(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015952
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 5/06 20060101AFI20240130BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240130BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240130BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01F5/06 Q
H01F17/00 B
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/32 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002376
(22)【出願日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0091925
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジュ ホワン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ フン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ドー ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒ フン
(72)【発明者】
【氏名】カン、イン ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボウム セオク
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
【Fターム(参考)】
5E044BB05
5E044BB06
5E070AB08
5E070CB06
5E070CB12
(57)【要約】
【課題】コイル耐電圧が向上し、外部端子の露出面のバリ(burr)が改善され、直流抵抗(Rdc)特性及び散布向上が可能なコイル部品を提供する。
【解決手段】
本開示は、本体と、上記本体内に配置されるコイルと、上記本体内で上記コイルの少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を含み、上記絶縁膜は、不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位及びパリレン単量体から誘導された繰り返し単位を含む共重合体を含む、コイル部品に関するものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置されるコイルと、
前記本体内で前記コイルの少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を含み、
前記絶縁膜は、不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位及びパリレン単量体から誘導された繰り返し単位を含む共重合体を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記不飽和結合は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、及びエチレンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記不飽和結合を含む単量体は、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチル-ジシロキサン、4-ビニルピリジン、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレン、スチレン及びメチルメタクリレートの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記不飽和結合は、アクリレート基及びメタクリレート基の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記不飽和結合を含む単量体は、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記共重合体は、前記不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位の少なくとも1つの両末端のそれぞれの少なくとも一つにそれぞれ前記パリレン単量体から誘導された繰り返し単位の少なくとも1つが結合された構造を含む、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記パリレン単量体は、パリレン-N-ダイマー及びパラ-キシレンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記絶縁膜は、1μm~10μm厚さの単一層である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記本体は磁性物質を含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記本体内に配置される基板と、をさらに含み、
前記コイルは、前記基板の一面及び他面にそれぞれ配置される平面スパイラル状の第1及び第2コイルパターン、前記基板を貫通して前記第1及び第2コイルパターンを電気的に連結するビアと、前記第1及び第2コイルパターンのそれぞれの最外側ターンから延びる第1及び第2引き出し部を含む、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記絶縁膜は、前記第1及び第2コイルパターンと前記第1及び第2引き出し部のそれぞれの外側面とトップ面の少なくとも一部を覆い、前記第1及び第2コイルパターンのそれぞれのパターン間のギャップの少なくとも一部を満たし、前記第1及び第2コイルパターンのそれぞれと前記第1及び第2引き出し部のそれぞれの間のギャップの少なくとも一部を満たす、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記本体上に配置される電極と、をさらに含み、
前記電極は、前記本体の一側面及び他側面上にそれぞれ配置され、前記第1及び第2引き出し部にそれぞれ連結される第1及び第2外部電極を含む、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記本体上に配置される電極と、をさらに含み、
