読み取った画像データを送信するプッシュスキャンをプルスキャンと併用することができる読取装置とすることも可能である。
【0022】
ここで、本実施形態に係るPC10の記憶部には、読取装置20に対応するアプリケーションプログラムである第1プログラム(以下、単に「スキャンアプリ」とも称する。)と、この第1プログラムから呼び出される汎用のドライバアプリケーションである第2プログラム(以下、単に「TWAIN」又は「TWAINドライバ」とも称する。)と、第1プログラム及び第2プログラムとは異なる所定のアプリケーションプログラムである第3プログラム(以下、単に「所定アプリ」とも称する。)と、が記憶されている。
【0023】
また、PC10の第1制御部としてのCPUは、TWAINドライバのユーザインタフェースを利用する第1モード(以下、「UIモード」とも称する。)と、TWAINドライバのユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用する第2モード(以下、「NonUIモード」とも称する。)と、を実行することが可能である。
【0024】
また、PC10の表示画面12には、例えば、オペレーティングシステムを立ち上げた際に、所定アプリを起動選択するためのアイコンやTWAINドライバを起動選択するためのアイコン等が表示されている。これにより、ユーザPは、マウス操作によってこれらのアイコンをクリック選択することによって、各読取モード(UIモード又はNonUIモード等)を実行することができる。
【0025】
次に、本実施形態に係る読み取りシステムの利用例としてのPC10並びに読取装置20の処理手順を説明する。なお、図1Aにおいては、特許請求の範囲で示す各種処理手順を含む処理内容の概要を文字記載すると共にその処理順序例を括弧書きの数字で示す。ただし、この図1Aに示す処理順序は、特許請求の範囲で示す各種処理手順に対する処理順序及び処理手順の内容を限定するものではなく、必要に応じた処理手順の順序の変更、或いは、割り込みを含む処理手順の追加等は任意である。
【0026】
また、本実施形態に係る所定アプリにはオペレーティングシステムを含ませることができる。これにより、PC10を起動させる際に、その権限、例えば、サインインする際に管理者として起動させるか一般ユーザとして起動させるかを識別するためのユーザ名(=ユーザの識別情報。以下適宜、単に「ID」とも称する)とパスワードとをユーザ入力させ、そのユーザ名とパスワードとを受け付けるとともに、そのユーザ名とパスワードとをPC10の記憶部に記憶することができる。なお、ユーザ名とパスワードとがユーザ認証情報の一例である。或いは、本実施形態に係る所定アプリには、例えば、専用のスキャン管理アプリケーション等を利用し、例えば、このスキャン管理アプリケーションに対応するアイコンをクリック選択(又はタップ選択)した際に、例えば、図2に示すようなユーザ名(ID)とパスワードとを入力させる入力画面を表示画面12に表示させてユーザ入力させ、そのユーザ名とパスワードとを受け付けるとともに、そのユーザ名とパスワードとをPC10の記憶部に記憶することができる。
【0027】
したがって、これら各種の所定アプリを用いた「ユーザ名とパスワードとをユーザ入力」は図1Aに示す「ツールを起動してユーザ認証情報を入力(1)」に該当し、「そのユーザ名とパスワードとを受け付ける」は図1Aに示す「ユーザ認証情報を受付(2)」に該当し、「ユーザ名とパスワードとをPC10の記憶部に記憶する」は図1Aに示す「レジストリにユーザ認証情報を記憶(3)」に該当する。
【0028】
すなわち、PC10の第1制御部は、第3プログラム(所定アプリ)によりユーザ名及びパスワードの入力を受け付ける受付処理と、第3プログラム(所定アプリ)により、受け付けたユーザ認証情報をレジストリに記憶する記憶処理と、を実行する。
【0029】
次に、ユーザPは、読取装置20の読取面21に被読取媒体を載置した後に、例えば、TWAINドライバを起動選択するためのアイコンをクリック選択(又はタップ選択)させて、図3に示すように、スキャン画面(TWAINドライバー)を起動させたうえで各種設定を調整して「スキャン開始」(又は「プレビュー開始」)を操作することでPC10が第2プログラム(TWAINドライバ)を用いた第1モード(UIモード)によるスキャンモードを開始する。
【0030】
