(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159499
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】飽和固有色のコーティングを備える時計又は宝飾品のための外装部品及び前記外装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/06 20060101AFI20241031BHJP
C23C 14/58 20060101ALI20241031BHJP
C23C 8/24 20060101ALI20241031BHJP
G04B 37/22 20060101ALI20241031BHJP
C23C 28/00 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C23C14/06 A
C23C14/58 A
C23C8/24
G04B37/22 N
C23C28/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024026455
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】23170406.5
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】フォルナバイオ、 マルタ
(72)【発明者】
【氏名】タバード、 ルーシー
(72)【発明者】
【氏名】スパソフ、 ヴラディスラフ
(72)【発明者】
【氏名】クルショド、 ロイク
【テーマコード(参考)】
4K028
4K029
4K044
【Fターム(参考)】
4K028AA02
4K028AB02
4K028AC08
4K028CA01
4K028CD01
4K028CE02
4K029AA02
4K029AA06
4K029AA07
4K029AA24
4K029BA07
4K029BA16
4K029BA17
4K029BA43
4K029BA58
4K029BB02
4K029BB07
4K029BC07
4K029BD06
4K029BD07
4K029CA01
4K029CA03
4K029CA06
4K029DB20
4K029DB21
4K029DC03
4K029DD06
4K029EA01
4K029EA08
4K029GA01
4K044AA13
4K044AB02
4K044BA02
4K044BA18
4K044BB03
4K044BC09
4K044CA12
4K044CA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板の構造を保持するために1つ以上の薄い層によって得られ、その外観が使用者の視角によって変化せず、劣化することなく機械的応力を受けるように適合された、明るい飽和色、例えば赤色を有する外装部品、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】時計又は宝飾品の外装部品(10)であって、基板(11)を備え、基板(11)の表面に、300nmから10μmの厚さ及び固有の飽和色を有するタンタルTa系の窒化物又は酸窒化物を含むコーティング(12)が広がることを特徴とする外装部品(10)である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計又は宝飾品の外装部品(10)であって、それは基板(11)を備え、前記基板(11)の表面に、所定の色を有するように300nmから10μmの厚さを有するタンタルTa系の窒化物又は酸窒化物を含むコーティング(12)が広がることを特徴とする、外装部品(10)。
【請求項2】
前記コーティング(12)は1μmから3μmの厚さを有する、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項3】
前記コーティング(12)は2μmに等しい厚さを有する、請求項2に記載の外装部品(10)。
【請求項4】
前記コーティング(12)は、化学量論的組成が実質的に斜方晶系Ta3N5に近いか又は等しい窒化タンタルで作られる、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項5】
前記コーティングは、0から5原子%の範囲の酸素の添加によって生成される、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項6】
前記コーティング(12)は、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、20より大きい、好ましくは50より大きい座標a*及びb*によって特徴付けられる赤色を有する、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項7】
