(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159481
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気ケーブルを通すための中空の剛性シースを有する封止された断熱タンク
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F17C13/00 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024012123
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】2304203
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ルルー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン、バルダン
(72)【発明者】
【氏名】イシャム、マクディ
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル、ガルシア、アルダ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172DA01
3E172DA90
3E172EB03
3E172EB10
3E172KA02
3E172KA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、積込み/積卸し塔を有する封止された断熱タンクに関する。
【解決手段】積込み/積卸し塔は、タンクの内部空間内に鉛直方向に延びておりかつ互いに離間された第1、第2および第3の支柱と、積込み/積卸し塔に固定されておりかつ電力供給ハウジング(23)を含む少なくとも1つのポンプとを有している。タンクはさらに、電力供給ハウジング(23)に接続された少なくとも1本の電気ケーブル(41)を収容している中空の剛性シース(30)を有している。剛性シース(30)は、鉛直方向に整列させられて積込み/積卸し塔に固定された複数の区分(31)を有しており、各前記区分(31)は、管状でありかつ隣り合う区分から第1のギャップ(C1)により隔離されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止された断熱タンク(1)であって、前記タンク(1)は、船舶の耐力構造に固着されており、前記タンク(1)は、積込み/積卸し塔(10)を有しており、前記積込み/積卸し塔(10)は、少なくとも1つの支柱(11,12,13)を有しており、前記少なくとも1つの支柱(11,12,13)は、前記タンク(1)の内部空間(4)内に鉛直方向に延びており、
前記タンク(1)は、前記積込み/積卸し塔(10)に固定されておりかつ電力供給ハウジング(23)を有する少なくとも1つのポンプ(20)と、前記電力供給ハウジング(23)に接続された少なくとも1本の電気ケーブル(41)を収容している、鉛直方向に延びる中空の剛性シース(30)とをさらに有しており、
前記剛性シース(30)は、鉛直方向に整列させられて前記積込み/積卸し塔(10)に固定された複数の区分(31)を有しており、各前記区分(31)は、管状でありかつ隣り合う区分から第1のギャップ(C1)により隔離されている、
封止された断熱タンク(1)。
【請求項2】
前記積込み/積卸し塔(10)は、単一の支柱(11)を有しており、各前記区分(31)は、当該支柱(11)に固定されている、請求項1記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項3】
前記積込み/積卸し塔(10)は、互いに離間された第1、第2および第3の支柱(11,12,13)を有しており、前記積込み/積卸し塔(10)は、前記支柱(11,12,13)を互いに固定するクロスメンバ(19)をさらに有しており、各前記区分(31)は、少なくとも2つの前記クロスメンバ(19)に固定されている、請求項1記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項4】
前記タンク(1)が20℃で熱平衡状態にある場合、前記第1のギャップ(C1)は5mm~50mm、好適には5mm~20mmである、請求項1から3までのいずれか1項記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項5】
前記電力供給ハウジング(23)に面した前記剛性シース(30)の端部(33)は、第2のギャップ(C2)により前記電力供給ハウジング(23)から隔離されており、前記タンク(1)が20℃で熱平衡状態にある場合、前記第2のギャップ(C2)は20mm~200mmである、請求項1から4までのいずれか1項記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項6】
前記剛性シース(30)は、前記耐力構造の内張り壁(3)を貫通して、前記内張り壁(3)の上方の中空の連結片(50)内に突入しており、前記剛性シース(30)は、
-離間されたN個(Nは2以上の整数)のケーブル支持装置(60)であって、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)がN個の各前記ケーブル支持装置(60)を貫通しており、各前記ケーブル支持装置(60)は、厳密には前記剛性シース(30)の相対的に大きな内径(D1)よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、N個のケーブル支持装置(60)と、
-N個の前記ケーブル支持装置(60)の間に取り付けられたN-1本の支持ケーブル(42)と、
-前記中空の連結片(50)に位置する取付け点(49)と、前記中空の連結片(50)に最も近い前記ケーブル支持装置(60)との間で伸長させられた終端支持ケーブル(43)と、
をさらに収容している、請求項1から5までのいずれか1項記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項7】
前記中空の連結片(50)は、T字形継手(51)を含み、前記T字形継手(51)は、前記剛性シース(30)の延長部における第1の分岐部(52)と、前記剛性シース(30)に対して直角または斜めに向けられた第2の分岐部(53)とを有しており、前記取付け点(49)は、前記第1の分岐部(52)に位置しており、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)は、前記第2の分岐部(53)を通って出ることにより、前記中空の連結片(50)を貫通する、請求項6記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項8】
封止された断熱タンク(1)を組み立てるための組立て方法であって、前記組立て方法は以下のステップ、すなわち:
A)船舶に組み込まれた耐力構造に前記タンク(1)を固着するステップと、
B)前記タンク(1)の内部空間(4)内に
-前記タンク(1)の前記内部空間(4)内に鉛直方向に延びる少なくとも1つの支柱(11,12,13)を有する積込み/積卸し塔(10)と、
-前記積込み/積卸し塔(10)に固定されかつ電力供給ハウジング(23)を有する少なくとも1つのポンプ(20)と、前記電力供給ハウジング(23)に接続された少なくとも1本の電気ケーブル(41)を収容している、鉛直方向に延びる中空の剛性シース(30)であって、前記剛性シース(30)は、鉛直方向に整列させられて前記積込み/積卸し塔(10)に固定された複数の区分(31)を有しており、各前記区分(31)は管状であり、隣り合う区分から第1のギャップ(C1)により隔離されている、剛性シース(30)と、
を設置するステップと、
C)前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記電力供給ハウジング(23)に接続するステップと、
を含む、組立て方法。
【請求項9】
前記積込み/積卸し塔(10)は、単一の前記支柱(11,12,13)を有しており、前記ステップB)は、各前記区分(31)を前記支柱(11,12,13)に固定することを含む、請求項8記載の組立て方法。
【請求項10】
前記積込み/積卸し塔(10)は、互いに離間された第1、第2および第3の支柱(11,12,13)を有しており、前記積込み/積卸し塔(10)は、前記支柱(11,12,13)を互いに固定するクロスメンバ(19)をさらに有しており、前記ステップB)は、各前記区分(31)を少なくとも2つの前記クロスメンバ(19)に固定することを含む、請求項8記載の組立て方法。
【請求項11】
前記ステップB)は、
-前記耐力構造の内張り壁(3)に前記剛性シース(30)を貫通させ、かつ前記剛性シース(30)を、前記内張り壁(3)の上方の中空の連結片(50)内に突入させることと、
-前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)に、それぞれ離間されたN個(Nは2以上の整数)のケーブル支持装置(60)を設置することであって、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)は、N個の各前記ケーブル支持装置(60)を貫通し、各前記ケーブル支持装置(60)は、厳密には前記剛性シース(30)の相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、ケーブル支持装置(60)を設置することと、N-1本の支持ケーブル(42)を、N個の前記ケーブル支持装置(60)の間に取り付けることと、
-N個の前記ケーブル支持装置(60)が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に挿入することと、
-前記中空の連結片(50)に位置する取付け点(49)と、前記中空の連結片(50)に最も近い前記ケーブル支持装置(60)とに終端支持ケーブル(43)を取り付けることと、
を含む、請求項8から10までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項12】