前記電極は、前記本体の下面上に互いに離隔して配置され、前記第1及び第2引き出し部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極を含む、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項14】
本体と、
前記本体内に配置されるコイルと、
前記本体内で前記コイルの少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を含み、
前記絶縁膜は、下記[化学式1]で表される構造を含む共重合体を含み、
[化学式1]
【化1】
R
1はC
2~C
6の飽和炭化水素鎖であり、R
2及びR
3はそれぞれ水素またはC
1~C
10のアルキル基であり、a及びbはそれぞれ2~2500の整数である、コイル部品。
【請求項15】
前記[化学式1]で表される構造は、下記[化学式2]または[化学式3]で表される構造を含み、
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
a1、a2及びbはそれぞれ2~2500の整数である、請求項14に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記絶縁膜は薄膜コーティング層の形態である、請求項14に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、携帯電話、ノートブックなどの電子機器の小型化及び薄型化に伴い、このような電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び高容量化が求められている。ここで、磁性物質の単価を下げる方向を模索しながら、パワーインダクタの主力が積層型から薄膜型及び巻線型に移動していることが実情である。
【0003】
一方、薄膜型パワーインダクタの場合、コイルを構成する導体パターンと本体を構成する磁性材料との接触を防止することが求められ、このために導体パターンの表面に絶縁膜を形成することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示のいくつかの目的の1つは、コイル耐電圧が向上したコイル部品を提供することである。
【0005】
本開示のいくつかの目的の1つは、外部端子の露出面のバリ(burr)が改善されたコイル部品を提供することである。
【0006】
本開示のいくつかの目的の1つは、直流抵抗(Rdc)特性及び散布向上が可能なコイル部品を提供することである。
【0007】
本開示のいくつかの目的の1つは、コイルと本体内の磁性体との間の熱膨張係数(CTE)のマッチングが可能なコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示を介して提案するいくつかの解決手段の1つは、不飽和結合を含む単量体とパリレン単量体の共重合体を含む有機薄膜材料を用いてコイルの表面に絶縁膜を形成することである。
【0009】
例えば、一例によるコイル部品は、本体と、上記本体内に配置されるコイルと、上記本体内で上記コイルの少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を含み、上記絶縁膜は、不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位及びパリレン単量体から誘導された繰り返し単位を含む共重合体を含むものであることができる。
【0010】
例えば、一例によるコイル部品は、本体と、上記本体内に配置されたコイルと、上記本体内で上記コイルの少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を含み、上記絶縁膜は、下記[化学式1]で表される構造を含む共重合体を含み、下記[化学式1]において、R
1はC
2~C
6の飽和炭化水素鎖であり、R
2及びR
3はそれぞれ水素またはC
1~C
10のアルキル基であり、a及びbはそれぞれ2~2500の整数であることもできる。
[化学式1]
【化1】
【発明の効果】
【0011】
本開示の様々な効果の一効果として、有機薄膜層である絶縁膜を介してコイル耐電圧が向上したコイル部品を提供することができる。
【0012】
本開示の様々な効果のうち他の一効果として、有機薄膜層である絶縁膜を介して外部端子の露出面のバリが改善されたコイル部品を提供することができる。
【0013】
本開示の様々な効果のうちまた他の一効果として、外部端子のバリ改善を介して直流抵抗特性及び散布向上が可能なコイル部品を提供することができる。
【0014】
本開示の様々な効果のうちまた他の一効果として、有機薄膜層である絶縁膜を介してコイルと本体内の磁性体間の熱膨張係数マッチングが可能なコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】電子機器に適用されるコイル部品の例を概略的に示した図面である。
【
図2】コイル部品の一例を概略的に示した斜視図である。
【
図3】
図2のコイル部品のI-I'線に沿った断面の一例を概略的に示した図面である。
【
図4】
図2のコイル部品のII-II'線に沿った断面の一例を概略的に示した図面である。
【
図5】
図2のコイル部品の第1引き出し部が露出する本体の一側面の一例を概略的に示した図面である。
【
図6】
図2のコイル部品の第2引き出し部が露出する本体の他側面の一例を概略的に示した図面である。
【
図7】コイル部品の他の一例を概略的に示した斜視図である。
【
図8】
図7のコイル部品のIII-III'線に沿った断面の一例を概略的に示した図面である。
【
図9】
図7のコイル部品の第1及び第2引き出し部が露出する本体の下面の一例を概略的に示した図面である。
【
図10】実施例によるコイル部品の絶縁膜の厚さを測定するための断面の様々な例を概略的に示した図面である。
【
図11】実施例によるコイル部品の絶縁膜の厚さを測定するための断面の様々な例を概略的に示した図面である。
【
図12】実施例によるコイル部品の絶縁膜の厚さを測定するための断面の様々な例を概略的に示した図面である。
【
図13】実施例によるコイル部品の引き出し部上の絶縁膜の損傷の有無を確認するための断面を概略的に示した図面である。
【
図14】比較例によるコイル部品の引き出し部上の絶縁膜の損傷の有無を確認するための断面を概略的に示した図面である。
【
図15】実施例及び比較例によるコイル部品の直流抵抗(Rdc)及び散布を概略的に示した図面である。
【
図16】実施例によるコイル部品の絶縁膜の材料をFT-IRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【