すなわち、PC10の第1制御部は、図1Aに示す「「スキャン実行」を操作(4)」として、スキャン画面(TWAINドライバー)で「スキャン開始」(又は「プレビュー開始」)をユーザPが操作したことをトリガーとしてスキャンモードを開始する。
【0031】
次に、PC10の第1制御部は、その記憶部からユーザ名及びパスワードを取得したうえで、例えば、これらユーザ名及びパスワードを暗号化した被認証情報、或いは、これらユーザ名及びパスワードに紐付けされて読取装置20の利用に関する読取権限(読取制限)に関して予め登録された被認証情報、等を作成する。さらに、PC10の第1制御部は、図3に示した解像度やカラー設定等の各種読取条件に対応した読取情報に被認証情報を付与したコマンドを生成して読取装置20に送信する。
【0032】
したがって、上述した「記憶部からユーザ名及びパスワードを取得」は図1Aに示す「ユーザ認証情報を取得(5)」に該当し、上述した各「被認証情報」の作成は図1Aに示す「被認証情報を作成(6)」に該当し、「読取情報に被認証情報を付与したコマンドを生成して読取装置20に送信」は図1Aに示す「被認証情報を付与したコマンド送信(7)」にそれぞれ該当する。
【0033】
すなわち、PC10の第1制御部は、第2プログラム(TWAIN)によりレジストリに記憶済のユーザ名及びパスワードを読み出して取得する取得処理と、第3プログラム(所定アプリ)により取得したユーザ名及びパスワードを用いて読取装置20における認証のための被認証情報を作成する情報作成処理と、第2プログラム(TWAIN)により作成した被認証情報とともにスキャン実行コマンドを送信する第1コマンド送信処理と、を実行する。
【0034】
これに対し、読取装置20の第2制御部は、PC10から被認証情報を付与したコマンド送信がなされ、そのコマンド(スキャン実行コマンド)を受信すると、予め読取装置20の記憶部に記憶したユーザのスキャン利用形態等に関する認証用情報とを比較して読み取りを実行してよいか否かの認証判定をおこなったうえで、その判定結果が成功である場合に被読取媒体の読み取りをおこなって一時記憶し、例えば、所定の画像形式(例えば、GIFやJPG)で枚葉毎の読み取り画像に対する画像データを生成した後に、その画像データをPC10に送信する。
【0035】
したがって、上述した「コマンド(スキャン実行コマンド)を受信」は図1Aに示す「受信(8)」に該当し、上述した「読み取りを実行してよいか否かの認証判定」は図1Aに示す「認証(9)」に該当し、「画像データをPC10に送信」は図1Aに示す「画像データを送信(11)」にそれぞれ該当する。
【0036】
すなわち、読取装置20の第2制御部は、送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドを受信する第1コマンド受信処理と、受信した被認証情報に応じてスキャン関連する処理を行うスキャン関連処理と、を実行する。
【0037】
なお、読取装置20の第2制御部による、「被読取媒体の読み取りをおこなって一時記憶」は図1Aに示す「読み取り(10)」に該当する。上記スキャン関連処理の具体例としては、被認証情報に対する認証を行う第1認証処理(上述の処理(9))と、認証が成功した場合に読取対象物の読み取りを行う第1読み取り処理(上述の処理(10))と、読み取った読み取り画像を送信する第1画像送信処理(上述の処理(11))と、が含まれる。
【0038】
これにより、PC10の第1制御部は、第2プログラム(TWAINドライバ)を用いて読取装置20で読み取った画像データを受信し、例えば、その画像データをPC10の記憶部に記憶、或いは、他の可搬式記憶媒体(SDカードメモリやUSBメモリ等)に記憶したり、表示画面12に表示して画像編集アプリ等を用いた画像編集作業等に利用することができる。
【0039】
したがって、上述した「画像データを受信」は図1Aに示す「受信(12)」に該当する。
【0040】
すなわち、PC10の第1制御部は、送信された読み取り画像を受信する第1読み取り画像受信処理を実行する。
【0041】
このように、本実施形態に係る読み取りシステムでは、PC10の記憶部に、汎用のドライバアプリケーションである第2プログラム(TWAINドライバ)が記憶されている。この第2プログラム(TWAINドライバ)は、第2プログラム(TWAINドライバ)のユーザインタフェースを利用する第1モードと、第2プログラム(TWAINドライバ)のユーザインタフェースではない別ユーザインタフェースを利用する第2モードと、を備えている。
