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2024-159497輻射シート、放熱板、放熱装置、及び輻射シートの製造方法
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  • -輻射シート、放熱板、放熱装置、及び輻射シートの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159497
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】輻射シート、放熱板、放熱装置、及び輻射シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20241031BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241031BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20241031BHJP
   C08K 3/011 20180101ALI20241031BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 A
C08K3/013
C08K3/011
C08L33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025373
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2023073175
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】平野 勲
(72)【発明者】
【氏名】藤井 恭
【テーマコード(参考)】
4J002
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
4J002BG011
4J002DD066
4J002DD076
4J002DF036
4J002DG046
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002DJ057
4J002FD017
4J002FD146
4J002GQ00
4J002GQ05
5E322AA11
5E322FA04
5E322FA09
5F136BA30
5F136BB18
5F136BC07
5F136DA05
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA18
5F136FA51
5F136FA63
(57)【要約】
【課題】良好な放熱性能を示す輻射シートと、当該輻射シートからなる放熱板と、当該放熱板を備える放熱装置と、前述の輻射シートの製造方法と、を提供すること。
【解決手段】ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体を含み、水を含むか、又は含まない組成物からなり、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下であるシートを、輻射シートとして用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体を含み、水を含むか、又は含まない組成物からなり、
120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下である、輻射シート。
【請求項2】
前記組成物が、無機フィラーを含む、請求項1に記載の輻射シート。
【請求項3】
前記無機フィラーが、層状ケイ酸塩、クチャ及び赤レンガから選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の輻射シート。
【請求項4】
前記輻射シートの質量に対する、前記無機フィラーの質量の比率が、0.5質量%以上1質量%以下である、請求項2に記載の輻射シート。
【請求項5】
前記2価以上の金属イオンを含む金属化合物が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化バリウム、塩化銅、塩化ニッケル、塩化鉛、塩化コバルト、塩化金、塩化白金酸、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸クロム、硝酸銅、硝酸マグネシウム、硝酸鉄、硝酸マンガン、硝酸コバルト及び硝酸クロムから選択される少なくとも一種の水溶性金属塩である、請求項1に記載の輻射シート。
【請求項6】
厚さが10μm以上1000μm以下である、請求項1に記載の輻射シート。
【請求項7】
一方の面に設けられ、発熱源から放出される熱を吸収する熱吸収面と、他方の面に設けられ、前記熱吸収面から吸収した熱の少なくとも一部を放出する熱放出面と、を有する放熱板であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載の輻射シートからなる、放熱板。
【請求項8】
請求項7に記載の放熱板を備える、放熱装置。
【請求項9】
輻射シートの製造方法であって、