図17】比較例によるコイル部品の絶縁膜の材料をFT-IRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【
図18】実施例によるコイル部品の絶縁膜の材料をH-NMRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【
図19】実施例によるコイル部品の絶縁膜の材料をC-NMRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照して本開示をより詳細に説明する。図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0017】
電子機器
図1は、電子機器に適用されるコイル部品の例を概略的に示した図面である。図面を参照すると、電子機器には、様々な種類の電子部品が用いられていることが分かる。例えば、Application Processorを中心に、DC/DC、Comm.Processor、WLAN BT/WiFi FM GPS NFC、PMIC、Battery、SMBC、LCD AMOLED、Audio Codec、USB2.0/3.0HDMI(登録商標)、CAMなどが用いられることができる。このとき、このような電子部品の間には、ノイズ除去などを目的として様々な種類のコイル部品がその用途に応じて適宜適用されることができる。例えば、パワーインダクタ(Power Inductor)1、高周波インダクタ(HF Inductor)2、通常のビード(General Bead)3、高周波用ビード(GHz Bead)4、通常モードフィルタ(Common Mode Filter)5などが挙げられる。
【0018】
具体的には、パワーインダクタ(Power Inductor)1は、電気を磁場の形で蓄えて出力電圧を維持して電源を安定させる用途などで用いられることができる。また、高周波インダクタ(HF Inductor)2は、インピーダンスをマッチングして必要な周波数を確保するか、ノイズ及び交流成分を遮断するなどの用途で用いられることができる。また、通常のビード(General Bead)3は、電源及び信号ラインのノイズを除去するか、高周波リップルを除去するなどの用途で用いられることができる。さらに、高周波用ビード(GHz Bead)4は、オーディオに関連する信号ライン及び電源ラインの高周波ノイズを除去するなどの用途で用いられることができる。また、通常モードフィルタ(Common Mode Filter)5は、ディファレンシャルモードでは電流を通過させ、通常モードノイズのみを除去するなどの用途で用いられることができる。
【0019】
電子機器は、代表的にスマートフォン(Smart Phone)であることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニタ(monitor)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)であることもできる。これらの以外にも、通常の技術者に広く知られた様々な電子機器などであることもできる。
【0020】
コイル部品
以下では、本開示のコイル部品を説明するが、便宜上、パワーインダクタ(Power Inductor)の構造を例を挙げて説明するが、上述したように他の様々な用途のコイル部品にも本開示のコイル部品が適用されることもできる。
【0021】
図2は、コイル部品の一例を概略的に示した斜視図であり、
図3は、
図2のコイル部品のI-I'線に沿った断面の一例を概略的に示した図面であり、
図4は、
図2のコイル部品のII-II'線に沿った断面の一例を概略的に示した図面であり、
図5は、
図2のコイル部品の第1コイルの第1引き出し部が露出する本体の一側面の一例を概略的に示した図面であり、
図6は、
図2のコイル部品の第2コイルの第2引き出し部が露出する本体の他側面の一例を概略的に示した図面である。
【0022】
図面を参照すると、一例によるコイル部品100Aは、本体10、本体10内に配置されるコイル20、及び本体10内でコイル20の少なくとも一部を覆う絶縁膜30を含む。必要に応じて、本体10内に配置される基板40及び本体10上に配置される電極50をさらに含むことができ、コイル20は、基板40上に配置されて電極50と電気的に連結されることができる。
【0023】
絶縁膜30は、不飽和結合を含む単量体とパリレン単量体の共重合体を含むことができる。共重合体は、不飽和結合を含む単量体から繰り返し単位及びパリレン単量体から誘導された繰り返し単位を含むことができる。不飽和結合を含む単量体とパリレン単量体は、架橋結合で連結されることができる。絶縁膜30は有機材料を含んでいることから、コイル20のパターン間のショートとコイル20と本体10の磁性体材料間のショートを防止することができる。また、絶縁膜30がこのような繰り返し単位を有する共重合体を含むことから、単にパリレンコーティングで絶縁膜30を形成する場合に比べて優れた接着力及び熱安定性を有することができる。
【0024】
より具体的には、薄膜インダクタなどにおいて、コイルの絶縁膜でパリレン重合体をコーティングすることを考えることができるが、単にパリレンを重合してコーティング層を形成することでは、十分な接着力と熱安定性を有し難い。したがって、より強固な材料の合成が必要であり、このような観点から一例では不飽和結合を含む単量体とパリレン単量体の共重合体を絶縁膜30の材料として用いる。例えば、不飽和結合基を有する反応性単量体とパリレンを形成するためのパリレン-N-ダイマーを分解し、気相蒸着(vapor deposition)工程によって気体上でこれらを共重合させ、薄膜コーティング層の形態で絶縁膜30を形成することができる。
【0025】