前記ステップB)の前に、好適には前記積込み/積卸し塔(10)が水平位置にあるときに、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に設置するステップを含む、請求項8から10までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項13】
前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に設置する前記ステップは、
-前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)と、N-1本(Nは2以上の整数)の支持ケーブル(42)とを前記剛性シース(30)内に挿入するステップと、
-前記剛性シース(30)のN個の開口に合わせてN個の前記ケーブル支持装置(60)を挿入し、N個の各前記ケーブル支持装置(60)を貫通する前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)上でそれぞれ離間させるステップであって、各前記ケーブル支持装置(60)は、厳密には前記剛性シース(30)の相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、離間させるステップと、N-1本の前記支持ケーブル(42)を、N個の前記ケーブル支持装置(60)の間に取り付けるステップと、
前記剛性シース(30)を、前記耐力構造の内張り壁(3)の上方の中空の連結片(50)内に突入させる前記ステップB)の後に、前記中空の連結片(50)に位置する取付け点(49)と、前記中空の連結片(50)に最も近い前記ケーブル支持装置(60)とに終端支持ケーブル(43)を取り付けるステップと、
を含む、請求項12記載の組立て方法。
【請求項14】
前記剛性シースのN個の前記開口は、2つの隣り合う前記区分(31)の間の前記第1のギャップ(C1)により形成されている、請求項13記載の組立て方法。
【請求項15】
-前記剛性シース(30)のN個の前記開口に合わせて、N個の前記ケーブル支持装置(60)と、N-1本の前記支持ケーブル(42)とを挿入する前記ステップの前に、前記剛性シース(30)のN個の前記開口を形成するステップと、
-N-1本の前記支持ケーブル(42)を取り付ける前記ステップの後に、前記剛性シースのN個の前記開口を閉鎖するステップと、
を含む、請求項13記載の組立て方法。
【請求項16】
前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)とN-1本の前記支持ケーブル(42)とを前記剛性シース(30)内に挿入する前記ステップは、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)とN-1本の前記支持ケーブル(42)とを、N個の前記開口のうちの少なくとも1つを介して引っ張るステップを含む、請求項13から15までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項17】
N-1本の前記支持ケーブル(42)を取り付ける前記ステップの後に、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)の端部を保持するステップをさらに含む、請求項13から16までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項18】
前記中空の連結片(50)は、T字形継手(51)を含み、前記T字形継手(51)は、前記剛性シース(30)の延長部における第1の分岐部(52)と、前記剛性シース(30)に対して直角または斜めに向けられた第2の分岐部(53)とを有しており、前記取付け点(49)は、前記第1の分岐部(52)に位置しており、前記ステップB)において、N個の前記ケーブル支持装置(60)が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を、前記第1の分岐部(52)を通して前記剛性シース(30)内に挿入し、次いで前記電力供給ハウジング(23)とは反対の側の前記電気ケーブル(41)の端部を、前記第2の分岐部(53)を通して前記中空の連結片(50)から引き出す、請求項11から17までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項19】
N個の前記ケーブル支持装置(60)が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に挿入した後に、前記第1の分岐部(52)を塞ぐことをさらに含む、請求項18記載の組立て方法。
【請求項20】
前記ステップB)の終了時に、前記電力供給ハウジング(23)に面した前記剛性シース(30)の端部(33)を、第2のギャップ(C2)により前記電力供給ハウジング(23)から隔離する、請求項8から19までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項21】
二重船体(72)と、前記二重船体内に配置された、請求項1から7までのいずれか1項記載のタンク(71)とを有している、液化ガスを輸送するための船舶(70)。
【請求項22】
前記タンク(71)は、請求項5および6のうちのいずれか1項に記載されたものであり、前記中空の連結片(50)は、前記耐力構造の前記内張り壁(3)の上方に位置する前記船舶の甲板(6)の上方に配置されている、請求項21記載の船舶(70)。
【請求項23】
液化ガス用の移送システムであって、前記システムは、請求項21および22のうちのいずれか1項記載の船舶(70)と、前記船舶の船体内に設置された前記タンク(71)を浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(77)につなぐように配置された絶縁パイプライン(73,79,76,81)と、液化ガスの流れを、前記浮体式のまたは陸上の貯蔵設備から前記絶縁パイプラインを通して前記船舶の前記タンクへ運ぶか、または前記船舶の前記タンクから前記絶縁パイプラインを通して前記浮体式のまたは陸上の貯蔵設備へ運ぶためのポンプとを含む、液化ガス用の移送システム。
【請求項24】
請求項21および22のうちのいずれか1項記載の船舶(70)への積込みまたは前記船舶(70)からの積卸しのための方法であって、液化ガスを、浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(77)から絶縁パイプライン(73,79,76,81)を通して前記船舶(70)の前記タンク(71)へ運ぶか、または前記船舶(70)の前記タンク(71)から絶縁パイプライン(73,79,76,81)を通して浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(77)へ運ぶ、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンを備える封止された断熱タンクの分野に関する。特に本発明は、低温で液化ガスを貯蔵しかつ/または輸送するための封止された断熱タンク、例えば-50℃~0℃の温度を有する液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送するための、または大気圧でおよそ-162℃にて液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンク等に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、浮体構造物に設置されるタンクに関する。浮体構造物の場合、タンクは、液化ガスを輸送すること、または浮体構造物の推進用燃料として用いられる液化ガスを収容することを意図したものであってよい。
【背景技術】
【0003】
技術的背景
浮体構造物に設置されるタンクの場合、液化ガスをタンクに積み込むかまたはタンクから積み卸すためのポンプを設ける必要がある。
【0004】
タンクの内部空間に位置する積込み/積卸し塔にポンプを組み込み、ポンプに、タンクの外側に位置する電源から電力を供給する手法は、周知である。ポンプに電力を伝えるために使用される電気ケーブルは、剛性シース内に収容されている。シースは、平行六面体形の複数の金属部分から成り、これらの部分は互いにボルト締結されている。
【0005】
この解決策では、シースの組立てに数百個のボルトが必要になる場合がある。この場合、シースの組立ては非効率的である。なぜならば、ボルト締結は取付け上の注意や長期にわたる面倒な点検を必要とするからである。シースのメンテナンス作業が必要な場合にも同じ問題が生じる。それというのも、このようなメンテナンスは、ボルト締結の少なくとも一部を元に戻してからやり直すことを必要とするからである。
【0006】
この解決策の別の欠点は、ボルトによるシースの組立てが、衝撃、特にタンク内の液化ガスの揺動による衝撃に対してそれほど耐性があるわけではないという点にある。実際には、シースをタンク内に配置せざるを得ないことが多く、その結果、シースは揺動による衝撃にも最低限さらされることになり、このことがさらに別の欠点になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
本発明の基礎を成す1つの思想は、上述の欠点のうちの少なくともいくつかを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態では、本発明は、封止された断熱タンクを提供し、タンクは、船舶の耐力構造に固着されており、タンクは、積込み/積卸し塔を有しており、積込み/積卸し塔は、少なくとも1つの支柱を有しており、少なくとも1つの支柱は、タンクの内部空間に鉛直方向に延びており、
タンクは、積込み/積卸し塔に固定されておりかつ電力供給ハウジングを有する少なくとも1つのポンプと、電力供給ハウジングに接続された少なくとも1本の電気ケーブルを収容している、鉛直方向に延びる中空の剛性シースとをさらに有しており、
剛性シースは、鉛直方向に整列させられて積込み/積卸し塔に固定された複数の区分を有しており、各前記区分は、管状でありかつ隣り合う区分から第1のギャップにより隔離されている。
【0009】