水中で、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋して、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体を得る架橋工程と、
前記架橋工程で得られた前記架橋体を含む含水ゲルを加熱することにより、前記含水ゲルから水を除去する加熱工程を有し、
前記加熱工程の際、又は、前記加熱工程の後に、前記含水ゲル、又は前記架橋体がシート状に成形され、
前記輻射シートは、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下である、輻射シートの製造方法。
【請求項10】
前記架橋工程では、
前記ポリアクリル酸ナトリウムと無機フィラーと水を含有し、前記無機フィラーが前記水に分散している分散液を調製した後、
前記分散液に、前記2価以上の金属イオンを含む金属化合物を添加する、請求項9に記載の輻射シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を吸収して放出し得る輻射シート、電子部品等の発熱体において発生する熱を吸収して放出する放熱装置、及び放熱板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放熱装置としては、例えばフィン型のヒートシンクが挙げられ、電子部品等の発熱体の外面に取り付けられ、発熱体の熱がヒートシンクに伝達され、その熱をフィンから大気に放出する、もしくは送風機を用いてフィン間の大気を強制的に対流させ、大気に放出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-155521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放熱装置は、熱伝導を利用して放熱するため、ヒートシンクのような温度が低い部品を設ける必要があり、装置が大型化するおそれがある。
他方、輻射を利用して放熱を行う場合、フィン型のヒートシンクや、送風機を用いることなく、放熱装置や、放熱装置を備える機器を小型化しつつ、効率のよい放熱を行うことが期待される。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、良好な放熱性能を示す輻射シートと、当該輻射シートからなる放熱板と、当該放熱板を備える放熱装置と、前述の輻射シートの製造方法と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体を含み、水を含むか、又は含まない組成物からなり、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下であるシートを、輻射シートとして用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は以下のものを提供する。
【0007】
[1]ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体を含み、水を含むか、又は含まない組成物からなり、
120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下である、輻射シート。
【0008】
[2]前記組成物が、無機フィラーを含む、上記[1]に記載の輻射シート。
【0009】
[3]前記無機フィラーが、層状ケイ酸塩、クチャ及び赤レンガから選択される少なくとも一種である、上記[2]に記載の輻射シート。
【0010】
[4]前記輻射シートの質量に対する、前記無機フィラーの質量の比率が、0.5質量%以上1質量%以下である、上記[2]又は[3]に記載の輻射シート。
【0011】
[5]前記2価以上の金属イオンを含む金属化合物が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化バリウム、塩化銅、塩化ニッケル、塩化鉛、塩化コバルト、塩化金、塩化白金酸、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸クロム、硝酸銅、硝酸マグネシウム、硝酸鉄、硝酸マンガン、硝酸コバルト及び硝酸クロムから選択される少なくとも一種の水溶性金属塩である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の輻射シート。
【0012】
[6]厚さが10μm以上1000μm以下である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の輻射シート。
【0013】
[7]一方の面に設けられ、発熱源から放出される熱を吸収する熱吸収面と、他方の面に設けられ、前記熱吸収面から吸収した熱の少なくとも一部を放出する熱放出面と、を有する放熱板であって、
上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の輻射シートからなる、放熱板。
【0014】
[8]上記[7]に記載の放熱板を備える、放熱装置。
【0015】
[9]輻射シートの製造方法であって、
水中で、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋して、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体を得る架橋工程と、