一方、不飽和結合は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基及びエチレンの少なくとも1つを含むことができる。この場合、反応性単量体としてパリレン単量体とより効果的に共重合されることができる。例えば、不飽和結合を含む単量体は、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン(2,4,6,8-tetramethyl-2,4,6,8-tetravinylcyclotetrasiloxane;V4D4)、1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(1,3,5-trimethyl-1,3,5-trivinyl-cyclotrisiloxane;V3D3)、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチル-ジシロキサン(1,3-diethenyl-1,1,3,3-tetramethyl-disiloxane;V2D2)、4-ビニルピリジン(4-vinylpyridine、4VP)、ジビニルベンゼン(divinylbenzene;DVB)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(diethyleneglycoldivinylether;DEGDVE)、エチレングリコールジアクリレート(ethyleneglycoldiacrylate;EGDA)、エチレングリコールジメタクリレート(ethyleneglycoldimethacrylate;EGDMA)、グリシジルメタクリレート(glycidylmethacrylate;GMA)、エチレン(ethylene)、スチレン(stylene)及びメチルメタクリレート(methylmethacrylate;MMA)の少なくとも1つを含むことができる。但し、これに限定されるものではない。
【0026】
一方、不飽和結合は、より好ましくは、アクリレート基及びメタクリレート基の少なくとも一つを含むことができる。例えば、不飽和結合を含む単量体は、より好ましくは、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びメチルメタクリレートの少なくとも1つを含むことができる。但し、これに限定されるものではない。
【0027】
一方、パリレン単量体は、不飽和結合を含む単量体との架橋結合後の共重合体内でパリレン構造を有することができる単量体であることができる。例えば、パリレン単量体は、パリレン-N-ダイマー、パラ-キシレンなどであることができるが、これに限定されるものではない。パリレン-N-ダイマーに熱が加わると単量体の蒸気分解が進行されることができ、その結果、架橋結合が可能な熱分解単量体が得られることができる。すなわち、本開示におけるパリレン単量体は、不飽和結合を含む単量体と共重合反応してパリレン構造を提供する化合物を含む概念であり、パリレン-N-ダイマーのように分解前の2つのモノマーが連結された形態も含むことができる。
【0028】
一方、共重合体の繰り返し単位は、不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位の少なくとも1つの両末端のそれぞれの少なくとも一つにそれぞれパリレン単量体から誘導された繰り返し単位の少なくとも1つが結合された構造を含むことができる。この場合、より強固な材料の合成が可能である。
【0029】
例えば、共重合体は、[化学式1]で表される構造を含むことができる。
[化学式1]
【化1】
【0030】
ここで、R1はC2~C6の飽和炭化水素鎖であることができる。飽和炭化水素鎖は直鎖または分枝鎖状であることができる。例えば、C2~C6の飽和炭化水素鎖は-(CH2-CH2)-、-(CH2-CH2-CH2)-、-(CH(-CH3)-CH2)-、-(CH2-CH(-CH3))-、-(CH2-CH2-CH2-CH2)-、-(CH(-CH3)-CH2-CH2)-、-(CH2-CH2-CH(-CH3))-、-(CH2-CH2-CH2-CH2-CH2)-、-(CH2-CH(-CH3)-CH2-CH2)-、-(CH2-CH(-CH2-CH3)-CH2)-、-(CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2)-、-(CH2-CH(-CH3)-CH2-CH2-CH2)-、-(CH2-CH(-CH2-CH3)-CH2-CH2)-、-(CH2-CH(-CH2-CH2-CH3)-CH2)-などであることができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
また、R2及びR3はそれぞれ水素またはC1~C10のアルキル基であることができる。C1~C10のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などであることができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
また、a及びbは、それぞれ2~2500の整数であることができるが、これに限定されるものではない。a及びbの数に応じて繰り返し単位の数が調節されることができ、分子量(Mn)が調節されることができる。
【0033】
一方、[化学式1]において、各繰り返し単位は互いに様々な組み合わせで結合されることができる。例えば、不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位の一末端は、両方ともパリレン単量体から誘導された繰り返し単位と結合されるか、一方はパリレン単量体に誘導された繰り返し単位と結合され、他方は不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位と結合されるか、または両方とも不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位と結合されることができる。同様に、不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位の他末端は、両方ともパリレン単量体から誘導された繰り返し単位と結合されるか、一方はパリレン単量体に誘導される繰り返し単位と結合され、他方は不飽和結合を含む単量体から誘導される繰り返し単位と結合されるか、または両方とも不飽和結合を含む単量体から誘導された繰り返し単位と結合されることができる。
【0034】
制限されない一例として、[化学式1]で表される構造は、[化学式2]または[化学式3]で表される構造を含むことができる。
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
【0035】
ここで、a1、a2、及びbは、それぞれ2~2500の整数であることができるが、これに限定されるものではない。a1、a2、及びbの数に応じて繰り返し単位の数が調節されることができ、分子量(Mn)が調節されることができる。
【0036】
一方、[化学式2]及び[化学式3]においても同様に、各繰り返し単位は、上述したように互いに様々な組み合わせで結合されることができる。
【0037】
一方、絶縁膜30は、1μm~10μmの厚さの単一層であることができる。すなわち、絶縁膜30は薄膜コーティング層の形態であることができる。絶縁膜30の厚さは、コイル部品100Aを第1方向または第2方向に約1/2程度の深さまで研磨して
図3または