したがって剛性シースは、区分同士を互いに固定することなしに、特にボルト締結することなしに製造されており、このことは、揺動による衝撃に対するシースの耐性を極めて大幅に改善する。さらに、このタンクの組立ては、経済的かつ工業的な観点から有利である。それというのも、この組立ては、ボルト締結、溶接またはその他の手段による区分同士の固定を必要としないからである。
【0010】
「管状」とは、区分が中空の環状断面を有していることを意味すると理解される。この場合、このような区分は、パイプの規格範囲から選択することができ、これにより、剛性シースの組立てが容易になる。さらに、区分の外形は円形の断面になっており、これらの区分は、外側の平行六面体形の区分のものよりも低い、流体力学的な抵抗係数を有している。このことは、揺動による衝撃に対する剛性シースの耐性をさらに高める。それというのも、液化ガスの同じ衝撃が剛性シースに加える機械的な力が、より小さくなるからである。
【0011】
したがって、剛性シースをタンク内に自由に位置決めすることができる。なぜならば、剛性シースはもはや、揺動からのシースの保護に役立つ位置にある必要がないからである。これが、剛性シースを例えば以下で説明するように電力供給ハウジングの上方に配置することができる理由である。
【0012】
複数の実施形態では、このような封止された断熱タンクは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0013】
1つの実施形態では、積込み/積卸し塔は、単一の支柱を有しており、各前記区分は、この支柱に固定されている。
【0014】
別の実施形態では、積込み/積卸し塔は、互いに離間された第1、第2および第3の支柱を有しており、積込み/積卸し塔は、支柱を互いに固定するクロスメンバをさらに有しており、各前記区分は、少なくとも2つのクロスメンバに固定されている。
【0015】
1つの実施形態では、金属の区分は、ステンレス鋼等の金属合金から製造されている。
【0016】
1つの実施形態では、剛性シースは、電力供給ハウジングの上方に鉛直方向に延在している。換言すると、支柱および剛性シースの鉛直方向に対して平行に見た平面図において、区分の中空の環状断面は、電力供給ハウジングの外側輪郭に、少なくとも部分的に含まれている。このことは、電力供給ハウジングとの電気的な接続に必要な電気ケーブルの長さの最小化に役立ち、さらに、タンクの組立ての単純化に役立つ。なぜならば、特に剛性シースが屈曲部なしでよいからである。さもなければ屈曲部は、剛性シースを通って電力供給ハウジングに延びる少なくとも1本の前記電気ケーブルを備えるために必要とされることがある。
【0017】
1つの実施形態では、第1の支柱および第2の支柱は、第1の横断平面内に位置しており、第3の支柱は、第1の横断平面に対して平行な第2の横断平面内に位置している。換言すると、これらの支柱は、三角形の断面を有する角柱を画定している。
【0018】
1つの実施形態では、第1の横断平面および第2の横断平面は、船舶の長手方向に対して直交している。
【0019】
1つの実施形態では、第2の横断平面は、船舶の長手方向において第1の横断平面よりも前方に位置している。
【0020】
1つの実施形態では、剛性シースは、第1の横断平面と第2の横断平面との間に位置している。
【0021】
上述のように、剛性シースはもはや、揺動からのシースの保護に役立つ位置にある必要はない。したがって、剛性シースのこのような位置決めを、剛性シースの寿命を損なうことなしに行うことができる。
【0022】
1つの実施形態では、積込み/積卸し塔は、支柱を互いに固定するクロスメンバをさらに有しており、各前記区分は、少なくとも2つのクロスメンバに固定されている。
【0023】
したがって剛性シースは、積込み/積卸し塔の構造剛性、特に揺動による衝撃に対する積込み/積卸し塔の耐性に寄与する。
【0024】
1つの実施形態では、タンクが20℃で熱平衡状態にある場合、第1のギャップは5mm~50mm、好適には5mm~20mmである。
【0025】
第1のギャップに関してこのような値を選択することにより、区分は、電気ケーブルの極小さな部分のみを露出させたままの状態で、共に剛性シースを構成することができる。
【0026】
1つの実施形態では、電力供給ハウジングに面した剛性シースの端部は、第2のギャップにより電力供給ハウジングから隔離されており、タンクが20℃で熱平衡状態にある場合、第2のギャップは20mm~200mmである。
【0027】
したがって、電力供給ハウジングとの電気的な接続を形成することは容易である。それというのも、自由空間が残されており、これにより、オペレータが少なくとも1本の前記電気ケーブルを操作することが可能になるからである。
【0028】
1つの実施形態では、剛性シースは、耐力構造の内張り壁を貫通して、内張り壁の上方の中空の連結片内に突入しており、剛性シースは、
-離間されたN個(Nは2以上の整数)のケーブル支持装置であって、前記少なくとも1本の電気ケーブルがN個の各ケーブル支持装置を貫通しており、各ケーブル支持装置は、厳密には剛性シースの相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、N個のケーブル支持装置と、
-N個のケーブル支持装置の間に取り付けられたN-1本の支持ケーブルと、
-中空の連結片に位置する取付け点と、中空の連結片に最も近いケーブル支持装置との間で伸長させられた終端支持ケーブルと、
をさらに収容している。
【0029】
1つの実施形態では、中空の連結片は、T字形継手を含み、T字形継手は、剛性シースの延長部における第1の分岐部と、剛性シースに対して直角または斜めに向けられた第2の分岐部とを有しており、取付け点は、第1の分岐部に位置しており、前記少なくとも1本の電気ケーブルは、第2の分岐部を通って出ることにより、中空の連結片を貫通する。
【0030】
1つの実施形態では、本発明は、封止された断熱タンクを組み立てるための組立て方法も提供し、この組立て方法は以下のステップ、すなわち:
A)船舶に組み込まれた耐力構造にタンクを固着するステップと、
B)タンクの内部空間内に
-タンクの内部空間内に鉛直方向に延びる少なくとも1つの支柱を有する積込み/積卸し塔と、
-積込み/積卸し塔に固定されかつ電力供給ハウジングを有する少なくとも1つのポンプと、電力供給ハウジングに接続された少なくとも1本の電気ケーブルを収容している、鉛直方向に延びる中空の剛性シースであって、剛性シースは、鉛直方向に整列させられて積込み/積卸し塔に固定された複数の区分を有しており、各前記区分は管状であり、隣り合う区分から第1のギャップにより隔離されている、剛性シースとを設置するステップと、
C)少なくとも1本の電気ケーブルを電力供給ハウジングに接続するステップと、
を含む。
【0031】
この組立て方法により、上述の封止された断熱タンクを、同じ利点を備えて得ることが可能になる。これらの利点は、簡単のために繰り返さない。タンクに関して説明した特徴は、組立て方法に適用可能であり、またその逆も可能であることは自明である。
【0032】
1つの実施形態では、積込み/積卸し塔は、単一の支柱を有しており、ステップB)は、各区分をこの支柱に固定することを含む。
【0033】
別の実施形態では、積込み/積卸し塔は、互いに離間させられた第1、第2および第3の支柱を有しており、積込み/積卸し塔は、支柱を互いに固定するクロスメンバをさらに有しており、ステップB)は、各区分を少なくとも2つのクロスメンバに固定することを含む。
【0034】
1つの実施形態では、ステップB)は、
-耐力構造の内張り壁に剛性シースを貫通させ、かつ剛性シースを、内張り壁の上方の中空の連結片内に突入させることと、
-前記少なくとも1本の電気ケーブルに、それぞれ離間されたN個(Nは2以上の整数)のケーブル支持装置を設置することであって、前記少なくとも1本の電気ケーブルは、N個の各ケーブル支持装置を貫通し、各ケーブル支持装置は、厳密には剛性シースの相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、設置することと、N-1本の支持ケーブルを、N個のケーブル支持装置の間に取り付けることと、
-N個のケーブル支持装置が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブルを剛性シース内に挿入することと、
-中空の連結片に位置する取付け点と、中空の連結片に最も近いケーブル支持装置とに終端支持ケーブルを取り付けることと、
を含む。
【0035】
したがって、前記少なくとも1本の電気ケーブルを剛性シース内に挿入することは容易である。さらに、終端支持ケーブルは、取付け点と、中空の連結片に最も近いケーブル支持装置との間で、このケーブル支持装置に加えられる重力の作用に基づき伸長させられる。このことは、特に支持ケーブルがケーブル支持装置間でも伸長させられる場合には、前記少なくとも1本の電気ケーブルを剛性シース内の位置により良好に保持するために役立つ。
【0036】
1つの実施例では、本発明による組立て方法は、ステップB)の前に、好適には積込み/積卸し塔が水平位置にあるときに、少なくとも1本の電気ケーブルを剛性シース内に設置するステップを含む。
【0037】
1つの変化形では、少なくとも1本の電気ケーブルを剛性シース内に設置するステップは、
-少なくとも1本の電気ケーブルと、N-1本(Nは2以上の整数)の支持ケーブルとを剛性シース内に挿入するステップと、
-剛性シースのN個の開口に合わせてN個のケーブル支持装置を挿入し、N個の各ケーブル支持装置を貫通する前記少なくとも1本の電気ケーブル上でそれぞれ離間させるステップであって、各ケーブル支持装置は、厳密には剛性シースの相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、離間させるステップと、N-1本の支持ケーブルを、N個のケーブル支持装置の間に取り付けるステップと、
剛性シースを、耐力構造の内張り壁の上方の中空の連結片内に突入させるステップB)の後に、中空の連結片に位置する取付け点と、中空の連結片に最も近いケーブル支持装置とに終端支持ケーブルを取り付けるステップと、
を含む。
【0038】
1つの変化形では、剛性シースのN個の開口は、2つの隣り合う区分の間の第1のギャップにより形成されている。
【0039】
1つの実施形態では、組立て方法は、
-剛性シースのN個の開口に合わせて、N個のケーブル支持装置と、N-1本の支持ケーブルとを挿入するステップの前に、剛性シースのN個の開口を形成するステップと、