【0042】
ここで、PC10の第1制御部は、第3プログラムを用いてユーザ名(ID)とパスワードの受付処理及び記憶処理をスキャン実行前に予め実行する。
【0043】
そして、PC10の第1制御部は、受付処理では、第3プログラムによってユーザ名及びパスワードの入力が受け付けられ、記憶処理では、第3プログラムによって、受付処理で受け付けたユーザ名及びパスワードがレジストリに記憶される。これにより、第2プログラム(TWAINドライバ)が、取得処理において、レジストリに記憶済のユーザ名及びパスワードを読み出して取得することができる。
【0044】
その後、前述の認証を読取装置20に行ってもらうにあたり、PC10では、情報作成処理において、上記取得したユーザ名及びパスワードを用いて第3プログラムによって被認証情報が作成される。なお、被認証情報の作成は第3プログラムではなく第1プログラム又は第2プログラムを用いて行われてもよい。そして、第2プログラム(TWAINドライバ)により、第1コマンド送信処理において、作成された被認証情報とスキャン実行コマンドとが、送信される。
【0045】
これにより、読取装置20の第2制御部は、送信された被認証情報及びスキャン実行コマンドを第1コマンド受信処理で受信した後、それら被認証情報に応じて認証を行うことができる。認証が成功した場合には、第1画像送信処理において、読取対象物の読み取り画像がPC10へと送信される。
【0046】
以上の結果、PC10において汎用ドライバアプリケーションのユーザインタフェースを用いない場合でも、セキュリティを確保しつつ、円滑にプルスキャンを実行することができる。
なお、図1Bに示すように、上述した「認証(9)」と「読み取り(10)」との順序を逆にしてもよい。すなわちこの場合、読取装置20の第2制御部は、PC10から被認証情報を付与したコマンド送信がなされ、そのコマンド(スキャン実行コマンド)を受信すると、先に被読取媒体の読み取りをおこなって一時記憶し(第2読み取り処理。図1Bに示す処理(10))、例えば、所定の画像形式(例えば、GIFやJPG)で枚葉毎の読み取り画像に対する画像データを生成する。その後、予め読取装置20の記憶部に記憶したユーザのスキャン利用形態等に関する認証用情報とを比較して読み取りを実行してよいか否かの認証判定を行い(第2認証処理。図1Bに示す処理(9))、その判定結果が成功である場合に、前述のようにして生成済みの画像データをPC10に送信する(第2画像送信処理。図1Bに示す処理(11))。
この場合も、前述と同様の効果が得られる。
【0047】
<第2実施形態>
ところで、上記第1実施形態で、PC10は、実際のスキャン(読み取り)を実行させる前に、第3プログラム(所定アプリ)によって必要なユーザ認証情報を取得しており、そのユーザ認証情報に基づく被認証情報を読み取り装置20での認証に用いている。
【0048】
これに対し、上記のようなユーザ認証情報に基づく認証が必要であることをユーザが知らない場合等があり得る。
【0049】
例えば、読取装置20の利用に際し、例えば、駆動ドライバ(アプリケーション)に、例えば、図1Aに示す表示画面の内容でスキャンを実行させるメーカー全体の機種に対応したドライバ(例えば、TWAINドライバ=第2プログラム)と、図4に示す表示画面の内容で、すなわち、ユーザ名(ID)とパスワードとを入力させたうえでスキャンを実行させるメーカー固有の機種毎に対応したドライバ(例えば、専用のアプリケーションプログラム=第1プログラム)と、が存在して選択的に利用可能となっている場合を考える。
この場合に、ユーザがTWAINドライバを利用してスキャンを実行操作してしまうと(図5に示す、アプリから「スキャン実行」を操作(21))、PC10の第1制御部は、記憶部からユーザ認証情報を参照しても(図5に示す、ユーザ認証情報を参照(22))、ユーザ認証情報が存在しない場合がある(図5に示す、「識別できたか?」(22A):No)。そのため、被認証情報が存在しないままのコマンドを読取装置20に送信してしまう(図5に示す、被認証情報なしでコマンド送信(23))。
【0050】
この場合、読取装置20の第2制御部は、受信したコマンドを受信し(図5に示す、受信(24))て認証判定を行っても、その判定結果は否定となる。