図4に示したような断面を得た後、光学顕微鏡、例えばOlympus社の光学顕微鏡(×1000)を用いて測定することができる。このとき、絶縁膜30の厚さは、研磨で得られた断面を基準に、上部領域、中間領域、下部領域のそれぞれにおける任意の3地点で測定した厚さ数値の平均値であることができる。
【0038】
一方、絶縁膜30の材料は、FT-IR、H-NMR、及びC-NMR分析を介して測定することができる。例えば、
図4のように、コイル部品100Aを第2方向に約1/2程度の深さまで研磨して断面を得た後、コイル20の左側a1~a4地点と、コイル20の右側b1~b4地点での絶縁膜30についてそれぞれ上述した分析を行うことができる。また、
図5及び
図6のように、コイル部品100Aのコイル20の引き出し部23、24が露出する本体10の両側面を露出させた後、第1引き出し部23の周りのc1~c4地点と、第2引き出し部24の周りのd1~d4地点での絶縁膜30についてそれぞれ上述した分析を行うことができる。すなわち、合計16地点での絶縁膜30に対するFT-IR、H-NMR、及びC-NMRを分析して材料を測定することができる。
【0039】
以下では、図面を参照して一例によるコイル部品100Aの構成要素についてより詳細に説明する。
【0040】
本体10はコイル部品100Aの外観をなす。本体10は、第1方向(または長さ方向)に向かい合う第1面及び第2面と、第2方向(または幅方向)に向かい合う第3面及び第4面と、第3方向(または厚さ方向)に向かい合う第5面及び第6面を含む六面体状であることができるが、これに限定されるものではない。第1~第4面はそれぞれ本体10の側面であることができ、第5面及び第6面はそれぞれ本体10の上面及び下面であることができる。本体10の各角部は研磨されてラウンド状を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本体10は、例示的にコイル部品100Aが2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅、0.8mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅、0.8mmの厚さを有するか、0.8mmの長さ、0.4mmの幅、0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、コイル部品100Aの長さ、幅及び厚さに対する上述した例示的な数値は、工程誤差を反映していない数値をいうため、工程誤差と認められることができる範囲の数値は、上述した例示的な数値に該当すると見なす必要がある。
【0042】
上述したコイル部品100Aの厚さとは、コイル部品100Aの幅方向Wの中央部における長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示されたコイル部品100Aの長さ方向Lに向かい合う2つの最外側境界線を長さ方向Lに平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味するものであることができる。または、コイル部品100Aの長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。または、コイル部品100Aの長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、長さ方向Lに平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0043】
上述したコイル部品100Aの厚さとは、コイル部品100Aの幅方向Wの中央部における長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示されたコイル部品100Aの厚さ方向Tに向かい合う2つの最外側境界線を厚さ方向Tに平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味するものであることができる。または、コイル部品100Aの厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味するものであることができる。または、コイル部品100Aの厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、厚さ方向Tに平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0044】
上述したコイル部品100Aの幅とは、コイル部品100Aの厚さ方向Tの中央部における長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品100Aの幅方向Wに向かい合う2つの最外側境界線を幅方向Wに平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品100Aの幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)のうち最小値を意味することができる。または、コイル部品100Aの幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味するものであることができる。ここで、幅方向Wに平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0045】
上述したコイル部品100Aの長さ、幅及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)間に本実施例によるコイル部品100Aを挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品100Aの長さを測定するにあたり、コイル部品100Aの長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。これは、コイル部品100Aの幅及び厚さにも同様に適用されることができる。
【0046】
本体10は磁性物質を含むことができる。磁性物質はフェライトまたは金属磁性粉末であることができる。例えば、本体10は、磁性物質が樹脂に分散された磁性複合シートを1つ以上積層して形成されることができる。但し、これに限定されるものではなく、本体10は、磁性物質が樹脂に分散された構造以外の他の構造を有することもできる。例えば、本体10は、フェライトなどの磁性物質からなることもでき、非磁性体からなることもできる。
【0047】
フェライトは、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。