前記架橋工程で得られた前記架橋体を含む含水ゲルを加熱することにより、前記含水ゲルから水を除去する加熱工程を有し、
前記加熱工程の際、又は、前記加熱工程の後に、前記含水ゲル、又は前記架橋体がシート状に成形され、
前記輻射シートは、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下である、輻射シートの製造方法。
【0016】
[10]前記架橋工程では、
前記ポリアクリル酸ナトリウムと無機フィラーと水を含有し、前記無機フィラーが前記水に分散している分散液を調製した後、
前記分散液に、前記2価以上の金属イオンを含む金属化合物を添加する、上記[9]に記載の輻射シートの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、良好な放熱性能を示す輻射シートと、当該輻射シートからなる放熱板と、当該放熱板を備える放熱装置と、前述の輻射シートの製造方法と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る放熱装置を適用した電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
≪輻射シート≫
輻射シートは、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体を含み、水を含むか、又は含まない組成物からなる。組成物は、さらに無機フィラーを含んでいてもよい。
【0020】
輻射シートは、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が、38質量%以下である。
輻射シートを120℃で150分間加熱すると、輻射シートが含む水が揮発する。なお、輻射シートが120℃で150分間加熱された場合、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体や、無機フィラーは、揮発しない。
すなわち、輻射シートが120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下であれば、輻射シートが含む水の含有量(輻射シートの含水量)は38質量%以下であり、輻射シートの含水量は少ない。
このため、使用中の水の揮発による電子機器への影響が小さいため、輻射シートを高温(例えば、110℃以上、さらには120℃以上)になり得る発熱体を備える電子機器の放熱板として、好ましく使用することができる。
なお、輻射シートの120℃で150分間加熱された場合の質量減少率は、下記<120℃で150分間加熱された場合の質量減少率の測定方法>で求めることができる。
<120℃で150分間加熱された場合の質量減少率の測定方法>
熱電対付きの板状のラバーヒーター上に、厚さが0.05mmで熱伝導率3W/mK以上である第1の熱伝導材料層と、厚さが0.6mmであるシリコン層と、厚さが0.05mmで熱伝導率3W/mK以上である第2の熱伝導材料層とをこの順で積層し、第2の熱伝導材料層上に、輻射シートを、縦3cm×横4cm×厚さ500μmの直方体に切り出した輻射シート片を載せ、ラバーヒーターの温度が120℃で一定に保たれるように、150分間ラバーヒーターを加熱する。
加熱前後のシートの質量から、下記式(1)により、「120℃で150分間加熱された場合の質量減少率」を求める。
A=(x-y)/x×100 ・・・(1)
(式中、Aは、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率(%)である。
xは、加熱前のシートの質量(g)である。
yは、加熱後のシートの質量(g)である。)
【0021】
輻射シートの、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率は、38質量%以下であればよいが、35質量%以下でもよく、30質量%以下でもよく、25質量%以下でもよい。
輻射シートの、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率は、0質量%以上でもよく、0.5質量%以上でもよく、3質量%以上でもよい。
【0022】
上記の輻射シートは、良好な放熱性能を示す。このように上記の輻射シートが良好な放熱性能を示すことができる理由は、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体が、吸熱反応を生じるためと推測される。さらに、無機フィラーを含むことにより、輻射シートはさらに良好な放熱性能を示すことができる。
【0023】
上記輻射シートは、薄くても良好な放熱性能を示すことができる。輻射シートの膜厚は、例えば、20μm以上1000μm以下であり、250μm以上900μm以下が好ましく、400μm以上800μm以下が好ましい。
【0024】
以下、輻射シート(組成物)が含む、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体、及び、輻射シート(組成物)が含む任意の成分である、水、無機フィラー等について説明する。
【0025】
<ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体(SPA架橋体)>