-N-1本の支持ケーブルを取り付けるステップの後に、剛性シースのN個の開口を閉鎖するステップと、
を含む。
【0040】
1つの実施形態では、少なくとも1本の電気ケーブルとN-1本の支持ケーブルとを剛性シース内に挿入するステップは、少なくとも1本の電気ケーブルとN-1本の支持ケーブルとを、N個の開口のうちの少なくとも1つを介して引っ張るステップを含む。
【0041】
1つの実施形態では、組立て方法は、N-1本の支持ケーブルを取り付けるステップの後に、少なくとも1本の電気ケーブルの端部を保持するステップをさらに含む。
【0042】
1つの実施形態では、中空の連結片は、T字形継手を含み、T字形継手は、剛性シースの延長部における第1の分岐部と、剛性シースに対して直角または斜めに向けられた第2の分岐部とを有しており、取付け点は、第1の分岐部に位置しており、ステップB)において、N個のケーブル支持装置が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブルを、第1の分岐部を通して剛性シース内に挿入し、次いで電力供給ハウジングとは反対の側の電気ケーブルの端部を、第2の分岐部を通して中空の連結片から引き出す。
【0043】
1つの実施形態では、取付け方法は、N個のケーブル支持装置が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブルを剛性シース内に挿入した後に、第1の分岐部を塞ぐことをさらに含む。
【0044】
このことは、特にタンク内に含まれる液化ガスの剛性シースを介した漏れを回避することにより、タンクの密封性をより良好に保証するために役立つ。第1の分岐部を塞ぐために使用されるストッパは取外し可能であり、これにより、剛性シースのメンテナンスのために剛性シースにアクセスすることが可能になる。
【0045】
1つの実施形態では、ステップB)の終了時に、電力供給ハウジングに面した剛性シースの端部を、第2のギャップにより電力供給ハウジングから隔離する。
【0046】
1つの実施形態では、液化ガスはLNG、つまり、大気圧においておよそ-162℃の温度で貯蔵された、メタン含有量の多い混合物である。別の液化ガス、特にエタン、プロパン、ブタンまたはエチレン、またはアンモニアまたは水素も想定され得る。液化ガスは、圧力下で、例えば2~20barの相対圧力において、特に約2barの相対圧力においても貯蔵され得る。タンクは様々な技術により、特にメンブレンを備えた一体型タンクまたは自立型タンクの形態で製造され得る。
【0047】
1つの実施形態では、船舶の耐力構造は、船舶の二重船体により形成されている。船舶は、特にメタンタンカー、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、遠隔浮体式海洋生産・貯蔵(FPSO)設備等であってよい。タンクは、あらゆる形式の船舶に設けられる燃料タンクとして使用されてもよい。
【0048】
1つの実施形態では、液化ガスを輸送するための船舶は、二重船体と、二重船体内に配置された上述のタンクとを有している。
【0049】
1つの実施形態では、本発明は、液化ガス用の移送システムも提供し、このシステムは、上述の船舶と、船舶の船体内に設置されたタンクを浮体式のまたは陸上の貯蔵設備につなぐように配置された絶縁パイプラインと、液化ガスの流れを、浮体式のまたは陸上の貯蔵設備から絶縁パイプラインを通して船舶のタンクへ運ぶか、または船舶のタンクから絶縁パイプラインを通して浮体式のまたは陸上の貯蔵設備へ運ぶためのポンプとを含む。
【0050】
1つの実施形態では、本発明は、このような船舶への積込みまたはこのような船舶からの積卸しのための方法であって、液化ガスを、浮体式のまたは陸上の貯蔵設備から絶縁パイプラインを通して船舶のタンクへ運ぶか、または船舶のタンクから絶縁パイプラインを通して浮体式のまたは陸上の貯蔵設備へ運ぶ方法も提供する。
【0051】
本発明は、添付の図面を参照して、単に例示的かつ非限定的に与えられるだけに過ぎない本発明のいくつかの特定の実施形態の以下の説明からより良く理解されると共に、本発明のその他の目的、詳細、特徴および利点も、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、船舶の耐力構造に固着された、封止された断熱タンクを、船舶の長手方向断面において示す概略図であり、タンクには、積込み/積卸し塔が装備されている。
【
図2】
図2は、積込み/積卸し塔の概略平面図である。
【
図3】
図3は、積込み/積卸し塔を、積込み/積卸し塔に固定された剛性シースと共に部分的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、剛性シース内に挿入されることを意図したケーブル支持装置の斜視図である。
【
図6】
図6は、電気ケーブルが通されかつ支持ケーブルにつながれた、
図5に示したケーブル支持装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した形式のいくつかのケーブル支持装置を示す平面図である。
【
図8】
図8は、ケーブル支持装置を使用した、剛性シース内への電気ケーブルの挿入を示す、
図1に示した細部Bの拡大図である。
【
図10】
図10は、メタンタンカータンクおよびこのタンクの積込み/積卸し用のターミナルを示す概略破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施形態の説明
図1には、封止された断熱タンク1が断面図で概略的に示されている。タンク1は、船舶の耐力構造に固着されている。耐力構造は、特に底部耐力壁2と内張り耐力壁3とを含む。例えば、耐力構造は船舶の二重船体により形成されている。
【0054】
1つの実施形態では、タンク1は、メンブレンを備えたタンクである。このようなタンク1において、各タンク壁は、外側から内側に、耐力構造に支持された断熱要素を含む二次断熱バリアと、二次断熱バリアに支持された二次封止メンブレンと、二次封止メンブレンに支持された断熱要素(図示せず)を含む一次断熱バリアと、タンク1内に含まれる液化ガスと接触することを意図した一次封止メンブレンとを含む多層構造を有している。一次封止メンブレンは、液化ガスを収容することを意図した内部空間4を画定する。例として、このようなメンブレンタンクは特に、本出願人により開発されたMark V, Mark IIIおよびNO96の各技術をそれぞれ対象とする特許出願の国際公開第14057221号、仏国特許出願公開第2691520号明細書および仏国特許出願公開第2877638号明細書に記載されている。
【0055】
タンク1内に貯蔵されることを意図した液化ガスは、特に液化天然ガス(LNG)、すなわち、主としてメタンおよび1つ以上のその他の炭化水素を含むガス混合物であってよい。液化ガスは、エタンまたは液化石油ガス(LPG)、すなわち、実質的にプロパンおよびブタンを含む油の精製から得られた炭化水素の混合物であってもよい。液化ガスは、アンモニアまたは水素であってもよい。
【0056】
タンク1には、便宜上、以下「塔10」により示す積込み/積卸し塔10が装備されている。塔10は特に、タンク1内への液化ガスの積込みまたはその積卸しを可能にする。このために、塔10は少なくとも1つのポンプ20を有している。ポンプ20は、導管22につながれたポンプ本体21を有している。導管22は、例えば船舶の上甲板6まで延びていてよく、上甲板6は、内張り壁3の上方に位置している。タンク1から積み卸そうとする場合には、ポンプ20を作動させ、ポンプ本体21により液化ガスを導管22内に吸い込み、次いで導管22を介して液化ガス積込み・積卸し機器に移送する。
【0057】
ここで
図1、
図2および
図3を参照すると、塔10は、タンク1の内部空間4内で、実質的にタンク1の全高にわたり延在している。塔10は、三脚構造を有している、すなわち、塔10は、互いに離間されかつ平行であり、内部空間4内に鉛直方向に延在する支柱11,12,13を有している。支柱11,12,13は、塔10の機械的剛性に寄与するクロスメンバ19(
図2、
図3参照)により、互いにつながれている。一般に本発明は、少なくとも1つの支柱を有する積込み/積卸し塔に適用される。
【0058】
ポンプ20は、例えば塔10の基部(図示せず)に固定されることにより、塔10に固定されており、基部は、底部耐力壁2に隣接する塔10の端部に位置する。複数の実施形態では、ポンプ本体21は、底部耐力壁2により支持されたタンク1の底壁内に形成された液溜め内に収容されている。
【0059】
ポンプ20は電動式であり、電力供給ハウジング23(以下、「ハウジング23」と呼ぶ)を有している。使用中、ポンプ20はタンク1内に含まれる液化ガスに浸漬させられないよりも浸漬させられることの方が多い。したがって、ポンプ20に電力を供給するためには、電力を、タンク1の外側に位置する電源からハウジング23に搬送することが適している。このために塔10は、以下で説明する剛性シース30(以下、「シース30」と呼ぶ)を有している。シース30は中空であり、ハウジング23に接続された電気ケーブル41を収容する。
【0060】
図3および
図4を参照すると、シース30は複数の区分31を有している。各区分31は管状である、すなわち、区分31は、中空の環状横断面を有している。例えば、区分31は液化ガスの低温に耐えることができる金属合金、例えばステンレス鋼で製造されたパイプである。
【0061】
区分31は、同一の内径D1(
図4参照)を有している。内径D1は、有利には、パイプ直径の規格範囲、例えばISO 6708規格により規定されたND(呼び径)範囲から選択される。1つの例では、呼び径ND150を有する区分31が選択されている。
【0062】
積込み/積卸し塔が単一の支柱を有している場合には、各前記区分31は、この支柱に固定されている。積込み/積卸し塔10が、互いに離間された第1、第2および第3の支柱11,12,13を有している場合には、積込み/積卸し塔10は、支柱11,12,13を互いに固定するクロスメンバ19をさらに有しており、各前記区分31は、少なくとも2つのクロスメンバ19に固定されている。以下の本発明の説明は、塔10が3つの支柱を有している場合に基づくものであるが、本発明は支柱の数にかかわらず同様に適用される、ということは自明である。