前記コーティング(12)は、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、座標L*=[30;50]、a*=[50;70]、及びb*=[60;80]によって特徴付けられる赤色を有する、請求項6に記載の外装部品(10)。
【請求項8】
前記コーティング(12)は、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、座標L*=42、a*=58、及びb*=72によって特徴付けられる赤色を有する、請求項7に記載の外装部品(10)。
【請求項9】
前記コーティング(12)は、BがタンタルTaであり、AがBa、Ca、Nd、La、Sr、Eu及びYbから選択される金属元素である、AB(O,N)型の組成物を形成する、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項10】
前記コーティング(12)は、BaTaO2N、CaTaO2N、NdTaO2N、LaTaO2N、SrTaO2N、EuTaO2N又はYb2Ta2O5N2で作られる、請求項9に記載の外装部品(10)。
【請求項11】
時計又は宝飾品の外装部品(10)を製造するための方法であって、
・基板(11)上に300nmから10μmの厚さを有するタンタルTa系金属酸化物の薄層を堆積させるステップと、
・少なくとも1つの金属窒化物又は酸窒化物を含むコーティング(12)を形成するために前記薄層を窒化するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記堆積ステップ中、堆積した前記薄層はTaOxで作られ、前記窒化ステップは、化学量論的組成が実質的に斜方晶系Ta3N5に等しい窒化タンタルで前記コーティング(12)が作られるように行われる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記堆積ステップ中、堆積した前記薄層はTaOxで作られ、Ba、Sr、Ca、Nd、La、Eu又はYbから選択される少なくとも1つの金属元素と組み合わされる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記窒化ステップは、600°Cから1200°Cの温度で10時間から60時間、好ましくは700°Cから1000°Cの温度で20時間から50時間行われる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記窒化ステップは、900°Cの温度で40時間行われる、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計製造又は宝飾品の分野に関し、より詳細には、本質的に色付きのコーティングを備える時計又は宝飾品の外装部品、及び前記外装部品を製造する方法に関する。
【0002】
本明細書において、「外装部品」という用語は、例えば、使用者に見えるように意図されたケース、文字盤、文字盤アップリケ、針、ベゼル、クラウン、ブレスレットリンクなどから成る、時計製造又は宝飾品の分野におけるあらゆる装飾品を指す。
【0003】
好ましくは、本発明は、固有色が赤の色合いであるコーティングを備える時計又は宝飾品の外装部品に関する。
【背景技術】
【0004】
時計製造又は宝飾品の分野では、より一般的には装飾品の分野では、塗装、ニス塗り又はエナメル加工による堆積法が必ずしも適切であるとは限らない。
【0005】
実際、一方では、装飾される物品の表面に塗布される材料の層は、厚すぎて、表面構造、例えば、ブラッシュ仕上げの表面、サンレイブラッシュ仕上げの表面、サンドブラスト仕上げの表面又はレーザー構造化表面などを見せることができず、他方では、この層の寿命及びその結果としての色は、必ずしも満足できるものではない。
【0006】
したがって、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)及び原子層蒸着(ALD)などの薄層真空蒸着技術が好ましい。実際、これらの薄層真空蒸着技術は、薄くて耐性のある層の堆積を可能にし、これらの層は一般に、小さくて摩擦を受けやすい部品をコーティングするのに適しており、例えば、微細な表面構造を備える。
【0007】
しかしながら、これらの堆積技術により多数の固有色のコーティングを得ることができるという事実にもかかわらず、これらの方法の実施により、工業的規模で、赤色の濃淡、特に明るく鮮やかな赤色などの特定の固有色を得ることはできない。
【0008】
また、所定の色を生成するための干渉光学系を形成するために、薄層のスタックを堆積させることも知られている。しかしながら、色の知覚は、視角に依存する可能性が高い。さらに、生成される色が薄層の厚さに大きく依存する限り、薄層の積み重ねには製造上の大きな制約がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、基板の構造を保持するために1つ以上の薄い層によって得られ、その外観が使用者の視角によって変化せず、劣化することなく機械的応力を受けるように適合された、明るい飽和色、例えば赤色を有する外装部品を得る必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、時計又は宝飾品の外装部品であって、基板を備え、基板の表面に、所定の色を有するようにその厚さが300nmから10μmであるタンタルTa系の金属窒化物又は酸窒化物を含むコーティングが広がる、外装部品に関する。