前述の通り、輻射シート(組成物)は、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋した架橋体(「SPA架橋体」とも記載する)を含む。
【0026】
ポリアクリル酸ナトリウムの重合度は、特に限定されないが、2000以上60000以下が好ましい。
【0027】
2価以上の金属イオンを含む金属化合物は、ポリアクリル酸ナトリウムを架橋することができるものであれば特に限定されない。
2価以上の金属イオンの金属としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、バリウム、銅、ニッケル、鉛、コバルト、金、白金酸、マンガン、クロムが挙げられる。
2価以上の金属イオンを含む金属化合物としては、2価以上の金属の塩化物、2価以上の金属の硫酸塩や、2価以上の金属の硝酸塩が挙げられる。2価以上の金属イオンを含む金属化合物の具体例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化バリウム、塩化銅、塩化ニッケル、塩化鉛、塩化コバルト、塩化金、塩化白金酸、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸クロム、硝酸銅、硝酸マグネシウム、硝酸鉄、硝酸マンガン、硝酸コバルト、硝酸クロム等の水溶性金属塩が挙げられる。
2価以上の金属イオンを含む金属化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
SPA架橋体は、このような2価以上の金属イオンを含む金属化合物の金属イオンが、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンと置き換わるとともに、2価以上の金属イオンが、ポリアクリル酸イオンの複数のカルボキシレートアニオン基(-COO-)とイオン結合することにより、形成される架橋体である。例えば、2価以上の金属イオンを含む金属化合物として塩化マグネシウムを用いた場合、マグネシウムイオンが、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンと置き換わる。その結果、マグネシウムイオンが、ポリアクリル酸イオンの2つのカルボキシレートアニオン基(-COO-)とイオン結合することにより、ポリアクリル酸ナトリウムに由来する鎖状分子がイオン結合により架橋される。このようにして形成される架橋体が、SPA架橋体である。
上記の通り、SPA架橋体は、ポリアクリル酸イオンが2価以上の金属イオンによって架橋された架橋体である。
なお、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンの全てが2価以上の金属イオンで置換されていることが好ましいが、SPA架橋体にナトリウムイオンが残存していてもよい。
【0029】
SPA架橋体における、ポリアクリル酸イオンに対する、2価以上の金属イオンの比率(2価以上の金属イオン/ポリアクリル酸イオン)は、特に限定されないが、質量比で、0.01以上5以下が好ましく、0.1以上2以下がより好ましい。
【0030】
<水>
前述の通り、輻射シート(組成物)は、水を含むか、又は含まない。
すなわち、輻射シートは、SPA架橋体と、水とを含む組成物であってもよく、SPA架橋体を含み、水を含まない組成物であってもよい。
【0031】
<無機フィラー>
無機フィラーは、輻射シートの輻射による放熱性を、さらに付与する成分である。
無機フィラーとしては、層状ケイ酸塩、クチャ、赤レンガが挙げられる。
【0032】
層状ケイ酸塩は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。層状ケイ酸塩は、公知の層状ケイ酸塩から適宜選択できる。層状ケイ酸塩としては、例えば、雲母(マイカ)、スメクタイト、タルク、カオリン、パイロフィライト、及びセリサイト等)等を用いることができる。入手が容易であり、輻射シート中に均一に分散させやすく、放熱性に優れる輻射シートを形成しやすいことから、層状ケイ酸塩が、カオリンを含むのが好ましい。なお、カオリンは、ビニル基で修飾されたカオリンでもよい。
【0033】
クチャは、沖縄の天然岩泥であり、通常100μm以下の微粒子である。
【0034】
無機フィラーの粒子径は特に限定されない。無機フィラーの粒子径は、0.1μm以上100μm以下が好ましく、0.1μm以上40μmがより好ましい。無機フィラーの粒子径は、レーザー回折式の粒子径分布測定装置を用いて体積平均粒子径として測定できる。
【0035】
輻射シートの質量に対する、無機フィラーの質量の比率は、0.5質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
【0036】
<その他の成分>
輻射シートは、所望する目的が損なわれない範囲で、種々の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、分散剤、酸化防止剤、凝集防止剤、消泡剤、粘度調整剤、顔料、染料等が挙げられる。
【0037】
<輻射シートの製造方法>