【0063】
ここで
図3を参照すると、区分31は、鉛直方向に、すなわち支柱11,12,13に対して平行に整列させられている。より具体的には、各区分31の各端部は、固定部材39を介してクロスメンバ19に固定されている。例えば、固定部材39は金属合金で製造されており、区分31とクロスメンバ19とに溶接されている。各区分31はさらに、固定部材38を介して1つまたは複数の別のクロスメンバ19に固定され得る。固定部材38は、固定部材39と同様のものである。例えば、固定部材38は金属合金で製造されており、それぞれ区分31とクロスメンバ19とに溶接されている。固定部材38,39は、
図3に示すように湾曲していてよいか、またはさもなければ別の幾何学形状を有していてよい。
【0064】
区分31は、各区分31が非ゼロギャップC1により隣接する区分31から隔離されるように、クロスメンバ19に固定されている(
図4参照)。タンク1が20℃で熱平衡状態にある場合、ギャップC1は5mm~20mmであり、例えば10mmである。ギャップC1に関してこのような値を選択することにより、区分31は、電気ケーブル41の極小さな部分のみを露出したままにすることでシース30を共に構成することができ、また、シース30を構成するために区分31を(例えば溶接またはボルト締結により)互いに固定する必要もなく、このことは経済的かつ工業的な観点から有利である。
【0065】
図1、
図2および
図4に示す例では、シース30は、ハウジング23の上方に鉛直方向に延びている。換言すると、支柱11,12,13およびシース30の鉛直方向に対して平行に見た平面図において、区分31の中空の環状断面は、ハウジング21の外側輪郭に(
図2に示すように)全体的に、またはさもなければ部分的に含まれている。このことは、ハウジング23との電気的な接続に必要な電気ケーブル41の長さの最小化に役立ち、さらに、タンク1の組立ての単純化に役立つ。なぜならば、特にシース30が屈曲部を有していなくてよいからである。さもなければ屈曲部は、シース30を通ってハウジング23に延びる電気ケーブル41を備えるために必要とされることがある。
【0066】
図4を参照すると、ハウジング23に面したシース30の下端部33は、非ゼロギャップC2によりハウジング23から隔離されている。タンク1が20℃で熱平衡状態にある場合、ギャップC2は20mm~200mmである。したがって、電気ケーブル41とハウジング23との電気的な接続を形成することは容易である。それというのも、下端部33とハウジング23との間に自由空間が残されており、これにより、オペレータが電気ケーブル41を操作することが可能になるからである。ここで述べておくと、
図4には、シース30に面したハウジング23の面においてハウジング23に接続された電気ケーブル41が示されているが、電気ケーブル41とハウジング23との電気的な接続部は異なって、特にハウジング23の内部にかつ/またはハウジング23の別の面に位置していてもよい。
【0067】
1つの実施形態では、
図4に示すように、シース30の下端部33は、区分31と同じ直径の、ただしより短い長さの終端区分32により実現されている。終端区分32は、隣接する区分31に符号312のところで固定されている。好適には、終端区分32の固定部312は取外し可能であり、これにより、例えばポンプ20におけるメンテナンス作業を考慮して、終端区分32を取り外し、電気ケーブル41のより大きな長さを露出させることが可能になる。
【0068】
図2を参照すると、支柱11および12は平面Q1内に位置しており、支柱13は、平面Q1に対して平行でありかつ平面Q1から離間した平面Q2内に位置している。1つの実施形態では、平面Q1およびQ2は、船舶の長手方向Lに対して直交している。より詳細には、
図1および
図2に示すように、平面Q2は、平面Q1よりも船舶の船首の近くに、換言すると、船舶の船首に向かって方向付けられた長手方向Lにおいてより前方に位置している。
【0069】
上述のように、シース30は、区分31を互いに固定することなく製造されている。このことは、衝撃、特にタンク1内の液化ガスの揺動による衝撃に対するシース30の耐性を大幅に向上させる。それというのも、シース30は、衝撃により損傷される可能性がより高い、区分31間の固定部を有していないからである。これにより、シース30を長手方向Lで塔10に自由に位置決めすることが可能になる。実際には、隣り合う管状の区分31の形態のシース30の構成により、上述の利点が提供される。したがって、上述の従来技術で行われることとは反対に、揺動からのシース30の保護に役立つ位置にシース30を設ける必要は、もはやない。特に
図2に示すように、シース30は、支柱11と12との間というよりはむしろ、長手方向Lにおいて平面Q1とQ2との間に配置され得る。
【0070】
図2に示すように、例えばポンプ20が故障した場合に非常用ポンプおよび積卸し管路を降ろすことを可能にする非常用穴を形成するために、支柱13は、支柱11および12よりも大きな直径を有していてよい。
【0071】
1つの変化形では、平面Q1およびQ2を、長手方向Lに対して直交しないようにすることが可能である。この場合も、シース30を塔10に自由に位置決めすることができる。
【0072】
次に、塔10と、ポンプ20と、シース30とが装備されたタンク1を組み立てる方法を説明する。
【0073】
まず、タンク1を周知の技術により耐力構造に固着する。
【0074】
次に、タンク1の内部空間4内に、塔10と、ハウジング23を含むポンプ20と、電気ケーブル41が設けられたシース30とを設置する。上述したように、このステップの終了時に、ハウジング23に面したシース30の下端部33は、ギャップC2によりハウジング23から隔離されている。
【0075】
最後に、電気ケーブル41をハウジング23に接続する。
【0076】
タンク1の内部空間4内に、塔10と、ハウジング23を含むポンプ20と、電気ケーブル41が設けられたシース30とを設置するためには、いくつかの異なる順序が想定され得る。
【0077】
一例では、最初に塔10と、ハウジング23を含むポンプ20とを設置する。第2のステップでは、区分31を提供し、上述したように区分31を塔10に固定し、これにより、区分31を鉛直方向において整列させると共に、第1のギャップC1により、各区分31を隣り合う区分31から隔離する。したがって、整列させられた区分31は、シース30の少なくとも一部を形成している。最後に第3のステップでは、1つ以上の電気ケーブル41を、シース30を通してハウジング23まで延ばし、電気ケーブル41をハウジング23に接続する。
【0078】
別の例では、区分31を塔10に固定した後に、塔10をタンク1の内部空間4内に設置し、塔10を設置した後に、電気ケーブル41をシース30に通す。
【0079】
さらに別の例では、区分31を塔10に固定しかつ電気ケーブル41をシース30に通した後に、塔10を内部空間4内に設置する。したがってこの例では、組立て方法に、好適には積込み/積卸し塔10が水平位置にあるときに剛性シース30内に1本または複数本の電気ケーブル41を設置するステップが含まれる。以下に、この水平設置の例を詳述する。
【0080】
図5~
図9を参照して、電気ケーブル41を、シース30を通してハウジング23まで延ばす有利な方法を説明する。
【0081】
図5には、ケーブル支持装置60が斜視図で示されている。ケーブル支持装置60は、ケーブル支持アセンブリ65と外装61とを有している。
【0082】
ケーブル支持アセンブリ65は、2つのケーブル支持片66を有している。2つのケーブル支持片66はそれぞれ、各電気ケーブル41用の溝66Cを有している。ケーブル支持片66は、溝66Cが対を成して向かい合うように互いに固定されており、これにより、以下で詳述するように、各電気ケーブル41を収容するために十分なスペースを共に画定している。ここでは、ケーブル支持片66は、2つのボルト67により互いに固定されており、1つの変化形では、ケーブル支持片66は別の方法で互いに固定され得る。
【0083】
外装61は、2つの外装片62を有している。2つの外装片62はそれぞれ、2つの開口63Aを有している。開口63A内には、2つのボルト63(
図5には、そのうちの1つだけが見えている)が収容されていて、2つの外装片62と2つのケーブル支持片66とを一緒に固定しており、これにより、2つの外装片62が、2つのケーブル支持片66を挟み込んでいる。
【0084】
2つの外装片62はそれぞれ、開口64を有している。開口64は、2つの外装片62が2つのケーブル支持片66を挟み込む際に、ケーブル支持装置60が2つの中心空間81を有しており、各中心空間81は、開口64と、対向するケーブル支持片66とにより形成されているように位置決めされる。特に
図5に見られるように、中心空間81は、ボルト67用に十分なスペースを空けている。さらに、中心空間81は、
図5および
図6に見えているケーブル取付け片82を受容する。
【0085】
ケーブル取付け片82は、ケーブル支持片66の1つに固定、例えば追加され、これにより、外装61およびケーブル支持アセンブリ65のいずれかの側に延在している。さらにケーブル取付け片82は、その2つの端部のそれぞれに貫通孔83を有している(図面では、そのうちの1つだけが見えている)。2つの貫通孔83はそれぞれ、シャックル84を受容している(
図6では、そのうちの1つだけが見えている)。2つのシャックル84はそれぞれ、支持ケーブル42の取付けを可能にする。図示の例では、支持ケーブル42はステンレス鋼ケーブルであり、支持ケーブル42の各端部は、シャックル84の周りに巻き付けられてからスポット溶接または別の固定部42Wを施され、これにより、支持ケーブル42の解離を防止する。
【0086】
次に
図6~
図9を参照して、電気ケーブル41を、シース30を通してハウジング23まで延ばすためのケーブル支持装置80の使用を説明する。
【0087】
電気ケーブル41には、所望の数Nのケーブル支持装置60が設置される。
図6に示すように、各ケーブル支持装置60は、電気ケーブル41が溝66Cに収容されることによりケーブル支持装置60を貫通するように設置されている。さらに
図7に示すように、ケーブル支持装置60はそれぞれ、電気ケーブル41上で離間されており、N-1個の支持ケーブル42が、シャックル84によりN個のケーブル支持装置60の間に取り付けられている。