【0011】
特定の実施形態では、本発明はさらに、単独で又は技術的に可能なあらゆる組み合わせで、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0012】
特定の実施形態では、コーティングは1μmから3μmの厚さ、好ましくは2μmの厚さを有する。
【0013】
特定の実施形態では、赤色コーティングは、明るい赤色を有するように、化学量論的組成が実質的にTa3N5に近いか又は等しい窒化タンタルTaで作られる。
【0014】
特定の実施形態では、コーティングは、0~5原子%の範囲の酸素の添加によって生成される。
【0015】
特定の実施形態では、コーティングは、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、10°の観察者及び測定ジオメトリd:0°で、20より大きい座標a*及びb*、好ましくは50より大きい座標a*及びb*によって、さらに好ましくは座標L*=[30;50]、a*=[50;70]及びb*=[60;80]、特にL*=42、a*=58及びb*=72によって特徴付けられる赤色を有する。
【0016】
特定の実施形態では、コーティングは、BがタンタルTaであり、Aが金属元素であるAB(O,N)型の組成物を形成する。
【0017】
特定の実施形態では、金属元素Aは、好ましくは、Ba、Ca、Nd、La、Sr、Eu及びYbから選択される。コーティングは、それぞれBaTaO2N、CaTaO2N、NdTaO2N、LaTaO2N、SrTaO2N、EuTaO2N又はYb2Ta2O5N2に実質的に近いか又は等しい組成物を含む。
【0018】
別の目的によれば、本発明は、例えば上記のような、時計又は宝飾品の外装部品を製造する方法であって、
・基板上に300nmから10μmの厚さを有するタンタルTa系金属酸化物の薄層を堆積させるステップと、
・ 少なくとも1つの金属窒化物又は酸窒化物を含むコーティングを形成するために薄層を窒化するステップと
を含む方法に関する。
【0019】
特定の実施では、堆積層を窒化するステップは、コーティング材料の酸窒化物を生成するのに不完全である。
【0020】
特定の実施では、堆積ステップ中、堆積した薄層はTaOxで作られ、窒化ステップは、コーティングが赤色を有するように、化学量論的組成が実質的に斜方晶系Ta3N5に近いか又は等しい窒化タンタルTaでコーティングが作られるように行われる。
【0021】
特定の実施では、堆積ステップ中、堆積した薄層はTaOxで作られ、Ba、Ca、Nd、La、Sr、Eu又はYbから選択される少なくとも1つの金属元素と組み合わされる。
【0022】
特定の実施では、窒化ステップは、600°Cから1200°Cの温度で10時間から60時間、好ましくは700°Cから1000°Cの温度で20時間から50時間、好適な雰囲気で行われる。
【0023】
特定の実施では、窒化ステップは、900°Cの温度で40時間、好適な雰囲気で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の
図1を参照して、非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】本発明の好ましい実施形態による外装部品の断面図を概略的に示す。
【0025】
図は、明確にするために必ずしも縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、
図1に概略的に示すように、時計又は宝飾品の外装部品10であって、基板11を備え、基板11の可視表面に金属窒化物又は酸窒化物を含むコーティング12が広がる外装部品10に関する。コーティング12は、本明細書で後述するように、コーティング12を構成する金属に応じて所定の色を有する。
【0027】
コーティング12は、その色が飽和するのに十分な厚さであるが、同時に、基板11の表面の構造を消さないようにかつ外装部品10の適合性に影響を与えないように十分に薄い。このために、コーティング12の厚さは、300nmから10μm、好ましくは1μmから3μmである。さらに好ましくは、コーティング12の厚さは2μmである。
【0028】
基板11を構成する材料は、有利には、以下により詳細に説明するように、金属酸化物層の堆積及び前記層の窒化の条件に耐えることができるように選択される。
【0029】
例えば、基板11は、ジルコニア又はサファイアなどのセラミック材料、又はステンレス鋼などの金属合金で作られてもよいし、シリコンで作られてもよい。
【0030】