以上説明した輻射シートは、例えば、水中で、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋して、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体を得る架橋工程と、
架橋工程で得られた架橋体を含む含水ゲルを加熱することにより、含水ゲルから水を除去する加熱工程を有し、
加熱工程の際、又は、加熱工程の後に、含水ゲル、又は架橋体がシート状に成形され、
輻射シートは、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下である、輻射シートの製造方法により製造することができる。
輻射シートが無機フィラーを含む場合、上記輻射シートの製造方法は、架橋工程では、ポリアクリル酸ナトリウムと無機フィラーと水を含有し、無機フィラーが水に分散している分散液を調製した後、分散液に、2価以上の金属イオンを含む金属化合物を添加することが好ましい。
各工程について、以下に説明する。
【0038】
[架橋工程]
架橋工程では、水中で、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋して、架橋体を得る。
【0039】
水中で、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋して架橋体を得る方法は、特に限定されない。例えば、ポリアクリル酸ナトリウムを、2価以上の金属イオンを含む金属化合物の水溶液に混合することにより、架橋体を製造してもよい。また、ポリアクリル酸ナトリウムの水溶液と、2価以上の金属イオンを含む金属化合物の水溶液とを混合することにより、架橋体を製造してもよい。
【0040】
架橋工程において用いる、ポリアクリル酸ナトリウムに対する、2価以上の金属イオンを含む金属化合物の比率(2価以上の金属イオンを含む金属化合物/ポリアクリル酸ナトリウム)は、特に限定されないが、質量比で、0.001以上5以下が好ましく、0.1以上2以下がより好ましい。
【0041】
2価以上の金属イオンを含む金属化合物の水溶液における、2価以上の金属イオンを含む金属化合物の濃度は、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。
【0042】
ポリアクリル酸ナトリウムの水溶液における、ポリアクリル酸ナトリウムの濃度は、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下である。
【0043】
輻射シートが無機フィラーを含む場合、架橋工程では、ポリアクリル酸ナトリウムと無機フィラーと水を含有し、無機フィラーが水に分散している分散液を調製した後、分散液に、2価以上の金属イオンを含む金属化合物を添加することが好ましい。
【0044】
無機フィラーの表面をポリアクリル酸ナトリウムのポリアクリル酸イオンが取り囲むとともに、ポリアクリル酸イオンの電荷反発が生じることにより、無機フィラーが沈降せず、無機フィラーが水に分散している分散液とすることができる。
【0045】
そして、この分散液に、2価以上の金属イオンを含む金属化合物を添加することにより、ポリアクリル酸ナトリウムが、2価以上の金属イオンを含む金属化合物で架橋され、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体が製造される。
【0046】
[加熱工程]
加熱工程では、架橋工程で得られた架橋体を含む含水ゲルを加熱することにより、含水ゲルから水を除去する。加熱工程で水を除去することにより、製造される輻射シートの、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率を、38質量%以下にすることができる。
【0047】
加熱工程の際、又は、加熱工程の後に、含水ゲル、又は架橋体を、シート状に成形する。これにより、輻射シートが製造される。
シート状に成形する方法は、特に限定されない。
加熱工程の際にシート状に成形する方法として、ホットプレスが挙げられる。
ホットプレス条件は特に限定されず、製造される輻射シートが、所望のシート形状及び厚さであり、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下になるようにすればよい。ホットプレスの温度は、例えば、100℃以上200℃以下が好ましく、105℃以上150℃以下がより好ましい。ホットプレスの時間は、例えば、10分以上3時間以下が好ましく、30分以上2時間以下がより好ましい。
加熱工程の後にシート状に成形する方法として、押出成形や、所望のシート形状及び厚さに切り出すことによる成形が挙げられる。
【0048】
≪放熱装置、及び放熱板≫
図1は、本発明の一実施形態を示すものである。図1は放熱装置を適用した電子機器の断面図である。
【0049】
本実施形態の放熱装置10は、図1に示すように、電子機器1に適用され得る。
【0050】
電子機器1は、筐体2と、筐体2の内部に取り付けられる基板3と、基板3に取り付けられる発熱源としての電子部品4と、電子部品4に取り付けられる本発明に係る放熱装置10と、を備えている。
【0051】
電子部品4は、例えばCPU(中央演算処理装置)等、動作時に熱を放出するものである。
【0052】
放熱装置は、電子部品4が発生させた熱を熱放射によって放出するための放熱板12を備える。