【0088】
Nは、2以上の整数である。Nの値は、特にシース30の長さおよび支持ケーブル42の所望の長さの関数として選択される。
【0089】
図4、
図8および
図9を参照すると、N個のケーブル支持装置60が設けられた電気ケーブル41が、シース30内に挿入されており、N-1個の支持ケーブル42が、ケーブル支持装置60の間に取り付けられている。
【0090】
特に
図4に見られるように、ケーブル支持装置60は、厳密には区分31の直径D1よりも小さい比較的大きな寸法を有している。これにより、ケーブル支持装置60がシース30に食い込むリスクなしに、N個のケーブル支持装置60が設けられた電気ケーブル41を挿入することが可能になる。
【0091】
N個のケーブル支持装置60が設けられた電気ケーブル41は、タンク1の外部に位置する挿入点を介してシース30内に挿入される。
【0092】
図8および
図9に示す例では、シース30は、中空の連結片50に突入している。より具体的には、
図8を参照すると、シース30は、内張り耐力壁3と、内張り耐力壁3の上方に位置する上甲板6とを貫通している。そのために、シース30はブシュ導管34を有しており、内張り耐力壁3に最も近い区分31は、ブシュ導管34に固定、例えば溶接されている。ブシュ導管34は、例えば内張りタンク壁303の1つ以上の断熱要素303B、またはこれらの断熱要素303Bの間に形成された空間を貫通することにより、内張り耐力壁3により支持された内張りタンク壁303を貫通し、かつ内張り耐力壁3を貫通している。さらに、ブシュ導管34は上甲板6を貫通して、中空の連結片50に突入している。
【0093】
ブシュ導管34は、例えば内張り耐力壁3に溶接されたカラー403に溶接されることにより、内張りタンク壁303とは反対の側の内張り耐力壁3に固定され得る。さらにブシュ導管34は、例えば上甲板6に溶接された導管406に溶接されることにより、上甲板6に固定され得る。ブシュ導管34は、単一ピースで形成され得るか、またはさもなければ互いに固定された区分31と同様のいくつかの区分により形成され得る。
【0094】
図9を参照すると、中空の連結片50は、T字形継手51を含む。T字形継手51は、シース30の延在部に設けられた第1の分岐部52と、シース30に対して直角に向けられた第2の分岐部53とを有している。1つの変化形では、第2の分岐部53は、シース30に対して直角ではなく、斜めに向けられていてよい。
【0095】
図示の例では、ブシュ導管34はD1に等しい内径を有しており、第1の分岐部52および第2の分岐部53は、厳密にはD1よりも大きな内径を有しており、中空の連結片50は、ブシュ導管34とT字形継手51との間に減径部(またはレデューサ」と呼ばれる減径継手)59を有している。図示の例では、レデューサ59は「偏心レデューサ」である。
【0096】
第1の分岐部52は、N個のケーブル支持装置60が設けられた電気ケーブル41をシース30内に挿入するための挿入点を実現している。換言すると、
図8を参照すると、N個のケーブル支持装置60が設けられた電気ケーブル41は、第1の分岐部52を貫通することによりシース30内に挿入されている。
【0097】
さらに、シース30内に挿入された最後のケーブル支持装置60、換言すると、電気ケーブル41の挿入後にT字形継手51に最も近くなるケーブル支持装置60には、終端支持ケーブル43が取り付けられている。このケーブル支持装置60への終端支持ケーブル43の取付けは、ケーブル支持装置60への支持ケーブル42の取付けと同様に行われてよい。
【0098】
N個のケーブル支持装置60が設けられた電気ケーブル41をシース30内に挿入した後に、電気ケーブル41を、シース30を通してハウジング23まで延ばすと共に、電気ケーブル41をハウジング23に接続する。次いで、終端支持ケーブル43を、第1の分岐部52に位置する取付け点49に取り付ける。例えば、取付け点49は、第1の分岐部52においてT字形継手51に溶接された取付け片により実現されており、終端支持ケーブル43は、シャックル84による支持ケーブル42の取付けと同様に、シャックル85によりこの取付け片に取り付けられている。
【0099】
終端支持ケーブル43が取付け点49に取り付けられると、終端支持ケーブル43は、取付け点49と、T字形継手51に最も近いケーブル支持装置60(
図9には図示せず)との間で、このケーブル支持装置60に加えられる重力の作用に基づき伸長させられる。
【0100】
終端支持ケーブル43の長さ、支持ケーブル42の長さ、およびケーブル支持装置60の間の間隔は、
図7に見られるように、支持ケーブル42がケーブル支持装置60の間で引っ張られるように選択され得る。電気ケーブル41は、溝66Cにおいて、電気ケーブル41の圧縮の許容範囲内で、かつ必要に応じて、電気ケーブル41のケーブル外被の圧縮の許容範囲内で圧縮される。その結果、電気ケーブル41の全長は、
図7に示すように、電気ケーブル41がケーブル支持装置60の間で引っ張られないように選択される。これにより、電気ケーブル41に過度の引張応力を加えないようにすることが可能になり、このことは、電気ケーブル41の機械的結着性にとって有益である。
【0101】
より具体的には、電気ケーブル41の全長は、支持ケーブル42および電気ケーブル41のそれぞれの熱収縮係数を考慮して、電気ケーブル41が、周囲温度および液化ガスの低温においてケーブル支持装置60の間で引っ張られないように選択される。具体的には、2つの所与のケーブル支持装置60の間で、電気ケーブル41の長さは、支持ケーブル42の長さよりも長くなるように選択される。ケーブル支持装置60は、厳密には区分31の直径D1よりも小さい比較的大きな寸法を有しているため、電気ケーブル41と支持ケーブル42とが熱収縮した場合には、ケーブル支持装置60をシース30内で変位させることができる。
【0102】
図9に戻り、シース30内に挿入された電気ケーブル41の端部を、第2の分岐部53を通して中空の連結片50から引き出す。次いで、電気ケーブル41をタンク1の外部の電気機器に所望のように接続することができ、これにより、ハウジング23およびポンプ20の電気接続を終端させることが可能になる。
【0103】
さらに、第1の分岐部52を、キャップ等のストッパ58により塞ぐことができる。ストッパ58は、例えば第1の分岐部52の端部フランジ52Aに固定されている。ストッパ58は、特にタンク1内に含まれる液化ガスのシース30を介した漏れを回避することにより、タンク1の密封性をより良好に保証するために役立つ。ストッパ58は、シース30のメンテナンス用にシース30へのアクセスを可能にするために、例えばボルト締結により端部フランジ52Aに取外し可能に固定され得る。
【0104】
図には、シース30を通って延びる3つの電気ケーブル41が示されているが、必要に応じて異なる数の電気ケーブル41が使用され得る。
【0105】
ケーブル支持片66の溝66Cは、択一的に、特にかなりの数の電気ケーブル41が使用される場合には、開口64に面していてもよい。この場合、ケーブル支持アセンブリ65は単一のケーブル支持片66を含んでいてもよく、上述のように溝66C内の電気ケーブル41を圧縮するためには、このケーブル支持片66に背板が追加される。ケーブル取付け片82は、これらの背板のうちの1つに追加され得る。
【0106】
図示の例では、ケーブル支持片66およびケーブル取付け片82は、ステンレス鋼から製造された平板であり、外装片62は、高密度ポリセンから成形または機械加工されて製造されたピースである。1つの変化形では、ケーブル支持片66および/またはケーブル取付け片82および/または外装片62用に別の幾何学形状および/または別の材料が想定され得る。
【0107】
上述のように、積込み/積卸し塔がタンク内に鉛直方向に設置される場合の組立て方法を説明した。択一的に、タンク内に積込み/積卸し塔を設置する前に、剛性シース内にケーブルを設置することも可能である。水平な場合のこの設置例では、組立て方法は、タンク内に積込み/積卸し塔を設置するステップの前に、好適には積込み/積卸し塔10が水平位置にあるときに、1本または複数本の電気ケーブル41を剛性シース30内に設置するステップを含む。
【0108】
この設置ステップは、剛性シース30内に1本または複数本の電気ケーブル41およびN-1本(Nは2以上の整数)の支持ケーブル42を挿入するステップを含む。
【0109】
1つの変化形では、1本または複数本の電気ケーブル41およびN-1本の支持ケーブル42を挿入するステップは、ケーブル41,42と、1本または複数本の電気ケーブル41上で離間されたN個のケーブル支持装置60とで行われ、1本または複数本の電気ケーブル41はそれぞれ、所定の位置に予め設置されたN個のケーブル支持装置60を貫通する。換言すると、この変化形では、N個のケーブル支持装置が電気ケーブル上に配置され、支持ケーブル42につながれる。有利には、挿入ステップは、剛性シースの他方の端部において釣糸によりケーブルを引っ張るステップを伴っていてもよい。
【0110】
別の変化形では、設置ステップは、1本または複数本の電気ケーブル41上で離間されたN個のケーブル支持装置60を剛性シース30のN個の開口に合わせて挿入するステップであって、1本または複数本の電気ケーブル41は、N個の各ケーブル支持装置60を貫通しており、各ケーブル支持装置60は、厳密には剛性シース30の相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有しているステップと、N-1本の支持ケーブル42を、N個のケーブル支持装置60の間に取り付けるステップとを含む。
【0111】
本組立て方法のこの特徴により、積込み/積卸し塔が水平位置にあるときに電気ケーブルおよび支持ケーブルが積込み/積卸し塔に設置されることになり、これにより、タンク内への塔の設置時間が増加しないようにすることが可能になる。
【0112】
1つの実施形態では、剛性シースのN個の開口はそれぞれ、2つの隣り合う区分31の間の第1のギャップC1により形成されている。有利には、ケーブル支持装置の挿入を可能にするための第1のギャップC1のオーダは、30mm~50mmである。任意には、ケーブル支持装置の設置を容易にするために、ケーブルは、ケーブル支持装置を位置決めするために開口において引き出され、かつ開口を通して再挿入されてもよい。