【0048】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか1つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも一つ以上であることができる。金属磁性粉末は、非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0049】
樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本体10は、樹脂に分散された2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質の種類が相違するとは、樹脂に分散された磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれか一つで互いに区別されることを意味する。フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0051】
本体10は、後述するコイル20及び基板40を貫通するコア15を有することができる。コア15は、磁性複合シートが基板40の貫通孔を充填することで形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0052】
コイル20は、コイル部品100Aのコイルから発現される特性を介して電子機器内で様々な機能を行う役割を果たす。例えば、コイル部品100Aはパワーインダクタであることができ、この場合、コイル20は電気を磁場の形に蓄えて出力電圧を維持して電源を安定させる役割などを行うことができる。
【0053】
コイル20は、基板40の上面及び下面にそれぞれ配置される第1及び第2コイルパターン21、22、基板40を貫通して第1及び第2コイルパターン21、22を電気的に連結するビア25と、第1及び第2コイルパターン21、22のそれぞれの最外側ターンから延びる第1及び第2引き出し部23、24を含むことができる。
【0054】
第1及び第2コイルパターン21、22はそれぞれ平面スパイラル形態を有することができる。平面スパイラル形態のコイルパターンは、最小2以上のターン数を有することができることから、薄型でありながら高いインダクタンスの実現に有利である。第1及び第2コイルパターン21、22と第1及び第2引き出し部23、24は、等方めっき法で形成されためっきパターンであることができるが、これに限定されず、異方めっき法で形成されためっきパターンであることもできる。または、等方めっきと異方めっきがすべて適用されて形成されためっきパターンであることもできる。
【0055】
第1及び第2コイルパターン21、22と第1及び第2引き出し部23、24は、シード層及びめっき層を含むことができる。シード層は、チタン(Ti)、チタン-タングステン(Ti-W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びニッケル(Ni)-クロム(Cr)のうち1つ以上を含む第1金属層及びめっき層と同一材料、例えば、銅(Cu)を含む第2金属層から構成されることができるが、これに限定されるものではない。めっき層は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pd)、またはこれらの合金などを含むことができ、例えば、銅(Cu)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
ビア25は基板40を貫通し、したがって基板40に相応する厚さを有することができる。ビア25は、第1及び第2コイルパターン21、22を電気的に連結することができる。ビア25を介して第1及び第2コイルパターン21、22に電流パスが続くことができ、その結果、同一方向に回転する1つのコイル20が形成されることができる。
【0057】
ビア25もシード層及びめっき層から構成されることができ、具体的な例示は、上述したとおりである。すなわち、ビア25は、第1及び第2コイルパターン21、22の少なくとも一つと同時に形成されることができる。ビア25の水平断面形状は、例えば、円形、楕円形、多角形などであることができる。ビア25の垂直断面形状は、例えば、テーパ形状、逆テーパ形状、砂時計形状、柱状などであることができる。
【0058】
絶縁膜30は、本体10の磁性物質及びコイル20の接触を防止することができる。絶縁膜30は、第1及び第2コイルパターン21、22と第1及び第2引き出し部23、24のそれぞれの外側面及びトップ面の少なくとも一部を覆うことができる。また、第1及び第2コイルパターン21、22のそれぞれのパターン間のギャップの少なくとも一部を埋めることができる。また、第1及び第2コイルパターン21、22のそれぞれと第1及び第2引き出し部23、24のそれぞれの間のギャップの少なくとも一部を埋めることができる。絶縁膜30の少なくとも一部は、
図5及び
図6に示したように、本体10の第1方向に向かい合う両側面である第1面及び第2面からそれぞれ第1及び第2引き出し部23、24と一緒に露出することができる。
【0059】
絶縁膜30は、基板40の一面(前面)と他面(裏面)の少なくとも一部を覆うことができ、必要に応じては基板40のコア15を形成するための貫通孔の壁面を覆うことができる。その結果、基板40の一面(前面)と他面(裏面)に形成された絶縁膜30が互いに連結されることができる。但し、これに限定されるものではなく、絶縁膜30は貫通孔の壁面には形成されないこともでき、よって基板40の一面(前面)と他面(裏面)に形成された絶縁膜30が互いに断絶されることもできる。
【0060】
基板40は、コイル20をより薄型で、さらにより容易に形成するためのものであり、第1及び第2コイルパターン21、22と第1及び第2引き出し部23、24を支持することができるものであれば、その材質や種類が特に限定されない。例えば、銅箔積層板(CCL)、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板、絶縁樹脂からなる絶縁基板などであることができる。絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えばプリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)樹脂などが用いられることができる。剛性の維持の観点からは、ガラス繊維及びエポキシ樹脂を含む絶縁基板を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0061】