有利には、外装部品10は、基板11とコーティング12との間に介在する、Ti、Cr、又は当業者に知られている他の好適な金属で作られた結合層13を含むことができる。結合層13は、20nmから500nmの厚さ、好ましくは100nmの厚さを有する。
【0031】
本発明の好ましい例示的な実施形態では、コーティング12は、化学的かつ構造的に実質的に斜方晶系Ta
3N
5に近いか又は等しい窒化タンタルで作られる。この金属窒化物は、観察者が10°の状態で、鏡面反射を含む場合(SCI、測定ジオメトリdi:8°)と含まない場合(SCE、測定ジオメトリde:8°)に、標準光源D65の反射モードでのCieLAB色空間における以下の座標によって定義される、明るい赤色、すなわち飽和色を有する。
【表1】
【0032】
基板11を構成する材料がサファイアである場合、コーティング12は、直接的に観察することができ、すなわち、観察者と基板11との間にコーティング12が配置され、又は間接的に観察することができ、すなわち、観察者とコーティング12との間に基板11が配置され、したがって、後者は基板11を通して観察される。コーティング12が間接的に観察される本発明の利用の場合、外装部品10は、コーティング12の色の知覚を低下させないように結合層13を含まないことに留意すべきである。
【0033】
上の表は、直接観察下でのコーティング12の色の座標を示し、下の表は、間接観察下でのコーティング12の色の座標を示す。
【表2】
【0034】
サファイア基板11に堆積したコーティング12の明るい赤色は、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、標準光源D65の透過モードでの比色定量測定中に得られた値L*=42、a*=58及びb*=72によって特徴付けることができる。好ましくは、座標a*及びb*が20より大きい、好ましくは50より大きい赤色を得ることが望ましい。より詳細には、座標がL*=[30;50]、a*=[50;70]及びb*=[60;80]である赤色を得ることが望ましい。
【0035】
本発明の他の例示的な実施形態では、コーティング12は、Aが金属元素であり、BがタンタルTaであるAB(O,N)型の組成物で形成することができる。この特徴により、コーティング12が多種多様な色を有することができるように、異なる色の金属酸窒化物を選択することができる。
【0036】
実施例では、金属元素Aは、Ba、Ca、Nd、La、Sr、Eu及びYbから選択される。したがって、コーティング12は、暗赤色又は褐色を有するBaTaO2N、緑色又は黄色を有するCaTaO2N、赤色又は褐色を有するNdTaO2N、オレンジ色を有するSrTaO2N、赤色又はオレンジ色を有するLaTaO2N、褐色を有するEuTaO2N、又は緑色を有するYb2Ta2O5N2に実質的に近いか又は等しい組成を有するように形成することができる。
【0037】
本発明はまた、例えば上記のような、時計又は宝飾品のための外装部品10を製造する方法に関する。
【0038】
方法は、基板11上に金属酸化物を含む薄層を、薄層が300nmから10μmの間で選択される厚さを有するように堆積させるステップを含む。この堆積ステップの後に、金属窒化物又は酸窒化物のコーティング12を形成するために薄層を窒化するステップが続く。
【0039】
好ましくは、堆積した薄層はTaOxで作られる。詳細には、この好ましい実施例では、堆積ステップは、タンタルTaターゲットとO2から成る反応性ガスとを用いたPVD蒸着法を実施することによって行われる。詳細には、薄層は、陰極スパッタリングによって、気相電子ビーム蒸着によって、アークによって又はパルスレーザービームアブレーションによって堆積させることができる。
【0040】
したがって、堆積ステップの最後に、堆積した薄層はTaOxで作られ、窒化ステップは、コーティング12が赤色のTa3N5で作られるように行われる。
【0041】
詳細には、窒化ステップは、数百°Cに加熱された炉の囲いの中で数時間、薄層を、例えばアンモニアの熱分解から生じる好適な雰囲気にさらすことから成る。より具体的には、窒化ステップは、600°Cから1200°Cの温度で10時間から60時間、好ましくは700°Cから1000°Cの温度で20時間から50時間行われる。最も好ましい実施例では、窒化ステップは、900°Cの温度で40時間行われる。例として、窒化ステップ中、炉の囲いの中で分解されるアンモニアの流量は200ml/分である。
【0042】
方法の一変形例では、堆積層の窒化は、コーティング材料12の酸窒化物を生成するのに完全ではない。
【0043】
また、薄層堆積ステップ中、いくつかの異なる金属源又は合金金属源から薄層を堆積させて、窒化ステップの最後に、コーティング12が、Aが金属元素であり、BがタンタルTaであるAB(O,N)型の組成物を含むようにすることも可能である。
【0044】