【0113】
別の実施形態では、特定の開口が所定の位置に配置されている。この実施形態では、本組立て方法は、
-剛性シース30のN個の開口に合わせて、N個のケーブル支持装置60と、N-1本の支持ケーブル42とを挿入するステップの前に、剛性シース30のN個の開口を形成するステップと、
-N-1本の支持ケーブル42を取り付けるステップの後に、剛性シースのN個の開口を閉鎖するステップと、
を含む。開口の閉鎖は、各開口に例えば溶接されたカバーを取り付けることにより行われてよい。溶接作業を制限するために、断続溶接が想定され得る。
【0114】
本発明による組立て方法の1つの変化形では、1本または複数本の電気ケーブル41とN-1本の支持ケーブル42とを剛性シース30内に挿入するステップは、1本または複数本の電気ケーブル41とN-1本の支持ケーブル42とを、N個の開口のうちの少なくとも1つを介して引っ張るステップを含んでいてよい。引張は、ケーブル把持具、例えばフックまたはクランプを使用することにより行われてよく、ケーブル把持具は、開口においてオペレータにより剛性シース内に挿入され、その結果、把持具が前記ケーブルに接触し、これにより、剛性シース内でのケーブルの正しい位置決めを支援するために、オペレータが前記ケーブルを引っ張り上げることができるようになる。
【0115】
このことは、開口が2つの役割を有している、ということを示している。すなわち、一方では、開口は、剛性シース内のケーブルを引っ張ることを可能にする通路を形成している。他方では、開口は、ケーブル支持装置60を1本または複数本の電気ケーブルの周りに容易に設置することができるようにするために、剛性シース30内のケーブル支持装置60へのアクセスを提供する。
【0116】
有利には、本発明による組立て方法はさらに、支持ケーブル42を取り付けるステップの後に、1本または複数本の電気ケーブル41の端部を保持するステップを含む。したがって、積込み/積卸し塔を搬送する場合、特に水平位置から鉛直位置への移行中には、ケーブルが所定の位置に良好に留まることを保証するために、ケーブルと、ケーブルの支持体とを、緊張状態で保持する。このためには、剛性シースの端部に、一時的な支持システムが設置され得る。この特徴により、積込み/積卸し塔の変位中のケーブルの絡み合いが回避される。
【0117】
ここまで、塔10が1つのポンプ20と1つのシース30とを含む実施形態を説明した。もちろん、塔10がいくつかのポンプ20を含むことも想定可能である。この場合は、各ポンプ20がハウジング23を有しており、シース30は各ハウジング23に結合されている。各シース30は、上述したように、対応するハウジング23の上方に鉛直方向に延びていてよい。1つの変化形では、シース30は、2つの隣り合うポンプ20に結合され得る。この場合、シース30は、第1のポンプ20に電力を供給する電気ケーブル41の第1のセットと、第2のポンプ20に電力を供給する電気ケーブル41の第2のセットとを収容している。例えば、電気ケーブル41の第1のセットは、第1のポンプ20が有する第1のハウジング23に接続されており、電気ケーブル41の第2のセットは、第2のポンプ20が有する第2のハウジング23に接続されている。シース30は、第1のハウジング23の上方に鉛直方向に延びていてよいか、または第2のハウジング23の上方に鉛直方向に延びていてよいか、または第1のハウジング23と第2のハウジング23との中間に延びていてよい。
【0118】
図10を参照すると、メタンタンカー船70の破断図が、船の二重船体72内に取り付けられた、概ね角柱形の封止された断熱タンク71を示している。タンク71の壁は、タンク内に含まれるLNGと接触することを意図した一次封止メンブレンと、一次封止メンブレンと船の二重船体72との間に配置された二次封止メンブレンと、一次封止メンブレンと二次封止メンブレンとの間および二次封止メンブレンと二重船体72との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアとを含む。
【0119】
それ自体公知のように、LNGの貨物をタンク71からまたはタンク71へ移すためには、船舶の上甲板に配置された積込み/積卸しパイプライン73が、適切なコネクタにより海洋または港湾ターミナルに接続され得る。
【0120】
図10には、積込みおよび積卸しステーション75と、海底導管76と、陸上設備77とを含む海洋ターミナルの一例が示されている。積込みおよび積卸しステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを含む、固定された沖合設備である。可動アーム74は、積込み/積卸しパイプライン73に接続され得る絶縁されたフレキシブルパイプ79の束を支持している。方向付け可能な可動アーム74は、あらゆるメタンタンカーのテンプレートに適合する。連結導管(図示せず)が、タワー78の内部に延びている。積込みおよび積卸しステーション75は、陸上設備77からメタンタンカー70への積込みまたはメタンタンカー70から陸上設備77への積卸しを可能にする。陸上設備77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海底導管76により積込みまたは積卸しステーション75につながれた連結導管81とを含む。海底導管76は、大きな距離、例えば5kmにわたる、積込みまたは積卸しステーション75と陸上設備77との間での液化ガスの移送を可能にし、これにより、積込みおよび積卸し作業中に、メタンタンカー船70を岸から大きく離れたところに保つことが可能になる。
【0121】
液化ガスの移送に必要な圧力を発生させるためには、船舶70に埋設されたポンプ、および/または陸上設備77に装備されたポンプ、および/または積込みおよび積卸しステーション75に装備されたポンプが実現されている。
【0122】
本発明をいくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明が、これらに限定されることはないと共に、記載した手段の全ての技術的等価物ならびに本発明の枠組みの範囲内にある場合にはこれらの組合せを包含するということは、極めて明白である。
【0123】
動詞「含む(include)または「有する(comprise)」およびその活用形の使用は、特許請求の範囲に記載したもの以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。
【0124】
特許請求の範囲では、括弧内のいずれの参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止された断熱タンク(1)であって、前記タンク(1)は、船舶の耐力構造に固着されており、前記タンク(1)は、積込み/積卸し塔(10)を有しており、前記積込み/積卸し塔(10)は、少なくとも1つの支柱(11,12,13)を有しており、前記少なくとも1つの支柱(11,12,13)は、前記タンク(1)の内部空間(4)内に鉛直方向に延びており、
前記タンク(1)は、前記積込み/積卸し塔(10)に固定されておりかつ電力供給ハウジング(23)を有する少なくとも1つのポンプ(20)と、前記電力供給ハウジング(23)に接続された少なくとも1本の電気ケーブル(41)を収容している、鉛直方向に延びる中空の剛性シース(30)とをさらに有しており、
前記剛性シース(30)は、鉛直方向に整列させられて前記積込み/積卸し塔(10)に固定された複数の区分(31)を有しており、各前記区分(31)は、管状でありかつ隣り合う区分から第1のギャップ(C1)により隔離されている、
封止された断熱タンク(1)。
【請求項2】
前記積込み/積卸し塔(10)は、単一の支柱(11)を有しており、各前記区分(31)は、当該支柱(11)に固定されている、請求項1記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項3】
前記積込み/積卸し塔(10)は、互いに離間された第1、第2および第3の支柱(11,12,13)を有しており、前記積込み/積卸し塔(10)は、前記支柱(11,12,13)を互いに固定するクロスメンバ(19)をさらに有しており、各前記区分(31)は、少なくとも2つの前記クロスメンバ(19)に固定されている、請求項1記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項4】
前記タンク(1)が20℃で熱平衡状態にある場合、前記第1のギャップ(C1)は5mm~50mm、好適には5mm~20mmである、請求項1から3までのいずれか1項記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項5】
前記電力供給ハウジング(23)に面した前記剛性シース(30)の端部(33)は、第2のギャップ(C2)により前記電力供給ハウジング(23)から隔離されており、前記タンク(1)が20℃で熱平衡状態にある場合、前記第2のギャップ(C2)は20mm~200mmである、請求項1から3までのいずれか1項記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項6】
前記剛性シース(30)は、前記耐力構造の内張り壁(3)を貫通して、前記内張り壁(3)の上方の中空の連結片(50)内に突入しており、前記剛性シース(30)は、
-離間されたN個(Nは2以上の整数)のケーブル支持装置(60)であって、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)がN個の各前記ケーブル支持装置(60)を貫通しており、各前記ケーブル支持装置(60)は、厳密には前記剛性シース(30)の相対的に大きな内径(D1)よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、N個のケーブル支持装置(60)と、
-N個の前記ケーブル支持装置(60)の間に取り付けられたN-1本の支持ケーブル(42)と、
-前記中空の連結片(50)に位置する取付け点(49)と、前記中空の連結片(50)に最も近い前記ケーブル支持装置(60)との間で伸長させられた終端支持ケーブル(43)と、
をさらに収容している、請求項1から3までのいずれか1項記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項7】