典型的には、放熱装置10は、放熱板12とともに、電子部品4から放出される熱を放熱板12に伝えるための熱伝導材料11を有している。
【0053】
熱伝導材料11は、例えば、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等のフィラーを添加した樹脂からなるシート状の部材や、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属基板、熱伝導グリス等が例示されるが、これに限られない。
また、熱伝導材料11としては、電子部品4の外面に貼り付けられているものが例示されるが、これに限られない。熱伝導材料11は、電子部品4から放出される熱を放熱板12に伝導させるものであれば、どのような形態であってもよく、電子部品4から放出される熱を放熱板12の全面にわたって均一に伝導させるものであることが好ましい。特に、熱伝導材料11は、放熱板12の後述する熱吸収面12a側が平面状である場合に、電子部品4の外面形状にかかわらず、電子部品4から放出される熱を、放熱板12に伝えることができるものが好ましく、グリスやペースト、ゲル状であることが好ましい。
【0054】
放熱板12は、前述の輻射シートからなる。上記輻射シートは、良好な放熱性能を示すため、高温(例えば、110℃以上、さらには120℃以上)になり得る発熱体(電子部品4)を備える電子機器1の放熱板12として使用できる。
放熱板12は、一方の面に設けられ、電子部品4から放出される熱を吸収するための熱吸収面12aと、他方の面に設けられ、熱吸収面12aから吸収した熱の少なくとも一部を電磁波として放出する熱放出面12bと、を有している。
【0055】
放熱板12の熱吸収面12aは、熱伝導材料11に当接している。熱吸収面12aは、その全面にわたって熱伝導材料11当接しているのが好ましい。放熱板12の熱放出面12bは、筐体2の内面と間隔をおいて、筐体2の内面に対して対向している。
【0056】
以上のように構成された電子機器1において、電子部品4から放出される熱の一部は、熱伝導によって基板3を介して筐体2に伝わり、電子部品4から放出されるその他の熱は、熱放射、及び対流によって放熱装置10を介して筐体2に伝わる。筐体2に伝わる熱は、筐体2の外側の空気中に放出される。
【0057】
また、電子部品4から放熱装置10に伝わる熱は、熱吸収面12aの全面から放熱板12に吸収される。また、放熱板12が吸収した熱の少なくとも一部は、熱放射によって熱放出面12bの全面から電磁波として放出され、筐体2の内面に伝わる。
【0058】
前記実施形態では、熱伝導材料11、及び放熱板12を有する放熱装置10について示したが、放熱装置は、本発明の放熱板12を有するものであれば、熱伝導材料11以外の部材を有するものであってもよい。また、熱伝導材料11を複数有するものや、熱伝導材料11以外の部材を複数有するものであってもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、熱伝導材料11、及び放熱板12を有する放熱装置10を電子部品に設置するようにしたものについて示したが、これに限られるものではない。例えば、熱伝導材料11を介することなく放熱板のみを、電子部品に対して熱吸収面を直接的に当接させるように、電子部品に設置してもよい。この場合に、電子部品から放出される熱は、放熱板の熱吸収面から直接的に吸収されることになる。
【実施例0060】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0061】
<輻射シートの製造>
[実施例1]
ポリアクリル酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業、重合度30000~40000)0.5gをイオン交換水に溶かし、0.5質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を調整した。このポリアクリル酸ナトリウム水溶液100g中に、カオリン(粒径約0.1~4μm品、ナカライテスク株式会社製)1gを攪拌機で分散させ、カオリン分散液を調整した。
得られたカオリン分散液を、1質量%塩化カルシウム水溶液500gに加えた。得られた混合液を攪拌したところ、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンがカルシウムイオンに置換され、ポリアクリル酸イオンがカルシウムイオンによって架橋された架橋体(ポリアクリル酸ナトリウムを塩化カルシウムで架橋した架橋体)が形成された。これにより、分散されたカオリンを含み、且つ、ポリアクリル酸イオンがカルシウムイオンによって架橋されたポリアクリル酸カルシウムゲル(含水ゲル)を得た。
この含水ゲルをイオン交換水で洗浄した。洗浄された含水ゲルを、紙(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で拭き、含水ゲル表面の水を除去した。その後、含水ゲルを、120℃1時間でホットプレスして水分を除去し、輻射シートを得た。得られた輻射シートをシート1とした。得られた輻射シートの厚さを表1に記す。
【0062】
[実施例2]