電極50は、コイル部品100Aが電子機器に実装するとき、コイル部品100Aを電子機器と電気的に連結させる役割を果たすことができる。電極50は、本体10上に互いに離隔して配置された第1外部電極51及び第2外部電極52を含むことができる。第1及び第2外部電極51、52は、本体10の第1方向に向かい合う両側面である第1面及び第2面上にそれぞれ配置されることができ、第1及び第2引き出し部とそれぞれ連結されることができる。第1及び第2外部電極51、52は、それぞれ本体10の残りの第3~第6面上にそれぞれ一部延びることができる。必要に応じて、コイル20と電極50との間の電気的信頼性を向上させるために、本体10の第1面及び第2面上には、線めっき層(図示せず)が配置されることもできる。
【0062】
第1及び第2外部電極51、52は、例えば、導電性樹脂層及び導電性樹脂層上に形成された導体層を含むことができる。導電性樹脂層はペースト印刷などで形成されることができ、銅(Cu)、ニッケル(Ni)及び銀(Ag)からなる群から選択されたいずれか1つ以上の導電性金属とエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含むことができる。導体層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びスズ(Sn)からなる群から選択されたいずれか1つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層及びスズ(Sn)層が順にめっきによって形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0063】
図7は、コイル部品の他の一例を概略的に示した斜視図であり、
図8は、
図7のコイル部品のIII-III'線に沿った断面の一例を概略的に示した図面であり、
図9は、
図7のコイル部品の第1及び第2引き出し部が露出する本体の下面の一例を概略的に示した図面である。
【0064】
図面を参照すると、他の一例によるコイル部品100Bは、コイル20が本体10の第6面、例えば下面に対して実質的に垂直に配置され、本体10の第6面、例えば下面に電極50が配置される。以下では、上述した一例によるコイル部品100Aで説明した内容と重複する内容は省略し、他の一例によるコイル部品100Bにおける相違点を中心に説明する。例えば、絶縁膜30の材料などは上述したものと同様であるため、これに対する詳細な説明は省略する。
【0065】
本体10は、例示的に、コイル部品100Bが0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.8mmの厚さを有するように形成されるか、0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されるか、1.0mmの長さ、0.7mmの幅及び0.8mmの厚さを有するように形成されるか、1.0mmの長さ、0.6mmの幅及び0.8mmの厚さを有するように形成されるか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.8mmの厚さを有するように形成されるか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されるか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.6mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、コイル部品100Bの長さ、幅及び厚さに対する上述した例示的な数値は、工程誤差を反映していない数値をいうため、工程誤差と認められ得る範囲の数値は、上述した例示的な数値に該当するとみなす必要がある。
【0066】
コイル20及び基板40は、それぞれ本体10の第6面、例えば下面に対して実質的に垂直に配置されることができる。したがって、
図10に示したように、コイル20の第1及び第2引き出し部23、24は、すべて本体10の第6面、例えば下面に露出することができる。また、絶縁膜30の少なくとも一部は、第1及び第2引き出し部23、24とともに本体10の第6面、例えば下面に露出することができる。
【0067】
コイル20は、必要に応じて第1サブ引き出し部26及び第2サブ引き出し部27をさらに含むことができる。例えば、基板40の他面(裏面)に第2コイルパターン22と離隔配置され、絶縁膜30によって覆われ、第1外部電極51と連結される第1サブ引き出し部26が配置されることができる。また、基板40の一面(前面)に第1コイルパターン21と離隔配置され、絶縁膜30によって覆われ、第2外部電極52と連結される第2サブ引き出し部27をさらに含むことができる。この場合、コイル20と電極50との間の接触面積が増加して、両者間の結合力がより向上されることができる。さらに、対称効果によって反り制御にさらに効果的であることができる。
【0068】
コイル20は、必要に応じて第1及び第2サブビアをさらに含むことができる。例えば、第1サブビアは、基板40を貫通して第1引き出し部23と第1サブ引き出し部を互いに電気的に連結することができる。また、第2サブビアは、基板40を貫通して第2引き出し部24と第2サブ引き出し部27を互いに電気的に連結することができる。この場合、コイル20と電極50の接触面積の増加時に直流抵抗(Rdc)をより減少させることができる。
【0069】
第1及び第2外部電極51、52は、本体10の第6面、例えば下面上に互いに離隔して配置されることができる。例えば、他の一例によるコイル部品100Bは、下面電極構造であることができる。第1外部電極51は、第1引き出し部23及び第1サブ引き出し部26と連結されることができる。第2外部電極52は、第2引き出し部24及び第2サブ引き出し部27と連結されることができる。
【0070】
実験例
(実施例)
上述した他の一例によるコイル部品100Bの構造を有するサンプルを複数個製作した。具体的には、パネルサイズの基板上に銅めっきでコイルを形成し、CVDチャンバーにロードして共重合体の気相蒸着コーティングを行って絶縁膜を形成した。この後、磁性体シートなどを積層し、各チップサイズに切断して複数のサンプルを製造した。絶縁膜を形成するための材料としては、不飽和結合基を有する単量体としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を用い、パリレン単量体としてはパリレン-N-ダイマーを用いた。これらの単量体を気相蒸着工程によって気体上で共重合させ、薄膜コーティング層の形態で絶縁膜を形成した。絶縁膜を形成するための材料の物性は下記[表1]のとおりであり、パリレン-N-ダイマーの物性はパラ-キシレンの物性に置き換えた。
【0071】
【0072】
(比較例)
上述した実施例において、パリレンのみを用いて薄膜絶縁層の形態で絶縁膜を形成した以外には同様にコイル部品のサンプルを製作した。具体的には、パリレン単量体を気相蒸着工程によって気体上で重合させ、薄膜コーティング層の形態で絶縁膜を形成した。一方、様々な実験のために、比較例のサンプルも複数個製作した。