前記中空の連結片(50)は、T字形継手(51)を含み、前記T字形継手(51)は、前記剛性シース(30)の延長部における第1の分岐部(52)と、前記剛性シース(30)に対して直角または斜めに向けられた第2の分岐部(53)とを有しており、前記取付け点(49)は、前記第1の分岐部(52)に位置しており、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)は、前記第2の分岐部(53)を通って出ることにより、前記中空の連結片(50)を貫通する、請求項6記載の封止された断熱タンク(1)。
【請求項8】
封止された断熱タンク(1)を組み立てるための組立て方法であって、前記組立て方法は以下のステップ、すなわち:
A)船舶に組み込まれた耐力構造に前記タンク(1)を固着するステップと、
B)前記タンク(1)の内部空間(4)内に
-前記タンク(1)の前記内部空間(4)内に鉛直方向に延びる少なくとも1つの支柱(11,12,13)を有する積込み/積卸し塔(10)と、
-前記積込み/積卸し塔(10)に固定されかつ電力供給ハウジング(23)を有する少なくとも1つのポンプ(20)と、前記電力供給ハウジング(23)に接続された少なくとも1本の電気ケーブル(41)を収容している、鉛直方向に延びる中空の剛性シース(30)であって、前記剛性シース(30)は、鉛直方向に整列させられて前記積込み/積卸し塔(10)に固定された複数の区分(31)を有しており、各前記区分(31)は管状であり、隣り合う区分から第1のギャップ(C1)により隔離されている、剛性シース(30)と、
を設置するステップと、
C)前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記電力供給ハウジング(23)に接続するステップと、
を含む、組立て方法。
【請求項9】
前記積込み/積卸し塔(10)は、単一の前記支柱(11,12,13)を有しており、前記ステップB)は、各前記区分(31)を前記支柱(11,12,13)に固定することを含む、請求項8記載の組立て方法。
【請求項10】
前記積込み/積卸し塔(10)は、互いに離間された第1、第2および第3の支柱(11,12,13)を有しており、前記積込み/積卸し塔(10)は、前記支柱(11,12,13)を互いに固定するクロスメンバ(19)をさらに有しており、前記ステップB)は、各前記区分(31)を少なくとも2つの前記クロスメンバ(19)に固定することを含む、請求項8記載の組立て方法。
【請求項11】
前記ステップB)は、
-前記耐力構造の内張り壁(3)に前記剛性シース(30)を貫通させ、かつ前記剛性シース(30)を、前記内張り壁(3)の上方の中空の連結片(50)内に突入させることと、
-前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)に、それぞれ離間されたN個(Nは2以上の整数)のケーブル支持装置(60)を設置することであって、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)は、N個の各前記ケーブル支持装置(60)を貫通し、各前記ケーブル支持装置(60)は、厳密には前記剛性シース(30)の相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、ケーブル支持装置(60)を設置することと、N-1本の支持ケーブル(42)を、N個の前記ケーブル支持装置(60)の間に取り付けることと、
-N個の前記ケーブル支持装置(60)が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に挿入することと、
-前記中空の連結片(50)に位置する取付け点(49)と、前記中空の連結片(50)に最も近い前記ケーブル支持装置(60)とに終端支持ケーブル(43)を取り付けることと、
を含む、請求項8から10までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項12】
前記ステップB)の前に、好適には前記積込み/積卸し塔(10)が水平位置にあるときに、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に設置するステップを含む、請求項8から10までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項13】
前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に設置する前記ステップは、
-前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)と、N-1本(Nは2以上の整数)の支持ケーブル(42)とを前記剛性シース(30)内に挿入するステップと、
-前記剛性シース(30)のN個の開口に合わせてN個の前記ケーブル支持装置(60)を挿入し、N個の各前記ケーブル支持装置(60)を貫通する前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)上でそれぞれ離間させるステップであって、各前記ケーブル支持装置(60)は、厳密には前記剛性シース(30)の相対的に大きな内径よりも小さい比較的大きな外側寸法を有している、離間させるステップと、N-1本の前記支持ケーブル(42)を、N個の前記ケーブル支持装置(60)の間に取り付けるステップと、
前記剛性シース(30)を、前記耐力構造の内張り壁(3)の上方の中空の連結片(50)内に突入させる前記ステップB)の後に、前記中空の連結片(50)に位置する取付け点(49)と、前記中空の連結片(50)に最も近い前記ケーブル支持装置(60)とに終端支持ケーブル(43)を取り付けるステップと、
を含む、請求項12記載の組立て方法。
【請求項14】
前記剛性シースのN個の前記開口は、2つの隣り合う前記区分(31)の間の前記第1のギャップ(C1)により形成されている、請求項13記載の組立て方法。
【請求項15】
-前記剛性シース(30)のN個の前記開口に合わせて、N個の前記ケーブル支持装置(60)と、N-1本の前記支持ケーブル(42)とを挿入する前記ステップの前に、前記剛性シース(30)のN個の前記開口を形成するステップと、
-N-1本の前記支持ケーブル(42)を取り付ける前記ステップの後に、前記剛性シースのN個の前記開口を閉鎖するステップと、
を含む、請求項13記載の組立て方法。
【請求項16】
前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)とN-1本の前記支持ケーブル(42)とを前記剛性シース(30)内に挿入する前記ステップは、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)とN-1本の前記支持ケーブル(42)とを、N個の前記開口のうちの少なくとも1つを介して引っ張るステップを含む、請求項13記載の組立て方法。
【請求項17】
N-1本の前記支持ケーブル(42)を取り付ける前記ステップの後に、前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)の端部を保持するステップをさらに含む、請求項13記載の組立て方法。
【請求項18】
前記中空の連結片(50)は、T字形継手(51)を含み、前記T字形継手(51)は、前記剛性シース(30)の延長部における第1の分岐部(52)と、前記剛性シース(30)に対して直角または斜めに向けられた第2の分岐部(53)とを有しており、前記取付け点(49)は、前記第1の分岐部(52)に位置しており、前記ステップB)において、N個の前記ケーブル支持装置(60)が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を、前記第1の分岐部(52)を通して前記剛性シース(30)内に挿入し、次いで前記電力供給ハウジング(23)とは反対の側の前記電気ケーブル(41)の端部を、前記第2の分岐部(53)を通して前記中空の連結片(50)から引き出す、請求項11記載の組立て方法。
【請求項19】
N個の前記ケーブル支持装置(60)が設けられた前記少なくとも1本の電気ケーブル(41)を前記剛性シース(30)内に挿入した後に、前記第1の分岐部(52)を塞ぐことをさらに含む、請求項18記載の組立て方法。
【請求項20】
前記ステップB)の終了時に、前記電力供給ハウジング(23)に面した前記剛性シース(30)の端部(33)を、第2のギャップ(C2)により前記電力供給ハウジング(23)から隔離する、請求項8から10までのいずれか1項記載の組立て方法。
【請求項21】
二重船体(72)と、前記二重船体内に配置された、請求項1から3までのいずれか1項記載のタンク(71)とを有している、液化ガスを輸送するための船舶(70)。
【請求項22】
前記タンク(71)は、請求項5に記載されたものであり、前記中空の連結片(50)は、前記耐力構造の前記内張り壁(3)の上方に位置する前記船舶の甲板(6)の上方に配置されている、請求項21記載の船舶(70)。
【請求項23】
液化ガス用の移送システムであって、前記システムは、請求項21記載の船舶(70)と、前記船舶の船体内に設置された前記タンク(71)を浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(77)につなぐように配置された絶縁パイプライン(73,79,76,81)と、液化ガスの流れを、前記浮体式のまたは陸上の貯蔵設備から前記絶縁パイプラインを通して前記船舶の前記タンクへ運ぶか、または前記船舶の前記タンクから前記絶縁パイプラインを通して前記浮体式のまたは陸上の貯蔵設備へ運ぶためのポンプとを含む、液化ガス用の移送システム。
【請求項24】
請求項21記載の船舶(70)への積込みまたは前記船舶(70)からの積卸しのための方法であって、液化ガスを、浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(77)から絶縁パイプライン(73,79,76,81)を通して前記船舶(70)の前記タンク(71)へ運ぶか、または前記船舶(70)の前記タンク(71)から絶縁パイプライン(73,79,76,81)を通して浮体式のまたは陸上の貯蔵設備(77)へ運ぶ、方法。
【外国語明細書】