【0051】
したがって、読取装置20の第2制御部は、PC10に対して認証情報を含むコマンドを要求するために、認証エラー通知を送信する(図5に示す、認証エラー通知を送信(25))。
【0052】
これにより、PC10の第1制御部は、その認証エラー通知を受信した場合には(図5に示す、受信(26))、表示画面12に、例えば、図2に示すIDとパスワードとを入力させる入力画面、或いは、図4に示す専用のアプリケーションに対応した入力画面、を表示して(図5に示す、表示(27))、少なくともユーザ名(ID)とパスワードを入力させ(図5に示す、ユーザ認証情報を入力(28))、それらを受け付ける(図5に示す、ユーザ認証情報を受付(2))。
【0053】
したがって、PC10の第1制御部は、ここで取得したユーザ認証情報を記憶することにより、以降、図1Aに示した処理手順からスキャン実行操作(4)を飛ばした形で(既に手順(21)で実行済みなため)、前述と同様の「ユーザ認証情報を取得(5)」、「被認証情報を作成(6)」、「被認証情報を付与したコマンド送信(7)」の各処理を実行することができる。また読取装置20の第2制御部は、前述と同様の「受信(8)」、「認証(9)」、「読み取り(10)」、「画像データを送信(11)」の各処理を実行することができる。さらにPC10の第1制御部はこれに対応して「受信(12)」の処理を実行することができる。
【0054】
以上のように、PC10の第1制御部は、第2プログラム(TWAIN)により、レジストリに記憶されたユーザ名及びパスワードを参照する参照処理(処理(22))と、参照処理においてレジストリにおけるユーザ名及びパスワードを識別できなかった場合に、第2プログラム(TWAIN)によりスキャン実行コマンドを送信する第2コマンド送信処理(処理(23))と、を実行する。
【0055】
そして、読取装置20の第2制御部は、送信されたスキャン実行コマンドを受信する第2コマンド受信処理(処理(24))と、受信した前記スキャン実行コマンドに応じて、認証エラー通知を送信する通知送信処理(処理(25))と、を実行する。
【0056】
これを受けて、PC10の第1制御部は、第2プログラム(TWAIN)により、送信された認証エラー通知を受信する通知受信処理(処理(26))と、受信した認証エラー通知に対応し、第3プログラム(所定アプリ)を起動して第3プログラム(所定アプリ)により、ユーザ名及びパスワードを入力するための入力画面を表示部12に表示する表示処理(処理(27))と、を実行する。
【0057】
これにより、PC10の第1制御部は、受付処理で表示部12に表示された入力画面を介してユーザ名及びパスワードの入力を受け付けた後に、上記の各処理を実行することができる。
【0058】
なお、ユーザ名とパスワードとがPC10の記憶部にキャッシュされていた場合、すなわち例えば、ユーザ名(ID)及びパスワードの入力に基づき一度読み取り作業が行われそれらが記憶部すなわちレジストリに記憶されている状態で、再び読み取り作業を行う場合、若しくは、読み取り作業とは別のアプリケーション作業をおこなって、再び読み取り作業を行う際には、PC10をログオフ(電源オフ)しない限り、ユーザ名(ID)及びパスワードの再入力は、不要となる。
この場合、ユーザがTWAINドライバを利用してスキャンを実行操作し(図5に示す、操作(21))、PC10の第1制御部が記憶部からユーザ認証情報を参照したとき(図5に示す、ユーザ認証情報を参照(22))、図5に示す、「識別できたか?」(22A)の処理がYes判定となる。この場合は、図5に示すように、第1制御部による上記処理(23)(26)(27)(2)(3)、及び、第2制御部による上記処理(24)(25)は実行されることなく省略され、前述と同様の「ユーザ認証情報を取得(5)」以降の処理がそのまま実行される。
さらに、第2実施形態による上記の処理の流れにおいて、図1Bを用いて前述したように「認証(9)」と「読み取り(10)」との順序を逆にしてもよい。
また、以上において、図1A図1B図5に示すフローチャートは、本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 端末装置(PC)
12 表示画面
20 読取装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5