製造方法は、有利には、例えばCVD、ALD又はPVD蒸着法によって、コーティング12を堆積させるステップを行う前に、上記のように結合層13を堆積させるステップを含むことができる。有利には、結合層13の堆積ステップ及びコーティング12の堆積ステップは、同じ堆積エンクロージャ内で連続的に行うことができ、前記エンクロージャ内の圧力は、2つの堆積の間維持される。これらの堆積ステップは、少なくとも2つの異なる材料源を必要とし、材料源の1つは、基板11上に結合層13を形成するために使用されることが意図されており、材料源の1つは、結合層13上のコーティング12を形成するために使用されることが意図されている。
【0045】
より一般的には、上記の実施及び実施形態は、非限定的な例として説明されていること、したがって他の変形例が可能であることに留意すべきである。
【0046】
詳細には、特定の装飾を形成するために窒化ステップの前又は後に薄層をその全厚にわたって選択的に構造化するステップを行うことが可能である。このようなステップは、フォトリソグラフィ法、レーザーアブレーションなどを用いて行うことができる。
【0047】
同じ目的で、基板11の表面を構造化する予備ステップを行うことも可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計又は宝飾品の外装部品(10)であって、前記外装部品(10)は基板(11)を備え、前記基板(11)の表面に、所定の色を有するように300nmから10μmの厚さを有するタンタルTa系の窒化物又は酸窒化物を含むコーティング(12)が広がることを特徴とする、外装部品(10)。
【請求項2】
前記コーティング(12)は1μmから3μmの厚さを有する、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項3】
前記コーティング(12)は2μmに等しい厚さを有する、請求項2に記載の外装部品(10)。
【請求項4】
前記コーティング(12)は、化学量論的組成が実質的に斜方晶系Ta3N5に近いか又は等しい窒化タンタルで作られる、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項5】
前記コーティングは、0から5原子%の範囲の酸素の添加によって生成される、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項6】
前記コーティング(12)は、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、20より大きい座標a*及びb*によって特徴付けられる赤色を有する、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項7】
前記コーティング(12)は、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、座標L*=[30;50]、a*=[50;70]、及びb*=[60;80]によって特徴付けられる赤色を有する、請求項6に記載の外装部品(10)。
【請求項8】
前記コーティング(12)は、標準光源D65の透過モードでのCieLAB色空間において、観察者が10°、測定ジオメトリd:0°の状態で、座標L*=42、a*=58、及びb*=72によって特徴付けられる赤色を有する、請求項7に記載の外装部品(10)。
【請求項9】
前記コーティング(12)は、BがタンタルTaであり、AがBa、Ca、Nd、La、Sr、Eu及びYbから選択される金属元素である、AB(O,N)型の組成物を形成する、請求項1に記載の外装部品(10)。
【請求項10】
前記コーティング(12)は、BaTaO2N、CaTaO2N、NdTaO2N、LaTaO2N、SrTaO2N、EuTaO2N又はYb2Ta2O5N2で作られる、請求項9に記載の外装部品(10)。
【請求項11】
時計又は宝飾品の外装部品(10)を製造するための製造方法であって、
・基板(11)上に300nmから10μmの厚さを有するタンタルTa系金属酸化物の薄層を堆積させるステップと、
・少なくとも1つの金属窒化物又は酸窒化物を含むコーティング(12)を形成するために前記薄層を窒化するステップと
を含む製造方法。
【請求項12】
前記堆積させるステップ中、堆積した前記薄層はTaOxで作られ、前記窒化するステップは、化学量論的組成が実質的に斜方晶系Ta3N5に等しい窒化タンタルで前記コーティング(12)が作られるように行われる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記堆積させるステップ中、堆積した前記薄層はTaOxで作られ、Ba、Sr、Ca、Nd、La、Eu又はYbから選択される少なくとも1つの金属元素と組み合わされる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記窒化するステップは、600°Cから1200°Cの温度で10時間から60時間行われる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記窒化するステップは、900°Cの温度で40時間行われる、請求項14に記載の製造方法。
【外国語明細書】