ポリアクリル酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業、重合度30000~40000)0.5gをイオン交換水に溶かし、0.5質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を調整した。このポリアクリル酸ナトリウム水溶液100g中に、カオリン(粒径約0.1~4μm品、ナカライテスク株式会社製)1gを攪拌機で分散させ、カオリン分散液を調整した。
得られたカオリン分散液を、1質量%塩化マグネシウム水溶液500gに加えた。得られた混合液を攪拌したところ、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンがマグネシウムに置換され、ポリアクリル酸イオンがマグネシウムイオンによって架橋された架橋体(ポリアクリル酸ナトリウムを塩化マグネシウムで架橋した架橋体)が形成された。これにより、分散されたカオリンを含み、且つ、ポリアクリル酸イオンがマグネシウムイオンによって架橋されたポリアクリル酸マグネシウムゲル(含水ゲル)を得た。
この含水ゲルをイオン交換水で洗浄した。洗浄された含水ゲルを、紙(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で拭き、含水ゲル表面の水を除去した。その後、含水ゲルを、120℃1時間でホットプレスして水分を除去し、輻射シートを得た。得られた輻射シートをシート2とした。得られた輻射シートの厚さを表1に記す。
【0063】
[実施例3]
ポリアクリル酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業、重合度30000~40000)0.5gをイオン交換水に溶かし、0.5質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を調整した。このポリアクリル酸ナトリウム水溶液100g中に、カオリン(粒径約0.1~4μm品、ナカライテスク株式会社製)1gを攪拌機で分散させ、カオリン分散液を調整した。
得られたカオリン分散液を、1質量%塩化アルミニウム水溶液500gに加えた。得られた混合液を攪拌したところ、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンがアルミニウムに置換され、ポリアクリル酸イオンがアルミニウムイオンによって架橋された架橋体(ポリアクリル酸ナトリウムを塩化アルミニウムで架橋した架橋体)が形成された。これにより、分散されたカオリンを含み、且つ、ポリアクリル酸イオンがアルミニウムイオンによって架橋されたポリアクリル酸アルミニウムゲル(含水ゲル)を得た。
この含水ゲルをイオン交換水で洗浄した。洗浄された含水ゲルを、紙(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で拭き、含水ゲル表面の水を除去した。その後、含水ゲルを、120℃1時間でホットプレスして水分を除去し、輻射シートを得た。得られた輻射シートをシート3とした。得られた輻射シートの厚さを表1に記す。
【0064】
[実施例4]
ポリアクリル酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業、重合度30000~40000)0.5gをイオン交換水に溶かし、0.5質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を調整した。このポリアクリル酸ナトリウム水溶液100g中に、カオリン(粒径約0.1~4μm品、ナカライテスク株式会社製)1gを攪拌機で分散させ、カオリン分散液を調整した。
得られたカオリン分散液を、1質量%塩化鉄水溶液500gに加えた。得られた混合液を攪拌したところ、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンが鉄イオンに置換され、ポリアクリル酸イオンが鉄イオンによって架橋された架橋体(ポリアクリル酸ナトリウムを塩化鉄で架橋した架橋体)が形成された。これにより、分散されたカオリンを含み、且つ、ポリアクリル酸イオンが鉄イオンによって架橋されたポリアクリル酸鉄ゲル(含水ゲル)を得た。
この含水ゲルをイオン交換水で洗浄した。洗浄された含水ゲルを、紙(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で拭き、含水ゲル表面の水を除去した。その後、含水ゲルを、120℃1時間でホットプレスして水分を除去し、輻射シートを得た。得られた輻射シートをシート4とした。得られた輻射シートの厚さを表1に記す。
【0065】
[実施例5]
ポリアクリル酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業、重合度30000~40000)0.5gをイオン交換水に溶かし、0.5質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を調整した。このポリアクリル酸ナトリウム水溶液100g中に、クチャ(粒径2μm)1gを攪拌機で分散させ、クチャ分散液を調整した。