【0073】
図10~
図12は、実施例によるコイル部品の絶縁膜の厚さを測定するための断面の様々な例を概略的に示した図面である。
【0074】
具体的には、実施例のサンプルのいずれか一つを幅方向に約1/2程度の深さまで研磨して断面を得た後、Olympus社の光学顕微鏡(×1000)を用いて絶縁膜の厚さを測定した。
図10は、コイルパターンのトップ面と側面を示したイメージであり、
図11及び
図12は、それぞれコイルパターンのトップ面と側面をより拡大して示したイメージである。図面のように、絶縁膜は約5μm程度の厚さを有する薄膜コーティング層の形態の単一層であることが分かる。
【0075】
図13及び
図14は、それぞれ実施例及び比較例によるコイル部品の引き出し部上の絶縁膜の損傷有無を確認するための断面を概略的に示した図面である。
【0076】
具体的には、実施例及び比較例のそれぞれのサンプルのいずれか一つをそれぞれ引き出し部が露出するように研磨して断面を得た後、Olympus社の光学顕微鏡(×1000)を用いて各絶縁膜の損傷有無を確認した。
図13のように、実施例のサンプルは絶縁膜の損傷はないが、
図14のように、比較例のサンプルは絶縁膜にバリ(Burr)が発生したことが分かる。
【0077】
図15は、実施例及び比較例によるコイル部品の直流抵抗(Rdc)及び散布を概略的に示した図面である。
【0078】
具体的には、実施例及び比較例の各サンプルのいずれか一つの直流抵抗(Rdc)及び散布をそれぞれRdc Multimeter及びProbeを用いて測定した。図面のように、実施例のサンプルは比較例のサンプルに対して直流抵抗(Rdc)が減少し、散布も小さくなったことが分かる。
【0079】
図16及び
図17は、それぞれ実施例及び比較例によるコイル部品の絶縁膜の材料をFT-IRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【0080】
具体的には、実施例及び比較例のそれぞれのサンプルのいずれか一つをそれぞれ第1及び第2引き出し部が露出するように研磨し、研磨して得られた断面において第1引き出し部の周りの4地点と第2引き出し部の周りの4地点でそれぞれFT-IR分析を行った。また、実施例及び比較例のそれぞれのサンプルのまた他のいずれか一つをそれぞれ幅方向に約1/2程度の深さまで研磨し、研磨して得られた断面においてコイルの左側の4地点及び右側の4地点でそれぞれFT-IR分析を行った。実施例及び比較例のそれぞれの16地点でのスペクトルは微細に差があるが、材料が同じであるため、代表的なピーク値は同じであった。実施例及び比較例のそれぞれの16地点におけるスペクトルのいずれか1地点での結果を
図16及び
図17に示した。図面のように、実施例のサンプルの場合、FT-IRスペクトルを介してParylene-EGDMA共重合体の様々なピークを確認することができる。また、比較例のサンプルの場合、FT-IRスペクトルを介してParylene重合体の様々なピークを確認することができる。
【0081】
図18は、実施例によるコイル部品の絶縁膜の材料をH-NMRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【0082】
具体的には、実施例のサンプルのいずれか一つを第1及び第2引き出し部が露出するように研磨し、研磨して得られた断面において第1引き出し部の周りの4地点及び第2引き出し部の周りの4地点でそれぞれH-NMR、具体的には1H-NMR分析を行った。また、実施例のサンプルのまた他のいずれか一つを幅方向に約1/2程度の深さまで研磨し、研磨して得られた断面においてコイルの左側の4地点及び右側の4地点でそれぞれH-NMR、具体的には1H-NMR分析を行った。実施例の16地点でのスペクトルは微細に差があるが、材料が同じであるため、代表的なピーク値は同じであった。実施例の16地点でのスペクトルのいずれか1地点での結果を
図18に示した。図面のように、実施例のサンプルの場合、H-NMRのピークシフトと面積値からEGDMA構造を類推することができる。
【0083】
図19は、実施例によるコイル部品の絶縁膜の材料をC-NMRスペクトルで分析した結果を概略的に示した図面である。
【0084】
具体的には、実施例のサンプルのいずれか一つを第1及び第2引き出し部が露出するように研磨し、研磨して得られた断面において第1引き出し部の周りの4地点及び第2引き出し部の周りの4地点でそれぞれC-NMR、具体的には13C-NMR分析を行った。また、実施例のサンプルのまた他のいずれか一つを幅方向に約1/2程度の深さまで研磨し、研磨して得られた断面においてコイルの左側の4地点及び右側の4地点でそれぞれC-NMR、具体的には13C-NMR分析を行った。図面のように、実施例のサンプルの場合、C-NMRのピークシフトと面積値からEGDMA構造を類推することができる。
【0085】
一方、本開示において実質的に垂直であるというのは、完全に垂直な場合だけでなく、工程誤差を考慮して大略的に垂直な場合も含む。
【0086】
また、本開示において電気的に連結されるという意味は、物理的に連結される場合と、連結されていない場合のすべてを含む概念である。また、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区別するために用いるものであって、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることができ、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0087】
なお、本開示で用いられる一例という表現は、互いに同一の実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合されて実現されることを排除しない。例えば、特定の一例に説明された事項が他の一例には説明されていなくても、他の一例においてその事項と反対または矛盾する説明がない限りは、他の一例に関連された説明として理解することができる。
【0088】
さらに、本開示で用いられる用語は、単に一例を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0089】
1 パワーインダクタ
2 高周波インダクタ
3 通常のビード
4 高周波用ビード
5 通常モードフィルタ
100A、100B コイル部品
10 本体
20 コイル
21、22 コイルパターン
23、24 引き出し部
25 ビア
26、27 サブ引き出し部
30 絶縁膜
40 基板
50 電極
51、52 外部電極