得られたクチャ分散液を、1質量%塩化マグネシウム水溶液500gに加えた。得られた混合液を攪拌したところ、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンがマグネシウムに置換され、ポリアクリル酸イオンがマグネシウムイオンによって架橋された架橋体(ポリアクリル酸ナトリウムを塩化マグネシウムで架橋した架橋体)が形成された。これにより、分散されたクチャを含み、且つ、ポリアクリル酸イオンがマグネシウムイオンによって架橋されたポリアクリル酸マグネシウムゲル(含水ゲル)を得た。
この含水ゲルをイオン交換水で洗浄した。洗浄された含水ゲルを、紙(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で拭き、含水ゲル表面の水を除去した。その後、含水ゲルを、120℃1時間でホットプレスして水分を除去し、輻射シートを得た。得られた輻射シートをシート5とした。得られた輻射シートの厚さを表1に記す。
【0066】
[実施例6]
ポリアクリル酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業、重合度30000~40000)0.5gを、1質量%塩化マグネシウム水溶液500gに加えた。得られた混合液を攪拌したところ、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンがマグネシウムに置換され、ポリアクリル酸イオンがマグネシウムイオンによって架橋された架橋体(ポリアクリル酸ナトリウムを塩化マグネシウムで架橋した架橋体)が形成された。これにより、ポリアクリル酸イオンがマグネシウムイオンによって架橋されたポリアクリル酸マグネシウムゲル(含水ゲル)を得た。
この含水ゲルをイオン交換水で洗浄した。洗浄された含水ゲルを、紙(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で拭き、含水ゲル表面の水を除去した。その後、含水ゲルを、120℃1時間でホットプレスして水分を除去し、輻射シートを得た。得られた輻射シートをシート6とした。得られた輻射シートの厚さを表1に記す。
【0067】
得られた輻射シート(シート1~6)を用いて、以下の方法に従って、各シートの、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率の測定と、輻射性能評価とを行った。
【0068】
<120℃で150分間加熱された場合の質量減少率の測定>
熱電対付きの板状のラバーヒーター(スリーハイ社製)上に、第1の熱伝導材料層(信越化学工業株式会社製N-777、厚さ0.05mm、熱伝導率3W/mK)と、シリコン層(厚さ0.6mm)と、第2の熱伝導材料層(厚さ0.05mm、信越化学工業株式会社製N-777、厚さ0.05mm、熱伝導率3W/mK)とをこの順で積層した。
第2の熱伝導材料層上に、上記で得た輻射シートを、縦3cm×横4cm×厚さ500μmの直方体に切り出した輻射シート片を載せ、ラバーヒーターの温度が120℃で一定に保たれるように、150分間ラバーヒーターを加熱した。
加熱前後のシートの質量から、下記式(1)により、「120℃で150分間加熱された場合の質量減少率」を求めた。結果を、表1の「質量減少率(%)」欄に記載する。
A=(x-y)/x×100 ・・・(1)
(式中、Aは、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率(%)である。
xは、加熱前のシートの質量(g)である。
yは、加熱後のシートの質量(g)である。)
【0069】
<輻射性能評価>
[実施例1~6の輻射シート(シート1~6)の輻射性能評価]
熱電対付きの板状のラバーヒーター(スリーハイ社製)上に、第1の熱伝導材料層(厚さ0.05mm、信越化学工業株式会社製N-777)と、シリコン層(厚さ0.6mm)とをこの順で積層した。
シリコン層上に、上記で得た輻射シートを縦3cm×横4cm×厚さ500μmの直方体に切り出した輻射シート片を、積層した状態で、ラバーヒーターを加熱しながら、ラバーヒーターの温度が上がらなくなった温度を測定して、各輻射シートの輻射性能を評価した。
なお、ラバーヒーターは、実施例1~6の輻射シートを積層しない状態で、155.7℃で温度が一定に保たれるように加熱し続けた。シリコン層上に輻射シート片を積層しない試験を比較例1とした。
ラバーヒーターの温度が上がらなくなった際の到達温度が低いほど、輻射シートの輻射による放熱性能が高いことを意味する。
各実施例及び比較例について、ラバーヒーターの温度が上がらなくなった際の到達温度を表1に記す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1によれば、ポリアクリル酸ナトリウムが2価以上の金属イオンを含む金属化合物からなる架橋剤で架橋された架橋体を含み、水を含むか、又は含まない組成物からなり、120℃で150分間加熱された場合の質量減少率が38質量%以下である実施例1~6の輻射シートは、到達温度がいずれも105℃以下であり、45℃以上の放熱効果があり、輻射による放熱性能に極めて優れることが分かる。中でも、無機フィラーを含む輻射シートや、マグネシウムイオンを含む金属化合物で架橋された架橋体を含む輻射シートは、特に放熱性能に優れることが分かる。
【符号の説明】
【0072】
4 電子部品
10 放熱装置
12 放熱板
12a 熱吸収面
12b 熱放出面
図1